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米国を引き裂く「新階級間格差」が急浮上 科学分野で働く米国人シェアが低下
http://www.asyura2.com/12/hasan75/msg/184.html
投稿者 ts 日時 2012 年 2 月 18 日 00:55:03: kUFLMxTYoFY0M
 

http://jp.wsj.com/US/Economy/node_394449 【肥田美佐子のNYリポート】

米国を引き裂く「新階級間格差」が急浮上

――米最新調査

2012年 2月 17日 11:28 JST

 経済を再生できない大統領は再選されない――が米国政治史の鉄則。だが、今年の大統領選挙では、「景気」よりも一歩踏み込んだ論点が急浮上している。階級間格差、つまり階級闘争だ。

 「機会均等」と『ぼろ着のディック』――貧しい白人の男の子が努力と勇気で富と成功を手にする、アメリカンドリームの原点となった児童文学の名作――の国、米国では、欧州や日本などに比べ、経済格差が大きな政治的議論に発展することはあまりなかった。

 しかし、今回は、オバマ大統領のみならず、共和党大統領候補指名争いの前線に立つ大富豪、ロムニー前マサチューセッツ州知事までもが、「中流層」を意識した選挙戦を展開している。縮小化の一途をたどりながらも、かろうじて今も米国世帯の主流を占める中流の有権者にアピールしたいがための失言なのか本音なのか、1月31日、CNNに対し、「最も心配しているのは(セーフティーネットがある)極貧層のことではなく、中流層だ」と発言したのは記憶に新しい。

 それもそのはず、である。今、米国では、長引く景気低迷に茶会党、「ウォール街を占拠せよ」デモなどによる影響が後押ししたのか、経済格差による「分断意識」が、これまでになく高まっているからだ。

階級間格差が社会を分断していると答えた人が約7割も

 1月11日、米民間世論調査機関ピュー・リサーチ・センターが発表した調査結果(2011年12月調査)によれば、米国社会において、富裕層と貧困層の間に「非常に大きな」、または「大きな」対立が存在すると答えた人が66%に上ったという。09年には47%だったことを考えると、40%以上の増加である。「移民vs.米国生まれの市民」を最大の社会的対立要因と考える人(62%)や、「黒人vs.白人」の対立を最も深刻だとみる人(38%)をしのぎ、貧富の差がトップに躍り出た。

 つまり、7割近くの人が、階級間格差によって、社会が分断されていると考えているわけだ。党派別にみると、民主党支持者が73%と最多で、次に無党派層(68%)と続く。興味深いのは、階級闘争というコンセプト自体に反対している共和党の支持者も、55%が貧富の差を重視していることだ(09年は38%)。

 収入別では、世帯年収2万ドル(約158万円)以下の最貧層の64%が、深刻な階級間対立の存在を指摘しているのに対し、7万5000ドル以上が67%、「中流層」という区分に最も近い4万〜7万5000ドル未満の層は、71%に達している。4万〜7万5000ドル未満のグループが、09年の47%から24ポイントもはね上がったのをみると、中流層の悲鳴が聞こえてきそうだ。

 というのも、今や社会保障やフードスタンプ(連邦政府による低所得者層向けの食料配給カード)など、セーフティーネットに生活を頼っているのは、ロムニー氏の言う最貧層だけでは断じてないからだ。

全米の約半数の世帯がセーフティーネットに依存

 米国勢調査によれば、2010年の時点で、家族の1人以上が何らかの金銭的政府補助を受けていると答えた世帯は、48.5%に上っている。1983年には、全世帯の3割以下、1998年には約38%と、政府の支援を必要とする米国人は、増加する一方だ。現在、セーフティーネットのお世話になっている人は、全米で9100万人以上に達しており、米連邦政府の歳入の65%以上が、そうしたセーフティーネットに消えている。

 特に目立つのが、この3年間で1400万人以上増えたフードスタンプ受給者の増加ペースだ。マンハッタン・ミッドタウンの住宅街でも、中流層向けスーパーマーケットチェーン店のレジで、カラフルな星条旗のロゴマークが付いたカードをクレジットカードの読み取り機に通す人を見かけることも珍しくなくなった。

 人種的マイノリティーの低所得層が多く住む地域を避け、中流層以上のコミュニティーに店舗展開を集中させているという批判もあるドラッグストア、CVSファーマシーでさえ、ミッドタウンの店舗内に「フードスタンプ受け付けます」というステッカーが張られるようになった。

 1月の失業率が前月より0.2ポイント減の8.3%になったことなど、経済指標に明るさが見えてきたことを背景に支持率を挽回しつつあるオバマ大統領だが、単に仕事探しをあきらめた人が増え、労働参加率が減っただけという指摘も根強い。収入の落ち込みも顕著だ。1980年には全体の30%以下だった低賃金労働が、今では40%以上を占めるまでになった。

ワシントンDCの「スーパージップ」地区は「1%」

 こうした背景を受け、米シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所の研究者チャールズ・マレー氏が、白人社会における中流層の崩壊とアッパーミドルクラス(上流中産階級)の台頭を分析した『瓦解――1960〜2010年における白人米国人を取り巻く状況』は、1月末日の発売と同時にベストセラーになり、さまざまなメディアが取り上げている。

 マレー氏は、グローバル化による製造業の衰退により、中流層のなかでも最も大きな打撃を受けたブルーカラー層の苦境(婚姻率が、半世紀で84%から48%にダウン)を浮き彫りにする。

 一方、同氏によれば、新たな「支配層」として台頭してきたのが、名門大学の学士号以上を持ち、弁護士や医師、エンジニア、教授、メディアのプロデューサーといった高度スキルのホワイトカラー層だ。外国出張を日常的にこなし、同じように名門校出身で、高給を稼ぐ女性を妻にして、さまざまな形で米国の文化や政治に影響を及ぼすエリート層である。

 ひと昔前なら、一流校出身者でなくても、才覚と努力により、自動車修理業などで成功を収め、富裕層の仲間入りをしながらも「隣のお嬢さん」と結婚したのとは大違いだ。かつて、そうした富裕層は、子孫に「お金」だけを残した。

 だが、新興上流中産階級層では、高学歴で培われた「才能」やエリート層の人脈も子どもに受け継がれるという。その代表が、同氏が「スーパージップ(郵便番号区)」と呼ぶ、ワシントンDCの13地域やマンハッタンなどの一部などだ。ジョージタウンやポトマックなど、ワシントン13地域のうち、11郵便番号区がトップ「1%」としてランクづけされ、残り2地域が「2%」だという。

 この新たな対立の原因が、マレー氏が主張する「アメリカのライフスタイル」を形作っていた文化や信仰、結婚という価値観の崩壊にあるかどうかはさておき、ブルーカラー層を中心とする中流層の崩壊と経済格差拡大による米社会の分断が深刻化しているのは異論のないところだ。

 今年の大統領選のキーワードは、さしずめ「It’s the Class Conflict, Stupid!(問題は“階級闘争”なんだよ。分かってないなあ!)」といったところか。

*****************

肥田美佐子 (ひだ・みさこ) フリージャーナリスト
肥田美佐子氏 Ran Suzuki

  東京生まれ。『ニューズウィーク日本版』の編集などを経て、1997年渡米。ニューヨークの米系広告代理店やケーブルテレビネットワーク・制作会社などに エディター、シニアエディターとして勤務後、フリーに。2007年、国際労働機関国際研修所(ITC-ILO)の報道機関向け研修・コンペ(イタリア・トリノ)に参加。日本の過労死問題の英文報道記事で同機関第1回メディア賞を受賞。2008年6月、ジュネーブでの授賞式、およびILO年次総会に招聘される。2009年10月、ペンシルベニア大学ウォートン校(経営大学院)のビジネスジャーナリスト向け研修を修了。現在、『週刊エコノミスト』 『週刊東洋経済』 『プレジデント』などに寄稿。『週刊新潮』、NHKなどの取材、ラジオの時事番組への出演、日本語の著書(ルポ)や英文記事の執筆、経済関連書籍の翻訳にも携わるかたわら、日米での講演も行う。共訳書に『プレニテュード――新しい<豊かさ>の経済学』『ワーキング・プア――アメリカの下層社会』(いずれも岩波書店刊)など。マンハッタン在住。 http://www.misakohida.com

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http://jp.wsj.com/Life-Style/node_394768?mod=WSJFeatures
科学分野で働く米国人シェアが低下

=米人口統計機関分析

2012年 2月 17日 21:34 JST
 科学やエンジニアリングの分野で働く米国人の割合がこの10年でわずかに縮小したことが、17日発表予定の分析でわかった。技術革新と経済成長を背景に、これらの分野で働く米国人の割合は一貫して上昇してきたが、ここにきて頭打ちとなった。

 人口問題を研究する米NPOのポピュレーション・レファレンス・ビューロー(PRB)が米国勢調査に基づいて行った分析によると、建築やソフトウエア・デザインといったテクニカル分野では2000年に5.3%だった米国人の割合が2010年に4.9%となった。

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Bloomberg

リサーチ・サイエンティストのソフィ・リウさん

 PRBによると、2000年までは専門知識が必要とされる職業分野では、1950年以降10年毎に実施される国勢調査で常に米国人の割合が増えていた。同分野の労働人口自体は全体的な人口増に連れて2000年代でも増えているものの、米国人が占める割合は減っている。

 PRB調査員のマーク・マザー氏は、米国人シェアの低下にはさまざまな要因が働いているとし、大勢のエンジニアをデザインや製造の過程で雇用することの多い製造業の空洞化もその一因だと指摘する。

 テクニカル分野の定義をどこまで広げるかにもよるが、同分野の米国人労働人口は500万〜800万人にとどまる。PRBは博士号を持った専門家から大学卒業資格も必要ないかもしれない技術者やコンピュータ作業者までも含めて760万人とみている。

 米国立科学財団(NSF)などは、知的職業分野を大学卒業資格以上が求められる分野だとしている。

 どのように労働者を線引きしようと、他の職種より高い給料が得られ、新規事業や産業が生まれやすいこの分野は先進国にとって重要であるとみられている。今回のPRBの分析は、米国は科学産業への投資を奨励する方法を見つけるのと同様に、人より優れた技術を持った労働者の割合を増やす必要があると論じる政治家やアナリストらにとって格好の材料となりそうだ。

記者: Conor Dougherty and Rob Barry
 

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