★阿修羅♪ > 経世済民75 > 302.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
もし日本が経常赤字になったら経済はどうなる? ドイツに学ぶビジネス振興策のススメ
http://www.asyura2.com/12/hasan75/msg/302.html
投稿者 MR 日時 2012 年 3 月 02 日 02:20:25: cT5Wxjlo3Xe3.
 

http://diamond.jp/articles/-/16392

もし日本が経常赤字になったら経済はどうなる? ドイツに学ぶビジネス振興策のススメ

1963年以来の赤字に転じた
貿易収支
 昨年の我が国の貿易収支は、国際収支ベースでも1963年以来の赤字に転落した。背景には、東日本大震災に伴うサプライチェーンの寸断よる輸出減と、原発事故に伴う火力発電の燃料増加による輸入増がある。
 さらに、産業空洞化による輸出減が継続し、資源価格高騰により輸入増も継続することから、東日本大震災で我が国の経常赤字化が前倒しになった可能性が高く、一部では2010年代半ばにも経常赤字になると見方もある(図表1)。
 日本が仮に経常赤字に転落すれば、円安や金利上昇、交易条件の悪化に加え、財政問題など様々な経路を通じて日本経済に大きな影響を及ぼすことが想定され、我々生活者へも影響を及ぼす。

http://diamond.jp/mwimgs/2/1/600/img_2169013d2fa460f95c9109bd82ad2f147453.gif


次のページ>> 経常赤字転落の主な影響は金利上昇と円安

 経常赤字への転落は、様々な経路を通じてマクロ経済に影響を及ぼす(図表2)。第1に、国内余剰資金の枯渇を通じて、新規の国債発行を安定的に消 化しにくくすることが予想される。そして、財政リスクプレミアムの高まりが金利上昇を通じてマクロ経済を縮小させる方向に働く。


http://diamond.jp/mwimgs/8/5/600/img_85d89626e1eefaec86f4038f66e7792d5846.gif


 この経路は「国民所得(Y)=消費(C)+投資(I)+海外所得の純受取(X―M)」の関係から導き出される(下の式)。つまり、国民所得(Y) から消費(C)を引くと国内貯蓄(S)となる。このため、国内貯蓄投資差額(S−I)で示される国内の資金余剰が海外所得の純受取(X−M)すなわち経常 収支を示すことになる。つまり、経常赤字転落は国内での国債購入資金の不足を想起させるため、長期金利の上昇をもたらすのである。

【国内貯蓄投資差額と経常収支の関係】
●Y=C+I+X−M
●→Y−C−I=XーM
●→S−I=X−M
●→ISバランス=経常収支
Y:国民所得、C:消費、I:投資、X:海外所得受取、M:海外所得支払、S:貯蓄

 第2に、経常赤字転落は通貨の調整をもたらす。そして、輸出価格の低下が我が国の輸出を後押しすることから、企業収益の増加がGDPを拡大させる 方向に働く。半面、輸入価格の上昇が国内物価を押し上げることから、企業収益の圧迫がGDPの押し下げ要因になる。そして、これらの動きによって雇用・所 得環境や物価が変動すれば、国民生活にも影響が及ぶ。

次のページ>> 金利上昇に伴う雇用所得環境悪化は甚大

http://diamond.jp/mwimgs/0/d/600/img_0d6a298dab7e76caa5ea1a8c9cd7aee34361.gif
http://diamond.jp/mwimgs/0/f/350/img_0f8672d68ad0904b5524fd3e2626eea13011.gif

 事実、四半期ベースの経常収支(季節調整値)によれば、経常収支/GDPが▲1%低下すると、 同時に長期金利が+0.19%pt(ポイント)上昇する関係がある(図表3)。赤字が拡大しても成長率の高い国もあるので、経常収支の黒字・赤字と成長 率、金利には一義的な関係はないという議論もある。しかし、日本の場合は図表で分かるように、経験的に黒字が縮小すると、金利が高くなり成長率が低下する といえる。

 従って、2011年の経常黒字/名目GDP=2.1%がゼロになるとすれば、同時期の長期金利を+0.40%pt押し上げ、マクロ計量モデルに基 づけば 3年後の実質GDPを▲0.96%程度押し下げる(図表4)。こうした経済活動の縮小は、企業の人件費圧縮を通じて1年目の失業率を+0.29%pt程度 押し上げ、単位時間当たり賃金は3年目に▲1.53%程度押し下げると試算される。

次のページ>> 経常赤字転落は15円の円安要因

http://diamond.jp/mwimgs/9/6/600/img_96a3a8d66c904cce65b950155aa008744569.gif
http://diamond.jp/mwimgs/1/9/350/img_19f51ba10de2532e74a8ea32c5ae50732916.gif

 一方、経常収支が赤字に落ち込んだ場合、通貨が下落することで輸出競争力が改善に転じ、それが 経常収支の赤字を改善させるというメカニズムが存在する。事実、我が国でも経常収支/名目GDPが▲1%低下すると、約2年のラグを伴ってドル円レート が+7.4円程度円安になる関係がある(図表5)。

 この関係から、2011年の経常黒字/名目GDPの消滅は2年後のドル円レートを+15円程度円安にする効果を持つ。そして、マクロ計量モデルに 基づけば3年間で実質GDPを+0.36%程度押し上げる一方、失業率を▲0.19%pt程度押し下げ、単位時間当たり賃金を+0.49%程度押し上げる と試算される(図表6)。

次のページ>> GDPへの影響は3年後に▲0.8%程度

http://diamond.jp/mwimgs/0/a/350/img_0ad7ff1cb3e4112bec777c056190f6b82969.gif
http://diamond.jp/mwimgs/9/1/350/img_9125c0d698734387544142e562b591ae2906.gif

 一方、+15円程度の円安は、円ベースの原油価格を+19%程度押し上げることを通じて、3年 後の実質GDPを▲0.21%程度押し下げ、消費者物価を+0.46%押し上げる。そして、単位時間当たり賃金を▲0.45%押し下げ、失業率 を+0.10%pt押し上げると試算される(図表7)。

 以上の影響を勘案すると、最終的に2011年時点の経常黒字/名目GDP=2.1%が無くなる影響は、我が国の実質GDPを3年後に▲0.81% (=−0.96+0.36−0.21)、単位時間当たり賃金を▲1.49%(=−1.53+0.49−0.45)それぞれ押し下げ、1年目の失業率 を+0.25%pt押し上げることになる。これは、16.7万人の失業者の発生と実質GDPの4.1兆円減少をもたらすインパクトである(図表8)。

示唆に富むドイツの
経常収支構造

 以上の試算は、現時点で経常黒字が消滅することを想定して、その影響に焦点を当てたものであり、筆者の試算では国内の高齢化やデフレが投資率を抑制するため、経常赤字転落は2020年代以降になると考える。
 ただ、仮に証券投資受取を中心とした所得収支により経常黒字が維持されたとしても、国内の雇用にはつながりにくい。グローバル企業が日本国内で雇 用を創出する環境を作るには、法人税率の世界水準並みへの引き下げや、世界的に遅れをとっている経済連携協定(EPA)の構築、さらには実力見合いで高す ぎる円高是正策が求められる。その意味では、貿易収支は経常収支の一部分ではあるものの、国内雇用面への影響を見るうえでは大きなポイントとなる。

次のページ>> 示唆に富むドイツの経常収支構造

http://diamond.jp/mwimgs/0/f/600/img_0f40bf013798a8e7579541d32635548f12540.gif
http://diamond.jp/mwimgs/e/8/600/img_e863c4cc24e1111a9f410f32d1cf75604595.gif
http://diamond.jp/mwimgs/4/1/600/img_41903b9782d03587807a633664016b8311704.gif

 こうした中、日本とドイツは共に輸出依存度が高く、製造業が強いなど経済構造が類似していると言われており、日本は1981年以降、ドイツは 2001年以降、経常収支の黒字が継続している(図表9)。しかし、日・独の経常収支の内訳を見ると、ドイツの経常収支の黒字は貿易収支への依存度が高い のに対して、日本の経常黒字は所得収支が経常収支の黒字を押し上げている。

 一方、日本の2010年の対外直接投資残高は世界第8位だが、ドイツは4位で日本の1.7倍の規模である(図表10)。

 さらに、日本の対外直接投資/GDP比率の拡大が緩やかであるのに対し、ドイツは急速な拡大を示している。この結果、ドイツの対外直接投資残高 /GDPは、2010年時点で日本の2.8倍にまで拡大している。また、ドイツは対内直接投資も活発だが、日本は対外直接投資残高に比べて対内直接投資残 高が極めて小さい(図表11)。

次のページ>> 法人税率引下げと経済連携協定網拡大の好影響

http://diamond.jp/mwimgs/5/3/600/img_53aa2350e93d6dfe70e0b60ae69ab72d4607.gif

 近年著しいドイツの対内外直接投資の増加の背景には、ドイツ政府が2000年代から積極的に推進してきた国内での企業活動促進と、2004年に加速した欧州連合の拡大がある。
 ドイツは、国内の企業立地の優位性を高めるために2001年の税制改革で法人税率をそれまでの35〜40%から一律25%に引き下げ、2008年の法人税改革でさらに15%まで引き下げる等、国際競争力強化や経済活性化を積極的に展開してきた(図表12)。

 また、経済統合による域内経済の活性化を目的に発足したEUは、2004年には過去最大の10カ国が加盟し、東ヨーロッパ諸国を中心に、人・モノ・サービス・金の自由な域内移動が拡大することになった。
 その結果、2011年6月時点でEUの貿易額に占めるFTA(自由貿易)/EPA署名・発効国との貿易額の比率は域内貿易も含めれば74.8%、域内貿易を含まなくても27.2%である。これに対し、我が国は17.6%に過ぎず、その取り組みは遅れている。
 さらに、ドイツは現在交渉中のFTA/EPAが発効すると、EUの貿易額に占める82.1%(2010年)、域内貿易を含まなくても同48.4%が将来的に原則非関税となる。つまり、他国の企業がEU加盟国で生産して、EU域内に出荷する製品の大半は非関税となる。
 EUは今のところ米国、中国、日本とFTA/EPA交渉に入っておらず、ユーロ圏では通貨も統合されている。従って、EU市場へ製品を売り込む企業にとって、ドイツ進出はメリットが大きくなり、ドイツの対内直接投資が増加しやすくなったと示唆される。

次のページ>> 日本を凌駕する対内外直接投資増加の理由

http://diamond.jp/mwimgs/f/f/600/img_ff736a5f0229dc13310b374e6070e8969651.gif

 対内直接投資の促進は、国内の雇用環境や市場の活性化、貿易の増加など受入国にとっても恩恵が大きい。そこで、2010年まで増加傾向にあったド イツへの対内直接投資額を国・地域別に見ると、2010年に最も多かったのはベルギーで全体の4分の1以上を占め、次に米国となっている(図表13)。

 南欧の政府債務問題がより深刻化するまでは、ユーロ安もあってグローバル企業のドイツへの進出意欲が高まり、対独直接投資が拡大した。そして、グローバル企業を誘致したドイツは、国内雇用の拡大や輸出増加による貿易黒字の拡大という恩恵を享受してきた。
 ドイツにおいてEU統合の効果が大きかったもう一つの背景に、経済連携の範囲を非関税障壁の撤廃にまで踏み込んだことがある。事実、近年のドイツ の対内直接投資流入額を業種別に見ると、ドイツの対内直接投資に占める非製造業の比率は、2010年時点で製造業を上回っている。EU統合の主要目的の一 つであった非関税障壁撤廃の面でも、積極的な市場開放や自由化を通して、ドイツ経済の活性化が図られてきたと見られる。これに対し、日本では非製造業の対 内直接投資が、2010年に引き揚げ超過となっている。
 また、EU統合によって非関税障壁が下がったことで、他の加盟国に対する対外直接投資が加速した点も指摘できる。事実、ドイツ商工会議所連合会 (DIHK)が、昨年3月に発表したドイツ企業の外国直接投資動向に関するアンケート調査結果を見ると、前年に比べて「2011年の投資を拡大する」とし た企業の割合が44%と2010年の2倍になり、2003年以来最高となっている。2004年にEU拡大が加速したことと、ドイツの所得収支が直接投資収 支を中心に黒字に転じたことは、関係があると言わざるを得ない。
 以上より、ドイツにおける経済連携協定の拡大効果は、貿易黒字の拡大に止まらなかった可能性が高い。ドイツは法人税率の引き下げによる国際競争力 強化や経済活性化を積極的に展開する中で、EU拡大の効果も相まって、貿易黒字の拡大のみならず、内外直接投資の拡大により、ドイツ国内に立地する企業が グローバルに市場を拡大したと言える。

次のページ>> ドイツから学ぶべき「プロビジネス」的政策

こうしたドイツの経験は、日本にとっても大いに示唆に富む。EUの経済連携協定網が貿易額の約8割に達しつつあるのに対し、日本の経済連携協定網はこれまで小国が中心で輸出額に占めるシェアは2割弱にとどまり、経済連携協定に対して消極的である。
 また、政府は東日本大震災による電力不足や、欧米債務危機による円高を受けた企業の海外移転加速を危惧して法人税率の引き下げに乗り出したが、そ の一方で復興増税による法人税率の臨時引き上げや各種労働規制の強化などが打ち出されており、政府の産業空洞化対策の本気度が伝わってこない。
 さらに、南欧の債務危機により自国通貨のユーロが購買力平価から16.5%の割高にとどまるドイツに対し、金融政策が十分に機能せず、自国通貨の円が購買力平価から33.5%も割高となっている日本は、グローバル需要の取り込みでもハンディを背負っている。
 現状は欧州債務問題への対応に苦慮しているドイツだが、人口が減少する中でも、これまで産業立地の優位性を高め、国際競争力強化や経済活性化を積 極的に展開して経済成長を高めてきた。こうしたドイツの経験を教訓とし、我が国でも法人税率の引き下げや経済連携協定網の拡大、円高是正等といったプロビ ジネス的な政策が最優先されるべきだ。


――第一生命経済研究所主席エコノミスト 永濱利廣
な がはま・としひろ/第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト。1971年生まれ。栃木県出身。早稲田大学卒。2005年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。95年第一生命保険入社。日本経済 研究センターを経て第一生命経済研究所経済調査部へ異動。研究員、主任エコノミストを経て、08年より現職。主な著書は『日本経済のほんとうの見方、考え方』『中学生でもわかる経済学』など。


質問1 日本の経常収支が赤字になると国債金利が上がると思いますか?
上がる
変らない
下がる
一義的には言えない
わからない

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2012年3月02日 12:07:27 : IOzibbQO0w

ドイツは、複雑な欧州情勢の中で、比較的うまくやってきたが

今後、南欧からの移民が増加すると、経済成長している間はいいが

停滞すれば、カオス的な状況が出現し

底辺層による治安悪化がさらに進みそうな予感はある


02. 2012年3月02日 12:09:42 : IOzibbQO0w

当面は、日本の経常悪化自体は、あまり深刻な問題ではないだろう

それよりも、高齢既得権層や愚民の不安軽減のための有害な規制や税制を何とかしないと

今後、現役世代の生活水準の悪化は、加速していくことになる



03. 2012年3月03日 00:59:05 : Q7BwnMMCUU

 過去40年間で、円は1ドル360円から1ドル76〜78円というレンジまで上昇した。つまり、ドルで測った円の価値は4倍強に上がった。だが、1ドル=360円の固定相場制で始まった1970年代初頭にはトントンだった日本の経常収支は、安定的に黒字を確保してきた。つまり、経常収支の悪化という「理論」は初めからウソの塊なのだ。

 1970〜1980年代まで経常収支の主役だった貿易収支は、円が上昇し始めたころから、ほぼ一貫して黒字基調を維持してきた。日本の輸出品は価格弾力性の高い(つまり、値段が上がれば消費量が大きく減ってしまう)最終消費財から、価格弾力性の低い(つまり、値段が上がってもあまり消費量が減らない)資本財・中間財へと製品ミックスを変えている。資本財・中間財というのは、企業が製品を作るときに使う機械装置や、材料の素材・部品のことだ。

 資本財・中間財の分野では、日本製品が圧倒的に優秀だからこそ国際的なマーケットシェアも高い。そして、もし円高によって自国通貨での評価が高くなったとしても、外国企業としては、きちんとした品質の製品を作るには輸入し続けなければならないものがほとんだ。貿易相手国も、経済的に衰退しつつある欧米から勃興しつつあるアジア諸国中心にシフトしてきた。

 今や、貿易黒字が伸びているアジア諸国のほとんどで、世界に対する貿易黒字が増えるほど、対日貿易赤字が増える構造が確立している。これら諸国の輸出は、日本から輸入した資本財・中間財に全面的に依存しているということだ。したがって、東アジア・東南アジア諸国が貿易黒字を拡大すればするほど、日本の貿易黒字は減るのではなく、増える構造になっている。後発諸国に追い落とされて日本の貿易収支が赤字に転落するというのは、この日本・アジア・欧米諸国の貿易構造を見れば、まったく間違っていることが分かる。

 日本の輸出の対GDP比率は15〜16%で、先進諸国ではアメリカの次に輸出依存度が低い。しかも、その輸出製品の中で、値段が高くなれば即売り上げに響く最終消費財は、たった17〜18%しかないのだ。最終消費財のうちで輸出される分の対GDP比率は、たった2.6〜2.9%にしかならない。仮に全部消えてなくなったとしても、日本経済の屋台骨に響く量ではない。中間財や資本財で海外の競合企業には作れないような高品質の製品を作っている企業が順調に成長するだけで、2〜3年でゆうゆう埋められる一過性の落ち込みに過ぎない。

 もし、円安によってこうした最終消費財を輸出している企業の採算が向上したとしても、恩恵はGDPの3%未満の中での売上増や利益率改善だ。それに比べて、円安に鳴なったら国民全体が海外で買うモノやサービス、海外から輸入するモノやサービスの値段が即上がってしまい、国民全体が被害を受けるのだ。

 こういうごく当たり前の反論をすると、往生際の悪い「円高悪玉」論者は、「いや、それでも影響は深刻だ。なぜなら、日本の大部分の製造業の会社が海外への輸出で稼いでいる利益は、国内で販売する製品の利益率より高いからだ」というような議論をして、やっぱり円高は脅威だと言い張る。

 ちょっと待っていただきたい。「日本の製造業各社は、もう円高でやっていけなくなって、輸出がゼロになる」とか、せっかく輸出をしても赤字が出てしまうので、夜逃げ同然に日本から海外に拠点を移さなければならない」とか泣き言を言っていたのではなかったのか?ちゃんと利益を出しているんじゃないか。しかも、同じ製品を国内で売っている時より高い利益を。

 その高い利益率を少し圧縮することになるが、世界中からの輸入コストが下がって国民全体が潤う円高と、ほんの一握りの消費財輸出企業の利益率は拡大するが、世界中からの輸入コストが上がって国民全体が損をする円安と、どっちがいいのかという問題なのだ。

 だいたい、円高悪玉論者は、経常収支が安定して黒字なのに、いったいどうやって円安にしようと言うのだろうか。そこが最大の謎だ。日本経済が弱ければ、経常収支は赤字になる。赤字の穴を埋めるために円が流出して、諸外国の通貨に対して円の量が過剰になる。市場に出回っている量が多すぎるものの値段は下がるから、円安になるはずだ。「日本経済は弱いのに、円は高くなっている」と主張するのは、経済というのがどういう仕組みなのかをまったく分かっていないと告白しているようなものだ。

 実際には、日本の経常収支は、これから20年や30年は赤字になるはずがないのだ。最近5〜6年の日本経済の立場は、1990年代以上に強くなっている。1990年代以降じりじり拡大し、2000年代に入ってからは経常収支の主役となったのが、所得収支だからだ。

 貿易収支は輸出額から輸入額を引いたもので、その時々の貿易動向に依存する。ところが、所得収支は過去の日本企業や個人が日本で行った投融資に対して支払う配当や金利を引いたものだ。過去の投融資として蒔いたタネが育って果実を受け取るものなので、その時々の貿易動向にほとんど依存しない。

 所得収支で黒字基調が確立されたら、円高で目減りすることはあっても、マイナスになることはほとんどあり得ないような構造になっている。たとえ短期的な要因で貿易収支が多少赤字になっても、所得収支は逆転しない。しかも、年間で10兆円以上をコンスタントに稼いでいるから、貿易収支が相当な大赤字になっても、経常収支の黒字は維持できる。

 こういう環境で、たとえば政府・日銀が円売り・ドル買い(あるいはユーロ買いやポンド買いでもいいが)の介入をやっても、長期的には円を安くする効果は全然ない。短期的には、市場に出回る円が突然増えるから安くなるが、後々経済の強さによって自然に高くなる円を一時的に安値でたたき売りするだけに終わる。外国為替市場に巣食う投機屋たちに、楽して儲ける機会を提供してやるだけのことだ。


04. 2012年3月03日 02:29:05 : zugW9KxpzY

 1人当たりエネルギー生産高が伸びなくなってしまった世界では、同じ重さの製品の生産量を拡大することによる経済成長は、製造と輸送の両面ですぐエネルギーコストの天井にぶち当たってしまう。このボトルネックを回避する手段としては、2つの方策が考えられる。1つは製造業を諦めて、金融業でのあぶく銭に活路を見い出すことだ。今、欧米諸国が軒並み、この方針がもたらす当然の報いを受けつつある。

 もう1つは、あまりにも愚直なので、欧米のエリートたちは鼻でせせら笑っただけだったが、製造業の省エネ化・省力化に取り組むことだ。恐らく、世界中で一番真面目にこの平凡かつ泥臭い方針に取り組んだのが、日本の産業界だった。ただ、その方策は同じものを作るのに必要なエネルギー量と労力を節減するという、誰が考えても先の知れた愚鈍な方針ではなかった。

 1つは、資本財に特化することだ。1回当たりの輸送量はかえって大きくなることが多いだろうが、従来月次とか週次とか日次で搬送していたものを1〜5年に1回の納入にとどめることで、輸送コストを削減することができる。

 もう1つは、比較的ローテクの組み立てや梱包は、消費地やもっと労賃の低い低開発国に移譲して、軽くて付加価値の高い中間財、精密機械の部品や電子部品、機能性素材といったものに特化することだ。

 日本経済は、すでに1968年(つまり第一次オイルショックの前田!)から、この方向への模索を開始していた。そして、1990年前後にはもう、軽くて小さくて付加価値の高い中間財の生産高では、世界トップに君臨していた。どうしてそれが分かるかと言えば、1992年には工業用原材料需要の大きな貴金属であるプラチナやパラジウムの消費量で、日本が圧倒的に高い世界シェアを確立していたからだ。

 プラチナでは、日本の49.2%が西欧の22.2%、北米の18.6%を抑えて断トツの首位だった。パラジウムでも、日本の45.8%は北米の29.7%や西欧の17.3%よりずっと高い。

 プラチナやパラジウムを大量に使う商品の量産などということは、あり得ない。だから、これはいかに自動車触媒や電子部品1点ずつにはごく限定された量を使いながら、部品の生産点数という点では突出して大きな量をこなしていたかという証拠だ。つまりはこの時点ですでに、日本の製造業の軽薄短小・高付加価値は、欧米諸国よりはるかに進んでいたことを立証するデータなのだ。

 現在、日本の製造業輸出品構成は8割弱が中間財・資本財で、約17〜18%が消費財となっている。この構成比と似たような産業構造は、日本以外の先進国で達成している国があるかもしれない。しかし、日本ほど余裕たっぷりにこの構成比維持できている国は皆無だろう。

 なぜ日本の製造業輸出構成比が余裕綽々なのかを説明しよう。

 2009年までの約10年間の電子部品・デバイスに限定した貿易収支を見ると、景気の変動にほとんど影響を受けずに毎年40億円前後の輸入があり、だいたいその輸入額の2倍程度を輸出で稼いでいる。まるで、どこかに司令塔があって、輸入額を集計しながらその年の輸出目標額を決めて各メーカーに割り振ってでもいるかのように安定した推移だ。こんなところも、欧米の知識人が「日本にはありとあらゆる非関税障壁がある」とか言って、日本の製造業について底知れぬ恐怖を感じている理由だろう。


05. 2012年3月03日 10:26:31 : dbMpaG9E3t

 日本にとってアキレス腱のように弱いと思われている分野でも、よく調べてみると逆に日本の強さが分かってくる。エネルギー源をほぼ全量輸入しているにもかかわらず、日本がエネルギー価格上昇によって受ける被害は中国や韓国やアメリカよりは遥かに低く、ドイツよりも若干低い。

 実際に2011年2月まで、つまり東日本大震災直前の1年間で、食料価格、エネルギー価格、それ以外の全ての消費財価格がどう推移したかの実績を見ても、日本がエネルギー需給の逼迫に強い国だと確認できる。日本はこの1年間でエネルギー価格の上昇率を4.1%にとどめていたが、これはOECD(経済開発協力機構)諸国で最小の値上がり率だった。

 そして、食料品価格も0.7%値上がりしていたが、エネルギー・食料以外の全品目が0.6%の値下がりだったため、全体としてはインフレでもデフレでもない0.0%の消費者物価変化率となっていた。

 アメリカはエネルギー価格が11.0%、食料価格が2.8%の値上がりで、全体としての消費者物価指数は2.1%の上昇だった。韓国はエネルギー価格が9.1%、食料価格が12.2%の値上がりで、全体としての消費者物価指数は4.5%の上昇だった。日本に次いでエネルギー・食料インフレに強いドイツでさえ、エネルギー価格が10.2%、食料価格が3.5%の値上がりで、全体としての消費者物価指数は2.1%の上昇だった。

 海外のメディアやブログ論壇でも、勃発当初はこの大震災を待っていたかのように「日本経済崩壊論」を触れ回る連中が圧倒的に優勢だった。だが、最近になって過去のデータを冷静かつ客観的に検討し、日本経済の強さを再認識する論考が増えてきた。

 例えば1990年代以降の日本経済については、「失われた20年間」という形容が定着している。つまり、1990年〜2010年という20年間の日本経済はゼロないしマイナスの成長率で低迷し続けていたという評価だ。だが、客観的にG7諸国の実質GDP成長率を比べてみると、日本は一般に考えられているほど他の6カ国に後れを取っていたわけではない。

 2002〜2006年は、ドイツやイタリアのほうが一貫して日本より成長率が低かった。また、確かにリーマン・ショック後の落ち込みは日本が最大だったが、それと同時に直後の回復幅も日本が最大だった。そして、リーマン・ショック前後の一過性のの落ち込みを除けば、イタリアの実質GDP成長率は2001〜2010年のほとんどの時期で、日本よりずっと低い成長率にとどまっていた。全体的には、日本の実質GDP成長率はG7諸国で中ほどに位置していたというのが、公平な評価だろう。

 要するに、日本のGDPが先進諸国の中で最低の部類だったという印象は、もっぱら名目GDPで見ると非常に低い成長率、時にはマイナスの成長率を記録していたことに起因している。確かに、名目成長率だけを見ていれば、199年代以降の日本経済は惨憺たる状態が続いているように思える。

 だが、名目ベースの数字というのは、その時々の物価水準に大きく影響される。マネーサプライが過剰でモノの値段がどんどん上がるインフレの世の中では、名目成長率は非常に高くなる。逆に、マネーサプライが抑制気味でモノの値段がどんどん下がるデフレになれば、実際にはプラスの経済成長があっても、名目成長率ではマイナスになってしまうこともある。

 まさに日本経済は、このモノやサービスの供給は徐々に増えているのに、名目ベースでの成長率はマイナスという状態だった。どこでそれが分かるかというと、どこに行っても同じモノを同じ量買うことのできる購買力平価として算出して、直近の米ドルベースに換算した日本の国民1人当たりGDPは、1〜2回短期的な落ち込みを示しながらも、1980年以来ほぼ一貫して上昇し続けているのだ。

 この安定成長は、OECD諸国の中で高い方だったのか、低い方だったのかというとちょうど真ん中あたりだった。OECD加盟諸国の国民1人当たりGDPの水準が、20年の歳月を隔てた1987年と2007年という2つの年でどう変わっってきたかチェックした。

 結果は、20年前も今も日本の位置はほぼ真ん中で、ドイツよりちょっと低く、フランスよりちょっと高い。そして、2007年でもほとんど同じ位置だった。つまり、この間の日本経済は、OECD諸国の実質成長率の中ほどに位置する実質成長率を達成してきたのだ。

 また、2007年時点では、アイルランドとかイギリスとかの派手に金融バブルを膨らませた国々が日本の上にいる。しかし、この2カ国は金融危機が深刻化すれば間違いなく日本より下にくる。だから、日本の順位は今後2〜3年でもっと上に行っているだろう。

 1987年〜2007年の日本経済は、ほぼ全面的に金融や不動産でのウィンドフォールゲイン(棚ボタの利益)に頼らず、製造業などの地味な努力の積み重ねで成長を維持していた。そして、先端産業における日本企業の強さは、今回の被災地で操業を停止した工場からの出荷が途絶えたために、、世界中のさまざまな分野で生産活動がストップしたり、大幅に削減されたりしたことで再認識され始めた。

 


06. 2012年3月03日 13:56:55 : uqwvVHBSqo

 世界各国の製造業各社に資本財や中間財を供給する上での日本の強さは、圧倒的である。

 例えば、精密機械を製造するための部品類の世界市場で、最上位8カ国がどの程度の売上規模を達成しているか確かめてみよう。日本が首位を占めていることに驚きはないが、台湾・中国の台頭とドイツの凋落には、やはり目を見張らされるものがある。日本が高度成長期に入るまでは、安心して精密機械に組み込むことができる高品質で精度の高い部品というと、ドイツの独壇場と言われていたのだ。それが今は、114億ドルで1位の日本どころか76億ドルで第3位中国の半分にも満たない36億ドルの売り上げで、韓国と同率5位に落ちている。

 9位以下の他諸国の売り上げがどの程度になるか分からないので、正確なシェアは算出できない。だが、上位8カ国の間でのシェアを見ると、日本が27.6%、台湾が19.7%、中国が18.3%、アメリカが9.9%、ドイツと韓国が8.7%ずつとなっている。精密機器用部品全体で3割近いシェアを取っている日本の中間財メーカーの強さがよく分かる。

 さらに、もう少し特殊な産業素材分野での日本のシェアを見ると、もっと圧倒的に強い分野が多くなる。LCD用偏光フィルムの100%を始めとして、携帯電話用カメラ・モジュールの36%まで並んでいる。ここで特筆すべきは、電子部品という非常に間口の広い、どちらかと言えば漠然とした分野でも、43%ものシェアを取っているという事実だろう。

 精密機械でも電子機器でもこれだけ大きな部品供給のシェアを抑えているのだから、「今の時代、日本を抜きにして先端産業は成立しない」とまで言われているのも全く誇張ではない。日本経済は、実質ベースでは先進諸国の平均値と言える成長を遂げてきた。しかも、その「平均並み」の成長は、金融や不動産のあだ花にはほとんど頼っていなかった。世界中の製造業各社の操業に不可欠のニッチを持つ、資本財・中間財を製造する知られざる優良企業の誕生や成長に負うところが大きかったのだ。

 東日本大震災後ほぼ正確に9カ月が過ぎた2011年12月になっても、消費財の分野では暗い話題が続いている。ソニーやパナソニックの業績予想の大幅下方修正が続いた。ところが、中間財・資本財分野になると、全く正反対の盛況なのだ。

 例えば、電子部品世界出荷統計では、2010年度は日本国内の生産拠点だけの集計でも前年度比7%増の約3兆5500億円だった。そして、2011年度には世界中で日本企業が運営している生産拠点を足し合わせると、全世界の生産高約18兆円のうち38.8%に当たる約7兆円を稼ぎ出すと予測されている。

 電子部品・デバイスという間口の広い基幹的な分野で40%近くをたった1国の企業が独占しているというのは驚異的な偉業なのだ。

 中間財だけではない。資本財の分野でも工作機械にしても、建設機械にしても2011年度に入っても堅実に伸び続けている。例えば、同年度入りした直後に、大胆にも今年は東日本大震災の復興需要も入るのでますます良くなると宣言した工作機械工業会では、4月に前年同月比で内需50%増、外需26%増の計30%超の伸びという受注で好調な滑り出しを見せたが、同年秋までほぼ20〜30%の前年同月比伸び率を確保した。建設機械も負けてはいない。2011年4月の出荷額が前年同月比で23.6%増で、前年同月比の伸びはこれで16カ月連続となった。

 新聞雑誌でも、純然たるデータを紹介している記事を見れば、こういう事実は事実として報道している。だが、もう20年か30年前に’日本ダメダメ教’に洗脳されてしまった老害知識人の書く論説には、こういう景気のいい話は一切登場しない。「最終消費財で日本メーカーのブランド力が落ちている」というような老いの繰り言ばかりだ。

 今後はどうかというと、少なくとも電子部品・デバイスに関する限り、日本メーカーの天下は当分続くだろう。小型化・軽量化がどんどん進んでいるからだ。2011年時点で、すでに電子部品の70%以上が縦1.0ミリ×横0.5ミリ以下というような超微細加工を要するもので占められている。2018年には縦0.6ミリ×横0.3ミリ以下で50%以上を占めるようになるだろう。

 世界最大とか世界最長にこだわりたがる欧米のエンジニアと違って、日本のエンジニアには「どうすればもっと小さく、もっと軽くできるか」という発想がDNAのように刷り込まれている。小さくなればなるほど、欧米諸国のエンジニアより日本のエンジニアに向いた研究開発環境が続くということだ。

 それでは、欧米との競争ではなく、韓国や中国の追い上げに対してはどうだろうか。もちろん、油断は禁物だが当分恐るるに足らない競争相手にとどまるだろう。さまざまな分野での競争力を示す「特化係数」が、日本と韓国・中国の間の技術力ギャップの大きさを如実に示している。「特化係数」というのは、世界の平均的な産業構成に対して、特定分野の比重がどのくらい高くなっているかを示す数値だ。

 コンデンサー類では韓国の競争力がやっと水面より上に顔を出したが、中国の競争力はむしろ低下傾向だ。半導体素子では韓国がマイナス0.2の壁を越えられず、中国はやっとマイナスを抜け出して、ちょうど0.0まで達したところで横ばいに転じている。コンデンサー類では0.8、半導体素子類では0.6の高い競争力を安定的に保っている日本とでは月とスッポン、雲泥の差があるのだ。

 何と言っても、この日本の製造業の軽薄短小化、中間財・資本財中心の産業構造への転換で一番素晴らしいのは、政官財界のお偉方の号令一下達成されたのではなく、中小企業などが自主的に選び取った道だという事実だ。むしろ、政官財界のお偉方や識者と呼ばれるような連中は、「中間財や資本財は消費財産業の下請けで、高い利益率を確保できない」といった先入観で軽視し続けていた。


  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
 重複コメントは全部削除と投稿禁止設定  ずるいアクセスアップ手法は全削除と投稿禁止設定 削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告」をお願いします。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民75掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民75掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧