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ダラス連銀レポートが再提起した”大きすぎてつぶせない”問題
http://www.asyura2.com/12/hasan75/msg/824.html
投稿者 MR 日時 2012 年 5 月 03 日 01:34:04: cT5Wxjlo3Xe3.
 

http://www.dir.co.jp/publicity/column/120502.html
2012.05.02|常務執行役員 岡野進

ダラス連銀レポートが再提起した”大きすぎてつぶせない”問題

ダラス連銀は、3月に発行した2011年の年報に、かなり大胆な内容の論文を掲載した。「繁栄への道の選択―なぜ今我々は”大きすぎてつぶせない”を終わらせるべきなのか」と題する調査ディレクター・ローゼンブルム氏のレポートである。年報は全体で34ページであるが、これだけで20ページを占めている。

題名どおり、”大きすぎてつぶせない”(巨大金融機関の救済の論理)を終わらせるべき、というのが論文の趣旨である。この主張自体は、フィッシャー・ダラス連銀総裁もローゼンブルム氏もリーマンショック発生時から訴えていたもので目新しいとはいえないが、大統領選挙のあるこの時期に、一地域連銀とはいえ、年報の主題として設定して主張したことは、問題提起として意味があるのでないだろうか。大金融機関を批判するウォール街占拠運動のような世論動向に対する回答という側面もあるのだろう。

まず、”大きすぎてつぶせない”がモラルハザードをもたらしたこと、金融機関の集中(Concentration)が金融危機のダメージをさらに増幅させた点を明快に説いている。”大きすぎてつぶせない”政策のモラルハザードについては90年代初頭のセイビングズ・アンド・ローン危機時にもさかんに議論された点である。つまり、巨大化した金融機関は失敗しても救済されることを事前に認識していれば、過度のリスクテークを行って利益の極大化を図る行動にでることで、マクロ的にはバブルの発生とその破綻を招く可能性があるということである。

90年代初頭の危機の主役は、過剰な商業用不動産融資に走った地方の小金融機関だったため、”大きすぎてつぶせない”について、議論はされたものの制度改革の問題意識はもたれなかった。むしろ、米国の金融機関の集中はこれ以降に加速的に起きたといってもよい。たとえば、預金保険機構に登録する銀行数は1989年末には16,107あったが、2011年末では7,357と半分以下に減少した。また資産規模のトップへの集中は2000年代に入ってから加速しており、金融機関トップ10の総資産シェアは1999年52%から2010年には80%へと上昇した。過度の集中がもたらす弊害という問題意識は、このような大きなシェアを持つ占める巨大金融機関が危機にさらされた今回のリーマンショックの教訓からきているのだろう。

また、リーマンショック後の景気の状況について、停滞的であるのは巨大金融機関が機能していないことが原因であり、中小金融機関は比較的良い役割を果たしているという。そして、”大きすぎてつぶせない”ということで巨大金融機関を救済したことは、政府、銀行システム、連銀そして資本主義そのものへの不信をもたらしており、そうした心理的副作用はひとびとの経済活動への意欲を阻害するとしている。

そうした認識のうえにたって、ドッド・フランク法(2010年に成立した金融改革法)について、これだけでは将来、巨大金融機関の過剰なリスクテークを阻止できないとし、また景気の回復につながらないばかりか、かえって妨げるものになる可能性もあると指摘している。現状では、ドッド・フランク法は金融機関のリスクテークを抑制する方向に働くのは確かだろう。経済へのリスクマネー供給が不足するかもしれない。

では、どうすればいいのか?報告書は、巨大金融機関を分割してつぶれてもシステム全体には問題のない規模にし、市場競争が働く数の金融機関数を確保すべきだという。そうすることによって身軽な金融機関は自らにみあったリスクテークを行い、適正な競争が確保できるだろうというのである。

今回の報告書には計量的な実証分析があるわけではなく、もっぱら議論を整理したというものにとどまっているように思える。日本は不良債権処理の過程で一定市場規律を維持しながらも公的資本注入によって金融システムの再生を図った。そこでは70年代以降続いてきた金融機関の集中と大規模化が加速した。それが解決につながるという漠然とした常識が支配してきたように思える。金融機関の集中と大規模化は本当に日本の金融システムの安定につながるのか、もう一度、再検討してみる価値はあるのではないか?

岡野進のコラム
[2012.05.02] ダラス連銀レポートが再提起した”大きすぎてつぶせない”問題
[2012.04.02] 「マイナス金利」の発想
[2011.04.13] 大震災からの経済復興と電力供給制約
[2010.01.12] 深刻化する日本の財政問題〜一般政府の正味試算がマイナスとなる危機〜
[2009.08.06] シンクロナイズするか、日米投資循環
[2009.04.02] 民間設備投資喚起の対策を
[2009.01.13] 鉄道などインフラ産業の積極的資金調達に期待
[2008.10.02] 不良資産買取の効用と問題点
[2008.07.14] バブル期に形成された120兆円の金融資産をリスクマネーに
[2008.03.06] 米国で「黒人」大統領候補が可能となった背景


http://www.dallasfed.org/assets/documents/news/speeches/12rosenblum_tbtf.pdf
http://www.dallasfed.org/publications.cfm?tab=1##dallastabs
 

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コメント
 
01. 2012年5月03日 04:11:16 : 3CNLte9sGM
EU財務相理事会、新銀行資本規制で協議難航
2012年 05月 3日 01:44

3月の米製造業新規受注は3年ぶりの大幅減
3月ユーロ圏失業率は10.9%に上昇、15年ぶり高水準に並ぶ
UBS第1四半期は純利益半減、プライベート銀行業務堅調で株高
オランド仏大統領候補、ECBによる救済基金への融資実施を提唱
[ブリュッセル 2日 ロイター] 欧州連合(EU)加盟国は2日に開いた財務相理事会で、銀行に対し損失引当金の増額を義務付ける新たな資本規制について協議したものの、スペインが銀行の健全性に対する懸念を払しょくする必要があると主張するなどし、話し合いは難航した。

EU加盟27カ国の間では、銀行が将来的な損失に備えるために積み上げる必要のある損失引当金の規模について意見が分かれている。

不動産バブルの崩壊で被った痛手から銀行がいまだに立ち直っていないスペインは、検討されている規制は将来的に起こり得る危機に対応するためには必要不可欠となると主張。デギンドス経済相は「危機の現段階においては、欧州の銀行の健全性に対するすべての疑念を払しょくする必要がある」とし、「将来的な危機対処に十分な質の高い資本水準を保証する必要がある」と述べた。

ドイツのショイブレ財務相は今回の財務相理事会に先立ち、問題は複雑だとして、「2日中に結論が得られるとは考えていない」と発言。「資本が少な過ぎる場合、銀行が金融システムに対して負うリスクが増大する。金融システムを安定化させるために、銀行は資本を積み増す必要がある」と述べていた。

こうしたなか、現在EU議長国を務めるデンマークは加盟国間の意見の調整に尽力。ショイブレ独財務相は、向こう数カ月間には合意は可能との見方を示している。

EU加盟国は、バーゼル銀行監督委員会の新自己資本規制(バーゼルIII)に沿った銀行資本規制をEU法として成立させ、2013年初めに施行することを目指している。これに向け、議長国のデンマークは6月末までに合意を得たいとしている。

合意に向けた1つの妥協案として、EU加盟各国が自国の銀行に義務付ける自己資本比率に幅を持たせる案が浮上している。

ただ、2013年1月から段階的に実施されるバーゼルIIIの下では、金融機関は最低7%のコアTier1(狭義の中核的自己資本)比率を維持するよう求められるが、この水準を超えた自己資本比率をEU加盟国が自国の銀行に義務付ける場合、欧州委員会の承認を得る必要があるかについても意見が分かれている。

さらに、欧州中央銀行(ECB)は各国に大きな裁量を持たせることに警戒感を表明。コンスタンシオECB副総裁はEU財務相に対し、「加盟国間の競争を招く恐れがある」として慎重な対応を求めている。

欧州の銀行資本規制については意見が分かれており、特に欧州の金融ハブとしてのロンドンの地位を守りたい英国は主導権をEUに譲り渡すことは避けたいとの立場を示している。

英国のオズボーン財務相はこの日の協議のなかで、「EU加盟27カ国がそれぞれ何かしらの成果を得てこの協議を終了させたとしたら、実際には、われわれは完全に失敗したことになる」とし「これは単に政治的な失敗ではなく、非常に深刻な経済的な失敗となる」と述べた。

イートン・バンスのポートフォリオ・マネジャー、エリック・スタイン氏は「共通の資本規制を義務付ける銀行協会が欧州に存在していないがために、ユーロに関するプロジェクトの遂行が困難になっている」と指摘。「対応されない場合、(銀行部門は)欧州にとり今後もストレスのある部門であり続け、非常にマイナスのメッセージを送る結果となる」との見方を示した。


02. 2012年5月03日 04:11:38 : 3CNLte9sGM
「シャドーバンキング」部門の監視強化すべき=米 FRB理事
2012年 05月 3日 03:30

EU財務相理事会、新銀行資本規制で協議難航
3月の米製造業新規受注は3年ぶりの大幅減
3月ユーロ圏失業率は10.9%に上昇、15年ぶり高水準に並ぶ
UBS第1四半期は純利益半減、プライベート銀行業務堅調で株高
[ニューヨーク 2日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)のタルーロ理事は2日、規制当局はマネー・マーケット・ファンド(MMF)やレポ取引に対する監視を近いうちに強化するべきとの見解を示した。通常の銀行システム外にある「シャドーバンキング」部門の監視強化に寄与するとしている。

理事は講演原稿で、当局は金融危機以降、いわゆる「大きくてつぶせない」銀行を対象に多くの措置を取ったが、シャドーバンキング部門に関するリスク軽減については、十分な措置を取っていないと指摘した。

「危機前の同部門が持っていた一部要素は恐らく消滅したものの、依然残っている要素がある。時間が経過し記憶が薄れ、金融システムが正常化するにつれて、新しい形のシャドーバンキングが出現してくる可能性がある」と述べ、短期金融市場や3者間レポ取引市場に対して「短期間のうちに」対応すべきと考えていることを示唆した。

融資リスクをめぐる懸念に対応する業界自らの取り組みは「問題への包括的な対処として不十分」と指摘し、融資やその他リスクの軽減に向けた適切な規制・監督策を講じるのは当局の責任との認識を示した。

理事は2日、ニューヨークで一部大手銀行の最高経営責任者(CEO)と会談し、3月に公表された年次ストレステスト(健全性審査)の結果について協議するほか、4月末まで意見公募していた資本および流動性の規制強化案に関して、CEOの見解を聞くとみられる。大手行の間では、規制案は行き過ぎで、健全かつ強力な銀行システムと経済に弊害をもたらすとの不満の声が出ている。

理事は、新たな銀行の自己資本比率規制「バーゼルIII」について、危機に備えて銀行に保有を義務付ける流動性の高い当座資産の水準は変更が必要との見解を表明。危機時の環境に見合う内容に調整するべきとし、一例として、危機時には通常の当座資産の要件を満たす必要はないことをはっきりと明確にしなければならないと述べた。銀行関係者の間では、危機時には当座資産を活用し通常の最低基準を下回ることが認められるよう、明確化してほしいとの声が出ていた。

規制当局が、金融機関の自己勘定取引などを制限する「ボルカー・ルール」やバーゼルIIIを含む一連の金融規制改革の詳細を明確化するのに、どの程度の時間が必要かとの質問には、「来年のある時点」とみるのが妥当だと応じた。

バーゼルIIIの規定を満たす上で、国内金融機関は順調に対応を進めているとの認識を示し「全体的に国内銀行は、早めの進ちょくを望むわれわれの期待と比べてもかなり前倒しで対応していると自信を持っている」と語った。


03. 2012年5月03日 14:25:36 : 2uOv2R3MRs
ようは富の集中は変動がでかいから排除しなきゃいかんってこと

シャウプ税制とかそのとおりだったのに消費税あげて所得税・法人税さげてどうすんだってことなんだけどな


04. 2012年5月04日 01:18:18 : sgolhP60mA
日本でも同じ問題があるが、誰も言わない。
ときどき銀行が潰れて、国民が慣れておくのが一番良いのだが。

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