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ドイツの今を考える・・・エコロジーが人類の未来を開く
http://www.asyura2.com/12/genpatu28/msg/845.html
投稿者 msehi 日時 2012 年 11 月 25 日 06:28:55: MaTW.8vfzXWdQ
 

投稿者関口博之
http://d.hatena.ne.jp/msehi/

緑の党創設時の綱領に掲げられた4つの原理は、今や世界の危機を救う鍵であり、特に産業社会のエコロジー的(第1の原理)転換なくしては人類の未来は開かれないと言っても過言ではない(注3)。
何故なら国連の政府間パネルの2007年第4次評価報告書(注1)が予測するよりも速いスピードで、ハリケーンの大型化、干ばつや洪水、そして熱帯の風土病が現実化してきているにもかかわらず、新自由主義によって競争原理を最優先する世界は2011年のCOP17で京都議定書の二酸化炭素排出量削減の公約さえ実質的に放棄したからである。
また福島原発事故後も日本を含めて新自由主義に支配される国々では、掲げられた原発ルネッサンスをあくまでも推進するために、低線量放射線被爆のリスクをウクライナ政府報告書(注2)にもかかわらず認めず、増大する放射線廃棄物の地下管理がドイツの最も安全と称された岩塩鉱ゴアレーベンなどで破綻しているにもかかわらず、10万年のオンカロ最終処分場は可能であるかのように推し進めている。
明らかに新興国などで新たに約400の原発建設で倍増させていけば、大事故は避けられないにもかかわらず、目先の利益だけを追求している。
そのような視点からすれば、まさに私たちは滅亡の岐路に生きているといえよう。
人類の滅亡を回避するには、一刻の余裕もなく産業社会のエコロジー転換を実現すべきである。
しかし新自由主義は、早急なエコロジー転換は豊かさの成長を停止させると脅し、原発は再生エネルギーへの転換への架け橋として必要であると騙し、原発運転期間をどこまでも延長し、現在の成長至上主義を継続させようとしている。
それはドイツで実証されたように、原発運転期間延長が再生エネルギーの伸展を妨げることは明白である。
また成長至上主義の継続がエコロジー転換を妨げるだけでなく、底辺競争へと導くことで世界の99パーセントの人たちを困窮させている。
それ故に、先ず私たちはエコロジー転換を求めなくてはならない。
ドイツが金融取引税導入や財産税などの積極的な再配分で新自由主義の克服を求め、脱原発によって今エコロジー転換の道を歩もうとしているのは、まさにぺトラ・ケリーらの緑の党創設時のエコロジー社会への理想(注3)が風雪を越えて息衝いたからである。
「制限のない成長は不可能という認識」こそが、緑の党創設綱領の理想を求めるエコロジー理念であった。
当時は農業の化学肥料使用で化学工業が増大し、環境汚染が急速に拡大していた。
また1970年代初めには最初の原発ルネッサンスが欧米で湧き上がり、20世紀終わりまでに3500基の原発が建設されるという途方もない意図的プロパガンダがなされ、投資を怠ることは国益に反すると言った主張が支配的であった。
したがってフランスやドイツでは原発開発が加速され、フランスでは新たな200基の原発建設計画、核燃料サイクル計画増強(ラ・アーグの再処理工場は1976年に運転開始)、高速増殖炉開発(既にフェニックスは73年運転開始、スーパーフェニックス77年着工)が79年のスリーマイル島原発事故にもかかわらず進行していた。
またドイツでは73年よりカルカーで高速増殖炉建設が世論の反対にもかかわらず推し進められ、76年には原発施設が付近住民に与える影響調査(疫学調査)が国会で求められたにもかかわらず、無視して原発開発が推進されていた。
このような状況下でぺトラ・ケリーは1982年のヴィーリー・ブラントに出した公開質問状で、「・・・。放射線防護委員会の説明によると、最大許容線量は住民への被害の可能性が、我慢しうる程度に縮小されなければならないということです。それ以上に詳しくは定義されていない被害の“我慢しうる程度”とは、すなわち、現実にある不具、白血病とガン疾患、遺伝障害などを届けるかどうかの決定は、結局、経済を考慮してなされるということなのです。将来の原子力計画に対する、いわゆる受け入れうる余地が、このようにして確保されていくとすれば、それは、極めて反道徳的なことです。低線量でガンが生じる危険は、私たちが以前に考えていたよりはるかに大きいのです。・・・(注4)」と述べており、低線量放射線被曝のリスクを鋭く追及していた。
確かに彼らの理想を求めるラジカルな闘いは挫折し、現実的な手法に置き換えられて行ったが、大きな視点から見れば彼らの理想を求めるエコロジー転換への苦渋に満ちた闘いこそが、ドイツに2050年までに化石燃料ゼロ、再生可能エネルギー100パーセントのエネルギー転換を約束させる原動力となっているのである(注5)。

日本でも福島原発事故後遅まきながらようやく原発デモが活発化し、国民世論も原発ゼロへ大きく傾いている。
しかし日本の原発政策は根深く、いったん中止へと傾いた核燃料サイクル開発や高速増殖炉開発も2030年まで先送りされる公算が強まっている。
さらに日本の原発産業は福島原発事故に学び、シーメンスのように原発からの撤退を決断するどころか、ウエスチングハウス社を買収した東芝に対抗して日立がこの11月に英国の原発大企業ホライズンを買収し、海外での原発ルネッサンスを加速しようとしている。
それはエコロジーへの敵対であり、人類を破滅へと導くものだ。

また今回の選挙で原発ゼロを掲げていた日本維新の会は「太陽」との合流で、その旗を降ろした。民主党は2030年代の原発ゼロを公約として掲げているが、30年後の脱原発とは現在の原発政策を大きく変える意思のないことの裏返しであり、原発ゼロを求める世論にすり合わせしているに過ぎない。自公はこれまでの原発政策を総体として維持することから、これらの選択肢では日本の脱原発は絶望的である。
願わくは脱原発、脱増税を求める小党が国民の生活、減税、社民党に見られるように11月末までに結集し、小選挙区で脱原発、脱増税の選択肢を作って欲しい。
そうすれば政党支持を越えて、脱原発、脱増税を求める過半数にも上る国民世論を喚起し、脱原発へとエコロジー転換への道を歩みだすことも可能である。

尚、先週私が文章を書く手ほどきをしてくれた友人Kから、『福島原発設置反対運動裁判資料 全3巻』(クロスカルチャー出版)のチラシが送られてきたので紹介しておきます。http://www.crosscul.com/
この資料チラシを読むだけで福島原発事故は最初から想定されており、起こるべくして生じたことが明白であり、まさに推奨文にあるように未来への警鐘となる資料集だと思います。地域の図書館に備えてもらいたいものです。

(注1)IPCC4次評価報告書PDF
http://www.env.go.jp/earth/ipcc/4th/wg1_gaiyo.pdf
最近では極めて明らかな異常気象が観測されるにもかかわらず、産業ロビイストたちはメディアの御用学者を通して、二酸化炭素排出量増加と地球温暖化は無関係と頻繁に主張している。
現在の日本の二酸化炭素排出量(2010年確定値2012年4月公表)は12億5800万トンで1990年に較べて約11パーセント増加しており(1990年11億4100万トン)で、ドイツの2010年二酸化炭素排出量が約25パーセント減少しているのと対照的である。

(注2)シリーズ チェルノブイリ原発事故・汚染地帯からの報告
動画http://www.dailymotion.com/video/xtu39y_yyyy-yyyyyyyyyyy-yyyyyyyyy-yyy-yyyyyyyyy_news
ウクライナでは強制避難区域の外側(年間放射線被爆量5ミリシーベルト以下)に約500万人の人が住み続けているが、2011年の「未来の安全」というウクライナ政府報告書では、ガンだけでなく国際機関が認めない心臓疾患や膠原病などの深刻なさまざまな病気が報告されている。
特筆すべきは、事故後に生まれた子供たちの78パーセントが慢性疾患に苦しんでいることである。
それにもかかわらず産業ロビイストは、「低線量放射線被爆は人体に影響ない」という国際世論を御用学者を通して作りだしている。

(注3)1980年緑の党綱領
http://www.boell.de/downloads/stiftung/1980_Bundesprogramm.pdf
前文の第一原理エコロジー的の翻訳

Ökologisch
Ausgehend von den Naturgesetzen und insbesondere von der Erkenntnis, daß in einem begrenzten System kein unbegrenztes Wachstum möglich ist, heißt ökologische Politik, uns selbst und unsere Umwelt als Teil der Natur zu begreifen. Auch das menschliche Leben ist in die Regelkreise der Ökosysteme eingebunden: wir greifen durch unsere Handlungen ein und dies wirkt auf uns zurück. Wir dürfen die Stabilität der Ökosysteme nicht zerstören.
エコロジー的
自然法則、とくに制限あるシステムのなかで制限のない成長は不可能であるという認識に由来するものがエコロジー政策であり、それは私たち自身そして私たちの環境は自然の一部として理解することである。同様に人間の生活も生態系の循環法則に組み込まれている。すなわち私たちは行動を通して生態系に影響を及ぼし、これが私たちに逆に影響を及ぼしている。だから私たちは生態系の安定性を破壊してはならない。
Insbesondere stellt ökologische Politik eine umfassende Absage an eine Wirtschaft der Ausbeutung und des Raubbaus an Naturgütern und Rohstoffen sowie zerstörerische Eingriffe in die Kreisläufe des Naturhaushalts dar. Unsere Überzeugung ist, daß der Ausbeutung der Natur und des Menschen durch den Menschen entgegengetreten werden muß, um der akuten und ernsten Bedrohung des Lebens zu begegnen.
とくにエコロジー政策は、自然財や原料の搾取や乱用の経済ならびに自然循環の破壊的侵害という包括的課題に立っている。私たちの確信することは、生き物の緊急の恐るべき脅威に対応するために、自然の搾取と人間による人間の搾取に立ち向かわなければならないということだ。
Unsere Politik ist eine Politik der aktiven Partnerschaft mit der Natur und dem Menschen. Sie gelingt am besten in selbstbestimmten und selbstversorgenden überschaubaren Wirtschafts- und Verwaltungseinheiten.
私たちの政策は自然と人間との積極的共生の政策である。それは自ら決定し、自給自足のひと目で見渡せる経済単位、行政単位で最上に機能する。
Wir sind für ein Wirtschaftssystem, das sich an den Lebensbedürfnissen der Menschen und zukünftiger Generationen, an der Erhaltung der Natur und am sparsamen Umgang mit den natürlichen Reichtümern orientiert. Es geht um eine Gesellschaft, die demokratisch ist, in der die Beziehungen der Menschen untereinander und zur Natur zunehmend bewußter gehandhabt werden.
私たちは現在の人間および将来世代の生活必要性、自然の保持、自然財との節約的つき合いを目指す経済システムに賛成である。民主的であり、その中で人間相互の関係と自然との関係が益々意識的に取り扱われる社会が重要である。
Um solche Veränderungen gegen die bestehenden Herrschaftsverhältnisse durchzusetzen, bedarf es einer politischen Bewegung, in der menschliche Solidarität und Demokratie untereinander und die Absage an ein von lebensfeindlicher Konkurrenz bestimmtes Leistungs- und Hierarchiedenken grundlegend sind. Diese gesellschaftlichen und wirtschaftlichen Veränderungen können nur demokratisch und mit Unterstützung der Bevölkerungsmehrheit erreicht werden.
既存の支配関係に対立してそのような変革を実現するためには、政治的な運動が必要である。すなわちその運動は、人々の連帯と民主主義が重なり合い、暮らしに敵対する競争によって規定される業績思考やヒエラルヒー思考の拒否に基ずくものである。このような社会的、経済的変革は民主的に、そして国民の多数決の支持でのみ実現され得る。

(注4)『希望のために闘う』ぺトラ・ケリー著、1985年春秋社。
309ページ・・・ヴィリー・ブラントへの公開質問状より抜粋。

(注5)ドイツの連邦環境省の専門家からなる環境事務局(SRU)は政府の原発運転期間延長の際も強く反対し、膨大な資料に基づく「100パーセント再生可能電力の供給への道」を作成し、脱原発宣言後予定通り2021年までに全ての原発廃棄は可能であるだけでなく、2050年までに100パーセント再生可能電力の供給が実現できることを、統計資料などに基づき論理的に明らかにした。
2011年7月6日に公表された「100パーセント再生可能電力の供給への道」PDF
http://www.umweltrat.de/SharedDocs/Downloads/DE/02_Sondergutachten/2011_07_SG_Wege_zur_100_Prozent_erneuerbaren_Stromversorgung.pdf?__blob=publicationFile  

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