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日銀に行動迫る安倍首相、リスクはあるが大方正しい(ブルームバーグ社説)・・問われる誰のための「安倍ノミックス」
http://www.asyura2.com/12/hasan78/msg/838.html
投稿者 墨染 日時 2013 年 1 月 05 日 11:32:19: EVQc6rJP..8E.
 

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MG2VKK6K50ZL01.html

1月4日(ブルームバーグ):日本銀行に金融政策を変えさせるとの公約を掲げてきた安倍晋三首相は、それを思い通りに実行しているようだ。首相のアプローチにリスクがないわけではないが、その大半は正しい。

首相の方針は日銀の独立性に対する危険な攻撃だと批判する向きもあるが、こうした懸念は誇張されている。喫緊の課題は日本の景気低迷だ。横ばいもしくは下落している消費者物価が実質金利をゼロを上回る水準に押し上げ、金融政策を過度に引き締めている。デフレからの脱却は容易ではないが、米連邦準備制度理事会(FRB)やイングランド銀行など他の中央銀行がゼロ金利でも非伝統的な措置が機能し得ることを示している。

原則として日銀も理解している。資産購入を通じ一定の量的緩和策も実施し、事実上のゼロ金利政策を続けている。だが、主に2つの点でためらいを見せている。1番目の点は日銀が買い入れている大半が短期債であることだ。短期債購入で紙幣を発行しても金融緩和にはほとんど役立たない。FRBやイングランド銀のようなやり方でより大規模かつ長期債を対象とした量的緩和ならもっと効果的だろう。

2番目の点は、日銀自らがその取り組みの効果を見くびっていることだ。金融政策において、中銀の意向に関するガイダンスはそれ自体で強力な手段だ。景気が持ち直しても緩和的な金融政策を続けると表明しているFRBは、このことを強調している。日銀が行うのはたいていその逆だ。つまり市場に対し日銀の政策は不十分だと告げていることに等しい。

**** 警戒
日銀は政府と共同で昨年10月発表した声明で、「中長期的な物価安定の目途」を消費者物価の前年比上昇率で2%以下のプラスの領域にあると判断しているとしながらも、「当面、消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買い入れ等の措置により、強力に金融緩和を推進していく」と説明した。達成ではなく「見通せるようになるまで」とするような過度の警戒は自滅を意味する。

強まる圧力を受けた日銀は昨年12月、新たな資産購入策を打ち出し、中期的な物価安定目標について今月の金融政策決定会合で議論する方針を示した。首相は2%のインフレ目標を定めることを求めており、日銀法の改正もちらつかせている。4月には白川方明総裁の任期が切れることから、日銀の新たな総裁が指名される。

こうしたやり方で日銀の独立性を攻撃することは、日本の金融システムに対する信頼感を打ち砕くリスクがあるとの批判はどうだろうか。円急落や長期金利の急上昇をもたらし、日本経済をさらに深い穴に陥れる可能性があるという批判だ。

**** 説明責任
安倍首相に対する批判は的を射ている面もある。巨額の公的債務を抱える日本は財政的にはすでに余裕がない状況だ。首相は新たな景気刺激策を表明している上に、一段の金融緩和を促している。日銀が簡単に政府の主張を受け入れ、さらに大きな財政赤字を穴埋めするよう指示される事態になれば、こうした懸念は現実のものとなるかもしれない。

安倍首相が就任前に公共事業を支える建設国債の購入を日銀に呼び掛けた際、その恐れが浮き彫りとなった。首相がその後、こうした主張を撤回したのは賢明なことだ。民主的な手続きを踏み、2−3%のインフレ目標に加え、日銀に独立性とその目標達成における適切な説明責任を求めることは正しいアプローチであり、そのこと自体、他国が試みてきたことだ。

消費者物価の前年比上昇率1%を目指すとする日銀はそれさえ達成できていない。政府が不満を示し、インフレ目標の改善を求め、日銀に説明責任を負わせるのは正しい。一線を画している限り、中銀の慎重さをめぐる必須の原則を損ねるものではないし、むしろ支えることになる。


◆安倍内閣の経済ブレーンは浜田宏一氏 日銀はインフレをいつでも退治できる・・問われる誰のための「安倍ノミックス」?
http://green.ap.teacup.com/pekepon/997.html

■ 浜田宏一氏から安倍氏への書簡
安倍首相の経済ブレーンが浜田宏一イエール大学教授である事が報じられています。
際金融論、ゲーム理論の分野で世界的な業績がある方だそうで、
ノーベル経済学賞候補だとか・・・。

その浜田宏一氏から安倍総裁に宛てた書簡がネットに載っていました。
http://www.twitlonger.com/show/k303b2 より引用
< 引用開始 >
日銀法改正以来、日本経済が世界諸国のほぼテールエンドの足跡を示していることから、そこでの金融政策が不十分であったことは明らかです。日本経済の望ましくない症状として、デフレ、円高という貨幣的な症状が出ているのですから、それに対するのは金融拡張が当たり前の処方箋です。

 野田首相は、金融に訴えるのは世界の非常識といわれますが、
<Wall Street Journal>金融に訴えないという議論こそ、現在の世界の経済学から見れば非常識です。
野田首相は、地動説の世界で天動説<日銀流金融理論>を信奉しているようなものです。このことは、最近私がマンキュー、ハバード、ノードハウスなど超一流学者とインタビューして確認しました。

 政策手段としてはインフレ目標が望ましいと思います。IMFのチーフ・エコノミストのブランシャール<ブランシャード>も4%まではいいといっているようなので、これだけ長いデフレが続いて、人々のデフレ期待が定着している日本経済に活を入れるのは、安倍総裁の2〜3%がまさに適当といえると思います。
また、インフレ目標は、金融緩和が行過ぎてインフレが始まりそうになるのを防ぐという、インフレから国民経済を保護する機能を持っています。

 デフレ脱却のためには、日銀の国債引き受けでもいいですが、それが強すぎるというのなら、総裁のおっしゃったように日銀が国債を大規模に買い入れればよいのです。ただ、ゼロ金利に近い現状では、買い入れ対象が短期国債では効きません。長期国債、社債、株式の買い入れも必要となるわけです。バーナンキ議長がやっている抵当証券の買い入れも必要となるわけです。バーナンキ議長がやっている抵当証券の買い入れも、このような考え方に基づいています。

 日本経済の高度成長期には一桁、5%未満のインフレが通常でした。2度の石油危機の時には二桁のインフレになったこともありましたが、それを日銀は見事に克服しました。言い換えれば日本経済の奇跡的成長は緩やかなインフレと共存していたのです。そして日銀はインフレが昂進しそうになればいつでも制御した実績があります。このような歴史から見れば、デフレを克服するとハイパーインフレになるというのは非現実的な脅しに過ぎないのです。

ゴルフにたとえれば、今の日銀は雇用改善、景気回復という目標のホールを目指さずに、ホールの向こう側には<ありもしない>崖があると称して、バンカーに入ったボールをホールの方向に打たない、あるいはパターでしか打たないゴルファーのようなものです。<引用終わり>

■ 高度成長期には5%未満、高度成長期には二桁のインフレを日銀は克服した 
高度成長期のインフレ率を引き合いに出して、
日本経済の高度成長期には一桁、5%未満のインフレが通常でした。2度の石油危機の時には二桁のインフレになったこともありましたが、それを日銀は見事に克服しました。と書かれています。

インフレになったら日銀が金利を引き上げれば良いと言っている様にも思えます。

インフレターゲットを儲け、インフレ率が2%、あるいは3%に達したら
金利を上げるか、通貨供給量を絞ればインフレ率はそこで止まるのでしょうか?

■ 金融政策で景気は回復するのか? 
日銀の金融政策が単なる金利操作なら、誰でも出来る簡単な仕事に思えます。
しかし、実際の金融政策は非常に複雑で、「日銀と市場の心理戦」とも言えます。

流動性の罠が発生している状況で中央銀行の出来る事は限定的です。
1) 金利を下げる・・・・既にゼロ付近まで下がっています
2) 国債を買い入れて資金を市場に供給する・・買い入れの札割れが発生しています
3) 株や債券を積極的に買い入れる・・既に株や不動産REITを買い入れています
規模の問題は確かにあって、日銀の緩和政策はFRBやECBに比べ見劣りしています。
ただ、それはリーマンショック以降の比較であり、
日本はバブル崩壊以降、一環して金融緩和を進めて来たので
日銀のバランスシートは既にFRBやECB以上に膨張しています。

日本の銀行は欧米の銀行と違い、リーマンショックの損失は軽微です。
ですから、「借金の穴埋め」という資金需要が乏しい為に
日銀が供給する資金は、日銀の当座預金にブタ積みになってしまいます。

■ 景気回復に必要なのは、構造改革による「イノベーション」か、財政出動か 
浜田教授もその事は充分に理解していますから、
今回は財政出動と両輪で景気回復を目指すとしています。

公共事業を点火剤として、景気に火を付けようという作戦です。
一旦、経済の歯車が回り出せば、
既に充分以上に供給された資金がマネーサプライを急拡大させます。

これに対して、「構造改革派」は「バラマキでは景気は回復しない」と主張します。
充分にインフラが整備された日本において、公共事業の乗数効果は低く
財政赤字拡大という副作用の割には、景気回復効果は期待出来ないと言います。

構造改革による生産性の向上や、規制撤廃によるイノベイシィンの創出しか
本格的な景気回復を達成する事は不可能だと主張します。

これは両者の主張にそれぞれ一理あって、
即効性は財政政策が高く、持続性は構造改革や規制緩和が有利です。

■ 出口戦略は難しい 
ここで見落とされがちなのが、流動性の罠が生じている状況で、
「中央銀行の金融政策は景気回復につながらないが、
何かのきっかけで、景気が回復基調に乗ってしまえば、
中央銀行の金融政策如何によっては、バブルが発生する」
という過去の教訓です。

不景気の時に低金利で貸し出された資金によって生まれた景気拡大は、
低金利の資金供給が途絶えると失速します。
ですから、中央銀行の金融引締めは、ついつい遅くなりがちです。

インフレターゲットを採用しているイギリス中央銀行は、
インフレターゲットの上限破りの常習犯です。
なぜなら、インフレターゲットに達して直ぐに金利を引き揚げると、
せっかっくの景気回復が水泡に帰す可能性があるからです。

これが金融緩和の出口戦略の難しい所です。

■ 高度成長期は実需、現在は金融や不動産という投資市場が景気を牽引する 
浜田氏は、高度成長期にも日銀はインフレを上手くコントロールして来たと主張します。しかし、高度成長期と現在では経済の牽引役が異なります。
高度成長期の経済の牽引役は、製造業や建築業でした。

製造業は海外や国内の旺盛な需要が存在した為に、
金利が多少上がっても、利益が確保出来ました。
建設業も、ビルや住宅などの需要が旺盛でしたから、
金利が上昇しても、投資が急激に衰える事はありませんでした。

実需によって支えられた経済は、金利上昇に対して抵抗力があるのです。

一方、現在の世界は金融投資や不動産投資、株式投資に偏重しています。
資金需要は先ずこの分野で発生し、加速度的に膨らんでゆきます。
一旦、相場が上昇に転じると、レバレッジを効かせた取引で一気に市場が拡大します。

ところが、投資は長期のビジョンに乏しく、
短期的に金利を稼ぐ事に集中しがちです。
当然、日銀の貸し出し金利が上昇すれば、収益性が低下するので、
市場には一気に、資金の巻き戻しが発生します。
逃げ遅れれば、確実に損失が発生するからです。

この様に、ピーキーな市場はバブルを形成し易く、
バブルは金利上昇で簡単に崩壊します。

■ 資金が国境を越境する時代には、バブルは日本以外で形成される可能性もある 
一部で円キャリートレードが発生しており、円安の一因とも言われています。
実際に日銀は海外の銀行に対する資金提供を拡大している様です。

資本が簡単に越境する時代に、国内の緩和マネーはキャリートレードによって
海外で運用される場合ケースも増えています。

金利が安い通貨を調達通貨として、金利の高い通貨を買えば、簡単に金利差が手に入ります。

さらに、金利の安い円で、ドルを調達してアメリカで運用するケースもあります。
こうして膨らんだのが、アメリカのサブプライムローンだとも言われています。
日銀が金利を引き揚げた効果が、サブプライムローンの破綻だったとの説もあります。

この様に、先進国における金融緩和はバブルを生成し易く、
中央銀行が引締めに転じると、途端にバブルが崩壊します。

日銀か過去、「早すぎる引き締め」で景気回復の芽を摘んで来ましたが、
一方でプチバブルの状態での経済の失速で済んでいるので、
日本経済へのダメージが少なかったとも言えます。

★★ 誰の為の「アベノミクス」か、見極める必要がある 
ここから先は陰謀論的になります。
浜田宏一氏が教授を勤めるイェール大学は、
アメリカの政界や財界の子弟が集う大学です。

この大学には「スカル&ボーンズ」という秘密クラブがあります。
名簿が公開されているので、秘密でも何でも無いのすが、
毎年、4年生15人ほどが、このクラブに入る事が出来ます。

彼らは、このクラブで親交を深め、
社会に出てからも、縦と横の繋がりを保ち続けます。

スカル&ボーンズの出身者はブッシュ家3代(ジイサン、パパ、Jr)であったり
ハリマン銀行(中国の阿片と武器の貿易で財を成した)の子弟だったり、
アメリカの政財界や国務省、CIAの幹部も少なくありません。

浜田氏は東大を卒業した後、イェール大学で学んでいます。
浜田氏は「スカル&ボーンズ」では無いと思いますが、
アメリカの政財界を牛耳る彼らとの繋がりは、少なからずあるかと思います。

ですから、私は浜田氏が生み出した「アベノミクス」は日本独自の政策では無く、
アメリカや世界の経済界の総意だと見ています。

★その目的は、「日本の復活」であるはずも無く、
良く解釈すれば「経済実験」。
悪く解釈すれば「円キャリートレードの復活や、日銀による米国債の買い入れ」が目的でないかと考えます。
そして最悪は「日本売り」によって誰かが大儲けする事が目的かも知れません。

■ 政権奪取後に、アメリカ従属を明確にする安倍政権 
安倍首相は選挙前は、尖閣問題や竹島問題で勇ましい発言を繰り返していましたが、
政権を取るやいいなや、中韓と対話を始めるなど、現実路線に変換しています。

当然と言えば当然ですが、
その一方でアメリカとのパートナーシップを最重視するとして、
対米従属路線を明確にしています。

「日本の独立性」に希望を抱いて安倍氏に投票した多くの人に期待に背いているとも得ます。

一方、「アベノミクス」効果で株価が上昇し、円安が進行しているので、
市場も、国民も安倍政権の政策変更をあまり追及する事はありません。

しかし、「アベノミクス」の目的が、国民の期待と180度違った場合、
私達日本人は落胆のみならず、大きな負債を負う事になるかも知れません。

私は「経済の実験」としての「アベノミクス」に興味がありますが、
一方で、「又日本は騙されるかも知れない」という警戒心は必要だと思います。

★★1ドル90円が一つの試金石 
久々の円安と株高に世間は沸いていますが、
その一方でドイツやオランダ、イギリスの国債金利が不安定な動きを見せています。

世界の投資資金は、株に集中している様です。
これを国債市場からの逃避と見るのは短絡的ですが、
「財政の崖」からの一時的回避を材料に、
リスクが選好されて誰かが儲けを出すはずです。

一方、アメリカの財政あh2月か3月にシーリングに達しますから、
2011年8月の混乱が、再び繰り返される事になり、
米国債の格下げも視野に入れた状況が待ち受けています。

こちらも、議会は再び出来レースの展開となるのでしょうが、
米国債への不安から、市場にはポラティリティーが発生し、
相場変動で誰かが荒稼ぎするのだと思われます。

この様に、世界の金融は最後の一稼ぎとばかりに、不安定化しています。
円安が90円に達した時、多分ヘッジ勢が利益を確定する為に日本株を売却するでしょう。同時に多少円高に振って、為替差益も確保するかも知れません。

これで国内の投資家達が萎縮してしまうのか、
それとも「アベノミクス効果」でイケイケドンドンで海外の売りを吸収するのか、
今後の日本経済を占う上で、重要なポイントに差し掛かったとも言えます。

多分、一度軽く下落した後に、4月の決算に向けて再び円安株高が進行し、
ここで、海外ファンドが例年同様、日本株を売って利益を確保します。
買い支えるのは、日銀という事になるのでしょうか?

市場の空気が変化しているだけに、
例年の年中行事が繰り返されるのか、
それとも景気回復に弾みが付くのか、楽しみに観察したいと思います。

尤も、日本の株価はダウにリンクして変動しますし、
国債金利も世界的にリンクしています。
日本国内だけ見ていると、足元をすくわれるかも知れません。
・・・ジワジワと上昇し始めた世界の国債金利が心配と言えば心配ですが・・・。


<追記>
池田信夫氏の記事を読んいると、浜田宏一氏は温情派のケイジアンで、政府が日銀が正しい金融政策で国民を守るべきだという信念をお持ちの様です。
私の様な陰謀論者がブログのネタにする様な方では無いのかも知れません。

一方で現在のマクロ経済学では、ケインズは既に過去の遺物扱いされて来ました。
確かにリーマンショック以降、ケイジアン達が大復活していますが、その行き着く先は、スタグフレーションではばいかと懸念されています。
(過去においてはケインズ政策で拡大した財政を誤魔化す意味でも戦争が有効でした。)

リーマンショックはフリードマンなどマネタリストの限界を露呈しましたが、一方で、現在はケインズ的政策の限界が露呈されつつあります。

いずれにしても、財政赤字を無限に拡大する事は不可能で、(可能と言う方もいらっしゃいますが)どこかにある限界に達すると、経済は急激に不安定化するのでしょう。
現在は債券市場が拡大し過ぎている為に、危機の発生は、一瞬にて大規模です。
(ブログ=人力でGO)  

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コメント
 
01. 2013年1月07日 12:16:28 : Pj82T22SRI
【クレジット市場】バーナンキ議長、安倍首相に援護射撃−円高修正へ 

  1月7日(ブルームバーグ):デフレ・円高からの脱却を目指す安倍晋三首相が日本銀行に求めている金融緩和の強化とは対照的に、米連邦準備制度理事会(FRB)は先週、量的緩和策の終了に向けた最初の一撃を放った。金融政策の方向性の違いは日米金利差の拡大を通じ、円安・ドル高要因となっている。
バーナンキ議長が率いるFRBが月850億ドル規模の債券購入を年内に終える可能性が浮上する中、長期金利の指標となる10年物国債利回りの日米格差 は先週、約9カ月ぶりに112ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)まで拡大。円の対ドル相場は4日に1ドル=88円台と約2年半ぶりの安値を付けた。
緩やかな景気回復と失業率 の低下が続く米国では、金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)の参加者が大規模な債券購入を今年半ばにやめるべきか否かで意見が二分していることが判明している。一方、「大胆な」金融緩和などを掲げて先月の総選挙で圧勝した安倍首相は年初の会見などでも、デフレと円高からの脱却を喫緊の課題に挙げ、2%の物価目標と為替には日銀の金融政策が「決定的に重要だ」と強調した。
みずほ証券の河上淳マーケットエコノミストは、FRBが債券購入を「年内に減額する可能性は十分あり得る」と読む。「曲がりなりにも出口戦略を模索し始める」FRBとは対照的に、日銀は「むしろ新たな緩和のフェーズを模索し始めており、出口はまったく見えない」と指摘。円・ドル相場では「当然ながらドルが強くなりやすい」と語った。
「崖」回避、雇用改善
米10年債利回り は予想を上回る雇用改善が示された先月7日から上昇基調を強めている。昨年末にかけては、年明けから6000億ドル規模の歳出削減と増税が重なる「財政の崖」への懸念を背景に低下圧力がかかったが、米議会が1日に大半の世帯に対する所得税減税を恒久化し、強制的な歳出削減を2カ月先送りする法案を超党派で可決する中で金利の上振れが目立っている。4日には堅調な雇用統計を受け、1.97%と昨年4月26日以来の高水準を付ける場面があった。
円相場は4日に対ドルで一時88円41銭と2010年7月以来の安値を記録。11年10月末に付けた戦後最高値75円35銭から17.3%下落した。日経平均株価 は1万734円23銭と昨年11月半ばの安値から24.5%上昇する局面があった。円安・株高を受け、10年債利回り は同年9月13日以来初めて0.835%に達した。
ブルームバーグの調査によると、市場関係者は米国の実質国内総生産(GDP)成長率を今年2%と予測。しかも7−9月期は2.5%、10−12月期は2.7%に加速するとみている。一方、日本については14年4月の消費税率引き上げ前こそ駆け込み需要で加速するが、今年7−9月期までは1%台半ば前後にとどまるとの見方だ。
年内90円台も
大和証券投資戦略部の亀岡裕次チーフ為替ストラテジストは、足元までの急ピッチな円安は当面一服するが、年央以降は「米国を中心に世界経済の回復基調が強まり、米量的緩和の停止が現実味を帯びる」と予想。米金利の上昇で内外金利差が開き「円相場は90円台に乗ってくる」と読む。安倍内閣への政策期待という「思惑先行から、世界的な景気回復と金利差拡大へと、より本質的な円安に変化していく」と言う。
FRBはリーマンショック後の08年11月以降、「0−0.25%」への利下げ に加え、量的緩和策を2度実施。合計2兆3500億ドル相当の米国債や住宅ローン担保証券(MBS)を買い入れ、総資産 を約3倍に膨らませた。昨年9月には第3弾として月400億ドル規模のMBS購入を開始。先月は短期債を売却して期間が長めの債券を同額買い入れる「オペレーション・ツイスト」の失効に伴い、月450億ドルの米国債購入を追加し、政策金利見通しを失業率とインフレ率に初めて関連付けた。
3日公表したFOMC議事録(先月開催分)によると、「数人のメンバー」が現行の債券購入は13年末ごろまで正当化される公算が大きいとの認識を示したが、「幾人かのメンバー」は金融の安定や総資産の規模をめぐる懸念から「年末よりかなり前」に縮小や停止が適切になると主張した。参加者の「多く」は債券購入がインフレ期待を高め、緩和策の解除に向けた取り組みを困難にする恐れがあると指摘した。
円はなお割高か
インターコンチネンタル取引所(ICE)の主要6通貨に対するドル指数 は、米量的緩和策の開始後の4年余りで約5%下落。しかし、FOMC議事録を受け、3日には前日比0.84%高と約半年ぶりの上昇率を記録した。経済協力開発機構(OECD)の購買力平価に基づく推計によると、円・ドル相場の適正値は103円90銭。円安が進んだ足元でも、なお約15%も円が過大評価されている計算だ。
メリルリンチ日本証券の藤田昇悟チーフ債券ストラテジストは、年内に100円まで円安が進む可能性が「十分ある」と予想。米景気の回復期待はFRBの出口戦略をめぐる思惑を通じて米金利上昇を招き、日米金利差の拡大が「為替相場へ相当強く作用してくる」と読む。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 野沢茂樹 snozawa1@bloomberg.net;シンガポール Masaki Kondo mkondo3@bloomberg.net;東京 Mariko Ishikawa mishikawa9@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Rocky Swift rswift5@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net
更新日時: 2013/01/07 10:05 JST


02. 2013年1月07日 15:16:26 : Pj82T22SRI
長期や超長期債が下落、入札控えて売り−20年利回り9カ月ぶり高水準 
  1月7日(ブルームバーグ):債券市場では長期や超長期債相場が下落。今週実施される10年債と30年債の入札に向けた売りが優勢となっている。新発20年債利回りは午後に入って9カ月ぶり高水準を付けた。
現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物国債の326回債利回りは前週末比0.5ベーシスポイント(bp)高い0.84%と、昨年8月21日以来の高水準で開始。その後も同水準で推移。20年物の141回債利回りは1.5bp高い1.795%に上昇。新発20年債利回りとしては昨年4月5日以来の高水準を付けた。30年物の37回債利回りは1bp高い2.00%と、新発30年債としては2011年12月1日以来の2%台乗せとなっている。
東京先物市場で中心限月の3月物は、前週末比7銭安の143円25銭で開始し、いったんは143円23銭まで下落した。その後、日経平均株価 が下げに転じると、水準を切り上げ、7銭高の143円39銭まで上昇。午後は小幅なプラス圏で推移している。
メリルリンチ日本証券の大崎秀一債券ストラテジストは、10年債利回り0.8%台半ばは押し目買いの水準とされたが、一段の金利上昇リスクが高まってきたことで、買いを検討していた向きも腰が引けている状態だと指摘。「今年度補正予算編成に伴う増発規模を見極めたい意向に加え、7−9年ゾーン対比での割高感も重しとなっている」と話した。一方、先物は株価や為替にらみの展開のため、国内株高の勢いが鈍ると下げ渋っていると説明した。  
8日に10年利付国債(1月債)の入札が実施される。前回入札された10年物の326回債利回りは0.84%で取引されており、表面利率(クーポン)は前回債より0.1ポイント高い0.8%となる見込み。発行額は前回債と同額の2兆3000億円程度。10日には30年債入札(発行額7000億円程度)が実施される。
ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、今週は10年と30年債の入札があり、利回り曲線に傾斜化圧力が掛かっていると指摘。10年債利回りの0.84%は押し目買い目線の水準としながらも、「外部環境が良くないことや財政拡大規模、国債増発がどの年限で行われるのか明確にならないと積極的には買いづらい」と話した。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 山中英典 h.y@bloomberg.net;東京 赤間信行 akam@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Rocky Swift rswift5@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net
更新日時: 2013/01/07 12:54 JST

03. 2013年1月07日 20:01:50 : Pj82T22SRI

2013年01月07日 10:38 経済 テクニカル
日銀は「受動的NGDP目標」を設定すべきだ
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51836455.html
Woodfordのジャクソンホール論文は、ゼロ金利のもとで何が理論的に起こりうるか、そして実際に何が起こったかを精密に検証しており、ゼロ金利のもとでの金融政策についての学問的な結論と考えてもいいだろう。といっても100ページ近くあるので、日本に関連する部分だけを簡単に紹介する。くわしく知りたい人は、上のリンク先のPDFファイルを読んでください(非常にテクニカル)。
彼はまずインフレ目標について検討し、インフレ率そのものには意味がないとして、名目GDP目標を提案する。

Under this proposal, the FOMC would pledge to maintain the funds rate target at its lower bound as long as nominal GDP remains below a deterministic target path, representing the path that the FOMC would have kept it on (or near) if the interest-rate lower bound had not constrained policy since late 2008.

これはFRBが特定のNGDPを実現することにコミットするのではなく(そんなことは不可能)、何らかの理由で経済が特定のNGDPを下回る限りゼロ金利を続けるという目標である。それはフリードマンの「k%ルール」のように、中央銀行の裁量を制限する受動的ルールなのだ。

量的緩和については、短期証券だけを買う狭義の量的緩和と長期国債やリスク資産を買う大規模資産購入(LSAP)を区別し、前者についてはまったく効果がないと断定している。ここまではリフレ派も認める通説だが、驚くのは後者の効果も否定していることだ。

通常は、長期債にはいくらか金利がついているので、中央銀行がそれを買えば長期金利が下がると想定されているが、上の図のようにFRBの行なったLSAP(通称QE)によって長期金利はむしろ上がっている。これについてのWoodfordの説明は難解なので、原文のまま引用しよう。

In the representative-household theory, the market price of any asset should be determined by the present value of the random returns to which it is a claim, where the present value is calculated using an asset pricing kernel (stochastic discount factor) derived from the representative household’s marginal utility of income in different future states of the world.

無限の将来にわたるすべての企業収益を知っている代表的家計の観点からみると、中央銀行が特定の債券を買うかどうかはその価格には影響しない。債券価格は代表的家計の金銭的な限界効用で決まるので、債券市場が効率的で彼の効用関数が中央銀行の影響を受けない限り、債券価格が中央銀行の介入で変わる理由はないのだ。したがって中央銀行の資産購入は、民間需要をクラウディングアウトしてしまう。

If the central bank buys more of asset x by selling shares of asset y, private investors should wish purchase more of asset y and divest themselves of asset x, by exactly the amounts that undo the effects of the central bank’s trades. [...] Summing over all households, the private sector chooses trades that in aggregate precisely cancel the central bank’s trade.

これはModigliani-Miller定理と同様のロジックだが、もちろん現実の市場は効率的ではなく、代表的家計も存在しないので、M-M定理が成立しないのと同様、このような「中央銀行の中立性」仮説が現実に妥当する必然性はない。しかしここ5年の債券市場の動きは、市場は政府の行動を織り込んで裏をかくという広義の効率的市場仮説を支持しているようにみえる。

こうした慎重な検討の結果、彼はゼロ金利では狭義の量的緩和も大規模資産購入も有効ではないと結論する。中央銀行がインフレを起こすことは不可能なのだから、当然「インフレ予想」を起こすこともできない(もちろん為替レートを変えることもできない)。その上で彼は、次のように提言する。

A more logical policy would rely on a combination of commitment to a clear target criterion to guide future decisions about interest-rate policy with immediate policy actions that should stimulate spending immediately without relying too much on expectational channels.

要するに金融政策によって景気回復やインフレを起こすことは不可能であり、それは財政支出と一緒に行なわない限り効果がないというのだ。そういう政策が必要以上の景気変動を引き起こさないようにNGDP基準で制限するのが金融政策の役割である。

この結論に、私は全面的に賛成だ。日銀は(内閣と協議して)以上のように厳密に定義された受動的NGDP目標を設定すべきである。それを達成することは内閣の責任であり、日銀の責任はそれが実現するまで金融を引き締めないことだけだから、日銀法の改正は必要ない。

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2013年01月06日 11:44 経済
円高は不況の元凶か
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51836286.html
床屋経済談義でよく出てくる話に「景気が悪いのは円高のせいだ」とか「円高になるのは日銀の量的緩和が足りないからだ」というのがあるが、これは本当だろうか?
まず円高かどうか。先週のニューズウィークでも書いたように、現在のドル/円レートは短期(金利平価)でみても長期(貿易財の購買力平価)でみても、円高とはいえない。実質実効為替レートでみても、「円安バブル」の前の2004年ごろに戻った程度だ。

それより根本的な問題は、円高で企業収益が悪化するのかということだ。日経新聞も解説している通り、通関統計でみるとドル建てでは輸入超過で、円建てでは輸出超過になっている。したがって円高・ドル安になると輸出額が増えて輸入額が減り、純輸出額が増えて企業収益は上がるのだ。

ただし、これは対ドルの問題である。ドルとペッグしている新興国の国際競争力は相対的に上がっており、対アジアでは円が過大評価されている。特に韓国のウォンは、ここ5年で3割以上も暴落し、サムスンのスマートフォンの競争力は高まった。これは韓国政府がウォン安に誘導しているためで、こういう重商主義をやめさせるためには、日本も政府が為替に介入しないほうがいい。

もう一つは「日銀の量的緩和が足りないから円高になった」という話だが、何度も書いたようにこれは明白な嘘である。次の図のように日銀のマネタリーベースはGDP比で世界最大であり、増加率もほとんど変わらない。これ以上増やすと、金利が上がり始めたとき日銀が莫大なキャピタルロスを被って金融システムが危険にさらされ、財政破綻を誘発するおそれがある。

「リーマンショックの後、各国がマネタリーベースを増やして通貨安に誘導したのに、日銀の緩和が足りなかったから円高になった」というのも嘘である。欧米の中央銀行がマネタリーベースを増やしたのは銀行の資金繰り支援のためであり、日本は幸いその必要はなかった。また日本の政策金利は2008年以降ずっとゼロなので、マネタリーベースを増やしてもインフレにはならず、したがって円安にもならない。

要するに世界的なゼロ金利状況では、マネタリーベースと物価は無関係であり、したがって為替レートにも無関係なのだ。これはWoodfordなど世界の専門家が一致して指摘することだが、日本では竹中平蔵氏まで「日銀の緩和が足りないからデフレ・円高になる」という俗論を繰り返しているのは理解に苦しむ。


2013年01月03日 14:05


経済
積極財政というモラルハザード
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51835858.html

Economist誌のブログが「政府債務はどのぐらいまで維持できるか」を論じている。欧米でも緊縮財政を求める「小さな政府」派と、「需要不足のとき緊縮財政はバカげている」というケインズ派が論争しているが、これは財政破綻というテールリスクをどう評価するかという問題だ。
先日の対談でも、山崎氏が「現状の株価や不動産価格をみれば、少なくとも今の日本の株価や不動産はバブル状態にはない」というのに対して池尾氏は「今の日本の国債がバブル状態だ、と言う人もいる。この国債バブルの崩壊は、長い目でみれば10年以内に起きる」という。つまり現在の長期金利をバブルと見るかとうか、という相場観の違いだ。

どっちが正しいかは現状ではわからない。少なくともマーケットは、国債にリスクがあるとは考えていない。しかしこのまま国債を発行し続けると、20年後には政府債務が2000兆円を超え、これは国内で消化できない。ドル建てで国債を発行したら金利が急上昇するので、発行は不可能だ。つまり1000兆円と2000兆円の間のどこかに閾値があると考えられる。

この閾値に近づくとき、長期金利がゆっくり上がってゆくなら日銀が国債を買い取れば収まるというのが山崎氏の見立てだが、池尾氏は「日銀が財政ファイナンスをしていると市場が見ると、資産の海外逃避が始まる」という。つまり国債発行の限界が通常の金融市場と同じように起こるか非線形に起こるかの問題だ。

こういうテールリスクは、ふだんは意識されないので、邦銀のサラリーマンはリスクゼロで0.8%近い利鞘をとれる国債を買うのをやめられない。目の前の利益は確実だが、財政破綻のリスクは遠い先の話で、それが起こったときは自分の責任なんか問われないからだ。私との対談で、外資系投資銀行のトレーダーである藤沢数希氏はこう話している:
銀行もリーマンブラザーズが潰れたのと同じ構造があるんですよ。短いところで調達したお金で長い国債とかを買って、それで何もなければ儲かるし、なんかあったら国が絶対面倒見るでしょう。そういう日本の銀行もリスクを国全体で、たとえば東京三菱銀行とか三井住友とか、潰れたら日本も大変だから国債も大変だし、絶対政府の方も救済しちゃうんですよね。どう考えても。そういう意味で、隠れた補助金というか、テールリスクを国民に押し付けながら自分たちはビジネスをしているわけですよ。
このように隠れたテールリスクをとって短期的な利益を得る行動は、モラルハザードの一種である。アメリカの金融危機の場合は、テールリスクは銀行の破綻だったので、納税者がその損害を補填したが、国債の暴落で邦銀が破綻すると、それを補填する財源はない。EUの場合はドイツという「深いポケット」があるが、日本の個人金融資産というポケットは、実は国債で食いつぶされている。

こういう状況で、財政破綻のリスクを取って大型予算を編成する麻生財務相のギャンブルは、政治的なモラルハザードだ。それが当たれば金をばらまいて参院選に勝つのは自民党だが、はずれて財政が破綻したら負けるのは納税者である。

2013年01月02日 15:23 経済
老いてゆく日本で格差は拡大する
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51835692.html

2013年の日本経済を長期的視野から考えてみよう。市場は安倍政権のバブル政策を見越して円安・ドル・ユーロ高に激しく動いているが、実体経済が上向くかどうかは別の問題だ。潜在成長率が上がらないのに「期待」ばかり上がると、その乖離が大きくなり、最終的には実態に合わせて期待が修正される。それがバブルの崩壊である。

では潜在成長率を制約する条件は何だろうか。大きくわけると、労働人口と生産性である(資本は過剰なので制約条件にならない)。このうち日本に特徴的なのは、年率1%近い率で労働人口が急速に減少していることだ。
安倍首相は「人口が減少してもデフレでない国はたくさんある」などと人口減少の影響を否定しているが、これは浜田宏一氏の受け売りだろう。彼は「人口減はインフレの原因になってもデフレの要因にはならない」とまで書いているが、意味不明だ。

このように人口要因を否定して、日銀がすべてを解決できるという話はリフレ派によくあるが、小峰隆夫氏もいうようにナンセンスである。人口減少は経済全体にかかる税金のような負荷であり、これを無視して経済政策を考えることはできない。これを彼は人口オーナスと呼ぶ。

浜田氏が無視しているのは、日本では単に人口が減るだけではなく、労働人口が急減していることだ。上の図のように、今でも労働人口の半分を超えている従属人口(労働しない人口)は、2030年には労働人口の7割に達し、2050年には9割を超える。ほぼ働く人ひとりで働かない人ひとりを養うことになる。

もう一つは、現役世代と高齢者の資産格差である。今でも次の図のように個人金融資産の6割を60歳以上が保有しているが、40代以下は公的年金が負担超になっているので、この格差は今後ますます開く。20代以下では非正社員が労働人口の半数を超えているので、所得格差も開く。老人は消費しないので個人消費が低迷し、未来への投資もしないので金利が低下する。

この人口オーナス(人口減少と高齢化と労働人口減少)が、日本経済の長期的停滞の最大の原因なので、必要なのはこの負荷を軽減する政策である。その一つは女性の就労や移民の受け入れで労働人口を増やすことだが、もっと根本的な問題は労働生産性の向上である。

雇用規制を強化して高齢者の雇用を守る家父長的な政策は、短期的な痛みを止めることはできるかもしれないが、成長産業への労働移動をさまたげて生産性を低下させ、世代間格差を拡大する。衰退産業に税金を投入する先送り政策も、生産性を低下させて日本経済をますます衰退させる。

人口が減少しても成長を維持している国はあるが、それは一人あたり成長率(労働生産性上昇率)が人口減少率を上回っているからだ。日本のように労働人口が急速に減少する国で労働生産性が上がらなければ、経済が停滞してデフレになるのは算術的に明らかだ。このような潜在成長率の低下を、日銀がお金を配れば解決できるというのは、リフレ派しか信じていないお伽話である。

追記:小峰氏からの指摘で数字を訂正した。

2012年12月31日 15:20 経済
よみがえる政治的景気循環
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51835223.html 
けさの日経新聞の「公的資金で製造業支援 工場・設備買い取り」という記事が話題になっている。経産省が1兆円で製造業の設備を買い取り、「機動的に新たな設備投資をできるようにして次世代の成長基盤固めにつなげる」というのだが、アゴラでも中島よしふみ氏がいうように、これはエコポイントと同じ問題の先送りである。
同じような制度に雇用調整助成金がある。これは余剰人員を休業させた会社にその賃金を補填する制度だが、この対象は3万8000社の75万人。これは労働人口の1%余りにのぼるので、失業率は1%ほど低めに出ていることになる。また中小企業金融円滑化法は、金融機関に中小企業の借金返済を猶予して延命するするよう求めるものだが、その実績はこれまでに229万件、63兆円にのぼる。

こういう制度の目的は、すべて目の前の経営破綻や失業などを先送りし、その穴を税金で埋めることだ。これは実質的には納税者から企業への所得移転である。永遠に先送りできるならそれもいいが、エコポイントのようにいずれは終わりが来る。そのとき嵩上げされていた需要が急に減少すると、家電業界のように過剰設備を生み出してしまう。テレビの場合は地デジも重なって、パナソニックやシャープが需要を過大に見積もる原因になった。

つまりこういう裁量的な財政政策は、景気循環を増幅する結果になるのだ。こうした現象は昔から知られており、Nordhausは政治的景気循環と名づけた。インフレと失業のトレードオフがあるとき、選挙前には失業を減らすために財政支出が増やされてインフレになり、選挙が終わると不況になる。

日本の今の状況も、政治的景気循環の一種だろう。「デフレ脱却」を約束しておいて何もできないと、来年の参院選で負けて安倍内閣は退陣を迫られるので、それまでに景気をよくしたい。そのためには多少のインフレも辞さないで、財政・金融政策を大盤振る舞いすればいい。Nordhausも指摘するように、こういうとき金利を下げるじゃまになるので、政治家は中央銀行の独立性をきらう。

ところが皮肉なことに、今の日本では金利がこれ以上は下がらないので、日銀がお金を配っても何も起こらない。だから財政政策しかないが、それでも麻生内閣の末期のように何も起こらないだろう。確実に起こるのは、財政赤字の蓄積である。これは単に景気循環を増幅するだけではなく、国債バブルが崩壊したときのダメージを破滅的なものにする。

国民がこれから自衛するには、資産を外貨建てにするしかない。それも邦銀は国債リスクを抱えているので、外銀がいい。マイルドなインフレになってもハイパーインフレになっても、米ドルなら安心である。最大の為替リスクを抱えているのは、円なのだ。

2012年12月30日 16:42 テクニカル
インフレスパイラルの非線形性
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51834994.html

私が「ハイパーインフレは起こりうる」というと、高橋洋一氏のように「インフレ目標は2%だ。現状マイナス1%のインフレ率を2%にしようとすると、30%のインフレになるとは誰が考えてもおかしい」と反論する人がいるが、これは「2%を目標としているのだから2%で収まるはずだ」という願望を反復しているにすぎない。

ノア・スミスも認めているように、リフレによってハイパーインフレが起こる可能性はある。それはすべての物価が一様に暴騰する現象ではなく、長期金利の暴騰→インフレ→円安→資本逃避→債券の暴落→・・・というループで起こるインフレスパイラルである。
通常は金利上昇→投資家の債券購入→金利低下という負帰還(negative feedback)が働いて金利は安定するが、金利が果てしなく上がるという予想が強まると、金利上昇が債券の売却をまねいてさらに金利が上がる正帰還(positive feedback)が発生することがある。これがミンスキー・モーメントと呼ばれる「相転移」である。

このような非線形の現象は、社会現象ではそれほど珍しくない。本書もいうように、人間の脳はもともと非線形のメカニズムで動いているので、人々が集まると恐怖が恐怖を呼ぶ正帰還が起こりやすい。その典型が2008年の金融危機である。CDSの価格が暴落し始めたとき、2%の下落で止めることはできない。

このような「ブラックスワン」は、いつ起こるかわからないが、必ず起こる。本書も示すように、バーストの起こる確率は事後的にはほぼ一定で、例外はない。ロゴフが過去800年の財政破綻の歴史を総括していうように、誰もが「今回だけは違う」とか「わが国では起こらない」とか思うが、破綻が起こると予想されているときは必ず起こるのだ。

他方、相転移が起こるまでは日銀がいくら量的緩和を拡大しても何も起こらない。この点で岩田規久男氏などが「レジームチェンジが起こらないとインフレにならない」というのは正しい。問題は「危ない」と思ったとき、引き返せるのかということだ。

通常の資金需給によるインフレなら、日銀が政策金利を上げれば止まるが、正帰還に入ったときは債券売りを促進してさらに金利を上昇させてしまう。むしろ金融システムの崩壊を防ぐために日銀が流動性を供給することが必要になろう。このとき、日銀は保有資産を売却しなければならない。

ここで問題なのは、池尾和人氏の指摘するように、日銀の保有しているリスク資産が金利上昇で巨額の損失を出すことだ。これを埋めるためには一般会計から補填するしかないが、その財源は国債を発行しなければならない・・・という悪循環に陥る。日銀が債務不履行に陥れば、日本経済は完全に崩壊する。

イメージとしてわかりやすくいうと、こういうことだ:湖に厚い氷が張っていて、沖まで行かないと魚が釣れないとしよう。ある所まで来ても大丈夫なら、あと1cm先に行っても大丈夫だろう、氷が割れ始めたら引き返せばいい――と思ってもそうはならない。「危ない」と思って引き返そうとしたときは、湖の氷がすべて割れてしまうのだ。これが非線形の現象である。

麻生財務相は、金利上昇のリスクを覚悟した上で限界を試そうとしているようにみえるが、これは引き返せないリスクを考えていない。国民生活を巻き込むギャンブルを行なうなら、少なくとも金利上昇のリスクを定量的に評価した上で、失敗したら内閣が総辞職する覚悟で行なうべきだ――本当にハイパーインフレが起こったら総辞職ではすまないが。

2012年12月29日 12:07 経済
日銀の責任と内閣の責任
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51834703.html
白川日銀総裁が、財政・金融政策で安倍政権と連携する意向を示した。これを「日銀が政治的圧力に屈した」と受け取る向きもあるようだが、それは違う。ゼロ金利では(金利に働きかける)金融政策はきかないので、有効な政策は財政政策に限られ、その責任は内閣にある。これは池尾・山崎対談でも双方が合意したことだ。
他方、麻生財務相はインフレ目標にはまったく関心を示さず、「金融政策だけではデフレ脱却はできない」という。これは正しいが、「小泉内閣の時、竹中平蔵経済財政担当相の下でヘリコプターマネーとか金だけ印刷すればいいと言う人がいっぱいいたが、世の中に実需がなければ日銀の外にお金が出ていかない」というのは間違いだ。

ヘリコプターマネーとは、日銀が社債や株式などのリスク資産を買って企業に直接マネーをばらまく非伝統的金融政策のことで、銀行の外にお金が出て行く。これは麻生氏の好きな「財政出動」である。この区別は重要なので、白川氏も念を押している。
中銀が採用する非伝統的政策は、財政政策の要素を帯び始めている。つまり損失発生の可能性があるということだ。中銀が資産を買って、それが大きく値下がりした場合、損失が発生する。中銀の損失は結局、国庫納付金の減少という形で、国民が税負担する。
これはFRBのcredit easingとも同じだが、Woodfordも指摘するように民間需要をクラウディングアウトするのでマネーストックを増やす効果がない。0%のインフレ率を2%にするにはそんな回りくどい方法ではだめで、麻生氏もいうように公共事業が一番だ。したがって政府と日銀が「アコード」を結ぶなら、どこまでが日銀の責任でどこから先が内閣の責任かを明示したほうがいい。
• 政策金利の誘導などの金利政策は日銀の責任
• 準備預金を積み増す量的緩和は日銀の責任
• インフレ目標を上回る物価の抑制は日銀の責任
• 日銀がリスク資産を買うのは内閣の責任
• 外債の購入や為替介入は内閣の責任
• 公共事業などの財政出動は内閣の責任
安倍首相の素人っぽいリフレ論に比べると、麻生氏の話はよくも悪くも伝統的な自民党のバラマキ政策で、その結果も予想できる。財政赤字が増えることは確実だが、経済効果はほとんどない。民間投資が停滞しているので、財政支出の乗数効果が1以下だからだ。麻生氏もそれは知っているが、民主党政権の3年間で干上がった土建業者に水をやって参院選で働いてもらうことが目的だろう。


04. 2013年1月07日 20:07:58 : Pj82T22SRI
大胆な金融政策など3本の矢で経済運営進める=安倍首相
2013年 01月 7日 19:20 
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[東京 7日 ロイター] 安倍晋三首相は7日、経済3団体の新年祝賀パーティーで、大胆な金融政策、機動的な財政出動、民間の投資を引き出す成長戦略の3本の矢により経済を成長させていく考えを示した。

そのうえで「デフレから脱却し、円高を是正し、経済を成長させ、雇用の創出と企業の投資を促進する。疲弊している地方経済を活性化させ、中小企業の支援にも全力で取り組む」と述べた。

同首相は「大切にしたいことは、言葉でなく意味のある結果。スピード感と決断、実行力を何よりも大切にしていく」と語り、今週中にも緊急経済対策を取りまとめ、すみやかに大型補正予算を国会に提出する方針を示した。

また、近く立ち上げる産業競争力会議で具体的な成長戦略を議論し、世界に勝ち抜くことができる製造業の復活と付加価値の高い産業の育成に向け、大胆な施策を進めると語った。産業については、健康やエネルギーなど世界展開できる分野を特定し、新しいターゲティングポリシーを実行する考えも示し、「コア技術への集中投資、規制改革、戦略産業強化など政策パッケージとして推し進めていく」と述べた。

さらに、規制改革とイノベーションを促進するため、産業競争力会議と連携した形で規制改革会議と総合科学技術会議を立ち上げる方針とし、「産業界の英知を結集してほしい」と呼び掛けた。

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コラム:「強い日本の弱い円」への道のり=佐々木融氏
2013年 01月 7日 19:28  
佐々木融 JPモルガン・チェース銀行 債券為替調査部長(2013年1月7日)

ドル円相場の急激な上昇が止まらない。昨年11月半ばに野田佳彦前首相が衆議院の解散を表明し、当時は野党の党首であった安倍晋三現首相(自民党総裁)が日本銀行にさらなる金融緩和を求める発言を繰り返し始めた頃から加速し、79円台半ば近辺から今年1月4日には88円台半ばと約1ヶ月半で11%も急騰した。

筆者は今回のドル円相場の急騰を一時的なものとみて、2013年中も過去2年以上続いていた75―85円のレンジを抜けないと予想していたが、これだけの急騰を受けて、昨年12月28日に予想レンジの上方修正を余儀なくされた。現在では13年中のレンジを80―90円と予想している。

特に13年前半は上昇傾向が続くとみており、とりわけ今後2週間ほどは、懸案だった米国「財政の崖」も何とか急場しのぎで回避され、雇用統計の発表も終わったことから、日米ともに市場に影響を与えそうな材料がなく、90円を超えてくる可能性も十分にあると考えている(13年のクロス円相場は上昇基調が続き、ユーロ円の上昇率が一番大きくなると予想している)。

当初の予想の背景には、13年の世界の金融資本市場は、投資家が積極的にリスクをとる、いわゆる「リスクオン」の状態になる可能性が高く、その場合、世界的に株価やコモディティ・エネルギー価格が上昇し、資本調達通貨である円とドルはともに弱くなるとの見立てがあった。この想定の大枠は今も変わらないが、 円が全般的に弱くなるとしても、米連邦準備理事会(FRB)が政策金利をゼロに維持し、量的緩和政策をとっている中では、ドルよりもさらに、かつ大幅に弱くなるとは予想していなかった。

筆者が見落とした、あるいは過小評価した点は、以下の3点だろう。第一に、貿易収支の赤字転換と円安期待の高まりの相乗効果。第二に、海外投資家の日本に対する見方の大きな変化。そして、それに呼応して変化し始めたと思われる国内投資家の見方だ。

第一点目を過小評価してしまった理由は、これまで貿易収支が黒字であった時には、何かしらの期待感から造成された短期的な円売りポジションは、輸出企業による円買いにぶつかって、最終的に巻き戻しを余儀なくされることが多かったためだ。貿易収支が赤字化し、赤字額も徐々に増加していく中では、期待感から造成された円ショートポジションは、これまでとは異なり、輸入企業による円売りによってサポートされている。

第二点目については、筆者は海外勢の安倍新政権に対する期待は比較的早期に後退すると予想していた。加えて、昨年2―3月のドル円相場の上昇時とは異なり、当初は米長期金利がほとんど上昇していなかったことからも、ドル円相場の上昇基調は維持できないとみていた。しかし、安倍新首相や政権幹部からの日銀に対する圧力は執拗に続き、財政も積極化させるとの姿勢が強い中で、日本の経済・政治に対する海外投資家の期待感も高まり、多少のことではそうした期待感は失望に変わりそうにない。

また、こうした状況を背景に、日経平均株価が他国の株価に対して大きくアウトパフォームしていることも予想外の動きだった。筆者も、13年は世界の投資家のリスクテイク嗜好が強まる中で、日経平均株価も他国の株価と同様に上昇トレンドをたどると予想していたが、実際の上昇率は予想以上だった。11月半ば以降、米S&P500は8%、独DAXは9%程度しか上昇していないのに対して、日経平均株価の上昇率は23%に達する。

かねてより指摘しているように、日米ともに株価と通貨の逆相関関係は強く、株価がより大きく上昇した国の通貨はより弱くなる傾向にある。 実際、最近の日米株価指数の相対パフォーマンスは、ドル円の大幅上昇と整合する。海外投資家の間で「今回はこれまでとは違い、いよいよ日本の景気が力強く回復し、デフレをも脱却する」との期待感が非常に強かったことを見落としていたことが、円がドルよりも大幅に弱くなることを予想できなかった大きな理由の一つだと考える。

また、円安進行と株価上昇がこれだけ急激かつ大幅になると、日本の政治・経済に対して当初は懐疑的だった国内投資家の見方も変化してくる可能性が出てきた。つまり、海外投資家の期待で大きく動いた市場が、国内投資家の期待を変化させる可能性である。

たとえば、日米実質政策金利差(インフレ率には米国がコアCPI、日本はコアコアCPIの前年比を使用)とドル円相場は05年以降比較的相関が高いが、「日銀が2%のインフレターゲットを導入するなら、少なくとも日本のコアコアCPIが前年比プラスになるくらいのことは十分考えられるだろう」という期待が国内投資家の間で高まる可能性がある。昨今のドル円相場の上昇はそれを先取りしているのかもしれないし、計測が難しい国内投資家の期待インフレ率の上昇を反映しているのかもしれない。

ちなみに、05年以降の両者の関係を回帰分析すると、日本のコアコアCPI前年比がゼロ%になった時のドル円相場は89円となる。つまり、最近のドル円相場は、国内投資家がすでに「日本のデフレ脱却」を期待していることを示しているとも考えられる。

<長期円安トレンド予想は時期尚早>

もっとも、これが3―5年単位での長期的な円安トレンドになるかどうかの判断はまだ早いだろう。筆者は、07年11月にドル円相場に関する長期的な予想を「円高・ドル安」方向に変更してから、基本的には同じ方向の予想を維持している。今回、当面の予想は上方修正したが、3―5年単位でのトレンドが変化したと結論づけるのは早いとみている。

繰り返すが、今回のドル円相場の急騰は、安倍首相の金融政策に対する強い働きかけや財政支出に積極的な姿勢をみて、日本の経済的な活力が復活し、デフレからも脱却するのではないかとの強い期待を持った海外投資家の動きに拠るところが大きい。

海外投資家は「強い日本」が復活し、日本の企業や投資家が積極的に海外投資を行うことを予想して円を売っている。これまでは「弱い日本の強い円」であったが、今後は「強い日本の弱い円」となることを期待している。しかし、これが本当の動きになってくるかどうかは、今後の安倍内閣の経済政策全般に対する姿勢次第である。つまり、経済の活力が戻り日本人が積極的にリスクをとれるような状況を創り出すための構造改革、規制緩和、税制改正、効果的な財政支出をどの程度大胆に行えるかにかかっている。

市場は今、こうした施策がうまくいくことを織り込んでいる。正直に言うと、これだけ市場の期待が大きくなると、もともとあまり期待していなかった筆者も一人の日本人として、今度こそうまくいくのではないかとの期待を少し持ち始めている。その期待の実現性がもう少し見えてくれば、長期的な意味でドル円相場のトレンドが反転したと確信できるだろう。

*佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の債券為替調査部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に、「弱い日本の強い円」など。

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12年度補正予算は12兆円規模で調整、国債追加発行は5兆円超
2013年 01月 7日 19:58 
[東京 7日 ロイター] 政府が2012年度補正予算について、12兆円規模とする方向で調整していることがわかった。複数の関係筋が明らかにした。

内訳は経済対策で9兆円から10兆円、年金の国庫負担分が2.6兆円。財源は11年度決算剰余金と12年度の国債費の不要分を充てるが、不足分については国債発行で賄う。国債の増発は5兆円超となる見通し。

関係筋によると、補正予算については、各省庁の要望を取りまとめた上で最終調整が行われ、11日までに額が積み上がる可能性もある

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE90604P20130107?sp=true


05. 2013年1月08日 16:37:03 : IOzibbQO0w
自民党の政権公約、日本の格付け変更の要因にならず=フィッチ
2013年 01月 8日 15:17 JST  
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政府・日銀の協力体制、物価安定目標が中心=甘利経済再生相
経済再生本部が始動、10兆円投じ「縮小均衡」脱却へ
麻生財務相、日銀との政策協定を共同文書とする方針明言
米「財政の崖」回避法、13年度国防費削減額は170億ドル減

[東京 8日 ロイター] 格付け会社のフィッチ・レーティングスは8日、自民党の政権公約は日本のソブリン格付けを変更する要因にはならないとの認識を示した。

フィッチのアジア太平洋地域ソブリン格付けヘッドのアンドリュー・コルクホーン氏が、記者団とのコンファレンスコールで語った。

同氏はフィッチが今後、新政権の行動を評価するとした上で、「われわれは日銀の使命(マンデート)が見直される可能性を含め、日本の経済および財政戦略の全体を見ていく」と述べた。

同氏は、新政権の政策が日本の国内総生産(GDP)を押し上げることができれば、日本の格付けにとってプラスになると指摘した。

安倍首相が日銀にデフレ脱却に向けた金融緩和措置を求め、2%のインフレ目標設定を呼び掛けていることについては、インフレ期待の高まりで日本国債の利回りが急上昇するリスクを日本の当局は「良く認識している」はずだと指摘。「私見で憶測にすぎないが、当局が進んで招きたいリスクだとは考えておらず、従って国債利回りにショックを与える要因になるとはみていない」と述べた。

ただ、日本の状況は「すべてがバラ色」ではないとも強調。「格付け見通しをネガティブとしている最大の要因は、ソブリンとしての資金調達状況の力強さにもかかわらず、公的債務比率の上昇に伴い、そうした資金調達状況を悪化させかねないある種の出来事が発生するリスクも引き続き高まる点にある」と語った。
 
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「縮小均衡」から脱却へ
日本経済再生本部が初会合を開き、緊急経済対策の骨子を決定。安倍首相は「人類史上、歴史的な取り組みだ」と述べた。
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経済再生本部が始動、10兆円投じ「縮小均衡」脱却へ
2013年 01月 8日 14:54 JST 記 
[東京 8日 ロイター] 政府は8日午前、安倍政権が新設した日本経済再生本部(本部長・安倍晋三首相)の初会合を首相官邸で開き、緊急経済対策の骨子を決定した。対策費として総額10兆円超を投じ「縮小均衡の分配政策」から、「成長と富の創出の好循環」へ経済の転換を図る。11日に再び再生本部を開き、対策の詳細を決定する。

<成長促進、政権の要諦>

骨子は経済再生に向けた課題として、1)復興のスピードアップ、防災対応の強化、2)景気の底割れ回避に万全の措置、円高・デフレからの脱却、3)成長力の強化──を列挙し、安倍首相が主張する金融・財政政策と成長戦略の「3本矢」を「適時適切かつ果断に実行」する方針を掲げた。国土強靭化の推進に加え、補正予算や越年して「15カ月予算」となる来年度予算編成、省エネや研究開発分野の民間投資喚起策、中小企業対策なども盛り込んだ。

安倍首相は会合の席上で「10年以上にわたるデフレ脱却に向けた取り組みは、人類史上、歴史的な取り組みだ」と、対策の意義を強調。円高・デフレからの脱却に向け、金融・財政政策を推進する考えを示した。

骨子は日銀との協調にも言及。デフレからの早期脱却に向けて「政府と日銀の連携を強化する仕組みを構築」すると明記した。為替市場については「引き続き注視し適切に対応」するとしている。

会合終了後に記者会見した甘利明経済再生担当相は、民主党政権下の政策を「極力平等に分配するところから入った」と評したうえで、「分配をする前にパイを大きくする工程が入らないと、結局等しく平等に貧乏になるだけ。まず成長して、配分するパイを大きくすることが政権の要諦」と、自公政権の方針を説明した。積極的な財政出動が財政規律への懸念を高めかねないとの批判には「経済成長する中で、成長が財政再建にも資する構図を見出していきたい。財政再建だけが先行すると、経済成長のための柔軟な枠組みが縛られる」との考えを示した。

ただ、同時に経済再生相は「財政再建に目配り、気配りしないと、国債の信用は失墜していく。国債の信頼性を確保しながら成長を確保し、その中で財政再建を織り込み、財政の健全性、持続性と成長を両立させたい」とも述べた。

政府筋によると、今年度補正予算で緊急経済対策として総額10.3兆円を計上。復興・防災に3.7兆円、成長による富の創出へ3.0兆円、暮らしの安心・地域活性化が1.9兆円、地方向け交付金が1.4兆円、国庫債務負担が0.3兆円。

<今年半ばめどに「野心的な成長戦略」>

この日の会合では、再生本部の下に国内産業の競争力強化や国際展開に向けた成長戦略を議論する「産業競争力会議」の設置も決定した。有識者議員として、新浪剛史ローソン(2651.T: 株価, ニュース, レポート)社長や、佐藤康博みずほFG(8411.T: 株価, ニュース, レポート)社長、坂根正弘コマツ(6301.T: 株価, ニュース, レポート)会長、秋山咲恵サキコーポレーション社長、榊原定征東レ(3402.T: 株価, ニュース, レポート)会長、竹中平蔵慶応大学教授、橋本和仁東京大学大学院教授、長谷川閑史武田薬品(4502.T: 株価, ニュース, レポート)社長、三木谷浩史楽天(4755.OS: 株価, ニュース, レポート)社長を内定。安倍首相は、「野心的な成長戦略」を今年半ばをめどに策定するよう指示した。

経済再生相はこの会議を「民間投資を喚起する成長戦略の具現化・推進を図るための調査・審議の場」にする考えを示した。メンバーは「それぞれの分野で卓越した見識、産業競争力や規制改革について問題認識を持ち、提言ができる方々」を選出したという。

菅義偉官房長官は閣議後の会見で、自公政権下で経済財政諮問会議を取り仕切った竹中氏の起用をめぐり「首相の強い意向」があったことを明らかにした。経済再生相は竹中氏が「自民党の経済財政運営の先導役のひとり」だとして「(以前の諮問会議とは)若干見方を変えて、実行を担う部分で新たな力を発揮してほしい」と期待を示した。

<今年度補正予算は13.1兆円>

政府が15日に閣議決定する今度補正予算は総額13.1兆円となる見通し。緊急経済対策は10.3兆円に加え、基礎年金の国庫負担を賄う経費2.6兆円などを計上する。

(ロイターニュース 基太村真司、山口貴也、石田仁志;編集 久保信博)
 
 

長期デフレからの脱却は歴史的取り組み、今年半ばめどに成長戦略=首相 2013年1月8日
[東京 8日 ロイター] 安倍晋三首相は8日午前に行われた日本経済再生本部の会合で、10年以上にわたるデフレ脱却への取り組みは人類史上歴史的な取り組みだとし、円高・デフレ脱却に向けて金融政策・財政政策・成長戦略の3本の矢で取り組む考えをあらためて示した。

緊急経済対策は新政権の取り組みの第一歩だとし、しっかりとした対策を11日めどに取りまとめ、早期に補正予算をまとめるとした。また、産業競争力会議を設置し、野心的な成長戦略を今年半ばをめどに策定すると述べ、全閣僚は政権の重要課題として、努力してほしいと要請した。

さらに新たに規制戦略会議を設け、日本経済再生本部との協力で規制を見直し、できるものから実現する仕組みをつくってほしいとした。


 

政策協定に「雇用安定」明記報道、コメント控える=官房長官
2013年 01月 8日 13:16  
[東京 8日 ロイター] 菅義偉官房長官は8日、閣議後の会見で、政府・日銀の政策協定に雇用の安定が明記されるとの一部報道について「報道は承知しているが、内容についてはまったく関与していない。コメントは差し控える」と述べた。

8日付毎日新聞朝刊は、政府・日銀が連携強化に向けて検討中の政策協定に雇用安定を目指す方針を明記する方向で調整に入った、と報じた。

また、物価目標達成の期限を明記すべきかとの質問にも「コメントは控えたい」とし、「安倍晋三首相自身が選挙戦を通じて講演などで発信してきた。そうした方向について、首相と麻生太郎財務相は一致していると思っている」と語った。

<産業競争力会議の人選、竹中氏は首相が強い意向>

菅官房長官はこの日行われた第1回の日本経済再生本部で、本部の運営要領や産業競争力会議の設置を決定したことを明らかにし、産業競争力会議の有識者議員として佐藤康博みずほFG(8411.T: 株価, ニュース, レポート)社長、新浪剛史ローソン(2651.T: 株価, ニュース, レポート)社長、竹中平蔵慶応大学教授など9人を内定したと発表した。

有識者議員の人選について官房長官は「日本経済が厳しい中で現場で成果をあげられている方々だ。現場の感覚を大事にしていきながら 日本経済を再生したいという思いが込められていると思う」と狙いを語った。

また竹中氏が再度、政府の会議に加わることについては、「非常に国際的な感覚があり、日本の経済の分析も確かなものだ。そういう力をお借りしたいという思いだ」と語った上で、「首相の強い意向もあった」ことを明らかにした。

官房長官はまた、日本経済再生本部の2回目の会合を11日に行うと発表した。

<中国船の領海侵入、中国大使に抗議へ>

7日昼前から中国公船が尖閣諸島付近の領海に侵入し、13時間以上とどまったことについて官房長官は「外交ルートで再三抗議し、退去を申し入れたが、それにもかかわらず長時間にわたって領海を航行したのは極めて特異で誠に遺憾だ」とし、「中国大使を外務省に招致し、再度厳重な抗議を行う予定だ」と語った。

(ロイター日本語ニュース 編集 石田仁志)
 

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麻生財務相、日銀との政策協定を共同文書とする方針明言 2013年1月8日

 [東京 8日 ロイター] 麻生太郎財務相は8日、閣議後の会見で、安倍晋三首相が主張してきた政府・日銀の政策協定について、共同文書にまとめる方針を明言した。

共同文書に「雇用の安定を目指す」方針を盛り込むとの一部報道に関しては、雇用の安定は日銀だけに責任を持たせるものではないと否定的な考えを示した。白川日銀総裁の後継人事では、出自は問わないと述べた。

麻生財務相は日銀との政策協定に関して「アコード(政策協定)という言葉はいかがか」としながらも「協議を精力的に行い、文書をもってきちんとしたものにしたい」と述べ、政策協定という言葉にはこだわらないものの政府・日銀間の合意文書を結ぶ方針を明言した。

合意文書に「雇用の安定」を盛り込むとの一部報道に関しては「雇用は政府も非常に関係する話だ。日銀だけに(責任を)おっかぶせるつもりはない」と指摘。「物理的にも時間的な点からも無理な感じがある」とも語り、雇用の安定は「厚生労働省や通産省などありとあらゆるところが関係する」ため、「これを日銀に押し付けるのはどうか」と否定的な考えを示した。

次期日銀総裁人事に関連しては「いま世界の中央銀行のなかで最も内容がしっかりしているのは日銀だ。日銀は、しっかり仕事をしていると評価している」と評価したうえで、総裁の資質では、語学力と組織運営能力、健康面を挙げた。そのうえで、「出自は問わない。今の時代にあった能力がある人を選びたい」と語った。

<来年度予算編成、現行健全化目標は堅持も「国債発行44兆円枠」にはこだわらず>

2013年度予算編成に関連しては、あらためて「(新規国債発行枠)44兆円についてはこだわらない」とする一方、「本予算については、自由民主党の中期財政計画に基づいて対応していきたい」と述べた。一方で、政府が財政健全化目標として掲げる2015年度の基礎的財政赤字半減目標と20年度の黒字化目標は「守りたい」と明言。民主党政権で定めた「国債発行44兆円先にありき」の議論を否定するも、結果として現行の財政健全化目標を守れる予算編成にする考えを強調した。

[東京 8日 ロイター] 麻生太郎財務相は8日、閣議後の会見で、欧州の恒久的危機対応メカニズムとして昨年10月に発足した欧州安定メカニズム(ESM)が発行する債券を、外貨準備を活用して一部継続的に購入する方針を発表した。

今後、ESM債を主要なユーロ建て国債と並ぶ重要な投資対象として位置付ける方針も明らかにした。欧州の金融危機安定化が円を含む通貨の安定に資するとして購入を判断した。

ESM債の初回発行は本日、欧州時間の昼ごろが予定されている。期間は3カ月もので、発行額は20億ユーロ。

財務省幹部によると、初回の発行条件や外貨準備のユーロの流動性をみながら、きょうにも購入する準備を進めている。
 

(ロイターニュース 吉川 裕子)


ドル87円後半、ESM債の継続購入表明が円売りとユーロ買いを誘発
2013年 01月 8日 12:42 JST
[東京 8日 ロイター] 正午のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、若干ドル安/円高の87円後半。早朝の取引では利益確定売りに押され87円前半まで弱含んだが、正午前に麻生財務相がESM(欧州安定メカニズム)債の継続購入を表明したことをきっかけに、ドル/円、ユーロ/円、ユーロ/ドルが一斉に買い進まれた。

午前の取引でドルは神経質な上下変動を繰り返した。早朝の取引でいったん87.23円まで下落したが、正午にかけて、ドル/円は87円後半に上昇し、ユーロ/円は115円を回復、ユーロ/ドルは1.3140ドルまで買い進まれた。

上昇のきっかけは、麻生太郎財務相が、外貨準備を活用しESM(欧州安定メカニズム)債の一部を継続購入するとの発言が伝わったこと。同財務相は、今後ともESM債は主要なユーロ建て債券と並ぶ重要な投資対象とするとも述べた。麻生氏の発言を受けて、市場では、ドル/円とユーロ/ドルがほぼ同時に買われたという。

ただ、外貨準備のユーロ保有分からのESM債投資であれば、新たなユーロ買い取引は発生しないはずで、ユーロ買いは「多分に気分的なもの」(邦銀)との指摘が出ていた。

早朝のドル安については、毎日新聞が8日付の朝刊で、政府・日銀が、互いの連携強化に向けて検討中の政策協定に、首相が求めている2%の物価上昇率目標の導入の達成時期を明記せず、具体的な政策手段にも踏み込まないことで日銀の自由度を確保すると報じ、ドル/円の利益確定売りを誘発したとの意見が聞かれた。ただ、実際に英文で記事内容が海外短期筋に伝わったのは早朝のドル下落の後で、「後付け的な講釈」(外銀)との声も上がっていた。

一方、前週末に発表された米雇用統計では「このところ低下傾向だった失業率が上昇し、確信を持ってドルを買える内容ではなかった」(FX会社)とされ、「トレンドが円安なのは間違いないが、ドル高のトレンドになるかどうか判断するのは時期尚早」(同)との見方が出ており、ドル/円での利益確定売りを招きやすい環境にあるという。

通貨オプション市場では、ドル/円のリスク・リバーサル(RR)25%デルタ1カ月物が0.425/0.825%のドルコールオーバーと、依然ドル高/円安方向の相場展開に備える動きが優勢となっているが、同RRの14日移動平均(MA)でみると、昨年12月3日を起点として低下傾向となっており、「短期筋が利食い売りを先行させている」(外銀)可能性がみてとれる。

他方、実需筋の動向では、円安トレンドに乗り遅れた輸入勢がドルを大幅に買い遅れ、輸出勢はドルを売り過ぎて買い戻しが必要な状況にあるとみられている。

ドル/円が11月半ばから約1カ月半で約11.7%上昇したため、「3、4円程度の調整があってもおかしくない」(邦銀)との見方がある一方で、実需筋の現状を踏まえれば、「目先ドルが調整したとしても86円台のどこかで踏みとどまるだろう。(86円)前半まではいかないかもしれない」(前出のFX会社)との声もあがっている。

(ロイターニュース 森佳子)

政府・日銀の協力体制、物価安定目標が中心=甘利経済再生相 2013年1月8日
長期デフレからの脱却は歴史的取り組み、今年半ばめどに成長戦略=首相 2013年1月8日
政府と日銀の政策協定、官房長官「その方向で行くと思う」 2013年1月7日

日経平均は続落で始まる、円安一服で利益確定売りが先行 2013年1月8日
日経平均続落、過熱感の強い輸出株や不動産株に利益確定売り 2013年1月8日
日本経済再生本部が始動、安倍首相が「ロケットスタート」にと決意表明 2013年1月7日


 



06. 2013年1月09日 14:17:56 : Pj82T22SRI
「円安・株高・債券安」の進行は終了へ
市場動向を読む(債券・金利)
石井 純:三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフ債券ストラテジスト2013年1月9日
昨年末から年始にかけての1カ月余りで大幅な円安・株高・債券安が進行し、マーケットの風景は一変してしまった。

円相場は昨年10月までの約半年間、1ドル78〜80円という比較的狭いレンジ内で膠着していたが、11月中旬から急落に転じると、今年初には1ドル88円台と10年7月以来の安値レベルに戻った。株式市場には、そのような円安を好感した投資資金が輸出関連株を中心に流入。8000円台後半で一進一退だった日経平均株価は急上昇となり、東証大発会で高値1万0734円と東日本大震災直前(11年3月初旬)の水準を回復した。

債券市場では急速な円安・株高への警戒感が高まり、長期金利が底入れした。昨年12月6日には0.685%と03年6月以来の低水準をつけるまでに低下余地を探っていたのだが、その後に反転・上昇すると、年初には0.835%と昨年9月以来の水準まで上振れしてきた。

市場が想定した「アベノミクス」の具体策

各マーケット共通のテーマは、もとより安倍晋三・自公連立政権による「アベノミクス」である。昨年11月14日に野田佳彦首相が衆院解散を表明し、その直後より安倍自民党総裁が連日発した“安倍発言”が各相場の基調反転の引き金になった。

ここで「アベノミクス」とは、財政拡張と金融緩和というオーソドックスなマクロ経済政策の枠組み(ポリシーミックス)をいう。また、“安倍発言”とは、民主党から自民党への政権交代後における「アベノミクス」への政策転換宣言のことである。

市場は「アベノミクス」の行方を巡って、安倍発言や自公の政権公約を手がかりに次のような具体策を想定してきた。

財政政策では、従来型の公共事業よりも、自民党が国土強靭化、公明党が防災・減災ニューディールと称する“老朽化インフラの更新投資”に重点が置かれる――。実際、安倍自公政権は今月、公共事業や地方向け臨時交付金の積み上げなどを柱とする12兆〜13兆円規模の大型補正予算を編成する予定だ。財源調達は主に国債(財投債を含む)の増発に依存し、前・民主党政権が財政健全化の一つの目安としてきた「新規財源債44兆円枠」の突破が既定路線と化している。

金融政策は、先月の衆院選で異例なことに最大争点の一つとなった。安倍政権が主張するのは、「物価目標2%」達成に向けた政府と日本銀行の連携強化と日銀による前例のない大胆な金融緩和の断行だ。これも実際に、日銀はかつてない政治圧力の強まりを受けて、12月20日の政策委員会・金融政策決定会合で、中長期的な物価安定やインフレ目標政策について、「13年1月の次回会合で検討する」と表明せざるを得なくなった。

「財政ファイナンス」を意識した債券市場

こうしたなかで各市場は、『建設国債をできれば日銀に全部買ってもらう』(昨年11月17日)という安倍発言や「12・16衆院選」における自公の計325議席という歴史的大勝を勘案し、「アベノミクス」によるリフレーションや日銀による財政ファイナンスの現実味を意識するようになったようだ。

ところで、リフレ(ーション)とは、デフレ を脱してインフレになる前の経済状況のことである。巷では“脱デフレ”とも言われている。表現はともかく、物価の先行きを巡る市場の期待形成はそのとき、デフレからリフレ(脱デフレ)へと変わり、市場金利が内包している期待インフレ率が持ち直す。

一方、日銀による財政ファイナンスとは、日銀資金による財政収支赤字の穴埋めのことにほかならない。古今東西、中央銀行による大規模な財政ファイナンスは財政インフレや通貨価値の下落を招くと言い伝えられてきた。とすると現下の市場の期待インフレ率は、脱デフレ期待と財政インフレ期待の胎動を受け、その分、以前よりも押し上げられていると捉える必要がある。

期待インフレ率の持ち直しで円安・株高に

このような期待インフレ率の持ち直しが、今般の各相場の基調反転の真因と考えられる。まずはインフレ期待の胎動が円安進行を促した。一般に、期待インフレ率が上昇すると当該通貨の購買力が低下し、減価するからである。次に、円安が株価の大幅高を演出した。

1ドル80円台後半への円急落は、輸入物価上昇による自己実現的な脱デフレに寄与するとともに、輸出企業の収益を確実に上振れさせるためである。ちなみに、輸出企業全体の採算円レートは1ドル82円程度(昨年1月調査)だ。

このようにして円安・株高が進行していくと、外需依存構造の日本経済の場合、企業・消費者心理の好転をも通じて生産・所得・支出の好循環メカニズムをやがて起動させる。そして、市場の景気回復期待を高める効果が見込まれる。

円安・株高の進行がそのような段階に至ると、往々にして景気悲観論が支配的な債券市場においてさえ、期待成長率がある程度は持ち直す。加えて、景気拡大に伴うデフレ・ギャップ(需要不足)の縮小観測が脱デフレ期待を喚起する。

今般は並行して財政インフレ期待もくすぶり始めた。そのため、デフレ期待が圧倒的に優勢だった債券市場でさえ、期待インフレ率が底打ちしたのだろう。円安を起点とするこのようなメカニズムの帰結として、今般、長期金利が円安・株高より半月ほど遅れて上昇傾向に転じたのである 。

市場の関心は今、円安・株高・債券安の持続性にある。

筆者は次の2つの理由で、『すでに一戦終了。さらなる円安・株高・債券安が進行する可能性は当面低く、各相場とも年度末にかけて概ね横ばい圏で推移する』とイメージしている。

脱デフレの達成はすでに織り込み済み

そう考える理由の一つは、スピード調整が起きた、というテクニカルな要因に基づく。1カ月余りという短期間における約1割のドル高/円安、2割弱の日経平均株価の上昇、0.15%の長期金利上昇という相場急変は、前述したようなもっともらしい理由があるにせよ、オーバー・シュートの感が否めない。各相場とも、水準訂正の時間帯から日柄調整の時間帯に移行したと捉えるべきだろう。

もう一つの理由は、外為・株式市場が「アベノミクス」による脱デフレ達成を、すでにあらかた織り込んでしまったと見られる点だ。11年3月の東日本大震災後、わが国経済実体は景気低迷とデフレ傾向をかこってきたが、今般、ドル円相場と日経平均株価が震災前の円安・株高水準を回復し、脱デフレ達成の先取りを体現している。そのように円安・株高が一服となれば、長期金利の上昇にも自ずと歯止めがかかるだろう。

こうしたなか、各市場は今後、“脱デフレの実現性”を慎重に見極めていくことになる。

それが(1)見込みどおりならば、各相場は横ばい圏での推移を続けるだろう。(2)見込み以上に順調な脱デフレのパスが見えてきた場合には、リフレ期待がインフレ期待に変わり、前述したメカニズムによって一段の円安・株高・債券安が進行することになる。(3)逆に、脱デフレのパスがいつまでも見えてこない場合には、リフレ期待が剥落してしまい、オーバー・シュートの反動も手伝って、市場は反転し、円高・株安・債券高へと舞い戻ることになる。

ここまでの「失われた20年」では、「見込み違い」「期待はずれ」という(3)のケースが繰り返されてきた。果たして今回はいかに?  カギはひとえに「アベノミクス」の実現性と実効性が握っている。


 
復興財源もついに枯渇 国債増発の綱渡り
安倍政権に試練が訪れる
野村 明弘:東洋経済 記者
2012年12月31日

「新政権待ち」で予算作業などがストップした総選挙前の霞が関。閑散とした財務省内で、主計局担当者はつぶやいた。「このままでは(東日本大震災)復興特別会計の財源は確実に足りなくなる」。
12月26日に発足する安倍晋三内閣。10兆円規模の今年度補正予算編成が直近の政策課題だが、これとは別に、国債増発に拍車をかけかねないのが、復興特会の存在だ。
政府は2011年、15年度末までの5年間を集中復興期間と位置づけ、所得税・法人税の特別復興税(一時的なつなぎの復興債の償還財源)と、一般会計からの繰り入れを原資に19兆円の財源を確保した。復興特会は、その受け皿だ。
ところが、この19兆円が早くも枯渇する。復興特会の歳出は今年度までで17兆円に上り、残りは2兆円。これに対し、来年度予算は4・5兆円程度の歳出が想定されている。
復興財源枯渇は好材料?
復興庁では現在、懸命に予算の精査を進めるが、「財源オーバーを避けるのは難しい」(予算・会計担当企画官)という。地権者との調整に手間取っていた被災地の防災集団移転が本格化するのが来年度。新居建設が困難な人たちに向けた災害公営住宅の建設などが拡大していくため、残り2兆円を15年度までもたせるのは不可能に等しい。そのため、「来年度予算と併せ、19兆円フレームの見直しを財務省と協議している」(同)。
普通なら新政権の難題になりそうな、この復興財源問題。だが、防災・耐震の大型公共事業と金融追加緩和策を両輪とする「アベノミクス」が株式市場などで好意的に受け入れられている現状では、逆にプラス材料に転化されるかもしれない。
現在、自民・公明両党が検討する補正予算で一つのハードルとなっているのが、民主党政権が導入した中期財政フレームだ。財政健全化に向け、新規国債発行44兆円、基礎的経費71兆円という上限枠が設けられ、今でもこれは国際公約の位置づけ。国債の44兆円枠はすでに今年度の一般予算で消化済みで、これ以上の今年度の国債発行は同フレームに抵触する状況だ。
一方、現段階での補正予算の財源候補を整理すると、確定しているのは11年度剰余金1・9兆円と予備費の残り0・3兆円の計2・2兆円。仮に、これに前年度並みの国債利払い費の使い残し0・6兆円、税収上振れ0・8兆円が発生すると4兆円弱になる。補正予算の規模を10兆円とすれば、6兆円の建設国債発行が不可避だ。これは即、中期財政フレームの頓挫を意味する。問題はそれを世論や海外にどう説明するかだ。
カギを握りそうなのが復興特会である。そもそも当初5年間の19兆円という復興財源は、阪神淡路大震災後の復興費用との比較で出てきた粗い数字。19兆円枠の適時見直しは復興基本法でもうたわれており、来年度の実施は避けて通れない。
その際、来年度の復興財源不足は結局、一般会計からの繰り入れで賄わざるをえないため、一般会計でも今後は国債44兆円枠の維持は困難になる。つまり補正予算とは関係なく、中期財政フレームの見直しは避けられないのだ。
であれば、「復興優先のために中期財政フレームを見直す」という説明が今後、安倍総裁の口から出てくる可能性がある。補正予算の建設国債をひっくるめた国債増発が、「復興優先」という言葉により正当化されるという構図である。

上げ潮派の軌道修正
かくも財政悪化リスクを冒しながら、アベノミクスは何を目指すのか。それは景気回復と低金利の維持を両立させるというナローパスだ。
振り返ってみると、小泉政権を継いだ06〜07年の安倍政権は、公共事業拡大とは正反対の構造改革路線だった。増税反対・歳出削減と経済成長を通じた財政再建を主張する上げ潮派議員との関係が近く、当初の安倍政権は彼らが中枢を担ったことで「お友達内閣」とも揶揄された。
今回の大型公共事業や2%の物価目標設定といった政策方針はもともとは谷垣禎一前総裁の下で12年8月に固められたものだ。9月下旬に安倍総裁が誕生した直後には、安倍氏の側近である塩崎恭久代議士は「やるべきは産業競争力アップ、生産性向上。一時的な景気対策なんてダメ」と公共事業を一刀両断。金融政策についても「日銀だけでできることには限界がある」としていた。
ところが11月中旬に衆議院解散が決まるや、安倍総裁の物価目標2%や日銀の国債買い入れなどの発言はヒートアップ。明らかに以前と反対の方向に政策論はシフトした。
一部の上げ潮派議員も軌道修正している。安倍氏の側近中の側近とされる世耕弘成参院議員は安倍総裁誕生直後、次のように見通しを語った。「世界金融危機後の世論の変化を踏まえ、軌道修正は十分にありうる。公共事業も昔はすべて悪という感覚だったが、今では先進国平均まで減った。一方で防災が重要になり、公共事業は景気のカンフル剤になるのではないか」。
となると、もともと金融追加緩和にそれほど執心していなかった安倍総裁がなぜ変化したのか、その背景も見えてくる。公共事業での景気浮揚を狙うなら、国債増発は避けて通れない。景気回復に伴う長期金利上昇圧力を含め、放っておけば金利上昇で国債の利払いが急増し、経済が好転しても公的債務残高1000兆円の財政が困窮化してしまう。それを抑止するには、日銀による国債の買い入れ拡大による長期金利抑制が不可欠である。
経済が好転していれば13年夏の参院選も勝利の可能性が高まる。そしてその先にあるのは、景気回復と低金利維持のナローパスを実現しつつ、潜在成長率向上や次なる消費増税などで財政健全化を一段と強化することだろう。安倍政権の目指す道は相当な綱渡りになりそうだ。
(週刊東洋経済 2012年12月29日−1月5日 新春合併特大号)


07. 2013年1月09日 15:14:10 : Pj82T22SRI
2013年 1月 09日 08:29 JST 更新
日本の緊急経済対策、20兆円規模へ 公共事業が中心 
By ALEXANDER MARTIN AND TOKO SEKIGUCHI

日本政府は8日、停滞する景気を刺激するための緊急経済対策を11日までにまとめることを明らかにした。

 公共事業に膨大な資金を投入しデフレ脱却を目指すほか、大胆な金融政策の必要性を強調するなど、既に円安や株高をもたらしている安倍晋三首相のこれまでの発言が反映された内容となりそうだ。

 安倍氏は同日、新たに設けた「日本経済再生本部」の初会合の席上、経済対策を「新政権の経済再生に向けた取組みの第1弾」と位置付けた。11日に開催が予定されている経済再生本部の2回目の会合では、対策の最終案が承認される見込みだ。

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Reuters
東京のビル建設現場
 正式には発表されていないが、日本国内の報道によると、来週15日に閣議決定される今年度補正予算案には、緊急経済対策費用として10兆3000億円(約1180億ドル)が計上され、その半分が公共事業に投じられる見通しだ。同案はまた、基礎年金の国庫負担分2兆6000億円が含まれる。

 今回の自民党がとりまとめた補正予算の規模は、2011年3月の東日本大震災を受けて民主党政権が決めた補正予算の歳出額12兆1000億円に匹敵する。

 甘利明経済再生担当相は8日の記者会見で、経済対策は「かなり大胆な規模」になっていくのではないかとの見通しを示した。複数の報道によると、対策の事業規模は地方自治体や民間企業の負担を含めると、20兆円超になる可能性もあるという。

 また、政府が8日に承認した同対策の骨子案には、脱デフレを早期に実現するために政府と日本銀行の連携を強化していくことが盛り込まれ、「為替動向については、(政府が)引き続き注視し適切に対応」していくと明言されている。

 さらに、2011年の大震災を踏まえた防災対策として、政府がインフラ投資をしていくことが示された。その他、成長促進を目的とした民間投資の喚起、様々な分野での研究開発に対する支援、再生可能エネルギーへの投資なども行っていくという。

 ただ、財源としての国債発行による債券市場が混乱し、長期金利上昇の引き金になる恐れがあるとして安倍政権による予算の大盤振る舞いを懸念するエコノミストもいる。

 日本の公的債務残高は国内総生産(GDP)の2倍を超えている。だが麻生太郎財務相兼金融担当相は、1年間の新規国債発行を44兆円以内に抑えるという民主党政権が定めたルールに現政権が縛られることはないとの見解を示している。

 共同通信の報道によると、補正予算の財源を確保するために政府が5兆円超の建設国債の増発を検討しており、2012年度の国債発行額は合計で50兆円規模に拡大するという。

 みずほ総合研究所の山本康雄シニア・エコノミストは経済対策の中で提案されている公共事業への支出について、予算ばらまきと見なされるようになれば、金利に悪影響を与える可能性があると指摘。既得権者に公共事業の仕事を分け与えるという旧来のやり方に逆戻りしていると思われるリスクを冒しているのではと、安倍氏や自民党の危うさに警鐘を鳴らした。

 昨年12月16日の総選挙で地滑り的勝利を収め政権に返り咲いて以来、安倍氏は大胆な金融緩和と政府支出を提言してきた。日銀に対しては、物価上昇のめどとして定めた1%を拘束力のあるインフレ目標2%に引き上げるために政府と政策協定を締結するよう求めるなど、金融緩和策の実施を迫ってきた。これに対し、日銀は今月の金融政策決定会合で現行のインフレ目標を見直すことを約束している。
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324890804578230182222750020.html?mod=WSJJP_hp_LEFTWhatsNewsCollection


08. 2013年1月09日 15:20:57 : Pj82T22SRI
【コラム】信用格付けに挑む安倍政権の危うさ−W・ペセック 
  1月8日(ブルームバーグ):麻生太郎氏(72)は多忙な毎日を送っている。彼ほどの歳になれば大半の日本人は幸せに引退しているのが相場だが、麻生氏は3つの仕事を新たに引き受けた。副首相と財務相、それに金融担当相の3つだ。
この3つの重責を同時に背負ったということは、麻生氏がデフレ終息と円高是正を断固やり遂げるべく任ぜられたということだ。また、これまでだれもがやったことのないこととして、麻生氏は政策立案者や投資家にとって非常に関心の高い実験を行おうとしている。すなわち、信用格付けが重要かどうかを試そうというのだ。
麻生氏が先月首相に選ばれた安倍晋三氏から全幅の信頼を得ていることは明らかだ。同氏は経済政策の専門家ではあるが、それだけではなく先週はミャンマーに出向き、中国の地域覇権の野望をくじこうともしている。
安倍首相と麻生財務相はアジア地域における日本の優位という思想とケインジアン的な景気刺激策への思いが強いという点で考え方が共通している。ケインジアン的施策に関して言えば、それによって日本は先進国の中で累積債務残高の対国内総生産(GDP)比率が最も高くなってしまっている。しかし、お金の蛇口を再び開こうとしている彼らの計画をめぐって、ムーディーズ ・インベスターズ・サービスやスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、フィッチ ・レーティングスといった格付け会社とどのように対立することになるのかについて、2人はほとんど説明していない。
魔法の処方箋
自民党は2009年に政権の座を失うまで約50年間にわたり日本を支配してきた。そして3年間の野党時代を経て自民党がどれだけ変化したのかを示すべく安倍氏は日本の沈滞に終止符を打つ「危機突破内閣」を樹立した。自民党は改革のお題目を考案するのは得意だが、実行するのはさほどでもない。自民党政権がこれまで実施してきた景気刺激策は日本の競争力を高め、次のアップルとなる企業を生み出し、中国 の経済力拡大に歯止めを掛け、さらに韓国がアジアの革新のリーダーとなるのを阻止することができただろうか。
新しく生まれ変わった自民党を信じてくれと、安倍首相と麻生財政相は国民に訴える。彼らは積極的なインフレ目標設定と日銀に対して無制限に国債を購入するよう求める2本柱の経済政策こそが日本を再び繁栄に導く魔法の処方箋だと断言する。
動機は十分はっきりしている。日本 は過去15年間にわたりデフレを撃退しようとしてきた。日本はなぜありとあらゆる資金を問題克服のために投入しないのか。目的のために手段を選ばないことが許されないのか。だが、この目論見については東京の政府当局者らが考慮していない関係者がいる。すなわち、日本の財政の健全性に影響を与える見解に関する裁定者たちだ。
格付け会社
奇妙な国債格下げがあっても影響は及ぼさないとの説を唱える見解もある。ガイトナー米財務長官に聞いてみるがいい。米国がAAA格付けを失ったのはだれの見立てによるのかと。S&Pがやったことは米債券市場に強気相場をもたらしただけだ。投資家は十分な国債を手に入れることができず、利回りは歴史的低水準に落ち込み、S&Pの数値分析家が赤っ恥をかく結果となった。
ただし、格下げされた後の日本が1%を下回る利回りを維持し、格付け会社にとってはまた不面目な事態となるかどうかはまだわからない。2002年にボツワナよりも低い格付けを与えられた日本は格付け各社に宣戦布告した。日本は格付け会社の評価方法を調査し、それが世界的にも大きく報道された。
安倍首相と麻生財務相は、格付け会社が日本の格下げにどこまで忍耐できるかをまさに試そうとしている。だが、債務の対GDP比率171%のギリシャが投資不適格に格付けされているのに対して、対GDP比率が250%に近づき、さらに突破しようとしている日本の債務状況を信用アナリストらが看過することはあるまい。また自民党から新しい考え方が示されていないことも好ましいとは思わないだろう。新しい景気刺激策が一気に実施されるにあたっては、その潜在的効果を高める戦略が伴わなければならない。
乗数効果
過去に見られた無用の公共事業を繰り返さないためには、しっかりとした説明責任が求められる。もし新たな大規模インフラ支出があるとするなら、大震災被害を受けた東北地方に集中させるべきだ。また、銀行に政府債をため込めさせないために、銀行の政府債保有に新たに課税することも必要だろう。銀行に資金を融資に回すインセンティブを与えることで、金融政策の乗数効果を高めることができよう。そうでなければ日本はまたも何兆円、あるいはそれ以上の資金をドブに捨てることになってしまう。
麻生財務相は元首相であり、筋金入りの自民党員だ。彼が何も語らず、何も実行に移していないのは、新しい仕事に新たな目線あるいは道具で取り組もうとしていることを示唆している。それは安倍首相についても言える。安倍氏の2006年から07年にかけての首相としての実績はとても際立っていたとは言い難い。
2大顧客
安倍氏は外交政策に関してビジョンを持っているとは言い難い。軽率なナショナリストとして近隣諸国 をいらだたせるのに余念がなかった。彼は第二次世界大戦時に主に韓国で起こした慰安婦問題に1990年代に謝罪したことを再検討しようとしている。また彼はより優勢な中国と対峙するため戦後に制定された日本の平和憲法を書き換えたいと考えている。S&Pは中国に対しても日本と同じ「AAマイナス」の格付けを付与している。安倍氏は尖閣諸島をめぐる緊張を間違いなく高めている。もし日本の2大顧客が日本製品をボイコットする事態となれば、円を押し下げることにどんな意味があるというのだろうか。
財政が泥沼状況にある中で、刺激策だけに頼るのは日本の信用力を損ねる恐れがある。安倍首相がいま、中国が日本に対して優位に立っていることに激怒しているなら、中国の格付けが日本のそれを大幅に上回る事態になった時にはどれだけ怒り心頭に発するのか知りたいものだ。(ウィリアム・ペセック)
(ウィリアム・ペセック氏はブルームバーグ・ビューのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:Do Credit Ratings Matter? We Will Soon Find Out: WilliamPesek(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:東証 Willie Pesek wpesek@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:James Greiff jgreiff@bloomberg.net
更新日時: 2013/01/09 13:52 JST

09. 2013年1月10日 15:47:14 : Pj82T22SRI

コラム:円安予想が試される時=熊野英生氏
2013年 01月 10日 14:53 JST

熊野英生 第一生命経済研究所 首席エコノミスト(2013年1月10日)

安倍晋三首相が就任し、自民党政権に交代してからも、為替レートには円安予想が根強く働いている。筆者自身が、この円安トレンドの勢いを過小評価していたことは認めざるを得ない。

民主党政権での拙劣な経済政策運営の反動によって、安倍政権が脚光を浴びているだけではない。安倍首相は、2006―07年(第1次安倍内閣)の当時に比べて政策運営がしたたかに変わった。そのことが、リフレ政策に関しても政策効果に真実味を与えていると言える。

<円安継続で消費者物価上昇は本当か>

少なからぬ金融関係者が、現在の円安・株高のトレンドがこのまま定着して、日本経済をデフレ脱却に導くのではないかと信じ始めている。筆者も、円安・株高であってほしいと思っていて、その願望に引きずられる誘惑がない訳ではない。しかし、だからこそ、感情に流されず、冷静な分析を心がけたい。

もしも円安が日本経済を体質転換させるとすれば、どんな変化が起こるのだろうか。それは、円安傾向の持続によって、輸出企業の業績が大きく改善すると同時に、輸入物価の上昇が消費者物価の前年比を持続的なプラスに持ち上げていくというシナリオになろう。外需から内需への購買力の移転、内需での価格転嫁が起こることになる。

筆者のシミュレーションでは、ドル円レートが前年比15%の円安で推移して、それが輸入物価上昇に波及すれば、やがて消費者物価は前年比ベースでプラス0.5%ポイント程度の押し上げ寄与になる。過去のパターンからみれば、企業収益の拡大によって、ある程度は雇用者の賃金上昇へと波及する変化も起こっている。

しかし、このシミュレーションは、あくまで円安トレンドが継続することを所与の条件とした時の計算結果である。リフレ政策に対する過剰な期待感が剥げ落ちてしまい、円安予想が解消してしまえば、雇用者の賃金上昇を伴うような正常な物価上昇圧力は失われてしまう。円安予想が日本経済を変革する手前で、前提になる円安予想の方が先に変わってしまう可能性がある。

<試されるリフレ政策の実効性>

今後の為替レートは、円安予想を支えているリフレ政策への期待感がどこまで継続し得るかにかかっている。それを試すイベントと論点は、以下のようなものであろう。

第一に、1月21―22日の政策決定会合で日銀が前年比2%のインフレ目標を受け入れるかどうか。第二に、2―3月にかけてインフレターゲットを積極的に推進する人物が次期日銀総裁に選ばれるか(国会同意を得られるか)。第三に、4月にその人物が日銀総裁に就任して、強力にリフレ政策を実行していくかどうか。

さらにその先には、安倍政権の景気刺激策によって4―6月の実質国内総生産(GDP)が十分なプラスになり、14年春に消費税率を引き上げることが確実になるかどうか、そして安倍政権が、7月の参議院選挙で景気回復の成果を背景にして、自民党勝利に導けるかどうかという論点があろう。これらのイベントが、安倍政権のリフレ政策の実効性を試すことになるだろう。

結局、円安予想を自由自在に操ることは、うまく行かないとみている。たとえリフレ政策に寛容な人物を日銀総裁に据えても、消費者物価2%の実現は至難の業である。金融政策がインフレ率を上げるために、副作用を無視して大胆にリスク性資産を買いまくることはできない。おそらく13年4月の日銀新総裁の就任後に、人為的にインフレ率を操作できるという期待感は衰えてしまう。円安予想は13年前半で一服すると予想される。

<円安予想解消なら7―8円は円高に動く>

最後に、為替レートを巡る状況を確認しておくと、少しずつ変化の兆しがあるように思える。シカゴIMM通貨先物における投機筋の円売りポジションは、12月末までは大幅な円の売り越しになってはいるが、そのピークは12月16日の衆議院選挙辺りであり、それ以降は少しずつ売り越し幅が縮小してきている。

円安予想のモメンタムがすでに鈍っていて、為替レートが円安方向に動かされる勢いを失うと、13年前半のどこかで1ドル90―92円水準で頭を打つと予想される。

計算上、シカゴIMMの投機筋の円売りポジションがゼロになると、1ドル80.1円になる。リフレ政策への過大な期待感が剥げ落ちていけば、1ドル87―88円の水準から7―8円の範囲で、円高方向への修正が起こる可能性があると考えられる。

*熊野英生氏は、第一生命経済研究所の首席エコノミスト。1990年日本銀行入行。調査統計局、情報サービス局を経て、2000年7月退職。同年8月に第一生命経済研究所に入社。2011年4月より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(here)

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日本起点のリスクオン相場、日銀緩和期待が流動性拡大の思惑呼ぶ
2013年 01月 10日 14:11 JST
[東京 10日 ロイター] イベントを控え市場には様子見気分も漂うが、日本を起点としたリスクオン相場は継続している。調整は小幅にとどまり、円安と株高トレンドが再開。日銀による大胆な金融緩和への期待が流動性拡大の思惑を呼び、世界の株価を押し上げるとの期待は根強い。

短期的な過熱感はまだ残り、上値もやや重さを増しているが、改善を示すマクロ指標もあり、強気ムードは途切れていない。

<IMF総会が日本再評価のきっかけ>

これまで世界のマーケットに引きずられることが多かった日本市場だが、「安倍相場」がスタートして以降は逆に日本が世界を主導する展開になっている。

日本株が上昇を始めたのは、野田佳彦前首相が解散を明言した11月14日の翌日15日から。一方、米国株はワンテンポ遅れて16日から上昇基調に入った。欧州のFTSEユーロファースト300種指数.FTEU3はさらに遅れ19日を起点に上昇トレンドに入っている。市場では「米国の『財政の崖』など海外要因がその時点で明るい見通しになったわけではない。米財政問題は現在も不安要因だが、欧米株は上昇基調にある。珍しいことだが、日本市場が世界を引っ張っているといっていいだろう」(国内投信)との見方が多い。

日本が再注目されるようになったきっかけは、野田首相の解散宣言から1カ月以上前となる10月9─14日に48年ぶりに東京で開催された国際通貨基金(IMF)・世界銀行の年次総会だったとみられている。政府や民間金融関係者など合わせて約2万人が東京を訪れたが、それまで日本市場に興味がなかったヘッジファンドなどはいい機会だとして、日本の情報を積極的に収集したという。

T&Dアセットマネジメント・チーフエコノミストの神谷尚志氏は「ヘッジファンドなどは、その際、近い将来、民主党から自民党への政権交代があり、それまでのあいまいな政策から、金融緩和と財政出動という明快な政策に変わると踏んで、日本株買いや円売りなどの投資を始めたようだ」と指摘。日銀の金融緩和で流動性が増加し、世界のリスク資産価格を押し上げるとのシナリオが崩れない限り、欧米株も堅調な展開を続けそうだとみている。

日経平均が本格的に上昇したのはIMF総会から1カ月以上経ってだが、ある外資系証券エコノミストは「日本を良く見ている海外投資家は野田首相の解散宣言よりずいぶん前から、新政権誕生以降までを描いたシナリオを作って投資していた」と話している。彼らは現在、様子見に入っているとみられているが、海外年金など日本株のウエートを落としていた長期投資家が日本株に買いを入れているという。

前場の日経平均は続伸。東証1部売買代金は1兆0041億円と午前の段階で大台を超えた。あす決定される緊急経済対策、15日決定予定の2012年度補正予算などイベントを前に様子見気分も強くなっているが、引き続き日本株への需要は根強い。「海外勢の買いに個人が参戦するという構図は変わっていない。高値圏での戻り待ちの売りをこなしている状況だ。経済再生に向けて政府、日銀が歩調を合わせて取り組む姿勢を見せていることが市場に安心感を与えている」(岡三オンライン証券チーフストラテジストの伊藤嘉洋氏)という。

<債券市場でも「安倍相場」継続を警戒>

円債市場でも「安倍相場」継続への警戒感は続いている。午前の国債先物はアク抜け期待もあって小幅高となったが、市場では「円安・株高のリスクオン相場への警戒感から、海外勢の目線は依然として売り方向」(国内金融機関)との声も多く、売り買いが交錯する場面もあった。

日銀の金融緩和期待は10年債ゾーン程度までの金利を比較的低く抑え込んでいるが、国債増発懸念が強く反映される20年債、30年債の超長期ゾーンは上昇圧力がかかっている。この日実施された30年債入札も入札そのものに波乱はなかったが、市場では「やや弱め」(国内証券)との評価が多い。

また海外でもリスクオンが進むなかで、金利上昇圧力がかかっており、ドイツ証券・チーフ金利ストラテジストの山下周氏は「米10年債利回りは1.8%台というレンジの上限をいったん上抜けてきただけに、2.0─2.5%という新レンジにシフトすると予想している。米民間部門の経済指標の堅調さが米時間軸を不安定化させよう。米景気の上振れと国債増発に伴う需給懸念が長い年限の円金利上昇につながる」との見方を示している。

(ロイターニュース 伊賀大記;編集 宮崎亜巳)

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中国輸出が急回復、予想を上回る黒字に:識者はこうみる
2013年 01月 10日 12:56
インタビュー: 韓国新政権のウォン安誘導は見込みにくい=早大・深川教授
[10日 ロイター] 中国税関当局が10日に発表した12月の貿易統計によると、輸出は前年同月比14.1%増加し、伸び率は3カ月ぶり低水準に鈍化した11月から急回復して、7カ月ぶり高水準に達した。12月の貿易収支も予想を大幅に上回った。市場関係者のコメントは以下の通り。

●輸出増には技術的理由、13年は楽観できず

<北京の市場調査会社IHSグローバル・インサイトのシニアアナリスト、XIANFANG REN氏>

(輸出は)大幅な増加となった。しかし、一部の出荷が年末に予約されるなど、テクニカル的な要因もあったのではないか、と考えている。

米国など海外経済が回復したことも要因かもしれない。ただ私はやや懐疑的だ。広東貿易見本市の数字を見ると2013年は楽観できない。

●比較のベース低く、輸出急増は大きな驚きではない

<大和(香港)のエコノミスト、ケビン・ライ氏>

12月の輸出急増は、比較対象となる数字が低かったことを考えれば、それほど大きな驚きではない。今後数カ月は比較のベースが低くなるため、12月や第1・四半期の数字はよくなるだろう。

12月はスマートフォンの出荷がかなり好調な水準を維持したようだ。

地域別に見ればまちまちで、韓国は低調だったが、台湾は好調だった。

●輸出増は一時的、13年は10%下回る

<HSBC(北京)のエコノミスト、MA XIAOPING氏>

輸出の増加は一時的なものだと考える。年末には、輸出業者は海外からの注文に迅速に対応しがちだ。季節的な要因もあるのかもしれない。

欧米のファンダメンタルズを見ると輸出増が一時的だと納得できる。今後数年は、輸出の伸びは低水準にとどまり、2013年は10%を下回ると予想する。輸入は、内需が勢いを増していることを示している。輸入の伸びは輸出を若干上回るが、それでも、10%を下回るだろう。

●13年は輸出伸び平均12%に、国内外に障害

<フォーキャスト(シンガポール)のエコノミスト、CONNIE TSE氏>

2013年は輸出の前年比伸び率が平均12%になると予想する。ただ、これには障害がないわけではなく、米経済が安定し、アジア経済が回復した場合でも、伸び率は変動しやすく、緩やかなものにとどまる可能性が高い。

中国国内では、人件費上昇と人民元高に直面している。

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インタビュー: 韓国新政権のウォン安誘導は見込みにくい=早大・深川教授
2013年 01月 10日 14:22
[東京 10日 ロイター] 韓国情勢に詳しい早稲田大学政治経済学術院の深川由起子教授はロイターとのインタビューで、2月に発足する韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権について、中小の輸出企業育成の観点から極端なウォン高には警戒姿勢を示すものの、発足当初からウォン安誘導を図る展開は見込みにくいと話した。

一方、日本の安倍政権は「極端な、バランス感覚のない価値観」の閣僚で構成されているため、日韓関係は絶えず波乱含みの展開になる可能性があると懸念を示した。

主なやりとりは以下のとおり。

――ウォン安が続いた李明博(イ・ミョンバク)政権の通貨政策をどうみるか。

「李政権では、とにかく日本と同じような製品で、オーバースペックではなく、新興国で売れるようなものだけに絞り込んで設備投資を行って輸出ドライブをかけるというモデルが推進された。(当局による介入の証拠は)ないのでなかなか言えないが、少なくともウォンと円の関係ではウォンを安定的に安値に維持しようというのを相当意識しているのは間違いない」

――朴新政権の通貨政策はどうなりそうか。

「李明博政権も朴槿恵政権も同じセヌリ党の政権。経済ブレーンはこれから決まっていくが、まったく李政権と違うやり方をするということではないと思う」

「ただ、朴槿恵氏はある意味で非常に原理原則主義者。中央銀行というのは政治から独立しているべきという本来の教科書的原則にコミットすれば、そこから急に逸脱したりする人物ではない。誰がブレーンになるかということや韓国銀行(中央銀行)総裁の考えにもよるが、朴政権の発足時からいきなりウォン安誘導をしていくということはないとみている」

「一方で、韓国は非常に感情的な国民なので、政治家は感情論を気にしなければならない。李明博氏はこれにすごく弱かった。大企業に競争力をつけさせて、日本を抜き去っていくのを支援するという傾向はなくなると思うが、(朴氏が重視する)中小企業の育成という意味では、為替レートがあまり高くなるのは望ましくない。中小企業の方が為替変動への対応能力がもっとないので極端なウォン高は困るということだと思う」

――ウォン安は輸出にはプラスに作用したが、通貨安誘導には問題もあるのではないか。

「ウォン安誘導の1つの大きな副作用は、原油高でインフレになっていることだ。物価が上がっても、大企業は痛くもかゆくもないが、庶民の生活は直撃される。韓国は非常に寒い国なので、電気料金が上がるとか灯油の値段が上がるのは家計や中小企業にとっては非常に厳しい。今年は特に電力の不足も目立ってきているので、あまりにも安かったウォンの副作用が実感されてきているのではないか」

「今回の大統領選挙は、李政権への評価が非常に低いというのが出発点にあった。李大統領が推進してきた、為替介入をしてまでも大企業を勝たせる政策が庶民には全く恩恵が回ってこなかったという批判が原点にある」

――朴新政権は、日本に対してどのような外交姿勢で臨みそうか。

「日本は朴新大統領を勝手に期待するべきではない。朴氏の父である朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の関係もあり、『親日』というレッテルは背負っている本人が一番良くわかっているが、有権者の半分は『対日断罪5項目』を掲げた文在寅(ムン・ジェイン)候補を支持した。竹島に対しても従軍慰安婦に対しても、韓国では左も右も全く意見は同じ。(日本にとっては)いきなり『対日断罪5項目』から来る新大統領よりは、相対的には話し合える相手という程度のもので、親日的にやってくれるという期待は全くできない」

「誰が政権に就いてもそうだと思うが、朴大統領は日本より中国を見ている。経済的にも韓国は中国への依存度が高いし、北朝鮮問題もあって、中国の顔色を見ざるを得ない。その意味で、日中関係が悪い限り、韓国が日本の側に寄ってくれるという期待は100パーセント裏切られると思う」

「安倍政権は、最初は控えていても、閣僚の顔ぶれを見れば、誰かが韓国のメディアに攻撃されるような失言をするのは時間の問題だと思う。安倍内閣は、極端な、バランス感覚のない価値観と思想の集団で組織されているのに近い。今は中国の危険度が高くて優先度がそちらにあるから、韓国とはこれ以上もめたくないという現実論は続くだろうが、韓国を満足させることはできないだろう。日韓関係は絶えずギクシャクしたままいくというのが現実的だと思う」

「従軍慰安婦や竹島の問題は話し合っても解決の道はない。それくらい歴史観の差が大きい。韓国は同じ価値観を持つことを求めている。違いを認めてどうこうしようというのではなく、どちらかが正しく、どちらかは完全に間違っているという理解だ。個人的には、封印する以外には解決は不可能だと思う。そういう調子なので、便宜的に封印しても何かの拍子で誰かが何か発言したことで問題になるという関係は全く変わらないと思う」

*このインタビューは9日に行われました。

(ロイターニュース 和田崇彦;編集 久保信博)

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2013年に予想される10の政治的リスク
2013年 01月 9日 16:37 JST
By Ian Bremmer

いくつかの危機もあったが、世界は2012年を乗り越えた。今、われわれは新たなリスクに直面しようとしている。しかし、それは先進的で工業化された民主主義の国々においてではない。今年は世界的なリセッション(景気後退)が弱まる中で、新興国市場や極めて政治的なリスクが高いとされてきた国の経済に再び注目が移るだろう。

以下に、リスクが高いとみられる国や地域のトップ10をまとめた。

10位:南アフリカ

アフリカでは総じて、近年の成長が継続するとみられる。しかし、同大陸で最も複雑かつ重要な経済の1つである南アは低迷している。同国の有力政党「アフリカ民族会議」は、都市部や地方の貧困層の支持基盤を維持するため、ポピュリズムに陥っている。それは、さらなる国家の介入や労働不安などにつながる。根本的な政治的危機が起こるとは予想していないが、同国の先行きについて楽観的になれる理由もほとんどない。

9位:インド

世界で次に爆発的な経済成長を遂げる国はインドだという予測を、これまで誰もが目にしてきた。しかし、そのペースはそう速くない。2009年の総選挙では、シン首相が改革を自由に実行できるほどの勢力は得られなかった。汚職が依然としてはびこり、この数週間起きている集団レイプ事件への抗議活動に見られるように、未解決の文化的問題もある。総選挙が迫るにつれて、政府が断固たる経済政策を進めることはますます難しくなるだろう。

8位:イラン

米国やイスラエルがイランを攻撃するのはいつか。2012年は1年を通じて、その問題がつきまとった。しかし、戦争を避けたいオバマ米大統領と実際は外交的なネタニヤフ首相を見ると、軍事攻撃が今年行われるリスクは多くの観測筋が考えるより低い。しかし、依然として重大なリスクもある。イランとイスラエル・米国間がこの数年繰り広げてきた暗殺合戦やサイバー攻撃など、「影の戦争」が急速に激化するとみられる。イランへの新たな制裁が実施され、イランの核開発計画を止めようとする動きは加速するだろう。それによって、イラン側も影の戦争を強化することになるはずだ。

7位:東アジアの地政学

過去10年にわたり、この地域の主要リスクは北朝鮮の核問題と台湾の位置付けをめぐる緊張だった。しかし、今や新たなリスクが台頭している。中国が東南アジアへの友好的アプローチから方向転換した一方、米国は同地域への関与を強めようとしている。これまでも指摘してきたが、米中の緊張は数十年にわたる経済成長を危険に冒す可能性がある。

6位:欧州

ユーロ圏は分裂や崩壊には向かわず、2013年のリスクは財政危機の脅威から、ユーロ圏の新たなデザイン構築への機運が失われることに移る。弱い経済見通しや危機対応の政治体制が、今年は不確実なものになるだろう。より統合された政策的枠組みの実現に向けて、大きな妥協が必要になるとみられる。現在または新たな政治的指導者がこうした妥協を飲めるかは依然不透明だ。

5位:日本、イスラエル、英国

2012年の敗者に見られる最も重要なトレンドは、全て米国の信頼する同盟国ということだ。日本とイスラエルと英国は同じような境遇にある。これら3国は、米国との関係がかつてほど有益ではなくなっており、現在進行中の大きな地政学的変化の外にある。また国内問題に縛られ、世界を主導するリーダーが存在しない「Gゼロ」時代の諸問題に対処できていない。結果的に、日本は中国との問題を抱え、英国は欧州連合(EU)との間で勝者のいない状況に陥り、イスラエルはアラブの春を傍観している。

4位:ワシントンの政治

そうは見えないかもしれないが、米国は、国内のエネルギー革命や大がかりな貿易協定、住宅セクターの立ち直りなどの分野で、大きく発展する一歩手前にある。もちろん、現在ワシントンで進行中の財政問題によって、全てが頓挫する恐れもある。

3位:アラブの夏

昨年、アラブの春は何も実を結ばず、「アラブの冬」とも言える泥沼状態に陥った。2013年は、長く暑い「アラブの夏」が予想される。急進的な運動がさらに重要な役割を持つようになる。イスラム教スンニ派とシーア派の国内または国をまたいだ暴力的な衝突の増加は、アラブの春以前には表に現れていなかった宗派間対立を引き起こしている。シリア情勢の混沌(こんとん)化により、不安定な状況はイラクやヨルダン、トルコにも広がっている。また、アラブ諸国の新政権も統治とポピュリズムのバランスに苦労している。

2位:中国と情報

中国政府が必ずしも管理できていないリスクは、最も扱いにくい「情報」だ。教育のある中間層が増加するにつれ、指導者の個人資産に関する秘密がメディア報道に暴かれたように、規制のないインターネットアクセスを求める声が高まっている。このことは、中国人をよりリスク嫌いにし、さらに国家主義的にしている。それにより、中国が今よりさらに孤立化する可能性がある。

1位:新興市場

新興市場は世界の経済成長の約3分の2を占め、その割合は今後10年でさらに大きくなるだろう。それにより、経済的打撃のリスクも増すことになる。ブラジル、メキシコ、コロンビア、トルコ、マレーシア、フィリピンは非常に明るい展望と同時に、大きなリスクも抱える。一方で、エジプト、イラク、インド、インドネシア、ペルーなど低迷する一部新興市場は、どこも成長に向けて苦戦している。世界経済は、こうした国々が問題を解決することを願うしかない。

*筆者は国際政治リスク分析を専門とするコンサルティング会社、ユーラシア・グループの社長。スタンフォード大学で博士号(政治学)取得後、フーバー研究所の研究員に最年少で就任。その後、コロンビア大学、東西研究所、ローレンス・リバモア国立研究所などを経て、現在に至る。全米でベストセラーとなった「The End of the Free Market」(邦訳は『自由市場の終焉 国家資本主義とどう闘うか』など著書多数。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE90903A20130110?sp=true


10. 2013年1月11日 16:13:50 : Pj82T22SRI
先行きの物価、「上がる」との回答が減少=日銀調査
2013年 01月 11日 15:57 JST

トップニュース
米国でインフルエンザが猛威、ワクチンやタミフルが不足の恐れ
12月景気ウォッチャー調査、前月比5.8ポイント上昇
事業規模20.2兆円の緊急経済対策を決定、赤字国債発行は見送り
経済対策に伴う国債増発は5兆円程度、赤字国債発行は回避へ=財務相

[東京 11日 ロイター] 日銀が11日発表した12月の「生活意識に関するアンケート調査」(第52回)によると、消費者の物価観について、1年後、5年後ともに「上がる」との回答が減少した。

調査によると、現在の物価について、1年前より「上がった」との回答が38.5%と前回の43.9%から低下。「下がった」は14.2%(前回11.3%)に上昇した。先行きは、1年後に「上がる」との回答が53.0%と前回の61.8%から低下。5年後も72.6%と同78%から低下している。具体的に現在と比べてどの程度上がるか、との質問に対しては、1年後が1.0%(中央値)、5年後が2.0%(同)だった。

景況感については、現在の景気が1年前より「良くなった」と答えた人の割合から、「悪くなった」と答えた人の割合を差し引いた景況感指数(DI)がマイナス50.6ポイントとなり、前回9月調査に比べて7.5ポイント悪化した。一方、1年後の景況感DIはマイナス33.1で、同3.0ポイント改善している。

景気判断の根拠については「自分や家族の収入状況」が最も多く、次いで「勤め先などの経営状況」、「マスコミ報道」、「商店街などの混み具合」、「景気関連指標」の順。「現在の暮らし向き」は、1年前より「ゆとりが出てきた」と答えた人の割合から「ゆとりがなくなってきた」と答えた人の割合を差し引いたDIが、同1.9ポイント悪化のマイナス47.1となった。

同調査は満20歳以上の個人4000人を対象に11月8日─12月4日に実施され、2308人が回答した。
 
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円安「イメージ」が増大、経常赤字は安倍相場の加速要因に
2013年 01月 11日 14:07 

[東京 11日 ロイター] 円安進行の「イメージ」が増大している。日銀の追加緩和期待に加え、11月経常収支が過去2番目の赤字額となったことも円安予想の材料となった。経常赤字が定着するかはまだわからず、経常収支と為替の関連性も短期では薄いとされるが、円安・株高の「安倍相場」進行の思惑を膨らます材料として使われている。

一方、経常赤字が定着すれば、海外から資金を調達することになり、巨額な日本国債を支えるマネー構造が揺らぎかねないとの見方もある。

<経常収支と金融相場のあやふやな関係>

「為替はイメージだ」──かつて為替担当だったある大蔵省(現財務省)OBはこう語る。現在、1日50兆円超にも及ぶドル/円の為替取引のなかで、貿易関連の決済は10%強程度と推計されている。ほとんどは金融・資本取引であり、相場を決定するのはファンドなど投機筋を含めた市場参加者の「イメージ」だという。

11月経常収支は2224億円の赤字と昨年1月以来の赤字に転落し、赤字幅も昨年1月に次ぐ過去2番目の大きさとなった。正月休みなどで黒字幅が縮小しやすい1月を除くと、赤字転落は比較可能な85年以降で初めてだ。赤字拡大を材料に、ドル/円は一時89円30銭付近まで円安が加速。日経平均も円安を好感し、一時、約1年11カ月ぶりとなる1万0800円台を回復した。

ただ経常収支と為替の直接的な関係はそれほど明確なものではない。経常黒字が増えると外貨の支払いよりも受け取りの方が多くなるため円高が進むとの「国際収支説」は、金融取引が大部分を占める現在の為替市場では、1年や2年といった「短期的」な変動を説明するのには向いてないとされる。また11月は欧州・中国向けの輸出が落ち込み、貿易・サービス収支が大幅な赤字になったことが経常収支を悪化させたが、足元の輸出は改善の方向にあるとの見方が多く、赤字が定着するかどうかには疑問の声も多い。季節調整済みの経常収支は低水準とはいえ依然黒字だ。

株式市場も現在は円安を好感しているが、歴史的に見て円安が必ずしも株高に結びつくわけではない。森政権時や鳩山政権時は円安・株安の組み合わせだった。日本経済が輸出企業にけん引されやすいほか、日経平均など株価指数は輸出株の比率が多いこともあって、行き過ぎた円安の修正は日本株にとって好材料とされやすいが、日本製品が売れないための貿易赤字に由来する円安であるなら、輸出株にとっても決してポジティブ材料とならない。

円安は輸入物価を上昇させ、コスト面で企業と個人を圧迫するなど、経済にとってマイナス面もある。「国内と海外の景気のバランスが変わらなければ、実際の輸出入は変わらない。為替変動は経済全体にとっては大きな影響を与えるものではない」(SMBC日興証券チーフエコノミストの牧野潤一氏)という。円安で物価が上昇しデフレが解消されたとしても国内の需要不足という根本的な問題解決にはつながらない。

理論的、計数的な影響がはっきりしないなかで、円安・株高の「安倍相場」が加速するのは、現在のマーケットが円安・株高材料に貪欲で、いろいろな材料を元に「円安・株高イメージ」を膨らませているからだ。みずほコーポレート銀行のマーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏は「今は円売りの材料があれば、何でも使ってしまおうという雰囲気にあり、きょうの経常収支もそのような反応となった。ただ、今後もこれが毎月続くかといえば、まだそこまでの話はできないはずだ」と述べている。

<日銀緩和期待が懸念打消し>

一方、円債市場にとっては国際収支の赤字化は理論的にも懸念要因だ。巨額な日本国債を支えるマネーは、経常赤字となれば、外国に一部を頼るという構図になる。10年債で0.8%台という国際的にみて低い利回りの国債を海外勢が買ってくれるかは不透明だ。「日本は、エネルギーや少子高齢化など構造的な問題に直面している。今後も赤字定着となれば、円安だけではなく、株安や債券安などトリプル安の議論につながり、日本国債を支えるマネーフローに影響を及ぼしかねない」(みずほ証券・チーフ債券ストラテジストの三浦哲也氏)という。

だが、午前の円債先物は序盤は経常赤字を懸念して売りが先行したが、売り一巡後は買い戻しが入り、プラス圏で引けた。日銀の金融緩和が強化されるとの観測から、現物中期ゾーンに銀行勢とみられる買いが入ったのを受けて上昇。海外勢の買いを巻き込んで上げ幅を拡大したためだ。

読売新聞は11日付朝刊で、日本銀行は21日─22日の金融政策決定会合で、2%のインフレ目標を設定するとともに、その達成が見通せるまで金融緩和を続けることを検討すると報じた。市場では「仮に日銀が無期限緩和に踏み切れば、現行最大3年となっている買入年限の延長などの思惑も浮上しやすい」(外資系証券)との見方が出ている。

経常赤字や国債増発の懸念を日銀の金融緩和期待が打ち消し、現時点においては「アベノミクス」はうまく機能しているようにみえるが、日本経済の潜在成長力を上げることに失敗すれば、さらに積み上がった政府債務と、日本売りが待ち構える。「イメージ」を崩すイベントは当面見当たらず、政策の効果を判断できるのはしばらく先になりそうだが、綱渡りの日本経済に時間がそう多く残されているわけではない。

(ロイターニュース 伊賀大記;編集 久保信博) 

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11月経常収支、1月以外で初の赤字:識者はこうみる 2013年1月11日
11月経常収支は2224億円の赤字、1月以外で初の赤字 2013年1月11日
円安が加速、日銀の緩和観測受け2年半ぶり水準 2013年1月11日
日本起点のリスクオン相場、日銀緩和期待が流動性拡大の思惑呼ぶ 2013年1月10日


 


 

11月経常収支、1月以外で初の赤字:識者はこうみる
2013年 01月 11日 11:17

[東京 11日 ロイター] 財務省が11日に発表した国際収支状況速報によると、11月の経常収支は2224億円の赤字となった。月間の経常収支が赤字となるのは今年1月以来10カ月ぶりだが、正月休みなどで黒字幅が縮小しやすい1月を除くと、比較可能な1985年以降で初めて。

市場関係者のコメントは以下の通り。

●悪い円安リスク、構造的な問題を懸念

<みずほ証券・チーフ債券ストラテジスト 三浦哲也氏>

11月経常収支は事前に赤字を予想していた参加者が多かったため、マーケットサプライズはない。今後は円安の進行に伴う影響を長い目でみていく必要がある。

懸念されるのは悪い円安リスク。国内総生産(GDP)に占める輸入の比率が高くなっているため、円安の影響が輸出よりもまず輸入に出るリスクがある。これまでの産業空洞化の進展で輸出にそれほど追い風にならないとの見方もある。経常収支よりも貿易収支に着眼点を置いた議論が必要になってくる。

日本は、エネルギーや少子高齢化など構造的な問題に直面している。今後も赤字定着となれば、円安だけではなく、株安や債券安などトリプル安の議論につながり、日本国債を支えるマネーフローに影響を及ぼしかねない。12月以降は注意深くみていく必要がある。

●円売り材料、下旬発表の貿易収支も円安要素に

<みずほコーポレート銀行 国際為替部 マーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏>

今は円売りの材料があれば、何でも使ってしまおうという雰囲気にあり、きょうの経常収支もそのような反応となった。ただ、今後もこれが毎月続くかといえば、まだそこまでの話はできないはずだ。

この流れでいくと、下旬に発表される12月・2012年貿易収支は相当大変だろう。通年で7兆円くらいの赤字が出てくるだろうが、そうなれば経常収支が年間どれくらい食われていくかというイメージができてくる。ドル/円にとっては円安要素となるだろう。

2011年は貿易収支の赤字が2.5兆円、31年ぶりの赤字となり、海外勢がものすごく騒いだ。2012年はその3倍くらいの赤字が出てくる。この状況で迎える貿易収支に対しては、相当の反応がありそうだというのは容易に想像できる。ドル/円を50─60銭は飛ばす力があるのではないか。

●輸出不振と所得収支の弱さが影響、12月以降は黒字へ

<伊藤忠経済研究所 主任研究員 丸山義正氏>

国際収支の赤字転落要因は二つある。一つは世界経済の減速を受けた輸出不振や日中間のトラブルによる自動車販売の落ち込み等による貿易赤字。もう一つは、11月の傾向でもあるが、所得収支が弱くなることだ。

12月には恐らく黒字に戻るだろう。世界経済の持ち直しや中国貿易統計の結果からも、輸出環境に改善が見られ、日中間トラブルの悪影響も低減してきているためだ。季節的な影響も12月には緩和される。2013年も円安効果が働き、改善方向に向かい、経常収支赤字が続くことはないと考えられる。ただし輸入サイドも含めると、原発等の要因によりエネルギー輸入水準が上昇していることから、経常収支黒字幅の拡大傾向は見られないだろう。

●11─12月をボトムに改善、期待値大きく市場への影響軽微

<SMBC日興証券 ストラテジスト 圷正嗣氏>

経常収支の赤字幅がかなり大きく出たが、11月はマーケット環境がまだそれほど変わっていない状況下でのものであり、バックミラーでみている数値だ。年末にかけ急速に円安が進行した。今後は円安が進んだことで、輸出も増えると予想され、赤字幅も11月─12月をボトムに改善するとみている。市場では、これまでの円高や対中関係の悪化などを背景にした悪化に歯止めがかかると期待されている。赤字幅はかなり大きいが、あくまでも過去の数値であり、今後に対する期待値の方が大きい。

ただ、マーケットの観点では、足元は政策やその効果による市場の上昇に目が向いている。特にきょうは、緊急経済対策が閣議決定され、安倍首相の会見もある。為替が朝方から急速に円安に振れており、好材料が重なっている。政策の動きが早いうえ、世界的に景気がやや改善するとの見方に目が向いている状況下では、相場の勢いの方が強くなりそうだ。

*内容を追加して再送します。 
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事業規模20.2兆円の経済対策決定−GDP2%上げ、雇用60万人 (1) 

  1月11日(ブルームバーグ):政府は11日午前の閣議で、事業規模20.2兆円の緊急経済対策を決定した。国費は10.3兆円に上り、うち公共事業に5.2兆円を計上。建設国債を追加発行し、財源を確保する。これに伴い、基礎年金の国庫負担分約2.6兆円も含めた総額13.1兆円の2012年度補正予算を編成し、15日に閣議決定する。
対策では、日本銀行による大胆な金融政策と政府による機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「3本の矢」によって、「日本経済を大胆に再生させ、強い経済を取り戻すことに全力で取り組む」と強調。円高是正やデフレからの早期脱却のため、大型補正予算と2013年度予算を合わせた「15カ月」予算で切れ目のない経済対策を実施し、景気の底割れを回避する姿勢を明確にした。
さらに、政府・日銀の連携を強化する仕組みの構築を明記。「明確な物価目標の下で、日本銀行が積極的な金融緩和を行っていくことを強く期待する」と要請した。為替市場の動向については「引き続き注視し適切に対応する」としている。
安倍晋三首相は対策決定後、記者会見し「デフレ・円高からの脱却のために政府・日銀の連携による大胆な金融政策が不可欠だ。併せて日銀が供給したお金を使うことが必要だ」と強調した。
首相はまた、今回の対策はリーマン・ショック時の「臨時異例な対応」を除けば史上最大規模になると指摘。その上で、「無駄な公共事業のばらまきを行っているのではないかという批判も耳にするが、それは違う。安易なばらまきではない。我々は古い自民党から脱皮をした」と述べた。
建設国債
対策の財源は5兆円超の建設国債のほか、11年度決算剰余金約2兆円や今年度の既定経費の使い残しなどによってねん出。年金の国庫負担分は「年金つなぎ国債」(赤字国債)を発行する。これによって補正予算の国債の追加発行額は8兆円近くまで膨らみ、今年度の国債発行額は民主党政権時の44兆円を大幅に上回る50兆円台に上る。
政府は今回の予算措置による経済効果について、実質国内総生産(GDP )の押し上げ効果が「概ね2%程度」、雇用創出効果は60万人程度と見込んでいる。対策には予算を伴わない規制改革や税制改正、金融資本市場の活性化などの施策も盛り込まれており、これらの具体化によって「民間投資や消費が喚起され、競争力の強化、所得・雇用の増大を伴う経済成長が期待される」としている。
外為特会活用した新たな為替施策を検討
対策は「東日本大震災からの復興・防災対策」、「成長による富の創出」、「暮らしの安心・地域活性化」の3項目が柱。復興・防災対策として被災地の道路・港湾の整備や老朽化したインフラ補修、学校耐震化に3.8兆円を充てる。また、地方自治体に1.4兆円を交付することで地方の費用負担を緩和する。
経済成長の促進策は全体で3.1兆円程度。企業の新事業創出を後押しし、産業競争力を強化する1500億円規模のファンドを日本政策投資銀行に創設した。うち1000億円を財政投融資特別会計から貸し付ける。また、円高・エネルギー制約下での最新設備や生産技術導入を支援するため、設備投資費用の一部補助や金融支援に約2000億円を計上した。
円高対策では、国際協力銀行(JBIC)が邦銀などと連携し、中小企業を含めた日本企業のM&A(企業の合併・買収)案件や、海外投資を行うファンドへ出資する「海外展開支援出資ファシリティ(仮称)」(2000億円)の創設に財融特会から700億円程度を出資。また、「外国為替資金特別会計を活用した新たな為替市場の安定化に資する施策」について検討する方針も盛り込まれた。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 下土井京子 kshimodoi@bloomberg.net;東京 広川高史 thirokawa@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net
更新日時: 2013/01/11 11:19 JST

 


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