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50年前の政府極秘報告書 -大型原子炉事故の最悪被害額は国家予算の2倍以上と試算
http://www.asyura2.com/12/genpatu27/msg/781.html
投稿者 魑魅魍魎男 日時 2012 年 10 月 07 日 14:31:32: FpBksTgsjX9Gw
 

長年原発問題に取り組んできた方はすでにご存知だろうが、1960年に、原子力産業会議が
科学技術庁の委託により計算した「大型原子炉の事故の理論的可能性および公衆損害額に関する試算」
という報告書がある。

電力会社の代わりに国が事故の災害補償を肩代わりする「原子力損害の賠償に関する法律」(原賠法)の
検討のために作成された報告書と言われており、損害規模を故意に小さく見積もる必要がなかったため、
ゴマカシなしに詳細に被害額の試算をしている。

日本初の商業用原子炉が東海村に着工されたのが同年1月であり、本格的な原子力時代を迎え、
政府は大規模な原子力災害による被害の検討を密かに行なっていたのだ。

この報告書で推定された被害総額は最悪3兆7千億円(当時の国家予算の2倍以上)と巨額であり、
国民に知られると大問題となり反原発運動に油を注ぐことになるので、長年極秘扱いとされ、
1999年に追及されて政府はしぶしぶ全文を公開した。

こちらで全文が読むことができる。

「大型原子炉の事故の理論的可能性および公衆損害額に関する試算」
http://homepage3.nifty.com/h-harada/nonuke/lib/sisan/index.html


被曝量の計算など専門的で難しい部分もあるが、非常に興味深い内容なので
附録を含め一読をおすすめする。

ちなみに1960年当時の物価は、ハイライト1箱70円、コーヒー1杯60円、大学初任給1万6千円であった。

要点は以下の通りである。

* 米国原子力委員会が1957年にまとめたWASH-740を基準にした。

* 東海原発(出力16万キロワット)から最悪放射能が2%、1千万キュリー(37京ベクレル)が環境に
  放出されたと仮定。

* 最悪の場合の気象条件は、晴れ、風速2メートル/秒、大気は逆転層が存在し、
空気は上下のかき混ぜのない状態。 地上付近に放射能は放出。

* 原子炉から20km、120kmの距離に各々人口10万、600万人の都市を仮定。

* 農業制限面積は15万平方キロ。耕地、牧場は10年間以上使用制限。
  河川、沿岸漁場は3ヶ月。湖沼は1年。

* 揮発性核種すべてと放出されやすいもの一部が放出される揮発性放出、および全放出を仮定。

* 避難範囲は次の4段階に区分けした。
(数字は最初が揮発性放出、2番目が全放出、3-4番目は各々のベクレル換算値)
A級 (0.04、 0.07 Cu/m2,  14億8千万、 25億9千万Bq/m2) 12時間以内に立ち退き
B級 (0.002、 0.01 Cu/m2 7400万、 3億7千万Bq/m2) 1ヶ月間以内に立ち退き
C級 (0.00004、 0.0006 Cu/m2 148万、 2200万Bq/m2) 都市は6ヶ月避難、農村は農耕禁止
D級 (0.000004、 0.00006 Cu/m2 14万8千、 220万Bq/m2) 農業制限

* 1人当たり物的損害は、
  A、B級 60万円(都会)、35万円(農村)
  C級 10万円(都会)、農村35万円(農村)、
  D級 470万円(農業制限)

* 住民の健康被害も4段階に区分。
第1級 700レントゲン (7シーベルト) 14日以内に全員死亡 
第2級 200-700レントゲン (2-7シーベルト)全員放射能症、死亡者は60日以内に死亡。その他は180日入院
第3級 100-200レントゲン (1-2シーベルト)死亡者はなし。90日の入院
第4級 25-100レントゲン (250ミリ-1シーベルト)90日間の検査・監察
25レントゲン以下 (250ミリシーベルト以下)障害はなし

* 入院料、輸血、輸液、抗生物質などの治療費、心電図などの検査料なども重度別に算定。
  精神的損害が5-25万円、葬祭費が5万円。遺族への慰謝料が35万円。

* これらを含めて1人当たり損害額は
第1級 85万円
第2級 90万円(死亡)、40万円(障害)
  第3級 25万円
第4級 4千円

* 最も総被害額が多いのは、全放出、低温、粒度小、雨の場合で、A-B級が9万9千人、
  C級が1760万人、D級農業制限が15万平方キロ、合計3兆7300億円。(附録(G)表2)

* 死亡が最も多いのは、全放出、低温、粒度小、逆転乾燥の場合で、死亡540人、障害2900人、
 要監察400万人、A-B級が3万人、C級370万人、D級が3万6千平方キロ、損害額合計は9630億円。


ざっと述べると以上だが、興味深いのは、要約には損害評価額は1兆円以上とぼかして書いてあり、
具体的な数字は、附録の混み入った表にのみ記載されている点だ。
都合の悪い数字は、なるべくわかりにくく発表するというのは、昔からのお役所の慣習らしい。

プルトニウム239は微量でも非常に有害であるとして、一つの章を設けて論じているのにも留意されたい。
プルトニウムは重くて飛ばないとか、飲んでも大丈夫などと言う御用学者に読ませてやりたいものだ。

この報告書はかなりまじめに細かく試算しているのだが、一番の問題は、十分なデータがなかったためか、
晩発性の障害については全く想定しておらず、短期間の健康被害だけ試算していることである。

何年も経ってからガン、白血病その他の病気に倒れる人は数え切れないほどで医療費は莫大になる。
被害額は急性障害とは比べものにならないが、それが計算されていない。

また当時は被曝は今ほど有害だとは認識されておらず、現在に比べ許容被曝量もはるかに大きい。
1-2シーベルトも浴びて死亡者なし、90日の入院だけで済むということは有り得ないだろう。

首都圏からこの東海原発は福島第一までの半分ぐらいの距離だが、出力は16万キロワットと
福島原発1基のわずか1/6。出力100万キロ級4基が大爆発した今回の事故の放出量よりははるかに小さい。

人口も50年前から大幅に増えているし、土地も相当値上がりしている。
治療費や遺族への慰謝料などもかなり高くなっている。物価が当時から10倍になっているとしても、
死亡者1人あたりの総損害額が現在850万円で済むわけがない。
河川、沿岸漁場の漁獲制限期間がたった3ヶ月というのも非常に甘い。

そしてももう一つ重要なことだが、この報告書ではガレキの撤去・保管や石棺建設など、
事故そのものの収束費用は計算されていない。

当時の3兆7千億円はとんでもない金額だっただろうが、福島事故の総被害額は
年間国家予算の2倍どころではない天文学的な数字となるだろう。
おそらく霞ヶ関の官僚たちは福島事故について同様の極秘試算を行ない、真っ青になっているのではないか。


亀井文夫監督の「世界は恐怖する 死の灰の正体」を見たときにも感じたが、
核実験の死の灰が深刻な問題になっていた1960年当時のほうが、
はるかに被曝に対する知見や研究は進んでいたように思える。

原発推進のために真実に目を閉じあるいは捻じ曲げ、まともな研究を全くしなかったこの数十年は、
まさに科学的に後退した暗黒時代と言ってよい。

科学は無条件で進歩し続けるなどと思っていたら、考えを改めるべきだろう。
そんなものは妄想にすぎない。金儲けのためには科学もいとも簡単に歪められて退歩してしまうのだ。

日本初の商業用原子炉が稼動する何年も前から、一たび事故が起これば巨額の損害が生じることを
政府は知っていた。
それにもかかわらず、カネに目がくらんで50基以上も原発を活断層の上につくり続けてきた
自民党政府の責任は限りなく重い。


関係リンク
http://www.asyura2.com/12/genpatu27/msg/124.html?c1#c1
http://trust.watsystems.net/jikosisan.html
http://iitaizou.at.webry.info/201107/article_13.html

 

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