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核兵器のない世界実現へ/オバマ氏は追求を/米紙(=ニューヨーク・タイムズ)が社説〔しんぶん赤旗〕
http://www.asyura2.com/12/kokusai7/msg/333.html
投稿者 gataro 日時 2013 年 2 月 26 日 17:32:43: KbIx4LOvH6Ccw
 

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-26/2013022607_01_1.html


「しんぶん赤旗」 2013年2月26日(火)
核兵器のない世界実現へ/オバマ氏は追求を/米紙(=ニューヨーク・タイムズ)が社説


 【ワシントン=山崎伸治】24日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は、オバマ米大統領に対し、1期目に掲げた「核兵器のない世界」の実現という目標を引き続き追求すべきだとする社説を掲載しました。


 社説は「米国とロシアはその余裕も必要もないのに、いまだに数千の核兵器を保有している」と指摘。2010年の新戦略兵器削減条約(新START)で定めた戦略核弾頭の配備上限1550発を1000発に減らすとする補佐官らの提言を取り入れるべきだと主張しています。


 いっそうの核軍縮についてロシアと新条約を交渉しても、「いまだに冷戦時代の妄念を抱く共和党」は上院で承認しないと指摘。議会の承認を得ずに核兵器の削減を行うことは可能であり、オバマ氏はそれを追求すべきだと迫っています。


 さらに(1)包括的核実験禁止条約(CTBT)を上院で批准させる(2)「兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約」の交渉を阻んでいるパキスタンを説得する(3)配備した核兵器の警戒態勢を解く―ことも求めています。


 また核兵器の削減で世界がより安全になるだけでなく、イランや北朝鮮に核開発をやめるよう説得する米国の立場を強めると指摘。「オバマ政権も議会も財政危機に真剣に取り組むなら、肥大化した核兵器に金をつぎ込み続けることはできない」として、核兵器の維持・開発に無駄な予算を使わないよう提案しています。


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核兵器廃絶
国際


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ニューヨーク・タイムズ紙の英文記事はこちら ⇒


http://www.nytimes.com/2013/02/24/opinion/sunday/the-nuclear-agenda.html?_r=0


Editorial
The Nuclear Agenda
Published: February 23, 2013


President Obama set an ambitious goal in his first term when he endorsed the vision of an eventual world without nuclear weapons. After some early achievements, namely the New Start treaty mandating cuts in deployed strategic weapons, the effort stalled for two years until he picked up the theme again in the State of the Union address this month. Now he needs to follow through with a more sustained commitment.


To reduce reliance on nuclear weapons and halt the spread of nuclear technology, Mr. Obama has said he would engage Russia on further reductions in both countries’ arsenals. He has also vowed to take “firm action” in response to North Korean nuclear threats and do what is necessary to prevent Iran from getting a nuclear weapon.


Long after the cold war, the United States and Russia still have thousands of weapons they cannot afford and do not need, especially when the threats are militant groups and states like Iran and North Korea. For months, Mr. Obama has dragged his feet on a recommendation from his advisers to cut the number of deployed strategic nuclear warheads by at least a third, from 1,550 allowed under the 2010 New Start treaty to about 1,000.


Gen. James Cartwright, the retired vice chairman of the Joint Chiefs of Staff and a former nuclear forces commander, has argued that deterrence could be guaranteed with 900 warheads, with half deployed at any time. Still, moving to 1,000 deployed warheads would be significant. The usual course would be to negotiate a new treaty on reductions, and President Obama plans to send his national security adviser, Tom Donilon, to Moscow soon for talks. But the Russians are demanding that any treaty include restrictions on NATO and American missile defense systems in Europe. Meanwhile, Senate Republicans, who still nurture cold war obsessions, have already begun to react hysterically to talk of new weapons reductions.


Given these complications, Mr. Obama is wise to be considering an informal agreement with Russia that would provide a framework for deeper mutual cuts in the nuclear stockpiles without needing Senate ratification. Republicans no doubt will accuse him of overstepping his power, but previous presidents, including both Presidents Bush, have taken action on the nuclear issue on their own, and Mr. Obama should not rule out that possibility.


At a minimum, he could accelerate the New Start cuts to bring the number of American warheads, now about 1,700, down to 1,550 ahead of the 2018 deadline. Any further reductions beyond that must include, for the first time, warheads held in reserve and short-range nuclear weapons, as well as the deployed strategic warheads.


Mr. Obama should also try again to win Senate ratification of the Comprehensive Test Ban Treaty, which has been ratified by 159 nations but was rejected by the United States Senate in 1999, and to persuade Pakistan to stop blocking international action in the Geneva-based Conference on Disarmament on a treaty banning the production of fissile material. To lessen the chances of miscalculation or accident, he should at least remove from alert status some of the hundreds of nuclear weapons that are poised to launch within minutes.


Weapons cuts will make the world safer and strengthen America’s hand as it exhorts Iran and North Korea to halt their programs. More than that, if the administration and Congress are serious about the fiscal crisis, they cannot continue to throw money at a bloated nuclear arsenal. Washington is set to spend more than $600 billion on nuclear weapons over the next decade and will soon make decisions on modernizing the arsenal that could waste billions more. As Mr. Obama said in a 2009 arms control speech in Prague, “We must ignore the voices who tell us that the world cannot change.” He has limited time to lead the way.
 

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コメント
 
01. 2013年2月26日 22:46:54 : q931E3NW4E
人々が何を求めるか
核の撤廃か軍備の維持か
どちらをとっても恐怖か破滅かしかないのだと感じさせるこの世の道理の馬鹿馬鹿しさ

02. 2013年2月27日 00:24:24 : xEBOc6ttRg
JBpress>日本再生>国際激流と日本 [国際激流と日本]
米国で再び登場した日本の核武装論
北朝鮮の核兵器開発を封じ込める決定的な一手に
2013年02月27日(Wed) 古森 義久
 北朝鮮の核兵器開発への必死な動きは、日本にも米国にも不吉な暗い影を広げるに至った。北朝鮮が2月12日に断行した3回目の核爆発実験へのワシントンの反応は、前回も詳述した通りだった。

 ところが驚いたことに、そのワシントンで、北朝鮮の核武装への野望への抑止策として日本の核武装の可能性が改めて語られるようになった。

 韓国ではすでに核武装が現実の課題として論じられ始めたことは、産経新聞のベテラン朝鮮半島ウォッチャーの黒田勝弘記者の報道でも詳しく伝えられている。だが日本の場合、核武装などという展望は、たとえ単なる可能性だとしても政治的にはタブー中のタブーである。

 米国でもつい最近までは日本の核武装というシナリオは禁忌だった。とんでもない妄想の扱いさえされかねなかった。だが、それがつい数年のうちに大きく変わってきたのである。日本の核武装という選択が、たとえ仮定の仮定であっても実際の政策テーマとして語られるようになったのだ。朝鮮半島や中国を主体とする東アジアの安全保障の状況がそれほど激変した結果だとも言えそうである。

日本の核武装は中国にとって「最悪の恐怖」

 今回、日本の核武装の可能性を提起したのは、共和党ブッシュ前政権で国務次官や国連大使を務め、核兵器拡散防止をも担当したジョン・ボルトン氏だった。ボルトン氏は米国大手紙「ウォールストリート・ジャーナル」(2月20日付)に「北朝鮮の脅威にどう応じるか」と題する寄稿論文を発表し、その中で日本の核武装という政策選択を提起した。

 このボルトン論文は、オバマ政権内外に北朝鮮の核兵器保有を現実として受け入れ抑止や封じ込めに戦略重点を移そうとする動きがあると指摘し、その動きを「敗北主義」と断じていた。

 「北朝鮮の核武装をいまや現実として受け入れるべきだと主張する人たちは、つい最近までは北朝鮮と交渉さえ進めれば、必ずその核武装を止めさせられると主張していた。だが、いまやその同じ人たちが北の核武装を認めろと求めるのだ。そんな敗北主義は北朝鮮の核兵器をさらに増強させ、核の威嚇や拡散をもたらす危険な状況を生むことが確実だから、許容すべきではない」

 ボルトン氏はこう主張する一方、北朝鮮の核兵器を破壊するための軍事攻撃は犠牲が大きすぎるとして排した。ではどうすべきなのかというと、南北朝鮮統一によって金政権を交代させ、非核を受け入れる新政権を誕生させることを説くのだった。その統一実現には、北朝鮮にいま必要なエネルギーの90%以上を供する中国に圧力をかけて、動かし、金正恩政権を交代させて朝鮮半島の統一を目指すべきだ、とも論ずる。

 そして、もし中国がその圧力に難色を示す場合、米国は日本と韓国の核武装を現実の事態とするように動くべきだ、と強調する。ボルトン氏は日本の核武装が中国にとって「最悪の恐怖」だと評した。だからこそ中国を動かすための圧力材料に使うことに効果があると、提案するのである。

 その一方、日本の核武装が単に仮定の駆け引き材料に留まらず、実現しても構わないという見解を示唆して、次の理由をも説いている。

 「オバマ大統領が核兵器廃絶を唱えて『核なき世界』の夢を追うとなると、その一方的な核削減は逆に北朝鮮を含む他国への核拡散を招き、長年、米国の核のカサ(抑止)に守られてきた日本や韓国は(核抑止の)再考を迫られる」

 ボルトン氏はこの論文で、「北朝鮮が核兵器を威嚇の武器として、さらに好戦的な言動をとることへの対応として、韓国の政治家たちは自国も核兵器を開発することを求め始めた」、加えて「日本でも同様の(核武装賛成の)議論がひそかに語られ始めた」と述べる。

 つまりは中国に北の核武装を放棄させるための圧力材料としてだけでなく、すでにある核の脅威に対する日本の核武装にも理があるとする議論なのである。

ボルトン氏以外にもいる米国の日本核武装論者

 ボルトン氏は、日本や韓国のような「安全な諸国」であっても核兵器は拡散させないことがこれまでの米国の基本政策だったことも明記する。だがその政策を変え得る「北東アジアの新しい核の現実」が生まれ、その現実に対応する日本の核武装もあり得ると説く。

 歴代の米国の政権の核拡散防止の基本政策は変わってはいない。オバマ政権も日本の核武装に反対であることは明白である。ブッシュ前政権も同様だった。だが議会や専門家の一部には、米国に敵対し得る中国や北朝鮮が核の威力を誇示する現状では、米国と利害や価値観を共にする日本が核を持っても害はないとする意見がすでに出ていた。ボルトン氏が米国側で初めての日本核武装論者というわけでは決してないのである。

 2011年7月には下院外交委員会有力メンバーのスティーブ・シャボット議員(共和党)が日本人拉致事件の「家族会」や「救う会」代表らに「北朝鮮や中国に圧力をかけるためにも日本は自国の核兵器保有を真剣に考えるべきだ」と述べた。

 「中国は特に日本の核武装という事態を嫌うから、日本に核兵器保有への真剣な動きがあると見れば、その日本の核武装を止めるために北朝鮮への核兵器放棄を必死に求めるだろう」とシャボット議員は発言した。米国連邦議会の議員が、日本の代表と公式会合の場で日本の核武装を奨励するという実例は初めてだった。

 2009年7月の下院外交委の公聴会でも、エニ・ファレオマベガ議員(民主党)が「日本も核戦力を開発する必要があるという議論が出ても自然だ」と証言していた。同議員自身は日本の核兵器保有には反対のようだったが、日本側でそういう政策の選択が求められるようになっても不自然ではない、というのだった。

「米国はなぜ日本の核武装に反対し続けるのか」

 2006年10月には有力政治評論家のチャールズ・クラウトハマー氏が「米国は、最も信頼できる同盟国で国際社会の模範的一員の日本に核兵器保有を奨励すべきだ」という正面からの日本核武装奨励論を発表していた。

 「日本は唯一の核兵器の被害国であり、これまで自国の核武装に強く抵抗する理由は明白だった。だが、常軌を逸した隣国が核兵器保有を公式に宣言するに至った現在、再考が必要になった」

 クラウトハマー氏の主張の上記部分は明らかに北朝鮮の核武装の危険性を指摘していた。同氏は中国の核兵器の存在にも同様に警告を発し、それを日本核武装の必要性の理由の一端としていた。

 「東アジアでの日本の対外政策の基本目標は、陶酔したように膨脹する中国を平和的に封じ込め、無法な北朝鮮政権に立ち向かい、民主主義を拡散する、などという諸点で米国の政策に合致する。であれば、米国としても核兵器がこれほど拡散した現状では、日本に核武装を促し、中国や北朝鮮への抑止効果を発揮させた方がアジアの安定には有用となる」

 クラウトハマー氏はこんな疑問をも呈する。

 「太平洋地域で安定し、信頼でき、民主主義の同盟国である日本が核武装することによって、米国自身の負担をも軽減することができる。それなのに米国はなぜその核武装に反対し続けるのか」

 日本国内ではいくら国家安全保障の重要性が論じられ、憲法の改正や集団的自衛権解禁の有益さが語られるようになっても、核武装というオプションまでは国政論議には出てこない。せいぜい「核武装を論じること自体を禁止すべきではない」という主張が出る程度である。

 しかし米国では、東アジアの危険な核の状況への抑止策としての日本核武装という戦略オプションがいまや再登場してきた。その現実をきちんと認識するぐらいは日本でも求められてよい姿勢だろう。


03. 2013年2月27日 14:51:34 : xEBOc6ttRg
シリア内戦解決へ対話、米露外相会談で一致


ベルリンで26日、握手を交わすケリー米国務長官(右)とラブロフ露外相=AP
 【ベルリン=三好範英】ケリー米国務長官は26日、ベルリンでラブロフ・ロシア外相と会談した。

 シリア情勢が中心議題となり、会談後、ラブロフ外相はインターファクス通信に対し、「ロシアと米国は、シリア・アサド政権と反体制勢力との間の対話実現のためにあらゆることを行う用意がある」と語り、シリア内戦を解決するため対話を促すことで両氏が一致したと述べた。ケリー氏が国務長官就任後、ラブロフ氏と会談するのは初めて。

 これに先立ち、ケリー氏はメルケル独首相、ウェスターウェレ外相と会談した。同外相との会談後の共同記者会見で、ケリー、ウェスターウェレ両氏は、米国と欧州連合(EU)との間の自由貿易協定(FTA)交渉を早急に始めることで一致したことを明らかにした。

(2013年2月27日14時22分 読売新聞)


 

ヘーゲル氏の国防長官就任、米上院が承認

 【ワシントン=中島健太郎】米上院は26日の本会議で、オバマ大統領が新国防長官に指名しているチャック・ヘーゲル元共和党上院議員(66)の承認案を賛成多数で可決した。


 ヘーゲル氏の承認手続きは、野党共和党の反対で難航し、指名から承認まで2か月近くかかる異例の事態となった。

 ヘーゲル氏はパネッタ国防長官の後任として、27日に就任する。

 大統領が指名した閣僚の人事案承認には、上院(定数100)で過半数の賛成が必要になる。ほとんどの承認案は全会一致に近い形で可決されるが、ヘーゲル氏承認案への賛成は58票にとどまり、共和党議員の反対が41票に上った。

 ヘーゲル氏は、過去に共和党議員でありながら身内のブッシュ前政権が開始したイラク戦争に反対し、イスラエルを批判するなどのリベラルな政治姿勢で知られる。承認に反対した共和党議員は「過去の発言に関する釈明が不十分だ」などと主張した。

(2013年2月27日11時08分 読売新聞) 

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04. 2013年2月27日 23:10:41 : JfFbs5hoTk

西尾幹二、怒る ↓

http://www.youtube.com/watch?v=q7UVjKOn01g


  米中結託して、日本再占領へ 
  つまり核は持たせないと。


05. 2013年3月02日 11:40:28 : xEBOc6ttRg
「袋小路のハリウッド、アメリカもまた内向きなのか?」

    ■ 冷泉彰彦:作家(米国ニュージャージー州在住)
 

 アカデミー賞の作品賞は、結局は『アルゴ』が受賞しました。私は『ゼロ・ダーク
・サーティ』の仕上がりと問題提起の鋭さを評価していました。ですが、作品自体が
パキスタンやアフガニスタンの一般の人々の敵意を喚起する性格が否定できないこと
を考えると、作品賞にもならなかったし、主演のジェシカ・チャステインが主演女優
賞も取らなかったのは良かったと思います。

 一方の『アルゴ』もイラン政府に批判されているのは事実ですが、映画がお互いの
「敵意」を刺激する度合いというのは、はるかに軽微ですし、何よりも対立を越えよ
うという意識は明確でしたから、「罪は軽い」と思います。ですが、この『アルゴ』
も、そしてチャステインを蹴落としてジェニファー・ローレンスが主演女優賞が獲得
した『世界にひとつのプレイブック(原題は "Silver Linings Playbook")』も、現
在のハリウッドが抱えている難しい問題を象徴しているように思います。

 それはハリウッドが「内向き」だということです。『アルゴ』も、『世界にひとつ
のプレイブック』も大変に素晴らしい作品だと思います。演出、演技、脚本どれを取
っても一級品だと思いますし、その意味では今回の受賞というのは十分に理解できる
ものです。ですが、問題は往年のハリウッドのように「ある種の普遍性」を目指す迫
力と言いますか、エネルギーが感じられないのです。

 世界中の人々に「自由と民主主義」であるとか「個の尊厳と輝き」「ロマンチック
・ラブ・イデオロギー」あるいは「ハッピーエンディングとアメリカンドリームとい
う楽観主義」を『世界の誰にでも分かるような』しかし『圧倒的な説得力』で示すの
がハリウッドの文化的な、そして産業としての競争力であるとしたら、その表現能力
は明らかに低下しています。

 私は『アルゴ』や『たった一つのプレイブック』が、こうしたハリウッドの「価値
観」を崩壊させているとは思いません。むしろ、大変に高度な形で「個の尊厳」を輝
きのレベルにまで表現していますし、高品質な楽観主義もそこには感じられます。繰
り返して申し上げますが、この二作が傑作であることは間違いないし、ハリウッドの
「良質な部分」を継承しているのは事実です。

 ですが、問題は「世界の誰にでも分かるように」という部分です。この部分が、こ
の二作は相当に欠落しています。明らかにアメリカの観客「だけ」を意識して、ある
いはそうは意識していなくても結果的にアメリカの観客にしか分からないような「絶
望的なローカル性」を抱えている、この二作はそう評価することができます。

 何が問題なのでしょうか? その前に両作品は何が優れているのでしょうか? 私
なりの見解を申し述べたいと思います。

 まず『アルゴ』ですが、これは1980年に発生したイラン革命と、その際にイラ
ンの民衆が憎んだパーレビ皇帝(シャー)の亡命ををアメリカが受け入れたことへの
反発から発生した、テヘランの米国大使館人質事件を題材にしたものです。

 この作品ですが、まず『ゼロ・ダーク・サーティ』と同様にCIAの礼賛映画だと
批判されますが、政治的には角度が全く違うと思います。『アルゴ』が描いているの
は、「志のある工作員が相手側文化の深い理解に基いて、相手方に自分たちの味方を
作ったり、相手方を一方的に敵視することなく、アメリカの利害に基づく様々な作戦
を実施する」という「クラシックな諜報活動」です。つまり人間(ヒューマン)によ
る諜報活動というわけです。

 この『アルゴ』ではこうした「ヒューマンな諜報活動」を描くことで、現在のアメ
リカが陥っている「有能な工作員を養成できないので、信号の盗聴や宇宙からの偵察
に頼る」といういわゆる電子諜報偏重の時代、更には「無人機による偵察と攻撃」と
いう非人道的な活動にのめり込んでいる現在のオバマCIAへの批判が込められてい
るとも言えるでしょう。

 また、カーター政権が軍を使った強襲作戦を計画するというエピソードが出てきま
すが、これは歴史的に見れば「失敗した」こと、またそのためにカーター大統領が失
脚した(と言っていいでしょう)ことがアメリカでは大変に有名です。ですから、あ
る意味で現在進行形の「イラン核開発危機」に対しても、強硬策はダメだという含意
も感じられます。

 映画の冒頭で、イラン革命の背景が非常に簡潔かつ中立的に説明されますが、その
内容にバランス感覚があることでも分かるように、決して「アメリカ万歳」という作
品ではありません。いわゆる「現地の人々」の描き方も、『ゼロ・ダーク・サーティ』
では主人公たちの視点からは、パキスタンの人々、アフガンの人々は「違和感と警戒
感の対象」としか描かれませんが(ビグロー監督はそれが良いと言っているのではな
く、そこも批判的に見てくれということなのでしょうが)、この『アルゴ』の場合は、
描写ははるかに丁寧です。

 特に、テヘランの町から雪をいだいたアルボルズ山脈の風景がたびたび描かれるこ
とで、ベン・アフレック監督は「この美しい街を戦火に晒してはならない」という暗
黙のメッセージを込めているようにも思います。勿論、ストーリーから来る必然性と
して、アメリカ人の登場人物たちは「一刻も早くイランから逃げたい」と思っている
ように描かれ、基本的に観客はそうした視点に感情移入させられるわけですが、この
映画の優れている点は決してその視点だけで描かれてはいないということです。

 それでも、今回の『アルゴ』受賞に関してはイラン政府から抗議が来ています。要
するに「反イラン映画」だというのですが、これは仕方がないでしょう。シャーの亡
命を許したアメリカへの怒りというのは、今でも宗教国家イランという若い政体の
「国のかたち」の中に組み込まれているからです。

 ただ同じ抗議の中でイラン政府は「作品賞は『リンカーン』が取ればよかった」と
しています。これは別段スピルバーグ監督を味方にしようという策謀でもなんでもな
く、この『アルゴ』も含めたアメリカの映画産業を100%敵視はしていないという
ことだと思います。この点からしても、イランが抗議したからと言って、この映画が
「アメリカ中心主義の悪い作品」だということでもないと思います。

 では、この映画は政治的な問題提起ということでも、バランス感覚という意味でも
一級の優れた作品なのでしょうか? そうだと思います。また80年代の雰囲気を再
現するための細かな演出だとか、サスペンスを途切れさせない演出と編集の技術、何
よりもエンターテインメント性と、社会性の極めて高度な両立ということでも優れた
作品です。

 ですが、問題はこうした一連の「優れた点」がアメリカ社会の文脈を無視すると、
全く見えてこないということです。CIA工作員が個人の信念で活躍したとしても、
それはそうした「スパイ文化」を全く認めない人や地域では不誠実に見えるでしょう
し、現在との比較とか、カーター政権の強硬策失敗の現在的な意味などというのも、
全くアメリカ国内の論理に過ぎません。

 そう考えると、この映画は「ある極限の状況で一人の人間が取った行動」について
「人類に普遍的な問題提起」をしているのかというと、していないのです。その点で
は『ゼロ・ダーク・サーティ』には善悪とは別の世界でそうした「人間性の普遍的な
描写」があると思いますが、この『アルゴ』の場合はそうした「深み」によって国境
を越える説得力を出しているかというとそうではないのです。

 この「内向き」という意味では『世界にひとつのプレイブック』も重大な問題を抱
えています。この作品も、大変に優れた作品であることは間違いありません。双極性
障害を抱えた男女が、その障害を抱えたままで「絆」を作っていく、その周囲も大変
な思いをしながらそれを支えていくという「美談」ですが、その障害の描き方におけ
る品位、演技による障害の再現のリアリティなど、大変に素晴らしいと思いました。

 中でも、ジェニファー・ローレンスの演技は技術的に大変に高度で、目の強さと強
い語気の表現を通じて、病的な部分とそれを越えたヒューマンな何かという部分を、
キッチリと演じていたと思います。アカデミーの主演女優賞というのも、納得させら
れるのです。

 ですが、この映画を楽しむには様々な文脈の理解が必要です。例えば、精神疾患に
対する考え方一つとっても、国によって文化が異なります。例えば患者への忌避感が
強く、隔離が基本になるような社会であれば、この映画の持つ「医師や警察が間接的
にサポートしつつ社会復帰をさせる」ような社会制度というのは、詳しい説明を要す
るでしょう。

 ちなみに、警察官が治療施設を仮出所した患者を警戒感を持って見守るというシー
ンが何度も出てきますが、これも裁判所の命令で行われていること、トラブル防止目
的と同時に患者を保護する主旨でもあることの理解がないと分かりにくいですし、そ
もそも「警察ににらまれる」とか「踏み込まれる」ことが一大事という感覚がアメリ
カでは異なるので、この点も注釈が必要になります。

 問題は、この映画の最大の表現ポイントである「病的なものと真剣に向き合う中で、
それを越えた人間性の素晴らしさを表現する」という点です。先ほどは主演のジェニ
ファー・ローレンスがそれを目の強さと語気で表現していたと言いましたが、相手役
のブラッドリー・クーパーはテクニカルにもっと高度なことを要求されていましたし、
その父親役で素晴らしい演技をしているロバート・デ・ニーロもある種「双極性的な
傾向」を、過剰感と抑制の感覚を表現しながら見事に演じていたように思います。

 ところが、問題はそうした繊細な表現の総ては「セリフ」と「目の演技」で表現さ
れているのです。勿論、ありとあらゆるドラマというのは映画であろうと舞台劇であ
ろうと、セリフと演技でできているのですが、今回の『世界にひとつのプレイブック』
に関して言うと、病的な部分とそこを突き抜けた部分というのは「翻訳のしようがな
い」のです。

 また「目の演技」が重要だといっても、字幕スーパーでは観客は演技者の「目の強
さ」を100%受け止めることはできません。字幕は画面の右とか下に出ていて、そ
ちらをチラチラと見ていると、肝心のローレンスやクーパーの「目の演技」の受容は
できないからです。

 更に言えば、この映画は背景や小道具も極めてローカルです。舞台はフィラデルフ
ィアの近郊のカトリックの人の多いコミュニティで、その空気感がよく表現されてい
ます。また、登場人物の多くがNFLのフィラデルフィア・イーグルスのファンだと
いう設定もあるのですが、イーグルスファンの生態が詳しく描かれていて、私達米国
東北部に住む人間には、冷涼な空気感と人々の人懐っこさなどがよく分かるのですが、
これも表現としては非常に内向きだと言えます。

 ちなみに、撮影監督は日本人の高柳雅暢(まさのぶ)さんで、デジタルの後処理を
かけているのでしょうが、非常にフィルム的なナチュラルな色や精細感を使っている
のと、主役たちの目の演技を含めた表情の撮り方に構図にしても深度にしても、職人
芸的な精密さを感じさせるものでした。ですが、その素晴らしさも言語と国境を越え
て良さが伝わるかは、ちょっと難しいように思います。

 どうしてこういうことになったのでしょうか? それはハリウッドが、自分たちが
大事にしている「個の尊厳と輝き」とか「ロマンチック・ラブ」あるいは「楽観主義」
に説得力を与えるためには、どうしてもアメリカ国内の微妙な文化的な文脈に深く入
って行かないとリアリティが出ないという問題があるからです。

 もっと言えば、この『世界にひとつのプレイブック』の場合は、何も双極性障害を
描く必要はないわけです。勿論、原作がそうなのでしょうが、他にも題材があるわけ
で、もっと普通の映画にすることもできるのです。ですが、それではどうにも陳腐に
なってしまうわけで、何かひねって行かないと説得力が出ないわけです。そこで双極
性障害を材料に使っているのですし、使う以上はこの病気と真剣に向かい合って、患
者さんたちにもリスペクトを感じてもらえるような作りこみもしているわけです。で
すが、プレーンなラブストーリーで、それこそ世界中の人が分かるような形で「ロマ
ンチック・ラブ」という価値観を描くことは、もう出来なくなっているのでしょう。
それは、ハリウッドの抱えた根深い問題だと思います。

 もう一つの『アルゴ』も同じです。政治的な中立性とか、政治的な批判精神という
ものを、現在のハリウッドでは世界中に発信できるような普遍的なメッセージに仕立
てることは、非常に難しいのです。正にイラン政府が言うように『リンカーン』には
それが感じられます。ですが、映画として『リンカーン』と『アルゴ』を比較したら、
『リンカーン』は面白くないのです。普遍的な価値を堂々と描いても、どこかリアリ
ティを感じられない、アメリカの観客も行き詰っていて、そのような袋小路に入って
しまっているからです。

 日本ではここ数年、急速に「ハリウッド離れ」が進んでいるように思われます。そ
の背景には、「日本の内向き志向」があるように思って来ましたし、それも一部の要
素としてはあると思います。ですが、日本側が内向きになっているだけでなく、映画
を制作するハリウッドもまた「内向き」になっているのです。複雑なアメリカの同時
代性、生活感覚が重要な背景として使われることで、またセリフの非常に高度な演技
に表現を託してしまうがゆえに、国境や言語のカベを超えられない作品が多くなって
きているのだと思います。
 


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