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日本とスペインに続く低賃上げ率の米国―雇用悪化でオバマ再選に陰り
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投稿者 MR 日時 2012 年 7 月 18 日 18:32:07: cT5Wxjlo3Xe3.
 

(回答先: 米FRB議長が追加緩和の用意あると表明 新たな手掛かり示さず   伊シチリア州、デフォルトする重大な懸念 投稿者 MR 日時 2012 年 7 月 18 日 06:52:44)

【肥田美佐子のNYリポート】

日本とスペインに続く低賃上げ率の米国―雇用悪化でオバマ再選に陰り

2012年 7月 16日 17:08 JST

 11月6日の大統領選まで4カ月を切った。今春には、雇用状況の改善をバックに景況感も一気に上向き、オバマ大統領の支持率も上昇。当時、共和党候補に事実上確定したミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事を大統領が地滑り的勝利で破る、と予想する声も多かった。

 だが、ここにきて、オバマ大統領の足元が少しぐらつき始めている。5月、6月と、ロムニー氏が、オバマ陣営を上回る選挙資金を集めたことに加え、2カ月続きで、米雇用統計がふるわなかったためだ。

 6月の米雇用統計(7月6日発表)によると、非農業部門の就労者数は8万人増にとどまり、失業率も、5月と変わらず8.2%だった。今年第2四半期(4〜6月)の就労者数の増加は、月平均、わずか7万5000人だ。

 大不況突入から、はや4年半以上。この間、米国で消えた雇用は800万を超えるが、戻ったのは、その半数にも満たない。

 雇用・競争力に関する大統領諮問委員会は、失われた雇用を取り戻し、労働人口の増加に追いつくには、2020年の終わりまでに2000万人の雇用を生み出さねばならないと見積もる。そのためには、今後、毎月、20万人以上の雇用増が必要だが、その半分にも届かないのが現状だ。マサチューセッツ工科大学(MIT)経営大学院のトーマス・A・コーカン教授によれば、労働市場の自己回復を待っていたのでは、ギャップが縮まるどころか、差が拡大するだけだという。

 「これは国家の非常事態である。ただ、われわれが、そう認めるだけの勇気を持ち合わせていないだけだ」と、同教授は、最新の雇用統計を踏まえ、警鐘を鳴らす。「今こそ現実を認め、企業や労働・教育機関、地域社会、そして、政府の指導層に対し、国や子供たちの未来のために、この問題に焦点を絞るよう求めるべきだ」

 コーカン教授は、6日の雇用統計発表に先立ち、7月2〜5日にかけて米東部フィラデルフィアで開かれた国際労働雇用関係学会(ILERA)世界会議の総会でも、米労働市場の危機と回復に向けたイニシアチブの必要性を訴えた。筆者も取材に駆けつけたが、同教授は、世界中から集まった労働問題の専門家を前に、米政府がインフラ投資などの追加景気刺激策を行うべきだと提唱。また、ワシントンでの政治的こう着などにより、多くの労働雇用政策が立ち往生し、賃金も抑制されがちだと、指摘した。

 実際のところ、米労働省が6月28日に発表した統計によれば、2011年第4四半期の全米週平均賃金は、前年同期比で1.7%減の955ドルと、今も下がり続けている(ニューヨーク市は1889ドル)。最大の下落率を記録した中西部ミネソタ州オムステッド郡では、21.3%(279ドル)も落ち込んだ。

 ニューヨーク州に限れば、今春以降、以前取材した米国人のなかには、レイオフ後1〜2年で、何百通という履歴書を送った努力が実り、再就職した人も増えてきた。とはいえ、優に20年を超えるキャリアを持ちながら新卒レベルの年収に戻った男性や、体力的にきついシフトになった50代男性など、条件が悪化した人も多い。

 報酬や諸手当など、国際的な雇用労働環境について研究する米非営利組織「ワールド・アット・ワーク」が今月4月、米欧日やインド、中国など、世界13カ国の人事担当者、約4300人を対象に行った調査によれば、米国の2013年推定給与上昇率は、最下位の日本(2.7%増)と、25%近い高失業率にあえぐスペイン(2.9%増)をかろうじて上回る3%増で、13カ国中3番目に低かった。今年の賃上げ率より0.2ポイント増える見込みとはいえ、企業が慎重な姿勢を崩していないのが分かる。

 米大手製薬会社からニューヨークの米プラスチックメーカーに転職し、中間管理職として働く40代の米国人男性は、米大手製薬会社でレイオフされた元同僚の多くは引退か再就職をしたが、失業期間が長引いたり、職種を変えたりした人が少なくないと、電話口の向こうで話す。現在勤務する会社の取引先企業のなかにも、依然として在庫を最小限にとどめたり、少ない社員でやり繰りしたりと、様子見のところが多いという。

 景気に対する米勤労者の自信も下降気味だ。ワールド・アット・ワークが6月に行った調査では、米国の働く人々の「自信指標」は、3カ月連続で下落した。経済が上向いていると考える人は24%にすぎず、昨春より景況感が後退した。今年上半期に雇用増を実感した人はわずか19%で、約半数が、雇用はむしろ減っていると答えている。

*****************

肥田美佐子 (ひだ・みさこ) フリージャーナリスト


Ran Suzuki
  東京生まれ。『ニューズウィーク日本版』の編集などを経て、1997年渡米。ニューヨークの米系広告代理店やケーブルテレビネットワーク・制作会社などにエディター、シニアエディターとして勤務後、フリーに。2007年、国際労働機関国際研修所(ITC-ILO)の報道機関向け研修・コンペ(イタリア・トリノ)に参加。日本の過労死問題の英文報道記事で同機関第1回メディア賞を受賞。2008年6月、ジュネーブでの授賞式、およびILO年次総会に招聘される。2009年10月、ペンシルベニア大学ウォートン校(経営大学院)のビジネスジャーナリスト向け研修を修了。現在、『週刊エコノミスト』 『週刊東洋経済』 『プレジデント』『ニューズウィーク日本版』などに寄稿。『週刊新潮』、NHKなどの取材、ラジオの時事番組への出演、日本語の著書(ルポ)や英文記事の執筆、経済関連書籍の翻訳にも携わるかたわら、日米での講演も行う。翻訳書に『私たちは“99%”だ――ドキュメント、ウォール街を占拠せよ』、共訳書に 『プレニテュード――新しい<豊かさ>の経済学』『ワーキング・プア――アメリカの下層社会』(いずれも岩波書店刊)など。マンハッタン在住。 http://www.misakohida.com

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http://jp.wsj.com/US/Economy/node_478510?mod=Center_Column  

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