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イタリア、経済改革「否定」派が猛追か 総選挙24日から投票(msn産経ニュース)
http://www.asyura2.com/12/kokusai7/msg/329.html
投稿者 こーるてん 日時 2013 年 2 月 24 日 17:34:40: hndh7vd2.ZV/2
 

http://sankei.jp.msn.com/world/news/130223/erp13022321140002-n1.htm
イタリア、経済改革「否定」派が猛追か 総選挙24日から投票
2013.2.23 21:08 (1/2ページ)

 選挙集会で支持者の若者らに囲まれるイタリアのベルサーニ民主党書記長(左から3人目)=22日、ローマ(共同)http://sankei.jp.msn.com/world/photos/130223/erp13022321140002-p1.htm
 【ローマ=宮下日出男】イタリア総選挙の投票が24日、モンティ政権による経済・財政改革路線継承の是非を争点に始まる。改革継続を掲げる中道左派連合が安定政権樹立のため、下院だけでなく、上院も制することができるかが焦点だが、情勢は混沌(こんとん)としており、改革継続が否定される結果となれば、欧州債務危機の再燃を招く恐れもある。

 最後に公表された8日の世論調査では、民主党のベルサーニ書記長率いる中道左派が、ベルルスコーニ前首相の中道右派連合を支持率で約5ポイント引き離していた。猛追する前首相の陣営はさらに差を縮めた可能性が指摘されるが、中道左派がまだリードを保っているとみられている。

 「第三極」を目指してモンティ首相が立ち上げた中道連合は、新興の政治勢力「五つ星運動」にも後れをとる。改革への国民の不満だけでなく、「選挙戦でも有権者とのコミュニケーションに問題があった」(ローマ大学のロレッラ・チェルドローニ准教授)のが響いたともされる。

 下院(定数630)では第一党に55%の議席が保証されるため、中道左派の勝利が確実視されるが、仕組みの異なる上院(定数315)では中道左派の過半数の議席獲得は微妙な情勢。上院は下院と同等の権限を持つことから、安定政権樹立のため、中道左派はモンティ首相陣営の協力が必要になるとみられる。

 ただ、選挙戦終盤には中道左派と関係の深い主要銀行や防衛関連企業のスキャンダルが浮上。既存体制批判を強める五つ星運動が再び勢いづいているともされている。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/130223/erp13022321140002-n2.htm
2013.2.23 21:08 (2/2ページ)

  また、数々のスキャンダルでイメージが低下した前首相だが、世論調査に表れていない支持層もいるとされ、中道右派の票が伸びる可能性は否定できない。

 この結果、中道左派がモンティ首相陣営と合わせても上院で過半数に届かなければ、政治情勢が混迷する恐れがある。改革路線が挫折すれば、金融市場の混乱が再燃しかねないため、「前首相はイタリアを混乱させた。有権者は正しい選択を行うと信じる」(シュルツ欧州議会議長)と“警告”する声も上がっている。投票は25日午後3時(日本時間午後11時)に締め切られ即日開票される。

転写終了

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コメント
 
01. こーるてん 2013年2月26日 11:07:57 : hndh7vd2.ZV/2 : txKoq6KBVw
ツイッター

https://twitter.com/stolz1992
石田博士 Hiroshi Ishida ‏@ishida1970asahi
イタリア総選挙)ニュース専門局skyTG24の出口調査によると、下院は中道左派が得票率34.5%で第1党となり、過半数の議席を確保。ただ上院は商都ミラノを抱えるロンバルディア州でベルルスコーニ率いる中道右派と激戦。ここで敗れると中道左派だけでは過半数を確保できない見通し。


02. 2013年2月26日 20:44:14 : FfzzRIbxkp
日本の記事の書き方が面白いです。

過半数をとれなくても上院・下院で、多数派は中道左派でした。

上院・下院とも 右派が多数派ではなかったと言う結果を伝えませんね。


03. 2013年2月26日 23:28:26 : xEBOc6ttRg
イタリア総選挙:中道左派が上院過半数届かず 改革失速も
毎日新聞 2013年02月26日 10時21分(最終更新 02月26日 13時11分)

 【ローマ福島良典】イタリア総選挙(上下両院)は25日、開票され、内務省の集計結果(開票率100%)によると、モンティ暫定首相(69)の財政再建路線の継続を掲げる中道左派連合が下院(定数630)で過半数の340議席を獲得した。だが、上院(終身議員を除く選出議員定数315)は過半数を大きく下回る。長期安定政権の樹立は困難になり、政治空白により、モンティ氏が着手した緊縮策や構造改革が失速、経済危機が再燃する可能性がある。反緊縮派の台頭でイタリアの信用が揺らぎ、ユーロ圏全体に影響を及ぼす恐れもある。

 在外選挙区などを除く当日開票分の内務省集計によると、下院はベルサーニ民主党書記長(61)率いる中道左派連合が得票率29.54%で首位。第1勢力に与えられる「ボーナス議席」を得て定数の約54%にあたる340議席を確保した。

 ベルルスコーニ前首相(76)の自由国民を軸とする中道右派連合が124議席(得票率29.18%)で続き、既成政党批判を展開するコメディアン、ベッペ・グリッロ氏(64)の政治団体「五つ星運動」は108議席(25.55%)と躍進。モンティ氏の中道勢力連合は45議席(10.56%)にとどまった。

 上院は中道左派連合113議席(31.63%)▽中道右派連合116議席(30.72%)▽「五つ星運動」54議席(23.79%)▽中道勢力連合18議席(9.13%)。上院は下院と異なり、ボーナス議席が20の州(選挙区)ごとに配分される仕組みで、中道左派連合は財政再建路線で一致するモンティ陣営と合わせても131議席で過半数には達しない。

 ナポリターノ大統領はベルサーニ氏にまず組閣を命じるとみられる。ベルサーニ氏は「微妙な情勢だが、責任を持って事にあたる」と述べ、各党と連立協議に入る用意を表明した。モンティ氏は「役割を果たす」と協議に応じる姿勢を示した。

 両院は同等の権限を持つため、政権安定には、中道左派連合が中道右派連合または「五つ星運動」と「大連立」を組むのが望ましいが、緊縮策や欧州政策で意見の隔たりが大きく連立協議は難航が予想される。協議が頓挫すれば早期再選挙の可能性も浮上する。

一方、ベルルスコーニ氏は反緊縮色を強め、ユーロ離脱の可能性も排除しない考えを示しており、「五つ星運動」はユーロ残留の是非を問う国民投票の実施を主張している。このため、中道左派連合と連立を組むには障害が多い。

 有権者は約5000万人。投票率は約75.2%で前回08年の約80.5%を下回った。


 

イタリア総選挙:「五つ星運動」躍進 政治不信の受け皿に
毎日新聞 2013年02月26日 09時56分(最終更新 02月26日 12時11分)


北部ジェノバの投票所で、投票前にメディアに囲まれる「五つ星運動」のグリッロ氏(中央)=2013年2月25日、ロイター
拡大写真
 【ローマ福島良典】25日開票のイタリア総選挙で既成政党批判を繰り広げてきたコメディアン、ベッペ・グリッロ氏(64)の政治団体「五つ星運動」が上下両院で大躍進した。国政初挑戦で事実上の「勝利」を収め、国民の間に蓄積する政治不信の根深さを浮き彫りにした形だ。インターネット主体の活動で若年層を引き付ける「五つ星運動」はイタリア政局の行方を左右する新興勢力になる。

 「内向きの政党はこれまで国民の利益を考えてこなかった。イタリアをダメにする政治家に、国民は堪忍袋の緒が切れたのだ」。ローマ中心部のホテルに設置された選挙拠点で、「五つ星運動」活動家のアレッサンドロ・カナリさん(37)が興奮気味に語った。

 イタリア政治は近年、スキャンダルの連続だった。一昨年11月に退陣した中道右派・自由国民のベルルスコーニ前首相(76)は創業したメディア企業絡みの脱税で有罪判決を受け、少女買春疑惑で公判中。最近では、中道左派・民主党に近い銀行の巨額損失隠しが表面化した。

 中道左右両陣営がすねに傷を持つ中、グリッロ氏の「政治家は退場せよ」との叫びが、若者を中心とする有権者の心をつかんだ。専門家の間からも「五つ星運動には間違った政策もあるが、発信する『政治家不信』は正しい」(アルベルト・マルティネッリ・ミラノ大学名誉教授)との指摘が出ていた。

 選挙運動中、「五つ星運動」は既成政党による金権・利権政治を批判し、「議員報酬は月額5000ユーロ(約60万円)まで」を公約に掲げた。インターネットを最大限に活用する政治手法で「カネのかからない選挙・政治」を有権者にアピールしたことも斬新に響いた。

 だが、新興市民団体ゆえに組織が脆弱(ぜいじゃく)で、政策立案能力に乏しく、国政進出にあたって準備不足である点は否めない。ユーロ残留の是非を問う国民投票の実施や、固定資産税の撤回など大衆迎合的な公約も目立つ。「どの政党とも連合は組まない」(参謀役のジャンロベルト・カサレッジオ氏)方針で、支持者の声を国政に反映させることができるかは不透明だ。

 

《 五つ星運動 》の快進撃
またもや現れたイタリアの「救世主」

ラファエレ・ロダニ *
* ボローニャ大学、歴史・人文学科所属研究員
著書『Disobbedienza』Il Mulino、Bologne、2011
訳:木下 治人
イタリア首相マリオ・モンティは、極めて率直に遺憾の意を表明した。「各国政府は、議会の決定に完全に手足を縛られている」(『シュピーゲル』紙、2012年 8月5日付け)。行政府が議会の制約を受けるのは当然のことだが、マリオ・モンティはそのことに不満のようだ。こういった民主主義に関して率直過ぎる発言を許す風潮のせいで、擬似政治運動に好都合な環境が整いつつある。そのひとつが、コメディアン、ジュゼッペ(愛称「ベッペ」)・グリッロの運動だ。[フランス語版編集部] 
« 原 文 »

地方選挙に進出した《 五つ星運動 》

今年5月、《 五つ星運動 》(イタリア語 Movimento Cinque Stelle の略称はM5S ) の候補者が、パルマ市長選で勝利した。パルマは食品産業の中心地で、パルマラット、バリッラなどの多国籍企業の本拠地である。この選挙結果が示しているように、《 五つ星運動 》は今日のイタリアの政治状況を激変させた。この運動は、ほんの二年前、コメディアン、ジュゼッペ・グリッロが設立した組織で − 『フィナンシャル・タイムズ』紙によれば、彼は「イタリアのジミニー・クリケット」的人物 (注1) といわれる − すでに三つの都市を押さえ、市町村議会・地域圏議会あわせて250人近い議員を擁するまでになっている。もし《 五つ星運動 》が総選挙で同じ得票率 (つまり18%) を得たとすれば、イタリア第二の政治勢力に躍り出て、自由国民党 (PDL) と肩を並べるようになるかもしれない。シルヴィオ・ベルルスコーニ (注2) が前首相をつとめたPDLは、現在支持率が低迷している。
《 五つ星運動 》とは?

《 五つ星運動 》は、マスコミから、きまって「ポピュリズム」だとか「反政治的活動」だとか非難されるが、国際レベルで活動を行うダイナミズムを持つと同時に、イタリアで古くからある運動でもある。《 五つ星運動 》は、ドイツの海賊党 (注3 ) やアメリカのティーパーティーとは違っているように見えるが、実は同じように、下部組織の積極関与、左右の対立の乗り越え、腐敗した既成政党の放棄を説く。また、イタリアには映画監督ナンニ・モレッティ率いる《 監視する人々 》 ― この場合は体制の監視人 、の意味 ― 、あるいは、「 清廉な手 」( 注4 ) と呼ばれる汚職摘発作戦を行った、かつての予審判事アントニオ・ディ・ピエトロが指導する《 価値あるイタリア 》、さらに《 紫の人民 》(政治色をすべて拒否) などの組織があるが、そうした組織と同じように、反汚職の闘いを彼らの政治闘争の基盤とした。グリッロ氏の運動では、環境保護に関する主張を含んだスローガン「水・環境・交通・ネットへの無料接続・開発」という五つの政策が提起されているが、それよりは、上に説明したテーマの方がこの運動の成功をよりよく説明している。

《 五つ星運動 》の、ある地方委員会のサイト上で次のような内容を読むことができる。《 五つ星運動 》は、「融通無碍な運動」「市民の自由な組織」を目指す。階級構造・セクション・会員証を持たず、基準になる考えかたは「ベッペ・グリッロのホームページにあることだけだ」。この運動に共鳴している人たちは多種多様で、たとえば政治に初めて関わり始めた人たちがいて、その大部分はどんなイデオロギーにも与しない点が特徴である。あるいは活動に失望した左翼活動家、そしてかつての新右翼・ポストファシストと呼ばれる人たちだ。こうした混交ぶりはイタリアの「赤い」州において顕著に見られる。たとえば、エミリア=ロマーニャ州では、今のところ大成功を見せている。これら混成組織の共通点は、すべての支持者が、彼らの真の代表者、唯一の公式発言者としてベッペ・グリッロ氏を認めていることである。いくつかの地方委員会の規則では、一般活動家がメディアに登場して自分の考えを述べることさえ禁じている。

グリッロ氏は、風刺を通して政治の世界に最初の1歩を踏み出した。1980年代の中頃、イタリア社会党の指導部を「盗っ人」呼ばわりしたために、公的テレビ放送から締め出され、舞台に活動の場所を見つけ、新しい道を歩き始める。20年以上前から一貫している彼の批判姿勢は、政治権力と大企業との癒着に対する辛らつな批判である。それによって、劇場・スポーツセンター・スタジアムなどの集会には、支持者の大群を引き寄せている。次に、ウェブサイト上で大衆と政策を語り合う場を作り、大衆の「本音」に働きかけ、彼らの怒りや不満を形にしようとしただけでなく、新聞やテレビなどの大メディアを手玉に取ることになった。マスコミは彼の過激な言葉に常に眉をひそめてはいたが、知らず知らずグリッロ氏の宣伝をすることになった。

グリッロ氏と彼の運動は、代替エネルギー、「スマート」交通システムなどについての有用で具体的な解決をめざしているが、これらは、彼の広報戦略のなかで、おまけみたいなものである。イスラエルの日刊紙『イディオト・アハロノト』の記者が本年6月25日、正確に指摘したように「グリッロは、支持者の期待するものをよく理解している、すばらしい俳優だ」。彼は、メディアに過度に露出することによって、彼の運動と民衆的良識(と彼が考えているもの)とをさらに結びつけることができている。グリッロ氏の発言には、きまって「同性愛嫌い」あるいは「外国人嫌い」の気持ちがにじみ出ている。たとえば、プッリャ州知事であり《 左翼、エコロジーと自由 》党創設者であるニコラ(通称「ニッチ」)・ベンドラ氏を、同性愛者であることをもって「オカマ」呼ばわりした。あるいは、イタリア生まれの移民二世にイタリア国籍を与えようとする法案は「ナンセンス」だと表明している。つい最近、グリッロ氏は「北部同盟」の意見に同調し、夏祭りの「退廃ぶり」に激しく抗議した。彼に言わせれば「あらゆる点で」家族の安逸と安全を損なうからだという。
《五つ星運動》とベルルスコーニの《フォルツァ・イタリア》

グリッロ氏の提案するモデルは、ベルルスコーニ時代に行われた極端な個人主義政策から多くのものを拝借している。しかし、ベルルスコーニ氏がカリスマ的な力を発揮できたのは、彼自身が選挙戦に直接関わり、積極的に大衆の前に顔を出したからだ。《 五つ星運動 》が行おうとしているのは、いわば「リーダーのいないリーダーシップ」を発揮することである。つまり、グリッロ氏が選挙という闘技場以外の場所で活動し、組織のスポークスマンとして、また組織の道義的指導者の役割を担うことで、世論の支持を勝ち取ろうとするものだ。

また《 五つ星運動 》は、ベルルスコーニ氏にならって政策に所有関係を持ち込む。しかもその点に関しても、さらに新機軸を打ち出している。《フォルツァ・イタリア》(「がんばれ、イタリア」の意味。ベルルスコーニ氏によって結党された政党 ) は、メディアセット・グループの宣伝とマーケティングを担うプブリタリアという会社の支援を受けていた。フォルツァ・イタリアの旗揚げの際、同党の候補者や活動家は、主にベルルスコーニ氏率いるこのグループの会社員や幹部であった。一方《 五つ星運動 》は、政治に関する「フランチャイズの親会社」に似ていて、《 五つ星運動 》という公式名も運動のロゴマークも、その権利をグリッロ氏が所有する。しかし、ブログ上に示されている「非規約」という名の規約を承認した人、地方委員会に参加して活動しようとする人は誰でも使用できる。地方委員会は、レストランのマクドナルド風に、活動・組織において活動家たちによって運営され、彼らが裁量権のほとんど全部を所有する。ただしこうした独立性があるにも拘わらずグリッロ氏に除名権があり、この運動の「精神」に照らして活動家が逸脱行為を行ったと彼が判断した場合 − こっそりと、まれには,グリッロ氏の気まぐれに左右されて − 活動家を追放することができる。たとえば5月5日、フェラーレ県の市議会議員ヴァレンチノ・タボラッチ氏は、グリッロ氏のブログ上で、たった一枚の通知書で解雇された。

《 五つ星運動 》によって推進された参加型民主主義は、インターネットへの強い期待に目が眩んだ活動家の情緒的な参加に基づくもので、仮想的な幻影に行きつく。《 五つ星運動 》の特徴的な考え方によれば、特に、ジャンロベルト・カザレッジオ氏の「予言」ビデオの中で語られているように、インターネットはコミュニケーションの道具以上の価値がある。カザレッジオ氏はコミュニケーションに関する専門家であり、グリッロ氏とは「V−Day」(「バカヤロー!デー」) ( 注5 ) の共同の創始者であり《 五つ星運動 》を軌道に乗せ、全国的に発展させた人物だ。インターネットは、新たな世界民主主義の必要条件であり、2054年には、この新しい民主主義が西洋世界 (そしてウエッブへの自由なアクセス) のロシア・中国・近東 ( 注6 ) といった非合理三世界に対する勝利となって姿を現すに違いない。

この「デジタル民主主義」の中心にあるのが、ソーシャル・ネットワーキング(SNS)「ミートアップ」で、ウェブ上の討論の場所である。ここで活動家が「出会い」、自分たちの住む町や国の抱える問題に「最良の」解決法を見つけるのである。こうしたバーチャルな領域といえば、テレビ番組の中でとても人気がある「テレヴォート[インターネット・電話投票、―訳注]」やソーシャル・ネットワークを思い出さないわけにはいかない。「考えていることを口に出して言うこと」「聞いてもらえる」という個人的ニーズが公的な事柄に対する意見と混同されている。こうした、ウエブ上での活動を除くと《 五つ星運動 》活動家の運営参加は、選挙対策本部の組織化と、運動を責任をもって担っていける候補者の選定に止まる。結局このモデルは、グリッロ氏が口をきわめて批判する政党モデルとあまり変わらないのだが…。(注7)
《 五つ星運動 》はどこに向かうのか?

一方、《 五つ星運動 》には「怒れる者たち」あるいは「ウォール街占拠」運動 ( 注8 ) との共通点はほとんど見られない ― 唯一共通する点は、非正規で働く超高学歴の活動家が多いことだ ―。グリッロ氏は、彼らと自分を同一視することを何度か試みた。違いといっても《 五つ星運動 》が「機動隊とやりあった経験がない」ことぐらいだと考えたからだ。2001年のアルゼンチンのデモで、そして今日の「怒れる者たち」が唱えているスローガンは「やつらを、みんな追い出せ!」であり、マドリッドの街頭で叫ばれているのは「今こそ真の民主主義を!」という権利要求である。このように市民が声を上げる背景には、実際、政治の根源に現体制の腐敗があると考えられているからだ。たとえば、政党の疲労と衰退が進行し ― グローバル化の推進役を果たした。 ― そして議会制民主主義の欺瞞性が暴露されたことだ。ところが《 五つ星運動 》支持者の怒りは、体制批判にではなく現体制への熱烈な擁護に転換する。彼らにすれば、体制が、腐敗した政治家によって堕落させられてしまっているだけだと言うのだ。

《 五つ星運動 》は「イタリアの衰退」に、漠然と触れることがあっても、現在の経済危機、債務と償還の圧力、あるいは日に日に増える社会不安に関しては、全く触れないとは言わないまでも、ほとんど言及しない。グリッロ氏は、ユーロ圏からの離脱の可能性について意見を求められ「私にはわからない。組織で検討することになるだろう」と言葉少なに語るのみだ。この問題に関しては、他の問題と同じように、イタリア人の平均的な考えを繰り返すだけで、新社会計画の中にその問題を組み込もうとしない。

《 五つ星運動 》の政治思想には、その過激な発言の調子とは裏腹に、新自由主義イデオロギーと同じものが見て取れる。新自由主義は、1980年代、ラテンアメリカにおいて構造調整プログラムという政策( 注9 ) を実施し、今ではヨーロッパにおける「技術」政府の運営に理論的な根拠を与えるようになった。どちらの場合にも言えることは、政治に必要なのは、基本的に行政であり、公正な知識の実行・誠実さと良識を兼ね備えた目標の実施である。フェデリコ・ピッツァロッティ氏は、思いもかけない方法で、財政力豊かな町のトップ、パルマ新市長に選ばれた。この都市は、歴史的に「赤い協同組合」と商工会議所の後押しを受けていた市である。その市長が自らに課している良識とは、官房スタッフを採用する際、過去の履歴だけを考慮し政治性を問わないというものだった。数か月経っても、新スタッフは、まだ全員そろっているわけではない…。

《 五つ星運動 》が今後どうなっていくか予想することは難しい。まだ不統一で、政治的には左右の考え方が同居しながら進行しているからだ。支持者が望むように、イタリアの政治を、劇的に、しかも民主主義的に変えていく中心的役割を担えるのだろうか?あるいは、《 五つ星運動 》に先行したすべての組織がそうであったように、既成勢力の中に埋没してしまうのだろうか?なかには、こんなことを予想する人たちがいる。20世紀のいくつかの運動体が「体制」に対する拒絶意識から生まれ、結局秩序維持の政党に変質したように、《 五つ星運動 》も保守的な運動に変身するだろうというのだ。

ひとつ確かなことがある。《 五つ星運動 》の政治は、もっぱら道徳によって導かれ「清廉潔白」さを目指していたはずなのだが、政権と初めて接触しただけで、その危うさが明らかになった。ボローニャ市議会では、争いあっている二つのグループが『秘密ファイル』紙上で暴露合戦を演じ、互いに脅かしあっている。パルマでは《 五つ星運動 》の新市長のもとで都市計画がすすめられ、能力と専門性を買われて登用された助役が、なんと就任する前に辞任せざるを得なかった。過去において、不動産をめぐり、わずかばかりの不正を犯し自分の会社を倒産させてしまったかどで《 五つ星運動 》から非難されたからだ。当の助役は、冷ややかに、こうコメントした。「これでは、まるで見世物小屋の人形倒しゲームだよ。一戦交えるつもりなら、やってやろうじゃないか」( 注 10 )。かつてルイジ・コメンチーニ監督の映画 (『 L'Imposteur 』, 1982年) の中で、グリッロ氏演じる、ある有名な説教家がこんなことを言っていた。「いまだかつて過ちを犯したことがない者だけが、最初に石を投げよ…」( 注 11 )。



(1) Beppe Severgnini, ≪ The chirruping allure of Italy's Jiminy Cricket ≫, Financial Times, Londres, 5 juin 2012.
(2) PDLは、2012年5月の選挙で、大都市における、既存のほとんど全部の議席を失った。カルロ・ガッリ、「ベルルスコーニ氏、『妙手』の理論家」。 Le Monde diplomatique, septembre 2009。参照。
(3) le Parti des pirates en Allemagne ドイツの海賊党。  ドイツの政党。スウェーデンの海賊党をモデルにしている。2006年に結党。 海賊 (pirat) とは著作権上の海賊行為を指し、現行の著作権制度に従わない人々へのレッテルを逆手に取った名称。海賊党が掲げる政治目標は著作権・特許・商標といった知的財産権の保護、インターネット上及び日常生活における個人のプライバシーの尊重である。それ以外の政治的イデオロギーを掲げない。右翼・左翼といった概念から独立した立場を維持すると宣言されている。2012年4月、支持率が13%。第3党に躍進している。[訳注]
(4) Lire Francesca Lancini, ≪ La grande desillusion des juges italiens ≫, Le Monde diplomatique, juin 2010.
(5) 「V−Day」(「バカヤロー!デー」) とは、 「V」はイタリア語Vaffanculo「ヴァファンクーロ」の略で日本語に訳すと 「バカヤロー!、くそったれ!」とういうパロラッチャ (下品な言葉) で、普段公言すべき言葉ではない。グリッロ氏は、広場に数万人の市民を集め、壇上から、その禁句をあえて大声で発し政治批判をする。背景には、「政治はもういい加減にしてくれ、これ以上我慢できない」という市民の政治不信がある。[訳注]
(6) Cf. ≪ Gaia : The future of politics ≫, www.youtube. com
(7) Cf. Edoardo Greblo, La Filosofia di Beppe Grillo. Il Movimento 5 Stelle, Mimesis, Rome, 2011.
(8) 《 世界に広がる「怒れる者たち」 》   ル・モンド・ディプロマティーク日本語・電子版2012年6月号   http://www.diplo.jp/articles12/1206-2(indignes).html 参照。[訳注]
(9) 構造調整プログラム structural adjustment programs 略称SAP。 1980年代の国際債務危機の際、IMF (国際通貨基金)と世界銀行が債務危機の国々に「経済政策」を示し、受け入れるなら融資する、と条件を付けた事から始まる。この政策により、民営化、価格自由化、経済の開放などの構造改革が開始された。今日、いくつもの問題点が指摘されている。[訳注]
(10) Gazzetta di Parma, 21 juin 2012.
(11)「いまだかつて過ちを犯したことがない者だけが、最初に石を投げよ…」。 ヨハネ福音書、(7章53〜8章11節)。姦通の現場で捕らえられた女の処分に関するイエスの言葉。律法では、姦通に対して死刑を定めている。石打刑の場合、告発した者または証人が最初に石を投げることになっていた。[訳注]
       
(ル・モンド・ディプロマティーク日本語・電 子版2012年9月号) 


04. 2013年3月01日 11:43:15 : xEBOc6ttRg
第785回】 2013年3月1日 週刊ダイヤモンド編集部
イタリア総選挙は最悪の結果でも
意外に冷静を保った市場の反応
 市場は欧州債務危機を冷静に捉えつつある。イタリアの総選挙の結果は、緊縮策継続を期待していた市場にとって最悪のものだった。

 にもかかわらず、選挙結果が判明した2月26日はイタリアの株価と国債市場、ユーロも急落したものの、翌27日には反発し、落ち着きを取り戻した。同日のイタリアの10年国債入札も、応札倍率が1.654倍と需要は旺盛だった。

 緊縮財政継続を掲げる中道左派連合は下院では過半数を制したものの、上院では定数の4割前後の議席しか獲得できなかった。モンティ首相率いる会派を合わせても上院の過半数に届かない。

 中道左派連合は連立政権を模索するしかないが、緊縮策の見直しを掲げ躍進したグリッロ氏が率いる五つ星連合は、既成政党の政権を支持しないとしている。中道左派連合の一員である自由党は、五つ星連合同様、緊縮策見直しを公約に挙げたベルルスコーニ前首相率いる中道右派連合との連立を拒否した。

 再選挙の公算は小さくなく、たとえ連立政権が樹立されたとしても、モンティ首相が進めてきた緊縮路線の見直しは避けられない。

 以前であれば、政局の混乱、財政状況の悪化を嫌ってユーロが続落しイタリアの国債利回りが上昇(価格は下落)を続ける局面だ。しかし、今回市場の反応は違った。

 それはなぜか。

 ECB(欧州中央銀行)による重債務国の国債無制限買い入れなどセーフティネットが整備されたことで、市場はいたずらに不安にかられることなく、重債務国の財政を冷静に分析できるようになったとみられる。

 IMF(国際通貨基金)の予測によれば、基礎的財政収支黒字のGDP(国内総生産)に対する比率は2011年0.77%だったが12年には2.64%に達する見通しだ。これはドイツの12年見通しの1.44%を上回る。基礎的財政収支が黒字であれば、債務残高は減少していく。

 また、「中道右派連合は緊縮策の見直しを主張しているが、歳出削減も主張している。グリッロ氏が率いる五つ星連合も構造改革に前向きである」(田中理・第一生命経済研究所主任研究員)。モンティ首相の厳格な緊縮財政政策と構造改革路線は見直しを迫られるが、放漫財政に戻って改革が全く進まないというわけではなさそうだ。

 こうした状況を、市場は織り込んでいる。だから、国債やユーロ続落といったパニックを起こすことなく落ち着いているのだろう。欧州債務危機への市場の反応の潮目は変わりつつある。

 (「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田孝洋)


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