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第161回 イデオロギー的な公共投資批判論を批判する  「コンクリートから人へ」というスローガンは死んだ
http://www.asyura2.com/12/hasan76/msg/782.html
投稿者 MR 日時 2012 年 7 月 05 日 23:16:44: cT5Wxjlo3Xe3.
 


三橋貴明の「経済記事にはもうだまされない!」 

第161回 イデオロギー的な公共投資批判論を批判する  
2012/07/03 (火) 13:57

 予想はしていたが、自民党の国土強靭化基本法に対するイデオロギー的なマスコミの批判が始まった。自民党が6月4日に国土強靭化基本法を衆議院に提出した際には、マスコミはほぼ無視をしていたわけだが、突然、ほぼ全ての新聞が自民党の国土強靭化基本法及び「公共事業・公共投資」そのものを盛大に批判始めたのである。
 理由であるが、主に以下の二つであると推測できる。
 一つ目は、前回も取り上げた民自公が合意した「社会保障と税の一体改革」法案第十八条2に、
「成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討する」
 と、明らかに自民党の国土強靭化基本法の概念が盛り込まれたことである。
 本連載で何度も書いているが、デフレ期に増税をすると名目GDPが減り、政府は減収になる。政府の租税収入が減るのでは、何のために増税するのか、という話になってしまうわけだ。今回、三党が合意した「社会保障と税の一体改革」は、
「施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前二項の措置を踏まえつつ、経済況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ず等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる」
 と、2014年の消費税アップの六か月前(2013年10月)に、時の政権が半年後の増税の実施及び「停止」を判断する法案となっている。筆者は、別に今回の「社会保障と税の一体改革」について全面的に賛同しているわけでは全くないが、少なくとも三党合意が「デフレ期の増税はしない」というコンセプトになっていることは評価するべきだろう(2013年秋に、実際に時の政権が半年後の増税を財務省に逆らって止められるかどうかは、不安ではあるが)。
 三党で合意された「社会保障と税の一体改革」法が参議院でも可決されると、自民党の国土強靭化基本法が俄然、リアリティを持ってくる。何しろ、成立した「社会保障と税の一体改革」法に、その旨が記載されているのだ。法律に書いてある以上、財務省が何を言おうとも、行政機構は「事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分する」を実行に移さなければならない。すなわち、国土強靭化基本法の成立と施行だ。
 自民党の国土強靭化基本法は、防災や減災に加え、「多極分散型の国土の形成」「複数国土軸の形成」「大規模災害発生時における我が国の政治・経済・社会活動の持続可能性の確保」を目的として、十年間で200兆円を投資するという大規模なものだ。歳出削減(及び増税)をイデオロギー的に推進する財務省から見ると、まさしく「おぞましい政策」であろう。
 ところが、今回の「社会保障と税の一体改革」合意に当たり、自民党は法案の中に「国土強靭化基本法」の概念を盛り込んでしまった。財務省的には、デフレ対策や景気条項を無視して念願の増税を実現したかったのだろうが、自民党は「増税の条件」として国土強靭化を突っ込んできた。結果的に、財務省の意向を受けたマスコミが、自民党の国土強靭化基本法を叩き始めたという一面が、確実にあると考える。
 公共事業、公共投資に対するマスコミの批判が高まった二つ目の理由であるが、国土交通省が整備新幹線の3区間(北海道新幹線の新函館―札幌間、北陸新幹線の金沢―敦賀間、九州新幹線長崎ルートの諫早―長崎間)の着工を認可するなど、民主党の「コンクリートから人へ」という荒唐無稽な方針が、ついに有名無実化しつつあることだ。整備新幹線の他にも、民主党政権は八ッ場ダム凍結を解除し、さらに高速道路建設凍結についても解除した。
もはや、政権交代期に民主党が標榜した「コンクリートから人へ」というスローガンは死んだ。そもそも、本連載で散々に書いてきた通り、世界屈指の自然災害大国の日本で、「コンクリート(公共投資)」から「人(社会保障)」へなどという、イデオロギー的な公共事業削減を続けられるはずがないのである。
 断っておくが、筆者は別に公共事業、公共投資について、
「どんな時期にも、どんな経済環境であっても、常に増やさなければならない」
 などと言う気はない。これでは、それこそイデオロギー的な公共投資推進論になってしまう。筆者が「現時点で」公共投資の拡大を訴えているのは、主に以下の理由による。

1.デフレが続き、民間の資金需要が少ないため、長期金利が極めて低くなっている(本連載執筆時点で0.83%)
2.デフレギャップが拡大し、国内の供給能力に余剰が生じている
3.高度成長期に建設された道路や橋梁、港湾などのインフラストラクチャーのメンテナンス時期を迎えている
4.2011年の東日本大震災を経て、日本列島が地震活動期に入った可能性が高い。実際、過去の東日本における大地震と「首都直下型地震」は、100%の確率で十年以内に連動している
5.同じく東日本大震災の影響で、国民の「安全」を求める潜在需要が高まっている

 例えば、地震活動期とインフラストラクチャーのメンテナンス時期を同時に迎えた国が、インフレで金利が高く、国内の供給能力に余力がなかった場合は、どうなるだろうか。その場合、国民がどれだけ渇望しても、政府は国債を発行し、国内の耐震化やインフラのメンテナンスのために支出することはできないという話になる。無理やり政府が国債を発行し、公共事業などの支出を増やしてしまうと、それこそインフレ率が際限なく上昇することになってしまうわけだ。
 ところが、現在の日本はデフレである。長期金利は世界最低水準で、物価は下落傾向が続いている。建設産業や資材産業はデフレ長期化で疲弊し、「仕事」を切望している。
 インフラのメンテナンスと耐震化を「国民の生命を守るために」政府が実施しなければならない国が、デフレなのである。現在の日本のデフレは、まるで神様が日本を称えてくれているのではないかと想像したくなるほどの「幸運」なのだ。
 というわけで、筆者は「今は、公共投資で耐震化やインフラのメンテナンスを実施するべき」だからこそ、公共投資を否定する論調を批判しているのである。現在の日本の諸環境が変われば、当然、逆のことを言い出すこともあり得る。
 それに対し、日本の国内マスコミは、まさしくイデオロギー的に公共事業、公共投資を否定してくる。数値データや「事実」ではなく「フレーズ」により、日本国民に公共投資を否定させるべく印象操作を行ってくるのである。 
 代表的な彼らの「フレーズ」を、幾つかご紹介しよう。
「自民党の国土強靭化基本法は、バラマキ金権政治の復活だ」
「ゼネコンを儲けさせ、政治腐敗を蔓延させるだけだ」
「バラマキ公共投資により、政治家や官僚の『利権』が膨らむ」
 などなど、どこかで聞いたようなフレーズを並べ立て、印象論に基づき公共投資を否定しようとする評論家や新聞記者たちが後を絶たない。
 そもそも、「公共投資の必要性」と「政治腐敗」は、異なる次元の問題である。公共投資を実施すると「政治腐敗」が蔓延するというのであれば、国民がしっかりと政治家や官僚を監視すれば済む話だ。「国民の安全や生命を守るための公共投資」の必要性は、政治腐敗とは別次元の話である。
例えば、警察官の腐敗問題が相次いだとしても、警察システム全体を「不要だ!」などと主張する人はいないだろう。警察官に腐敗が多いのであれば、一つ一つ摘発し、数を減らしていけばいいだけの話である。「警察システム全体」の必要性とは無関係だ。
ところが、なぜか公共投資については、政治家の腐敗問題と絡め、「全否定」しようとする連中が後を絶たない。結果的に、日本の公共投資や公共事業は、すでにピーク時の半分にまで減らされてしまった。

【図161−1 日本の公共事業費の推移(単位:兆円)】

出典:内閣府

 図161−1は、公共投資ではなく「公共事業費」の推移をグラフ化したものだ。グラフを見れば一目瞭然だが、日本の公共事業費は橋本政権以降、容赦なく減らされていき、今やピークの半分以下である。麻生政権の時に、大型の景気対策を打ったことで少し戻したが、民主党に政権交代し、またもや削られ始めた。恐ろしいことに、東日本大震災があったにも関わらず、2011年の公共事業費の総額は、2010年を下回っているのである。

ところが、国内マスコミは上記の「事実」や「データ」を無視し、フレーズと印象論により国民の公共事業、公共投資に対する嫌悪感を煽ろうとしてくる。

『2012年6月30日 日本経済新聞「整備新幹線で大盤振る舞いするときか」
国土交通省は29日、整備新幹線の3区間の着工を認可した。消費増税法案が衆院を通過した直後である。こんな時期に総事業費が3兆円を超す大型公共事業を認めるという民主党政権の対応は理解に苦しむ。(中略)
 民主党政権はこれまで公共事業予算を削減し、様々な大型事業を凍結してきた。しかし、4月に高速道路の建設再開を認めたことに続く、整備新幹線の新規着工だ。「コンクリートから人へ」という理念を捨て、ばらまき政策に転換したと判断せざるを得ない。
 今後、老朽化したインフラの維持・更新費が膨らむだけに、新規に着手する事業は徹底的に絞り込む必要がある。整備新幹線は優先度が高い事業とは言い難い。
 おかしいのは民主党だけではない。自民党も10年間で200兆円の投資を見込む国土強靱(じん)化基本法案を今国会に提出している。災害に強い国土づくりを掲げているが、その内容をみると旧来型の公共事業が並んでいる。
 国民に増税への理解を求めなければならない今、こんなありさまでいいのか。公共事業費を抑える手綱を緩めてはならない。』

「おかしいのは民主党だけではない」
 などと日経は書いているが、おかしいのは自民党でも民主党でもなく、上記の記事を書いた記者自身である。「公共事業費を抑える手綱を緩めてはならない」と結んでいるが、図161−1の通り、日本の公共事業費はピーク時の半分だ。戦争か内戦でもやっていない限り、公共事業費が延々と減り続けている国など、世界で日本だけだ。
 いったい日本の公共事業費は、どこまで減らせばいいというのか。というよりも、そもそも「減らす前提」で記事を書いている時点で、上記の日経の記事は「イデオロギー的な公共投資・公共事業否定論」であると断ぜざるを得ない。
 繰り返すが、現在の日本はデフレであり、国内には運用先のないお金で溢れている(ゆえに金利が極めて安い)。政府が大規模な公共投資を実施する環境として、現在の日本よりも有利な国は他に存在しない。
 さらに、我が国は独自通貨国なのである。デフレギャップを埋めるために、政府が公共投資で需要を創出すると「金利が上がる!」「国の借金が増える!」というのであれば、単に日銀が国債を買い取れば済むだけの話だ。日本銀行は日本政府の子会社である。日本銀行が国債を買い取る形で資金を供給すれば、政府の実質的な負債は増えない。
 日銀が国債を買い取ると、インフレ率が上昇すると批判する愚かな論者も少なくない。そもそも筆者は、日本を「デフレから脱却させよ」と主張しているわけだ。デフレから脱却するとは、すなわちインフレ率を上昇させるという話だ。「日本経済を健全なインフレに戻せ」と提言しているにも関わらず、「そんなことをすると、インフレになる!」と反論されるわけだから、呆れて感想の言葉が出てこない。
 いずれにせよ、デフレに悩む現在の日本にとって、公共投資の拡大は必須である。イデオロギー的な公共投資否定論に対しては、今後も 断固として反論を続けたい。
http://www.gci-klug.jp/mitsuhashi/2012/07/03/016244.php  

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