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それでも、消費税率を 「今」上げることに反対する理由
http://www.asyura2.com/12/hasan76/msg/187.html
投稿者 MR 日時 2012 年 5 月 16 日 00:46:19: cT5Wxjlo3Xe3.
 

(回答先: 大手銀5G:今期一転大幅減益に、海外融資増も収益貢献は未知数・表付  藤井氏:消費増税失敗なら大手銀の国債売りも 投稿者 MR 日時 2012 年 5 月 15 日 22:30:01)

http://diamond.jp/articles/-/18556
山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
 
それでも、消費税率を
「今」上げることに反対する理由

一体改革法案が審議入り
いよいよ消費税率引き上げか

 社会保障と税の一体改革法案が、衆議院の特別委員会で審議入りする。徹底的に対決するのでもなければ、態度を明確にして議論に応じるでもない、野党第一党の自民党のメリハリのなさが気になるが、この問題は脇に置いておこう。

 民主党の政権に近い主流派が税率引き上げ推進にまわり、加えて、自民党も消費税率の引き上げ自体には反対していない。さすがに、今回は、税率引き上げが通る公算が大きいのではないか。

 小沢一郎氏が控訴されて「政治的座敷牢」に入り、反対派を束ねるリーダー人材がいなくなったこともあり、反対の論陣を張る手強い集団は見当たらない。ただ、与野党の議員たちは、いずれ来る選挙を前に世間の反応が気になるところではあろう。

 それにしても、前回の参院選で、菅直人前首相が消費税率引き上げに突然言及しなければ、民主党が参院でも多数を制して、消費税率引き上げの法案が簡単に通っていた可能性があったことを思うと、議論の余地がある分、現状のほうががまだマシなのかも知れない。

 世論調査では、消費税率引き上げに対する賛否は、やや反対が多いが、拮抗している。世論も、大きな障害とはなるまい。

 大手のメディアは、彼ら自身が消費税率引き上げに反対ではないし、日頃の情報提供元でもある政府には好意的な記事を書く。彼らは、「政局」の話に注目の重心をずらした記事を書きながら、消費税率の引き上げ自体を強力に批判することはないだろう。

それでも「今」の
税率引き上げに反対する理由

 筆者は、税目としての消費税に反対ではないし、税収に占める消費税の割合を上げることに賛成だ。また、将来、適切な時期に財政収支を改善することに対しても賛成だ。

次のページ>> 緊急性が薄い「今」の増税には、やはり反対する

 しかし、「今」、この時期に消費税率の引き上げを決めて、民主党の法案のスケジュールで(来年度中に8%へ、その1年半後に10%へ)消費税率を引き上げることに対しては、反対だ。

 本稿では、反対理由をまとめておこう。読者も、消費税についてアンケートへの回答などを求められることもあろう。賛否いずれの方にも、ご参考になると幸いだ。

 なお、筆者は、個人的に消費税率引き上げに対して賛否どちらを提言しても、損も得もしない。政党と無関係だし、財務省の審議委員などの職にもないし、研究費などを公的機関から貰っていることもない。当面そこそこの給与所得を見込んでおり(先のことはわからないが)、筆者個人の純粋な損得は消費税率の早期引き上げの方がプラスだろう。

 なお、反対理由の中に、「消費税の逆進性」(他の税金や給付で調整すればいいだろう)や「中小事業者の価格転嫁が難しいこと」といった内容は出てこないので、この方面の議論を期待される読者は他を当たって欲しい。

反対理由1:
増税は緊急性が薄い

 まず、我が国の場合巨額と言われる国の財政赤字だが、もともと、これは、全てを返しきってゼロにしなければならないというものではない。一定の残高の国債が存在することは、金融市場にとってむしろ必要なことだ。残高が管理できない大きさ・速さで拡大したり、高すぎるインフレ率などの弊害が出たりしない限り、財政赤字の残高が存在すること自体は問題ではない。

 では、弊害とは何だろうか。1つには、国債の消化が困難になって長期金利が上がることだろう。

 次に、国の債務が供給過剰なのであるから、国の債務の価値が下がり、これに裏付けられている通貨の価値が下がる。つまり、インフレであり、物価上昇率が高くなりすぎることだ。

次のページ>> 長期金利上昇や円安などの不安は、信憑性があるか

 さらに、日本国の債務の価値が下がるということは、円安になる弊害もあるだろう。多くの日本人が持つ購買力が低下する。

 しかし、第一の弊害を見ると、現在、長期金利(10年国債利回り)は0.9%を割り込んでおり、少なくとも絶対的水準としては高くない。ただし、消費者物価上昇率(3月は前年比+0.2%)に較べると、プラスの実質金利だ。日銀は1%の物価上昇目標に対する達成時期さえ言及を避けているが、実質マイナス金利の状況をつくるためには、インフレ率をもっと上げることが急務だろう。

 他方、米国の10年債利回りは、1.8%前後と、消費者物価上昇率(3月は対前年比+2.7%)よりも低い実質マイナス金利だ。彼我のこの差は、日米の株価の居所の大きな差につながっているように思える。

 大きな問題は、インフレ率だが、これは、意見の強弱に差はあっても「低すぎて困っている」というのが共通認識のはずだ。日銀でさえ、「1%が目標」と言う。

 加えて、為替レートも、こちらは国民個々の立場で損得が分かれる問題だが、景気や雇用を考えると、もう少し円安の方がいいというのが多数意見ではないだろうか。「困るほどの円高ではない」という人がいるかも知れないが、「我が国は円安で困っている」と唱える人には、少なくとも近年は会ったことがない。

 国の累積財政赤字の最適な残高がいくらなのか、最適でないまでも弊害の小さい範囲が上限・下限共にどのレベルなのかはわからない。しかし、金利・物価・為替レートから見る限り、現在、財政再建の必要性が切迫している、つまり累積財政赤字が過大だと言える証拠はない。

 確かに、日本の財政赤字残高の対GDP比は大きいが、民間貯蓄の大きさ、社債など他の負債市場の未発達、などを考えると、日本の場合、政府債務に対するポートフォリオ的な需要は他の国よりもかなり大きいのかも知れない。

次のページ>> まずは、デフレ対策を優先すべきではないか

 一部の財政の専門家も含めて、金融市場に疎いと思われる増税論者は、「日本の長期金利がいきなり大幅に上昇したら大変だ」と言うが、デフレないしデフレすれすれの物価で長期金利が大幅に(3%? 4%? 5%?……)上昇したら、この魅力的な運用対象には内外の運用資金が殺到するだろう。つまり、デフレのまま長期金利が大幅かつ継続的に上昇することは考えにくい。

反対理由2:
デフレ対策を優先すべき

 仮に、両者にトレードオフの関係があるとした場合、消費税率の引き上げよりも、名目成長率を引き上げることの方が、国民が幸せであると同時に財政再建にも有効ではないのか。

 たとえば名目3%で10年成長すれば、名目GDPは3割以上増えるし、この場合、税収はこれ以上の割合で増えるはずだ。計算上、消費税率引き上げの効果を大きく上回る。現在の税収を40兆円と見ても、GDPが3割増えるときには、税収が6割増えたら、24兆円の税収増だ。消費税率5%引き上げの効果の2倍近い。

 実質1%+物価上昇率2%なら、金融緩和の拡大に消費税率据え置きを組み合せたら十分できるだろうし、実質2%+物価上昇率2%ならなお良い。

 名目GDPが増えて税収が増える場合、「物価に合わせて支出も増えるはずだ」と言いたい人がいるかもしれないが、人件費や資材調達費などの支出を「名目でゼロ成長」に抑える目標をつくったらいい。

 何やら、公的年金のマクロ経済スライド方式を思い出させるが、「支出が名目値で前年を上回らない」という目標なら、官僚にも達成しやすいのではないだろうか。実質ベースでの財政支出削減策として、推奨する。

 金融政策との関連がある問題なので少し複雑だが、消費税率の引き上げは、需要の縮小として経済にデフレの方向への圧力をもたらすだろう。この点に関しては、増税しても需要が減らないという意見はあり得るが、筆者は、金融緩和を有効に働かせてデフレを脱却し、名目GDPを拡大するためには、向こう数年の消費税率引き上げは上策ではないと考える。

次のページ>> 官僚の抵抗をそらす戦略性を持たない「手順の悪さ」

反対理由3:手順が悪い

 言うまでもなく、消費税率引き上げは、財務省を筆頭とする霞ヶ関の官僚集団の「悲願」だ。重要案件について、官僚たちに働いて貰うには、これを消費税率引き上げの前提条件とすることが有効だ。

 もともと、民主党の前回総選挙のマニフェストのトップにあった項目は、財政支出のムダを削減することだったが、これが十分できていない。支出のムダを削るには、増税する前の方がいい。

「ムダの削減は、増税しようがしまいが、継続的にやらなければいけない」という人がいるが、相対的に財源がない方が削減に圧力がかかるし、「増税の前にもう一息なのだ」とプレッシャーをかけることもできよう。建前にも有効性には強弱がある。

 もっとも、「反対理由1」で述べたように、実は財政には資金調達力で余裕があるので、財源のやりくりに対するプレッシャーはそれほどのものではないかも知れない。

 独立した「歳入庁」のような、財務省も厚労省も共に嫌がりそうな組織と制度を本当につくるためには、具体的な設立の詳細と日付けまで曖昧な点がないように法律で決めてしまわなければ、歳入庁は日の目を見るまい。

 小泉政権時代に、政治的にあれだけ力を入れ、文句なしに民意の賛成多数を集めた郵政民営化でさえ、先に曖昧さを残すと、気がついてみると大きく巻き戻っている。

 民主党の年金改革案(最低保障年金+所得比例年金)への中身の評価はさておくとしても、制度を抜本的に変えるのであれば、その実現には、消費税率引き上げを人質に取って年金改革法案をできるだけ具体的な形にして、法律として成立させてしまうことだ。

次のページ>> 徴税の改善を先にやらないと、あまり意味がない

 制度変更でも歳出削減でも、官僚の抵抗で決めにくいものを、消費税率引き上げの条件とすることで実現させる、といった多少の戦略性を政治家の側が持つのでなければ、大新聞の政治報道のように、政治は「政局」くらいしか見所がない(この点、賛否はあるとしても、小泉首相時代の一時期はなかなか面白かった。もっとも、末期にはネタバレしていたが)。

反対理由4:
徴税の改善が先ではないか

 税収が足りないという話をよく聞く。だが、企業の場合であれば、売り上げが足りない、ということになれば、まずは営業・販売の努力が十分であるかどうかが厳しく問われるところだが、徴税の効率性が厳しく問われているという話は聞かない。

 一方、「10・5・3」(とー・ごー・さん)や「9・6・4」(くろよん)といった、自営業者、農業従事者などに対する所得補足の不完全性を指す言葉は、いまだに残っている。

 最近は、「国民総背番号制」ではなく「マイナンバー制」などと呼ぶようだが、情報技術の発達とこうした制度を組み合わせた場合、所得や売り上げの捕捉の効率性は顕著に高まるのではないか。

 社会保険料の徴収改善も含めて、歳入庁の設立も有望な財政収入の改善策だ。
こうした改善のための努力をやってみて、それから増税するというのが物事の順序ではないだろうか。徴税の公平性・納得性の観点からも、そうあって欲しい。

反対理由5:約束は、約束だ

「政権交代後、向こう4年間は消費税率の引き上げは行なわない。消費税率の引き上げについては、改めて国民の信を問う」

次のページ>> 約束は約束。消費税率引き上げなら、総選挙で信を問え

 民主党の鳩山元代表は、前回総選挙のときにこう言っていたし、野田現首相も街頭演説でこの方針を訴えていたことは、YouTubeの動画で有名なところだ。
消費税率を引き上げるというなら、解散して総選挙でその方針を訴えて、多数を得て、堂々と実行するのが筋だろう。

 民主党案(と言うよりも「財務省案」なのかもしれないが)では、消費税率引き上げは閣議決定を経るとの筋書きになっている。来年の税率引き上げ時期の前に総選挙があり、選挙で信を得た新しい内閣が判断するとの理屈らしい。民主党政権が使い捨てされても、消費税率の引き上げが実現できる仕掛けらしいが、姑息だ。

 この公約違反については、「あまりにも当たり前すぎるから、議論しない」という風潮があるようだ。先日も、あるテレビ番組を見ていたが、消費税率引き上げを説明しに来た民主党の議員に対して、番組の司会者は、「選挙のときのマニフェストと違うという点についてはあえて問いません。消費税率引き上げが、今、なぜ必要なのかについてご説明下さい」と話を始めた。

 しかし、増税のような重要な政策で、選挙前の政治家の言葉を「約束」として聞くことができない、というのは、有権者にとって大きな問題だ。選挙なしの消費税率引き上げは、国民の政治への不信をさらに決定的なものにするだろう。一体、何を信じて投票したらいいのか。

 筆者の反対論拠のうち、「反対理由1:増税は緊急性が薄い」と、この「反対理由5:約束は、約束だ」だけで、今国会での消費税率引き上げ法案に反対する十分な根拠だ。

 政治の議論としては、本来これが常識だろう。これを脇に置いて、経済的な得失から消費税を論じている時点で、我が国は政治的に病んでいる。国民もメディア含めて、我が国の政治が劣化している証拠である。


質問1 消費税率の引き上げに賛成? それとも反対?  

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