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ユーロ危機:欧州のアキレス腱  欧州から脱落しゆくギリシャ〜緊縮不可避 
http://www.asyura2.com/12/hasan76/msg/151.html
投稿者 MR 日時 2012 年 5 月 14 日 01:53:49: cT5Wxjlo3Xe3.
 

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35196
ユーロ危機:欧州のアキレス腱
2012.05.14(月)
The Economist


ギリシャ離脱のリスクが高まる中、ユーロ圏はいまだ、単一通貨そのものを救う課題と向き合っていない。

ユーロ危機が小康状態を保っていたのは、ほんの数カ月だけだった。ギリシャへの1300億ユーロ(1690億ドル)の第2次支援が決まり、2011年12月にはユーロ圏首脳が財政協定に合意し、欧州中央銀行(ECB)が1兆ユーロの低利長期融資を行ったにもかかわらず、再び悪夢が蘇ってきた。

 欧州が、迫り来る厳しい試練に対していまだこれほど準備不足だというのは、なんとも気が滅入る話だ。

ギリシャ離脱という悪夢


欧州に残された時間は少ない・・・〔AFPBB News〕

 残された時間は少ない。フランスでは、有権者が次期大統領フランソワ・オランド氏に対して、追い落とされた現職のニコラ・サルコジ氏とドイツのアンゲラ・メルケル首相が定めた「緊縮」コースを変え、成長を重視する権限を与えた。

 メルケル首相は財政協定を変えるつもりはないと言っているが、オランド氏は来月の議会選挙で、有権者に何らかの成果を示す必要がある。さらに大きな脅威は、各党が連立政権樹立に苦労しているギリシャで次第に可能性が高まっている再選挙だ。

 ギリシャの有権者の大多数が再び、支援の条件である歳出削減と改革を拒否すれば、ユーロ圏各国、特にドイツの政府は、思い切った選択を迫られることになるだろう。

 メルケル首相の選択肢は、ギリシャに資金を用立てて、反逆に対して報酬で応じるというモラルハザードを受け入れるか、あるいは強硬な態度に出てギリシャを切り捨てるかのいずれかだ。後者の方が可能性は高いだろう。

 フランスとドイツの結束が揺らいでいるこのタイミングで、無秩序なギリシャ離脱が起きるというシナリオは、影響を被るすべての関係者を怯えさせる(例えば、そのシナリオが世界経済に及ぼすダメージは、バラク・オバマ氏の再選を阻む最大のリスクとなるだろう)。

 極めて多くのものが危機にさらされている今、ギリシャ以外のユーロ圏各国は早急に、ギリシャ離脱から生じる悪影響がポルトガルやアイルランド、さらにはスペインやイタリアに伝染するリスクを抑える必要がある。

 気がかりなのは、冷静な現実政治が必要とされている今この時に、政治が自己欺瞞に陥り、主要国のすべての指導者が誘惑的な「半面だけの真理」をばらまいては、安易な解決策を欧州の市民に約束していることだ。

語られる物語は・・・

 ユーロ圏は、数多くの難題に取り組む必要がある。本誌(英エコノミスト)のリストには、最低でも以下の課題が含まれる。

 短期的には、財政調整の減速、投資の拡大、金融緩和による成長促進、基盤の弱い周縁国への伝染を防ぐための金融防火壁の強化(いずれもドイツが嫌っていることだ)。中期的には、欧州の硬直した市場と膨張しすぎた社会保障制度の構造改革だ(この政策は南欧諸国では人気がない)。またこれと併せて、債務残高の少なくとも一部を相互化し、欧州全域での銀行破綻処理機構を設立する計画を立てる必要がある(誰にとっても扱いにくい案だ)。

 これらは野心的な課題だが、イタリア、スペイン、ギリシャがいずれもある程度の厳しい選択を受け入れ、ECBが大量の流動性を供給していた今年初めには、そうした政策も可能に思えていた。


成長が重要だと訴える点では、フランソワ・オランド氏は正しいが・・・〔AFPBB News〕

 今や、その可能性は夢の国へ去ってしまった。最も顕著な例がフランスだ。オランド氏は、債務を管理可能にし、銀行を回復させ、失業率を下げることで、成長が欧州の将来を変えられると言う。この点では、オランド氏は正しい。

 だが、その真理は、2つの嘘により打ち消されてしまう。

 オランド氏は財政再建を口にしているが、主として公共支出と増税で危機を脱すると約束し、フランスの有権者たちに、その資金は富裕層が負担できるし、自分たちの苦難は限られたものになるという幻想を抱かせている。

 しかもオランド氏は、欧州の危機の責めを負うべきは自由主義、民営化、規制緩和だと訴えてきた。フランスは今や、企業に対する障壁の後ろに立てこもるという考えに傾こうとしている。その障壁こそ、これまでフランス経済の競争力を削いできたものだ。

 短期的には、オランド氏はメルケル首相と妥協できるはずだ。財政協定に成長協定を追加することは可能だろう。実際、ドイツにとってそれは内需拡大策を強化する根拠にもなる。


 だがそれでも、オランド氏は改革を支持しなければならないだろう。借金に頼らずに社会保障支出を賄うための確実な中期的計画が必要だからだ。さらに、近隣諸国が改革を受け入れている現状では、フランスもそれに加わらなければ、失業率が上昇し、賃金が伸び悩むことになる。

 そうした状況を、金利の引き下げや6万人の教員増員、新道路の建設で防げるとしたら、どんなにか素晴らしいだろう。だが、そんな成長の妖精など、存在しないのだ。

・・・そして、信じられている物語

 幻想がばらまかれるというパターンは、欧州のいたるところで見られる。イタリアで信じられている半面だけの真理は、困難な選択を実務家内閣に委ねれば、機能不全の政治から逃れられるというものだ。

 イタリアのマリオ・モンティ首相は確かに才能ある人物だが、5月7日の地方選挙で抗議票が多かったことを考えれば、多くのイタリア国民の生活に影響を与える人気のない政策を決定するのは、やはり選挙で選ばれた政治家であるべきだろう。

 ドイツに流布する半面だけの真理は、債務国が緊縮で自ら繁栄への道を切り開いていけば、ユーロ圏の問題は解決できるというものだ。だが実際にはドイツは、インフレ率の上昇を受け入れ、消費をもう少し増やし、通貨同盟に参加する弱い国々を支えなければならない。

 実際は、すべての国が、現在は尻込みしている選択に対峙しなければ、ユーロ圏は生き残れない。恐ろしいジョークとして言われているように、ユーロに必要なのは、フランスの改革と、ドイツの浪費と、イタリアの政治的成熟なのだ。

 最もひどい状況にあるのが、ギリシャだ。アテネで唱えられている半面だけの真理は、ギリシャが耐えてきた苦難を偏狭な北部諸国が何ら評価していないというものだ。確かにギリシャは苦しんでいる。2012年には、ギリシャ経済は2007年と比べて20%近く縮小すると見られる。

 経済は深刻な信用逼迫と流動性の逼迫に圧迫され、さらなる予算削減と増税が待ち構えている。

 すべてがうまくいったとしても、来年のギリシャの債務は国内総生産(GDP)の161%に上る見込みだ。次期政権がどのような顔ぶれになろうと、ギリシャがその債務を返済できると考えるのは、壮大な幻想以外の何ものでもない。

 それでも、ギリシャはユーロ圏にとどまった方がいいのだろうか? 恐らくそうだろう。ただし、その判断はますます微妙になっている。

あと1カ月ほどの勝負?

 ユーロから離脱し、続いてデフォルト(債務不履行)すれば、ギリシャの負債は軽くなり、競争力が回復し、ギリシャの政治家たちは自身の運命を握るだろう。だが、ユーロからの離脱は、混乱を生み、貯蓄を台無しにする。そして、過去の同様の事例でもしばしば見られたように、ユーロ離脱の利益は、インフレによりあっという間に消えてしまうかもしれない。

 ギリシャ以外のユーロ圏諸国にとっても、ギリシャが「入って」いる方が好都合だ。たとえその理由が、他国に伝染する恐れがあるから(そしてそれに対する備えが不十分だから)というだけのものだとしてもだ。だがそれも、いかなる代償を払っても、というわけではない。

 ギリシャが第2次支援を拒否したり、改革計画に大幅に遅れが出たりするようなら、ユーロからの離脱は避けられなくなるかもしれない。その備えをするためにメルケル首相とオランド新大統領に与えられた時間は、ほんの1カ月程度かもしれない。両首脳がやらねばならないことは、山ほどある。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35198
欧州から脱落しゆくギリシャEUやIMFにはノーと言えるが、緊縮からは逃れられない
2012.05.14(月)
Financial Times 


ギリシャでは連立交渉が不調に終わり、カロロス・パプリアス大統領(右)が直接、各党との交渉に乗り出すことになった〔AFPBB News〕

ギリシャの国民は緊縮財政を拒絶した。腐敗した政界既成勢力を追放したことでギリシャ国民を責めることは到底できない。外国の債権国・機関がギリシャに与えた経済の処方箋が驚くほど厳しいことについても、議論の余地はない。

 問題は、怒りは政策ではないということだ。何度ギリシャが緊縮に反対票を投じようと、緊縮は避けられないのだ。

 ギリシャは債権者に押し付けられた恐慌というスキュラと、一方的な債務返済拒否とユーロ圏離脱の大混乱というカリュブディスの間に挟まれ、進退窮まっている。

 5月6日の選挙では、有権者の3分の2以上が、第2次支援の代償として欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)がギリシャに課した歳出削減や増税、構造改革に反対する政党を支持した。ところが同じ3分の2以上の有権者は、ユーロを維持したいとも話している。

ギリシャ国民が抱く根本的な矛盾

 この根本的な矛盾は持続不能だ。決定権がアテネの政治家の手から奪われる時が迫っている。財政上の期限が近づいている。直近の選挙の結果(そして6月の再選挙で再び決定的な結果が出ない可能性)は、ギリシャが無秩序なデフォルト(債務不履行)の渦に向かって突き進んでいることを示している。

 選挙で大敗を喫したのは、中道右派の新民主主義党(ND)と中道左派の全ギリシャ社会主義運動(PASOK)という、数十年間にわたってギリシャの政治を支配し、腐敗させた政党だった。極左では共産党、極右ではネオナチ政党の「黄金の夜明け」など、野党の小規模政党が支持を大きく伸ばした。

 大勝利を収めたのは、PASOKを第3党に追いやった急進左翼連合 (SYRIZA)だ。SYRIZAのアレクシス・ツィプラス党首は、EUとIMFの「残酷な」要求を破棄することを約束している。

 こうして、壊れた経済の横に壊れた政治組織が鎮座することになった。NDとPASOKによる古い複占体制の致命的な遺産は、政治のバルカン化(分裂・細分化)であり、その結果ギリシャには、現在の経済の進路に賛成するにせよ、反対するにせよ、議会の過半数を握る政党が1つも存在しなくなった。

ギリシャの政局混迷はどんな結果をもたらすのか〔AFPBB News〕

 欧州の政策立案者の中には、期待を込めて抗議票について語る向きもあった。つまり、抗議票という苦痛の叫びを上げた後、ギリシャ人が自らの窮状を冷静に検証すると、既成勢力への回帰が生じる、という見方だ。しかし、次の選挙が異なる結果をもたらすことを示す証拠は何もない。

 これほど多くの有権者がツィプラス氏を支持したのも理解できる。NDとPASOKは、経済を破壊し、ギリシャ社会を傷つけた、腐敗した恩顧主義の政治体制を指揮してきた。

 ギリシャ人は50歳で引退するとか税金を払うことを拒むといった、ベルリンなどで聞かれる多くの嘲笑にもかかわらず、緊縮財政は既に大きな打撃を与えてきた。

 公共支出は大幅に削減され、賃金と年金は25%も減少した。ギリシャの国内総生産(GDP)は2割縮小した。羽毛のマットレスのような手厚い保護は、ごわごわした懺悔服に取って代わられたのだ。

怒りは何の解決にもならない

 だが、国民の怒りは解決策を与えてはくれない。ギリシャはEUやドイツ政府にノーと言うことはできる。IMFの官僚を嘲ることもできる。ギリシャが望むのであれば、ユーロの束縛から自国を解き放つこともできる。できないのは、罰を逃れることだ。

 ユーロ圏から離脱しようと、ユーロ圏内にとどまろうと、ギリシャは国家財政を立て直し、国際競争力を取り戻すために必要な厳しい調整を避けることはできない。ただ単に債務をご破算にしてドラクマを復活させれば、経済崩壊の引き金を引くことになる。

 ギリシャの政治家は、自国の債権者がはったりをかけていると思っているのかもしれない。表向きどれだけ違うことを言っても、EUとIMFには、ギリシャの無秩序なデフォルトを容認する余裕はない、というわけだ。

 スペインの銀行システムに新たに生じた亀裂は、ユーロ圏周縁国への感染の危険性を思い出させるタイムリーな出来事だった。単一通貨の防火壁は、まだ半分しか建てられていない。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は本当に、ユーロ圏解体の前触れとなりかねないギリシャ離脱のリスクを取るつもりなのか?

 確かに、ユーロ圏における緊縮と連帯のバランスに関しては、今後行わねばならない重要な議論がある。ドイツはユーロ圏周縁国に対して、あまりに早急に過度な要求をしたという説には強力な論拠がある。緊縮財政は、自滅的な措置になりつつある。

 今ではベルリンでさえ、ユーロ圏の中核国は経済成長を取り戻すために貢献すべきだと示唆する発言を耳にするようになった。ありがたいことに、フランス大統領選でのフランソワ・オランド氏の勝利により、こうした議論が再開された。

 だが、欧州の冷静な当局者や政治家との幾多の会話から筆者が得た感覚は、もしギリシャが成長重視の新たなレトリックのおかげで、潔白な財政と構造改革に対する誓いを脇へ置くことができると思うなら、自らを欺くことになる、ということだ。

 EU諸国は、ギリシャにしびれを切らしている。EU諸国とギリシャの政策立案者の関係は、完全な信頼の欠如と、ギリシャ政府が自己改革する能力に対する深刻な悲観論に彩られている。

 エコノミストの中には、それは良いことだと言う人もいるだろう。ギリシャにとって救いはユーロ離脱にあり、ドラクマへの復帰に続く大幅な通貨切り下げが競争力を回復させるというのだ。

近代的な欧州国家になることを諦め、バルカン諸国の仲間入り?

 過ちは、通貨切り下げが痛みを伴わないと思い込むことだ。むしろ通貨切り下げは、別の形で国内の生活水準を引き下げる方法だ。無秩序なデフォルトに関して言えば、それがもたらす結果は、ギリシャの銀行システムの内部崩壊と、外国資金へのアクセスの途絶だ。

 すべての道は緊縮に続く。だが、ギリシャにとっては、問題は経済だけではない。ギリシャによるEU加盟の悲劇は、地理に抗って自国を近代的な欧州国家として再定義することに失敗したことだ。今、ギリシャが単一通貨内にとどまれる道筋を想像するのは難しい。だが、ギリシャは再びバルカン諸国の仲間入りをすることを望んでいるのだろうか?

By Philip Stephens


 

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コメント
 
01. 2012年5月14日 13:38:00 : 3CNLte9sGM
ギリシャ離脱の可能性検討し始めたユーロ圏、14日財務相会合 

  5月14日(ブルームバーグ):ギリシャのユーロ圏離脱の可能性が欧州債務危機議論の焦点に浮上した。アテネで新政権樹立協議が難航する中、ユーロ圏当局者はギリシャ離脱による影響の検討に着手している。
ギリシャでは先週の総選挙で結論が出ず、挙国一致内閣に向けた協議では救済合意に反対する急進左派連合(SYRIZA)が参加要請を拒否したことから、パプリアス大統領が仲介する一連の会合が14日も継続されるが、再選挙の実施は一段と近づいており、かつてタブー視されてきたユーロ圏離脱の可能性が現実味を帯びつつある。
欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバー、アイルランド中銀のホノハン総裁は12日にエストニアの首都タリンで、ギリシャのユーロ圏離脱について「必ずしも致命的ではないが、魅力的ではない」と述べ、「技術的」には可能だが、ユーロ圏にダメージを及ぼすとの見解を示した。ドイツのショイブレ財務相は南ドイツ新聞とのインタビューで、ギリシャに緊縮策の堅持を求めるユーロ圏加盟国は同国に残留を強制することはできないとの認識をあらためて示した。
フランスのオランド新大統領と歳出削減を支持するメルケル独首相との15日の会談では、経済成長と緊縮策をめぐる議論が焦点となる。14日のユーロ圏財務相会合は、ギリシャ向け国際支援を議論する見込みで、4回目の銀行健全化の試みを先週打ち出したスペイン情勢も議題に上るとみられる。ユーロ圏財務相会合はブリュッセルで現地時間午後5時(日本時間16日午前零時)に開かれる。
原題:Euro Officials Begin to Weigh Greek Exit From CommonCurrency(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ベルリン Patrick Donahue pdonahue1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:James Hertling jhertling@bloomberg.net
更新日時: 2012/05/14 09:34 JST


02. 2012年5月14日 13:38:26 : 3CNLte9sGM
焦点:ギリシャのユーロ離脱現実味、金融機関が「ドラクマ復活」の備え
2012年 05月 14日 12:43  

米JPモルガン、巨額損失のヘッジ戦略に関与の幹部3人辞任へ
14日のユーロ圏財務相会合、スペイン緊縮財政策など協議
日経平均小幅続落、預金準備率引き下げ後の中国株失速を嫌気
4月ビール系飲料課税出荷量は前年比‐11.3%、2カ月ぶりマイナス
[ロンドン 11日 ロイター] ギリシャがユーロ離脱に追い込まれる可能性が現実味を帯びてきたことから、各国の金融機関の間で「ドラクマ復活」に備える動きが広がっている。一部の銀行は10年以上前にギリシャがユーロに参加した後も取引システムからドラクマを抹消しておらず、取引通貨をユーロからドラクマに切り替える準備を進めている。

世界では、ソ連の崩壊でエストニアのクローンやカザフスタンのテンゲが復活および誕生したり(クローンはその後ユーロに移行)、ユーロの導入で多くの欧州通貨が姿を消すなど、通貨制度がたびたび変更されており、金融機関はそのたびに変化に対応してきた経験を持っている。

米国の銀行にリスク管理サービスを提供しているICSリスク・アドバイザーズのハートムット・グロスマン氏は、2009年にギリシャの債務危機がぼっ発して以降、そうした動きが活発化してきたと指摘。「欧州勢を中心に多くの企業がこの問題に取り組んできた。金融機関はどこも緊急プランを策定している。ギリシャのユーロ離脱は今に始まったシナリオではない」と述べている。

<考え得るシナリオ>

銀行関係者は、ギリシャのユーロ離脱が現実になった場合、為替規制が発動されることはほぼ間違いなく、新通貨が導入される可能性もあるとみている。

野村のロンドンにおける最高リスク責任者、ルイス・オドナルド氏は「為替デスクは比較的迅速に対応できる。ユーロ離脱が具体的にどんな形で行われるかにかかっている」と語っている。

だが、ギリシャで事業展開する企業や個人に融資する資金が必要なユーロ圏の銀行は大きな問題に直面する恐れがある。

ギリシャ政府が為替取引に関してどんな法律を制定するかによって、適用すべき為替相場が変わってくるためだ。

例えば、1ユーロ=1新ドラクマと定められた場合、実際には市場でそうしたレートが維持されるとは考えにくいため、海外の銀行は多額の損失を被りかねない。

ギリシャで融資活動を行っている銀行にとっては、資本移動が規制されれば「悪夢」となる。なぜなら、企業がユーロ建てで債務を返済すれば違法行為になる可能性があるためだ。

たとえそれが違法とされなくとも、企業は保有キャッシュを一夜にしてドラクマ建てに変更され、ドラクマ相場が急落すると予想されるため、それまでユーロ建てだった債務を返済することは現実的に不可能になる。

オドナルド氏は「われわれの想定では、ユーロからの離脱には何らかの形の資本規制が伴うだろう。あるいは、債権者は英国法に基づく義務をギリシャ国民に強いることはできなくなるかもしれない」としている。

<『火事!』の通報には躊躇>

銀行はできる限り自らの権利を守るため、新たなデリバティブ取引や融資を米国法に基づくものに変更する可能性など、さまざまな選択肢を検討している。

ただ、そうした対策がどれほど有効か不明確な上、そうした行動が市場の不安を煽ることになりかねないため、多くの金融機関は具体的な措置を控えている。

金融機関にアドバイスを提供しているある法律専門家は「銀行は『火事だ!』と叫ぶのをとても嫌がっている。彼らはそうすれば何が起き、パニックになればどうなるか知っているためだ」と語る。

むしろ、大半の銀行はそれぞれの取引に適用される法規の確認や、デフォルト(債務不履行)に備えたヘッジ、ギリシャのユーロ離脱が引き起こす可能性のある法的問題の検討に追われている。

オドナルド氏は「依然としてグレーな分野が多く、法廷で法解釈について争わなくてはならない問題が多いようだ」と述べている。

会計事務所プライスウォーターハウスクーパーズのパートナー、マイルズ・ケネディ氏は「通貨が変更された場合、ユーロ建ての取引はどのように扱われるのだろうか?」と不安を隠さない。

そうした疑問に明確な答えが示されていないため、銀行が「現金払い戻し機に十分なドラクマ紙幣を入れる」のは後回しになりそうだ。

(Douwe Miedema、Sarah White記者;翻訳 長谷部正敬)


03. 2012年5月14日 19:36:17 : cqRnZH2CUM

どうせ今回、連立政権が成立し、ユーロ離脱がなくても

緊縮が続けば、じきに急進派が多数をとってデフォルトに向かうのは時間の問題

今回、仮に先延ばしができても各国の銀行救済のための時間稼ぎで終わり

負担はIMFやEFSFに出資した日本にも押し付けられそうだ


04. 2012年5月14日 22:44:06 : 3CNLte9sGM

【コラム】欧州危機の再燃、米景気回復を阻害も
• 2012年 5月 14日 14:30 JST
•  この2年間、ユーロ圏のメルトダウンに対する恐れから、米国の金融市場は恒常的につまずき、成長が低迷した。しかし、欧州はどうにか大惨事を回避。米国経済への影響も悪いことばかりではなかった。米国の対欧輸出は増加し、米国の銀行は海外勢との競争が減少するなかで恩恵を受けた。
• LOUISA GOULIAMAKI/AFP/Getty Images
 そして今また、ギリシャのユーロ圏離脱懸念、スペインとイタリアの借り入れコストの上昇、域内数カ国におけるリセッション(景気後退)といったユーロ圏の問題が、脆(もろ)い米国の回復基調に深刻な打撃を与える可能性のある危機を増大させるのではないかとの懸念を再燃させている。
 そんななか米国企業は打撃に備えつつある。コンピューター・ネットワーク機器開発の巨人、シスコ・システムズ CSCO 0.00% は先週、欧州に対する懸念や、それ以外の不確かさの原因を、先行き不透明感に求めた。時計メーカー、フォッシルはイタリアやスペインでの販売の落ち込みに加え、ドイツでの販売不振を報告した。化学大手セラニーズは業績不振の理由として、欧州での需要の低迷を挙げている。
 米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は、昨年末から年初にかけて現れていた金融市場の改善の一部が「欧州に根強く残る深刻な問題と懸念」により、ここにきて反転したと指摘した。
 欧州の債務危機に関わらず、米国の欧州向けの輸出は2008年の金融危機以降、回復基調にある。今年の第1四半期までに、米国の欧州に対するモノの輸出は金融危機以前のピーク時の水準まで回復した。輸出は全体的に、米経済の回復をけん引する重要な役割を担っており、現在は第2次世界大戦後のどの景気回復時よりも速いペースで伸びている。
 主な理由の1つは、ドルの対ユーロ相場が過去3年間、1ユーロ=1.3ドル付近の比較的安値圏で推移していることだ。
http://jp.wsj.com/var/plain_site/storage/images/media/images/120514_us_eu_chart_02.jpg/10406813-1-jpn-JP/120514_us_eu_chart_02.jpg.jpg
 ただ、ユーロ圏の問題がさらに深刻化したり、欧州中央銀行(ECB)による金融緩和が行われれば、ユーロからの資金逃避が発生し、為替トレンドがすぐに変化する可能性がある。
 ユーロ安になれば米国の輸出は微減するだろうが、その半面、欧州情勢の今よりもっと悲惨なシナリオに対する懸念を緩和する可能性がある。その結果もたらされるのは、「米国にとって、適当なトレードオフ(つり合い)だ」と、昨年までFRBの国際金融部門を率いていたシティグループのエコノミスト、ネイサン・シーツ氏は話す。「(ユーロ安は)欧州が金融危機を解決する上で一助となる可能性が高い」
 欧州経済の弱体化はすでに、米国よりアジアに対して大きな打撃を与えた。中国やインドといった主要輸出国の成長を鈍化させたのだ。アジアの成長鈍化は世界経済の成長を鈍らせ、米国の輸出に対する見通しを悪化させる。
 しかし米国の輸出は依然として、同国経済の比較的小さな割合を占めるにすぎない。輸出が経済に占める割合は、米国は15%に満たないが、ドイツは約40%、中国は約30%だ。
 米国につきまとってきたより大きなリスクは、ユーロ圏の混乱が他の市場に広がる、金融危機のまん延だった。ユーロ圏経済の弱体化は、域内各国政府の債務負担を増加させ、借り入れコストを引き上げ、域内銀行の業績を痛めつける。欧州の銀行システムにさらに問題が起これば、それらが大西洋を越えて米国に飛び火し、米銀に対して問題を引き起こすか、米国の投資家に損失を与えることにもなりかねない。
 新たな金融危機への不安は過去2年間、米国の投資家や企業、消費者の景気に対する信頼感に対する下押し圧力となり、米国経済の成長を減速させた。
 それでも、欧州の問題は米銀をある面で助けることになった。最近実施されたFRBの調査で、欧州の銀行と競合する米銀の融資担当者の約3分の2が、事業が上向いていると指摘した。貸し出しに消極的になった欧州銀とその関連子会社が撤退したことが原因だ。
 2008年当時に比べ、金融セクターの一部は来るべき金融危機により十分に備えている。多くの金融機関はここ数年、欧州関連のリスクの抑制に動いてきた。米銀は全般的に、3年前よりも多くの資本と流動性を確保し、ずっと健全になっている。
 しかしこれは気休めにすぎない。2008−09年の金融危機では、いかに未知のリスクが素早く顕在化するかが示された。
 国際金融協会(IIF)のチーフエコノミスト、フィリップ・サトル氏は「米国にとって金融リンケージは、ひどい打撃になる可能性があるものだ」としたうえで、「完全な回復力を身につけられるかどうかは疑わしい」と述べた。
 米国と欧州の金融機関が相互に結びついている体制と、将来発生し得る損失に対する見通しは、最近の米銀の好業績を損なう可能性がある。「それは米金融セクターにとって、拡大ではなく、新たな抑制につながる可能性がある」とサトル氏は指摘する。
 欧州にとっての最も前向きなシナリオは、痛みを伴う経済の大掛かりな再編が長期的に成果を生むと期待しつつ、今後数年をかけて、なんとかこの状況を切り抜けることだ。だが、欧州経済が弱体化するなか、このシナリオでさえ、ますます楽観的に見える。
記者: Sudeep Reddy

http://jp.wsj.com/Economy/Global-Economy/node_442060?mod=WSJFeatures


05. 2012年5月15日 11:50:39 : sgolhP60mA
ギリシャのユーロ離脱はドイツもすんなり受け入れるだろう。
その方が貸し金が戻ってくる確率が少しは高まる。

でも、完全デフォールト・緊縮拒否では、援助(融資)はなくなると思った方がいい。 ギリシャはそれに耐えられるか? 

明日の食糧にも困るだろう。誰もステーキは食べられない。
それだけの覚悟ができるくらいなら、今のような状態は起きなかっただろう。


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