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「『快適な生活症候群』とゾンビ企業を退治せよ」  日本経済が直面している最大の問題は何か
http://www.asyura2.com/12/hasan77/msg/258.html
投稿者 MR 日時 2012 年 8 月 04 日 12:49:24: cT5Wxjlo3Xe3.
 

【肥田美佐子のNYリポート】米ウォートン校教授が語る日本経済再生の処方箋

「『快適な生活症候群』とゾンビ企業を退治せよ」
2012年 8月 3日 15:07 JST

 日本経済の先行きが不透明になってきた。8月1日、国際通貨基金(IMF)は、年次経済報告書のなかで、欧州債務危機と中国経済減速により、来年、日本の経済成長率が1.5%にとどまる可能性を指摘。景気下振れリスクに言及した。

 また、報告書によれば、近い将来、危機が発生するようなことはないが、金融セクターが日本国債に多額のエクスポージャー(投融資残高)を抱えていることで、金融システムの安定性がリスクにさらされているという。

 日本経済が直面している最大の問題は何か。米ヘッジファンドが警告するように、日本国債は大きな危機をはらんでいるのか。7月、米ビジネススクールとして評価が高いペンシルベニア大学ウォートン校のキャンパスを訪ね、日本経済に詳しいフランクリン・アレン教授(専門は資産バブルなど)に話を聞いた。

――東日本大震災直後、教授は、学内インタビューで、日本経済が震災前から多くの問題を抱えている点に警鐘を鳴らした。そして今、日本は、原発危機による食の安全や1次産業の衰退、製造業のオフショアリング(海外移転)によるさらなる産業の空洞化、資産や頭脳の海外流出、加速する労働人口減など、「複合危機」にさらされている。

アレン教授 多くの要素を伴う非常に難しい問題であり、一朝一夕に解決するのは困難だ。政治的こう着も、しかり。特に製造業での国際競争力低下も目立つ。たとえばソニーは20年前、現在のアップルのような存在だったが、しだいに競争力を失っている。いずれは経営破たんする大手メーカーも出るのではないか。


フランクリン・アレン・ペンシルベニア大学教授
 日本は今も素晴らしい国であり、多くの分野で卓越している。人材も豊富で勤勉、テクノロジーも非常にすぐれている。だが、これまでのやり方では、もはや通用しない。国民1人当たりの購買力平価 ベースで見ると、国内総生産(GDP)は、すでに台湾に水をあけられており、2、3年以内に韓国にも抜かれるだろう。

――最大の問題は何か。

アレン教授 日本が依然として、とても住みやすい国であり、非常に快適なライフスタイルを送ることができ、状況が悪化していないため、(気づかないうちに)経済成長が徐々に止まり、他国に追い抜かれていることだ。長年の低金利政策で、(本来なら破たんしているような)ゾンビ企業も、簡単に債務の借り換えを行うことができる。こうした理由から、危機感が生まれないのだ。

 若い世代を見れば、それが明らかだ。1980年代には、ここウォートンにも多くの日本人学生がいたが、今ではめっきり減ってしまった。他校でもそうだ。一方、中国や韓国など、他のアジア諸国は、その対極をいっている。

 日本は、いわば「カンフォタブル・ライフ・シンドローム(快適な生活症候群)」に陥っている。国内にとどまり、まずまずの仕事に就き、安楽な暮らしに甘んじる――。80年代に日本が重要な国として位置づけられたのは、(人が)世界中に進出し、ベストなものを見分ける力があったからだが、今では、ずっと内向きになっている。

――日本のメディアによれば、社内の英語公用語化に踏み切った楽天の三木谷浩史会長兼社長は、日本が世界の携帯電話市場を席巻できないのは英語力不足のせいだと考えているという。

アレン教授 非常に興味深い話だ。10年前でさえ、訪日するたびに、日本人が、他国に先駆けていち早く携帯電話でインターネットを使っていたのを思い出す。それなのに、なぜ日本からiPhone(アイフォーン)やアンドロイドが生まれなかったのか。なぜ市場から脱落してしまったのか――。グローバルな融合を果たせなかったからだ。世界トップレベルのテクノロジーをもってしても、他国と交じり合えなければ、(国際シェアに食い込めるような)製品は開発できない。

 経済政策や英語力不足、低金利による競争力低下などが相まって、日本の回復を難しくしている。

――このままいけば、盛んに取りざたされている日本国債暴落など、何らかの危機的状況に陥る?

アレン教授 何も手を打たなければ、今後30年以内に金融危機が起こる可能性もある。日本は今も資金の「安全な避難先」であり、目下のところ確率的には5〜10%だが、少子高齢化や企業の競争力低下といった大きな問題が山積していることを考えると、ある時点で円安に振れ、投資家が一気に資金を引き揚げる恐れもある。

 国債は、ほとんどが国内資金によって買い支えられているが、日本株保有者は、今や約4分の1が国外投資家だ。彼らが一斉に資金を引き揚げ、国内投資家もそれに続いたら、非常に深刻な通貨再調整による円安が起こる。そして、国債の金利が大幅に上昇すれば――仮に(長期国債利回りが)3%前後になっても――(資産を差し引いた)日本の純債務がGDP比で130〜140%に達するなかにあって、日本政府にとっては大変なことになる。

 リスクは拡大している。いざとなれば、国内のメガバンクでさえ資金引き揚げに踏み切るだろう。ギリシャの債務危機で最も興味深いことの1つは、投資家が資金を引き揚げていないため、依然として、まとまったお金があることだ。それでも、ある時点で、あのような事態に陥る。

 仮に、経営不振が目立つ大手家電メーカーが破たんするようなことになれば、多くのヘッジファンドが、すわポジションを取るべきかと考え、(日本国債暴落に賭ける)一部の米ファンドに続くだろう。欧州危機が収束すれば、次に注目されるのは日本だ。

――つまり、消費税の増税やむなし、と?

アレン教授 非常に難しい質問だ。欧州を見れば分かるように、緊縮財政下で増税すれば、(消費減など)短期的にはいい結果を生まない。だが、放っておけば、長期的危機が生じるのは確かだ。(5%から10%への)税率の倍加が妥当かどうかは分からないが、よりバランスのとれた財政状態にするにはどうすべきかについて、考える必要がある。おそらく数年かけて段階的に行うのがいいのではないか。

――震災後のインタビューで、教授は、日銀の金融緩和策が、これまでさほど実質的な経済のテコ入れにつながらなかったと指摘している。

アレン教授 日銀は、(追加緩和への)大きな政治的重圧にさらされている。だが、最初の2〜3回を除き、短長期にわたって大きな効果を生まなかった。日本の問題解決には、痛みを伴うかもしれないが、徐々に政策金利を上げていくのがベストだと考える。そうすれば、企業が(生き残るために)競争力をつけざるをえなくなるからだ。

 事実上のゼロ金利政策のおかげで、不良債権を背負い込みたくないという銀行の思惑もあり、企業は、あまりにも容易に債務の借り換えに走る。その結果、競争力が激減し、「ゾンビ化」する。日本が抱える甚大な問題の1つは、これだ。

 ゾンビ化により、企業は、たゆまぬイノベーションを続けたり、新製品を提供したりする必要に迫られなくなった。低金利下で緩やかに経済力が落ちていく状況では、変革やイノベーションの必要性を感じない。もっと大きなショックが必要だ。

 たやすくはないかもしれないが、日本には、敗戦後、無の中から立ち上がった実績がある。日本の人たちが、国を「変えなければならない」と希求するのが先決だ。

*****************

肥田美佐子 (ひだ・みさこ) フリージャーナリスト


Ran Suzuki
 東京生まれ。『ニューズウィーク日本版』の編集などを経て、1997年渡米。ニューヨークの米系広告代理店やケーブルテレビネットワーク・制作会社などに エディター、シニアエディターとして勤務後、フリーに。2007年、国際労働機関国際研修所(ITC-ILO)の報道機関向け研修・コンペ(イタリア・トリノ)に参加。日本の過労死問題の英文報道記事で同機関第1回メディア賞を受賞。2008年6月、ジュネーブでの授賞式、およびILO年次総会に招聘される。2009年10月、ペンシルベニア大学ウォートン校(経営大学院)のビジネスジャーナリスト向け研修を修了。現在、『週刊エコノミスト』 『週刊東洋経済』 『プレジデント』『ニューズウィーク日本版』などに寄稿。『週刊新潮』、NHKなどの取材、ラジオの時事番組への出演、日本語の著書(ルポ)や英文記事の執筆、経済関連書籍の翻訳にも携わるかたわら、日米での講演も行う。翻訳書に『私たちは“99%”だ――ドキュメント、ウォール街を占拠せよ』、共訳書に 『プレニテュード――新しい<豊かさ>の経済学』『ワーキング・プア――アメリカの下層社会』(いずれも岩波書店刊)など。マンハッタン在住。 http://www.misakohida.com

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コメント
 
01. 2012年8月04日 19:50:47 : cqRnZH2CUM

>。リ快適な生活症候群』

成熟社会になり、平和で、若くても生活保護も受けられる

昔の英国病になっているだけだろう

それに、これだけマスコミに、これからどんどん悪くなると宣伝されたら、
「今はまだ幸せなんだ、仕事で疲弊しても無意味だから、今のうちにエンジョイしよう」
と考えるものが増えてくるのも自然だろうな

逆に、これから景気が良くなるから、競争に打ち勝って、もっと頑張れと言われた方が、ストレスかもしれない


>ゾンビ企業を退治せよ

手金利で生き延びているゾンビ企業が優秀な労働者を囲い込んでいるとか、金融資源を浪費しているなら別だが、
実際は、若年失業率は高止まりし、銀行でマネーは余っている

別に、無理に金利を上げて潰す必要はないだろう

若年雇用促進に関しては、労働規制を解除して、雇用流動性を高める方が遥かに効果的だ



02. 2012年8月05日 01:26:07 : 2ppJNkLnXA
前半部は納得できるが、「シロアリのす」に触れずに消費増税を良しとする
のは、結局「あっち側」の記事だね。

03. 2012年8月06日 10:28:19 : LWcJ2Rp8kk
快適な生活が維持できるからには、それは日本が勝っているということだ。
もし負けるようになったら不満だらけになるから、その時にまた考えたらよい。
外人なんかにとやかく口だしされるおぼえはない。
他国へとやかく意見するヒマがあったら、自分の国の問題を解決したらどうなのかね。

04. 2012年8月08日 10:32:39 : 6IbOmBOmZc
この見方はミスリード。iPhoneが生まれなかったのは「現状の利益の固定化」と「新しいことへのリスク」である。携帯電話市場でシェアを固めたメーカーは、その利益固定化のため法律から新規参入条件、規約上での顧客捕縛、料金体系、設備投資基準など、製品力以外での戦いを行った。それが、現状の利益を固定化させるためだったからだ。また新規製品は、過去PalmやPDAからの系譜が存在しなかった。そのため、現状の形態の延長線上での発想しか上部に止まらなかったのだ。
そんだけ。

いまの利益の固定化に奔走し、製品開発スピードを考えなかった上部の失策。それを従業員批判してるのよ。

気付け馬鹿ども!


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