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オーストラリア:「アジアの世紀」を生き抜く道
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投稿者 あっしら 日時 2012 年 11 月 12 日 13:44:40: Mo7ApAlflbQ6s
 


オーストラリア:「アジアの世紀」を生き抜く道
2012.11.12(月)
(英エコノミスト誌 2012年11月3日号)


オーストラリアが自国の地理を受け入れようとしている。
30年前、オーストラリアのラガービール「フォスターズ」は、中国で足掛かりを得るのに苦労していた。
 オーストラリアのジュリア・ギラード首相いわく、今では、中国で「国(オーストラリア)を代表している」のは高級ワインの「ペンフォールド・グランジ」だという。
 ギラード首相がこうした中国の飲酒志向の変化に言及したのは、「アジアの世紀」で生き残っていくためにオーストラリアがいかに適応しなければならないかを論じる待望の白書を発表した時のことだった。


厳しい要求を盛り込んだ白書

 財務省の事務次官を長年務めたケン・ヘンリー氏が監修した新たな白書は、オーストラリアが2025年までに達成すべき一連の目標を明記している。最も厳しい要求として、すべてのオーストラリアの学校がアジアの学校と提携すること、また、上級公務員および企業の取締役の3分の1をアジアの専門家にすることを掲げている。

 経済界は概ね、白書を歓迎している。オーストラリア最大級の金融機関オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)を率いるマイク・スミス氏はこの白書を、同国が地域と関与するうえでの「道しるべ」と呼んでいる。
 かつて外交政策にはあまり関心がないと公言した指導者にしては、ギラード首相は白書に熱心に取り組んだ。アジアの「止められない」台頭に適応することが「我が国の物語の新たな章だ」と首相は話している。
 あるオーストラリア元首相はかつて、アジアというのは、欧州に向かう途中で上空を飛ぶ場所だと冗談を言ったことがある。しかし、政策立案者は少なくとも40年の間、いかにオーストラリアの目をアジアに向けさせるかに頭を悩ませてきた。
 その間、欧州諸国から移民国家オーストラリアへ流入する人口は減少していった。2011〜12年には、オーストラリアに移民した人の出身国上位10カ国のうち7カ国をアジア諸国が占め、1位がインド、2位が中国だった。イタリア語とギリシャ語に取って代わって、北京語(標準中国語)が英語の次に使用頻度の高い言語となった。

オーストラリア政府がアジアに対して抱く熱意の背景には、地域の経済的な変化の速さがある。ある予測によれば、2030年までに世界の中流階級の消費者の大半がアジア太平洋地域に住むことになるという。


資源輸出のおかげで不況知らずだったオーストラリア

 アジアの鉱物需要のおかげで、オーストラリアは景気後退に陥ることなく、世界的な景気低迷を切り抜けた。鉱業はオーストラリアの対アジア輸出の3分の2を占めており、中国向けでは、もっと比重が高い。
 だが白書は、このブームはやがて終焉を迎えると主張し、オーストラリアは豊かなアジア諸国に対し、食品やワイン、教育、医療、金融サービスなど、その他の商品・サービスを売るのがもっと上手にならなければならないと論じている。

 ヘンリー氏は現状に満足してしまうことを心配している。そしてオーストラリアが、欧州や米国こそが自国にとって自然な主要市場だという古い考え方を捨てることを願っている。
 代わりに、オーストラリアは「自国の地理を受け入れる」必要があるという。白書は、オーストラリア企業がアジア企業として適応していくモデルとして、タスマニアのブーツメーカーのブランドストーンを取り上げている。
 創業から142年経ち、アジアとの競争のせいで廃業の危機に追い込まれたブランドストーンは、ベトナム、中国、インドでの合弁事業から成長を遂げ始めている。


アジア言語の学習、ビザ規制の緩和、駐ASEAN大使の任命・・・

 ギラード首相は白書に掲げた3つの目標の実現に向け、即座に取り組むと宣言した。アジアの学校と提携を図ることで、オーストラリアの生徒は全員、「優先度の高い」アジア言語を習得するよう促される。北京語、ヒンディー語、インドネシア語、または日本語だ。

 また、アジアからの訪問者、特に中国からの観光客をもっと大勢呼び込むため、ビザの規制も緩和されることになる。さらに、オーストラリアは10カ国で構成される東南アジア諸国連合(ASEAN)に、ジャカルタ駐在の新大使を任命する予定だ。

今のところ、ギラード首相は、外交政策通の主な心配の種に対する白書の見解については明言を避けている。すなわち、オーストラリアは、最も親密な同盟国である米国と、最大の貿易相手国である中国との衝突をどうマネージしていくべきか、という問題である。

 白書によれば、オーストラリアは中国の台頭を歓迎しており、中国の軍事力増強は「その経済成長と権益拡大がもたらす自然かつ正当な結果」だと認めている。シンクタンクのローウィー研究所が最近行った世論調査では、大半のオーストラリア人が中国のことを潜在的な軍事的脅威と見なしていないことが分かった。
 アジア統合に対する白書の願望の前に立ちはだかるのは、文化的な障壁だ。


傍観者になってしまうリスクも

 ローウィー研究所による同じの調査では、アジア言語の学習を増やすことやオーストラリアがアジアの政治討論組織に加わることを支持する国民が3分の1程度に過ぎないことも分かった。アジアから投資や移民の増加を望む人は、それよりはるかに少なかった。
 会計事務所CPAオーストラリアが行った別の調査では、鉱業と農業を除くオーストラリア企業が一般に、アジア市場は国内市場より重要度が低いと評価していることも明らかになった。同調査は、オーストラリアはアジアの世紀の傍観者になる恐れがあるとの見解を示している。ギラード首相の次章の草案作りは、苦しい作業となるかもしれない。

© 2012 The Economist Newspaper Limited. All rights reserved.
英エコノミスト誌の記事は、JBプレスがライセンス契約 に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36510

 

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