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米国エネルギービジネスの終焉は本当か 再エネに手厚い政策支援、シェールガス革命でCNG車に脚光
http://www.asyura2.com/12/hasan78/msg/205.html
投稿者 MR 日時 2012 年 10 月 22 日 05:50:58: cT5Wxjlo3Xe3.
 

米国エネルギービジネスの終焉は本当か

再エネに手厚い政策支援、シェールガス革命でCNG車に脚光

2012年10月22日(月)  日経BPクリーンテック研究所

 米オバマ大統領の掲げた、環境エネルギー産業による経済活性化政策によって一躍、脚光を浴びたクリーンテック分野。スマートグリッド(次世代電力網)が「第2のインターネット」になるとの見方が広がり、太陽光発電やEV(電気自動車)が普及期を迎え巨大なビジネスチャンスを生むとの期待感が膨らんだ。多くのベンチャー企業が登場し、投資家から資金を呼び込んだ。だが、今年に入って、「クリーンテックブームは終わった」との声も出てきた。スマートグリッドや再生可能エネルギー、EV市場をけん引しつつあった米国市場は、どこにいくのか、見方が分かれている。その行方は世界の新エネルギービジネスにも大きく影響する。

米国クリーンテックベンチャーを苦しめる中国製の太陽光パネル。写真は、中国最大手のサンテックパワーの太陽光パネル
 クリーンテックブームの終焉を最も印象付けたのは、全米第3位の太陽電池パネルメーカー、ソリンドラが昨年9月に破綻したことだった。同社は、米政府から約400億円の融資を受けた太陽電池ベンチャーの成長株とされていた。しかし、中国製の太陽光パネルとの価格競争に巻き込まれ、急速に業績が悪化した。米国市場では昨年から今年にかけ、太陽光パネルの価格が3分の1になったと言われる。

 同社に限らず欧米の太陽電池メーカーの業績は、中国メーカーの低価格攻勢によって業績が悪化、複数企業が破綻した。太陽光発電と並んで成長が見込まれている集光型太陽熱発電(CSP)で実績のあったブライト・ソース・エナジーも、土壇場で株式公開(IPO)を取りやめた。CSPは太陽熱で蒸気を作り、タービン発電機を回すシステム。大規模化すれば太陽光発電より発電コストは安いと言われていた。しかし太陽光パネル価格の予想外の下落が逆風になった。


シェールガス革命で米国は天然ガス輸出国に・・・。写真は米国内のシェールガス採掘現場
 中国メーカーの攻勢に加え、米国政府の再生可能エネルギー促進策への不透明感も出てきた。非在来型のシェールガスの生産が本格化してきたことが背景にある。シェールガスの可採埋蔵量には諸説あるが、最大のものでは米国のエネルギー消費量の400年分という。少なくても100年だ。これまで認めなかった輸出も認める方向だという。

 すでにシェールガスの影響を受けているのが、原子力発電だ。米国では、2000年代に入りスリーマイル島原発事故以来、止まっていた、原発の新設気運が盛り上がり、「原子力ルネサンス」と呼ばれた。だが、ここ数年、シェールガス生産によって天然ガス発電のコスト競争力が高まり、原発新設計画の凍結が相次いでいる。

 米国の再生可能エネルギー促進策は、温暖化対策以上に、エネルギーの海外依存を下げるエネルギー安全保障の側面が強いだけに、シェールガス革命によって政府による再生可能エネルギー促進策が後退するとの読みも出ている。

VCの多くが手を引き始めている

 スマートグリッド分野で“ブーム”に水を差したのが、米マイクロソフトやグーグルなどによるスマートメーター(次世代電力計)派生ビジネスのとん挫だ。両社は、家庭のエネルギー使用情報の分析を基にした省エネサービスを試みたが、プライバシーの観点などから、消費者に受け入れられなかった。

 「スマートグリッド関連で成功したのは、大規模事業所向けのデマンドレスポンス(DR=需要応答)だけ」というのが、米国のベンチャーキャピタル(VC)における評価だ。

 DRとは、電力需要家に対して、経済的な対価と引き換えに需要を抑制してもらう仕組み。米国では、電力会社から対価をもらって、複数の需要家に対して、需要削減を要請する「電力アグリゲータ」事業が成長している。エナーノックやコンバージ、Cパワーなどのベンチャーが業績を伸ばしている。

 ただ、こうした大手アグリゲータが対象にしている需要家は、いずれもビルや工場など事業所がほとんど。必ずしもスマートメーターがなくても、需要管理できる。スマートメーターの普及で期待された、省エネアドバイスなど一般消費者向けビジネス(家庭版ESCO)は、期待ほど広がっていないのが実態だ。「消費者はいまのインターネットで十分に満足している。インターネットはもう1つ必要ない」。あるベンチャーキャピタリストはこう断言する。

 また、米国内でスマートメーターを設置した住人から電気料金の過大請求への訴えが相次いだり、世界的に注目を浴びた米国コロラド州ボルダー市のスマートグリッド導入プロジェクトで、当初計画した投資額が大きく膨らみ、電気料金の値上げにつながることから、住民の反対で中断していることなども、スマートメーターやスマートグリッドへのイメージを落とした。

 シェールガス革命、そしてスマートグリッド関連事業への期待がしぼむにつれ、「クリーンテック分野は、リスクが高いわりに成長性が乏しく投資に向かない」という評価が定着しつつある。実際、クリーンテック分野を得意にしてきたVCの多くが手を引き始めている。そもそも米国内でクリーンテック分野への期待感が高かった2011年でも、ベンチャー投資に占めるクリーンテック関連はわずか5%程度だった。今年、その比率はさらに下がりそうだ。

ベンチャー買収で時間を買う

 一方、こうした“クリーンテック悲観論”に対する反論もある。

 「シリコンバレーのVCは、電力と通信が融合するスマートグリッドをIT(情報技術)分野の1つと勘違いしていた。エネルギー分野は数年ごとに技術トレンドが変わるITとは違い、一度投資したら20年、30年使う息の長い事業。もっと長い目で見るべき」。米国シリコンバレー在住のあるベンチャーキャピタリストは反省も含めこう話す。

 米VCがクリーンテックへの関心を失っているのは、エネルギー関連ビジネスは息が長く、創業数年で株式公開するような短期間での急成長が望みにくいことが分かってきたからだ。投資先ベンチャーを株式公開させることで収益をあげるVCにとってこれは致命的。しかし、だからと言って、クリーンテック分野が成長性に欠けるということにはならない。

 実は、米国スマートグリッド関連のベンチャー起業家の多くは、株式公開による資金調達で業容を拡大させるのではなく、大手企業への事業売却で資金回収することを狙っている。独シーメンスが、米スマートメーターベンチャーのイーメーターを買収したり、米制御機器大手のジョンソンコントロールがDR技術を持つエナジーコネクト社を買収したのもこうした流れのなかにある。

 ハードやソフト、サービスなどの水平分業が進み、企業の新陳代謝の激しいIT分野と違い、エネルギー分野は、自由化の進んだ米国でも、発電・送電サービス、発電設備、送配電設備を歴史の長い大手企業が担っていることが多い。保守的な体質が根強いこうした大手企業がベンチャー企業を買収することで時間を買う、という構図が浮き彫りになっている。

 事業化が難しいとされるスマートグリッドを生かした消費者向けサービスでも、成長企業が出てきた。オーパワー社やコントロール4社だ。

 オーパワー社は、住宅エネルギー管理システム(HEMS)と連動したソフトウエアで成功した。電力料金の請求書に省エネデータをフィードバックするという比較的単純な仕組みで、大手電力8社と契約した。電気使用量データを分析して可視化し、自発的な削減を家庭に促すという仕組みだ。

 オーパワー社は、電力会社の料金請求を代行するほか、請求書への広告掲載も収益源にしている。HEMSデータから家電の買い替え時期が近い住宅を推定し、家電量販店の広告を掲載するなど、請求書の広告媒体としての価値を高めている。

 コントロール4は、テレビ、音楽、照明、室温、スプリンクラー、セキュリティなどを同一プラットホーム上で統合制御するシステムソフトを開発、エネルギー分野の枠を超えたホームオートメーションに乗り出した。家電量販大手のベストバイ社が1730万ドルを投資するなど、注目を集めている。

 スマートメーター設置による過大請求問題も、ほとんどの場合、それまでの機械式メーターの精度が悪かったことが原因とわかってきた。ボルダー市のスマートグリッド整備で投資額が予定の3倍(4450万ドル)になったのは、光ファイバーの敷設工事に費用がかかりすぎたことが主因で、スマートグリッド自体の問題でとん挫したわけではない。

米政府は再生可能エネルギー促進に手を抜いていない


米国でも風力発電の新規開発では洋上が注目されている。写真は、米国内に設置されたウインドファーム
 米国で再生可能エネルギーへの熱が冷めつつあるとの見方にも反論がある。中国製太陽光パネルに押されつつあると言っても、シリコン結晶型で世界最高効率を誇る米サンパワー社は2012年第一四半期も2ケタの利益率を維持しているし、カドミウム・テルル系という化合物型で世界トップの米ファーストソーラー社は、実際の生産コストでは世界で最も低いと見られている。米エネルギー省(DOE)は、次世代型太陽電池や人工光合成デバイスへの研究に100億円以上を投じている。

 風力発電でも、オバマ政権と州政府がボストン沖の東海岸や5大湖での大規模な洋上風力発電を承認しており、DOEは2020年までに1000万kWの洋上風力が設置されると予想している。すでに500万kWの計画申請がある。

 産業政策と安全保障の両視点から再生可能エネルギー促進の手を緩めているわけではない。シェールガスはまだ新しい資源だけに、採掘時の環境破壊リスクや可採埋蔵量の算定手法など、未知の部分も多く残っているのも確かなのだ。

 むしろ、シェールガス革命で原子力発電の新設が滞っていることは、スマートグリッドや再生可能エネルギーの普及にはプラスに働く。発電コストに占める設備費の割合が高い原発が増えると、電気を多く使わせることが電力会社の経営課題になりやすくDRには消極的になる。原発に比べ発電出力規模の小さい天然ガス火力の方が、相対的にDRニースが高くなる。また、原発は出力を変動させにくく、変動の大きい再生可能エネルギーと共存しにくいが、出力を変動させやすい天然ガス火力は、再生可能エネルギーとの相性が良い。

CNG車のシェアが飛躍的に高まる可能性も


官民が連携して、電気自動車(EV)の充電ステーションを増やしている。写真は、EV充電サービスを展開するエコタリティ社のステーション
 このように米国のエネルギー政策が今後、どんな方向に行き、それがエネルギービジネスにどんな影響を及ぼすかは、見方が分かれている。再生可能エネルギーやスマートグリッドとともに、次世代自動車の行方に関しても、複数の読み筋がある。産業政策的な視点からは、「米自動車メーカー大手は、ハイブリッド車や燃料電池車の開発で、日独メーカーに後れを取ったため、米政府はEVを本命視している」との見方が根強い。

 EVベンチャーのテスラがGM(ゼネラル・モーターズ)の元工場を引き継いだのは、米政府の強い後押しがあったといわれる。ただ、いま現在、米国でもっとも売れているエコカーは、ハイブリッド車「プリウス」だ。米コンサルタント会社の自動車業界担当者は、「米国の消費者は経済性を第一にクルマを選ぶ。EVや燃料電池車のコストはハイブリッド車より安くならない。ハイブリッド車の次は、やはりハイブリッド車」と言い切る。


天然ガス価格の下落で、CNG(圧縮天然ガス)車の普及が進む可能性も。写真は、ホンダが米国で生産・販売するCNGタイプの「シビック」
 一方で、シェールガス革命による天然ガス価格の下落とガソリン価格の高騰を予想する専門家は、「エネルギー政策は今後、天然ガスが主役になるのは必至で、それは自動車政策にも及ぶ。天然ガスを圧縮してタンクに充填して走るCNG(圧縮天然ガス)車は航続距離や価格も、ガソリン車にそれほど引けを取らない。CNG車のシェアが飛躍的に高まる可能性がある」と予想する。実際、米国で唯一CNG車を量産しているメーカーであるホンダは、CNG車「シビック・ナチュラルガス」の販売強化プログラムを今年10月に打ち出した。GMとクライスラーも、CNG車の開発に動き出した。
 米国のエネルギー関連市場は不透明感を増し、先行きが見えにくくなっている。しかし、いずれにせよ、歴史的な転換点を迎えているのは確かだ。

(金子憲治・日経BPクリーンテック研究所)


スマートシティ  リアルビジネスの胎動

世界で400を超えるプロジェクトがあるといわれる「スマートシティ」。主役は市民や企業であり、生活の質(QoL)の向上が目的である。その実現に向けて多くの実証プロジェクトが進行しているが、事業化に向けた動きが活発になってきた。ただ、乗り越えるべき課題も多い。このコラムではスマートシティの事業化や、課題解決のヒントなどを紹介する。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20121018/238209/?ST=print  

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コメント
 
01. 2012年10月23日 08:55:08 : BDDFeQHT6I
相変わらず湯水のごとくエネルギーを浪費したいアメリカ、シェールガスなどすぐ足りなくなるに決まっている。

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