★阿修羅♪ > 経世済民76 > 626.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
欧州債務危機の終息と新たな火種
http://www.asyura2.com/12/hasan76/msg/626.html
投稿者 MR 日時 2012 年 6 月 23 日 06:03:09: cT5Wxjlo3Xe3.
 

欧州債務危機の終息と新たな火種

2012年06月22日
現在、欧州危機はいまだに多くの市場参加者の最大の懸念事項です。2010年5
月にギリシャの財政問題が国内の暴動を報じるニュースとともに表面化して
以降、数ヶ月毎にポルトガル、アイルランド、スペイン、イタリア等の財務
問題に注意が向けられ、その都度市場が反応してきました。
http://www.monexai.com/mail2.php?writer=2&detail=109
http://www.monexai.com/mail2.php?writer=2&detail=110

今回も、6月17日に行なわれたギリシャでの再選挙の行方を固唾を飲んで見守
った市場関係者も多かったと思います。結果として、ギリシャ国民と政府は、
対外的にユーロ圏に残るという意思を示したことで、市場は安堵しました。
しかし、今後の財務問題の改善には問題が山積みであり、予断を許さない状
況が続いています。

一方、スペインの金融機関の債務問題に関して、最終的には、ユーロ安定メ
カニズム(ESM)が最大1000億ユーロを支援するという決定により、金融機関
破綻による連鎖倒産という最悪なシナリオが避けられつつある感もあります。
もっとも、こちらもESMが支援する先はスペイン政府であり、金融機関は国か
らの支援を受けることになります。その場合、スペインは国としての財政問
題を更に悪化させる可能性が高いため、現在のスペイン国債の下落につなが
っています。こちらも、問題解決の実行には時間がかかるというのが投資家
の共通認識です。

このように、欧州財務危機といわれる一連の問題は、解決策の提示、合意や
進展が極めて遅く、終わりが見えないものです。1990年代後半から2003年に
かけて行なわれた、日本における不良債権処理と金融機関の統廃合について
も、当時は延々と続く作業に思われました。ユーロ圏の場合は、それぞれの
国の利害が衝突する部分があるため(特にドイツと南欧諸国)、当然日本で
の処理作業以上に複雑で時間のかかることが想定されます。

しかし、この2年間で欧州財務問題の本当の姿が浮彫りになりつつあります。
まず、解決には各国のGDPの成長が不可欠であるという認識です。税収と支出
のプライマリーバランスを改善させない限り、借金漬けの国の信用は徐々に失
われ、最後にはギリシャのようになってしまいます。また、低成長、デフレ
スパイラルに陥った日本という前例においては、長引く低成長、デフレに国
民や企業が慣れてしまった結果、遂に国内の成長投資は減少し、高齢化の進
展と海外投資の上昇を遠因としてGDP成長が困難になり、また財政健全化も遠
のく一方です。次に、ユーロ通貨の統合を果たす一方で、金融政策や財政政
策統合が進んでこなかったことの弊害が浮彫りになりました。したがって、
ユーロ圏各国の債務問題を解決するためには、各国エゴを捨てた、ユーロ圏
全体としての金融政策、財政政策の運営を一本化できる超国家的な仕組が求
められています。

今回の欧州債務問題は、識者がユーロ導入時から指摘し、懸念されてきた問
題でした。しかし、実際にギリシャのような問題が表面化してみないと、各
国民、政府、金融機関や投資家が解決のための具体的な行動を起こすことは
難しいと思います。しかし、個人的には今回の危機が後押しする形で、各国
の政府リーダーが自国の利権を超えて金融、財政面での統合を進めて行くも
のと楽観視しています。その問題解決の過程で出てくるのが、金融機関の健
全化です。各国でバラバラの規律をもって運営されている金融、財政が統合
する過程では、規律の緩い国や金融機関での厳格な運営が求められます。

したがって、筆者は、欧州債務危機の終息の過程は、新たな金融危機の始
まりになり得ると考えています。しかし、このプロセスを経ずして、欧州域
内での金融、財政政策の統合を行なうことは、難しいと思います。特に、救
済する側の国民感情などを斟酌する場合、統合後の金融当局者は規律維持の
ために多少強い行動に出る可能性があると思われます。金融政策の弾力化に
より、欧州経済が劇的に改善しない限り、2012年から2014年の間は、欧州金
融機関の統廃合とそれに関わる不良債権処理によって市場が低迷しやすい状
況になり得ると想像しています。

白木信一郎:
マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社 代表取締役社長
ロンドン・ビジネススクール卒
1990年代はじめから債券投資、運用業務を経てヘッジファンド及び
プライベートエクイティファンド等のオルタナティブ資産への投資を担当。
ヘッジファンドの投資戦略に詳しく、セミナー、コンファレンス等において
講師もつとめる。
AIMA(オルタナティブ・インベストメント・マネジメント・アソシエーション)
日本のヴァイス・チェアパーソン。
著書に「投資ファンドのすべて」(金融財政事情研究会)
http://store.kinzai.jp/book/10985.html


スペイン、25日に銀行支援を正式要請=デギンドス経済相 3:29am
[ルクセンブルク 22日 ロイター] スペインのデギンドス経済相は22日、25日に銀行支援を正式に要請すると述べた。 記事の全文

欧州4カ国が成長支援策の規模で一致、ユーロ共同債など依然対立 3:19am
[ローマ 22日 ロイター] 独仏伊スペインの4カ国首脳は22日、ローマで会談を行い、欧州連合(EU)の域内総生産(GDP)の約1%に相当する1300億ユーロ(1560億ドル)規模の成長支援策を欧州は導入すべきとの考えで一致した。 記事の全文

ユーロ圏共同債は有益な手段=仏大統領 2:00am
[ローマ 22日 ロイター] オランド仏大統領は22日、ユーロ圏共同債は欧州に有益な手段で、導入に10年もの時間をかけるべきではないとの見解を示した。 記事の全文

メルケル独首相、EUのGDP1%相当の成長支援策に支持表明 1:53am
[ローマ 22日 ロイター] メルケル独首相は22日、欧州連合(EU)の国内総生産(GDP)の1%に相当する1300億ユーロの成長支援策への支持を表明した。 記事の全文

独仏伊スペイン首脳、ユーロ圏の金融安定化で合意=ラホイ首相 1:41am
[ローマ 22日 ロイター] スペインのラホイ首相は22日、ローマで開催されたフランス、ドイツ、イタリア、スペインの首脳会談で、ユーロ圏の金融安定化に向け求められるすべてのメカニズムを整備することで合意したと語った。 記事の全文  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民76掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民76掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧