★阿修羅♪ > 経世済民77 > 113.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
なぜオリンパス事件の特報は、日経出身だったのか・・「調査報道」を怠る垂れ流しPAPERcomの現状に背を向け
http://www.asyura2.com/12/hasan77/msg/113.html
投稿者 墨染 日時 2012 年 7 月 21 日 08:10:34: EVQc6rJP..8E.
 

http://president.jp/articles/-/6709

月刊誌「ファクタ」でオリンパスによる損失隠しの実態を暴き、3月に「雑誌ジャーナリズム賞」の大賞を受賞した山口義正氏。水面下で内部告発者とパイプを築くとともに、財務諸表を丹念に分析することで特報をモノにした。

山口氏は日本経済新聞出身で、同紙在籍時には証券部で企業財務や資本市場を取材。日本公社債研究所(現・格付投資情報センター)でアナリストとして働いたこともある。本人が「オリンパスのバランスシートに異常を見つけるうえでアナリスト経験が役立った」と振り返るように、専門性を生かすことで調査報道のお手本を示したといえる。


***経緯はエンロンに酷似
大手紙は黙殺
山口氏によるオリンパス事件の報道は、2001年に米史上最大級の粉飾決算発覚で経営破綻したエネルギー大手エンロンをめぐる報道と酷似している。

エンロン事件では、経済誌「フォーチュン」の記者ベサニー・マクリーン氏が最初に粉飾決算の可能性を指摘。しかし企業側から全面否定され、取材協力も得られなかった。最初の数カ月は、大新聞がファクタのオリンパス報道を無視したように、エンロン事件でもマクリーン氏の初報を追いかけるメディアはなかなか現れなかった。
さらには、山口氏と同様にマクリーン氏はバランスシートなど企業の公開情報を分析するのを得意としている。フォーチュン誌の記者になる前には投資銀行ゴールドマン・サックスに勤務。そこで培った分析能力を生かし、エンロンの財務諸表をしらみつぶしに調べ、エンロンが粉飾決算によって株価をつり上げている可能性を指摘したのである。

いまから10年後には、新聞・雑誌を紙に印刷して宅配・郵送するシステムは崩壊の危機に直面しているかもしれない。すでにその予兆はある。今年に入り、ニューヨーク・タイムズの1年購読契約を結んだ読者は、99ドルの電子書籍端末「ヌックシンプルタッチ」の無料配布を受けられるようになったのだ。いわば「新聞販売店の電子端末化」であり、印刷メディアとしての新聞の終焉でもある。

一方で、インターネット上では無数のブロガーやツイッター利用者が情報発信できるようになった。米国では新興メディア「ストーリファイ(Storify)」が人気だ。ソーシャルメディア上を流れるツイートや写真などの情報をまとめ、記事として公開できるサービスだ。誰もが市民ジャーナリストになれる時代になりつつある。

新聞記者はどうやって自らを差別化したらいいのか。「最も成功したインターネット新聞」といわれる米ハフィントン・ポストの共同創業者ケネス・レーラー氏は「インターネット上で膨大なニュースがタダで手に入る時代、新聞が同じ記事を用意する必要はない。新聞は単純なニュース速報はやらず、ニュース分析や解説に特化すべきだ」と語る。単純な速報ニュースと対極にあるのが、山口氏のオリンパス報道やマクリーン氏のエンロン報道だ。

ところが、東日本大震災の報道が象徴するように、日本の現状はお寒い限りだ。ニューヨーク州立大学オールドウェストベリー校でジャーナリズムを教えるカール・グロスマン教授は、米環境専門誌「エクストラ!」の11年5月号で「福島原発事故の報道はあまりにもお粗末。日本政府が『直ちに健康に影響はない』と説明すると、記者はそれをオウム返しに報じているだけなのだ」と書いている。
当局の言い分をそのまま伝える「発表報道」は、新聞記者にとっては比較的単純な作業だ。深い分析は不要だし、当局の顰蹙を買って「出入り禁止」にされる恐れもない。プレスリリースを新聞記事用に書き直す作業とあまり変わらない。そもそも、「権力のチェック」という報道の基本的使命と相いれない。

「権力のチェック」に欠かせないのが調査報道だ。独自調査の積み重ねで「権力側にとって不都合なニュース」も伝えるのを特徴とする。ここで威力を発揮するのがデータ分析などの専門性である。米コロンビア大学ジャーナリズムスクールのニコラス・レマン学長は「今どきのジャーナリストは回帰分析ぐらいできないと駄目だ」と公言している。

福島原発報道では、ピュリツァー賞を受賞したこともあるニューヨーク・タイムズのベテラン記者、ウィリアム・ブロード氏が書く記事が光っていた。同氏は科学記者として30年以上の実績を持ち、当局の発表をうのみにすることはまずない。米国では、安全保障問題を専門にする50代の女性記者がイラクの従軍記者として活躍するなど、数十年の経験を積んだ専門記者が報道現場の第一線で働くのは珍しくない。

日本の新聞社であれば、ブロード氏は第一線から退いていることだろう。なぜなら、記者として15年も働くと通常はデスクにされ、報道現場の第一線から離れてしまうからだ。記者として活躍すると経営幹部に抜擢され、“記者卒業”になるケースも多い。専門性を備えるための大学院留学などは論外だ。そんなことから、記者は専門性の高い「ジャーナリスト」というよりも、社内事情に詳しい「サラリーマン」になりがちだ。

★ 言うまでもなく、日経新聞は経済紙としての専門性を売り物にしている。ところが、社内の体制を見ると必ずしも専門性に重きが置かれていない。それを象徴しているのが、同社内で伝統的に力を持っている経済部と政治部だ。経済部は霞が関、政治部は永田町を取材し、もっぱら一般紙と同じ「共通ネタ」を追いかけている。


***B/Sが読めるのは証券部記者だけ
主要記者クラブが集中する霞が関や永田町は、権力側が発信する情報を漏れなく報じる発表報道の一大拠点だ。新聞各社とも大勢の記者を配置していることから、放っておいても誰かが必ず報じるニュース、つまり共通ネタが中心の世界でもある。ここでは共通ネタを誰よりも早く報じる記者、つまり「発表先取り型」の取材に強い記者が高く評価される。
一般紙と同様に日経新聞も霞が関・永田町発の共通ネタを重視している。そんなことから、専門紙であるにもかかわらず、霞が関報道(経済面)や永田町報道(政治面)では一般紙とあまり変わらない。極論すれば、「発表先取り型」の特ダネにこだわらなければ、通信社電で経済面と政治面を埋めることもできるというわけだ。

★日経新聞が一般紙と差別化できる部署は、企業や市場を取材対象にし、主に独自ネタを扱う産業部や証券部、商品部である。たとえば、私も所属したことがある証券部。「権力側(企業側)に食い込んで情報をリークしてもらう」のではなく、財務諸表など公開情報を分析し、企業の実態を伝えるのが主な仕事だ。調査報道の基本も公開情報の分析である。

私が1980年代後半にコロンビア大学ジャーナリズムスクールに留学した際には、経済報道のクラスで最初に渡されたのが証券会社メリルリンチ発行の「バランスシートの読み方」だった。指導教官は「経済報道の基本はまずバランスシートを読みこなすこと」と言った。日経でバランスシートを読むよう求められるのは証券部だけである。
★ちなみに、06年に日興コーディアル証券の粉飾決算を特報したことで雑誌ジャーナリズム大賞を受賞した町田徹氏は、オリンパス報道で雑誌ジャーナリズム大賞を受賞した山口氏と同じく、日経新聞証券部の出身である。

70年代前半、ニューヨーク・タイムズのワシントン支局編集部長としてウォーターゲート事件報道を指揮したロバート・フェルプス氏。90歳を超えて当時の回顧録を書いた同氏に「印刷メディアがインターネットに押され、高コストの調査報道が危ぶまれているが、どう思う?」と聞いたら、次の答えが返ってきた。
「印刷メディアかデジタルメディアかといった議論をしても無意味。メディアの形態は重要ではない。調査報道は公共サービスであり、社会にとって必要不可欠。これは未来永劫変わらない」
★将来的に印刷メディアからデジタルメディアへ完全シフトしたとしても、新聞の根源的機能である調査報道の重要性は不変であるということだ。必要なのは、調査報道を担える専門性を備えたベテランジャーナリスト。そんなジャーナリストが活躍できる職場である限り、本格的なデジタル時代が訪れても新聞は競争力を維持できる――フェルプス氏はこう言っているのだ。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民77掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民77掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧