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金利低下でQE3実施に「副作用」、日銀も同じ環境 米FRB議長の議会証言 米国はLIBOR懸念に迅速に対応
http://www.asyura2.com/12/hasan76/msg/900.html
投稿者 MR 日時 2012 年 7 月 19 日 05:19:21: cT5Wxjlo3Xe3.
 

コラム:
金利低下でQE3実施に「副作用」も、日銀も同じ環境

田巻 一彦

[東京 18日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長による17日の米上院における証言内容から明らかになったのは、量的緩和第3弾(QE3)への慎重な姿勢だ。

米長期金利は16日に一時、過去最低水準の1.442%まで低下しており、長めの金利の低下を促すというQE3の目的は、すでに達成されているとも言える。ここから米国債やモーゲージ担保証券(MBS)を購入していけば、副作用が効果を上回るリスクが高いとみているのではないか。日本でも長期金利がすでに0.7%台に低下しており、日銀もFRBと似た状況に直面しつつある。

<今回も量的緩和政策のコスト指摘したバーナンキ議長>

バーナンキ議長は、「何もすることがなくなった」とは絶対に言わないという「中銀のルール」にしたがって、この日の証言の中で追加緩和の具体的な選択肢に言及した。証券買い入れプログラムの可能性を認め、対象として米国債もしくは米国債とMBSの組み合わせの例を挙げた。さらにコミュニケーションの利用にも触れた。これはゼロ金利政策の時間軸延長を指示している可能性が高い。超過準備金利引き下げの可能性にも言及した。

しかし、バーナンキ議長は「それぞれに利点とコストがあり、検討する上で重要な点だ」と付け加えた。6月20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見でも「一段の措置を講じる用意がある」と示しつつ、「市場機能や金融安定、解除のプロセスという点で、様々なコストとリスクがある」と指摘した。コストやリスクを強調している点は、6月20日と変わるところがない。17日の証言では、非標準的な政策措置の発動について「軽率に利用されるべきはない」とも述べた。QE3実施へのハードルは、依然として相当に高いと考える。

<米長期金利の低下、QE3の効果を先取り>

私は、バーナンキ議長がQE3に慎重なスタンスを示している背景には、米長期金利の大幅な低下現象があると指摘したい。10年米国債利回りは16日に一時、1.442%と過去最低水準に並ぶところまで下がった。17日はバーナンキ議長の証言を受けて、1.5%台に上昇したものの、過去最低水準の付近で推移していることに違いはない。

量的緩和政策の効果について、バーナンキ議長は長めの金利を低下させ、その効果を起点に米経済拡大のモメンタムを強めことが政策目的であると表明している。米国債を購入することで通貨供給量を大幅に増やすことが直接的な目的ではなく、長期金利の低下がもたらすプラスの経済効果の有効性に着目しているわけだ。

<QE3の副作用、効果上回る可能性>

とすれば、過去最低水準に下がっている米長期金利は、QE3発動時に期待されている効果を、すでに出しているのと同じではないだろうか。ここからQE3を実施し、さらに長期金利を押し下げると、米国のイールドカーブはかつてないフラット化の形態を取り、銀行の収益基盤は弱体化し、かえって貸出に消極的になるというデメリットも出てくるだろう。

さらに11月の米大統領選を前に、量的緩和政策に反対している共和党がFRBを攻撃し、金融政策が政治にもみくちゃにされるというリスクも意識せざるを得ない。中国やブラジルなど新興国の根強いQE3への反感もある。効果と副作用を比較した場合、今の経済情勢でQE3に踏み出す可能性は極めて低いと予想する。

<日本でも低下続ける長期金利>

実は、日本でも似たような環境に直面しつつある。日銀の白川方明総裁は、資産買取基金を使った日銀の追加緩和手法の目的について、長めの金利に働きかけることだと述べてきた。これは、長めの金利が下がることで、資金調達サイドの調達金利が下がり、必要な主体に十分なマネーが供給され、そのことで経済活動が活発になることを目指していると言える。

また、緩和政策の効果は、日銀の緩和政策の結果として膨れ上がったマネーの量ではなく、金利水準で量るべきだと白川総裁は何回も述べている。10年最長期国債利回りは0.7%台半ば近くまで低下。メガバンクの平均調達金利とみられている0.85%を下回っており、すでに「異常に低い水準」と言ってもいいだろう。

<日銀総裁は、毎月緩和を強化と指摘>

白川総裁は今月12日の金融政策決定会合後の会見で、日銀は先々の資産買入等について予めコミットしており、それに沿って間断なく金融緩和を強化し「今月(7月)も金融緩和を強化している」と指摘した。

今年2、4月の追加緩和によって、資産買入の合計額を毎月増やしており、その意味で日銀は毎月、着実に金融緩和を強化しているということを強調した。白川総裁の目から見れば、金融緩和が毎月強化されているから、長めの金利に働きかける効果が出て、長期金利がじわじわと下がっていると映っているのかもしれない。

<金融政策の制約、資本主義行き詰まりの象徴か>

そうだとすれば、FRBと同様に日銀も近々、追加緩和を選択する余地は極めて小さいのではないか。欧州債務危機の深刻化に端を発した世界的なリスクオフ心理の強まりは、米、独、日で長期金利の低下をもたらし、そのことが日米で一段の追加緩和を実施したのと同じ効果を現出させたと見ることができる。

世界的にマーケットでは、株価の下落や景気の調整色が強まると、条件反射のように金融緩和を求める声が強まるが、市場の期待通りには展開しにくい構造変化が、足元で起きている。言い換えれば、リーマンショック後の資本主義は、いよいよ袋小路の"どん詰まり"に差し掛かろうとしているように見える。これまで通りの教科書的な対応で、何でもやり過ごす時代は終わろうとしている。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYE86H04A20120718?sp=true



バーナンキ米FRB議長の議会証言での発言要旨
2012年 07月 19日 03:52

トップニュース

米バンカメ第2四半期は黒字転換、費用削減や引当金減少が寄与
米週間住宅ローン申請指数は大幅上昇、借り換え需要の急増で
ルイ・ヴィトンが上海に新店舗、「一点物」で超富裕層に焦点
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[ワシントン 18日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は18日、下院金融委員会で半期に一度の金融政策報告を行った。証言原稿は17日に上院で行った証言とほぼ同じ内容だった。質疑応答での発言内容は以下の通り。

<インフレ目標引き上げのマイナス面>

FRBがインフレ目標を例えば約4%に設定し、それを何年にもわたり維持すべきとの声があることを認識している。しかしインフレの制御を失わず、それができるとは考えない。また、それによって企業や家計の信頼感が高まることにも懐疑的だ。金融市場に多くの問題を招くことにもなるとも考える。そのため、連邦公開市場委員会(FOMC)内で多くの支持を得られる戦略とは考えない。

<量的緩和の限界>

FRBが購入できるのは国債や政府機関債に限られており、量的緩和は慨して期間が長めの国債・政府機関債が対象となる。そのため、買い入れが可能な規模には限りがある。またFRBが過度に国債・政府機関債を保有することになれば、市場の機能に多大な悪影響を与え、政策の有効性を弱めるという結果を招きかねない。現時点ではそのような事態には至っていないが、最終的には限界がある。

(限界にどの程度近いかを示す)数字は持っていないが、現時点では限界には達していない。

<現在のLIBORシステムに代わるもの>

全てが採用されたわけではないが、ニューヨーク連銀は改革に関して何点か提案を行っている。

市場に基づいた指標に代えることが、1つの方法として挙げられる。FRBは特定の指標を支持していないが、例えば、レポ金利、いわゆるOIS指数や、財務省短期証券(Tビル)利回りなど、数多くの選択肢が存在する。

<プライマリーディーラーの排除>

(ニューヨーク連銀はプライマリーディーラーを排除することができるのかとの質問に対し)プライマリーディーラーの誠実性や適性について疑念があれば、当然排除することはできる。

<ユーロ圏の安定>

(ユーロ圏が)長期的な解決策に近づいているとは思わない。長期的な危機対策が講じられない限り、金融市場の不安定さは続くだろう。

<金融政策の限界>

金融政策は、長期的な経済成長に向け、多くのことはできない。われわれにできることは、需要減退により経済が停滞している時に、問題緩和に向け努力することだけだ。

金融危機により経済が潜在的な水準に戻るまで時間がかかっている。われわれは、経済を潜在的な水準に回復させるために、追加的な支援を提供しようとしている。

しかし中長期的には、経済の一段の健全化と成長促進に対し、金融政策は何も行うことはできない。ただ、物価上昇を抑制することはできる。われわれはそうすることにコミットしている。 <インフレは問題にはならず>

(経済回復に伴いインフレは問題になるかとの質問に対して)問題にはならない。これまでの措置を巻き戻す方法、解除の仕方、どうやってシステムから資金を吸収し利上げを行うかをわれわれは心得ている。

これまでFRBが利下げを実施し、景気回復を支援した時の事例と似たパターンになるだろう。自律回復の局面に来れば、FRBは後ろに下がり、パンチボウルを片付ける。これは可能であり、時期が来れば実施する。

<金融政策監査に関する法案>

「FRBの監査」という言葉は国民に誤った印象を与えかねない。あたかもFRBの帳簿や決算内容を審査し、不正がないかチェックするかのようだ。これらの情報は(すでに)すべて開示されている。

同法案に関して極めて重大だと考えているのが、金融政策および協議に対する監査の例外規定の廃止だ。

私が考えている悪夢のシナリオはこうだ。例えば将来のFRB議長が25ベーシスポイント(bp)の利上げを決定したとする。それに対し議員が「その決定は気に入らない。政府監査院(GAO)による介入を望む。GAOが全ての記録、発言録、判断材料を検討した上で、(FRBの)決定が正しいか独自の意見を示すことを求める」と主張することだ。

これは萎縮効果を生む。政治的な影響を受けず独立したFRBの運営は非常に重要であり、低水準のインフレと健全な通貨を持つ経済を実現する可能性がはるかに高いことが過去の事例からも証明されているが、それを妨げることになる。

<財政>

より段階的なアプローチが必要だ。財政再建に努めるなと言っているわけではなく、全てが1日で行われないことを望んでいる。

<拙速な利上げ>

低金利は投資・貯蓄の利息に頼って生活している人々に打撃を与えるという懸念があることは、十分承知しており、気の毒に思う。投資や資本全体に関して高いリターンを得るには、健全な経済が必要だというのが私の見解だ。拙速な利上げを行い、経済がリセッション(景気後退)入りすれば、年金基金やその他の投資に対し高いリターンが得らるような状況ではなくなる。

<金本位制>

金本位制は、人々が日々購入する財やサービスの価格の安定性ではなく、金価格そのものの安定性を意味している。

<リセッションが差し迫っているか>

現時点で米経済が二番底に陥るとは予想していない。経済は緩やかに成長を続けている。ただ、雇用情勢の改善継続を確実にすること、少なくとも確実にするためにすべての措置を講じることにコミットしている。わわれはこれまでにも、雇用面の回復継続を確実にするために必要な行動をとる用意があると表明してきている。

<「財政の崖」の回復への影響>

増税や歳出削減を合わせた影響の規模は、国内総生産(GDP)の5%近くに相当する。これらが同時に起これば、成長に大規模なマイナスの影響を及ぼす。持続性(に絡む問題)に対処する長期的な計画を伴う一段と段階的なアプローチを兼ね備えることが重要だ。

<財政問題への取り組み>

財政をめぐる決定の基盤とされる10年という期間を超える問題に目を向けると同時に、(現在の)行動がこれよりも長い期間において、どのような影響を及ぼすかを少なくとも考慮することを提案する。これは、財政および金融の安定に極めて重要であると同時に、議会ができる限り早く長期財政状況の安定化に向けた信頼の置ける計画を打ち出すうえで重要となる。

<2つの責務>

インフレ率は低水準で2%の目標を下回っている。2つの責務はFRBに役立っていると考えている。両方に対応する能力をわれわれは有している。とはいえ、議会が求めるいかなることにもわれわれは応じていく。低インフレは、長期的には健全な雇用に寄与することから、2つの責務は補完的な関係にあるといえる。

<規制改革のメリット>

不透明要因から規制と税を除外するつもりはない。これらに関する規制の一部は、信用コストに何らかの影響を及ぼす可能性がある。しかし金融危機のリスクを軽減する意味ではメリットが極めて大きく、コストがどのようなものであっても、それだけの価値があることが多くの分析によって示されている。

<FRB監査法案>

現行法では、GAOの監査対象に重要な例外がひとつ設けられている。それは金融政策に関する協議や決定に関するものだ。

FRBの監査法案は、この金融政策の協議・決定に関する例外を撤廃しようとしている。

例えばFRBの金利決定を監査するよう議会がGAOに要請することが事実上可能になるだろう。

これは懸念すべきことだ。なぜなら、政治的な圧力ではなく、経済状況を厳密に考慮して決定を下す独立した中銀は、より低水準のインフレを達成するとともに、長期的により良い経済状況を実現するということが、多くの例から証明されているからだ。


http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE86H01020120718?sp=true

[ワシントン 17日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は17日、上院銀行住宅都市委員会で半期に一度の金融政策報告を行った。証言内容は以下の通り。

◎証言原稿

<追加措置に対するFRBの意欲>

失業率押し下げのペースの緩慢さ、および経済成長見通しへの下方リスクをめぐる懸念を反映し、連邦公開市場委員会(FOMC)は6月会合の声明で、物価安定の下で一段と強い景気回復と持続的な雇用市場の改善を促進するため、適切に追加措置を講じる用意があると明確に表明した。

<労働市場>

こうした雇用創出の勢い喪失は、季節調整や異例の暖冬に関連した要因で一部説明することができる。ただし、一部にすぎない。

<消費者信頼感>

現在はエネルギー価格の下落が消費者の購買力をある程度下支えしているが、家計は雇用や収入の見通しになお懸念を抱いており、全体的な信頼感は依然として比較的低い。

<回復への逆風>

一部の企業と家計の借り入れ状況のひっ迫、財政政策の抑止効果、財政面の不透明性といったかなりの逆風により、国内経済の回復は引き続き抑えられている。

<欧州がもたらすリスク>

欧州の金融市場と経済は、依然強く圧迫されており、米国を含む他の地域の金融・経済状況に影響が及んでいる。欧州情勢はさらに悪化する可能性があり、依然として見通しへの大きなリスクとなっている。

◎質疑応答

<LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)操作は犯罪行為か>

私が見聞し、知っていることを基に判断すると、そのように思われる。

<欧州当局者の危機対応>

われわれは、なんとかしのいでいる状況にあるもようだ。これは誰にとってコストが高くつくことになり、米国よりも欧州のほうが痛手が大きい。

欧州はすでにリセッション(景気後退)入りしている。少なくとも多くの欧州諸国はすでに景気後退下にある。

私が目にしてきた事実に基づくと、(欧州債務危機の解決には)相当な時間を要するもようだ。なぜなら欧州が取り組んでいる構造・制度改革は一夜にしては実現しないからだ。

<銀行の粗悪な慣行>

多くの悪い業務慣行が横行していると私も思う。その多くは危機時に関連している。

これらの問題に対処することが重要だ。

非常に近視眼的で、顧客との長期的な関係構築や長期的な商品を持つためのやり方ではない。

<バーゼルの資本基準めぐる一段の協議に前向き>

国際的な基準とおおむね一致する(銀行の)資本基準を設定することがわれわれのアプローチだ。しかし、われわれは常に(同案件をめぐる)一段の協議にオープンであり、資本基準引き上げがどのように信用システムに効果をもたらしていくかを見極めていく。

<LIBOR算出システムの改革>

LIBORは英国銀行協会(BBA)が算出しており、約10種類の通貨について算出されているため、国際的な取り組みが必要となる。

改革には大きく2つの方法がある。1つの方法として、銀行やトレーダーがLIBOR全般に影響を与える余地を低下させるために透明性を高め、さらに(各行が)金利を報告する際の監視を強めることが挙げられる。

もう1つは、多くの人が考えていることだが、報告に基づいて決定される金利から、監視可能な市場金利としての指数に移行させることだ。最終的にLIBORの代替となり得る進歩的な金利も数多く存在している。

LIBORはさまざまな契約に深く関わっているため、変更は簡単に行えるものではない。

<最近のインフレ率、ドルの動き>

われわれが責務に基づき実現しようとしているのは、経済の強化であり、ひいてはこれが投資先としての米国の魅力を高め、対米投資のリターンを改善させる。

まだインフレは見受けられない。ドルは実際、このところかなり上昇している。

われわれはインフレを脅かすことなく、これらの政策を解除する手段を有していると安心している。

<インフレ・デフレのリスク>

現時点でインフレリスクは比較的低いと考えている。誰もが同意見ではないが、個人的にはそのリスクは今のところ適度に低いとみている。実際その逆に向かう、つまりデフレサイドへのリスクが、大きくはないがわずかにある。

<FOMCが注視すること>

労働市場における持続的な進展があること、また、デフレリスクを回避することが非常に重要だ。FOMCが今月末、次いで夏の終わりに開かれるが、これらの点が注視される。

<景気支援の手段>

多くの選択肢があり、どれか1つを選んでいるというシグナルを送りたくない。ただ論理的には異なる種類の証券買い入れプログラムの可能性があり、米国債、もしくは米国債とモーゲージ担保証券(MBS)を対象とするプログラムが含まれる。この2つはFRBが購入を認められている証券だ。

融資目的にプライマリー貸し出しを活用することも可能だ。

金利やFRBのバランスシートに関する今後の政策方針について、コミュニケーションを利用することもできる。

過去に超過準備金利引き下げの可能性についても協議した。

こららが取り得る手段だ。それぞれに利点とコストがあり、検討する上で重要な点だ。

<非標準的な政策措置を発動する際の検討事項>

軽率に利用されるべきではない。ただ、自分自身の見方では、こうした非標準的な措置は、依然として経済を支援する能力を有している。

(利用を)検討するにあたり、以下の2点を注視する。第1点目は、声明でも述べた通り、労働市場で継続的な回復が見られているかどうか。これは当然、FRBに課された責務の雇用最大化を指している。第2点目は物価安定で、特にデフレリスクを注視する。

<追加緩和の有効性>

追加緩和の有効性について、エコノミストの意見は分かれている。追加緩和およびツイストオペと呼ばれる手段は、金融市場の緊張緩和と景気促進に効果を発揮したと私は分析している。

QE2(量的緩和第2弾)は、2010年秋頃に懸念すべき水準まで台頭しつつあったデフレに対応する上で明らかに効果的だった。

私とFRBのアナリストは、QE2が景気促進にも寄与したと考えている。

有効性をめぐる判断は、これらの措置を講じなかった場合の状況をどう予測するかによるため難しい。

<LIBORはさらなる改革必要>

BBAは、ニューヨーク連銀の提案の多くを採用せず、比較的小規模な変更にとどめた。もはや危機下にはないため、現在では懸念は後退している公算が大きい。

LIBORが金融契約の基準であり続けると仮定し、私はLIBORの(算出)プロセスに関し、一段の改革を求める。

<LIBORシステムの欠陥>

これまでに分かっている以上に、LIBORシステムに構造的な欠陥があるのは明らかであり、こうした欠陥に対処しようとする反応が一部で見られた。

<デリバティブの小口エンドユーザーへの新規制適用除外>

法律上、何らかの証拠金差し入れを義務付ける必要があると考える。信用取引に絡むクレジットリスクが十分小さいとみられる場合には例外措置を認めることで、可能な限り影響を軽減しようとした。したがって、多くの小口エンドユーザーは実際のところ、新たな規制の適用が除外される。

<LIBOR問題と市場における信頼感>

これまでに明らかになったトレーダー、および銀行の行動は、それ自体に大きな問題があるだけでなく、金融市場における信頼感に悪影響を及ぼしている。

<LIBORシステムの欠陥に関する報告>

2008年5月1日に、(当時NY連銀総裁だった)ガイトナー氏が、財務省、FRB、米商品先物取引委員会(CFTC)、証券取引委員会(SEC)などで構成される大統領の作業部会に対して報告を行った。

関連するすべての政策当局者と規制当局に、入手した情報を伝えるための積極的な努力がなされた。

*<欧州当局者の危機対応>の誤字を修正して再送しました。
http://jp.reuters.com/article/jp_fed/idJPTJE86G00V20120717?sp=true

FRB議長:LIBORの代替指標、多くの市場金利に可能性

 7月18日(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長はロンドン銀行間取引金利(LIBOR)に代わって、多くの市場金利が貸付金利の指標となり得るとの考えを示した。
バーナンキ議長は18日、下院金融委員会の公聴会で「現行のLIBORシステムには依然として問題が残る」と指摘。「実際の銀行間取引を反映したものとなっていない」と述べた。
同議長はまた、「一つの戦略として、市場に基づく指標を用いることだ」と提案。具体的にどの金利を支持するか言及は避けたものの、可能性として「レポ金利、オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)、あるいは米短期証券(TB)レートもあり得る」と続けた。
原題:Bernanke Says Market-Based Rate Could Replace Libor asBenchmark(抜粋)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M7D9JN6JTSEL01.html



米国はLIBOR懸念に迅速に対応=財務長官
2012年 07月 19日 03:28

[ニューヨーク 18日 ロイター] ガイトナー米財務長官は18日、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)不正操作をめぐる問題で、懸念が出始めていた2008年に、米当局として早い段階で強く改革を求めたとし、自身の対応を擁護した。

ガイトナー長官は、CNBCが主催する機関投資家の会合で、LIBORをめぐる問題の解決は英当局だけに委ねられているわけではないと指摘。当時ニューヨーク連銀総裁だった長官が行った、改革に向けた提案に対し十分な対応がとられなかったとの認識を示し「われわれは、LIBOR算出プロセスに欠陥があり不当な数値になりやすいとの懸念に対し、非常に早い段階で対応した」と言明した。

その上で「当時の米国の提案に応じて小規模な改革が行われたが、十分ではなかった。われわれは現在、確実に(改革を)推進するため、この問題に重要な利害関係のある全ての国が関与する形で規模を拡大して対処すべく、率先して取り組んでいる」と語った。

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LIBOR問題、英中銀総裁「2週間前まで把握せず」 2012年7月18日
LIBOR操作問題について「2週間前まで」把握せず=英中銀総裁 2012年7月18日
英中銀、08年に米財務長官からLIBOR改革の提言受ける 2012年7月14日
英中銀、08年に米財務長官から提言受ける LIBOR改革めぐり 2012年7月14日
米財務長官、2008年にLIBOR問題について英当局に提言=報道 2012年7月13日
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE86H00K20120718
 

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01. 2012年7月19日 12:41:04 : 3CNLte9sGM
米郵政公社、デフォルトに近づく−議会に行動訴え
2012年 7月 19日 11:09 JST

 業績低迷が続く米郵政公社(USPS)をどう再編するかをめぐる連邦議会での議論が長引く中で、同社の資金繰り問題は悪化の一途をたどっている。

 郵政公社は18日、議会が何らかの措置を講じなければ、将来の退職者向けの医療保険基金に対して法的に義務付けられている年間55億ドル(約4334億円)の支払いが期限の8月1日までにできず、デフォルト(債務不履行)に陥ると改めて強調した。下院が8月の休会に向けた準備を進めているため、議会が行動する可能性は低い。

 郵政公社は、この支払い(2011年分)が滞ってデフォルトになっても、サービスに直接の影響が出ることはなく、従業員や納入業者への支払い能力にも問題は生じないとしている。しかし、同社の広報担当者は「こういった流動性をめぐる問題が続くことで、郵政公社の存続に対する顧客の信頼が不必要に損なわれてしまう」と述べている。

 郵政公社に抜本的な再編が必要だという点では、ほぼみなが同意している。同社は2012年度第2四半期(1〜3月)に32億ドルの損失を計上した。第3四半期の決算は8月9日に発表される。同社は郵便物の取り扱い量が減っていることや、議会が06年に将来の退職者向けとして年間数十億ドルを留保することを義務化したことなどを不振の要因に挙げている。上院は郵政公社の改革法案を可決したが、下院は8月の休会後まで下院自身の案を審議する予定はないとしている。

 上院と下院の対応には大きな差がある。上院は4月、郵政公社の財務基盤強化などを目指した法案を超党派で可決した。この法案は、連邦職員年金システムに超過支払いしていた推計109億ドルを郵政公社に戻すなどを盛り込んでいる。しかし、郵政公社が郵便局を閉鎖したり、土曜の配達をやめたりする権限を制限している。

 一方、下院の共和党指導部は、民間企業に近い経営を郵政公社に義務付ける法案を支持するとし、具体的には軍隊型の基地閉鎖委員会のようなものを設立して郵便局を閉鎖することなどを提案している。しかし、農村地域選出の一部の下院議員は、民主・共和を問わず、地元選挙区の郵便局が閉鎖されることを憂慮している。

 下院法案の提案者であるデニス・ロス下院議員(共和、フロリダ州)の首席補佐官フレデリック・ピッコロ氏は、上院の法案は下院案にあるような「抜本的な包括改革」が欠如しているとし、下院としてはそのような上院案の財務救済は検討しないだろうと述べた。そして「下院案は十中八九、8月の休会前に表決されないだろう」と話した。

 これに対し、上院の法案の共同提案者であるトム・カーパー上院議員(民主、デラウェア州)の事務所は18日、「改革法案が可決されないまま1日が過ぎるたびに、郵政公社は一歩崩壊に近づく。そして残念なことに下院の指導部は崩壊を覚悟しているように見える」と述べた。

 郵政公社はまた、9月末までに議会が行動しなければ、9月30日に期限の到来する2012年分の退職者健康保険支払い(11年分と同じく約55億ドル)についてもデフォルトに陥るだろうと警告している。

記者: Jennifer Levitz

 

米経済、住宅市場は改善−製造業者、消費者とも慎重姿勢
2012年 7月 19日 9:41 JST
記事
 
 米経済は、住宅部門がようやく息を吹き返したものの下降を続けている。

 商務省が18日発表した6月の住宅着工件数は、前月比6.9%増の年率76万件と、ほぼ4年ぶりの高水準となった。しかし、米経済のその他の部門は軟調だ。消費支出は弱く、製造業も不振で、企業は設備投資にますます慎重になっている。大半のエコノミストは、今年第2四半期の実質成長率は、第1四半期の1.9%から大きく落ち込むと予想し、先行きは暗いとみている。

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AFP/Getty Images
住宅の建設現場(7月、ロサンゼルス)
 このため、連邦準備制度理事会(FRB)に対する追加の金融緩和圧力は高まっている。バーナンキFRB議長は17日の議会証言で、FRBは成長下支えのため新たな措置を講じる「可能性は当然ある」としながらも、詳細については明らかにしなかった。

 同議長は住宅部門については、明らかによくなっているとする一方、積み上がった在庫が今後数カ月間市場に放出され、価格が一段と下落する可能性があることや、住宅ローンの借り入れ条件が厳しくなっていることなど、依然としてさまざまな障害があると指摘、慎重な見方を示した。

 バージニア州にある製造業の調査団体「生産性と技術革新のための製造業者連合」の主任エコノミストであるダニエル・メックストロス氏は、「成長はかなり緩慢になっている」と述べる。同氏によれば、製造業と輸出部門が過去2年間米国の景気回復を引っ張ってきたが、欧州や中国などの新興国の成長が鈍化しており、今年はこれまでのように世界の成長に貢献することはないだろうとみている。

 投資銀行ウエストウッド・キャピタルのダニエル・アルパート取締役社長は、住宅着工の大幅増加について、「住宅建設は景気下降期に大幅削減されていたので、住宅着工の増加で建築業者は恩恵を受けるだろう」と語る。しかし、景気下降期だった2007、08の両年の住宅建設の削減は最大でGDPの1%ポイント相当に達した。ムーディーズ・アナリティクスは、今年の建設増はGDPを0.3%ポイント程度かさ上げするだけと試算している。

 一方、米国の住宅価格総額は06年のピーク時から7兆ドル(約550兆円)弱減少し、1100万人以上の人が住宅を担保にした借り入れ(ホーム・エクイティー・ローン)残高の方が住宅評価額を上回っている状態。

 このため、住宅関連で明るいニュースが出てきても、景気見通しは暗さを増している。16日発表された6月の小売り売上高は、3カ月連続の減少に見舞われ、7月の消費者信頼感は昨年12月以来の低い水準に落ち込んだという統計も出ている。消費者は、ガソリン価格の下落にもかかわらず、支出を抑え貯蓄しようとしているようだ。

米国の製造業は、国内の需要低迷と海外の経済混乱の影響を受けている。FRBが17日発表した6月の鉱工業生産指数の製造業部門は0.7%増だったが、今年第2四半期では年率伸び率は1.4%で、前期の9.8%から急減速している。

 メックストロス氏は、今年下半期の製造業の成長率について2〜3%にとどまると予想し、米経済全体の成長率は年率約2%で、失業者の増加を抑えるには不十分との見通しを示す。JPモルガン・チェースのエコノミストも、今年第3四半期の実質GDP伸び率予想を2%から1.5%へと下向きに改定した。

 エコノミストらは、消費者、生産者とも萎縮している大きな理由として、労働市場の不振を挙げる。6月の非農業部門雇用者数はわずか8万人の増加で、今年第2四半期は、四半期ベースでは2010年に労働市場が回復に向かい始めて以降で最低の伸びにとどまった。

 FRBは18日発表した地区連銀景況報告で、「全地区で住宅市場に関する報告はだいたい前向きだった」とする一方、「雇用水準は大半の地区で緩慢な改善しかみせていない」と、住宅とその他部門との相違に注目した。同報告は、「企業は財政政策をめぐる不透明性か、もしくは需要軟調を理由に雇用に慎重な姿勢をとっている」と指摘した。

記者: Neil Shah、Jie Jenny Zou、Nick Timiraos

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