★阿修羅♪ > 経世済民78 > 412.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
日銀依存シンドロームとデフレへの処方箋  景気後退「4月から」  G20:日本、打つ手ないまま 特例公債法案の早期成立を
http://www.asyura2.com/12/hasan78/msg/412.html
投稿者 MR 日時 2012 年 11 月 06 日 23:34:18: cT5Wxjlo3Xe3.
 


コラム:日銀依存シンドロームとデフレへの処方箋=加藤隆俊氏
2012年 11月 6日 14:38  
加藤隆俊 国際金融情報センター理事長(元財務官)

[東京 6日 ロイター] 海外経済の減速の強まりや日中関係の緊張による先行き不透明性の増大を受け、日本の景気の弱含みを示す指標がこのところ相次いでいる。こうした足もとの動向を背景に10月30日の日銀政策決定会合が一段の金融緩和の強化を決定したことは、妥当であり市場の強い期待に応えたものであるといえよう。

また、デフレ脱却に向けた政府および日銀双方の課題が共通の認識として整理されたことは、デフレ問題に関する内外の議論を誘導する枠組みを明確化するものとして評価したい。

日中問題の影響など海外経済のさらなる落ち込みによる景気の底割れを防ぐ措置として今後も金融当局への期待が高まることはありえようが、金融緩和のみによって長期の経済低迷から脱却できるかのような見方には反対である。

そもそも金融政策は、潜在成長率の持続的な向上を約束するものではない。その目標は物価や通貨価値の安定であり、それによって安定的な経済活動を促すことである。潜在成長率の引き上げに必要な成長セクターへの資源配分は、規制緩和など構造政策を通じて実現される性質のものだ。

米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)との比較で、日銀の措置がいまだ不十分だと主張する人たちは、日米欧の金融緩和の背後にある「三者三様の事情」に改めて目を向けるべきである。たとえば、なぜECBが3年物資金の無制限供給オペにまで踏み出したかと言えば、ユーロ圏のマネーマーケットが機能不全に陥り、流動性を供給しないと域内経済活動が阻害される懸念があったからだ。ところが、日本は現時点で、そこまでの事態には至っていない。

一方、米国の場合は、リーマンショック後のマネーマーケットの大混乱は収まったが、サブプライム問題で甚大な打撃を受けた金融機関はいまだ復調に向けた歩みの途次にある。家計も相当な規模の債務整理を迫られており、景気は通常のリセッション後の回復パターンとは違った足取りをたどっている。

日本は、この点でも違う。バブル崩壊後に過剰債務の整理で苦しんだ経験もあり、邦銀はサブプライム関連商品への投資に慎重な姿勢を貫き、欧米勢が陥ったような資本不足に悩む状況にはない。家計部門に目を転じても消費は弱いが、信用収縮に伴う債務整理を迫られているような状況にはない。ただ一方で、日本の実体経済は世界経済が一気に冷え込んだ影響に伴う財やサービスの輸出の落ち込みや福島原発事故後のエネルギー輸入代金の著増を通して、大きな打撃を被っている。2012年度上半期の貿易収支は、半期ベースでは過去最高の3兆2190億円の赤字となった。

この事態に対して日銀は、低金利の維持、資産買い入れ基金の創設、その規模や対象の拡大、そして時間軸の延長で対応してきた。日銀のバランスシートを見ると、リーマンショックが発生した2008年以降の拡大ペースこそFRBやECBに比べるとかなり緩やかだが、国内総生産(GDP)に対する比率は08年以前から一貫して高く、最近ECBに抜かれるまで主要中銀の中で最も大きかった。他面、こうした日銀のバランスシートの増大が金融面の不均衡を蓄積させる要因に結びつくリスクはないのか、今後とも金融緩和を強化していくにあたっては点検し続けることが必要であろう。

<先進国の量的緩和が新興国に及ぼす悪影響>

確かに、FRBは、金融政策の目的としての「雇用の安定」を強調している。しかし、雇用は本当に金融緩和によって持続的に回復するような性格のものなのか。この点については、米国の経済学者の間でも両様の見方があると理解している。

そもそも米国や日本に限らず先進国が等しく直面している雇用問題は、グローバリゼーションが進展する中で新興国に雇用が移り、中間層の没落が進んでいるという国際経済の構造変化に由来している。これは、紙幣の大増発のみで解決できるような類の問題ではない。

先進国に必要なのは、新興国に対して比較競争優位を持てる産業・需要の創出であり、それには硬直した既存の規制枠組みにメスを入れるなどの経済構造改革が不可欠だ。また、自由貿易協定(FTA)などの締結によって貿易パートナーとの取引を活性化させ、特に新興国の成長を取り込むことも重要な戦略であり、実際に欧米はその方向に向かって突き進んでいる。

欧州連合(EU)と米国はFTA締結に向けた交渉を来年から始める予定だ。ちなみに、韓国は双方とFTAを結んでいる。これで欧米が互いにFTAで結びつけば、日本は蚊帳の外にはじき出される。困ったときの日銀頼みではなく、そうした危機感を持って、FTAや環太平洋連携協定(TPP)問題にアプローチするほうが重要ではないだろうか。

また、これは日本だけに言える問題ではないが、先進国の量的緩和が新興国の資産価格や一次産品価格に与えるネガティブな影響にも留意すべきだ。

海外からの資金流入によって、新興国の中には、株価が急騰したり、自国通貨が対ドルで最高値を更新したりしている国が増えている。この状況を放置すれば、通貨のさらなる切り上げを通じてバブルを招く恐れがある一方で、安易に介入すれば、インフレ圧力が増し、景気の腰を折る可能性がある。先進国の節度なき量的緩和は、新興国に経済政策の難しいかじ取りを迫るリスクがあることは先進国側も十分認識しておくべきであろう。

*加藤隆俊氏は、元財務官(1995─97年)。米プリンストン大学客員教授などを経て、2004─09年国際通貨基金(IMF)副専務理事。10年から公益財団法人国際金融情報センター理事長。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(here)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

© Thomson Reuters 2012 All rights reserved.

関連ニュース

焦点:日銀が異例ずくめの緩和措置、「政治空白」で重圧続く 2012年10月30日
〔外為マーケットアイ〕ドル80.26円付近、10月冒頭の日銀会合で前原経財相「強力な金融緩和を継続するよう期待」と発言  2012年11月2日
再送:〔焦点〕日銀が異例ずくめの緩和措置、「政治空白」で重圧続く 2012年10月31日
政府と日銀の連名文書、スクラム組み強力にデフレ脱却を目指すもの=城島財務相 2012年10月30日
マネーニュース : 日銀関連ニュース
アングル:日銀の無制限貸出制度、不振の電機などに下支え効果との見方
G20が日本に財政健全化など要請、財務相は円相場安定に期待
ドル80円前半、為替市場はオバマ氏勝利をほぼ織り込み
デフレ脱却と円高是正が喫緊の課題、日銀も努力している=経財相
ニュース一覧 日銀関連ニュース...

 
「オバマの赤字」のうそ
元米財務長官のサマーズ氏は、今回の大統領選で、オバマ大統領とロムニー氏の経済アプローチが好対照だと指摘する。
記事の全文 | 特集ページ
日産自、通期営業利益を下方修正
GM、中国志向のキャデラックで賭け
ビデオ: 米大統領選の投票始まる
トップニュース
米大統領選、東部・中西部州の一部で投票始まる 9:49pm
日産が中国苦戦で営業利益見通しを下方修正、円高も圧迫 9:41pm
ポルトガルの歳出削減、IMFの評価が近く終了=財務相 7:57pm
13年スペイン成長率の欧州委見通し報道、首相「今年が最悪」 7:48pm
記事一覧
最新経済ニュース
10月最終週の米大規模小売店売上高指数、前年比+0.8%=レッドブック 11:08pm
カナダ、インドへのウラン輸出を約40年ぶりに解禁へ 11:05pm
欧州、アジアに経済開放・需要拡大を要請 ASEMで 11:03pm
米チェーンストア週間売上高指数、前週比‐0.2%=ICSC・ゴールドマン 9:48pm
記事一覧
http://jp.reuters.com/article/vcJPboj/idJPTYE8A502A20121106

 

景気後退「4月から」 輸出低迷、生産落ち込みで
2012.11.6 21:21
 内閣府が景気の基調判断を下方修正したのは海外景気の減速や日中関係の悪化で輸出が低迷、生産の落ち込みが一段と鮮明になっているためだ。民間エコノミストの間では景気が4月以降に後退局面に入ったとの見方が多い。日本経済は年末にかけて景気が再浮揚できるかどうかの正念場を迎える。

 景気には拡大と後退を繰り返す循環があり、景気の拡大期から後退期への転換点が「山」、後退期から拡大期への転換点が「谷」とされる。日本では、景気動向指数を構成する鉱工業生産指数などの経済指標のうち、改善している指標の割合が50%を下回ったときに景気後退と判断される。山と谷の時期は、学識者で構成する内閣府の「景気動向指数研究会」が実際の転換点から1年以上経過した後に判定するのが通例だ。

 内閣府によると日本経済はリーマン・ショックを挟んだ平成20年3月〜21年3月に景気後退を経験した後、21年4月から景気拡大局面が続いていた。

 今年4月以降、後退局面に入ったとの見方が広がっているのは鉱工業生産指数など主要経済指標の多くが悪化傾向にあるため。先行きは海外経済の持ち直しを背景に「今回の景気後退は比較的短期間で終了し、年明け後にも景気は回復に向かう」(みずほ総合研究所の山本康雄シニアエコノミスト)との楽観論も多いが、日中関係悪化の長期化や米国で年明けから大型減税の失効と歳出削減が重なる「財政の崖」と呼ばれる問題の影響など、景気回復が後ずれする懸念は拭えない。(本田誠)

関連ニュース
景気一致指数が6カ月連続で悪化 政府は基調判断を下方修正
景気総括判断、3四半期ぶりに下方修正
曇る景気、しぼむ消費 暖冬予想と中国リスク追い打ち
日銀が東北除く8地域で景気判断を下方修正 海外の経済減速が影響、さくらリポー…
中国向け輸出減、景気回復シナリオに暗雲
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/121106/biz12110621220033-n1.htm

G20:日本、打つ手ないまま 特例公債法案の早期成立を
毎日新聞 2012年11月06日 22時13分

 今回のG20会議で、日本は今年度予算の財源として不可欠な赤字国債発行のための特例公債法案の早期成立に加え、経済成長と中期的な財政健全化の両立を改めて迫られた。しかし、同法案をめぐる与野党の駆け引きは衆院解散・総選挙も絡んで政局化し成立見通しが立たないまま。ねじれ国会の下、野田政権は景気下支え策もまともに講じられないのが実情だ。日中関係悪化に伴う輸出減少も影響し7〜9月期にマイナス成長に陥るとの見方が強い中、「日本は世界経済の足かせになる」(国際金融筋)との懸念もある。

 共同声明は日本に対し「今年度予算の財源確保」を求め、特例公債法案の早期成立を促した。政府は同法案の未成立で今年度予算の歳入の約4割をまかなう赤字国債を発行できず、9月から地方交付税の一部配布を延期するなど予算執行を抑制している。このままでは12月には財源が枯渇し、政府の歳出停止で日本経済を大きく下押しする懸念がある。そうなれば、世界経済も一段と減速しかねず、共同声明は日本の対応の遅れを「リスク要因」と明記した。

 景気後退局面入りも指摘される日本経済の下支えに向けて、政府は10月末、今年度予算の予備費を使った総事業費7500億円規模の経済対策を打ち出し、11月中には本格的な対策をまとめる考え。

 しかし、補正予算を伴う大型経済対策は野党の協力が得られるか分からず、当面は景気下支えを日銀の金融緩和に頼らざるを得ない状況だ。

 14年4月から消費税率(現行5%)を予定通り8%に引き上げるかどうか、政府は来秋ごろまでに景気状況を見て判断する方針。G20に初出席となった城島光力(こうりき)財務相は、会議後の記者会見で「財政健全化にしっかり取り組む」と述べたが、景気が失速すれば、消費増税も遠のく危うい状況だ。【工藤昭久】
http://mainichi.jp/select/news/20121107k0000m020117000c.html

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民78掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民78掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧