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イラン:獄中の著名な反体制派  健康状態に重大な懸念 政治囚に定期的な面会と適切な医療を  ヒューマン・ライツ・ウオッチ
http://www.asyura2.com/12/kokusai7/msg/551.html
投稿者 ダイナモ 日時 2013 年 7 月 08 日 22:03:11: mY9T/8MdR98ug
 

2013年07月04日

(ベイルート)−イランは、囚人への適切な医療と定期的な面会をめぐり深刻な問題を抱えている。自宅軟禁中の反体制派著名人の入院と、収監中だった労働運動家の死は、これを浮き彫りにするものである、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。2013年7月2日、治安部隊は、2009年大統領選候補者のミール・ホセイン・ムーサヴィー氏を、軟禁中の自宅からテヘラン市内の病院に移送した。入院先の病院で、氏は高血圧に伴う4つの合併症の治療を受けている。医師側は、ムーサヴィー氏が重い心疾患のため、定期的に検診を受ける必要があるとしてきたが、治安部隊はこれを認めてこなかった。

ムーサヴィー氏の入院の約2週間前には、労働組合活動家のアフシーン・オサーンルー氏(42)が突然亡くなった。氏は、テヘラン近郊の刑務所に、5年の刑で服役していた。当局は、死因を心臓発作と発表した。政治的な容疑で収監されている人々の家族や関係者側によれば、当局は医療へのアクセスや定期的な家族の面会を認めていないため、囚人の孤立が深まり、安全や健康状態への不安も高まっている。

「アフシーン・オサーンルー氏の早すぎる死と、ムーサヴィー氏の入院はともに、病気を抱えるイラン国内の囚人が、危うい状態にあることを浮き彫りにしている。なかでも、外部交通が遮断されている人々の状態が懸念される」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチ中東局長代理ジョー・ストークは述べた。「オサーンルー氏の正確な死因にかかわらず、秘密のおおいと、イランの政治犯がたびたび被る人権侵害は、大規模な刑務所改革が緊急に必要なことを示している。」

ムーサヴィー氏の容態に詳しい消息筋によれば、氏は心疾患が原因で、血圧が不規則に上下する。また治安部隊は、医師側の勧告にもかかわらず、最低50日ごとの定期検診を許可せず、最後に検診のために通院した際も、入院はさせなかったと述べた。ムーサヴィー氏は動脈硬化をわずらっており、2011年には血管形成手術を受けた。

当局は2011年にムーサヴィー氏を拘束した際、妻のザフラー・ラフナヴァルド氏と、もう1人の著名な2009年大統領選候補者のファーテメ・キャッルービー氏も拘束した。3人にはそれ以来、起訴も裁判もないままに、自宅軟禁命令が下されている。ムーサヴィー氏とキャッルービー氏は、エジプトとチュニジアでの民衆蜂起を支持する、非暴力デモを呼びかけた。両氏は、自宅監禁に置かれて以来、治安部隊が家族との定期的な面会を許可しないことに、繰り返し苦情を申し立てている。

他方、学生活動家のアーラシュ・サーデギー氏(26)の健康状態への懸念も高まっている。氏のハンガーストライキは5週目に入っており、エヴィーン刑務所第209区画で独房拘禁状態にあると見られる。この区画は情報省の管轄だ。刑務所当局は、最近数週間、氏に関する情報提供を一切拒んでいると、消息筋はヒューマン・ライツ・ウォッチに述べた。

モハンマド=レザー・プールシャジャリ氏は、言論関係の容疑で4年の刑を受けたブロガー。氏の娘はヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、心臓の状態がかなり悪く、治療が必要なので仮釈放を申請したが、当局に拒否されたと語った。

オサーンルー氏の家族は6月22日に、テヘランから25kmのキャラジ市にあるラジャーイー・シャフール刑務所で、氏が亡くなったことを知った。兄のマンスール・オサーンルー氏がヒューマン・ライツ・ウォッチに語ったところによれば、死亡したのは6月20日。刑務所内での心臓発作だったのは明らかにもかかわらず、当局は、発作前に病院に運んだと主張している。姉妹のフェレシュテフ氏によれば、当局は、家族に死亡の事実をすぐには伝えなかった。6月22日、家族が氏の健康状態と所在を問い合わせたのを受けて、ようやく死亡を確認した。また、病院のスタッフからは、死因を完全に特定するには最長3か月かかるかもしれない、と伝えられた。

「イラン当局は、アフシーン・オサーンルー氏の死を直ちに調査し、死因が自然なものなのか、刑務所の環境や虐待によるものなのかを、はっきりさせるべきだ」と、ストークは述べた。

アーラシュ・サーデギー氏は、2012年1月15日の逮捕以来、大半を独房拘禁状態で過ごしており、家族の定期的な面会も許可されていないと、消息筋はヒューマン・ライツ・ウォッチに述べた。また氏は、看守から虐待を受けた後の6月1日に、ハンガーストライキに入ったこと、そして刑務所当局は、家族にも弁護士にも健康状態を教えていないことを明らかにした。

サーデギー氏は、テヘランにあるアッラーメ・タバータバーイー大学の大学院生で、2009年大統領選ではムーサヴィー氏を支持した。この大統領選では、結果をめぐって大きな争いとなり、サーデギー氏は大規模デモが始まってから数回逮捕されている。2010年10月30日に、当局がサーデギー氏の身柄を確保するため、自宅を捜索した際、氏の母親は心臓発作を起こして亡くなった。

氏は逮捕を免れたものの、その後に出頭した。エヴィーン刑務所第209区画に約1年収容された後、2011年12月15日に釈放された。人権団体の報告によれば、刑務所では情報省職員による拷問や虐待が加えられ、右肩に大けがをした。

当局は2012年1月15日に、サーデギー氏の身柄を再び拘束した。テヘラン革命裁判所第26支部が「国家の安全を脅かす行為」と「反体制プロパガンダ」罪で、氏に6年の刑を宣告したことを受けたものだ。刑期は控訴審で5年に短縮され、うち4年は執行が一時停止となった。当局が現在も氏を拘束している理由は、完全には明らかになっていない。

プールシャジャリ氏(53)は、スィーアマク・メフルのペンネームでも知られるブロガー。氏は2012年10月に、刑務所で重い心臓発作を患って以来、必要な医療措置を受けることができていないと、娘のミトラー氏がヒューマン・ライツ・ウォッチに述べた。また氏によれば、キャラジ市にあるゲゼル・ヘサール刑務所の当局者は、刑務所の医師が血管造影図の撮影を求めたにもかかわらず、診察した医師に実施を許可しなかった。また動脈瘤除去の治療を受けるための仮釈放も不許可とした。

ミトラー氏は、プールシャジャリ氏は3月に呼吸困難とめまいを訴え、近くの病院に運ばれたが、当局はすぐに刑務所内の診療所に氏の身柄を戻させたとし、現在は胆石と前立腺肥大も患っていると述べた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチが入手した6月10日の録音記録では、プールシャジャリ氏と確認される声が、2010年9月12日の逮捕後の最初の収容中に、当局から殴打と拷問を受け、四本足のスツールの上に立たせられて、絞首刑にするぞと脅されたと述べている。氏はまた、当局によって8か月独房監禁状態に置かれたこと、また尋問者から、絞首刑にすると繰り返し脅迫されたと述べている。

2010年にアルボルズ革命裁判所第109支部は、プールシャジャリ氏の個人ブログの投稿内容が「国家の安全を脅かす行為」と「アーヤットラー・ホメイニーの侮辱」に該当するとし、3年の刑を宣告した。2011年12月に裁判所は「[宗教的な]神聖さの侮辱」で氏を有罪とし、刑期を1年追加した。

「囚人には、必要な治療と家族の面会に関する、あらゆる権利がある」と、前出のストークは指摘した。「しかし、報告されるのは、病に苦しむ人々が必要な医療を受けられず、家族との連絡もできないという事例ばかりだ。」


http://www.hrw.org/ja/news/2013/07/04  

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