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ご注意ください>ホメオパシーで乳児死亡・助産師に損害賠償求める(非国民センター)
http://www.asyura2.com/12/idletalk40/msg/524.html
投稿者 会員番号4153番 日時 2013 年 7 月 12 日 05:55:44: 8rnauVNerwl2s
 

しばらく怪しげなホメオパシー関連の裏側を晒してみます。


非国民センターから
http://usnowrabbit.web.fc2.com/homoeopathy.html


ご注意ください>ホメオパシーで乳児死亡・助産師に損害賠償求める
ホメオパシー訴訟

ビタミンK不投与で乳児死亡…母親が助産師提訴

山口市の助産師(43)が、出産を担当した同市の女児に、厚生労働省が指針で与えるよう促しているビタミンKを与えず、代わりに「自然治癒力を促す」という錠剤を与え、この女児は生後2か月で死亡していたことが分かった。

助産師は自然療法の普及に取り組む団体に所属しており、錠剤はこの団体が推奨するものだった。母親(33)は助産師を相手取り、約5640万円の損害賠償訴訟を山口地裁に起こした。

母親らによると、女児は昨年8月3日に自宅で生まれ、母乳のみで育てたが、生後約1か月頃に嘔吐(おうと)し、山口県宇部市の病院でビタミンK欠乏性出血症と診断され、10月16日に呼吸不全で死亡した。

新生児や乳児は血液凝固を補助するビタミンKを十分生成できないことがあるため、厚労省は出生直後と生後1週間、同1か月の計3回、ビタミンKを経口投与するよう指針で促し、特に母乳で育てる場合は発症の危険が高いため投与は必須としている。

しかし、母親によると、助産師は最初の2回、ビタミンKを投与せずに錠剤を与え、母親にこれを伝えていなかった。3回目の時に「ビタミンKの代わりに(錠剤を)飲ませる」と説明したという。

助産師が所属する団体は「自らの力で治癒に導く自然療法」をうたい、錠剤について「植物や鉱物などを希釈した液体を小さな砂糖の玉にしみこませたもの。適合すれば自然治癒力が揺り動かされ、体が良い方向へと向かう」と説明している。日本助産師会(東京)によると、助産師はビタミンKを投与しなかったことを認めているという。助産師は読売新聞の取材に対し、「今回のことは何も話せない。今は助産師の活動を自粛している」としている。

◆ビタミンK欠乏性出血症=血液凝固因子をつくるビタミンKが不足して頭蓋(ずがい)内や消化管に出血を起こす病気。母乳はビタミンKの含有量が少ない場合がある。

2010年7月9日09時59分 読売新聞
この報道では、「自然療法」が何なのか書かれていませんが、ホメオパシーのことだと、「分かる人には分かる」内容でした。その後、「ホメオパシー」だとはっきり明言した記事が出ました。

[解説]「ビタミンK与えず乳児死亡」提訴

助産師の一部が代替医療、命への責任再認識を

昨年10月、山口市内で生後2か月の女児がビタミンK欠乏症となり死亡した。女児の母親(33)は、出産を担当した同市内の助産師(43)が標準予防法のビタミンK2シロップを女児に与えなかったことが死亡原因だとして、助産師を相手取った損害賠償請求訴訟を山口地裁に起こした。

要約

来月始まる裁判は、助産師の行った代替医療が注目点
死亡乳児への療法は、効果が疑問視されている
助産師は、医療従事者の基本に立ち返る必要がある
第1回口頭弁論は8月4日に行われるが、この訴訟が注目されるのは、助産師がビタミンK欠乏症予防として代替療法「ホメオパシー」の錠剤を女児に与え、ビタミンK2を与えなかったとされる点だ。代替医療は現代医学には限界があるとして患者の自然治癒力に働きかける治療法の総称で、ホメオパシーはその代表的存在。約200年前に欧州で登場、治療者によっては軽い頭痛から心臓病、がんなどまで対応する。

一方、ビタミンK欠乏症は、新生児の4000人に1人の割合で発症する。生後1か月頃に頭蓋(ずがい)内出血を起こして死亡する症例が多いが、ビタミンK2を生後1か月までに3回与える予防法は確立している。厚生省(当時)も1989年、投与を促す指針を策定し、10万人当たりの発症率は平均18人(78〜80年)から2人(90年)まで低下した。

しかし、投与は義務ではないため漏れもある。この助産師もビタミンK2を投与したと母子手帳に記していた。日本助産師会の岡本喜代子専務理事は「ビタミンK2投与は当然行うべき基本的な処置。助産師はホメオパシーなどの伝統医学や食事療法などを妊婦のケアに取り入れる人が多いが、極端に偏った考えの助産師がいたことを重く受け止めている」と話す。

特にホメオパシーについては、同会支部主催で講演会が開催されたこともある。今回の助産師もホメオパシー普及団体の認定資格者の一人。予防接種などを否定する傾向の強い普及団体に関係している助産師もいて、同会の中でも懸念する声があがっていた。

ホメオパシーで使う錠剤は、様々な成分をその分子が検出できないほど水で希釈して砂糖玉にしみ込ませたもの。それ自体有害ではないが、現代医療を受けていれば助かったはずの命が救えない恐れもある。

今年2月には、英国議会も科学的根拠に乏しいことを理由に保険適用の中止を求める報告書を出した。唐木英明・東大名誉教授(リスク管理学)は「代替医療は『自然』『安全』といった言葉で語られるが、治療効果の検証が不十分で、医療従事者が提供すべき医療ではない」と指摘する。

助産師主体で行う出産は全出産数の約1%に過ぎないが、現代医療が濃厚に関与する出産とは異なる選択肢として、一定の支持を得てきた。助産師など医療従事者は存在意義を失わないためにも、その姿勢が患者の命を左右することを肝に銘じるべきだ。(山口総局 橋谷信吾 科学部 片山圭子)

2010年7月31日 読売新聞
ホメオパシーとは

問題の助産師が所属している団体が推進している「自らの力で治癒に導く自然療法」とは、「ホメオパシー」といわれているものです。「植物や鉱物などを希釈した液体を小さな砂糖の玉にしみこませたもの」は「レメディ」と呼ばれています。

ホメオパシーが、薄めた「毒」によって健康にする、と謳うことから、アレルゲンを用いたアレルギー治療である「減感作療法」と混同されることがありますが、ホメオパシーと減感作療法は似て非なるものです。減感作療法とは、最初はごく少量、そして少しずつ増やしながら投与することで、体をアレルギーに慣れさせるという治療法で、科学的にも立証されているものですが、アレルゲン自体を用いる以上、一つ間違えるとアナフィラキシーショックを起こす危険と隣り合わせであり、専門医が慎重に投与する必要があります(余談ながら、「スギ花粉含有食品」に関して厚生労働省が注意を呼びかけています。アレルゲンを医師でも薬剤師でもない素人が食品として売っていいはずがありません)。

ところが、ホメオパシーでいう「希釈」とは、全く桁外れのものです。ホメオパシーでよく使われているとされる「30C」とは100倍の30回すなわち10の60乗倍だということです。化学でいう「アボガドロ定数」が6.02×10の23乗ですから、小指の爪ほどの小さな砂糖玉の、10の60乗倍希釈など、「希釈した(と称する)成分など、「1分子たりとも含まれていないも同然」ということです。

件の助産師は、投与を必須としているK2シロップを与えず、恐らくは「K2のレメディ」と称するものを与えたようです。

日本にはホメオパシーを推進する団体がいくつかあって、それぞれが異なった主張をしており、独自に「ホメオパス」資格を「認定」しているようです(ただの民間資格です)。今回の助産師が所属していたとされる団体は、由井寅子会長の「日本ホメオパシー医学協会」と思われ、数あるホメオパシー関連団体のなかでも“最過激派”と見られているようです。この団体関連の「体験談」掲示板で、以下のようなやり取りが行われています。

私は、1歳10ヶ月の娘を体外受精、現在妊娠6ヶ月の子を長女の時の凍結胚移植で授かりました。

出産後K2シロップを与えたくないので、そのレメディーももらったのですが、これはもし産院でK2シロップを与えなくても赤ちゃんに与えた方がいいのでしょうか?

という質問に対して、「先生」が

K2シロップの件ですが、産院で与えなくてもいいのであればその代わりにそのレメディーを与えていただいてもかまいません。
とアドバイスしているので、おそらくこの団体には「K2のレメディ」なるモノが存在しているのでしょう。

今回の山口の事件では、あろうことか、件の助産師が母子手帳にK2シロップを与えたと虚偽記載していたために、医師も気づかなかったのです。

偽医療の問題

ホメオパシーのレメディ自体は、ないも同然に薄まっているわけなので、「毒にも薬にもならない、単なる砂糖玉」であり、まあそれだけなら、懐には悪くても(高く売っている「レメディ」も、スーパーで売っているお砂糖と変わらないということ)体には毒にも薬にもならないわけですが、偽医療の問題は、それに傾倒するがあまり、「西洋医学は患者を薬漬けにしている」というように、医療に対する不信を煽って、結局はちゃんとした医療を受ける機会を奪ってしまうことです。

なお、ホメオパシーに限らず、代替医療の世界で頻出する「好転反応」なる言葉に関して。アレルギー、副作用が起きていることのゴマカシとして用いられていることが多いので、「好転反応」という言葉が出てきたら、まずは疑ってかかってください。

真価が問われる助産師会、見て見ぬふりの行政、ホメオパシー推進(?)の政治家

ホメオパシーに関しては、困ったことに、職能団体である日本助産師会が普及に一役買ってきた面があります。

「ホメオパシー」トラブルも 毒薄め妊婦や乳児に処方

「ホメオパシー」と呼ばれる代替療法が助産師の間で広がり、トラブルも起きている。乳児が死亡したのは、ホメオパシーを使う助産師が適切な助産業務を怠ったからだとして、損害賠償を求める訴訟の第1回口頭弁論が4日、山口地裁であった。自然なお産ブームと呼応するように、「自然治癒力が高まる」との触れ込みで人気が高まるが、科学的根拠ははっきりしない。社団法人「日本助産師会」は実態調査に乗り出した。

新生児はビタミンK2が欠乏すると頭蓋(ずがい)内出血を起こす危険があり、生後1カ月までの間に3回、ビタミンK2シロップを与えるのが一般的だ。これに対し、ホメオパシーを取り入れている助産師の一部は、自然治癒力を高めるとして、シロップの代わりに、レメディーと呼ぶ特殊な砂糖玉を飲ませている。

約8500人の助産師が加入する日本助産師会の地方支部では、東京、神奈川、大阪、兵庫、和歌山、広島など各地で、この療法を好意的に取り上げる講演会を企画。2008年の日本助産学会学術集会のランチョンセミナーでも、推進団体の日本ホメオパシー医学協会の会長が講演をした。同協会のホームページでは、提携先として11の助産院が紹介されている。

日本助産師会は「問題がないか、実態を把握する必要がある」として、47支部を対象に、会員のホメオパシー実施状況やビタミンK2使用の有無をアンケートして、8月中に結果をまとめるという。

また、通常の医療の否定につながらないよう、年内にも「助産師業務ガイドライン」を改定し、ビタミンK2の投与と予防接種の必要性について記載する考えだ。日本ホメオパシー医学協会にも、通常の医療を否定しないよう申し入れた。

助産師会の岡本喜代子専務理事は「ホメオパシーを全面的には否定しないが、ビタミンK2の使用や予防接種を否定するなどの行為は問題があり、対応に苦慮している」と話している。

助産師は全国に約2万8千人。医療の介入を嫌う「自然なお産ブーム」もあり、年々増えている。主に助産師が立ち会うお産は、年間約4万5千件に上る。

テレビ番組で取り上げられたこともある有名助産師で、昨年5月から日本助産師会理事を務める神谷整子氏も、K2シロップの代わりとして、乳児にレメディーを使ってきた。

取材に応じた神谷理事は「山口の問題で、K2のレメディーを使うのは、自重せざるを得ない」と語る。この問題を助産師会が把握した昨年秋ごろまでは、レメディーを使っていた。K2シロップを与えないことの危険性は妊産婦に説明していたというが、大半がレメディーを選んだという。

一方で、便秘に悩む人や静脈瘤(りゅう)の妊産婦には、今もレメディーを使っているという。

ホメオパシーをめぐっては英国の議会下院委員会が2月、「国民保健サービスの適用をやめるべきだ。根拠無しに効能を表示することも認めるべきではない」などとする勧告をまとめた。薬が効いていなくても心理的な効果で改善する「偽薬効果」以上の効能がある証拠がないからという。一方、同国政府は7月、科学的根拠の乏しさは認めつつ、地域医療では需要があることなどをあげて、この勧告を退ける方針を示している。

日本では、長妻昭厚生労働相が1月の参院予算委で、代替医療について、自然療法、ハーブ療法などとともにホメオパシーにもふれ、「効果も含めた研究に取り組んでいきたい」と述べ、厚労省がプロジェクトチームを立ち上げている。(福井悠介、岡崎明子)

2010年8月5日 朝日新聞
助産師会、この期に及んで、「ホメオパシーを全面的には否定しない」ですか?

それに対して、行政や専門医も、あまり表だって声をあげておらず、それどころか挙句の果てには、長妻厚生労働大臣が「統合医療」の一つとして言及する始末。

kikulog:長妻厚生労働大臣、予算委員会でホメオパシーについて(も)語る?

参議院会議録情報 第174回国会 予算委員会 第3号

○国務大臣(長妻昭君) この統合医療の重要性に関する思いというのはもう総理からもかねがね聞いているところでございまして、おっしゃるとおり、今厚生労働省内で統合医療をかかわる部署というのが、例えば大臣官房の科学課、医政局の医事課、経済課、振興課、保険局医療課ということで四つほど分かれて、それ以外にも分かれておりますので、これは今後、統合医療の省内でプロジェクトチームをつくりまして、これを一本にまとめていくということで検討していくということであります。 統合医療は、もう言うまでもなく、西洋医学だけではなくて、伝統医学、漢方、鍼灸、温泉療法、音楽療法、芸術療法、心身療法、自然療法、ハーブ療法、ホメオパチーなどいろいろな広がりがあるものでございまして、厚生労働省といたしましても、この二十二年度の予算でかなりこれまで以上に、研究分野の統合医療の研究について十億円以上の予算を計上しまして、その効果も含めた研究というのに取り組んでいきたいというふうに考えております。

偽医療であるホメオパシーに、「十億円以上の予算」のごく一部でも使われると思うと、本当に腹が立ちますよ。

ホメオパシー側の反応

「日本ホメオパシー医学協会」は、トップページで、次のような文言を謳っています。

ホメオパシーを受けるものは、自由意志でホメオパシーを選択している。
自ら「自由意思」を表明できる大人がはまるのはともかく、乳児に「自由意思」もへったくれもないでしょう(怒)。

また、「日本ホメオパシー医学協会」関連企業とされる「ホメオパシージャパン」(ここのほかにも、「とらのこ会」など、由井寅子氏が絡んでいるところは実質同じとみていいでしょう)。この事件が報道された後で、他人行儀にも、次のような見解を出しています。

各位様

最近、当社に対する誹謗・中傷など、一部で虚偽の情報が流されており、巧みに当社の信用を失墜する活動が見受けられます。皆様方に於かれましては充分ご注意いただきたくお願い申し上げます。

不審に思われた際、もしくはご不明点などございましたら、お名前、ご連絡先を明らかにして頂き、当社の相談窓口までご連絡下さい。

以上
「各位」に「様」は付けないですね(笑)。

日本ホメオパシー医学協会とは内ゲバ関係にあるらしい、「日本ホメオパシー振興会」は、「K2のレメディは本来のホメオパシーにはない」と主張しています。

「体験談」は誇張や捏造を含んで当たり前

この助産師の事件が報じられた頃、先述の体験談掲示板に、次のような投稿が行われました。

主訴は腎臓です。2歳で発病し、2年ほど入院し、今は通院しています。10歳になりました。

現在、子供が健康相談にかかりお世話になっております。

主訴は腎臓です。2歳で発病し、2年ほど入院し、今は通院しています。10歳になりました。

病院では、免疫抑制剤がだされ、毎日飲まなくてはならず、とても疑問を感じていたところに、ホメオパシーに出会い、やってみたいと強く思い、相談会を申し込みました。3回めの相談を受けたところです。

今は病院の薬は飲ませていません。

「免疫抑制剤」を処方されるということは、腎移植か何かで、自己判断で使用を中止すれば、命にかかわる深刻な事態であることが考えられます。

この投稿を見つけた人が、児童虐待ではないかと警察に通報したところ、件の児童と医師は特定出来ていて、深刻な事態ではない、

お母さんが「少し大袈裟に書いたほうが『体験談』に取り上げてもらえるのではないか」と実際よりも大袈裟に書いてしまった。
ということでした。

この辺はリテラシーの問題でもありますね。「体験“談”」と称するものは、誇張や捏造を含んでいて当たり前ということを、改めて思い知らされたところです。

ブログが圧力により引っ越し

この乳児死亡事件を早くから取り上げていたブログ「助産院は安全?」が、FC2からはてなに引っ越しました。移転先はこちらです。

お世話になったFC2ブログでしたが、今回、このブログに関してブログ運営会社の方に批判を受けている助産師の知人と名乗る人物から、

『名誉棄損や営業妨害で訴えるかもしれませんから、そちらの方で先になんとかしてください』

との要請が入ったそうです。

そこでブログ会社より、どうしましょうかと連絡を頂きました。

まあ、圧力ですよね。

件の助産師本人ではない、「知人」に、「名誉棄損や営業妨害で訴える」権限はありませんね。名誉毀損罪は親告罪なので、被害者自ら告訴しない限り刑事事件にはならないし、民事であれば、非当事者不介入。

移転先の方で、こう嘆いています。(強調引用者)

今回圧力をかけてきた方というのは、VK2訴訟に直接関わりのある方ではないとおもいます。

私がブログで問題のある行為をしているのではないかと指摘したカリスマとよばれている助産師と親交のある方で、この助産師に大変お世話になったそうです。

でもこの方個人ではなく、“関係者間で”名誉棄損ではないか、営業妨害じゃないかと話し合っているそうですから、子供の命や母子の安全よりも名誉とお金の方が大事な集まりなんだなっておもいました。

Archives:「助産院は安全?」ブログ、脅しにより移転

自宅出産のリスク

タイムリーにも、「食品安全情報blog」で、海外における自宅出産ブームが取り上げられました。

・Lancetのエディトリアル

自宅出産に注意

Home birth―proceed with caution

The Lancet, Volume 376, Issue 9738, Page 303, 31 July 2010

http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2810%2961165-8/fulltext?elsca1=TL-300710&elsca2=email&elsca3=segment

病院以外で産みたいという要求が増加し自宅出産が増えている。オランダでは1/3の女性が自宅出産で、英国では3%、米国では1%である。

米国では自宅出産が増加している理由の一つは帝王切開が増加していることである(現在約1/3が帝王切開)。これは米国の医師や病院が訴訟を避けるために経膣分娩をしたがらないためである。一方で米国産婦人科学会(ACOG)は帝王切開ガイドラインを発表し女性の意志を尊重するよう強調している。

リスクの低い母親にとって自宅出産は安全なように見えるが、自宅出産では問題があると病院出産になるなどデータの解釈には注意が必要である。オランダのデータは自宅で陣痛が始まった初産婦の最大40%が病院に移送されていることを示唆している。

専門機関の声明も矛盾がある。南オーストラリア保健省や英国王立助産士協会などは低リスク妊婦の自宅出産を支援しているがACOGは安全上の懸念と科学的根拠の無さから自宅出産を薦めていない。ACOGは自宅出産は健康な赤ちゃんを産むという目的より産むプロセスへの嗜好を示すということを意味すると言っている。

最新のメタ解析では自宅出産は病院出産より新生児にとって有害であるということを示した。自宅出産の主なリスク要因は助産士の技量不足と病院へのアクセスの欠如である。

女性には産む場所や方法を選ぶ権利はあるが赤ちゃんをリスクに曝す権利はない。

今年後半にはさらに意味のある研究結果が出るだろう。

(自宅出産を選ぶ人って予防接種否定とかオーガニック食品支持とかと重なる。順序としては食品添加物や残留農薬のような食品への疑問→予防接種のような通常医療への疑問→自宅出産を含む謎の自然派生活、のような。数はだんだん減るけれど入り口がやたら広いのが問題。)

子どもの命は親の所有物ではありません。

最後のカッコの中は、畝山さんのコメントです。日本ホメオパシー医学協会で、『買ってはいけない』の船瀬俊介氏が講演していたり、どうもこの辺、変につながっているようですね。

朝日新聞がホメオパシー追求キャンペーンを始めたぞ

朝日新聞の長野剛記者が、ブログを開設し、「日本ホメオパシー医学協会」と由井寅子氏の実名を挙げて、ホメオパシー追求キャンペーンを始めたようです。

問われる真偽 ホメオパシー療法

気が遠くなるほど薄めた「毒」を飲むことで病気を治す、という欧州生まれの代替医療ホメオパシーが「害のない自然な療法」と日本でも女性層を中心に人気が高まりつつある。だが、この療法が公的医療の一角を占める英国は今年、議会委員会がその効果を全面否定、公的医療から外すよう政府に勧告した。日本でも裁判が起こされるなど、その効果を巡ってホメオパシーは批判対象にもなってきている。(長野剛)

◇ 自然派ママの心つかむ ◇

「本当にいいものだから、みんなに知って欲しいんですよ。(中略)病名のつかない症状やメンタルな問題まで対応できる自然療法なんです」

女優の沢尻エリカさんはホメオパシーについて、講談社のファッション誌「グラマラス」5月号のインタビューでそう語った。作家の落合恵子さん経営のクレヨンハウスが出す育児誌「クーヨン」も2007年以降、ホメオパシー関連の記事を掲載している。

クーヨン編集長の吉原美穂さんは「自然な子育てに関心が集まり、化学物質が入った医師の薬に不安を持つ人が多い」と、育児の最中の母親らがひかれる理由を説明する。

国内の代表的なホメオパシー業界団体のひとつ、日本ホメオパシー医学協会(東京)によると、ホメオパシーは今年だけで20回近く雑誌などで紹介され、利用者は国内に数十万人はいるとみられるという。

ホメオパシーの原理は200年前、ドイツの医師ハーネマンが確立。彼がマラリア治療薬を飲んでみたら、マラリアと同様の症状が起きた。そこで「病気と同じ症状を起こせる物質なら、病気を治せる」という着想を得た。

似た症状を起こす物質が、似た病気を治すというので「同種療法」と呼ばれる。一方、西洋医学の場合は逆に、病状を消すための治療を行うので「異種療法」とされる。

ホメオパシー治療は「レメディ」と呼ばれる丸薬のようなものを飲んで行う。「症状を起こす毒」を、よく振りながら水などで薄め、砂糖粒に染み込ませたものだ。薄める毒は、毒草のトリカブトや昆虫、鉱石など約3千種類。

ホメオパシーでは「薄めるほど効く」ともされる。その薄め方は半端ではない。一般的なレメディでは、10の60乗(1兆を5回掛け合わせた数)分の1に薄める。

ここまで薄めると毒の物質は、事実上もう入っていないが「薄める時によく振ることで、毒のパターンが水に記憶される」と、協会会長の由井寅子さんは解説する。

「自己治癒力が病気と闘っている時に現れるのが病気の症状。西洋医学は症状を緩和するが、治癒はさせない」。ホメオパシーで治せる病気は精神病から皮膚病まで多種多様で、がん治療も可能かと聞くと、由井さんは「そうです」と力強く答えた。

◇ 効果否定、「被害」訴えも ◇

しかし、ホメオパシーは本当に効くのか。

ニセ科学に詳しい大阪大学の菊池誠教授は「分子が1個も残らないほど希釈するのだから、レメディは単なる砂糖粒」とした上で「最大の問題は、現代医学を否定し、患者を病院から遠ざける点にある」と指摘する。

今年5月、ホメオパシーが効かず「乳児が死亡した」という損害賠償請求訴訟が山口地裁で起こされた。乳児を自宅出産した母親が、助産師を訴えた。訴えによると、乳児が生まれた昨夏、助産師は一般に多く使われているビタミンKを乳児に投与せず、代わりにホメオパシーのレメディを投与。乳児はビタミンK欠乏性出血症と診断され、約2カ月後に死亡したという。

インターネット上にも「被害」の訴えは多い。

6月には都内の医師のブログに「悲劇を繰り返さないため何かできないものでしょうか」と訴える書き込みがあった。血液のがんの悪性リンパ腫で友人を失ったという人物の書き込みで、友人はホメオパシーでがんを治そうと通常の治療を拒否。結果、病院に運び込まれた時には、すでに手遅れになっていたという。

このブログを開設する大塚北口診療所の梅沢充医師は「自分が実際に診た人のなかにも、ホメオパシーに頼った結果、手遅れになったがん患者がいる」と証言する。

梅沢さんは患者を病院から遠ざける一因に「好転反応」という用語を挙げる。

好転反応について、ホメオパシー医学協会の由井さんは「症状は有り難い」との持論で説明する。ホメオパシー治療では、病気の症状がかえって激しく出ることがあるが、それは治療で自己治癒力が向上したことの証しの「好転反応」で、有り難いことなのだ、という理論だ。こんな極論を信じた結果、患者は症状が悪化しても「良くなっている」と思いこみ、病院に行くのを拒否する、というのが梅沢さんの指摘だ。

ホメオパシーの効果については、玉石混交の論文が多数書かれている。05年にスイスのベルン大学のチームが、110件の研究から極めて良質な8件を選び出し、ホメオパシーの効果の有無を総合判定する論文を英医学誌ランセットに報告した。チームは、良質な論文群を包括的に分析した結果、「ホメオパシーはプラセボ(偽薬)効果に過ぎない」と結論づけた。

偽薬効果とは、薬効が全くない物質でも、本人が「効く」と信じて飲めば効くことがあるという効果のことだ。つまり、ベルン大の結論は「ホメオパシー自体には、治療効果は全くない」ということを意味している。

さらに今年2月、英国議会下院の委員会は、ベルン大の報告など多くの報告例を調査検討した結果「ホメオパシーには偽薬以上の効果はないので、英国の公的医療の対象から外すべきだ」とする270ページをこす勧告を英政府に提出した。効果がないことについては「再調査の必要すらない」とまで強調している。

一方、日本の厚生労働省は今年、ホメオパシーを含む代替医療を現在の医療体制に取り込むことを検討するため、鳩山前首相の所信表明演説に基づき作業班を発足させた。

がんの代替医療の検証を行っている埼玉医科大学の大野智講師は「日本の行政はホメオパシーを含む代替医療について、ずっと当たらず障らずの立場を続けてきた。効かないものは効かないということも、国は責任を持って情報発信すべきだ」と指摘する。

◇ 担当した長野記者より ◇

この記事の掲載作業が終わった直後の7月26日、英国政府は、ホメオパシー療法への公的補助を続けると発表した。上記記事にあるように英国議会下院の委員会が、「ホメオパシーには偽薬以上の効果はないので、英国の公的医療の対象から外すべきだ」と勧告を出していた。英国政府は「ホメオパシーに医療上の効果がない」ことに関しては全く反論せず、「委員会の結論の多くについては同意する」としている。勧告に従わなかったのは「患者の選択の自由は、妨げられないから」などと説明した。

2010年7月31日付 朝日新聞東京本社朝刊beから
代替療法ホメオパシー利用者、複数死亡例 通常医療拒む

代替療法ホメオパシーを利用している人の中で、病気が悪化して死亡する例が相次いでいる。通常の医療は末期になるまで受けていなかった。東京では5月、国立市の女性(当時43)が、がんで死亡した。埼玉でも昨年5月、男児(同生後6カ月)が死亡した。女性の遺族らは先月、「憂慮する会」を設立し、ホメオパシー療法家らに真相解明を求めて運動を始めた。

5月16日、東京都東大和市内の病院の集中治療室。女性は、悪性リンパ腫が悪化して人工呼吸器を付け、声も出せない状態だった。親交のあった荒瀬牧彦牧師=めぐみ教会(東大和市)=が見舞うと、手話で3回、「ごめんなさい」と訴えた。ホメオパシーに頼り、前日に救急搬送されたばかり。入院から11日後に死亡した。

荒瀬牧師は「最後の最後になり、自分の誤りに気づいたのかもしれない」と話す。

両親によると、女性がホメオパシーを始めたのは3年前。離婚直後で精神的に不安定な時に友人に紹介された。昨春から体調を崩し、全身の痛み、強い肌荒れを訴え始めた。荒瀬牧師は何度も病院受診を勧めた。だが女性は「今までのホメオパシーの努力が無駄になる」と拒み続けたという。

5月には外出も困難に。激しい胸の痛みに母親(69)が救急車を呼ぼうとすると、「西洋医学はダメ」と最後まで拒んだ。気を失いかけたすきに、母親が救急車を要請。搬送先で、初めて悪性リンパ腫と診断された。

さいたま市では昨年5月、生後6カ月の男児が体重5千グラム前後の低体重のまま死亡した。両親は助産師の勧めでホメオパシーに傾倒。市によると、病院での男児のアトピー性皮膚炎の治療や予防接種も拒否していたという。

市児童相談所は、病院の受診拒否などを虐待と判断。保健師の指導で男児が4月に入院した際、両親が連れ戻さないよう病院に要請していた。男児は5月2日に死亡した。

ホメオパシーでは、病気の症状が重くなっても、自然治癒力が増した証拠の「好転反応」ととらえる。これが患者を病院から遠ざけているとの指摘がある。

女性や男児の両親が頼った療法家を認定した日本ホメオパシー医学協会は取材に「現代医療を否定してはいない。(女性が死亡した)案件は調査中」と回答した。(長野剛、岡崎明子)

2010年8月11日5時46分 朝日新聞
ホメオパシー自体の根拠のなさは、ブログで以下のとおり解説しています。

ホメオパシーを巡る問題(その1) 「ホメオパシー療法、信じる前に疑いを」 [10/08/03]

東京本社科学医療グループ  長野 剛
「私はホメオパシーを使っています。実際に良さも悪さも実感しています」

そんなお便りを頂きました。7月31日付の朝日新聞土曜別刷り「be」に書いた「問われる真偽 ホメオパシー療法」に対してです。

ホメオパシーとは、欧州生まれの代替医療で、最近、国内でも流行りつつあります。記事は「効かない」ことを示す報告や、効くと信じて使った結果、重大な健康被害を受けた例があるとみられることを報じたものです。

ですが、お便りをくださった方のように「実際に使った。効いた」という意見は、インターネットでもよく見ます。

あえて言います。あなたが自身の経験で「効いた」というのは、客観的な根拠には全くなりません。実は、放っておいても治ったかもしれない。ホメオパシー以外で受けている通常治療のおかげかもしれません。

実際に「効く」かどうかを確認するには、検証が必要です。

効果の検証は、医学の世界ではダブルブラインドテスト(二重盲検試験)という手法が、最上の手法とされています。「医学の世界」というと難しげですが、特に難しい理屈ではありません。

テストの原理は、患者さんに本当の薬と偽の薬を使ってもらい、効果を比較するものです。このとき、患者さんが「偽の薬だからどうせ効かない」とか「本当の薬だから効くだろう」と思うと、「病は気から」の原理で効くものも効かず、効かないものも効く、ことが起こりえます。

これを避けるために、患者さんには使う薬が本当の薬か偽薬かは言いません。さらに、お医者さんが「この人は薬を使っているから良くなるはず」と思っていると、実際よりも病気が良くなって見えるかもしれないので、お医者さんも、誰が偽薬を使っているか知らずに、テストを行います。患者さん、お医者さん双方が「本物か偽物か」を知らないので、ダブルブラインドというわけです。

良くできた検証法でしょ?

「私には効いた」というご個人の感想では、絶対的な効果を保証するものではない、ということは分かって頂けたでしょうか。

さて、今回の取材では、ホメオパシー団体からも「効く」とする「学術的」な論文を頂きました。英国のホメオパシー病院で「ホメオパシーを利用した人の7割が健康が良くなった」とするものです。ダブルブラインドの観点からすれば、突っ込みどころ満載でした。

ダブルブラインドテストを経て「効く」となれば、ホメオパシーは本物です。記事中に紹介したのは、2005年に発表された英医学誌ランセットの論文。ランセットは医学雑誌の中でも最も権威ある論文誌のひとつです。「ホメオパシーの効果」に関するテストを紹介した論文を集め、「ダブルブラインドテストがしっかりできているか」などの観点でふるい分けを行います。その上で内容を分析したところ、「ホメオパシーは効いていない」と結論づけました。

この論文では、評価する手法についても検証しています。「こんなに厳密な評価だとすべてが否定されかねないのではないか」という批判を想定したのでしょう。通常の医療で使う薬を調べた時の手法を同様に検証したところ、「薬は効く」と判断。つまり、誰もが認める結果をもたらすことから、この論文の検証手法が正しいことを示しました。

また、このランセット以外にも、多数の研究報告を分析し、「ホメオパシーは効かない」と報告した論文があり、少なくない論文がホメオパシーの効果を否定しています。

記事中に、英国会の委員会が「ホメオパシーには効果がないので、公的医療の対象から外せ」と英政府に勧告をした旨も紹介しました。

実は、beの印刷が始まったあとの7月28日、英政府が議会の勧告に従わなかったことを知りました。すぐに英政府の26日付の回答文を読んだのですが、実は、「効果がない」ことには、全く反論がありませんでした。英政府としても「ホメオパシーの医療効果上の根拠は弱く、あるいは存在しない」という認識で、勧告に従わなかったのは「患者や現場医師らには選択の自由がある」ためとのことでした。

なんだか、納得いかないのですが、ホメオパシーの業界団体によるとホメオパシーは英王室御用達だそうなので、なかなか難しいのでしょう。英議会事務局の担当者によると普通、議会の勧告には60日程度で政府の返答があるようですが、ホメオパシー問題では半年近くかかったのもそんな特殊事情のせいかもしれません。勧告をまとめた英国会の議員さんたちは、かなり思い切った行動だったのでしょう。一種、尊敬を感じます。

くどくどと書いてきましたが、何が言いたいのかというと、大事なお命や健康を守るため、もっと注意深くなって頂きたいのです。

記事で紹介したようにホメオパシーで「治る」と信じたのに治らず、なくなるケースさえもありそうだ、ということです。なので、まず、ホメオパシーを含む代替医療に頼る場合、「信頼できるものかどうか」をしっかり考えて頂きたい、と思うのです。特に重い病気を患っていらっしゃる場合、「効かない」と思えたときにはすでに手遅れ、ということもありえます。

私がホメオパシーの記事を書こうと思ったのはかなり昔です。近所のお母さんで、お子さんの食物アレルギーをホメオパシーで治そうとしていた方がいたのです。「アナフィラキシーが起こってもホメオパシーで治すの? 死ぬんじゃないか?」と思いました。

具体的な「被害」の例がつかめず、なかなか書けなかったのですが、「be」の流行紹介のコーナー(be report)で書くという手を思いつき、6月中旬に着手した次第です。

ただ、もっと具体的な「被害例」を集め、ホメオパシー治療の実際について、もっと世間に発信したいと思っています。「治る」と信じた結果、かえって通常医療を受ける機会を逸してしまったような方は、いらっしゃいませんか? ぜひ、お話をお伺いしたいと思います。お心当たりのある方はぜひ、アピタル編集部(apital&asahi.com)=&を@に変えてください=までご連絡ください。よろしくお願いいたします。

また、記事に対する通常のブログコメントもどうぞ。

ホメオパシーを憂慮すべく、牧師が立ち上がった

朝日の記事に登場する、めぐみ教会・荒瀬牧彦牧師は、「『あかつき』問題を憂慮する会」を立ち上げました。

東京・多摩地域に住むAさんという40代前半の女性は、2009年夏ごろから、ひどい皮膚の湿疹が見られるようになり、その後、顔のむくみ、体力の著しい低下も起こってきました。2010年初頭からは腹部のしこり、黄疸といった症状も出てきました。3月には黄疸が進んできました。周囲は病院での検査を勧めましたが、Aさんは「私はテルミーとホメオパシーでなおしているので大丈夫だ」と、病院での現代医療を受けることを頑なに拒否していました。個人的にも親しくし、治療していたホメオパシーの治療者(ホメオパス)は、Aさんに対して「私に任せなさい」と告げ、親御さんに対しも、「身体の治療は私に任せてほしい」と言っていました。また、実際に、Aさんが身体の症状を逐一ホメオパスに報告して、ホメオパスがそれに対して所見を述べ、レメディその他の処方を伝えていたことが、携帯メールの送受信記録で明らかになっています。
Aさんは、自分の容体悪化を終始「好転反応」ととらえていました。また、療術者の主催する勉強会で、ホメオパシー治療をしている人が病院に行くとショック死することがあると習っていました。Aさんは他の場所で自然療法・代替療法について学んだことはなく、
Aさんの知識は専らそのホメオパスから教えられたものです。Aさんはホメオパスの指導を完全に受け入れ、家族や友人からの声を聞くことができませんでした。

結局、2010年5月15日に心臓の激痛を訴え、意識を失ったところで母親が救急車を要請し、B病院に救急搬送されたのですが、病院に担ぎ込まれた時は心肺停止状態で人工呼吸器が装着されました。医師の診断は悪性リンパ腫で、肝臓に転移していました。消化管穿孔により横隔膜下にガスがはいっており、また、肺と心臓のまわりは大量の水がたまっていました。自宅での最後の数日は激痛に襲われていたと思われます。

病院ではもはや治療の施しようがなく、11日後にAさんは亡くなりました。Aさんはホメオパスを尊敬し、自分のからだのことをすべてホメオパスに委ねていました。ホメオパスの指示にはすべて従おうとしていた証拠も残されています。わたしたちは、1)ホメオパスが病院へ行くことを勧めていたならば、Aさんは必ずそに従っていたはずなのに、そうしなかったこと、2)ホメオパスがAさんの体内で起きていることをまったく理解していなかったのにも関わらず、どんどん容態が悪化していくことを「好転反応」と考えて、良くなりつつあると考えていたこと、3)心理的な従属関係にあることを利用して、ホメオパスが自分の信奉する音楽家・カウンセラーのコンサートやカウンセリングに行くことを強く求め、その際に「あなたは病気ではない。自分の体の中から出てくる力を信じて」などと言って、もう間もなく死を迎えるという状態の患者に無理な外出を強いていたこと、4)Aさんは、療術所での勉強会の結果、「テルミー・ホメオパシーでどんな重い病もなおせる」という誤った考えを抱かされ、普通の医学的判断を受け入れる余地がなくなっていたのに、Aさんの死後ホメオパシー側は、「患者さんがご自分で望んだことで、こちらはそれにお応えしただけ」という態度であること・・・・などを深刻な問題と考えています。

マッチポンプ・ジャーナリズム

この一連の報道に関して、WEB新聞『やや日刊カルト新聞』が、朝日新聞が過去にはホメオパシー礼賛記事を載せたこともあり、子会社のカルチャースクールでは、由井寅子氏を講師に招いたこともあると取り上げています。

【社説】頑張れ朝日新聞! マッチポンプ・ジャーナリズム vs ホメオパシー

マスメディアの悪い癖は、何々(農薬だったりBSEだったり環境ホルモンだったり)が危ないと煽るだけ煽っておいて、それが杞憂だと後からわかっても火の始末をしないことです。社の報道姿勢が一貫しないことは何も朝日に限ったことではありません。元毎日新聞記者の松永和紀氏は、記者というものは短い周期で異動させられて専門分野を持てない、例えば、環境ホルモン問題が、昔言われたほどの影響はないとわかった頃、かつて環境ホルモンの煽り記事を書いた記者はもう環境省の記者クラブには残っていないという、マスメディアの人事に一因があると指摘しています。

いずれにせよ、朝日新聞は今、「消火活動」をしています。

日本ホメオパシー医学協会の反論(?)

この一連の報道に対して、日本ホメオパシー医学協会側が「反論」を始めました。

朝日新聞VSホメオパシー協会 治療に医師免許必要なのか巡り

代替医療のホメオパシーを進める団体が、医師免許がなくても治療はできるなどと、サイト上で新聞報道に反論している。こうした主張は、どれだけ根拠があるものなのか。

「限りなく薄めた毒飲み『治癒力高める』」
「ホメオパシー実態調査 助産師会乗り出す」

「当該記事は確かな取材に基づいて掲載したものです」

朝日新聞の2010年8月5日付朝刊の社会面トップに、こんな大きな見出しが躍った。

ホメオパシーとは、昆虫や植物、鉱物などを溶かした「毒」を水で薄めて振る行為を繰り返し、これを砂糖玉にしみ込ませて飲む民間療法を指す。記事では、この療法を巡って、山口市で起きた助産師による乳児死亡のようなトラブルが起きていると指摘。科学的な根拠ははっきりせず、日本助産師会が、ホメオパシーを使う助産師がどのくらいいるかなどの実態調査に乗り出したことを報じている。

これに対し、異論を唱えたのが、記事中にもある日本ホメオパシー医学協会だ。山口市の乳児死亡に関する、朝日を含めた一連の報道について、「予断をもったマスコミの報道姿勢に基づく一方的な内容の記事には、大きな問題」と指弾したのだ。

朝日の記事については、具体的な内容についても反論している。助産師会が通常の医療を否定しないよう協会側に申し入れたという点は、事実でないと指摘。この内容では、通常医療を否定していないのにそう受け止められるともした。また、薄めた毒を飲むとの点については、毒があるものもあるが、最終的には無毒化していると反論し、分子レベルで毒はほぼ残っていないという点は、1分子も残っていない、としている。

こうした主張は、本当に理由があるのか。

しかし、朝日新聞社の広報部に取材すると、コメントは明確だった。「当該記事は確かな取材に基づいて掲載したものです」というのだ。

医師しかできないかは、治療の内容による

日本ホメオパシー医学協会は、朝日の取材に対しコメントを寄せた専門家へも反論している。

記事では、ホメオパシーを治療に取り入れている医大の准教授は、レメディーと呼ばれる砂糖玉を患者に投与するのは医療行為だと指摘。そのうえで、「医師や歯科医師ら、薬の処方権がある人以外がホメオパシーを使うのは大きな問題だ」とコメントした。「西洋医学で明らかに治療できるものは西洋医学で対応するのが当たり前だ」ともいう。

これに対し、同協会は、准教授の発言は、医師法17条の解釈を間違っていると主張した。17条は「現在医学を修得した医師しか、現代医学に基づく治療をしてはならない」と解釈され、それ以外の治療は医師免許がなくてもしてもよいとしている。その上で、レメディーについては、薬ではなく食品なので医療行為に当たらず、医師でなくても患者に投与できるとしている。

医師免許がなくても治療できるというのは、本当のことなのか。

厚労省の医事課によると、医師法では、医学的な判断や技術をもってするのでなければ、患者の人体に危害を及ぼすかその恐れのある行為は、医師しかできない。これには、現代医学であるかどうかの線引きはないという。そして、「治療とは、一般的に医師の判断が必要なものを言います」とする。

ただ、医師しかできないかどうかは、治療の内容によるという。個別具体的に見ていくしかないというのだ。

同省では、鳩山前首相の提唱で、現代医学に代替医療を組み合わせた「統合医療」を進めようとプロジェクトチームで検討している。効果や安全性が確認されれば、代替医療に保険・資格制度を作る可能性があるようだ。ホメオパシーが入るかはこれから議論するといい、トラブルが報じられているだけにその行方が今後注目されそうだ。

2010/8/10 11:00 J-CASTニュース
日本ホメオパシー医学協会が言っている、「レメディーについては、薬ではなく食品なので医療行為に当たらず」云々という屁理屈、どこかで見たような気がします。いわゆる健康食品の宣伝に出てくる体験談ですね。「食品だから」と、薬よりも安全なイメージを装うやり口です。まあ、「食品」にも、前述したスギ花粉食品のようにリスクが高いものや、海外から個人輸入した「健康食品」から医薬品成分が検出されて(=未承認医薬品)死者まで出る実被害があるわけですが。「薬ではなく食品」だというのは、レメディは毒にも薬にもならない砂糖玉だと自ら認めているということですよね? いや、「毒のパターンが水に記憶される」とやらで、治療効果は確かにあるというのであれば、当然副作用のリスクも見積もらなければいけないわけですよね? 人体に対して何かしらの活性を持つのであれば、薬は毒にもなりえますから。それを、医師でもない、民間団体(それも対立関係にある複数の団体)が勝手に認定した「ホメオパス」が扱っていいのでしょうかね?

乱立している民間団体が勝手に資格を認定しているけれども、極端な話、由井寅子氏の日本ホメオパシー医学協会とも、日本ホメオパシー振興会とも無関係に、自分で勝手に認定団体を作って、自分自身にホメオパスの資格を認定して、明日からでもホメオパスになれるんですよ。医師法や薬事法に触れない範囲で。

代替医療は「カルト問題」である

かつてNIFTY-Serveでフォーラムマネージャーを務め、ネットの著名な論客である、「酔うぞ」こと山本洋三氏が、朝日の報道をブログで取り上げました。

ホメオパシー問題とは医療ネグレクトだ

「好転反応」は、この手の事件にしばしば登場するもので、わたしが応援している「真光元裁判」でも登場しました。

真光元裁判
真光元裁判・判決
に書いた通りです。

好転反応という言葉を誰が言い出したのか分かりませんが、平たく言うと「好転反応」=「症状が悪化」です。
現実は順序が逆で、症状の悪化した患者に対して、「それは好転反応だ」と通常の医療を拒否するように説得する言葉として使われているわけです。

真光元事件で、小児糖尿病の被害者が、意識不明の状態になっても「好転反応」だとしていて、医療機関への搬送が遅れて亡くなりました。

真光元裁判では、一審で被害者(原告)が敗訴していますが、控訴審が8月26日に始まります。

8月26日(木)
午前10時30分〜
東京高等裁判所824号法廷
わたしには、強力な洗脳がセットになって、事件を引き起こしているように思えます。
新聞に紹介されている例はいずれも、患者本人や、親が積極的に通常医療を拒否しているわけで、その理由が、代替医療が通常医療を否定しているから、患者本人や患者の親が代替医療を信じ込むと、通常医療を否定する、となるのです。
そのように信じ込むのは、強力な洗脳によるものだ、と解釈するべきでしょう。

人が何かを信ずるのは、程度の差はあっても自然なことですから、それを否定することは出来ません。
しかし、積極的に通常医療を拒否するというのは、患者本人ならとにかく、親が子供の医療を拒否するのは「医療ネグレクト」です。

わたしの考えでは、通常の知識(常識)のある人が、積極的に医療を拒否する場合、周囲の人たちの影響が大きいでしょう。
真光元事件は、まこも神社という宗教組織の影響を受けての事件ですし、新聞の記事のように「ホメオパシー」、「手かざし」「浄霊」などが挙げられます。
これらすべてを説明するのには、代替医療問題の本質が「カルト問題である」と言うしか無いです。

日本学術会議の会長談話

ついに、日本学術会議が会長談話を出しました。

「ホメオパシー」についての会長談話(PDF)
ホメオパシーはドイツ人医師ハーネマン(1755 - 1843年)が始めたもので、レメディー(治療薬)と呼ばれる「ある種の水」を含ませた砂糖玉があらゆる病気を治療できると称するものです。近代的な医薬品や安全な外科手術が開発される以前の、民間医療や伝統医療しかなかった時代に欧米各国において「副作用がない治療法」として広がったのですが、米国では1910年のフレクスナー報告に基づいて黎明期にあった西欧医学を基本に据え、科学的な事実を重視する医療改革を行う中で医学教育からホメオパシーを排除し、現在の質の高い医療が実現しました。

こうした過去の歴史を知ってか知らずか、最近の日本ではこれまでほとんど表に出ることがなかったホメオパシーが医療関係者の間で急速に広がり、ホメオパシー施療者養成学校までができています。このことに対しては強い戸惑いを感じざるを得ません。

その理由は「科学の無視」です。レメディーとは、植物、動物組織、鉱物などを水で100倍希釈して振盪しんとうする作業を10数回から30回程度繰り返して作った水を、砂糖玉に浸み込ませたものです。希釈操作を30回繰り返した場合、もともと存在した物質の濃度は10の60乗倍希釈されることになります。こんな極端な希釈を行えば、水の中に元の物質が含まれないことは誰もが理解できることです。「ただの水」ですから「副作用がない」ことはもちろんですが、治療効果もあるはずがありません。 物質が存在しないのに治療効果があると称することの矛盾に対しては、「水が、かつて物質が存在したという記憶を持っているため」と説明しています。当然ながらこの主張には科学的な根拠がなく、荒唐無稽としか言いようがありません。

過去には「ホメオパシーに治療効果がある」と主張する論文が出されたことがあります。しかし、その後の検証によりこれらの論文は誤りで、その効果はプラセボ(偽薬)と同じ、すなわち心理的な効果であり、治療としての有効性がないことが科学的に証明されています1。英国下院科学技術委員会も同様に徹底した検証の結果ホメオパシーの治療効果を否定しています。

「幼児や動物にも効くのだからプラセボではない」という主張もありますが、効果を判定するのは人間であり、「効くはずだ」という先入観が判断を誤らせてプラセボ効果を生み出します。

「プラセボであっても効くのだから治療になる」とも主張されていますが、ホメオパシーに頼ることによって、確実で有効な治療を受ける機会を逸する可能性があることが大きな問題であり、時には命にかかわる事態も起こりかねません。こうした理由で、例えプラセボとしても、医療関係者がホメオパシーを治療に使用することは認められません。 ホメオパシーは現在もヨーロッパを始め多くの国に広がっています。これらの国ではホメオパシーが非科学的であることを知りつつ、多くの人が信じているために、直ちにこれを医療現場から排除し、あるいは医療保険の適用を解除することが困難な状況にあります4。またホメオパシーを一旦排除した米国でも、自然回帰志向の中で再びこれを信じる人が増えているようです。

日本ではホメオパシーを信じる人はそれほど多くないのですが、今のうちに医療・歯科医療・獣医療現場からこれを排除する努力が行われなければ「自然に近い安全で有効な治療」という誤解が広がり、欧米と同様の深刻な事態に陥ることが懸念されます。そしてすべての関係者はホメオパシーのような非科学を排除して正しい科学を広める役割を果たさなくてはなりません。

最後にもう一度申しますが、ホメオパシーの治療効果は科学的に明確に否定されています。それを「効果がある」と称して治療に使用することは厳に慎むべき行為です。このことを多くの方にぜひご理解いただきたいと思います。

平成22年8月24日
日本学術会議会長
金澤一郎
ホメオパシーは「荒唐無稽」 学術会議が全面否定談話

通常の医療とは異なる民間療法「ホメオパシー」について、日本学術会議(会長=金沢一郎東大名誉教授)は24日、「科学的な根拠は明確に否定され、荒唐無稽(こうとうむけい)」とし、医療従事者が治療で使わないよう求める会長談話を発表した。山口市の女児ら死亡例が出たことを重視。通常医療から患者を遠ざける懸念があるとして、一般に広まる前に、医療現場から排除する必要があると判断した。科学者の代表機関が、特定の療法を否定するのは極めて異例だ。

金沢会長が会見で発表した。日本医師会や日本歯科医師会、日本獣医師会など6団体も談話に賛同し、会員に周知する方針だ。厚生労働省は、普及団体について、医師法や薬事法などの観点から注目し、情報収集を始めた。

会長談話では「ホメオパシーが医療関係者の間で急速に広がり、養成学校までできていることに強い戸惑いを感じる」とした上で、「治療効果は明確に否定されている」と指摘した。さらに「今のうちに、医療現場から排除されないと『自然に近い安全で有効な治療』という誤解が広がり、深刻な事態に陥ることが懸念される」として、医療関係者が治療に使うことは厳に慎むよう呼びかけた。一方で、「十分理解した上で、自身のために使用することは個人の自由」としている。

学術会議の唐木英明副会長は「(ホメオパシー治療で使うのは)『ただの水』で『副作用はない』のはもちろんだが、科学的に全否定されているものを医療従事者が使えば、患者を通常の医療から遠ざけかねず危険だ。『ホメオパシーは効かない』というメッセージを伝えることが重要と考えた」と説明した。

日本学術会議は、約84万人の科学者の代表として選ばれた210人の会員と、約2千人の連携会員からなる日本の「頭脳集団」。政府に対する政策提言や社会への啓発などを行う。

皇室医務主管で神経内科医の金沢会長や、東大名誉教授(毒性学)の唐木副会長らが約1年半前から、この問題を議論してきたという。今年に入り、ホメオパシーを受けている人の中で通常の医療を拒否して、死亡したり症状が悪化したりした疑いの濃い例が相次いで表面化した。

山口地裁では5月、新生児が一般に投与されるビタミンKを与えられず死亡したとして、ビタミンK投与の代わりにホメオパシー療法を行った助産師を相手取り損害賠償を求める裁判も起きている。こうしたことを受けて、学術会議では急きょ、会長談話を出すことを決めた。

談話の根拠として、2005年に英医学誌ランセットで発表された治療上の効果はないとする論文などを重視した。「物質が存在した記憶を水が持っている」などの主張も荒唐無稽だと指摘。英国下院科学技術委員会が出した科学的根拠がないとする勧告や、英国医学会が出した「ホメオパシーは魔術」という宣言も参考にした。

国内では主に1990年代後半から、日本ホメオパシー医学協会など複数の団体が実践、普及を進めている。同協会は、この療法を指導、指示するホメオパシー療法家の養成学校を北海道から沖縄まで全国7カ所に設置している。利用者数など詳しい実態は分からないが、食品添加物や農薬など化学物質を避けようという「自然派」志向の女性らの間で広がっている。雑誌などで「効果」をPRする著名なタレントや歌手、俳優もいる。治療に導入している大学病院もある。医学協会は、計20以上の診療所や歯科医院、動物病院と提携している。(岡崎明子、長野剛)

    ◇

会長談話について、日本ホメオパシー医学協会は「ホメオパシーの治癒効果は世界中で広く認められている。きちんと調査することもなく、荒唐無稽と断定する極めて非科学的な態度にあきれている。世界的にも普及しており、日本学術会議の見解、認識は世界の情勢と著しく乖離(かいり)している」などとするコメントを寄せた。

    ◇

〈ホメオパシー療法〉植物や昆虫、鉱物などの成分を限りなく薄めた水にして砂糖玉に染み込ませた「レメディー」を、飲み薬のようにして使う民間療法。がんや皮膚病、精神疾患などほぼすべての病気を治療できる、と普及団体は主張している。

欧州では200年の歴史があり、一部の国では公的医療保険も適用されてきた。しかし、治療上の効果はないとする研究が相次いで発表された。ドイツでは2004年から保険適用をやめた。

2010年8月25日3時7分 朝日新聞
この談話発表を受けての、記者とのやり取りの模様です。最後の、日本ホメオパシー医学協会の「記者5」が笑えます。

「ホメオパシー」についての日本学術会議会長談話の記者会見(1)

記者との懇談会という形で開かれた。前半は、勧告「総合的な科学・技術政策の確立による科学・技術研究の持続的振興に向けて」について。後半が、会長談話「ホメオパシー」について行われた。

司会 次は、ホメオパシーについての会長談話です。

金沢 これは、(資料(PDF)を)読んでいただくしかないんだな。

司会 (資料(PDF)の)うしろにホメオパシーに関する説明資料があります。これもご覧いただきながら。

金沢 読んで頂ければ、一目瞭然なんですけどね。むしろ質問を受けた方がいいかもしれない。

唐木 一番大事なところは、たぶん会長談話の一番最後の3行になります。ホメオパシーの治療効果は科学的に明確に否定されています。それを「効果がある」と称して治療に使用することは厳に慎むべき行為です。このことを多くの方にぜひご理解いただきたいと思います――というのが、一番大事なところだと思います。

司会 それでは、会長談話についてのご質問等があれば。まず、毎日新聞さんから。

記者1 談話、という形式をとられたというのはどういうことなんでしょうか。もっと強い調子のこともありうると思いますが…。

金沢 強い調子。たとえばですが、前の話ですが「あるある大辞典」で納豆食べるとやせるという話のときも、あのときも会長談話ですよ。けっこうやっているんですよ、会長談話というのは。

記者1 最近だと?

金沢 最近だと、食品安全委員会の委員が任命されない事態が起こったときとか。いわゆるリスク評価とリスク管理と、混同ではないかと。あのときは民主党に対して、言ったんだ。当時は野党でしたけどね。そういうのも談話でやっています。むかしと違うんですよね。むかしは勧告といって、もう61、62年たっているわけですが、最初は出すもののすべてが勧告。もう強烈だったんですよね。さきほど言いましたように、脳科学を推進しろ、とかそういうのは自分たちのためなんですよ。でも、そういうのはやめようと。全人類、国民のためにということで切り替わった。それ以後勧告は減りまして、大都市の災害に備えろとか、その程度になった。そういうなかで、ちょっとしたことを言おうではないかと、そういうときに会長談話というのが使われるようになったんですよね。

記者2 朝日新聞の岡崎と申します。2点ありますが、まず1点、なぜこのような会長談話をいまのタイミングで出されたのか、その背景について教えてください。

金沢 あの、これはですね、学術会議っていうのの役割と関係があるんですけどね、いくつか役割があるわけですが、たとえば政策提言ですとか、そのなかの一つに「科学リテラシーの向上」というのがあるんですよね。まあちょっと、リテラシーという言葉が適切ではないかもしれないけれども、国民のみなさんが科学に対してもっている力っていうかね、それを向上させた方がいいと。科学をもっときちんと理解していただくのがいいと。そういう役割があるんですね。そういう意味でですね、たとえばサイエンスカフェだとか、サイエンスアゴラだとか、いろいろやってはいるんですけどね。そうはいうものの、ものを申さなければならない場面というのがあるわけですよ。たとえば、これはいい例かどうかわかりませんけれども、当時の委員だった唐木先生がまとめられたんですが、BSEに対するまとめとか、最近まとめた遺伝子改変作物のまとめなどがあるわけですね。そういう科学を無視してくださらないでちゃんと理解してください、ということを言い続ける義務があるわけです。学術会議にはですね。

その一環として、いろいろなものを見ていくんです、常に。そのなかの一つにホメオパシーがありました。えー、ところがですね、ご存じのように事件が起こった。で、これは放置するわけにはいかないと思って出したわけです。もちろん決着がついていない、ということはよく知っています。しかし、さきほど最後の3行が読まれましたけれども、やはり医療関係者がこれをすすめるというのは非常に問題がある、ということであります。

記者2 2点目の質問なんですが、この談話を出すだけでなく、たとえば実態調査なり、または厚労省への働きかけとか、学術会議として何かアクションをすることは。

金沢 わかります。大変わかるのですが、あの、談話を出すことがファーストステップだと思います。さきほど「科学リテラシーの向上」といいましたが、誰が向上するのかというとそれは厚労省の方なんで、向上してもらいたい。直接自分で聞いたわけではないですが、厚生労働大臣がなにか口走ったことがあるようで、それはやはり、向こうで考えてもらわないといけない。名指しをする必要はないでしょう。わざわざ反発を招く必要はない。むしろ理解してくださるのが本来の形ではないかと。

2010年8月25日 朝日新聞(アピタル・オリジナル記事)
「ホメオパシー」についての日本学術会議会長談話の記者会見(2)

司会 ほかにございませんか?

記者3 この関係では、ホメオパシー医学協会とかホメオパシー医学会とか、「学会」という言い方をつかっているところがありますが、それに対して学術会議としての認識は。

金沢 さっきも言いましたけども、あくまでもこれはファーストステップでですね、学術会議としてはこう考えている、と申し上げたわけです。それに対してどういうレスポンスをされるか、というと、反論されるかもしれませんね。

記者4 先生の眼から見ると科学的ではないものが、一方では日本でも世界でも多くの方に、まあ日本ではそれほど多くないと思いますが、世界で一定の影響力をもっているということは、どういう背景があるのだと、いま認識されていらっしゃるのか。

金沢 それは難しい質問ですね。社会学的な考察が必要かもしれませんね。ハーネマンがこういうのを考えついた背景には、当時は本当に西洋医学というものがほとんどない時代ですから、当然といえば当然かもしれないが。いったん、しかし、西洋医学がこういうものを排除した歴史はあるんですよね。最初ゼロからこういうものがスタートして育ってきている、というわけではない。いったんこれはしずまっているんですよ。それがまた盛り返してきている、というように見えるのがたぶん大事なポイントなんだろうと思います。

それは、反省すべき点がないとはいえない。西洋医学が、患者さんたちに、苦しい思いをしている方々に、どういうアプローチをしてきたかということは、確かに問題になるかもしれません。ただそのこととですね、いいですか、そのことと、科学的に否定されていることだっていいではないか、ということは別物です。ここはあなた方には区別してもらわなければならない。科学を無視してはいけない。そういうことです。あえてここには入れておりませんが、そのほかの替わりになるいろいろなものがありますよね。それをあえて入れていないのはですね、必ずしもみんな、科学的に否定されているものではないからです。これはちょっと余計なことを言ったかもしれないけれども、科学的に否定されたものを、信じさせてはいけません。そういうことです。

記者5 日本ホメオパシー医学協会の「ホメオパシックジャーナル」をやっています。あの、今回…

金沢 議論はしませんよ。

記者5 議論ではなく、調査というのは、どのぐらいホメオパシーについてされたのでしょうか。具体的に、調査が世界中のホメオパシーについて。これを見ると、あまり深く調査されていないような。

金沢 これ見てください。

記者5 あの、、、

唐木 科学の世界では、ホメオパシーは100%否定されています。それで十分だろうと思います。

記者5 調査はどのぐらいされたのかを教えていただきたい。

唐木 調査って、何をおっしゃっているのですか?

記者5 ホメオパシーに関する。

唐木 ホメオパシーの何ですか。ホメオパシーの有効性ですか。

記者5 有効性かどうかわかりませんが、実態がどのようになっているのかという点と、あとホメオパシーが現在問題になっているといいますが、問題になっていることが事実なのかどうか、事実になっているかわかっていないものをあげられていますけども。そのへんについてどのようにお考えになっているのでしょうか。

唐木 会長がさきほどご説明されたように、科学でないものを治療と称して使うことは、適切ではない。というのが、われわれの見解です。

(会見終了)
2010年8月25日 朝日新聞(アピタル・オリジナル記事)
日本学術会議の会長談話を受けて、日本医師会、日本医学会、日本歯科医師会、日本歯科医学会、日本獣医師会、日本獣医学会、日本薬理学会が、日本学術会議会長談話に賛同の声明を出しました。

一方、日本ホメオパシー医学協会(=由井寅子系)の対立団体、日本ホメオパシー振興会会長がコメントを出しています。

日本学術会議の会長の談話

一方、ホメオパシージャパンは、日本学術会議の会長談話を受けてすぐに見解を出すといっていましたが、「後日掲載予定」とのこと。動揺しているようです。

おい長妻! この期に及んでまだ寝ぼけたこと言っているか!

国会でホメオパシーを取り上げた長妻厚労相はこの期に及んで、「ホメオパシーのデータを集めよ」と寝ぼけたことを言っているようです。

厚労相、ホメオパシー効果調べる 研究班組織へ

長妻昭厚生労働相は25日、日本学術会議の金沢一郎会長が「ホメオパシー」と呼ばれる代替医療の効果を否定する談話を発表したことを受け「本当に効果があるのかないのか、厚労省で研究していく」と述べた。視察先の横浜市内で記者団に語った。

同省は医学者らによる研究班を組織し、近くホメオパシーを含む代替医療に関するデータ集めを始める。

ホメオパシーは植物や動物、鉱物などを希釈した水を染み込ませた砂糖玉を飲む療法だが、24日に出された会長談話は「(これに頼ることで)確実で有効な治療を受ける機会を逸する可能性がある」と警告した。推進団体は談話に反発している。

2010/08/25 12:55 共同通信
国が「データ集めをする」ということは、他でもない、我々国民から徴収した血税を投入するということです。今更「データ集め」するまでもなく、既に科学的根拠が否定されているものの研究を国がやるのは、税金をどぶに捨てるのと同じです。

長妻君は野党時代「ミスター年金」と言われたけど、厚労省の問題は年金だけだと思っていて、年金以外の政策を持たず、ブレーンも周りにいないんでしょう。それとも、ホメオパシー団体から献金でも受けているんでしょうかね。

ついに日本助産師会がホメオパシーを否定

ホメオパシー普及に一役買ってきた日本助産師会ですが、ここに至ってやっとホメオパシー否定の見解を出しました。

報道関係者各位

平成 22 年 8月 26 日
社団法人日本助産師会会長 加藤 尚美
「ホメオパシー 」への対応について

今般、日本学術会議金澤一郎会長は8月24日付けで「ホメオパシー」の治療効果は科学的に明確に否定されており医療従事者が治療に使用することは厳に慎むべき行為という談話を発表されました。日本助産師会はその内容に全面的に賛成します。 日本助産師会は、山口県で乳児がビタミンK欠乏性出血症により死亡した事例を受け、ホメオパシーのレメディはK2シロップに代わりうるものではないと警告し、全会員に対して、科学的な根拠に基づいた医療を実践するよう、8月10日に勧告を出しておりますが、一昨日出されました日本学術会議の談話を重く受けとめ、会員に対し、助産業務としてホメオパシーを使用しないよう徹底いたします。

助産師は女性に寄り添い、女性の思いを受容し、援助することが使命ですが、医療現場にあり、命を預かるものとしての責務もございます。私たち助産師の言葉や行動は、女性にとって大きな影響力を持っているということも自覚しております。科学的に否定されているものを助産師が使えば、本来受けるべき通常の医療から遠ざけてしまいかねません。しかるべきタイミングで医療を受けられるようにすることは、助産師の重要な役割です。 日本助産師会としては、現段階で治療効果が明確に否定されているホメオパシーを、医療に代わる方法として助産師が助産業務として使用したり、すすめたりすることのないよう、支部を通して会員に通知するとともに、機関誌及びホームページに掲載することで、周知徹底いたします。出産をサポートし、母子の健康を守ることができるよう、会をあげて、真摯にこの問題に取り組んでまいりたいと存じます。

また、現在、分娩を取り扱う開業助産師について、ホメオパシーの使用に関する実態調査をしており、集計がまとまり次第公表いたします。 なお、妊娠出産子育て期にある女性やそのご家族におかれましても、助産師が業務においてホメオパシーを 使用しないことをご理解いただきと存じます。助産師は、 皆様にとって不利益のないよう、正確情報提供努めてまいります。

上記で引用した8月5日付の朝日の記事に登場する助産師・神谷整子氏(テレビでも「カリスマ助産師」として取り上げられた人物)は日本助産師会の理事であり、ホメオパシーを助産業務に普及させてきた張本人です。神谷氏は二階に上げられて梯子を外された格好ですが、トカゲの尻尾切りに終わらせずに、日本助産師会自らがホメオパシーを広めてしまった責任に対して反省・自己検証すべきでしょう。自己検証なき組織は、カルトと同じですから。

笑止千万・日本ホメオパシー医学協会の見解

由井寅子氏系、相当動揺してきたようですが、やっと見解が出ました。

この期に及んで「水の記憶」ですか? それとも何か、狂った頭が治る過程の「好転反応」ですかね?


 

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コメント
 
01. 2013年7月13日 07:18:31 : hLDAyrEGew
こんなケタにまで希釈しても効果あるなら。その前に残留農薬やゴキブリ駆除剤(燻煙)で死んでると思う。

02. 2013年7月14日 09:52:11 : GQrN4nKkaL
それで?
近代医療過誤で死んだ子供はいないんだw

03. 2013年7月15日 20:52:50 : dmK1UQGU3s
因果関係や効果よりも今回の乳児死亡の件では、ビタミンKが毒物か否か、
それすら判らないor理解できない助産師の存在や、そういう基礎すら教えない
ホメオパシー団体の問題とも思えます。

心理療法としては何らかの効果はあるのでしょうが、薬の代替にはならないでしょう。
そんなことは誰の目にも明らかだと思いますが、
記事にもあるとおり、若い人の
「自然な子育てに関心が集まり、化学物質が入った医師の薬に不安を持つ人が多い」
という指向は、一般市民の科学医学リテラシーの低下、医療従事者に対する
信頼関係の低下、ビジネスを優先する医薬品製造メーカーに対する不振、
マスメディアの取り扱い方、などが複雑に絡み、招いている事態と思えます。

普通の病院を訪ねて健康診断したい旨を告げても、全くそうした需要には対応できません。
酷い場合は薬を出せば良いという態度で、薬品を患者に処方として出します。
若い人がお年寄りや精神科の患者の様子を知って薬漬けで被害を受けたという
印象を抱いてもおかしくはない現実があります。
窓口レセプトの段階で事務的対応されれば、具合が悪く病院を訪ねた人にとっては、
患者に向き合っていないという印象を与える結果となるでしょう。

そうした需要と供給のミスマッチのようなものが、結果として医療に対する不審を
招いているという気がします。
結果として代替医療に向かっても治療の効果はないと思いますが、
酷い病院は素人のようだと町の住人でも噂するほどの医療機関はありますから、
最悪の場合は知識のない患者が独断で判断してしまう状況を作り出している
といえるでしょう。
今後、経済的問題が拡大すれば、その上にさらに経済的理由で代替医療を選択するような
人々も増えてくる危険があるかもしれません。

これらの点は現代医療に関わる側が改善するべき問題ではないかと思います。



04. 2013年7月28日 01:15:47 : 3PJAqRzx3M
>ビタミンKを経口投与するよう指針で促し、特に母乳で育てる場合は発症の危険が高いため投与は必須としている。

昔はそんなことしてなかったが、多くの赤ん坊は普通に育ってるよ。
大体経口投与って、ビタミンのまま消化吸収するのか?
普通アミノ酸に分解されちまうと思うんだけど。

>ビタミンKが毒物か否か、

過剰に摂取すればビタミンも中毒を起こす毒物になるよ。
サプリメントにしろ注射にしろ無駄というのが近藤誠説。


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