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質疑応答編:「大きすぎて潰せない」問題から「格付け」の仕組みまで課題は依然、山積  第3回金融危機に対するFRBの対応
http://www.asyura2.com/12/hasan77/msg/423.html
投稿者 MR 日時 2012 年 8 月 26 日 11:22:02: cT5Wxjlo3Xe3.
 

質疑応答編:「大きすぎて潰せない」問題から「格付け」の仕組みまで課題は依然、山積 第3回金融危機に対するFRBの対応

2012年8月24日(金)  ベン・バーナンキ

学生1:バーナンキ議長は前回の講義と今回の講義で、特殊な住宅ローンやサブプライムローンの発行が増加したことを話されました。これらの金融機関はなぜ、こうした極めてリスクの高い住宅ローンを信用力の劣る借り手に積極的に貸しつけたのでしょうか。また、金融機関は住宅価格の下落を予想していたら、同じことをしていたでしょうか。

バーナンキ議長:金融機関がそうしたことが行った理由は幾つかあります。1つは単に、住宅価格が上昇することを恐らくあまりにも強く確信していたということです。彼らは、「住宅価格の値上がりはまだまだ続きそうだ」と言っていました。住宅価格の上昇が続くことを前提にすれば、彼らが提供していた商品はさほど悪いものではありませんでした。

 というのも借り手は1年やそこらはローンを返済できるでしょうし、その後はもっと安定性の高いローンに借り換えることができるからです。「そんなローンがあるなら住宅を購入しよう」と考えた人もいるでしょう。しかし、リスクは住宅価格が値上がりを続けるとは限らないわけで、実際、その通りになったわけです。

 もう1つの側面として、この(住宅価格が上昇していた)時期、証券化商品に対する需要が非常に高まっていたことも挙げられます。当時、欧州やアジアを中心に質の高い資産に対する国際的な需要が強かった。機を見るに敏な米国の金融機関は、こうした投資家はサブプライムローンでも何でも様々な種類の信用を積極的に引き受けると考えました。

前提条件が成立している限り収益性の高いビジネスだった

 そして「金融工学」という“奇跡”を使って、そうした様々なローンを組み合わせて「質が高い」と見なされる金融商品を一部、作り出すことに成功したのです。そうした商品には「トリプルA」の格付けが付与され、おかげで海外の投資家に販売することができました。

 しかし、残念ながら質の低い部分の商品については金融機関の手元に残ることがあり、そうした場合は、金融機関はそれを保有し続けるか、あるいはほかの金融機関に売却したのです。要するに金融市場にはトレンドがあり、当時は、こうしたリスクは管理できると自信過剰になっていた部分があると思います。

 「住宅価格はおそらく上昇を続ける」という思い込みもあったでしょう。だから住宅ローンを貸し付けた金融機関は、その住宅ローンを誰かに売却できるだろう、買い手を見つけるのも難しくないだろう、と考えていた。加えて「安全資産」に対する需要が大きかった。こうした前提が成立していた間は金融機関にとって、(一連の住宅関連ビジネスは)大変、収益性が高かったわけです。

 しかし、住宅価格が下落に転じると、莫大な損失が発生することになりました。

学生2:議長は、FRBの最大の任務の1つはいかに市場に流動性を取り戻すか、その方法を考え出すことだと話されました。この点について「ボルカールール」が念頭に浮かびます。というのも、「ボルカールール」は投資銀行による「自己勘定取引」を禁止しているからです。「自己勘定取引」は、マーケットメーク(編集部注:金融機関自身が、様々な金融商品の取引を行うことによって、それら金融商品の値付けが決まり、それによってほかの投資家も取引に参加しやすくなる)を通じて、流動性を確保するという極めて重要な役割も担っています。「ボルカールール」はこの灰色部分も禁止するように思えます。この点について考えをお聞かせください。矛盾はないのでしょうか。

バーナンキ議長:「ボルカールール」は「ドッド・フランク金融規制改革法*」の一部です。これについては第4回の講義で詳しく話しますが、FRBとほかの規制当局は同法の施行責任を担っています。

*金融危機の再発を防止するために金融規制を抜本的に見直した法律で、2010年7月に成立した。民主党議員で下院金融サービス委員会委員長を務めていたバーニー・フランク氏と、同じく民衆党議員で上院銀行委員会委員長を務めていたクリストファー・ドッド氏が中心となって成立させた法案であることから、「ドッド・フランク法」とも呼ばれる

ボルカールールの例外規定の設定は重要だが非常に困難

 君が今言ったように、「ボルカールール」の目的は、銀行及びその関連会社に「自己勘定取引」を禁じ、この種のリスクを取ることを防ぐことによって金融機関のリスクを低減することにあります。ちなみに「自己勘定取引」とは自己勘定で短期の取引を行うことを意味します。「ボルカールール」はこうした活動を禁止しています。

 ただ、銀行が短期証券を保有しようとする理由について金融規制改革法は例外を認めています。例えば、リスクヘッジとして保有する場合がそうですが、もう1つ顕著な例外があります。特定の市場において流動性を生み出すためにマーケットメークを行い、仲介者として短期証券を売買することです。これは「ボルカールール」によっても認められています。

 「ボルカールール」を施行するうえでの課題の1つは、「自己勘定取引」を禁じる一方で、マーケットメークやリスクヘッジは正当な活動と認め、それを適用除外とするための基準を設けることです。これは非常に難しく、我々はこの問題について検討を続けています。知っていると思いますが、金融規制改革法の関連規則を発表したところ、何千もの意見が寄せられました。我々は、そうした意見に基づいて今、この法律をどう実施するのが最適なのか探っているところです。

 しかし、君が指摘した通り、市場の流動性は重要です。危機の間、流動性は著しく悪化しました。単なる売買高の低下にとどまらない深刻な問題でした。大手金融機関でさえ、保有する資産ポジションを支えるための資金繰りがつかなくなってしまったのです。彼らにとって残された選択肢は1つか2つだけでした。

 資金繰りがつかないままデフォルト(債務不履行)するか、実際に多くの金融機関が行ったようにできる限り早く資産を売却するかです。こうしてパニックが広がっていきました。仮に商業用不動産の債券市場が極端な売り手市場になれば、価格は急落します。この種の債券を保有していた人々の財務ポジションは悪化し、そうした人々は多大な圧力にさらされます。

 私は講義では「感染」という言葉は使いませんでしたが、「感染」とは病気の場合と同様、パニックが広がることで、1つの市場からほかの市場へ、あるいは1つの金融機関からほかの金融機関へと不安が連鎖的に広がっていくことを意味します。こうした「感染」は多くの金融パニックで重大な問題となってきましたが、今回のパニックでもまさにそうでした。資金繰りの悪化が1つの企業から別の企業に飛び火し、広範な問題として広がったのは、1つにはこうしたメカニズムからです。次の質問をどうぞ。

AIGなど国際的金融機関の危機対応には各国間の事前準備が不可欠

学生:ありがとうございます。金融危機の最中における世界的な協力について質問があります。議長は2008年のG7について話されました。具体的には多国籍企業が破綻の瀬戸際に追い詰められ、例えば(米保険最大手の)AIGの救済を検討された際、国際社会からはどんな圧力があったのでしょうか。

バーナンキ議長:圧力は特段ありませんでした。何しろすべてがあまりに速いスピードで展開していましたから。ただ、世界的な協力が、我々が望んだほどうまくいかなかった分野の1つがまさにこうした多国籍企業への対応でした。例えば、(大手証券会社の)リーマン・ブラザーズの破綻を巡って、英国と米国の意見が対立し、足並みが乱れたために、リーマンの債権者の一部に問題を引き起こしました。

 講義で話したように、ドッド・フランク金融規制改革法の下で我々が成し遂げようとしていることの1つは、大手金融機関を安全に破綻させることで、この法律にはそのための条項が含まれています。しかし、適用対象となるであろう大手金融機関の多くは多国籍企業であるという点が問題を複雑にしています。

 2〜3カ国ではなく恐らく何十カ国で事業を展開している金融機関が対象となるでしょう。こうした多国籍企業をできる限り安全に破綻させるために、各国がどのような形で協調態勢を取れるか、まさに世界各国と協議を進めているところです。

 直近の危機では多くの場合、個別に協力策を探り、英国をはじめとする世界の国々と接触しました。しかし、時間的な制約や事前準備の余裕がなかったがために、そうした下準備をしておけば達成できたであろう多くのことを成し遂げることができませんでした。この(事前に準備ができていなかった)ことが、国際的な協調を行ううえで制約となったと思います。

 そうはいっても、自分の国を本拠地とする金融機関については当該国が処理し、各国とも協力を惜しみませんでした。AIGは米国企業なので、我々が対処しました。欧州を本拠とする(仏ベルギー系銀行大手の)デキシアなどの企業については、欧州が対処しました。

各国の中央銀行とはスワップ協定や金融政策でも協調

 中央銀行も大いに協力し合いました。この点について少し詳しく話したいと思います。多くの欧州の銀行はユーロではなく、ドル資金の調達を必要としていました。これらの銀行はドル資産を保有し、ドル建てで融資を行っていたため、ドル資金の調達が必要だったのです。貿易がドル建てで行われることがあり、そうした貿易を支援するためにドル建て融資を行う必要があったのです。

 ところが欧州中央銀行(ECB)は、ドルを提供することができません。そのため、「スワップ」と呼ばれる取引をしました。FRBがECBにドルを提供し、代わりにユーロを受け取るのです。ECBはドルを受け取り、それを自らの責任で欧州の銀行に貸し出し、欧州の銀行のドルの資金繰り圧力を解いていったのです。こうした措置が奏功し、世界中のドルの資金繰り圧力が緩和しました。

 このスワップ(通貨交換)協定に基づく取引は、最近の欧州を巡る問題から今も続けていますが、これは世界的な協力の重要な例と言えます*1。2008年10月には、危機が深刻化する最中、FRBとほかの中央銀行5行は同じ日に利下げも発表しました*2。つまり、我々は「金融政策」でも足並みを揃えたのです。

* 1 FRBのスワップ協定はECBとスイス中央銀行を対象に2007年12月に始まり、2008年9月のリーマンショックに伴ってイングランド銀行、カナダ銀行、日本銀行の計6中央銀行に拡大、さらに一時はオーストラリア、ブラジル、デンマーク、韓国、メキシコ、ニュージーランド、ノルウェー、シンガポール、スウェーデンの中央銀行を含む15行にまで拡大した。金融市場が安定を取り戻した2010年2月に一度終了したが、同年5月、ギリシャ不安が浮上したのを機にドルのスワップ協定は再開され、今も続いている
* 2 2008年10月8日に、FRB、ECB、スイス中央銀行、イングランド銀行、カナダ銀行の5つの中央銀行はそれぞれ金利を0.5%引き下げた

 このように我々は政策協調で最善を尽くしましたが、多国籍企業への対応など周到な事前準備が必要だった分野もあり、こうした事項については各国の協定の下、今も検討を重ねています。

投資会社に関する会計ルールも危機後は大幅に厳格化された

学生4:当時活用された簿外ビークル(会社)と、何故そうしたビークルの活用が許されたのか、そうした情報をずっと簿外にとどめておくことが容認されたのか説明していただきたいのですが。

バーナンキ議長:これは基本的に会計法上の問題です。銀行がこうした別会社を設立し、その会社をそれなりに活用したいと考える場合、その会社を一部保有する形をとるでしょう。そして、その別会社の信用が逼迫すれば信用を供与し、資金が不足すれば資金を提供することを約束するとします。当時の会計上のールに従えば、こうした別会社に対する銀行の持ち分が限定的ならば、銀行のバランスシートに載せなくても別会社として扱うことが許されていたのです。

 こうした方策を取ることで、銀行は別会社の資産をすべてバランスシートに計上した場合に要求されるより自己資本をある程度抑えることができました。

 しかし、好ましいことに危機後、こうした規則は見直されています。その結果、危機前に存在した簿外の別会社の多くがもはや認められなくなり、連結の対象としなければならなくなる見通しです。つまり、銀行業務の中に戻され、銀行のバランスシートの一部となり、それに見合った適正な資本をさらに積み増すことが要求されることになるということです。

 こうした別会社の存在が完全に排除されたわけではありませんが、銀行が活動の一部をバランスシートから外して別の投資会社に移管するといったことを容認するような会計規則は大幅に厳格化されました。

「大きすぎて潰せない」問題にはどう対応するのか

学生5:ありがとうございます。議長は、2008年に大手金融機関及びFRBの「大きすぎて潰せない」という「原則(doctrine)」とでも言いましょうか、これが大変な批判にさらされたとおっしゃいました。そこで質問ですが、「救済する銀行」と「破綻させる銀行」はどうやって線引きするのでしょうか。それは裁量的判断なのか、FRBが準拠すべき何らかの手法があるのでしょうか。

バーナンキ議長:非常にいい質問だね。まず言っておきますが、今の「原則(doctrine)」という言葉には反論したいと思います。これらの大手金融機関は、世界的規模で金融危機が発生している状況の中で「大きすぎて潰せない」ことが判明しました。

 これは当時、その金融機関の規模、その業務の複雑さ、ほかの金融機関との結びつきといった面から下した判断でしたが、こんなことがいいと思ったことは一度もありません。繰り返しますが、金融規制改革法の主な目的の1つは、こうした事態を排除することです。

 なぜなら、こんなことは金融システムにとって望ましくないし、金融機関にとってもよいことではありません。多くの点で不公正なわけで、「大きすぎて潰せない」という状況をなくせれば、大きな前進と言えます。したがって、「大きすぎて潰せない」というのはいかなる意味においても我々が提唱したり、支援したりしたことはありません。「最悪の状況の中で最もましなもの」を選択せざるを得ない状況に追い込まれたということです。

 でも、いい質問です。危機が発生している間、基本的にケース・バイ・ケースで判断を下すことを余議なされつつも、我々はできる限り保守的に判断するよう心掛けました。ただ、AIGの場合はあまり疑問の余地はありませんでした。AIGについては、取れる対策があるのならとにかく手を打つということが必要でした。

 リーマン・ブラザーズはそれ自体、おそらく「大きすぎて潰せない」ケースだったと思います。実際、同社の破綻は世界の金融システムに深刻な影響を及ぼしました。しかし同社は基本的に支払い不能の状況に陥っていたので、我々は無力でした。リーマンは十分な担保を持っていなかったため、FRBは融資を行うことができませんでした。

 FRBは、支払い能力のない企業に資金を出すことはできません。これは「TARP(不良債権救済プログラム)*」などの資本注入対策が導入され、財務省がそうした機能を活用できるようなる前のことでした。このため、リーマンを救済する法的手段が何もなかったのです。同社の破綻を回避する方法があれば、そうしたでしょう。これは特別な事態だったと思います。

*2008年10月3日に米議会で成立した修正金融安定化法案。Troubled Assets Relief Programの略で、金融危機対応のために米国の金融機関に公的資金を投入する枠組みを決めた

 ベア・スターンズとAIGの2社については介入したわけですが、両社がともに大手金融機関だったというだけでなく、両社を巡る当時の状況から介入する根拠はかなり明確だったと思います。

「バーゼル3」の自己資本強化など進む規制強化

 危機以降、この問題については一層深く取り組むことを余儀なくされています。様々な規則や規制があって、FRB及びほかの規制当局は、各金融機関が金融システム上どう重要なのかを決める必要があるからです。

 例えば、新しい「バーゼル3」と呼ばれる自己資本規制は、金融システム上、非常に重要で規模の大きな金融機関には自己資本の上積みを求めています。こうした金融機関は、システム的にそれほど重要ではない金融機関よりも多額の自己資本を積み上げておく必要があります。

 このプロセスの一環として、世界の銀行監督当局は自己資本をどの程度上積みする必要があるかを決定するため、金融機関の規模や業務の複雑さ、ほかの金融機関などとの結び付き、デリバティブ(金融派生商品)の保有状況など、どんな基準を設けるべきかについて現在、協力して作業を行っています。

 一方、FRBは2つの銀行の合併を承認する際、その合併が金融システム的上、危険な状況を作り出すことにならないかどうかを評価しなければならないので、合併によってシステム的に重要な金融機関が生まれるかどうかを判断するための数値的な指標を含む一連の基準作りにも一生懸命取り組み、これを作成しました。もし、そうした金融機関の誕生につながるなら合併は承認されることはないでしょう。

 このように「大きすぎて潰せない」問題については様々な取り組みを進めていますが、まだ緒に就いたばかりです。直近の危機では、我々がほか当局と協力して介入したのは、ベア・スターンズとAIGに限られました。ほかの金融機関にも支援は提供しましたが、それはAIGを巡る介入とは比較すべくもありません。

 とはいえ、この問題(「大きすぎて潰せない」)については極めて真剣に捉えており、今ではFRBは以前にも増して「金融の安定」ということに焦点を当てています。ですからFRBでは、金融システムに対するリスクを特定し、特段の注意を払って監督する必要のある金融機関を特定するための様々な尺度や指標の作成づくりを進めるために、部門を1つこれに当てています。こうした大手金融機関には、金融システムに与え得る潜在的なリスクゆえに追加的な資本が要求されるでしょう。

格付け機関に格付けを依頼する構造にも問題がある

学生6:ありがとうございます。「脆弱性(vulnerabilities)」*の1つは、信用格付け機関が「トリプルA」の証券として妥当と見られるよりはるかにリスクの高い証券に「トリプルA」の格付けを付与したことだと議長は指摘されました。本来、リスクを引き受ける買い手の側にとって、正確な格付けが提供されるようなインセンティブが働くべきではなかったのでしょうか。システム全体で間違った格付けが横行していたことを考えると、正しい格付けが提供されるべき問題があったのでしょうか。

*バーナンキ議長は、住宅価格の急落が、ドッド・コム・バブルの崩壊以上に経済に深刻な打撃を与えたのは、民間部門と公的部門が「脆弱性」を抱えていたからだと、今回の講義で指摘している

バーナンキ議長:確かにインセンティブ上の問題はありました。その1つに君が指摘したように、証券の売り手が信用格付け会社を雇ってお金を出すのではなく、最終的にリスクを負う証券の買い手側が何とか結束して信用格付け会社にお金を出して、当該証券の信用内容について最善のオピニオンを提供してもらうようにすれば、買い手の利益に適うかもしれません。

 しかし残念ながら、そうしたモデルがうまく機能することはなさそうです。私が知る限り、そうした試みが成功した例はほとんどありません。経済学者が言うところの「ただ乗り」の問題があるからです。

 こんな問題が生じます。例えば5人の投資家がまとまって(米格付け会社)スタンダード・アンド・プアーズにお金を払い、特定の証券の格付けを依頼するとします。完全に秘密にできない限り、誰かがその「格付け」を探り当てるでしょう。つまり、格付け機関に料金を支払うグループに属さずして、何の費用も負担せずにその情報を利用しようとする人が出てくるということです。

 格付け機関に適切な形でインセンティブが働くように格付け機関への支払い方式をどう見直せばよいのか、その方法についてはて様々な提案が出されています。しかし、これは難しい問題です。なぜなら、投資家が格付けコストを負担すればよいという「明確な解決策」は、投資家が集団でコストを負担し、その情報がほかの投資家に広がるのを何らかの方法で避けられない限り機能しないからです。

 もう2時になりました。それでは次回の講義では「危機の余波」について話をします。本日はありがとうございました。

バーナンキ議長による講義の録画は下記でご覧頂けます。
第3回(3月27日)金融危機に対するFRBの対応(The Federal Reserve's Response to the Financial Crisis)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/lectures/federal-reserve-response-to-the-financial-crisis.htm

 なお、動画画面の左下にある「transcript」をクリックすると講義の英文おこしをダウンロードできます。


ベン・バーナンキ(Benjamin Shalom Bernanke)

薬剤師の父と学校教員の母の長男として、1953年12月13日に米ジョージア州オーガスタで誕生、サウスカロライナ州ディロンで育つ。高校時代、大学進学適性試験SATで1600満点注1590点というその年の州で一番の成績を収め、1972年ハーバード大学に進学、経済学を学ぶ。1979年、年米マサチューセッツ工科大学(MIT)で経済学博士号を取得し、同年以降、米スタンフォード経営大学院で教える一方、ニューヨーク大学で客員教授も務める。1985年プリンストン大学経済学部教授に就任、この時、日銀の政策がいかに間違っていたかを研究。デフレ史の研究でも知られ、友人でノーベル経済学賞受賞のポール・クルーグマン氏とともにインフレターゲットの研究者としても名声を高める。2002年にブッシュ政権下でFRBの理事に就任、2005年6月に同ブッシュ政権下で、米大統領経済諮問委員会(CEA)の委員長に就任したのに伴いFRB理事は退任、2006年1月までCEA委員長を務め、同2月1日にFRB議長に就任。2010年1月再任される。


さあ、バーナンキ議長の講義を聞こう!
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20120720/234688/


この連載は、米連邦準備理事会(FRB)のベン・バーナンキ議長が今年3月下旬に、米ジョージワシントン大学ビジネススクール(同大学は学部としてビジネススクールを持つ)の大学生を対象に「米連邦準備理事会(FRB)と金融危機」と題して、4回にわたって行った講演の全文である。中央銀行が誕生した歴史的背景から、その使命、1930年代に恐慌が起きた際のFRBの対応、その後金融政策が発展した経緯、なぜ米住宅バブルが発生し、なぜその崩壊によって2008年秋の金融危機が発生したのか、何が問題だったのか、そして危機に対してバーナンキ議長を筆頭にFRBがいかに対応したのか――その全容を大学生を対象に分かりやすく説明している点がポイントで、金融危機の深層を明らかにしてくれる。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20120817/235722/?P=7


さあ、バーナンキ議長の講義を聞こう!2  米国はFRB設立にこんなに苦労した 金本位制・固定相場制の深刻な欠陥
http://www.asyura2.com/12/hasan77/msg/213.html

米住宅バブル崩壊が深刻な金融危機に発展した理由   90年代末の楽観主義が招いた米住宅バブル - MR 2012/8/10 10:11:14 (コメント数:2)
http://asyura2.com/12/hasan77/msg/302.html  

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コメント
 
01. 2012年8月27日 13:15:02 : cqRnZH2CUM

インフレ率が低く、投資バブルで国民が浮かれている時に、金利を上げたり、融資規制を強化するというのは、いつの時代でも難しいということだな

日本は不動産バブル崩壊の記憶が強かったから、日銀が0金利と巨額の量的緩和を行い、世界中が好景気とバブルに沸いている時にも、国内では不動産や株、それに賃金も下がり続けた

ただし結果として、今の失業率は欧米に比べ、かなり低く、金融資産の価値は、まだ維持されている(実際には、リスク回避による円・国債バブルという見方が正しいだろう)


今後、世界的なインフレ恐怖とリスク管理の強化から、さらに金融機関(銀行、ノンバンク・・)への規制と監視が厳しくなり、国際的なマネーの流れも監視する、反グローバリズムの流れが、暫く続くとすれば

世界景気は低空飛行を続ける確率は高そうだが


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