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日本の海がさらに広くなった 大陸棚が31万平方キロ拡大、海底資源開発に弾み
http://www.asyura2.com/12/hasan76/msg/199.html
投稿者 MR 日時 2012 年 5 月 17 日 01:43:22: cT5Wxjlo3Xe3.
 

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120516/232158/?ST=print
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日本の海がさらに広くなった

大陸棚が31万平方キロ拡大、海底資源開発に弾み

2012年5月17日 木曜日 山田 吉彦

 2012年、日本の海がさらに広がることとなった。

 「日本の海」とは、国際法のもとに日本が管轄権を持つ海域、すなわち領海と排他的経済水域を合わせたものをいう。「日本の海」の面積は広大で、約447万平方キロメートルに及ぶ。世界で6位の広さと言われている。そして、この広大な日本の海に眠る資源は、未知の魅力を湛え、未来の日本を支える可能性が高い。

 日本の国土面積は約37万平方キロメートル。国連加盟国の中で60位前後であり、決して大きな国ではない。だが、四方を囲む海の資源が日本を潤す海洋国と言える。

 なぜ日本の海が広がるのか。それは、大陸棚が認められ、海洋資源の開発権を新たに獲得したからである。

 日本が持つ大陸棚の海底には、マンガン団塊、コバルト・リッチ・クラスト、メタンハイドレートなどの資源が眠っている。特にコバルト・リッチ・クラストは、銅、ニッケル、コバルト、白金やレアアースなどを含んでいることが分かった。資源が少ない日本にとって、咽喉から手が出るほど手に入れたい宝物である。

 また、メタンハイドレートは、海底に眠るシャーベット状になったメタンガスの層である。これが、未来のエネルギーと期待されている。紀伊半島沖の南海トラフにおいて、2012年から本格的に試掘を行う準備に入った。日本の海に存在するメタンハイドレートの埋蔵量は、日本人が使うガスエネルギーの約100年分と推定されている。

排他的経済水域は経済的権利を行使できる

 大陸棚について説明する。まず、その前提となる海洋について述べる。海洋は、大きく「領海」と「公海」に分かれている。

 領海は沿岸から12海里までの範囲。国家主権が通用する海域である。ただし外国の船舶も「無害通航権」を持つ。無害通行権とは、沿岸国に危険を及ぼすことがなければ、自由に通航できること。一方、公海には、いずれの国の管轄権も及ばない。

 排他的経済水域は公海の一部であるが、国連海洋法条約により沿岸国が「他国を排して経済的な権益を認められた海域」のことである。国連海洋法条約は、海洋に関する基本ルールを定めた条約だ。「海のバイブル」とも呼ばれる。国連海洋会議における議論を経て策定され、1994年に発効した。同会議は、第二次世界大戦後、世界の海洋の平和的かつ有効な利用を求めて、たびたび開催されたものである。日本は国連海洋法条約を1996年に批准した。

 排他的経済水域において沿岸国は、その海洋の表面から海底まで、以下の経済的利用を優先的もしくは独占的に行うことができる――海底資源の調査開発、海洋状況の調査、海水の利用、漁業管轄権など。

 排他的経済水域は沿岸から200海里までの範囲で主張することができる。ただし、隣国と排他的経済水域が重複する時は、原則として両国の沿岸からの中間の距離(中間線)までとなる。境界画定において問題が生じた場合は、沿岸国同士が協議をもって設定することになっている。

大陸棚の延長は経済圏の拡大

 この条約はさらに、沿岸からの距離などの限定を付けたうえで、大陸棚の海底に眠る資源の開発を沿岸国に認めている。大陸棚とは、堆積岩からなる地形が海岸から自然延長している海底のこと。沿岸国は大陸棚の海底に眠る非生物資源の開発を主権的に行う権利を持つ。その限界は、沿岸の基線から200海里である。

 ただし大陸棚は、陸地から海底面にかけて堆積岩で形成されている地形が連続している場合に、国連大陸棚限界委員会が認めれば、基線から最大350海里まで認められる(大陸棚の延長)。同委員会に延長を認めさせるためには、科学的に調査した資料を提出し、沿岸部からの地殻の継続を立証する必要がある。また、水深2500メートルの海底の地点から100海里を超えない範囲で大陸斜面脚部から60海里、大陸棚斜面脚部から1%以上の厚さの堆積岩が存在する最も沖合の地点など様々な制約がある。

 日本政府は2008年11月12日、国連大陸棚限界委員会に対して、大陸棚延長に関する申請文書を提出した。そして2012年4月27日、31万平方キロに及ぶ大陸棚の延長に関する国連大陸棚限界委員会の勧告を受領したことを公表した。

 日本が申請していた大陸棚を延長する海域は、本州の南方及び南東海域で、約74万平方キロメートルにわたる。具体的には、九州―パラオ海嶺南部海域、南硫黄島海域、南鳥島海域、茂木海山海域、小笠原海台海域、沖大東海嶺南方海嶺、四国海盆海域の7つの海域であった。

 このうち、今回、大陸棚の延長が認められた海域は、南硫黄島海域の一部、小笠原海台海域の大部分、沖大東海嶺南方海域の一部、四国海盆海域の大部分を合わせた海域である。残念ながら、国連は南鳥島海域と茂木海山海域は認めず、沖ノ鳥島の南方に広がる九州―パラオ海嶺南部海域に関する勧告は見送った。

 四国海盆が認められたことで、日本近海において日本が管轄権を持たない空白地帯が埋まったことになる。安全保障上、その意義は大きい。さらに、この海域にはメタンハイドレートをはじめとする海底資源の存在が期待されている。また、今回、大陸棚として認められた小笠原海台、南硫黄島海域などは、稀少金属を有する海底熱水鉱床やコバルト・リッチ・クラストの存在が期待される海域だ。海底開発の夢が広がる。

沖ノ鳥島に対して中韓が異議

 今後は、今回勧告が先送りされた、沖ノ鳥島を起点とする九州―パラオ海嶺南部海域の大陸棚としての認定が期待されるところだ。

 沖ノ鳥島は、東京の南方約1730キロメートルの海上に存在する絶海の孤島である。日本の最南端の島で、緯度的には米国ハワイ州のホノルル、ベトナムの首都ハノイよりも南に位置している。沖ノ鳥島は東西約4.5キロメートル、南北1.7キロメートルのサンゴでできた環礁に囲まれている。

 沖ノ鳥島は厳密には北小島と東小島の二つの島からなる。この両島はとても小さく、2島合わせても2坪程度の広さしかない。満潮時には、10数センチ海面に地表を見せる程度である。しかし、この島を基点とした排他的経済水域は40万平方キロメートルと広大だ。

 日本政府はこの島の浸食を防ぐため、1987年から工事に着手し、約300億円の費用をかけ護岸整備を行った。

 2004年4月、日中事務レベル協議の場で中国政府外交部(外務省)の担当官が、沖ノ鳥島は、国連海洋法条約上は岩であり、排他的経済水域の基点とすることはできないと言い始めた、国連海洋法条約第121条3項が、「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域または大陸棚を有しない」と規定しているからである。

 日本政府は、この環礁内で行っている波浪に関する科学実験や、サンゴ礁の培養実験をもって経済活動としている。さらに環礁内に灯台を構築。港湾を作る計画も進めている。これらの開発行為により経済活動を確固たるものにして、中国などによる異議は不当であると退けている。

 沖ノ鳥島について意義を唱えているのは中国だけではない。2008年に日本が大陸棚の延長を申請した時、韓国も沖ノ鳥島を岩とし、これを基点とした大陸棚の延長の申請は認められないとの意見を表明した。

 今回の国連大陸棚限界委員会の勧告は、沖ノ鳥島を基点とした海域の北方に広がる四国海盆海域を大陸棚として認めた。これをもって日本政府は、排他的経済水域及び大陸棚の基点となる島として、沖ノ鳥島が認められたと発表した。しかし、中国及び韓国はこの日本発表に対して、沖ノ鳥島は岩であり基点となる島とはなっていないとすぐに反論した。中国の主張では、四国海盆海域は、沖ノ鳥島を基点としなくても本州及び周辺の島からの地殻の延長で大陸棚になっているというのである。

 国連大陸棚限界委員会は、中国、韓国のクレームを踏まえて、沖ノ鳥島の南方に広がる九州―パラオ海嶺南部海域に対する勧告を先送りにしたとも言われている。沖ノ鳥島は、九州・パラオ海嶺上にあり、この海域の大陸棚が認められれば、沖ノ鳥島が排他的経済水域、大陸棚の基点となる島であるお墨付きを国連から受けたことが確実になる。

 ただし、沖ノ鳥島が日本固有の領土であることは中国、韓国共に認めている。領土である島をいかに利用するかは、国家の主権に属する。要は、日本として威厳を持ち、沖ノ鳥島を開発し経済行為を行っていることを宣言すればよいのである。

南鳥島海域の獲得に期待

 今回の勧告で特に残念なのは、南鳥島海域における大陸棚が認められなかったことである。この南鳥島海域の海底には、レアアースが存在している可能性が高い。特に、中国が主要な産地になっている重希土類元素を含んでいることから、この海域の獲得が期待されていた。

 今回の大陸棚限界委員会の勧告を受け、政府は政令をもって大陸棚の延長を決めることになるだろう。日本の海は、およそ478万平方キロメートルにまで拡大するのである。日本の未来を支える海底資源獲得のスタートに立ったと言える。

 この海といかに付き合い、海底資源などの海の恵みをいかに享受するかということがこれからの課題となる。


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日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。

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山田 吉彦(やまだ・よしひこ)

東海大学海洋学部海洋文明学科教授。海洋政策研究財団 研究員。経済学博士。専門は海洋政策、海洋安全保障、現代海賊問題、国境及び離島問題。著書に「日本国境戦争」(ソフトバンク新書)、「海洋資源大国 日本は「海」から再生できる」(海竜社)など。  

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コメント
 
01. 2012年5月17日 11:56:13 : npansWPdOA
以前から、分かっている事.さっさと掘れ。出来ない御託はいい。多重債務日本が助かる大きな、方法。

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