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消費税上げ論議の問題点――欠陥だらけの「一体改革」を疑え  (森永卓郎)
http://www.asyura2.com/12/senkyo127/msg/103.html
投稿者 高橋是清会 日時 2012 年 3 月 01 日 06:08:37: fqnvpSFGv5aiA
 


森永卓郎

2012年 1月31日

なぜ、必要以上の消費税をかき集めるのか
 
 政府・与党が2012年1月6日、消費税率の引き上げを柱とする「社会保障と税の一体改革」の素案を正式決定した。野田総理は英国のチャーチル元首相の言葉を引用し、「ネバーネバーネバーネバー・ギブアップ」の精神でやり抜くと、消費税の引き上げに不退転の決意を示した。

 今回の改革案では、消費税率は現在の5%から、2014年4月に8%、2015年10月に10%へ引き上げられることが決められた。

 ただ、社会保障と税をどうリンクさせるかについて、どこまで腰を据えて考えたかについては大きな疑問が残る。

 改革案資料を読んでみると、2015年に消費税を引き上げる時点での社会保障の新たな必要額は、子ども手当、医療、介護、年金などの細かい改善をするための約3兆8000億円となっている。同時に「重点化」「効率化」という社会保障削減案も打ち出しており、それにより約1兆2000億円の削減が見込まれる。差し引きすると、約2兆7000億円の費用が必要(四捨五入の関係で引き算が合わない)だというのが社会保障改革のカネ勘定だ。

 これに対して、消費税率を5%から10%に引き上げると、13兆円が入ってくることになる。そもそも2兆7000億円の費用が必要だと言っているのに、13兆円分も消費税を上げなければならないというのは理解しがたい。

肝心の社会保障改革は、具体的内容なし
 
 政府は、消費税引き上げ分は全額社会保障財源にすると決めたので、この問題を表面上は取り繕っている。ただ、これはカネに色がついていないのをいいことにした詭弁にすぎない。まず先に消費税引き上げがあるという本音は否めない。

 社会保障改革の内容としては政策の新規性に乏しく、具体的内容にまでは踏み込まず、「図る」「検討する」「推進する」「取り組む」などの表現で言葉を濁している。何より、社会保障の基本ともいうべき年金では、民主党が掲げる最低保障年金を柱とする年金制度さえ示していない。マニフェストに書かれている年金改革の展望が一向に見えないのに、マニフェストに書かれていない消費税はスケジュール、税率までしっかり決めているというのは、どう考えても納得できない。

 消費税引き上げが、まるでお題目のようになっていることを示すのが、素案の続きだ。なんと消費税率を10%に引き上げた後も、更なる消費税増税を続けるための法整備の方針が盛り込まれているのだ。今回の改革案には、今後も無制限に消費税を引き上げていくためのロードマップが含まれていると言ってよい。

増税が可能な税目は他にもある
 
 一番おかしなところは、消費税の引き上げ以外の選択肢をきちんと検討した形跡がないことだ。もちろん、増税の前に徹底した歳出削減を行う必要があるのは言うまでもない。だが、仮に増税が避けられないとしても、増税が可能な税目は他にいくつもあるのだ。

 第一は、金融資産課税だ。いま個人金融資産が1400兆円あるから、1%課税するだけで、毎年14兆円が入ってくる。消費税率を倍増しても増収は13兆円だから、こちらの方が効果は大きい。

 こんなエピソードがある。テレビ朝日の「スーパーモーニング」のディレクターが、野田総理がまだ財務相だったころインタビューをして、「貯蓄税を導入するというのはどうでしょう」と振ってみた。すると野田財務相(当時)は明確に、「貯蓄税などという話は見たことも聞いたこともない。」と却下した。

 実は、日本は戦後しばらくの間、金融資産課税をしていたことがある。その時はなぜ失敗に終わったかというと、金融資産の捕捉が難しく、著しい不公平が生じたからだ。

 当時は株も債券もみな紙だったから、捕捉できなかったのもやむを得ない。しかし、現在ではそれらは電子化されており、一瞬のうちに低コストで全体を捕捉できる。だから何の問題もないはずなのに、検討もしないというのは、到底納得できない。

法人や資産家への課税を強化せよ
 
 第二は、法人税だ。法人税率を1%引き上げれば、3000億円の税収増になる。現在30%の法人税率は、1987年までは43.3%だったから、そこまで税率を戻せば4兆円の税収増が得られる。

 いまは不況で、企業の収益が縮んでいるからこの程度だが、平時に戻れば税収増はもっと大きくなるはずだ。

 第三は、相続税だ。2009年末の家計の正味資産は2039兆円だ。仮に30年で世代が入れ替わるとすれば、1年当たりの相続財産の発生は68兆円となる。これに一律20%の相続税を課せば、年間14兆円の税収が得られる。これも消費税増税とほぼ同じ効果がある。

 もちろん、あまり相続資産を持っていない人たちの控除をきちんと確保する必要があるが、それをやっても大きく税収は落ちないだろう。資金は高額資産家に集中しているからだ。

 いまの相続税の規模はわずか1兆4000億円。いろいろな税制上の減免措置があったり、相続資産を捕捉するのが難しかったりするからだ。そこをキチンとするように改めれば、消費税増税の必要性は吹き飛んでしまう。

 いきなりひとつの税目を引き上げると歪みが生じるというのなら、これらの税目を組み合わせればよい。それなのに、野田総理はなぜか消費税一本槍なのだ。

デフレを脱却すれば、消費税引き上げは不要
 
 そして、こうした増税よりも先行して取り組むべきなのが、デフレ脱却による自然増収だ。これが一番国民の痛みが小さいからだ。デフレに突入した1997年の税収は54兆円だった。現在の税収が42兆円だから、デフレを止めてこの時の税収に戻すだけで、12兆円の増収になる。現在検討されている消費税アップ分にほぼ匹敵する。

 デフレを脱却し、名目成長率を上げることは、それほど難しくない。マネーを増やせばいいだけだ。マネーを増やせば、為替はかなり簡単に円安になり、それだけで名目GDPが上がる。また、円が増えてモノが相対的に少なくなれば、物価は高くなる。

 逆に言えば、このまま経済成長もせず、歳出削減のための改革も先送りにして放置すれば、底に穴のあいたバケツに税金をつぎ込むように、いずれ税収が足りなくなり、財政赤字も増大して、再び増税への道を歩まざるを得なくなる。

 デフレを脱却すれば消費税は引き上げなくて済むという主張は、民主党の中では小沢・鳩山グループもしているし、自民党の中にも同様の主張をする人がたくさんいる。野田総理はそうした声になぜ耳を傾けないのか。デフレを脱却して困る人はいないはずだ。

 何よりデフレのまま消費税増税を行うというのは、狂気の沙汰としかいいようがない。

 消費税増税を言う前に、これらの方策がなぜ駄目なのかを説明すべきだ。

前原・野田グループの暴走を許すな
 
 そうした説明責任を果たさず、あくまで消費税増税にこだわるのは、野田総理が属する前原・野田グループが、実は弱肉強食の構造改革路線の信奉者だからだ。彼らが目指しているのは政権交代可能な“保守政党”であって、そのDNAは自民党の構造改革派と同じである。

 彼らは基本的に資産家を擁護する。そして、資産家にとって一番おいしいのは、デフレが継続することだ。二束三文で株式や土地を買い占められるからだ。1997年にデフレに突入してから、株価は6割下がり、市街地価格指数はちょうど半分になっている。資産家はデフレのおかげで資産を半額で買えるようになったわけだ。

 そうした勢力の暴走を許してはならない。メディアは次第に消費税引き上げ容認に転じてきたが、今こそ国民はノーの声を突きつけるべきだ。

 繰り返しになるが、今回の改革案で提案されている政策パッケージは、マニフェスト違反と言っても差し支えない。こうした約束違反をするのなら、改めて総選挙の洗礼を受けることが必要だ。野田総理はその後に増税を主張すべきだろう。

http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20120130/297680/?P=1

 

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コメント
 
01. 2012年3月01日 09:34:38 : PZwFnyA9Bs
国民が苦労して働いて貯めたお金に課税する?
それが絶対やってはいけないことだ。
税金の二重取りになり、働く意欲を失う。

やっと貯めた資産に課税するのではなく、現に高額の収入がある者から適正な税金を徴収することが正しい。
高額所得者は、一人で鶴嘴振り回して稼いだ訳ではなく、その立場を利用して、
時にはその強い立場を悪用して、うまい事庶民の労働の成果を吸い上げているのである。
その社会的貢献度以上の法外な高収入を得ている者が殆どだ。
だから、取り過ぎた所得の一部を適正に徴税して社会に還元させる所得の再分配が
今、最も求められている。
 


02. 2012年3月01日 10:03:17 : 3oRBVaGbiY
01さん

応益負担ではなく、応能負担の方が理にかなっていると私は思うのですが…
また、「国民が苦労して働いて貯めたお金に課税する」ことと「所得の再分配」は
同じことなのではないでしょうか?

よく考えてみてください。
低所得者や貧困層の人は元からお金を持ってないことが多いですよね?
貯まり続けている莫大な資産に税金をかける方が弱者の為になるんですよ。

二重課税のことを言うなら、まず消費税の方を指摘すべきではないでしょうか。
少なくとも、デフレ下の日本では消費税より財産税の方がいいのは決まってます。

税金というのは、払える能力のある人が払うのがよいのです。
そういう意味で、消費税という制度には元から無理があるのです。
財産に課税するというのは、余裕のある人のお金を廻すことにも繋がるのです。

お金を(国内で)使えば使うほど得をするようにしなければなりません。
収入の殆どを使わざるを得ない人たちの生活のことを考えた税制にすべきです。
高所得者がなぜ力を持ってるかと云うと、お金を使わないほど得をしているから。

使わないほど得をするデフレ社会なら、金を手放さないだけで利益になるのです。
そういう状況を少しでも改善しようとするのが行政の役目だと私は思います。
お金というものは、廻り続けてこそ価値が出ますしそれが健全なことなのです。

人々が(将来を過剰に心配することなく、また仕方なく…ではなく)
喜んでお金を使えるような状況に持っていくべきです。

[参考]
何故、応能負担原則が応益負担より公平な税制と言えるか
http://akiharahaduki.blog31.fc2.com/blog-entry-649.html


03. 2012年3月01日 13:04:28 : PZwFnyA9Bs
>>02
何屁理屈捏ねてるだか w

庶民が爪に火を灯す思いで貯めた財産に課税するのが、応能負担かい?
人様の懐に目を付け、横取りしようとする強奪犯と同じ。

それよりも、現に泡銭で高額の所得を得ている者に対する所得税の累進税率の強化の方が、
応能負担ではないかな。
高額所得者のその働き以上に取り過ぎた所得に適正に課税し、
得た税金で公共工事を行って雇用を創出したり、
社会保障に回して、強制的に金を循環させることが肝要。

会社経営者の多くは、年に数千万円から数億円の報酬を得ている者がゴロゴロしている。
ソニーの会長8億円、日産の社長8億円。これは氷山の一角に過ぎない。
彼ら高額所得者の所得税を安くする為に庶民のなけなしの預金に目を付けて
搾り取ろうとするのは実にいやらしい行為である。

因みに、高額所得者はその資産を外国に移すなど幾らでも隠すことが出来るんだよ。
そう言うことが出来ない庶民がもろ被害に遭う。
そのアホ政策をしようとすれば、日本人の資産の海外流失を招き、
日本経済の低落が更に加速する。

資産税は庶民苛めの消費税と並ぶ日本破滅への序章となる悪魔の囁きだね。
 


04. 2012年3月01日 20:27:05 : erg9R9Ukdo
 どうも、官僚どもの目的は「格差拡大」ではないか。食料品非課税をなんとしても阻止しようという行動を見てみろや。
 昔から、格差こそが支配者が支配者として君臨できる必要条件ではないか。

05. 2012年3月01日 21:20:50 : 3oRBVaGbiY
>>03 さん

貴方の持ち出される理論は少し古いような気がいたします。

>庶民が爪に火を灯す思いで貯めた財産に課税する

個人金融資産を膨大に持っているのは庶民ではありません。
庶民が持っている金融資産など、富裕層に比べれば大した額ではないのです。
富裕層(上流階級)は、間違いなくある程度のそれを持っていますから、

たった1%かけるだけで安定した税収が入ってくるのです。
しかも元からそんなものを持っていない人たちの負担にはなりません。
法人税アップと金融資産税(財産税)、宗教法人税の導入は庶民を苦しめません。

公共工事をどんどん行って内需を拡大させるのもよいかもしれませんが、
それをする為のお金を庶民から収奪する様ではいけないでしょう。
また、日本の公共事業は本当に効果のある貧困対策のようには思えません。

それに加えて、社会保障にただお金をつぎ込むだけでは問題は解決しません。
「消費税を上げて社会保障の充実を!」と訴えかける誰かさんと同じでは?
生活保護制度にも限界がありますし、社会保障で経済復活は無理でしょう。

社長の給料が高いとは言っても、日本が好景気だったころと比べれば低いです。
かといって、トップだけが高い報酬を得ていることを認めるのではありませんが、
それとこれとはまた別の問題です。私も最高税率は上げてもよいと思いますが、
それだけでは国家歳入を無理なく安定的に増やすことは難しいでしょう。

>因みに、高額所得者はその資産を外国に移すなど幾らでも隠すことが出来るんだよ。

とはおっしゃいますが、電子化されていますので正しくはないでしょう。
そういうことは、導入してから訴えても良いと思うのですが。
また、所得税についても高所得者ほど捕捉率は低いといいます。

こういう言い方をすれば誤解をされるのかもしれませんが、
金融資産税の導入よりも所得税の累進課税強化の方が、
はるかに労働者の働く意欲を失わせるのではないかと私は思うのですが。

金融資産税を導入して、一番困るのは誰なのかよく考えてみてください。
所得税の最高税率を上げて累進課税の強化をしたとしても、そんなにすぐには
景気はよくならないでしょう。大企業の内部留保も金融資産もそのままだから。

要するに、バブル崩壊以降どうして日本の景気はいつまでも回復しないのか
ということをしっかり考えて行かねばならないのです。日本は内需大国です。
国内で働き、国内で消費し、国内で投資する。それが今ボロボロになっています。

どうしてそんなことになったのか。それは日本が世界で唯一デフレだからです。
デフレになったのは日銀がお金を刷らないからということだけではなく、
いつまでも給料が上がらないことによって消費を抑えるようになったからです。

社長の給料が高いとは言っても、社長の給料が下がれば当然のように順々に以下の
労働者の給料も下がっていっているのです。それを喜ぶ人は誰もいないでしょう。
とにかく、デフレから脱却できれば増税などしなくても済むということです。

金融資産税のような不労所得への課税は、デフレ脱却の足がかりとなるため、
富裕層が反発を覚えるのも当然なのでしょうけど、そもそも収入というものが
全て「国民が苦労して働いた」分の対価を反映しているという前提が違うのです。

財産を元から持っている人の場合は特に、です。
お金は貯めることもできますが、それをいつか使える状況にもするべきです。
貯めること自体は悪くないのですが、使わないほど得をするのも変な話ですよね。


06. 2012年3月01日 22:46:22 : VXP60kBWUM
>>1
猫の額ほどの土地の上の、こじんまりの住家に、収入とは無関係に固定資産税を取り立てる行政。なんの利息も稼がないこんなもの資産などと言える代物でない。
それに比べれば、自由度の高い流動資産は、より資産価値があり、当然、資産課税の対象にしてもおかしくない。それに控除という免除方法もある。金の使い道を知らない資産家の流動しない流動資産に税金をかけて、流動化を促すことに経済的メリットが生じるということは、素人にでも推測できる。

07. 2012年3月02日 00:43:38 : YenDYUZTfw
小さな政府にしないと!!

どんなに経済が縮小しても、天下りは年収数千万円を貰い続ける。
金が無ければ、増税すればいいと短絡的に考える。

だから、税の問題より、先に公務員改革なんだよ。


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