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最初から予想されていた「財政の崖」
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投稿者 MR 日時 2012 年 11 月 10 日 20:38:28: cT5Wxjlo3Xe3.
 

小笠原誠治の経済ニュースに異議あり! トップ |
最初から予想されていた「財政の崖」
2012/11/10 (土) 11:39


 突然ですが、貴方は「財政の崖」の問題にどう対処すべきだと思いますか?

 「財政の崖って、アメリカの?」

 もちろんアメリカの財政の崖の問題です。

 「政治家が無責任なんじゃないの?日本もそうだけど、妥協しないと」

 では、具体的にどんな妥協案が考えられるのでしょう? そして、妥協すれば財政の崖の影響は全て回避することができるのか? そもそも財政の崖は何故発生しようとしているのか?

 そんなことを、本日は考えてみたいと思うのです。


 「でも、財政の崖の問題は、散々論じられていると思うけど‥」

 まさにそのとおり。特に、大統領選後は、一気に財政の崖の問題に関心が集まっているのです。
但し、新聞の論調などは、財政の崖が現実化しないように政治家は話し合いを尽くせというような
ものばかりです。

・読売新聞
「米大統領選 続投オバマ氏を待つ財政の崖」(11月8日、社説) 

「年末から年明けにかけ、大型減税が失効し、歳出の強制削減が始まる「財政の崖」が控えている。何の手も打たなければ、大規模な財政緊縮をもたらし、米国は深刻な景気後退に陥りかねない。日本など世界への影響は甚大だ。

 この試練を乗り切るには、連邦議会の協力が欠かせない。

 議会選の結果、下院で共和党、上院で民主党がそれぞれ過半数を占める"ねじれ"の構図に変化はなかった。経済の混乱を防ぐため必要な法案を成立させるべく、オバマ氏は全力を挙げるべきだ」

・毎日新聞
「オバマ再選と世界...経済政策 財政の崖で指導力を」(11月10日、社説)

「直ちに試されるのが「財政の崖」問題だ。このままでは年明けに、大型減税の期限切れと強制的な歳出削減が米経済を同時に襲う。9割近い世帯で実質増税となり、来年だけで1世帯平均約3500ドル(約28万円)の負担増になるとの試算がある。改善の兆しがある住宅投資や消費を冷えこませ、生産活動にブレーキがかかるだろう。結果として約200万人が職を失い、国内総生産が4〜5%押し下げられかねないという。

 米国が深刻な不況入りとなれば日本を含め世界全体も大きな打撃を被る。何としても崖からの転落を回避してもらわねば困る。

 オバマ大統領には、この状況を招いた責任の一端がある。歳出の強制的な一律圧縮は、財政健全化の手法をめぐり、増税と歳出削減をどう組み合わせるかで民主、共和両党が折り合わなかったことが主因だ。その際、オバマ大統領が十分な調整役を果たしたとは言い難い。

 ただ、選挙が終わり明るい兆しも見えてきた。大統領は早速、両党の指導者との話し合いを呼びかけ、共和党のベイナー下院議長が「歳入増」で歩み寄りの可能性を示した。民主党院内総務のリード上院議員も「『妥協』は汚れた言葉ではない」と協議に前向きな発言をしている。

 増税で共和党の譲歩を引き出すためには、まずオバマ大統領が歳出圧縮の妥協案を提示する必要があろう。共和党が支持する規制緩和も積極推進すべきだ。共和党との信頼関係が深まれば、財政だけでなく貿易など重要な他の経済政策でも、「決める政治」を進めやすくなるはずだ」


 この2つの新聞の社説をお読みになってメディアがどんなことを考えているか、だいたいお分かりになったと思うのです。

(1)政治家が妥協できなければ、年明けに「財政の崖」が現実化してしまう。
(2)財政の崖の影響はあまりのも大きく、米国どころか世界経済を不況に陥れる可能性がある。
(3)従って、政治家は早期に妥協すべきだ。

  では、今現在、妥協策として考えられることはどんなことなのか? 実は、ここのところが大変問題であるのです。

 確かに、毎日新聞の社説は、大統領が歳出圧縮の妥協案を提示する必要があると言ってはいるのですが、では、そのとおり大統領が歳出圧縮策を提示し、そしてそれが現実のものとなったら何故財政の崖が回避できるのでしょう?

 財政の崖は3つの要素から構成されると言われています。ご存知でしょうか?

 第一は、これまで延長されてきたブッシュ減税が今年の末に期限を迎えること。つまり、その分
実質的な増税となること。

 第二は、景気下支えのためになされてきた給与税の被雇用者負担税率の引き下げや失業保険の給付期間の長期化などの優遇策が今年の末に失効すること。

 第三は、昨年夏に借入限度枠引き上げ法案を可決した際のトリガー条項によって、超党派による
財政赤字削減案が策定されない場合には、13年1月から歳出が自動的にカットされるとされていること(10年間で1.2兆ドル)

 ということで、仮に毎日新聞の社説が指摘するように民主党側が歳出削減で折れ、そして、その一方で、共和党側が増税で折れるようなことをして妥協が成立するならば、第三の構成要素である自動的歳出カットを避けることができるのです。

 しかし、その一方、民主党が歳出削減を認めるということは、その分「崖」を高くするものであり、また、共和党が増税を認めることも、その分「崖」を高くするものであるのです。

 結局、このトリガー条項がある以上、どうしてもある程度の「崖」を避けることはできないのです。従って、どうしても「崖」の効果を全廃したいと思えば、そのときには一旦可決されたトリガー条項を
廃止してしまうことが必要になるのですが、それは今の捻じれ状況の下ではとても実現できる話ではないのです。

 ということで、「崖」の影響を完全に回避することなどできないことを、米国の人々のみならず我々も認識しておく必要があるのです。

 では、どうしてそのようなトリガー条項を認めてしまったのか? 或いは、どうしてブッシュ減税や
景気下支えのための優遇措置は今年の末に期限を迎えるのか?

 そ、れ、は‥そうとでもしなければ、いつまでもだらだらとそういう措置が続き、そうなると益々借金が増えるばかりであるからです。

 そして、米国政府の借金が増えるということは、中国のアメリカに対する債権が増えるということで、アメリカとしては益々不安定な立場に追いやられるのです。

 だから、どうしても借金の増加に歯止めをかけたい。だから、減税も、そして優遇措置もいつかは
止めなければいけないのです。

 しかし、そうして借金の増加を食い止めるべく真摯に取り組もうと思った瞬間に、今度は、その褒められて然るべき努力が、世界経済に悪影響を及ぶすからなんとかしろよと、世界中から批判されているのです。

 どう思います?

 結論としては、これまで私が何度も言っているように、経済に関して一番大切なことは、急変は避けるべきだと言うことなのです。つまり、減税を止めるなら、徐々に止めるようにすべきで、いきなり
止めるからその影響が懸念されるのです。

 日本のバブル退治もそうだったのです。いきなり急ブレーキをかけるような対応ではなく、少しずつ軟着陸を図るような手法を採用すべきであったのです。

 いずれにしても、財政の崖を回避すべく米国が努力するのは当然だとしても、我々は、何故財政の崖が起きようとしているのかという、その理由をよく考える必要があるのです。

 何故財政の崖が起きるのか?

 我々は、それは捻じれ現象が起きているから、と答えがちであるのです。しかし、捻じれ現象は
一つの要因に過ぎないのです。

 本当の理由は、景気対策のために過去に財政出動をしたからなのです。何故ならば持続可能でない政策など、いつかは終了させる必要があり、その終了の時期が来れば、必ず崖が発生してしまうということなのです。

 そして、そのような事態が起きることは予想できたのに、多くの人々は、そんなことは将来考えればいいと高を括っていただけなのです。

 家電産業が大変苦しい決算を強いられています。そして、自動車メーカーも。これらも、補助金が
ストップしたということが大きく影響しているのです。つまり、これもある種の崖の効果である、と。

 崖の影響を回避したければ、一旦採用した補助金制度はずっと継続するしかないのですが、そんなことがいつまでも続く訳はないのです。

 財政の崖の影響を少しでも少なくなるように努力すべきは当然ながらも、何故「崖」が発生しようとしているのか、その原因をじっくり考えることも必要なのです。

以上
3
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今週のまとめ11月5日から11月9日の週
:2012/11/10 (土) 08:10
:2012/11/10 (土) 08:00

5日からの週は、米大統領選がクローズアップされた。週前半は模様眺めムードが広がり大統領選への思惑から神経質な相場展開だった。ロムニー氏の勝利をにらんでドル買いを進める向きもあっただ。次第にオバマ大統領優勢にムードに傾いた。市場には当面のイベントリスク終了でリスク選好の動きもあった。7日東京午前に判明した結果は、大差でのオバマ大統領再選だった。同時に実施された米上下院改選ではねじれ議会の継続が決定づけられた。市場では「財政が崖」への懸念が急浮上して一気にムードはリスク回避に転じている。ダウ平均は大統領選後の2日間で430ドル超の大幅安となった。原油先物は84ドル台から89ドル台で激しく振幅後、売りが優勢に終わっている。週末のギリシャ議会採択や週明けのユーロ圏財務相会合でのギリシャ支援問題をめぐっての不透明感も広がった。ドル円は79円台前半、ユーロドルは1.27台前半、ユーロ円は101円近辺まで一時下落するなど円買い・ドル買いが優勢になった。週前半には、豪中銀が予想外に政策金利を据え置いたことで豪ドル買いが強まる場面もあったが、豪ドルも上値を押さえられた。来週にかけて、不安材料が残る週末となった。米国は月曜日がベテランズデーの祝日のため3連休となる。

(5日)
東京市場では、6日の米大統領選を控えて全般に模様眺めムードが広がった。ドル円は早朝に80.20台へと下落する場面があったが、東京勢が本格的に参加してからは80.40-50レンジでの揉み合いが続いている。ユーロドルは早朝に1.2810近辺まで下落、先週末安値を割り込む場面があったが、その後は1.2820-40レンジでの揉み合い。ユーロ円は103.10-30レベルで推移している。やや動きが見られたのが豪ドル。この日発表された9月豪小売売上高が予想を小幅に上回ったことや、9月豪貿易赤字が予想ほど膨らまなかったことで豪ドル買いが優勢だった。豪ドル/ドルは1.03台後半、豪ドル円83円台半ばへとじり高になっている。10月中国HSBC非製造業PMIは前月から低下、中国・香港株が小安く推移している。
ロンドン市場は、リスク回避的にドルと円が買われた。ギリシャ政府は本日中にも新緊縮策を議会に提出する構えで7日に採決することを目指しているが、連立政権内でも反対が多く、行方が懸念されている。また米大統領選というイベントリスクの警戒感もある。欧州株は軟調に推移し、イタリア債とスペイン債は売られ(利回りは上昇)、ドイツ債は買われた(利回りは低下)。ドイツ2年債利回りは9月6日以来のマイナス金利に低下している。ユーロドルは9月11日以来の1.2778近辺まで下落し、1.28台を回復する場面もあったが1.28台は既に重さを感じる。ドル円は円買いがドル買いに勝り、80.20近辺まで下落した。英国10月の非製造業PMIは予想を下回り2010年12月以来の低水準となった。発表直後の値動きは緩慢だったが市場のリスク回避傾向も重なりポンドはじりじり値を落とし、対ユーロでも下落に転じる場面があった。
NY市場は、明日の大統領選を控え様子見気分が強い中、NY時間は全般的に小動きに終始。ギリシャ議会の135億ユーロの歳出削減を含んだ緊縮予算案の投票への警戒感もあり、ユーロドルは1.27台後半まで値を落としている。ドル円は利益確定売りから値を落とす動きとなったが、80円台は維持。80.50/60水準には輸出企業の売りオーダーも観測されていたが、一方で80.00/10付近には買いオーダーも並んでいた模様。大統領選の関しては、支持率は拮抗しているものの、激戦州で有利との見方から、オバマ大統領が勝利との見方が優勢になっている。豪ドルが底堅い動きを見せていた。対ドルでは一時1.0335付近まで下落し10日線を下回っていたが、戻している。明日は豪中銀政策委員会が予定されており、連続利下げに対する見方は五分五分といったところ。

(6日)
東京市場では、豪中銀が政策金利を据え置いた。豪ドル/ドルは1.0370近辺から1.0430台まで、豪ドル円は83.10台から83.60近辺まで急伸。声明では、世界経済見通しのリスクは依然として下方向、としながらも若干上向きのもよう、中国の成長は安定化、などとした。政策金利の見通しについては、金融政策は当面適切と判断、これまでの緩和の一段の効果がいずれ表れると予想としている。インフレ統計は予想よりも若干高め、との認識。一方、その他主要通貨は全般にリスク回避ムードだった。午前は狭いレンジ取引が続いたが、午後に豪ドル/ドルが急伸したことをきっかけにドル売り・円買いの動きが広がっている。中国株が1%超の下落となると日経平均も50円安と下げ幅を拡大、リスク回避の円買いを誘った。ドル円は80.15-25レベルから80円ちょうど付近へ、ユーロ円は102円台後半から102円台前半へと軟化した。9月の景気動向指数が下方修正されたこともムードを悪化させたようだ。
ロンドン市場は、全般的に勢いに乏しい展開。欧州株の上昇や、スペイン債やイタリア債が買われる(利回りは低下)なかでユーロも買われる場面があったが上値は限定された。米大統領選の結果前に調整の動きが中心となったようだ。ドル円もリスク回復ムードのなかで東京時間に付けた79.96近辺から80.20台まで戻したが早朝の高値には届かなかった。豪ドルは市場予想に反して政策金利を据え置いた豪中銀の結果を受けて東京市場で急騰し、ロンドン時間でもやや上値を伸ばす堅調な展開だった。つれて加ドルやNZドルも上昇した。欧州の経済指標は弱い内容が続いた。フランスとドイツ、ユーロ圏の非製造業PMI確報値は予想と速報値を下回り、英国鉱工業生産は予想以上の悪化、ユーロ圏生産者物価指数はほぼ予想通りだったが、ドイツ製造業受注は大きく予想を下回った。直後はネガティブな動きがあったが、すぐに落ち着いている。
NY市場は、ドル売りが優勢となった。米大統領選の結果待ちの雰囲気が強い中、特段の材料は無かったが、米株や原油、米国債利回りが上昇し、リスク選好の雰囲気が強まっている。オバマ大統領がやや優勢との見方もある中、オバマ再任の場合、これまで通りFRBによる緩和姿勢が継続されるとの期待がサポートしているとの指摘も出ていた。円相場は円安の動きが優勢となり、ドル円、クロス円は上昇。ドル円はドル売りが優勢だったものの、円売りの動きがサポートし80.40近辺まで戻す動き。豪ドル円は一時84円台、ユーロ円も103円台に一時戻した。きょうの動きでユーロ円は200日線で反転した格好となり、上値期待を残している。ユーロドルも強含み、1.28台に上昇。ギリシャ議会の緊縮法案に対する投票が警戒されるが、議会の委員会は通過した模様。

(7日)
東京市場は、米大統領選の開票状況をにらんでの神経質な相場展開となった。序盤はオバマ、ロムニー両候補の獲得票数がシーソーゲームとなり、どちらが勝つのか不透明感が広がった。米株先物が下落、日経平均は寄り付き高も次第に売りが優勢になった。ドル買い・円買いが広がり、ドル円は79.85レベル、ユーロ円は102.30レベルまで下落。ユーロドルは1.2780台へと下押し。しかし、次第にオバマ大統領の優勢が色濃くなり、昼頃からはドル売り・円売りの動きへと転じた。オバマ大統領が大票田のカリフォルニア州で勝利、激戦州のオハイオで勝利と報じられたことで、自身もツイッターで勝利宣言している。ユーロドルが1.2870近辺、ユーロ円は103円台乗せへと反騰。ドル円も80円台を回復している。ただ、日経平均の反発力は鈍く9000円近辺が重い。また、米株先物はオバマ勝利の報道でやや下げ幅を縮小しているものの、依然としてマイナス圏での推移。米上下両院の改選では、依然としてネジレ議会が継続することとなり、今後は財政の崖の問題がクローズアップされる懸念もあるようだ。
ロンドン市場では、ユーロは主要通貨に対して下落に転じた。予想を大きく下回ったドイツ9月の鉱工業生産や、欧州委員が2012年、13年のユーロ圏成長率見通しを下方修正したことから売りが勢い付き、ドラギECB総裁がインフレリスクは中期的に非常に低い、ECBは条件が整ったときだけ国債購入に踏み切るなどと発言したことが伝わるとユーロドルは1.2744近辺と9月7日以来、2か月ぶりの安値を一時付けた。米大統領選で現職のオバマ大統領が当選したことからユーロドルは1.2876近辺まで上昇していたが、買い一巡後は伸び悩んでおり、買っていた向きのストップロスも誘発して急落した格好。ユーロ円も102.00近辺と10月16日以来、約3週間ぶりの安値を付けている。米大統領選でのオバマ大統領の再選は米金融緩和継続との観測で、序盤は株式が買われ、リスク選好でユーロや豪ドルがドルと円に対して買われていたしかし、欧州株は下落に転じ、豪ドルは上げ幅を消している。ドル円は大統領選結果後に80.42近辺まで上昇したが、80.00台まで値を落としている。
NY市場では、リスク回避の雰囲気が強まりドル買いが優勢となった。また、円相場は円高の動きが強まっている。オバマ大統領の再選が決まったが、同時に行われた議会選挙では、上院が民主、下院が共和となった。これまで通りホワイトハウスと議会のねじれの状況に変化は無く、年末にかけて行われる「財政の崖」の議論は難航も予想されることから、投資家はリスクに慎重になったようだ。また、欧州ではドラギECB総裁が欧州経済の弱さを指摘していたことも全体の雰囲気を圧迫。ユーロドルは一時1.27台前半まで下落し、下値の第1関門として意識される7/24-9/17上昇波のフォボナッチ38.2%戻しの1.2745付近を一時ブレイクした。ヘッジファンドやCTA(商品投資顧問)などファンド勢の買いも観測され下げ渋ったものの、前日安値1.2760水準で上値を止められている。円高の動きから、ドル円、クロス円は下落。ドル円は一時80円を割り込み79.80付近まで下落。下値では円安を期待した買いも入り、80円付近まで戻したが、80円台に入ると戻り売りも活発に出ている模様。79円台半ばに200日線と21日線が控えており、目先の下値サポートとして意識される。ダウ平均は312ドル安と大幅下落だった。

(8日)
東京市場は、全般に前日からの円高・ドル高圧力が継続している。前日NY株が大きく下げたことで日経平均やアジア株も下落した。米大統領選がオバマ大統領の再選となったことに加え、米上下議会でのネジレ状態の継続が決まったことで、これまでの期待感から今度は「財政の崖」に対する不安感が優勢になった。また、欧州にも目が向けられておりギリシャ情勢の不透明感も取りざたされている。日本の9月貿易収支は3カ月連続の赤字、季調済の経常収支は初の赤字に転落、上半期の貿易赤字は過去最悪になった。。また、機械受注も悪化するなど日本の経済指標は冴えない結果だった。ドル円は79円台後半での揉み合いが続く中、午後には一時79.78レベルと前日安値に接近する動き。ユーロ円は102円近辺での揉み合いから次第に売りが優勢になっている。一時101.75レベルと前日安値を下回った。ユーロドルも1.27台後半から半ばへと水準を下げており、ドル買いが優勢。NZドルは失業率の悪化を受けて下落。一方、豪ドルは雇用者数増加が好感されて一時買われた。
ロンドン市場では、ユーロが下落している。一部報道が要人発言として、ECBは低下した金利状況に満足しており国債購入に消極的だと報じたことが重石となっている。好調だったスペイン債入札にも拘らず、スペイン10年債利回りは上昇した。ユーロドルは1.2720近辺と9月7日以来、ユーロ円は101.63近辺と10月15日以来の水準まで下落した。また、英中銀は金融政策委員会で金融政策の据え置きを決定、ポンド買いがユーロに対して入りユーロ相場の重しとなっている。経済指標では、ドイツ9月の経常収支は予想より高かったものの輸出入が予想以上の落ち込みだった。また、ギリシャ8月の失業率は25.4%と過去最悪を更新。昨日はドラギECB総裁が、欧州債務問題を背景とした景気減速がドイツにも及び始めていると述べていた。最近のドイツ経済指標は製造業を中心に落ち込みが目立っており、ユーロ懸念は根強い。英中銀は政策金利0.50%と資産購入枠3750億ポンドを据え置いた。エコノミストの予想でも現状維持が大勢だったが、発表後にポンドは買われた。先週1日に資産購入が上限に達したと公表しており量的緩和は一旦の停止となっている。
NY市場では、円買いが強まりドル円、クロス円は軟調な展開となった。この日の米新規失業保険申請件数が予想以上に改善し、前半は底堅い動きも見せたが、反発して始まった米株の上値が重かった。特にドル円は80円台を回復できない中、午後の米30年債入札が好調だったことをきっかけに、米国債利回りが下げを強めたことで、見切売りが強まっている。21日線や200日線が集中し、サポートとして意識された79.50/60水準もブレイクし、79.35付近まで下落する場面も見られた。ユーロ円も101.00付近まで一時下落。オバマ再選も米議会のねじれは継続しており、「財政の崖」の問題は難航が必至の情勢。IMFは大きな問題とし、瀬戸際での次善策や先延ばしは最終的に悪影響となる可能性も指摘していた。早期解決に向けた催促相場の予感もある中、円安を見込んでいたファンド勢や個人からの見切りが強まった面も。一方、ユーロドルは1.27台半ばでの振幅が続いた。軟調な展開が続く中、ドル円とユーロ円に挟まれた格好となった。この日のECB理事会は大方の予想通り据え置きとなり、ドラギ総裁の会見も景気の弱さを指摘し、利下げに含みを残していたものの、大きな変更は無かった。ダウ平均は121ドル安と大幅続落で引けた。

(9日)
東京市場は、前日までの円高の動きは一服している。ドル円は79.40レベル、ユーロ円は101.20レベルなどがサポートされており、昼にかけては買い戻しの動きが強まっている。ドル円は79.60近辺、ユーロ円は101.70台へと一時買い戻されている。市場では米株価指数先物が堅調に推移していることや、これをみた短期筋からのポジション巻き返しが出ていると観測されている。豪中銀金融政策報告で成長見通しが引き下げられたことで一時豪ドルが売られたが、昼にかけては買い戻された。10月の中国CPIは前年比1.7%上昇、PPIは同2.8%低下だったが、特段の反応はみられず。一方、午後に発表された中国指標には反応がみられた。10月の中国の小売売上高は前年比14.5%と予想14.4%を上回った。同鉱工業生産も9.6%と予想9.4%を上回る伸び。中国との貿易関係の深い欧州と豪州とあってユーロや豪ドルが好感して買われている。ユーロドルは一時1.2790レベル、豪ドル/ドルは1.0435レベルと高値を伸ばした。中国の成長が安定化しているとの豪中銀などの見方を支える結果だった。
ロンドン市場はリスク回避の円買い、ドル買いがユーロやポンドなどに入った。EU高官は、ギリシャの次回支援の協議は1回の工程では不十分だとし、12日のユーロ圏財務相会合で決定する可能性は低いと述べた。11日にギリシャ政府が採決を目指す2013年予算案の行方にも懸念が生じている。週末の持越しリスクを警戒した動きが活発化した。ドル円は10月18日以来の79.00台、ユーロドルは9月7日以来の1.2706近辺、ユーロ円は10月11日以来の100.50台まで下落した。小反発で始まった欧州株も下落に転じている。
NY市場はリスク回避の雰囲気も一服し、ドル円、クロス円は下げ渋る動きとなった。この2日間の急落で株価や利回りも下げ一服となったことから、円相場も円買いの動きが一服している。この日のミシガン大消費者信頼感指数が予想を上回り、5年ぶりの水準に上昇したこともフォロー。


来週の主な予定 ユーロ圏や独仏ギリシャなど欧州各国のGDP速報、FOMC議事録
:2012/11/10 (土) 07:55
:2012/11/10 (土) 07:45

12日(月)
米国市場はベテランズデーで休場(株式市場は通常通り)
日本実質GDP・1次速報(第3四半期)
白川日銀総裁、講演
ユーロ圏財務相会合

13日(火)
英消費者物価・生産者物価指数(10月)
独ZEW景況感指数(11月)
EU財務相理事会
ギリシャ短期国債入札?

14日(水)
野田首相、安倍自民党総裁らと党首討論
英失業率(10月)
英中銀四半期インフレ報告
ギリシャ・ポルトガルGDP速報
米小売売上高・生産者物価指数(10月)
米FOMC議事録(10月23、24日分)

15日(木)
ECB月報(11月分)
独・仏・伊・ユーロ圏GDP速報(第3四半期)
スペインGDP改定(第3四半期)
ユーロ圏消費者物価指数(10月)
米消費者物価指数(10月)
リッチモンド連銀総裁・ダラス連銀総裁・フィラデルフィア連銀総裁・NY連銀総裁、講演

16日(金)
中国共産党第18期中央委・第1回総会
独露首脳会談
アトランタ連銀総裁、講演
ギリシャ50億ユーロの国債償還

週内 オバマ米大統領が議会指導部と財政協議
http://www.gci-klug.jp/  

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