★阿修羅♪ > 経世済民75 > 193.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
グローバル・インフレーション: 再び回転し始めたメリーゴーランド?
http://www.asyura2.com/12/hasan75/msg/193.html
投稿者 ts 日時 2012 年 2 月 18 日 22:06:13: kUFLMxTYoFY0M
 

http://www.morganstanleymufg.com/economicforum/gma/docs/gma_120217.pdf
The Global Monetary Analyst

グローバル・インフレーション: 再び回転し始めたメリーゴーランド?

大いなる金融緩和の第二幕が本格化している。だが、そう
した金融緩和はインフレ・リスクを孕んでいる。(@)世界
の金融政策の間に見られる相互関連性、(A)中央銀行の金
融緩和がコモディティ価格に与える影響、そして(B)実体
経済の先行き見通し改善の可能性は、以下に指摘するよう
な「インフレのメリーゴーランド」と言うべき世界的なイン
フレのループが再び生じる可能性を意味する。
(1) 主要先進国――特に米国――の超緩和的な金融政策
は、コモディティ価格の上昇に寄与する。新興国の中央銀
行は、米ドル・ペッグ制(ハード・ペッグ、ソフト・ペッグ)
を通じて、主要先進国の超緩和的・拡張的な金融政策を輸
入している。
(2) 新興国においては、国内経済の過熱そしてコモディ
ティ価格の上昇を背景に物価上昇圧力が高まる。新興国の
インフレは、先進国に出荷される製品価格の上昇を通じて、
先進国へ再輸出される格好となる。
(3) 輸入価格やコモディティ価格の上昇は、先進国のイ
ンフレを押し上げる要因である。だが、先進国の中央銀行
は、(海外要因の二重のコスト上昇圧力により)経済の低調
な状態が続くなら、金融緩和を維持あるいは強化する。
インフレ動向という点では、2013 年は2011 年に似たよ
うな状況になるかもしれない。 (Spyros Andreopoulos)


本格化する大いなる金融緩和の第二幕… (@)世界経済の減速
や(A)ユーロ圏ソブリン債務危機がエスカレートする可能性
に起因する下振れリスクの高まりを受けて、世界の中央銀行
は利用できる政策手段を総動員している。このような状況は
今後も続くと思われる。2009〜10 年当時に見られた世界的な
金融緩和を「大いなる金融緩和の第一幕」とすれば、現下の金
融緩和の流れはその第二幕と言えるであろう(Great Monetary
Easing Part 2 の頭文字をとってGME2。2012 年1 月22 日付け
レポート”Sunday Start – “What Next in the Global Economy”参
照)。GME2 は足元、本格化している。イングランド銀行は先
週9 日、向こう3 ヵ月にわたりさらにギルト債を500 億ポン
ド買い入れる姿勢を打ち出した(結果、資産買い入れプログ
ラムの規模は総額3250 億ポンドへ引き上げられている)。ま
た、日銀も、追加金融緩和に踏み出した。14 日の金融政策決
定会合において、資産買い入れ基金を10 兆円増やす(20 兆円
から30 兆円へ)ことを全員一致で決めた。増額分は全て長期
国債の買い入れに充てられる。日銀に続きスウェーデン中央
銀行も16 日、レポ金利の25bp の引き下げを決める可能性が
ある(16 日、スウェーデン中央銀行はレポ金利を25bp 引き下
げ、1.5%にすることを決定した)。
図表 1
本格化する大いなる金融緩和の第二幕
G10
2011 年10 月以降に
実施された緩和措置
向こう年内に予想される
更なる緩和措置(弊社予想)
米国オペレーション・トルク量的緩和第三弾(0.5〜0.75 兆ドル
規模の米国債/MBS の購入)
ユーロ圏50bp の利下げ
3 年物LTRO の実施
50bp の利下げ、3 年物LTRO の実
施、資産買い入れ
日本 QE: 15 兆円QE
英国QE: 1250 億ポンドQE: 500 億ポンド
スウェーデン25bp の利下げ 50bp の利下げ
ノルウェー50bp の利下げ25bp の利下げ
豪州 50bp の利下げ 25bp の利下げ
新興国
2011 年10 月以降に
実施された緩和措置
向こう年内に予想される
更なる緩和措置(弊社予想)
ポーランド‐ 50bp の利下げ
ハンガリー100bp の利上げ100bp の利下げ
ルーマニア 75bp の利下げ‐
トルコ預金準備率(RRR)の引き下げ‐
イスラエル 50bp の利下げ 25bp の利下げ
中国 50bp のRRR の引き下げRRR の引き下げ
インド 50bp の現金準備率(CRR)引き下げ 100bp の利下げ、CRR の引き下げ
韓国‐ 25bp の利下げ
インドネシア100bp の利下げ、流動性強化‐
マレーシア‐ 25bp の利下げ
タイ 50bp の利下げ‐
ブラジル150bp の利下げ75bp の利下げ
メキシコ‐ 50bp の利下げ
チリ 25bp の利下げ75bp の利下げ
出所: モルガン・スタンレー・リサーチ
…その流れは2012 年第2 四半期に最高潮に達しよう: 実際、
第2 四半期には主要中央銀行が更なる金融緩和に踏み切ると
予想される。
 Fed: このところ米国で発表される経済統計の内容は改善
している。しかしながら、景気減速の兆しが顕在化して
から金融刺激に動いていた従来のケースとは対照的に、
我々が思うに、Fed は今回、経済統計の内容改善にもか
かわらず、更なる資産買い入れに動く可能性が高い
(2011 年12 月27 日付けレポート”US Economics: Fed
Thoughts for 2012: Into the Heart of Darkness”参照)。その
目的は、回復の勢いが鈍化したときではなく景気が回復
傾向にある時に「成長の芽」を大事に育てることにある。
 欧州中央銀行(ECB): ECB による流動性供給――今月29
日には、昨年12 月に続き、2 度目の3 年物資金供給オペ
が予定されている――のおかげで、EU 域内銀行の資金
調達に対する懸念は和らぎ、周縁国の国債市場も足元ひ
とまず安定している。しかしながら、流動性供給だけで
果たしてサーキット・ブレーカーの役割を担えるのかど

うか、この点については疑問が残る。我々が思うに、
ECB は最終的に、広範囲にわたる官民部門の資産を買い
入れる措置に動かざるを得ないであろう。だが、その前
にECB はまず政策金利を引き下げよう。政策金利であ
る主要リファイナンス・オペ金利は、史上最低水準であ
る0.50%への引き下げが見込まれる。
弊社経済調査部が調査対象としている世界の中央銀行33 行
(先進国: 10 行、新興国: 23 行)のうち、16 行が2011 年第4 四
半期以降、様々な方法で金融政策を緩和している。その内訳
は、先進国の中央銀行7 行、新興国9 行である。こうした中
央銀行の多くは、今後も一段の緩和に動く可能性が高い。ま
だ緩和に動いていない中央銀行――ポーランド、韓国、マレ
ーシア、メキシコ――についても、向こう年内に政策金利の
引き下げが予想される(100bp の利上げを実施したハンガリー
中央銀行も、この先金融緩和に転じよう。100bp の利上げは、
同規模の利下げで相殺される格好になると思われる)。
図表 2
回復軌道に復帰している世界経済?
出所: ヘイバー・アナリティクス、モルガン・スタンレー・リサーチ
実体経済の動向: 最近発表された経済統計に目を向けると、
概して地域によってその中身に差が見られる。例えば、米国
の場合、2011 年第4 四半期は比較的良好な四半期だった。米
商務省が1 月27 日に発表した第4 四半期の実質GDP 成長率
(季節調整済み年率換算、速報値)は2.8%。これは、弊社米国
担当エコノミストが念頭に置いている成長率レンジ1〜3%の
上限に近い。これに対して、ユーロ圏は、信用不安の拡大に
よる景気の冷え込みなどから、昨年第4 四半期は2 年半ぶり
のマイナス成長(前期比-0.3%)だった。一方、中国の場合、経
済統計の内容からは引き続きソフトランディングの傾向がう
かがえる。さらに、製造業購買担当者景況感指数に代表され
るような公表頻度の高い経済活動指標は、ある程度の盛り返
しを示唆する内容となっている(図表2)。以上の点を踏まえ
ると、世界経済は足元、全体的に見た場合、引き続き回復軌
道にあると言えるのかもしれない。減速に見えたのは、景気
循環半ばにおける一時的な軟化(ミッドサイクル・スローダウ
ン)だった可能性がある。
図表 3
インフレ動向: 基本的には良好だが、上振れリスクあり
注: DM(4)=米国、ユーロ圏、日本および英国。EM(8)=中国、インド、インドネシア、
韓国、ブラジル、メキシコ、ロシア、トルコ。Global=DM(4)とEM(8)をあわせた12
ヵ国を指す。
出所: ヘイバー・アナリティクス、モルガン・スタンレー・リサーチ
今後のインフレ動向については、基本的には良好な展開を見
込むが、上振れリスクも否めない… 前述のような金融政策や
実体経済の動向は、世界のインフレ見通しにとってどのよう
な意味を持つのだろうか。現時点における我々のインフレ率
予想の数値そのものには、気懸かりな点はない。以前の景気
軟化に加えて、比較対照となる前年においてコモディティ価
格の水準が高かったベース効果により、インフレ率は引き続
き比較的低水準にとどまる展開が予想される(図表3 参照)。
では、問題はどこにあるのだろうか。
 第一に、「成長の芽」を育むFed の姿勢からは、経済統計
の内容がそう悪くない状況下でも、向こう数ヵ月間は
FOMC が景気支援の手綱を緩めない展開が予想される。
他の中央銀行も、経済統計の中身に関係なく、Fed と同
じような姿勢で政策運営に当たる可能性がある(あるい
は、Fed や他の主要中央銀行の対応を見て、そのように
行動しなければならないと感じるかもしれない)。この
ような状況下、現下の経済統計の上振れ傾向が持続可能
なものであり、正真正銘の景気の循環的な回復を意味し
ているものであるなら、中央銀行の対応は既に勢いづい
ている経済を一層刺激することになり、将来循環的なイ
ンフレ圧力の増大に繋がる可能性がある。新興国の場合
には、そうした循環的なインフレ圧力に加えて、構造要
因に起因する価格上昇圧力もある。構造的な上昇圧力は、
無くなったわけではなく、単に景気軟化により目立たな
くなっているだけに過ぎない(2012 年2 月8 日付けレポ
ート”QE – What’s Different This Time?”参照)。
 第二に、我々の基本予想に反して、世界経済が――例え
ば、米国の労働市場の持続的かつ力強い回復、あるいは、
債務危機に揺れるユーロ圏情勢の改善を背景に――成長
速度を上げ、成長率がブル・シナリオの下で想定してい
る水準(2012 年: 4.2%)に迫る勢いを見せるなら、世界の
中央銀行は金融刺激という薬を経済に既に大量に投与し
過ぎている可能性がある。

第三に、我々のインフレ見通しは、石油価格が今後先物
カーブに織り込まれているような展開を辿るとの前提に
基づいている。しかしながら、量的緩和により石油価格
や他のコモディティ価格が足元の水準から押し上げられ
るなら、我々が現在予想している将来のインフレ率は低
過ぎることになる。
2013 年は2011 年のような展開に? したがって、インフレ動
向に対するリスクは足元、上方に遍在しているように見える。
先進国における金融緩和、比較的堅調に推移している新興国
経済に、このところかなり上昇しているコモディティ価格が
加わった場合、思い出されるのは2010 年第3 四半期から
2011 年第3 四半期にかけて見られたインフレ率の上昇である。
実際、アジア(日本を除く)地域担当エコノミストである
Chetan Ahya は、今後先進国において一段の金融緩和が見込
まれる状況下、アジア地域のインフレ動向には上振れリスク
があると既に指摘している(2012 年2 月13 日付けレポー
ト”Asia Pacific ex Japan Macro Dashboard”参照)。実際、我々の
見るところ、世界経済はこの先インフレ上昇局面を迎える可
能性がある。今年終盤からインフレ上昇の兆候が目立つよう
になり、2013 年を迎えてからはそうした傾向が一層鮮明にな
ると思われる。
メリーゴーランドの回転は続く… 何故なら、我々が昨年初頭
に強調したメカニズム、つまり、「インフレのメリーゴーラ
ンド」とでも呼べる世界的なインフレのループが上昇スパイ
ラルへ発展する条件が依然として揃っているからである
(2011 年1 月26 日号The Global Monetary Analyst 収載”The
Inflation Merry-Go-Round”参照)。
図表 4
先進国の金融緩和を背景にコモディティ価格が上昇…
出所: ヘイバー・アナリティクス、モルガン・スタンレー・リサーチ
図表 5
…そして、新興国ではインフレ率が上昇…
出所: ヘイバー・アナリティクス、モルガン・スタンレー・リサーチ
1. 主要先進国――特に米国――の超緩和的な金融政策は、
コモディティ価格の上昇に寄与する。新興国の中央銀
行は、米ドル・ペッグ制(ハード・ペッグ、ソフト・ペッ
グ)を通じて、主要先進国の超緩和的・拡張的な金融政策
を輸入している(図表4 参照)。
2. 新興国においては、国内経済の過熱そしてコモディテ
ィ価格の上昇を背景に物価上昇圧力が高まる(図表5 参
照)。新興国のインフレは、先進国に出荷される製品価
格の上昇を通じて、先進国へ再輸出される格好となる。
3. 輸入価格やコモディティ価格の上昇は、先進国のイン
フレを押し上げる(図表6 参照)。だが、先進国の中央銀
行は、(海外要因の二重のコスト上昇圧力により)経済の
低調な状態が続くなら、金融緩和を維持あるいは強化
する。
…新興国が米ドル・ペッグ制(準ペッグ制)を堅持する限り: 世
界的な「インフレのメリーゴーランド」の背景には、重要な要
素として新興国の通貨政策がある。米ドル建てコモディティ
価格の上昇の影響から自身を守るために、新興国が米ドルに
対する自国通貨の上昇を容認すれば、メリーゴーランドの勢
いは弱まる。新興国がFed の超緩和的な金融政策スタンスを
輸入することはなくなり、景気過熱は回避される。また、コ
モディティ価格上昇の影響も軽減される。一方、米国――つ
まり、実際に緩和的・拡張的な金融政策に着手している国―
―は引き続き、(@)(コモディティ生産者が輸出の実質価値を
維持しようとする傾向にあるために)自国通貨建てベースで
のコモディティ価格の上昇と(A)(新興国通貨に対する自国通
貨の下落を背景とする)輸入価格の上昇の影響を受けること
になろう。

図表 6
…先進国は、輸入製品の価格上昇を通じてインフレを再輸入
出所: 米国労働統計局(BLS)、ヘイバー・アナリティクス、モルガン・スタンレー・リサ
ーチ
結論: 前述したようなインフレ見通しに対するリスク要因が
現実のものになるなら、それは、今後の中央銀行の金融政策
見通し(図表1 参照)に影響を与えるであろう。許容できる範
囲を超えてインフレ率が上昇する場合、一部の中央銀行――
我々が思うに、その多くは恐らく新興国の中央銀行――は全
て白紙に戻すことを余儀なくされ、金融緩和幅の縮小あるい
は早期引き締めに動く可能性がある。  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2012年2月18日 22:47:35 : tf05ptrqv6
>世界の中央銀行は利用できる政策手段を総動員している

日銀だけは何にもしてないけどね


  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
 重複コメントは全部削除と投稿禁止設定  ずるいアクセスアップ手法は全削除と投稿禁止設定 削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告」をお願いします。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民75掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民75掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧