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放射線と被曝の教室(5) 食品の汚染の限度  武田邦彦 
http://www.asyura2.com/12/genpatu27/msg/572.html
投稿者 赤かぶ 日時 2012 年 9 月 27 日 13:02:01: igsppGRN/E9PQ
 

放射線と被曝の教室(5) 食品の汚染の限度
http://takedanet.com/2012/09/post_5449.html
平成24年9月26日 武田邦彦(中部大学)

食品の被曝、特に「お子さんの被曝」をどのように考えたら良いか、多くのお母さんが迷っておられます。かつて、同じ事が「農薬」や「食品添加物」に不安を感じたお母さんが多かったのですが、最近はかなり改善されました。

なぜ、農薬の不安が減ったのかというと、「農薬で健康を害する人が出たら農業は終わりになる」と思ったからです。近代農業は人手も少なく、収入はそこそこ必要なので、農薬を使わずに農業をやるのは困難でした。

でも、食べるものですから、食べる方が不安に感じるものは売れるはずもありません。また日本の食糧自給率はカロリーを基準にして40%、田畑の面積を基準にするとたった25%しかありませんから、日本の農作物に不安が広がると、壊滅してしまいます。

そこで、具体的には二つのことをしました。一つは「危険な農薬を使わないこと」、もう一つは「100分の1基準を守ったこと」でした。比較的、安全な農薬を使って、それを公表し、加えて「動物実験で安全とされた量の100分の1を基準とする」としたのです。

”100分の1ルール”というのは、まず「毎日、食べ続て、一生、食べ続けて安全な量」をADIと定義し、それを100分の1にした量を「基準量とする」としたのです。なぜ、100分の1かというと、1)実験データの不確かさで10分の1、2)人の体力や食べ方、年齢などのバラツキが10分の1、ということで結局、100分の1としたのです。

人間の知恵には限界があります。いくら動物実験を繰り返して「この量が安全だ」と分かっても、それが将来にわたって正しいとは限りません。たとえば「活断層が新しく見つかった」というように、学問は真実が分かっている方が希なのです。

そこで、まず科学者は謙虚に10倍の余裕をとるようになりました。そして次に人によって体力が違い、病気の方もおられ、食生活も様々です。たとえば、厚労省が「標準摂取量」というようなもの・・・日本国民が平均してどのぐらいの食材を何グラム食べるか・・・を発表しています。

早とじりの人は「きちんと計算しているから1キロ100ベクレルでも大丈夫」と言っていますが、お米を多く食べる人、サカナが好きな人などさまざまです。そして幼児はミルクばかりとか、さらに様々です。そこでさらに10倍の余裕を取ったのです。

このグラフはADIを元にして「危険なものがどのぐらい含んでいるものOKとするか」というものですが、「無毒性量」からさらに左側のところに使用領域があります。こんなに安全を見なくても良いようにおもいますが、現実は「無毒性量」というところ自体に不明なところがあったのです。

そして、結果的にこれが成功しました。今まで危険な農薬の問題が常にあったのですが、日本は100分の1の基準を作ってから、食材に対する信頼性があがり、徐々に日本の食材の価値が上がっていきました。まだ絶対に安全と言うことではありませんが、現代農業と食品安全という難しい問題を真正面から取り組んで成功したと言えるでしょう。

・・・・・・・・・

ところで、原子力でもおおよそ100分の1基準を使っていました。典型的には次の2つです。

1) 1年100ミリシーベルトで明確な障害者が出る。それも100人の0,5人のガン死というかなりの高率である。従って、その100分の1をまずは基準にする。そうすると1年1ミリとなり、平均として1万人0.5人のがん死になり、社会が許容する。

2) 1年1ミリシーベルトを基準にするけれど、どんな場合でも安全という意味で、クリアランス(放射性物質で汚れていないとするレベル)はその100分の1の1年10マイクロシーベルトとして、それに罰則(1年以下の懲役)をかけて国民の安全を担保する。

ところが、福島原発事故の直後に、1年20ミリの小学校の暫定基準を作り、セシウムだけで1年5ミリの給食用食材の基準を決めました。実に不見識で、なんの根拠もなく、これまでの食品安全の基本を破壊しました。

この時に審査に当たった委員が「法令やこれまでの食品安全の基準を使ったら、日本国民は飢えて死ぬ」などと御用学者ぶりを発揮し、それをテコに考えられない危険な基準としたのです。

事故の直後は実に危険です。次のブログに出しますが、事故の初期段階では放射性ヨウ素が出ますから、甲状腺の被曝は空間からの被曝は数倍になりますから、小学生を守るには「暫定基準」は逆方向だったのです。

そして、2012年に決まった基準も法令違反であり、かつADIの概念とも全く違うものです。すなわち、現在の食材基準は1キロ100ベクレルですが、これを決定した食品安全委員会自身が「標準的な人が食材だけで1年1ミリシーベルトになる」と説明しています。

福島原発事故が起こって、外部被曝や呼吸による内部被曝が多い現状では法令で定められている「外部被曝+内部被曝」の合計を1年1ミリにしなければなりません。

この法令を食品安全委員会が破ったのは、御用学者の集まりであったということもありますが、縦割り行政だからです。つまり、ある人がどのぐらいの外部被曝を受けるかは国土交通省や環境省、運動によって土ほこりを吸い込んだことによる内部被曝は文科省、そして食材などは厚労省だから、「国交省、環境省、文科省のことは知らない、厚労省関係だけで1年1ミリで何が悪い。他の省庁はゼロにしろ」と言うことです。

ところが文科省は文科省の分野だけで1ミリ、国交省は国交省の範囲で1ミリ、自治体は自治体の範囲で1ミリなどとしているので、現実には1年5ミリぐらいの被曝を受けます。それに子供は大人の2倍から3倍といわれますし、食材の種類も大人より少ないので、親はより慎重に考えてあげなければなりません。

ところで、原子力規制庁委員の中村佳代子さんなどのように、専門家は知らないふりをしていることが多いのですが、原発事故からにわか勉強した人の中には、内部被曝を50年間で計算するので、計算結果を50で割っている人がいますが、内部被曝は毎日、摂取する食材からの放射性物質がどの時点で体外から排出されるかを仮定し、積分することによって得られますので、奇妙な説明に惑わされないようにしてください。

・・・・・・・・・

結論:
1) 外部被曝、土ほこり被曝、水被曝を0.6見て、食材から0.4ミリとすると、1キロ40ベクレルがまずは基準となる、
2) 子供は感度が高く、体が安定せず、食材の種類も少ないので、1キロ20ベクレルにする、
のが適当と思います。なぜ、40ベクレルと20ベクレルを基準にしなければならないのかは、この記事の最初の方をじっくり読まれれば理解できると思います。

そして、食品安全委員会には専門家の倫理を守り、法令の規定と自らが進めてきたADIの精神を尊重して、早く1キロ100ベクレルを変えてもらいたいと思います。

また、農家の方は「食品とは食べる方が信頼し、安心して食べることができるものを供給する職業だ」という職業の倫理を守って欲しいと思います。自らの生活より、職業の誇りこそが日本人の大切な魂です。


 

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コメント
 
01. 2012年9月27日 17:45:25 : 4jUlRM2swc
10月5日(金)市民と科学者の内部被曝者問題研究会による記者会見

2012年9月27日

10月5日(金)15時より、市民と科学者の内部被曝者問題研究会による記者会見を行います。


市民と科学者の内部被曝者問題研究会は、原発事故における主要な放射線被爆形態とされる「内部被曝」を中心に取り上げつつ、放射線による人体への 影響に関する科学的な研究を推進するための活動を行っています。

(ホームページ→ www.acsir.org/ )



同研究会内の「汚染・環境実態調査検討部会」が独自調査を行ったところ、福島県に設置されたモニタリングポスト (大気中の放射線のうち、γ線の量を継続的に測定する装置)が実測値より低い値を示している、という調査結果が得られました。



本会見ではその実態に関する説明、及びそれに関する質疑応答を行います。

参加を希望される方は事前に下記注意事項を読んだ上で、協会事務局までお申し込みください。



[日時]2012年10月5日(金)15時(14時 受付開始)

[会見者]矢ヶア克馬(市民と科学者の内部被曝者問題研究会副理事長、
琉球大学名誉教授)
守田敏也(同会常任理事、広報委員長)
吉田邦博(同会会員、南相馬在住、安心・安全プロジェクト)
小柴信子(同会会員)他

[会場]麹町報道会見場 東京都千代田区麹町2-2-4麹町セントラルビル2F

東京メトロ半蔵門線・半蔵門駅下車。3a出口より徒歩約1分。

東京メトロ有楽町線・麹町駅より徒歩約4分。

[申込方法]「会見参加登録#1」より、 件名を「市民と科学者の内部被爆者問題研究会による記者会見」とし、必要事項を記入の上、本人がお申し込み下さい。会場に余裕があれば当日参加も可能です。

[申込締切]10月4日(木)17時

[主催]社団法人自由報道協会



【注意事項】

・受付では運転免許証など、本人確認ができる写真付きの公的身分証明書の提示をお願いいたします。提示いただけない場合、入場をお断りいたします。

・ 手荷物検査、金属探知機によるチェックにご協力下さい。記者会見の円滑な運営のため、撮影場所の指定、安全上の制約など、主催者側の指示に ご協力ください。また、取材者同士でもお互いに譲りあうなど、一定のマナーの遵守をお願いします。

・ 取材内容について、当協会側から制限を加えることはありません。取材内容は、各個人が自由に各種媒体に公表することが可能ですが、その報道内容に関する責任は、参加者個人が負うものとします。

・ 質問者は挙手の上、進行役から指名された際には氏名、及び所属がある場合は所属を名乗ってください。より多くの方に質問の機会を提供するため、質問は簡潔に、ひとり一問でお願いいたします。なお、時間に余裕があれば二問目の質問をすることも可能です。

・ ストロボ撮影は会見の冒頭のみとさせていただきます。またシャッター連写による音にも一定の配慮をお願いいたします。

・ 記者会見の場は、陳情・抗議の場ではありません。会見中のビラやパンフレット等の配布、ゼッケン・プラカードの掲出はご遠慮ください。

・ 記者会見の参加者は場内で自らが撮影される場合があることをご了承下さい。

・ 記者会見の運営にご協力いただけない場合は、やむをえず主催者が退席を求めることもあります。会見の円滑な進行にご協力をお願いいたします。

以上

http://fpaj.jp/?p=4481


02. 2012年9月27日 21:11:25 : jz4GuIrWa6
武田先生。いつもありがとうございます。(赤かぶさんもね)
こういう人が日本にいるからわたしらは生きていける。

04. 2012年9月28日 12:56:11 : tFOjNFS2L6
まあ、体内に蓄積するタイプの内部被爆の場合、年間許容量じゃなくて累積量を注意すべきだし、
そもそも臓器の中に"ホットスポット"を沢山作ってしまう内部被爆は、外部被爆とは比較にならないほど様々な疾患を起こすので、単純な"換算"なんてできないのも注意すべきです。

長期間内部被爆物質を摂り続けるなんて実験データもろくにないし、ろくにないことをいいことにすごく甘い換算をしているのが暫定基準値を決めた人たちですね。


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