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健康、学力、貧困、仕事、犯罪、虐待…… 子ども・若者はどのような状況に置かれているか
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投稿者 MR 日時 2012 年 6 月 19 日 04:38:13: cT5Wxjlo3Xe3.
 

出口治明の提言:日本の優先順位

【第52回】 2012年6月19日
出口治明 [ライフネット生命保険椛纒\取締役社長]


健康、学力、貧困、仕事、犯罪、虐待……
子ども・若者はどのような状況に置かれているか


 内閣府は、6月6日、子ども・若者育成支援推進法に基づく法定白書である2011年度「子ども・若者白書」を公表すると共に、国会に提出した。これは、1956年に刊行された「青少年白書」を引き継いだものであり、わが国の子ども・若者(0〜29歳)の状況を網羅的に記述したものである。私たちの未来であるわが国の子ども・若者は、現在、どのような状況に置かれているのだろうか。今回は、「子ども・若者白書」を紐解いてみたい。

子どもの体格は横ばい
体力は低水準、学力は改善傾向

 わが国の総人口に占める子ども・若者の割合は、2011年10月1日現在で、28.5%と、過去最低水準となった。50%を割り込んだのは1974年であったので、この約35年間で少子高齢化が相当進んだことになる。

 平均初婚年齢も、夫が30.5歳、妻が28.8歳(いずれも2010年)と、過去最高齢を記録した。因みに、1950年は夫が25.9歳、妻が23.0歳であったので、この60年間で各々5歳ほど、初婚年齢が上昇したことになる。

 一方、乳児死亡率は2.3%(2010年)と世界有数の低率国となっている(1985年時点では、5.5%であった)。

 大学(短大を含む)進学率は2005年に初めて50%を超え、2011年は56.7%となった。

 子どもの体格は、ここ10年ほど、ほぼ横ばい傾向が続いている(14歳男子の身長・体重は、2011年が165.1cm・54.2kg、2001年が165.5cm・55.5kg。14歳女子は2011年が156.6cm・49.9kg、2001年が156.8cm・50.9kg)。また、子どもの体力(走・投)は、体力水準が高かった1985年に比べると、依然として低水準にとどまっている。

 子どもの学力は、OECD生徒の学習到達度調査(PISA2009年)では、各リテラシー(読解力・数学・科学)とも、前回調査(2006年)に比べ、成績の下位層が減少し、上位層が増加しており、読解力を中心に、わが国の生徒の学力は向上傾向にあると見られている。

次のページ>> 「いじめ」と「子どもの貧困」の現状は

 いじめの認知件数は、2006年には12万件を超えていたが、その後、一貫して低下してきた。しかし、2010年は、7万7630件と、対前年比5000件程度増加し、再び反転した。いじめの大半は、小学校(3万6909件)と中学校(3万3323件)である。なお、いじめの79.0%は、その後、解消しているようだ。

子どもの貧困については
シングルペアレント対策が急務

 子どもがいる現役世帯(世帯主が18歳以上65歳未満)の相対的貧困率(OECD基準)を見ると、全体では14.6%であるが、その内訳はシングルペアレント世帯が50.8%と、実に半数を超える世帯が貧困状態に置かれており、一方、大人が2人以上いる世帯は12.7%となっている。わが国の総世帯数に占めるシングルペアレントと子ども世帯の割合が、既に1割弱に達していることを考え併せると、この問題は決して見過ごすことはできないと思われる。

 OECDでは、2000年代半ばまでのOECD加盟国の相対的貧困率を公表しているが、これによると、わが国は30ヵ国中27位と、かなり低水準であることが窺える。子どもがいる現役世帯の貧困率を見ると、全体で19位、大人が2人以上では22位であるが、シングルペアレント世帯では30位と最下位であり、貧困率もOECD平均(30.8%)の2倍近い高水準(58.7%)を示している。

 全ての子どもは、社会の宝であり、親がシングルであることについて、子どもには何の責任もない。シングルペアレントを支援する活動を行っている友人の言によれば、「シングルペアレント問題にこそ、わが国社会の歪みが凝縮されている」そうである。その通りだと思う。

 当社でもシングルペアレントが元気で働いてくれているが、シングルペアレントが働きやすい職場環境作りに、官民あげて取り組むべきだと考える。保育所への100%入所、児童扶養手当の増額、生活保護における児童加算等、まだまだやれることはたくさんあるのではないか。1日も早く、わが国の総力をあげてOECD諸国中最低水準という汚名をそそぐべきだと考える。

次のページ>> 若者の失業率を改善するには

大人が率先して起業し
若者失業率の改善を

 失業率を見ると、わが国全体の状況は、2011年は4.5%(1991年は2.1%)であったが、若者失業率は、依然として高い水準を示している。すなわち、15〜19歳が失業者数8万人で9.6%(同6.6%)、20〜24歳が34万人で7.9%(同3.8%)、25〜29歳が38万人で6.3%(同2.8%)となっている。若者失業率が全体に比べてかなり高いという状況は、実はこの20年間、ほとんど変化していないが、これについては社会全体の意識改革もまた必要ではないだろうか。

 先日、早稲田大学に講演に伺ったとき、先生から次のような話を聞かされた。「早稲田大学には8000社から求人がくるが、学生は上位1000社にしか就職しない。残りの7000社の中にこそ、明日のソニーやホンダがあるかも知れないのに、本当にもったいない話だ」と。

 若者の失業率を下げるためには、アメリカのように小さい会社や起業にこそ、将来の大きなチャンスがあるという風潮を、大人が率先して作って行くべきではないだろうか。(もっとも、6月18日の日経朝刊によると、学生の来春志望では、14年ぶりに中小が大企業を上回ったようで、好ましい傾向ではある)。

 例えば、40代後半から50代にかけては、起業に踏み切るリスクが最も少ない年代であると思われる。子どももある程度親の手が離れる年頃になる、会社等でも自分の将来がある程度見通せる、また、技術や経験も相応に蓄積されている、従って人脈もある、考え様によっては、わが国では、これほど起業に踏み切るのに適した年代もそうないのではないか。

 大人がどんどん起業に踏み切れば、若者もそれをロールモデルと見做して、後に続いてくれるのではないか。大人が率先垂範せず安定指向で、若者にのみ冒険を求めることは、それこそ虫が良すぎるという他はない。

次のページ>> 事故や犯罪が減る一方で虐待は急増

 パート・アルバイト中心のフリーター(15〜34歳)は、この5年間、ほぼ横ばいである(2011年176万人、2007年は181万人)。若年無業者(15〜34歳)も同様である(2011年60万人、2007年62万人)。無業者の理由(非求職理由)を見ると「病気・怪我のため」が28.9%と最も高く、「その他」が25.5%、「進学や資格取得等の勉強中」が11.8%を占めているが、「知識・能力に自信がない」10.4%は気になるところである。

 また、「普段は家にいるが、自分の趣味に関する用事の時だけ外出する」という準引きこもり46万人を含めた広義の引きこもりは69.6万人と推計されている。また、狭義の引きこもり23.6万人の内、近所のコンビニなどにも出かけない(自室や家から出ない)引きこもりは約8.2万人と推計されている。

 引きこもりのきっかけは、「その他」25.4%を除くと、「職場に馴染めなかった」23.7%、「病気」23.7%、「就転活動がうまくいかなかった」20.3%と続いており、仕事や就職の重要性が窺える結果となっている。人間は社会的動物であり、自立して働いてこそ(≒社会とつながりを持ってこそ)、健全な生活が営めるということを改めて痛感する。

事故や犯罪は減少
一方、虐待は急増

 子ども・若者の不慮の事故(交通事故等)による死亡数は、年々改善して、2010年で2001人となり、この10年で、半減以下となった。また、少年(20歳未満)が被害者となった刑法犯の認知件数も、2011年は22万8025件と年々改善し、やはりこの10年間でほぼ半減した。

 その一方で、児童虐待が急増していることが憂慮される。経済的困窮などにより大人が歪んでいるのである。児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数の推移を見ると、2010年は5万6384件と、前年比27.5%も急増した。10年前の2万3274件からすると倍増以上の伸びであるが、これも氷山の一角に過ぎないという厳しい見方も多い。

次のページ>> ぜひ「子ども・若者白書」を一読されたい

 虐待の内容では、「身体的虐待」が38.2%と最も多く、続いて「ネグレクト、即ち保護の怠慢ないし拒否」が32.5%、「心理的虐待」26.7%となっている。また、主たる虐待者は実母60.4%、続いて実父25.1%となっているが、前述したシングルペアレントの困窮との関係を指摘する向きも多い。子どもが社会の宝であることを考えれば、例え誰の子であっても、虐待を疑わせるような事情があれば、社会全体で競って「おせっかい」をやるべきだと考える。「見て見ぬふり」や「無関心」こそが、児童虐待の温床になっているという事実を、私たちは直視しなければならない。

 また、犯罪を犯した少年(刑法犯少年の検挙人員)は、2011年も改善傾向を示し、7万7696人と、前年比9.5%減少した。10年前と比べれば、ほぼ半減近い数字となっている。

 以上、ざっと「子ども・若者白書」の内容をおさらいしてみたが、私たちの未来である子ども・若者の現状を、私たち大人全員が真摯に理解することが、全ての問題解決の糸口となるのではないか。その意味で、「子ども・若者白書」をみんなで一読しようではないか。

(文中、意見に係る部分は、すべて筆者の個人的見解である)http://diamond.jp/articles/-/20177  

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