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大加速度地震動時における 片揺れ現象(トランポリン効果)の発見
http://www.asyura2.com/12/jisin18/msg/848.html
投稿者 taked4700 日時 2013 年 4 月 30 日 23:07:19: 9XFNe/BiX575U
 

重力加速度は980ガルです。つまり、上向きの加速度が980ガルより大きければものが跳ね上げられることになります。
 この記事で言われているトランポリン効果はこのものが跳ね上げられる現象がなぜ起こるのかの一つの説明にもなっていると思います。

 なお、上下動成分が 3866 gal という大きさは、ものが単に跳ね上げられるだけでなく、衝撃波となる可能性もあるものです。

***********************
http://www.bosai.go.jp/press/pdf/20081031_01.pdf
解禁設定有り日:
平成20年10月31日(金)AM3:00
プレス発表資料(レク付き資料配付)
平成20年10月29日
独立行政法人 防災科学技術研究所

大加速度地震動時における 片揺れ現象(トランポリン効果)の発見

独立行政法人防災科学技術研究所(理事長:岡田義光。以下、防災科研)は、
2008 年岩手・宮城内陸地震の際に、当研究所が運用する基盤強震観測網
(KiK-net)の断層極近傍観測点(一関西、IWTH25)で、4000 gal を越える大
加速度強震波形を記録しました。それらの波形データを詳細に解析したところ、
大加速度時に上下動成分の地震動が、下向きに比べて上向きに大きく揺れる非
対称性(片揺れ)が起こることを世界で初めて発見しました。さらに、この現
象は表層地盤がトランポリンの様に振る舞うことで説明可能であるとするモデ
ルを提唱し、トランポリン効果と名付けました。
この成果は、10 月 31 日に発行される米国科学雑誌サイエンスに掲載されま
す(解禁日時:日本時間 10月31日 午前3:00)。

1大加速度地震動時における片揺れ現象(トランポリン効果)の発見

◇ポイント◇
・4000 gal を超える大加速度記録を観測(2008年岩手・宮城内陸地震)
・水平動に比べ 2.5倍以上大きな上下動(最大加速度振幅)
・上下動成分が、下向きに比べて上向きに大きく揺れる非対称性(片揺れ)
・トランポリンの様に振る舞うことで説明可能であるとするモデルを提唱

1.はじめに
独立行政法人防災科学技術研究所(理事長:岡田義光。以下、防災科研)は、
2008 年岩手・宮城内陸地震の際に、当研究所が運用する基盤強震観測網
(KiK-net)の断層極近傍観測点(一関西、IWTH25)で、4000 gal を超える大
加速度強震波形を記録しました。それらの波形データを詳細に解析したところ、
大加速度時に上下動成分の地震動が、下向きに比べて上向きに大きく揺れる非
対称性(片揺れ)が起こることを世界で初めて発見しました。さらに、この現
象は表層地盤がトランポリンの様に振る舞うことで説明可能であるとするモデ
ルを提唱し、トランポリン効果と名付けました。この成果は、10 月 31 日に発
行される米国科学雑誌サイエンスに掲載されます(解禁日時:日本時間 10月31
日 午前3:00)。
2.背景:
断層近傍強震動の特徴を知ることは地震防災上きわめて重要であり、減災対
策を立てる場合に何を考慮する必要があるのかを我々に教えてくれます。この
ような研究をする上で必須となる断層近傍強震動波形データは、大地震の発生
頻度が低く対象地域が狭いことから、収録の機会はきわめて希であり、断層近
傍の地震動の大きさ(振幅)や波形のなどの特徴については、十分な知見が得
られていない状況です。日本においては、1995年に発生した兵庫県南部地震(阪
神・淡路大震災)で震度7に相当するいわゆる「震災の帯」の中で強震波形が
得られなかった反省に立って、政府が主導して高密度な強震観測ネットワーク
(K-NET、KiK-net、自治体震度情報ネットワークなど)の整備を全国規模で
進めてきた結果、徐々に断層近傍のデータが蓄積されつつあります。今回の2008
年岩手・宮城内陸地震では、断層直上の観測点においてこれまで最も大きな加
速度が記録され、新たな発見に至りました。
23.研究成果:
【観測データ】
2008年岩手・宮城内陸地震(※1)に伴い、防災科研が運用する基盤強震観
測網 KiK-net(※2)の観測点のうち、逆断層上盤側のほぼ断層中央部(震央
距離約 3 km)に位置する一関西【いちのせきにし】観測点(IWTH25)では、三
成分合成で 4022 gal(※3)という非常に大きな加速度が記録されました(図
1)。南北、東西成分がそれぞれ1143 gal、1435 gal(水平二成分合成で1434 gal)、
上下動成分が 3866 gal であり、三成分合成では重力加速度(※4)の4倍を超
えており、おそらく自由表面(free surface)における地震記録としてはこれまで
に観測された最も大きいものであると考えられます。通常は水平動が上下動に
比べ 2倍程度振幅が大きいですが、この記録は逆に、上下動が水平動に比べ 2.5
倍以上大きいという特徴を有しています。
この観測点では、深さ 260 m の観測井戸の底(S波速度が 1800 m/s を超え
る凝灰岩類)にも強震計が設置されており、南北、東西、上下成分がそれぞれ
1036 gal、748 gal、683 gal を記録しています。三成分合成では1078 gal であ
り、工学的基盤(建築物の支持基盤、概ね Vs=300〜700m/s)への入力地震動
としては相当大きなものです。地表と地中の観測記録のスペクトル比を図 2 に
示しています。
【地表上下動の非対称性】
この加速度記録において最も特異な点は、地表における上下動成分が明らか
に非対称な波形形状を示している点であり、上向きの振幅は下向きの 2.2倍以上
あります。一方、地中における上下動成分における包絡形状はほぼ上下対称で
あり、地表記録に顕著に見られる非対称はごく表層における現象であると考え
られます。地震動は一般に、波動方程式に従う(=波の伝播現象で近似できる)
と考えられています。しかしながら、上下対称な入力地震動に対して、非対称
な地震動を生むメカニズムは、これまでに知られている線形及び非線形の波動
伝播理論では説明できないものであり、今回、初めて明らかにされた現象です。
本研究においては、非対称性を定量的に議論するための指標として、S+/S– 及
び T–/T+ (※5)を提案し、非対称性が顕著である基準として S+/S– > 1.15 か
つ T–/T+ > 1.10 を採用しました。2008 年岩手・宮城内陸地震の KiK-net 一関
西観測点においては、S+/S– =1.29、T–/T+ = 1.15 となりました。
他の記録において、同様な現象が見られるかどうかを確認するため、6,800 地
震の20万以上の記録からなるK-NETとKiK-netの強震記録データベースの中
から、1G 以上の加速度を記録した 14 個の地震記象を解析したところ、そのう
3ちの2つの記録(K-NET小千谷で観測された 2004年新潟県中越地震、KiK-net
東成瀬で観測された 2008年岩手・宮城内陸地震)において、明瞭な非対称性が
認められました。このような非対称性が生まれる条件は今のところ分かってい
ませんが、今回発見された非対称性は他の地震記録にもみられることから、大
加速度の条件下で比較的一般的な現象であることが示唆されます。なお、逆の
非対称性(下向きが大きい:S+/S–及び T–/T+が有意に 1より小さい)のケース
は見あたりませんでした。
【トランポリン効果】
このような現象の成因として、表層付近の地盤が大加速度の入力により弾性
限界を超えてしまい、部分的に粒状体的な振る舞いをするモデルを提唱し、ト
ランポリン効果と名付けました。
粒状体のモデルとして砂箱を考えた場合、上向きの加速に対しては固まりと
して振る舞い、弾性的な性質を持ちます。一方、下向きの加速に対しては、そ
の加速度が小さい場合においては上向きの場合と同様な振る舞いが期待されま
すが、その加速度が重力加速度を超えると、もはや固まりとして振る舞うこと
ができず、砂同士の相互作用が極端に小さくなり、粒状体的な振る舞いが卓越
することが想定されます。
このような振る舞いは、トランポリン上で跳ねている人の挙動と似ています。
つまり、トランポリンから反発力を受けている間は大きな上向きの力を受ける
ことになりますが、宙に浮いている間は重力加速度(1G)の下向きの力を受け
るのみとなります(図3A)。この、トランポリンを模擬したモデルによる地震
動は、下向きの加速度が概ね 1G で頭打ちするのに対し、上向きの加速度が大き
いという、観測事実と整合的です。強震動時の表層媒質は、完全に粒状化する
わけではないため、弾性的な振る舞い(図3B)と粒状的な振る舞い(図3A)
の中間的な振る舞い(図3C)となると考えられます。図3Cに示したトランポ
リンモデルによる模擬波形は、図1の左下に示した観測波形の拡大図の性質を
よく再現しています。
表層地盤がどのようなメカニズムで粒状体の性質を帯びるのか、また、非対
称性を示す条件などに関しては具体的には明らかにはなっておらず、今後研究
を進めていく必要があります。
<参考資料> この研究は、以下の研究論文で発表されます:
Shin Aoi, Takashi Kunugi, Hiroyuki Fujiwara (2008), Trampoline Effect in
Extreme Ground Motion, Science 322, 727-730, doi:10.1126/science.1163113.
4○補足説明
※ 1「2008 年岩手・宮城内陸地震」:2008 年 6月 14日 8時 43分に発生(北緯 39.0度, 東
経 140.9度, 深さ 10 km, MJMA=7.2;気象庁)。防災科研の解析による特集ページ:
・www.hinet.bosai.go.jp/topics/iwate-miyagi080614/
・www.k-net.bosai.go.jp/k-net/topics/Iwatemiyaginairiku_080614/Iwatemiyaginairiku_080614_kyoshin.htm
※ 2「KiK-net(Kiban-Kyoshin Network:基盤強震観測網)」:全国にわたる総合的な地
震防災対策を推進するために、政府の地震調査研究推進本部が推進している「地震に関す
る基盤的調査観測計画」の一環として、防災科研が整備・運用している強震観測網です。
KiK-net の観測施設は、全国約 700 箇所に配置され、各観測施設には観測用の井戸(観測
井)が掘削されており地表と地中(井戸底)の 2 カ所に強震計が設置されているのが特徴
です。観測施設で観測された強震記録は直ちに、防災科研(茨城県つくば市)にある強震
観測センターに送信され、当サイトより広く一般に公開されます。また、観測井掘削時の
調査で得られた地質柱状図と検層データも当サイトより利用可能です。蓄積される強震記
録はデータベース化され、地震に関する様々な実務や研究に役立てることができます。
[参考]http://www.kyoshin.bosai.go.jp/kyoshin/
※ 3「加速度」:一定時間ごとに速度がどれだけ増加するかをあらわす物理量。日常的に
は、車が動き始めたり止まったりするときに体に後ろ向きや前向きの荷重がかかる現象な
どで加速度を実感できます。物理学的な定義は、変位(位置とほぼ同義)の二階微分、速
度の一階微分(『車が加速する』と言うときの加速とほぼ同義)。加速度に質量を掛けたも
のが力(ma=F)であることから、静的な釣り合いの関係に注目する立場から地震のインパク
ト(地震力)を見る場合、最大加速度が指標となります。 単位は、 [m/s2], [cm/s2] [gal]
([cm/s2]と[gal]は同意味) などが使われます。
[参考]http://www.k-net.bosai.go.jp/k-net/topics/chuetsuoki20070716/pgav5v20070716.html
※ 4「重力加速度 (1G)」:
地球の地表付近で、物体が重力により受けている力の大きさはその物体の質量に比例して
います。この比例定数を重力加速度と呼びます。また、これは自由落下する場合の加速度
でもあります。重力加速度は、概ね 980 gal です。
※ 5「S+/S–、T–/T+」:波形の非対称性を判定するために、今回新たに、S+/S– 及び T–/T+
の2つの指標(インデックス)を提案しました。
・振幅に関する指標:S+/S–:
上向きの包絡曲線の面積 S+と下向きの包絡曲線の面積 S–の比。
・周期に関する指標:T–/T+
下向きのパルスの周期 T–(パルス幅の逆数の2倍)と上向きのパルスの周期 T+の比。
5図1:
岩手・宮城内陸地震の際に KiK-net 一関西(IWTH25) 観測点で記録された加速度記録(左
は地表、右は地中:GL -260 m;横軸の時刻原点は 8:43:44)。各波形の上向き及び下向きの
包絡曲線を赤および青の曲線で示しています。下図は、地上・地中の上下動に関して、最
大値を含む1秒間の波形の拡大図です。
6図2:
KiK-net 一関西(IWTH25)観測点における、地上と地中の加速度波形のフーリエスペクトル
比((a) 水平動、(b) 上下動)。灰色細線及び点線はそれぞれ、最大加速度が 10 – 100 gal の
余震(16 個)の比及びそれらの平均を、太線は本震の比を示しています。これらは全て 1
オクターブ幅で平滑化されています。
地表波形と地中波形のフーリエスペクトル比は、表層による増幅係数を近似するものです。
大振幅の地震動が入力した場合には、地盤の非線形効果により、スペクトル比のピーク周
期が延び、そのピーク値が小さくなることが知られています。図に示したように、本震の
スペクトル比は、ほぼ全帯域において余震よりも小さくなっています。また、水平動にお
いては、スペクトル比のピーク周期が概ね 2 倍に延びていることが分かります。上下動に
おいても、ピークが明瞭ではありませんが長周期化の傾向が見てとれます。非線形効果に
より、地中に対する地表の波形振幅の増幅係数が小さくなる度合いは上下動に比べて水平
動の方が明らかに大きくなります。その傾向は、水平動で増幅率が低下し始める 1 Hzより
高周波数で一貫して見られますが、その差は 8 Hzより高周波数で特に顕著です。結果とし
て、本震時に大加速度が入力したにもかかわらず、上下動の加速度は非線形効果の影響を
あまり受けることなく、弱震時に近い高い増幅率により増幅されたため大きな加速度とな
り、また、高周波成分に富む波形になったと考えられます。
7図3:
A:トランポリン上の剛体運動を単純化したモデル。B:媒質の弾性変形。C:トランポ
リン上の剛体運動と媒質の弾性変形の和。KiK-net一関西観測点で記録された地表加速度波
形の特徴(振幅及び周期の非対称性)をよく再現しています。
8  

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コメント
 
01. 2013年5月01日 20:03:20 : NrnWIa4XYo
なるほど。これは重要な問題なようですね。
今の耐震設計は水平の地震を主に考えているのは誰でも知っていますが上下動はどの程度考えられているのでしょうか?
仮に「跳ね上げられる現象」なら重量1万トンの建物に、実際には2万トン相当の荷重がかかっているわけでしょう。仮に「跳ね上げられる現象」の半分である1.5倍でも15000トンの荷重です。
そこへ水平波が来たらそりゃどうなるか?
設計ではそう言った上下動と水平波が同時に来る事をどの程度まで考えているのでしょうか。
それと制振システムも建物の荷重が「跳ね上げられる現象」時にどの程度増えるか、その許容値をどこまで見ているかです。
想定外の上下動時には制振システムが機能しない事は有りうるでしょう。

02. taked4700 2013年5月01日 22:29:52 : 9XFNe/BiX575U : NPpefJo1yg
>>01

制振システムだけではなくて、物理的に鉄骨やコンクリートの強度を超えてしまう可能性があるのです。

特に高層ビルの基部のコンクリートや鉄骨が座屈してしまう可能性が強いと思います。


03. 2013年5月01日 23:49:07 : NrnWIa4XYo
01です。
「それと制振システムも建物の荷重が」と書きました通り、「制振システムだけではなくて、物理的に鉄骨やコンクリートの強度を超えてしまう可能性がある」のは認識した上でコメントしたつもりです。
それから基礎部分が損傷しなくても、「跳ね上げられる力」となる上下波と水平波が合わさった力により、建物が折り曲げられるような力を受け、それにより中間部分が損傷する事も考えられます。
チリで起きた大地震の時に耐震建物であるはずのものがそのような感じの損傷に見える写真が確かありました。
本当の理由がこれかどうかはわかりませんが。
それと想定した「強度を超えてしまう可能性がある」のは基礎の下の地盤もだと思います。
どれだけ安全率をとっているのでしょうか。
地下水とかの影響で強度などが定かではない場合もあるのではないでしょうか。
いずれにしても基礎部分に想定外に無理な力がかかったり、損傷すれば免震構造、制振システムがうまく機能しない可能性とそれによる建物全体の耐震機能の低下、については考えておかねばいけない事と、制振システムはどんな波形の水平波についてだけの想定なのか、上下動の波が同時に来る事をどこまで想定したシミュレーションして対策されたプログラムなのか、もはっきりしておくべきでしょう。

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