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 人口と景気後退:欧州のもう1つの危機 
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投稿者 MR 日時 2012 年 7 月 05 日 01:15:01: cT5Wxjlo3Xe3.
 

The Economist
人口と景気後退:欧州のもう1つの危機
2012.07.05(木)

(英エコノミスト誌 2012年6月30日号)

景気後退は欧州の一時的な出生率上昇を急停止させている。

欧州の危機は見た目よりも深刻だ。まるで欧州大陸の問題を抱えた金融市場と経済だけでは負担が足りないかのように、10年にわたる(そして概ね注目されなかった)出生率の改善が、突如として終わりを迎えたように見える。

 今年に入って統計を発表した15カ国のうち11カ国で、2011年に出生率が低下した(出生率とは、1人の女性が生涯に生むと見込まれる子供の数を指す)。中でも下げ幅が大きかったのは、ユーロ危機で最も大きな打撃を受けた国々だ。

ユーロ危機を機に低下に転じた出生率

 2008年に1.46だったスペインの出生率は、2011年は1.38前後まで低下した。1.44だったラトビアは1.20を切った。ウィーン人口研究所のトマス・ソボトカ氏は、これらの国々ではこの3年間で、それ以前の10年間の出生率上昇が帳消しになったと指摘する。

 出生率の大幅な低下は、失業率が急激に上昇してもいなければ国家歳出が大幅に削られてもいない北欧諸国でも見られた。ノルウェーの出生率は2010年から2011年にかけて、1.95から1.88に低下した。デンマークでは1.88から1.76に低下した。


 だが、英国のように出生率が高い国でも、ハンガリーのように低い国でも、傾向は似ている。10年間続いた出生率の上昇が、経済危機が起きた2008年前後に止まり、2011年に低下し始めたのだ(図1参照)。

 市場では、3年間という歳月は1つの時代だが、人口動態においては、ほんの一瞬だ。イベントが起きてから、それに応じた出生率の変化が生じるまでには、少なくとも9カ月の時間がかかる。

 人口統計も1年程度の遅れが生じる。景気後退が始まってすぐに出生率の傾向にこれほどの変化が生じることは異例だ。

 だが、厳しい時代と家族形成には関連があるとはいえ、その本質は議論の的となる。アダム・スミスは経済の不確実性が出生率にマイナスに作用すると考えた。その一方で、景気後退は子供を持つ機会費用を低下させ、もともと欲しかった子供を失業期間中に出産するよう女性に促すことで、出生数を増やすと主張する人もいた。

 欧州の最近の経験は、スミスの意見を裏づけている。経済は、移住、結婚、出産を通じて人口趨勢に影響を及ぼした。一部の国では、景気後退が移住者の帰国を招いた。そして、こうした移住者は出生率が高かった。

 スペインでは、1990年代後半から2000年代前半にかけて中南米諸国から大量の移民が押し寄せた。それもあって、1995年に36万3500人だったスペインの出生数は、2008年には51万8500人まで急増した(率にして43%増加)。

 だが、こうした移住者が本国に帰ると、出生数の増加傾向は反転し、2011年6月までの1年間では48万2700人まで減少した。婚姻件数も似たような道をたどり、1995年の19万9000組から大きく増えて2004年に21万4300組を記録した後、2011年には16万4600組まで落ち込んだ。

 とはいえ、すべての移住者が同じような行動を取ったわけではない。英国を去ったポーランド人は比較的少なかった。一部の移住者は、受け入れ国よりも出生率が低い地域の出身だ(例えばスカンジナビア地域に住むバルト人など)。だが、流動性の高い移住者の人口が多い国の大半では、景気後退が引き起こした移住者の帰国によって出生率が低下した。

 景気後退は、母国に生まれて暮らす市民の婚姻率や出生率にも影響を及ぼした。もし若いカップルが安定した所得を得られるようになるまで所帯を構えて子供を持つのを待てば、家族形成と(特に男性の)失業率には相関関係が生じる。

失業率と結婚・同棲の相関関係


 フランス国立人口研究所(INED)のフランス・プリオー氏は20年以上にわたって、フランスの失業率とカップルが一緒になる割合(結婚または同棲)を図にした。その結果は、ほぼ完璧な対称を成すイメージだ(図2参照)。

http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/1/e/250/img_1ef0ba336127f78d1cf64c10b470788e24458.png

 調査は2002年までしかたどっていないが、その後も同じようなパターンが続いていると見られる。

 米国のピュー・リサーチ・センターが18歳から24歳の男女を対象に、2009年の景気後退に対する反応について調査を行ったところ、20%が結婚を延期したと回答した。

 サボトカ氏は、ラトビアの失業率と出生率の関係を座標化した。同氏もまた対称を成すイメージに行き着き、失業率が高まると出生率が下がり、その後、雇用が回復すると出生率も再び上昇した。欧州では、景気後退が移住や結婚、出産を減らして出生率を低下させたことに疑問の余地はほとんどない。

欧州の出生率低下は一時的か、恒久的か


欧州の出生率の低下は一時的な現象で済むか?〔AFPBB News〕

 不確かなことは、今回の出生率低下が一時的なものか、それとも恒久的なものか、ということだ。

 出生率を引き下げる方法はいろいろある。カップルがより少ない数の子供を持つ選択をするかもしれないし、出産の時期を遅らせるかもしれない。

 いずれの場合も出生率は低下する。だが、後者の場合は、出生率が後で上昇する可能性がある。人口統計学者たちは、これを「テンポ効果」と呼ぶ。

 世界の大半の国では、カップルがより少ない数の子供を望むようになっているために、出生率が低下している。だが、ソボトカ氏と米シンクタンク「ポピュレーションカウンシル」のジョン・ボンガーツ氏が最近発表した論文は、欧州では、重要なのは「テンポ効果」だと論じている。

 両氏が指摘するように、初産平均年齢は1970年以降、大半の西欧諸国で上昇してきた。1970年には、大半の女性が第1子を出産する年齢は22〜25歳だった。2008年には27〜29歳になった。

 だが、2000年頃から2008年にかけて、その上昇スピードは著しく低下した。女性が以前ほど出産を先延ばししなくなったうえに、一部の女性が先送りしていた出産に踏み切るようになったからだ。

 今では一部の国で、第1子の出生数が第2子以降のそれよりも落ち込んでおり、人々が家族を作ることを先延ばししていることがうかがえる。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35602  

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コメント
 
01. 2012年7月05日 12:39:20 : 8uwuPwSA1g
統計が語る
つまり政府とエコノミストは嘘をついているということ

不況が少子化の原因であり

少子化が経済停滞の原因ではない

政府は己の無能の責任を、無能の結果起きたことになすりつけようとしている。

長期的少子化が先送り効果ではないことは明らか
それほど無能な政策を長期的に取ってきたということ


02. 2012年7月05日 18:22:51 : IOzibbQO0w

貧困と社会不安は少子化を加速し、それがまた景気を後退させる

まさに貧困への少子化デフレスパイラルだな


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