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 Q: 成功企業の何を参考にすればいいのか
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投稿者 MR 日時 2012 年 5 月 05 日 11:57:42: cT5Wxjlo3Xe3.
 

 Q: 成功企業の何を参考にすればいいのか

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       ■■ 編集長から(寄稿家のみなさんへ)■■

 Q:1260への回答、ありがとうございました。先週、「カンブリア宮殿」のゲ
ストに富士フイルムHD社長の古森重隆氏をお迎えしました。デジタルカメラの急激な
普及により、カメラフィルムメーカーは、富士フイルムを除き市場から姿を消しまし
た。イーストマン・コダックの連邦破産法申請は、記憶に新しいところですし、コニ
カ・ミノルタもアグファ・ゲバルトもカメラ・フィルム事業からは撤退しています。

 カラーフィルムは、トリアセテートセルロースという透明なフィルム版に、何層も
の乳剤を塗布して作られますが、その薄さはミクロンの世界であり、非常に高度な技
術が必要とされる装置産業であるため、前述の4社だけで市場が作られていました。
そして、わずか数年の間に、カメラ用フィルムは、映画用フィルムを除き、姿を消し
ました。フィルム会社は、自動車が作れなくなった自動車メーカーのような状況に遭
遇したわけです。
 
 その中で唯一サバイバルを果たした富士フイルムは、ケーススタディとして、ハー
バードビジネススクールをはじめ、多くの研究機関、メディアなどで取り上げられて
いるようです。結果として、富士フイルムは「急激な変化」への適応に成功したわけ
ですが、そのためには自らを変化させることが必要でした。「変化が必要だ」「変わ
らなければいけない」などと、よく耳にしますが、簡単ではありません。変化という
のは、何かまったく新しいものを獲得したり導入するというよりも、それまで自らに
存在していたものを「新しく組み合わせる」ことで可能になるのだと思います。
 
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■今回の質問【Q:1261(番外編)】

 停滞、あるいは衰退しようとしている企業は、成功企業のどういったところを参考
にすればいいのでしょうか。

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                                  村上龍
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 ■ 真壁昭夫  :信州大学経済学部教授

「成功企業から学ぶこと」

 成功している企業には、広い意味での共通要因はある一方、それに加えて、当該企
業が持つ独特の要因があるような気がします。そう考えると、成功企業から学んで真
似できることと、真似しようと思っても難しい要素の二つがあると思います。

 一つは、真似しやすい共通要因です。共通要因の中で最も重要なものは、組織の構
成員から高いコミットメントを受けることかもしれません。具体的には、経営者が従
業員一人一人から、企業の業績に寄与することに対する高いコミットメント意識を引
き出すことです。組織の構成員の中に一人でも業績寄与に対して疑問を持ったり、コ
ミットメントが低い場合には、なかなか組織全体の活力が一つの方向にまとまりませ
ん。それでは、組織全体の実力をすべて発揮することは難しくなります。

 組織の構成員から高いコミットメントを受けるためには、多くの手法がありそうな
気がします。例えば、組織が相対的に小規模の場合には、経営者の人間性や人柄で、
従業員全員を引っ張ることも可能でしょう。私の知っている企業の中には、家族的経
営を目指して成果を上げている企業があります。当該企業の経営者は、従業員一人一
人を家族の一員と考えて、社内で誕生会を行なったり、従業員家族を含めた福利面を
充実させています。そうした家族的な経営によって、従業員は企業に対する帰属意識
が高くなり、一人一人の生産性が大きく向上したようです。

 組織規模が大きくなると、経営者個人の力量だけで組織を牽引することは難しいで
しょう。その場合には、当該企業の目標を、従業員それぞれが理解しやすいパラメー
ターに分解して、それを組織内で周知させるような手法もあるかもしれません。

 あるいは、組織の現場から上がってくる創意工夫を上手く生かす企業もあります。
当該企業の経営者は、「現場で実際に仕事をしている従業員こそ、一番仕事をよく分
っている人である」との考え方を持っています。そうした考え方に基づいて、社内全
体で仕事に関する意見や創意工夫に対して報奨金を付ける制度を作ったそうです。そ
の仕組みによって、従業員は、仕事に対する意識が向上し充実感も増したそうです。
企業という組織が成功するためには、構成員から高いコミットメントを受けることが
必須の条件だと思います。

 一方、企業が成功するためには、それぞれの企業が持つ独特の強みやメリットを上
手く生かすことが重要です。特に、当該企業が置かれた経済環境などの変化に迅速に
対応するためには、色々な対応の方法があると思います。例えば、現在、世界最大の
IT企業になったアップル社は、1990年代半ばに、ウインドウズのシステムの普
及によってかなり苦しい時期を迎えました。

 その時、アップル社は故スティ?ブ・ジョッブズ氏をアップルに復帰させて、企業
の立て直しをはかりました。その後、同氏の圧倒的な個性の下で、いくつかの新商品
を生み出し大ヒットを遂げています。アップル社の場合の成功の要素は、何と言って
もスティーブ・ジョッブ氏というカリスマの存在が大きかったと思います。アップル
社は、スティーブ・ジョッブズ氏の考案した製品を、独自の生産システムで作り高い
収益を実現しています。

 アップル社の成功を後付で分析することはできますが、重要なファクターであるス
ティーブ・ジョッブズ氏と同じような経営者を探すことは容易ではないでしょう。ア
ップル社の成功例を、そのまま他の企業で実現することは難しいことです。

 恐らく、成功企業から学ばなければならないことは、何が成功をもたらしたかを分
析して、それを参考にして、自社の強み特性などを生かして、自社に合ったビジネス
モデルを作り上げることが最も重要なのだと思います。

                       信州大学経済学部教授:真壁昭夫

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   ◇回答
    □金井伸郎  :外資系運用会社 企画・営業部門勤務 

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■今回の質問【Q:1261(番外編9)】

 停滞、あるいは衰退しようとしている企業は、成功企業のどういったところを参考
にすればいいのでしょうか。
 
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                                  村上龍
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 ■ 金井伸郎  :外資系運用会社 企画・営業部門勤務

 成功企業の事例の分析から引き出される成功要因は「ベストプラクティス」と呼ば
れます。設問の前提にもあるように、成功企業から学びベストプラクティスを取り入
れることが重要、という考え方は経営論としては当たり前のように受け入れられてい
ます。しかし、一昨年から経営本としては異例のロングセラーとなった楠木建氏の
「ストーリーとしての競争戦略」では、そうした考え方にも異を唱えています。

 同書では、その分かり易い事例としてアマゾン・ドット・コムが取り上げられてい
ます。自前の配送センターに膨大な在庫を確保し、注文受付から直ちに配送するとい
うアマゾンのビジネス・モデルは今でこそ同社の圧倒的な競争力の源泉として広く認
識されているところですが、創業時にハイイールド債券の発行までして行った物流セ
ンターへの投資は、当時のE?ビジネスのベストプラクティス=身軽な経営からは外
れたものでした。

 ところが、アマゾンのビジネス・モデルが成功した今となっては、競合他社にとっ
ては同社のモデルをベストプラクティスとして取り入れることはもはや意味がありま
せん。既に同社の存在自体が参入障壁となっており、その意味で同社は競争力の源泉
となるビジネス・モデルの確立に成功したと言えます。

 書籍販売に限っていえば、アマゾンのビジネス・モデルにとって脅威となるのは、
書籍流通の形態そのものを変える電子化ということになるでしょう。その点では、同
社は電子化されない物販の分野へのシフトと電子書籍端末事業への投資で対応してい
ます。ただし、キンドル事業については過大な投資に見合う成果があげられるのか、
疑問視する見方もあります。特に、端末事業を軸に音楽配信分野を既に制覇している
アップルの存在が無視できません。

 そのアップルの故ジョブズ氏が学んだとされるソニーの経営は、ウォークマン、C
CDカメラ、ゲーム機など特定分野への経営資源の集中投資という点で特異であり、
当時の日本の主流であった総合電機のベストプラクティスからは大きく外れたもので
あったといえます。

 成功企業から学んでも必ずしも成功企業にはなれない、というのは自明のことのよ
うに思われる一方で、実際の企業経営では成功企業から学んだベストプラクティスを
取り入れることが依然として重要視されていることも事実でしょう。その背景として
は、コンサルタントなどが成功事例をレバレッジする比較的安易な方法として経営ア
ドバイスに取り入れていることもあるのかもしれません。また、取り入れる企業とし
ても、経営戦略が具体的な成果を得る以前に、資金調達などの場面で説得力のある方
針として語り易いという実利もあるのではないかと思います。
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 ■ 北野一   :JPモルガン証券日本株ストラテジスト

 これは、他人事ではなく、日常的に、自分自身が考えていることです。日本株ビジ
ネスは、客観的にみると、典型的な停滞、衰退業界です。徐々に、椅子の数が減って
いく、椅子取りゲームのような感じです。ただ、椅子取りゲームというアナロジーで
考えると、とにかくライバルを蹴落とし、シェアを上げるという発想になりがちです。
まさに、仁義なき戦いで、ライバルが成功した方法をすぐにまねて、全社があっとい
う間に同様のサービスをするようになってしまいます。

 この日本株ビジネスの中でも、我々のリサーチというのは、さらに厳しい環境にあ
ります。売買高が減少し、手数料収入が減るなか、リサーチというコストセンターを
抱えることはできないという発想になりがちです。株式業務を一般の製造業に例える
なら、商品は情報であり、その情報を生産しているのが、リサーチ部門です。営業部
隊は、その情報をお客さんである投資家に販売します。ある意味で、単純なビジネス
です。工場が単なるコストセンターではないように、リサーチもそうではないのです
が、表面的には、そこから収益が上がっているように見えないので、とかく経費削減
の対象になります。

 リーマンショック後は、厳しさが増しております。規制強化の結果、リスク資産の
周辺では売買高が減少し、椅子の数が一気に減りました。売買高が減少するなかにあ
っては、短期売買を繰り返す投資家の存在はありがたくなります。そういう投資家は
企業の本源的価値もさることながら、日々の相場変動をもたらす材料を重視します。
いきおいリサーチも材料を追うようになってしまいます。企業の本源的価値は、今日
明日で変わるものではありませんから、日々の売買にはあまり関係ありません。

 こういう環境になってくると、この環境に最も適応した組織が勝者になります。そ
して、冒頭でも書いたように、ライバル達はこの勝者を真似るようになります。しか
し、これは、危険なことでもあります。自分たちの役割、存在意義を見失うことにな
りかねないからです。リサーチ部門は、企業価値を分析するアナリストという職人の
集まりです。アナリストが存在する社会的な意義は、なんでしょうか。そして、その
社会への貢献は、どのような尺度で測られるべきなのでしょうか。私は、次の文章が、
正鵠を射ていると思います。

 「経営者が株主の利益に反する行為をとれば、会社の株価は下がる。こうして経営
者の行動を監視する仕事はウォール街に任された。市場が経営者を監視すれば、エー
ジェンシー・コストは下がり、企業の効率性は高まる。これで、市場に打ち勝つこと
は不可能であるのに、ミューチュアル・ファンドや証券会社が何百万ドルもの資金を
投じて株式を分析する理由に合理的な説明がつく。証券アナリストの功績は市場で取
引されている株式の市場時価総額が増えたことである」(「合理的市場という神話」
ジャスティン・フォックス、東洋経済P210)。

 いま、日本の株式市場の時価総額は趨勢的に減り続けております。この文章が正し
いならば、総体として証券アナリストは十分な仕事をしていないということになりま
す。沈みゆくタイタニック号のなかで、椅子取りゲームに興じている暇はありません。
なぜ、時価総額が減り続けているのか、アナリストの責任として考える必要もあるで
しょう。私は「経営者を監視する」手法に誤りがあるのではないかと思います。

 この本の別の個所に次のような文章がありました。MM理論で有名なフランコ・モデ
ィリアーニとマートン・ミラーの件です。「カーネギー工科大学で二人が取り組んだ
のは、「企業は投資すべきかどうかをどのように決めるのか」という、企業金融研究
の中心的な問題だった」。この問題について、当時の米国では1910年代にデュポン社
が開発した手法、すなわち「投資の期待リターンと投資資金を調達するために必要な
資本コストを比較して投資すべきかどうか決める」手法が主流であった。ただ、「こ
の手法には落とし穴があった。資本コストが何であるのかを誰も知らなかったのであ
る」。

 マクロ経済学者であったモディリアーニは、この問題に頭を悩ませていたようです。
「資金を内部留保するか、将来の成長に投資するかに関する企業の意思決定は、景気
に影響を与えるから」です。はたして、現在の日本で、このモディリアーニと同じ問
題意識を持っている市場関係者あるいは政策担当者は、どれほど存在するのでしょう
か。実は高すぎるかもしれない資本コストを企業に要求する結果、彼らが萎縮し、景
気に悪影響を与えているのではないでしょうか。その結果、編集長のご質問にあるよ
うな停滞、衰退する企業が増えているように思えてなりません。日本株ビジネスもそ
の一つです。そこで、我々が近視眼的に勝者を真似るなら、この船はさらに沈んでい
くように思います。私は、成功企業を真似ることもさることながら、成功企業が増え
る状況を目指したいと思います。

 なお、先日、「模倣の経営学」(井上達彦、日経BP社)という本を読みました。今
回の質問の趣旨にも適っている好著だと思います。ご興味のあるかたは、買って読ん
でみてください。

                 JPモルガン証券日本株ストラテジスト:北野一

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■ 水牛健太郎 :日本語学校教師、評論家

 かつて日本経済の二重構造論という議論が広く流布していました。日本経済は、資
本集約が進み労働生産性の高い「近代的な」大企業と、生産性の低い「前近代的な」
中小企業との二つのセクターに分断されているという議論です。その後高度成長を通
じ両社の従業員の間の賃金格差などが縮小したこともあって、今の日本経済に二重構
造論がそのまま当てはまるとは思われなくなっています。

 しかし、かつて大企業の一端である全国紙の記者として働き、アメリカ留学後は中
小企業に勤めた経験を持つ私の実感としては、こうした「二つの分断された世界」は
今の日本にも確かに存在しています。有名大学の新卒者を中心に採用を行い、福利厚
生の制度が整っている大企業に対し、典型的な中小企業は中途採用が中心です。大企
業から中小企業に移る人はざらにいても、逆はまずありません。中小企業は、福利厚
生は薄く、給与の額は大企業の半分から3分の1に過ぎません。中小企業に就職した
当時、何よりも驚いたのは残業手当の制度が一切なかったことです。しかし今ではそ
れが、中小企業の事務部門ではスタンダードなのだと知っています。もちろん労働基
準法違反ですが、行政はこの問題を完全に放置しています。かつての相撲の八百長さ
ながら、手を付けない暗黙の合意があるのだと私には思われます。

 中小企業の問題はさておき、今回のご質問で問題になっているのは、大企業の中に、
停滞・衰退し、国際的競争力を失うケースが目立ってきていることでしょう。実際、
電機産業などでの日本企業のグローバルな存在感の低下ぶりは、著しいものがありま
す。

 それではどうすべきか。成功・成長企業の代表と言えるファーストリテイリング
(ユニクロ)の柳井正会長兼社長の著書『成功は一日で捨て去れ』(新潮文庫)には
多くの示唆があります。たとえば現状への安定を嫌い、新しい手を打ち続けるべきだ
という信念であり、意思決定が極めて速いことであり、また新しい目標を自らに課し、
常に挑戦者の位置に身を置き続けることで緊張感を保つということです。

 企業が成功・成長するための精神のあり方を学ぶのであれば、この柳井氏の本を読
むか、あるいは大量に出ているスティーブ・ジョブズ関連本でも読めばいいのではな
いかと思います。だから実は、「どうすればいいのか」を知ること自体はそんなに難
しいことではない。停滞・衰退企業の中にも、柳井氏やジョブズ氏の本を読んで「な
るほど」と思っている方々は多いのではないかと思うのです。それにもかかわらず、
多くの企業が停滞・衰退していきます。

 それは、企業の成功・成長が、これらの企業の従業員にとって、実は切実な問題で
はないからです。大企業として何十年も活動する間に積み上げた資産は大きく、衰退
し続けてもあと十年やそこらは従業員の暮らしにはそれほど大きな問題はないケース
もあります。リストラがあったとしても、そこそこの退職金が出て、ぜいたくしなけ
れば老後までなんとか食いつなげるかもしれない。どう転んでも死活問題ではないと
すれば、よけいなエネルギーを使って新しい挑戦へと自らを奮い立たせるよりは、
「我々の企業は、○○分野では世界第●位のシェアを持つグローバル企業なのだ」と
か言いつつ、それまでの仕事の方法を変えない方が、一般の従業員にとっては幸せな
生き方なのだと思います。

 大企業は多くの部門・部署に分かれており、従業員の仕事上の関心は各自異なって
います。そこからは停滞・衰退する企業の全体像がなかなか見えないこともあります。
たまたま柳井氏やジョブズ氏の本を読んで刺激を受けることがあったとしても、それ
はそれ。自分の仕事に彼らのような「挑戦」精神を取り入れることは、決して現実的
に感じられないわけです。「十年後はうちの会社も大変かもな」などと居酒屋で話し
ながら、毎日の変わりばえしない日常の仕事の中に危機感を埋没させていく。どうせ
自分たちにできることなどない、と半ばあきらめながら。それが大企業の従業員のリ
アルな感覚なのではないでしょうか。

 従業員はそれでよくても、経営者はそれでは困るでしょう。伝統ある企業の衰退を
招いた経営者と言われるよりは、新たな発展の礎を築いた「中興の祖」として名を残
したいことでしょうし。ひたすら使われる立場の人間の一人として言わせてもらえば、
何か新しい風景を見せてくれる経営者になら、ついていきたい気持ちはあるのです。
ジョブズ氏は報じられる限りむちゃくちゃな人で、仕えるのはさぞ大変だったでしょ
う。柳井氏の実像は知りませんが、やはり相当ワンマンな人のようです。失敗した野
菜事業なんぞに駆り出された従業員はたまったものではなかったはずです。

 それにもかかわらず多くの人たちが彼らについていったとしたら、彼らとともに新
しい世界を切り開くことが単純に面白かったからでしょう。ビジネスを通じて新しい
経験をしたり、社会に影響を与えたりするのが面白い。平穏で安定した日々よりもは
るかに。経営陣に加わるわけでもない末端の従業員にとって、企業の成長や成功の意
味なんて、給料が高くなること(それだって大事なことですが)を除けば、それだけ
ではないでしょうか。

 創業社長であったジョブズ氏やほぼ創業者といってよい柳井氏に比べ、既に長い歴
史のある大企業の経営者は自由がきかない部分もあります。それでも、それまでに大
企業として築いた様々な有形・無形の資産を用いてどんな面白いことができるか。自
分についてくれば、どんな新しい風景を目にすることができるか。どんな風に社会を
変えることができるか。こうしたビジョンをわかりやすく打ち出して従業員を説得す
ることが、大企業の経営者のすべきことなのだと思います。経営者と従業員とが同じ
未来像を共有できれば、企業の再建は始まったも同じではないでしょうか。

                     日本語学校教師、評論家:水牛健太郎

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 たしかに、銀行など金融機関からの融資に資金調達を依存する企業などにとっては
無視のできない要因でしょう。しかし、十分な資金調達が確保できるレベルの企業に
とっては、独自の経営戦略を確立することがより重要であり、必ずしもベストプラク
ティスを取り入れる実利はそれほど大きくないのかもしれません。

                外資系運用会社 企画・営業部門勤務:金井伸郎
 

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