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これからの世代と経済
http://www.asyura2.com/12/hasan78/msg/295.html
投稿者 MR 日時 2012 年 10 月 28 日 22:43:09: cT5Wxjlo3Xe3.
 

    ビジネス知識源(本マガジンは無料版です)
【良質な、経営・IT・ビジネス・経済・金融知識の提供を目標に】

     2012年10月28日:Vol.281   
<Vol.281:これからの世代と経済 >

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  著者:Systems Research Ltd. Consultant 吉田繁治
45535部
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おはようございます。先日、朝食を食べているとき、TVから聞こえ
たのは、東京のビジネス街の、昼食価格についての特集でした。

人気は、「東京チカラめし」、 290円。カルビを丼飯にのせ、タレ
をかける。美味しそうに見えます。三光マーケティング・フーズ
(年商260億円:営業利益18億円)が経営し、居酒屋を含み8種の業
態の店舗数は、東京を中心に156店(2010年6月)です。

09年6月から、「価値ある食文化の提供」を理念とし、店舗を低い
価格の業態に、転換しています。(注)価格では、ロワー・ポピュ
ラー帯。商品価値は、「商品の効用÷価格」です。

メニューを見ると、和風の朝定食が280〜350円、昼食や夕食の焼き
牛定食480円、焼き牛・メンチカツ定食680円、メンチカツカレー55
0円、各種の焼き牛丼280から380円です。

1990年代の600円から、どんどんプライス・ラインが下がったコン
ビニの弁当と、価格帯はほぼ同じです。他の外食チェーンでは、美
味しい讃岐うどんをセルフで提供する「はなまるうどん」(店舗数
164店:)。一杯のメニュー価格は、やはり260円から、上限はほぼ
500円です。ガストのランチ定食も、500円付近です。(注)プライ
ス・ラインは、商品構成での価格帯を言います。

中華の王将は、あれこれ食べると1000円くらいになるので、週一回
のぜいたくという。ハンバーガーのマクドナルドも、プライス・ラ
インでは高級に属します。スタバはもちろんです。外食では、1000
円札が貴重になっています。

昼食の平均は、東京で400円でしょう。22年前の1990年(バブル末
期)は1000円だったので、その40%です。つまり、30年前の価格で
す。地価も30年前の価格に下がっているので、符合します。

店頭商品(食品30兆円を含む総額で135兆円:2011年商業統計)の
平均単価は、1990年以降、年率の平均で2%くらい低下しています
(当方の推計)。0.98の22乗は0.64です。全商品平均で、22年前
の500円のものが、320円に下がったことになります。

下落幅が大きな商品では、年率2.6%の低下です。22年で54%です。
500円のものが270円。ビジネス街の、昼食の定食メニューの最低価
格ラインが260円から290円です。ちょうどこれに符合します。

1980年代中期には、日本の物価は、米国の2倍、食品は3倍と言われ
ていました。1985年が、ドル安(=円高)調整でした。当時は1ド
ル220円でした。現在は77.8円です(12年9月26日)。円は、下落
したドルに対して、27年間で2.8倍に上がっています。

資源、穀物、食肉はドル価格ベースです(貿易財のコモディティ価
格)。約20年の時間をかけ、為替レートに合致するように、日本の
商品価格と、資産価格(地価と株価)が下がってきたと言えます。

ファッション、家電、耐久財の店頭価格は、バーゲンがはげしい米
国が30%くらいは安い。食品スーパーの食品では、米国は食肉、穀
物、青果が安いため、同じ重量、および容量で比べたユニット・プ
ライスでは、日本がまだ2倍です。ドラッグ・ストア等の生活雑貨
は、ほぼ同じ価格に下がっています。(注)ユニット化価格が米国
比で高い食品の購買額では、日本の世帯が米国の世帯の二倍です。

20年の小売で言えば、「商品の販売数量は2倍に増えたが、売上金
額では、20年前と同じ」というのが、平均的な実感です。大型店
(総売上20兆円)が増えた小売総額も、20年前とほとんど変化がな
いからです。本文は20ページです。

わが国5000万世帯の所得と消費、および世帯の支出の関係は、なぜ
か、取り上げられることが少ない。本稿のテーマとします。企業の
商品開発、商品構成では、世帯所得の傾向を、含まねばならないか
らです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

<615号:世代とこれからの経済>
2012年10月28日号


【目次】

1.世帯の収入と消費支出の傾向
2.1987年並みに減った世帯の所得
3.年齢階層別に見た、世帯所得
4.単独世帯の急増:北欧並に向かう
5.これからの年齢別世代と、世帯所得の増減
6.はげしく歪んだ、社会福祉の受益と負担

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■1.世帯の収入と消費支出の傾向

▼品質と価格

低い昼食価格が気になったのは、その前日に、普段は全く行かない
フランス料理店で、誕生日の食事会があったからです。どうしても、
それと比べてしまいます。

住宅地の、内装はクリーム色のしゃれた店での、創作料理のコース
でした。ホタテの前菜、さつまいもとクリームのスープ、若鶏のさ
さみ、ハサミが大きなオマールエビ、ステーキ、6種の山盛りの
チーズ(食べきれない)、そしてデザート。国産の赤ワインをグラ
ス2杯で、ほぼ1万円/人でした。「東京チカラめし」では30食、王
将では10食分です。誕生日とは言え、ぜいたくすぎたか・・・

料理の技と内容からすれば、高くはない。つまり1万円での品質は
いい。しかし価格帯が高く、客数は少ない。6時からほぼ8時まで、
2組だけでした。経営は楽ではないでしょう。こうした店が、拙宅
の近所でも、だいぶ消えました。

ほとんど消えたとは言いませんが、2000年代の12年で3軒のうちほ
ぼ2軒の割でなくなった感じです。新しい店も出ていますが、例外
なく価格帯は低い。外食チェーンの顧客単価も、下がり続けていま
す。

▼世帯所得、消費、貯蓄

わが国の所得と消費の相関係数は、99%です。所得が10%増えると
消費も10%増え、世帯所得が減れば、同じ割合で減るということで
す。なお、GDPの60%は、世帯の消費支出です。世帯の所得が増え
ねば、消費支出は増えないという関係です。

【消費支出28万3000円】
世帯(2人世帯以上の世帯主の平均は57歳:有業者1.3名:2011
年)の消費支出は、12年前の2000年が31万7000円(月平均)でした。

11年後の2011年は、28万3000円へと、10%減っています。
世帯の消費額は、1年に、1%ずつ減っています。

平均的な28.3万円の消費支出の中身は、2011年の月額で言うと、
以下です。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
食料と飲料 6.7万円(うち外食費1.0万円)
住居費 1.9万円(ローンはこれとは別です)、
水道光熱費 2.2万円(うち電気代1.0万円)、
家具・家事用品 1.0万円、
衣服と履き物 1.1万円、
交通・通信 3.7万円(うち自動車関係費2.0万円)、
教育費 1.2万円(授業料8600円等)、
教養・娯楽 2.9万円(旅行費5000円等)、
その他消費支出 6.3万円(男女理容7000円等)、
小遣い 1.2万円(使途の記録なし)、
交際費 2.3万円(冠婚葬祭や飲食)です。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【5分位別収入と消費】
収入を20%ずつの階級に分けた5分位での、消費支出額(2人世帯以
上)は、賞与や他の所得を含んだ月間平均で、
第1分位 18.7万円(実収入28万円:1000万世帯)、
第2分位 23.8万円(実収入39万円:1000万世帯)、
第3分位 26.7万円(実収入48万円:1000万世帯)、
第4分位 30.8万円(実収入60万円:1000万世帯)、
第5分位 41.2万円(実収入84万円:1000万世帯)の分布です。
(注)各々が、世帯構成比20%

【消費の元になる平均月収はいくらか】
全世帯を平均した、2人以上の世帯(世帯主年齢は56歳が平均)の
月収は、
(1)世帯主45万円(賞与分での、月間平均割り7万円を含む)、
(2)妻のパート収入4.7万円(ほぼ6割の世帯が主婦パート)、
(3)その他3.3万円で、合計では53万円(年収636万円:07年)で
す。

【所得のうち消費が50%:非消費支出が50%】
このうち、上記の28.3万円(53%)が、主に、店舗から商品を買
う消費支出です。なお消費には車の購買や教育費、旅行、光熱費も
含みます。

概略で言えば、
・総収入のうち、ほぼ50%が消費支出、
・50%が、以下で示す非消費支出です。

世帯が使ううち、消費支出に含まれないものは、平均で20.7万円
/月(07年)です。内訳は、
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ローンの返済 4.0万円、
社会保険料〔年金+医療の保険〕 4.7万円、
所得にかかる直接税 4.0万円(1.4万円の消費は別)
預貯金の純増 5.6万円
生命保険の純増 2.4万円、です。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(注)社会保険料4.7万円と、所得税(4万円)、消費税(約1.4
万円)の合計は、10.1万円/月(世帯収入の19%)に増えていま
す。

【会社に勤める勤労者世帯の貯蓄】
わが国で、5000万ともっとも数が多い勤労者世帯(農林漁業の世帯
と自営業を除く)のアンケート調査による貯蓄額では、貯蓄1200万
円(預金700万円+生命保険322万円+有価証券124万円等)です。
負債が640万円です。

(注)負債がある世帯は、全世帯の43%で、平均では1488万円の
ローンです。貯蓄よりローンのほうが多い。つまり住宅ローンがあ
る世帯は、負債を引いた純金融資産ではマイナスです。

農林漁業の世帯を含むと、貯蓄額は、総平均で1638万円と大きくな
ります。農家の総所得は、771万円(月間64万円)です。

〔農家の所得 内容〕
実は、農業所得はごくわずかです。1世帯で110万円(農家の世帯所
得の14%)。兼業農家(農家総数252万世帯のうち87%:専業は34
万戸:2012年)が圧倒的に多いため、農業外の勤務所得が432万円、
両親が受けている年金等が228万円です(03年)

家族数が多い農家の世帯当たり総所得も、1994年が頂点で909万円
でした。10年間で138万円(15%)も減っています。

農家や自営業を除く、勤労者世帯の概念での貯蓄額は、2002年が12
80万円でした。7年間で80万円減っています。他方、同じ時期の負
債は607万円から643万円へと36万円増えています。(以上総務省
家計調査)
http://www.stat.go.jp/data/chouki/20.htm

1998年の所得額ピークのあと、14年間の世帯所得は、言いにくいの
ですが、80%の世帯が、(1年でみればわずかではありますが)所
得の減少、預金の減少、そして負債の増加という貧困化・・・です。

■2.1987年並みに減った世帯の所得

2010年の世帯所得(有業者1.3名)は、538万円でした。
所得の最新データです(厚労省:2011年 国民生活基礎調査)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa11/dl/03.pdf

平均所得は、664万円(1998年)が頂点でした。
その後12年間で、126万円(19%)も減っています。
毎年平均で、世帯所得は、10万円減ってきたのです。

【10年間の所得減少】
世帯区分 2001年 2006年 2010年
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
全世帯 602万円 566万円 538万円
・高齢者世帯 304万円 306万円 307万円
・児童のいる世帯 727万円 701万円 658万円
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

高齢者世帯(世帯主65歳以上)がほぼ300万円の年収(うち年金が1
名当たり170万円)を維持しているのに対し、児童のいる世帯は、7
27万円から658万円へと、10%減少です。

▼所得別の世帯数分布

平均所得が538万円とは言っても、所得の階級別にみた世帯数はど
うか?

これが、これからのマーケティング〔商品開発と品揃えと価格〕で
重要です。なぜビジネス・パーソンの昼食が、もっとも低いプライ
ス・ラインで、ワンコイン以下の300円に下がったのか? これを見
ると分かります。飲み物を入れれば、ほぼワンコインです。

【5000万世帯の所得額の階級】
・200万円未満 20%
・200〜400万円未満 27%
・400〜600万円未満 20%(所得の中央値は427万円)
・600〜800万円未満 14%
・800〜1000万円未満 8%
・1000万円以上 11%

世帯所得の中央値(所得階級の世帯数で真ん中)は、427万円です。
5000万世帯のうち、47%は427万円以下の所得という意味です。

(1)47%(6000万人)の人たちは、年間消費が200万円(月間17万
円)です。住宅の純資産や預金がないと、生存所得のレベルと見て
いいでしょう。

(2)平均的な所得の世帯(400〜800万円)が34%です。1700万世
帯の4400万人が、ほぼ平均に属します。

(3)平均より豊かと言える世帯は、年収800万円以上の19%です。
世帯数で950万世帯、人口で2500万人です。

見渡せる100世帯の町でイメージ化すれば、5:3:2でしょう。かつ
ての所得の中間層が、400万円以下になってきました。

・400万円以下 47世帯(まるめれば50世帯)
・400〜800万円 34世帯(同30世帯)
・800万円以上 19世帯(同20世帯)

100世帯にミニ化した町での、2000年代の所得変化は、
・かつては50世帯だった所得の中間層を30世帯に減らし、
・逆に、所得400万円以下の世帯を50世帯に増やしたのです。
・世帯所得800万円以上は、過去からほぼ変わらず20世帯です。

10年の変化で、中間層は40%も減っています。生存層は、必要な商
品を買うのにやっとの生活という意味です。
適合商品で言えば、
・生存層の対象が50%、
・中間層以上の対象が50%になったのです。

幸い、1998年と比較すれば、店頭商品の物価が40%から50%下がっ
たため、商品購買量は増えています。物価が下がるデフレが、生活
を助けたのです。物価が下がらないと、商品購買量は減っていまし
た。生活の困窮が70%の世帯になったはずです。

問題は現在より、これから、実質所得(名目所得−物価上昇率)が
増える見こみがあるのかどうかです。70%くらいの人(9000万人)
は、所得減を見ているように感じます。

【注記:地域格差】
高齢者と子供を含む、人口1人当たりの県民所得は、東京都の390万
円から沖縄の204万円まで、2倍に近い差があります〔09年〕。世帯
所得もこれに比例します。

1人当たりの県民所得では、北海道・東北が240万円(全国比86)、
関東が317万円(同114:東京390万円)、中部282万円(101)、近
畿274万円(98)、中国257万円(92)、四国237万円(85%)、九
州232万円(83)です。

■3.年齢階層別に見た、世帯所得

日本のマーティング(メーカーの商品開発:小売の商品構成)では、
学歴や職業別より年齢別・所得別が、商品購買に影響を及ぼします。

コンビニでは、商品のPOSスキャンのあと、顧客の10歳区分の年齢
と性別をアルバイトが入れ、性別・年齢階層別に、どんな商品が、
いつ、売れているかを集計し、個店別にマーティング(市場想定)
しています。個食の高齢者の、コンビニ利用が急増したのです。

年齢別のマーケティングデータを元にした、商品開発と、2700アイ
テムの商品構成が、近年の、コンビニ(5万店)の既存店売上の上
昇、つまり、他の小売業態がマイナスを続ける中で5%増である理
由です。

既存店では売上が増えていない食品スーパーは、顧客の年齢階層別
のショッピング・バスケット・データ(時間軸での購入アイテムと
価格)をもたない。食品スーパーは、その商品の主なものは、減っ
たファミリー需要の対象店です。

【年齢階層別の所得:2010年】

29歳以下 30代 40代 50代 60代 70歳〜 平均
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
世帯所得 314万円 515 634 714 544 415 538万円
1人所得 161万円 167 190 236 213 188 194万円
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(注)1人所得は、世帯所得÷家族数(全平均は2.6人)。つまり、
働かない人を含む、家族の一人当たりの所得です。

世帯所得は、50歳代の714万円(有業者1.3人)がピークです。

一方、男性個人での、年齢別のサラリーマン賃金は、
10代 158万円
20代 300万円
30代 470万円
40代 600万円
50代 620万円
60〜65歳 380万円(65歳以上は年金受給分が207万円)
65〜69歳 400万円、です(国税庁:民間給与)。

20代の300万円が、20年後の40代にその2倍の600万円になって、45
〜49歳が、生涯賃金のピークである632万円です(2010年)。

20年で2倍は、1年で3.5%の賃金の上昇です。この年齢別の賃金
カーブは、個人の将来賃金の平均額も示しています。自分が30代な
ら、この表を見れば50代になったときの平均賃金のメドが分かりま
す。平均は、平均以下(3000万人)のうちの最良、平均以上(6000
万人)のグループでの最大です。

〔注1:所得上昇〕
1980年代までは、1年7%の上昇で、20年で4倍でした。年収180万円
が初任給であり、20年後は、700万円くらいを想定できたというこ
とです。現在の公務員の賃金水準がこれです。

現在では、年収のピークの想定は、平均的には、600万円(40代後
半)でしょう。

〔注2:非正規雇用の急増〕
非正規雇用(パート894万人、アルバイト344万人、派遣89万人、契
約社員460万人:12年)は、1990年の20%(870万人)から、2012年
は35%(1786万人)であり、2倍に増えました。

・他方で、正社員は、1990年が80%(3473万人)、2012年は65%
(3304万人)で、5%減っています。
・両方を合わせた雇用総数は、2000年代は5000万人であり、ほとん
ど増加していません。正規雇用の賃金は、414万円(全年齢平均)、
非正規雇用は123万円です。3.4倍の格差です。

〔注3:高齢化〕
2012年からは、団塊の世代(5年で1000万人)の65歳超えがあるた
め、総雇用数は、減少の時代に入ります。65歳になると、役員や自
営業、農林漁業以外はほぼ完全退職になって、厚生年金で200万円
くらいの年金生活に入るからです。

以下では、家族1人当たりに割った所得に着目してください。

【世帯主】 家族1名当たり所得
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
29歳以下 161万円
30代 167万円
40代 190万円
50代 236万円
60代 213万円(65歳以上では所得の67%が年金分)
70代 188万円(同上)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
平均 194万円

29歳以下の世帯主から、50代の世帯主までは、家族1人当たりに割
った所得が、1年に1.5%(2.4万円)の割合で増えます。

ただしこの世代は、子供が1人であっても教育費が年々増え、住宅
ローンもあるため、1人当たりの消費額を増やすことができません。
正社員なら、むしろ結婚前が1人当たりの消費は多い。結婚できな
い理由でもあります。(注)わが国の少子化の問題は、結婚ができ
ない所得の問題です。しかし政府は、都合が悪いのか、これを認め
ていません。

本来、20代から50代までは、家族1人当たりの所得で、現状の1年1.
5%ではなく、5〜7%程度の所得増がなければならない。この所得
増がないと、消費も預金も増やすことができません。

60代以上は、子供の教育費からは開放され、住宅ローンも完済し、
生活は、むしろ楽になります。ただし2000年代には、子供の世代に、
年収では200万円以下になる非正規雇用(20代では50%)が多いた
め、親が援助しています。

60歳代の家族1人当たりの所得は213万円と、支出がもっと多い40代
より多い。70代も、年金の受給があるので、家族1名当たりで188万
円です。60代、70代の旅行が多いのは、1人当たりの所得が、現役
世代より大きいためです。

(注)60歳以上で、生活の問題になるのは、医療費が、60歳以上に
なると夫婦2人で130万円(自己負担39万円:保険支給が91万円)に
増えることです。高齢世帯の不安は、慢性の生活習慣病です。
病気は二つです。回復が早い急性の病と、治療に時間がかかる慢性
の病。60歳以上になると、自然な体力と抵抗力の衰えから慢性病が
急に増え、一人当たり医療費を、65万円/年に上げます。

▼生活上の感想:70%の世帯は、生活が苦しい

児童のいる世帯(1232万世帯:世帯数の25%:4軒に1軒:子供は1.
7人)では、35%(3世帯に1世帯)が、生活が非常に苦しいと答え
ます。やや苦しいが35%、普通が28%、ややゆとりがあるが2.4%、
大変ゆとりがあるとの答えは0.3%(1000軒に3軒)です。

ほぼ70%の世帯は、「生活が苦しい」という意識であり、普通や、
それ以上の生活と感じている世帯は、30%と少ない(厚労省)。

〔失業の不安〕
2010年代に、働く世代で高まっているのは、職を失う失業とリスト
ラの不安です。目前の失業の不安を、14%(700万人)の人は抱え
ています。日本も、製造業の家電産業に見えるように、輸出型の大
企業で、米国のような、リストラの時代を迎えました。大手企業の
リストラが、2010年代の、特徴です。家電産業がその典型です。

大企業の雇用は30%(1500万人)です。
他方、平均社員数25名の中小企業の雇用が70%(3500万人)です。

【他の調査】
日経MJ紙の調査では、医療費、自宅での食費、光熱費、子供の教育
費が、自由裁量できず増えるため、生活防衛で、以下の順で支出を
減らすという回答です。

(1)外食費、(2)預貯金、(3)旅行、(4)娯楽・スポーツ、
(5)衣服・靴、(6)住宅購入、(7)交通費。真っ先に外食費、
次が預金、次が旅行の順で減らします。

世帯が考える生活問題は、順に、
(1)給与や事業収入が増えない、
(2)減ってきた貯蓄を増やさねばならない、
(3)物価が上がった、
(4)失業と仕事の継続に、不安がある、
(5)税金などの公的負担が増加する、
(6)医療費の負担が増える、
(7)ローン負担です。(日経、サンプル1154名の調査:2012年)

政府調査(2007年7月)で、
・将来の生活がよくなってゆくと答えた人は8%、
・同じ状態が続くが60%、
・今より悪くなるが30%です。

(注)本来は、30%:40%:20%でなければならない。わが国で将
来の生活が良くなると感じでいるのは、12世帯のうち1世帯に過ぎ
ません。ここが、経済の最大問題です。政党と政府が、世帯所得の
問題を取り上げないのも、これが理由です。こうした中で、消費税
を5%上げて、物価が5%上がるとどうなるのか・・・と杞憂します。

(1)良くなって行くと答えた8%(100世帯のうち8軒)が、商品購
買を増やし、あるいは高額品を買い、
(2)悪くなると答えた30%(100世帯のうち30軒)は、消費を減ら
す傾向になります。同じが、60%です。

(参考情報)
所得格差と失業が大きな米国では、68%の世帯が、「給料ぎりぎり
の生活」と答えています(2011年)。このため、2012年11月の大統
領選挙では、失業率8%台を、どういう方策で減らすかが、民主党
と共和党の、最大の政治課題になっています。

日本で同じ調査をすれば、やはり70%付近の人(70%の世帯)は、
ぎりぎりの生活だと答えるでしょう。日本では、これが政治の課題
にならないのはなぜか? 官僚の所得が高いためでしょうか。

■4.単独世帯の急増:北欧並に向かう

2000年台、2010年台、2020年台のわが国を特徴づけるのは、単独世
帯(結婚しない人と高齢者)の急増です。

単独世帯は、1975年には20%でしたが、2005年は30%です。今後も
38%(2030年)に向かって増えます。東京ではすでに45%が単独世
帯です。

単独世帯 夫婦のみ 夫婦と子供 ひとり親 その他
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
05年 29% 34% 14% 8% 16%
10年 30% 34% 15% 8% 14%
15年 31% 33% 15% 8% 13%
20年 33% 32% 14% 8% 13%
30年 38% 30% 12% 8% 13%
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

夫婦と子供という、イメージ化された世帯類型(1990年代までの核
家族)は、すでに、全世帯(5100万)の15%に過ぎません。町を見
渡したとき、7軒に1軒しかない。また、離婚等によるひとり親が8
%です。

マーケティンでは、過去の世帯イメージは、完全に捨てなければな
らない。マーケティングは、メーカーでは商品開発、卸・小売業で
は商品構成です。常識は、いつも10年くらいは遅れます。290円の
「東京チカラめし」が、人気を得る理由がこれです。

100軒の町で言えば、
・単独世帯 30軒(これからも、高齢者で増加)
・夫婦のみ 34軒(減少傾向)
・夫婦と子供 15軒(減少傾向)
・ひとり親 8軒(横ばい)
・その他3世代等 14軒(減少傾向)、です。

以上は、食品を含む全商品分野で、
・過去の前提だった「ファミリー需要」は減って、
・「個人需要(結婚しない人と高齢者)」が増えるということです。

三世代家族が分解した核家族化(夫婦+子供2人)は、1980年代ま
でです。2000年代と、今後は、単独世帯の急増です。

▼高齢化+未婚率の増加

主に単独世帯のうち生涯未婚(50歳時点で結婚経験がない:2012
年)は、男性で20%、女性で10%に増えています。生涯未婚とは、
50歳時点で、結婚の経験がない人です。

主因は、男性側の所得が300万円以上、あるいは300万円を超える見
こみになっていない人が、増えたからです。アンケートでは、女性
は、相手の男性に、最低でも年収400万円を要求しています。

[比較]個人所得が5%から7%は増えていた1980年の生涯未婚は、
男性で2.6%、女性で4.5%しかなかったのです。
1990年でも、男性の生涯未婚は6%でした。
1990年代と2000年代の20年間で急増したのが、生涯未婚です。

(注)なお、フランスと北欧では、非婚の子供が50%以上です。日
本では婚外子と言っていますが、これらが多数派です。

わが国の少子化は、男性の所得が低く、結婚できない人が増えたか
らです。30代以下の人にとって「デートも割り勘で」が普通です。
レストランで細かく割っている人をよく見かけます。

2000年代の離婚数は、毎年、25万組です。これも、1990年の15万組
から増えました。現在の傾向では、30年間で、離婚750万組ですか
らほぼ15%の人が離婚しています。経済的な原因と、異性関係でし
ょう。生涯では85%が離婚しない。15%が離婚という意味です。

〔注1:未婚率〕
25歳から29歳の男性では未婚が72%、女性の未婚60%、30歳から40
歳で男性47%、女性35%が未婚です。

男性で言えば、40歳未満の、実に60%くらいもが未婚です。結婚し
ている人のほうが少ない。驚嘆すべき状況です。20台後半からの結
婚という見方は、ほぼ30年も過去のライフ・スタイルです。

〔注:高齢世帯の単独化〕
高齢世帯が単独になるのは、60歳未満で35%(離婚と死別)、60歳
代で36%、70歳以上で28%です。60歳代には、70%くらいの人が、
1人住まいの単独世帯になっています。70代以上では、病気で寿命
が来る人も多く、ほぼ全世帯がひとり住まいになる。

1人暮らしの世帯で、健康状態が悪いと答える人は、22%です。ま
た、全国の要介護の人は530万人(介護の五等級合計)で、総介護
費用は8兆円です。1人あたりでは、医療費とは別に、1人平均130万
円の介護費です。

以上のような、生涯未婚と高齢者の、ひとり住まいの増加のため、
単独世帯の増え、「食も個食化」に向かっています。

人口2000人(800世帯)に1軒があり、すっかり町のお店になったコ
ンビニが、「小パック化(量が半分)」で、単独化した需要に適合
しています。これが、コンビニの売上げが増えている理由です。

コンビニの顧客単価は600円です。1日に、ほぼ1000人が、食品と飲
料を中心に、600円分を買っています。1日に2回も多い。

【世界の単独世帯比率:北欧で高い:若年者の独身】
もっとも多いのはスウェーデンの46%です。ドイツ39%、ノルウ
ェー・デンマーク38%、オランダ35%、オーストリア34%、日本30
%です。米国は26%とまだ少ない。

北欧やフランスでは、未婚のままで、子供を産むことが多い(婚外
子50%以上)。

「子供は男女に生まれるが、育てるのは社会」という、子供に対す
る社会福祉の思想があるからです。公立学校は、高等教育もほぼ無
料です。医療も無料です。ただしその代わりに、給料からの社会福
祉費は50%を超えています。国民負担が、世帯所得の60%や70%と
高くても、それは還元されるという考えがあるため、北欧では、政
治的な不満にはなっていません。

■5.これからの年齢別世代と、世帯所得の増減

わが国は、2010年代から、人口の年齢構成が、世界で先頭の高齢化
に向かい、大きく変わります。

実際は、2012年から、退職者が増える高齢化時代を迎えます。
世帯主の世代別所得と、各々の世代の、人口数の増減を、組み合わ
せて、将来の状況を見ます。

2010年 2010年 2020年 2030年
世帯主 世帯所得 人口数 人口数 人口数
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
20代 314万円 1370万人 1180万人 1080万人
30代 515万円 1760万人 1360万人 1170万人
40代 634万円 1640万人 1740万人 1340万人
50代 714万円 1610万人 1600万人 1690万人
60代 544万円 1810万人 1510万人 1510万人
70代 415万円 1290万人 1570万人 1290万人
80代以上 400万円 820万人 1080万人 1310万人
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
合計 538万円 1億2560万 1億2030万 1億1090万

2012年からの高齢化で、今後20年での人口構成の変化ははげしい。
以下は、確定した18年後の未来です。

(1)20歳未満は580万人減少(26%減)
(2)20歳〜49歳は1180万人減少(25%減)
(3)50歳〜69歳は220万人減少(16%減)
(4)70歳代は、増減なし。
(4)80歳以上が1470万人増加(60%増)
(5)総人口は1470万人減少(12%減)

2020年までの特徴は、
(1)団塊ジュニアの40代が100万人増えて(30代から40代になって、
増える40代世帯が50万世帯)
(2)団塊シニアの70代が280万人増えます(60代から70代にとなっ
て、増える70代世帯が140万世帯)

30代から40代世帯所得が、1世帯当たり130万円(増加世帯50万軒で
6500億円)増えます。これが、団塊のジュニアによる所得増です。

逆に、60代から70代になると退職のため、世帯所得は、544万円か
ら415万円(うち年金240万円付近)へと、129万円減ります。増加
人数は270万人(世帯数135万)です。これによる所得の減少分は、
1兆7000億円です。

(注)1年53兆円の支給に膨らんだ年金に関して言えば、財源の不
足のときは、支給開始年齢(現在65歳)を、67歳、68歳、70歳と上
げる対策が採られるでしょう。どの政府でも、最終的には採らざる
をえないことです。選択肢はない。

【2012年からが、本格的な、財政問題】
・2011年の年金支給額(53兆円:支給対象は3703万人)と、
・医療費33.6兆円、
・介護その他の社会福祉が、合計で107.8円です。

社会福祉の必要額は、1年に3兆円(3%)ずつ増え、
2020年には、(確実に)140兆円にもなります。

8年後には、32兆円の新しい財源が必要です。消費税の換算では、
あと25%(つまり30%)が必要になります。これは、経済的に無理
です。消費税が増えても、現在の社会福祉の、1人当たりの金額が
上がるのではなく、65歳以上の世代の増加によって、総額の必要費
が増えるからです。

消費税を上げると、物価がその分上がるためインフレのように実質
GDPが大きく縮小して、所得と需要が減るため、増税効果もなく、
逆に国家財政は破産します。

従って、やむを得ず、
(1)年金は、支給開始の年齢を上げ続け、
(2)医療費も、増加分を削減するしか方法はない。
(3)これに加えて、国家+地方の公務員と準公務員の人件費(総
額40兆円:375万人)の削減30%を行わないと、国家財政は破産し、
その後は、強制的に「払えないものは、払えない」となります。

国民にとっての結果は、国家の財政破産のほうが、ひどい。

次の内閣からの3年の課題は、社会保障の改革と、公務員改革です。
(注)踏み込めない可能性も高く、日銀による赤字国債買い一本
(50兆円レベル)になる可能性も高い。

【世帯の総所得】
2020年から30年までも、同じ、全体の所得減の傾向を示します。
2010年から2020年では、全世帯の総所得は世代変化の要因から、8
兆円減少します。

加えて、決定した消費税10%(2014年+3%:2015年+2%)での負
担の増加は、5%の増税で12.5兆円くらいです。これによって世帯
の総所得260兆円(2010年:消費税5%をマイナス後)が、248兆円
くらいに減るマイナス効果があります。2010年比で、マイナス12兆
円(4.6%)です。

2020年までの世代別世帯所得は、消費税の増税要素をいれずとも、
(1)20代、30代で14兆円減少し、(21%減)
(2)40代が4兆円増加し(8%増)、
(3)50代が同じで、
(4)60代が8兆円減少して(16%減)、
(5)70代以上の所得が12兆円も増えます(27%増)

大きく言えば、
・20代〜30代の世帯数の減少による総所得減14兆円(21%)が、
・70代以上の、世帯数急増による総所得増12兆円(27%)に振り替
わるイメージです。

これから10年は、70歳以上の、体力が衰えて生活習慣病が増える世
代に適合する商品が、増えるということです。そしてまた、増える
のは、ひとり住まいの世帯です。まとめれば、「ひとり住まいと高
齢化」です。

TV、車、電子機器、ファッション、住宅の機能も変わるべきでしょ
う。食では、肉食が減り、発酵食品と野菜が増えます。これが、世
界の最先端を走る、高齢化の日本です。以上は、内需のマーケティ
ング(メーカーの商品開発、小売の商品構成)の、コアにすべきこ
とです。増加する顧客層に合わせないと、売上の増加はありません。

以上は傾向です。1998年以降、14年も続いている世帯の所得減の傾
向を変えるは、以下の方策しかない。

■6.はげしく歪んだ、社会福祉の受益と負担

年金は65歳から、厚生年金の場合、1人約200万円平均が、支給され
ます。国民年金は72万円です。

【世代別医療費】
65歳から急に増えるのが、慢性の生活習慣病です。このため医療費
が急増します。1年間の世代別医療費は、以下です(2009年:厚労
省:男性)

全年齢平均の医療費は1年に28万円で、生涯(85歳と仮定)で、238
0万円です。医療費は、65歳以上で53%を使います。

0〜14歳の各年齢 14万円/年(一人当たり)
15〜44歳 9万円/年
45〜64歳 28万円/年
以上の65歳未満 16万円/年
────────────────
65歳以上 74万円/年
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
1年平均 28万 円/年(総額の医療費は35兆円:09年)

65歳未満のときの医療費は、1年16万円(30%が負担:70%が政府
保険)です。65歳を超えると74万円へと、1年に58万円も増えます。
この医療費とは別に、年5%で増えている介護費は7.9兆円です〔1
1年〕。

(注)医療費の自己負担分は、70歳〜75歳未満は、2012年4月から
自己負担20%です。75歳以上は、10%が自己負担です。ただし、世
帯所得が520万円以上では、年齢にかかわらず30%負担です。

以上のような、高齢化に伴う年金・医療・介護費の負担を、世帯別
に見ると以下のような、激烈な不公平があります(内閣府:2006年
試算)。

【受益と負担の世代間格差:2006年時点】
60歳以上 4875万円の受益
50〜59歳 1589万円の受益
40歳代 損益±0
30歳代 マイナス1202万円
20歳代 マイナス1660万円
19歳以下 マイナス4585万円

受益は、自分が払った年金の掛け金、医療保険、介護保険額より、
生涯に受ける年金、および医療費で使う金額が多いという意味です。
2012年で65歳以上は4875万円の受益です。税からの補填と、自分が
払っていない保険料での超過受け取りの、65歳以上の1名の平均額
がこれです。

他方でマイナスは、その逆で、自分が払った分の社会保証保険の積
み立て額と税負担より、受益が少ない分です。

現在の65歳以上は4875万円の受益ですが、24歳以下は、ちょうどそ
の受益額に相当する4585万円の負担です。受益と負担の差異は、1
人当たりで9460万円もあります。損益ゼロは、40歳代です。こうし
たはげしい世代間不公平は、日本が、突出して世界ナンバー1です。
(注)政党と政府は、これを、積極的には取り上げません。選挙で
の主な支持層が、50歳以上の「受益者」だからです。

以上を知って、どう思われるでしょう? 現在24歳以下の人は、現
状の社会保障の制度が続くなら、1人当たりで4585万円を、税と社
会保険料として、自分の将来受益額より多く負担せねばならない。
22歳から65歳まで働くとすれば、1人平均で1年の超過負担額が106
万円です。預金が4585万円あっても、社会保証と税の超過負担で消
えるという意味になります。

生涯年収はほぼ3億円ですが、24歳以下の人は、この中から、4585
万円を、超過負担することになります。以上は、世代間ではげしく
歪んだ社会保障であり、とても、サステナブルではないと思えます。

現在の65歳以上の世代は、ほぼ孫の世代から、1人当たり4000万円
くらいを受けとることと同じです。

65歳以上の人にとっては、十分な社会保証ではないと思われるかも
しれません。しかし・・・現在35歳以下の人には、自分が受益する
分をはるかに超えた負担が大きい。

これは、ここ数年内に、修正に向かわざるを得ないことです。
内閣が何党であっても、です。

若い世代にとって、将来所得の増加がなく、負担だけが増える社会
を、現在の50歳代以上の人たちと政治が、作ってしまっています。

30代以下の若い世代は、自分の年齢以下の人口が増えないため、自
分たちの受益分を、後の世代に負担させることはできないのです。
(注)政治の一面は、利害調整です。以上の世代間の、巨大な受益
と負担の格差は、是正しないと、将来がありません。

今後の経済成長がないと、こうした受益と損の世代不公平は、ます
ます高まります。年金支給額と必要医療費は、減るものではなく、
1年に3兆円も増え続けると決まっているからです。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【ビジネス知識源アンケート:感想は自由な内容で。
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2.理解は進みましたか?
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<618号:これから3年の金融資産運用は、価値の防衛>
2012年10月17日号

【目次】
1.国債の売買が増えた、世界の金融市場
2.ヘッジ・ファンドのパフォーマンスは低い
3.ヘッジ・ファンドの運用方法(再掲)
4.財政破産にならない間、金利は低いままが続く
5.今後の運用では、「実質実効利回り」を求める
6.円の検討
7.資産防衛のための、スイス・フランという選択肢
8.米ドルは選択肢になるか?
9.株式という選択肢
10.ゴールドという選択肢

   <619号:「大恐慌」は、どのように起こったのか?>
2012年10月24日号

【目次】

1.米国の資産価格の、バブル的な高騰の時期:1920年代
2.銀行の倒産と閉鎖:1930年代初期
3.大恐慌の原因は、マネー・サプライの30%減少
4.銀行の破産がどう波及するかへの、イマジネーションの欠如
5.米国の金融危機以降の、各国のマネー・サプライ
6.欧州の銀行が迫られている資産圧縮は、350兆円
【後記】

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コメント
 
01. 2012年10月29日 11:18:31 : cqRnZH2CUM

>若い世代にとって、将来所得の増加がなく、負担だけが増える社会を、現在の50歳代以上の人たちと政治が、作ってしまっています

これは、当分、どうにもならないだろう

まあ今の高齢者は若い時は苦労したからな

それに自分は搾取階級として相対的に恵まれたまま、子孫と国が衰退していくのを為す術も無く眺めながら死んでいく
というのは、まともな人間であれば、罰ゲームみたいなものだ


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