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「教育改革」にみるハシズムのグロテスク (2012.3.16記)
http://www.asyura2.com/12/senkyo127/msg/851.html
投稿者 gataro 日時 2012 年 3 月 21 日 21:27:11: KbIx4LOvH6Ccw
 

http://www.kumazawamakoto.com/essay/2012_march.html

「教育改革」にみるハシズムのグロテスク (2012.3.16記)

今回は、いわゆるハシズム(大阪市長橋下徹の政治)にみる「教育改革」について、教育論では素人ながらあえて論じてみる。このほど大阪府が提案した教育行政基本条例案、府立学校条例案、職員基本条例案を参照するかぎり、その思想と統制手法があまりにおぞましく感じられるからである。

一言でいえば、それは政治権力からの自立を原則とする戦後民主主義教育の包囲・殲滅の試みにほかならないけれど、単純な弾圧でないところが厄介だ。ハシズムは、選挙結果で立証された?とする「民意」を府民≒生徒の保護者の願いとみなし、それを楯として、強圧的な【首長⇒教育委員会⇒校長⇒教員】と縦貫する統制管理を正当化しようとしている。諸条例案の具体的な内容はここにくわしく紹介する必要はないだろう──首長は、教委との協議はあれ、結局は「教育目標」を決定し、それに従わない教育委員を罷免することができる。教委は「指導不適切」な教員を免職できる。校長は一般教員への査定を強化し、懲戒処分・分限処分の対象者を明らかにする。

「学校協議会」は、学校経営計画・学校評価・教員の働き度などに関する保護者の意見を汲み、教委・首長に上申する役割を与えられている。教師の査定は一般職員なみの相対評価ではなく絶対評価とされたけれど、そのかわり保護者は学校協議会に「問題教員」を訴えることができる。保護者に教員査定の一環を担わせるといわれるのはこのためだ。これは「包囲」の一助となる。例えば地域の保守派ボスは、組合運動や社会運動に「うつつをぬかす」教員を容易に指弾できよう。

教育に対するこのような上からの統制管理を手法とするならば、ハシズムの教育思想はまさに新自由主義的な競争と選別である。入学志願者が3年連続で定員に満たない公立高校は統廃合となる。2年後には府内単一学区となるという学区の撤廃が、統廃合を加速させるだろう。主要科目の成績の引き上げは具体的な「教育目標」になりかねないが、偏差値と定員充足率の間に正の相関、偏差値と家庭の貧困の間に逆の相関が認められることはいくつかの調査の示すとおりなのだ。橋下は結局、大阪では少なくない貧困地域の子どもたちを高校教育の機会から遠ざけるのである。


そればかりではない。ハシズム的教育改革には、教育労働に関心を寄せる私にとってもっとも許しがたい際立った特徴もある。それは、この教育改革が幅広い関係者の教育への関与を謳いながら、教室で生徒に日々接する一般教員の教育内容形成への参加を徹底的に排除していることにほかならない。ハシズムには、例えば、学習環境に恵まれず低学力の生徒が多い貧困地域の若者たちに、それでも生きてゆける知恵と力をつけようと苦闘する教師の自治的・平等主義的な教育実践を評価する余地はない。

上から決められた「教育目標」や「組織マネジメント」に従順であるか否かが基準になる査定が、教員たちの自主的な営みを萎縮させる。それとともに、ある教室で不可避的に生じるトラブルについて、なかまの教師に相談し協力を得て解決しようとする気風がこれまで以上に衰退するだろう。担当の教室で問題が発生していること自体を同僚に知られたくないという気持ちになるからだ。明らかに恫喝的に公言される懲戒処分、分限処分への怯えがまた、教師たちを悴(かじか)ませもする。

君が代・日の丸規制、起立斉唱の義務化がここ大阪においてとりわけ強烈なのも当然であろう。すでに府立和泉高校の3月2日の卒業式では、管理者が列席教員を目視し、口が動いていなかった3人を摘発して府教委に報告している。うちひとりは職務命令違反で処分を検討中。橋下は「これが服務規律を徹底するマネジメント」と賛辞を送った(朝日新聞12年3月13日)。処分の限界を諭す最高裁判決に関わらず、彼は依然として「三回違反で懲戒解雇」と言い募る。このような異様な統制・懲罰志向は、「異常性癖」に近いと思われる。ちなみにこの「岡っ引き根性」の校長は、公募制の就任で橋下の旧友という。橋下に投票した市民はこのような教育行政までも支持するのだろうか? 教師たちを萎縮させ、その自由な発想や創造的な営みを奪うような「教育改革」に未来があろうはずはない。

橋下施政の公務員労働運動への圧迫についてはまた別の機会に語りたいが、例の職員アンケートに代表されるような、教員をふくむ地方公務員の組合運動への弾圧が、常軌を逸した統制・管理志向の延長上にあることはいうまでもない。公然たる反組合主義に踏み出すことによって、ハシズムは本当にファッシズムに近づいている。

橋下教育改革は、とはいえ、ある電話アンケート調査によれば58%の府民の賛成を得ているという(朝日新聞12年2月21日)。それはなぜだろうか。

ひとつには、すでに中流市民の間では、競争と選別を志向する教育に対する一定の肯定が定着している。そうした府民≒保護者は、今が格差社会なればこそ我が子の競争力となる学力向上を切望し、「個性尊重」を掲げる現在の公教育のありかたを頼りなく感じているかにみえる。すでに本欄「その7」に紹介した事例をくりかえしたい。東京都品川区で実施されている「目標管理・PDCAサイクル」。ここでは、学校が「学力テスト○○点達成」などの「目標」を掲げる。各教員はその線に沿ってプラン・実践・評価・改善行動の計画書や結果報告書の提出を求められ、校長との面談で年間の「自主的な」達成目標を決めて努力を誓う。校長は年度末にその「成果」を評価して定昇額の格差をつける・・・。私からみれば不思議なことに、総じて保護者もこのノルマ経営的な教育に肯定的だという。ここに現時点の市民の競争主義的な世智がある。総じて学力が低い?と評価されもする大阪の府民の一定層は、おそらく品川の保護者たちと同じように考え、橋下は同じことをやってくれると期待しているのだ。その手法が競争刺激であれ管理統制の強化であれ、それはもう、問うところではない。

もうひとつには、これも本欄「その13」でおおよそ述べたように、全体としてのハシズムの性格が、格差社会の底辺近くに追い込まれている「しがない」若者を中心とした人びとのかなり広くから喝采を受けるという状況があるかにみえる。この場合、橋下へ託すことは、「我が子の学力向上を願って」という中流市民の声などではない。大阪の庶民の多くは今、低賃金、雇用不安定、粗いセーフティネット、家庭の包容力の衰退、状況改善の発言機構と方途の不可視性・・・などのもたらす重い閉塞感と鬱屈にさいなまれている。そんな彼ら、彼女らは、わかりにくい政策論や「決められない民主主義」にいらだち、橋下が「既得権」をもつ公務員やその労組を小気味よくバッシングしながら、「なんでも引っ張ってゆく指導性」を発揮して、一挙に「ガラガラポン」するかにみえる橋下政治に一時の快感を覚えているのだ。みずからの生活を改善する自治的な社会運動の展望をまったくもたないアトム化した庶民が、このような政治を願うとき、そこにはやはり、世論の多数に依拠するという意味での「民主主義的な」少数者の抑圧、すなわちファッシズムの雰囲気が醸し出される。いずれにせよもうひとつの、戦後伝統の民主主義の勢力はもう、労働運動・労働者・「国民」を即時的に中グロでつないで「政財界」と対置することのできない時代を迎えている。

しかしながら、橋下支持といえどもなお6〜7割である。抗いに至らずとも支持しない人びとは決して少数とはいえない。反撃はまだ間に合う。

 

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コメント
 
01. okonomono 2012年3月21日 22:02:56 : ufgCmUGS6CG6M : ztJg513oGY
【激動!橋下維新】公選教育委員「財源確保もしてくれるなら大賛成」 民放テレビで橋下市長 (MSN産経west 2012.3.20)

大阪市の橋下徹市長は20日、民放のテレビ番組に出演し、教育委員を選挙で選ぶことについての意見を問われ、「財源の確保まで責任を負ってやってくれる教育委員が誕生するなら、直接の選挙もありだ」と述べた。

 橋下市長は「市長や知事が選挙で選ばれて、教育委員も選ばれるとなると対立が生じる」と、現時点での導入には否定的な見解を示した上で、「大変な労力がいるが、財源の確保まで責任をもった公選職の教育委員だったら大賛成だ」と発言した。[以下略]
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/120320/wlf12032021520017-n1.htm


【激動!橋下維新】学校選択制に懐疑的な声続出 初の学校教育フォーラム (MSN産経ニュース 2012.3.20)

大阪市は20日、橋下徹市長が平成26年度からの導入を目指している小中学校の学校選択制の是非や、中学校給食の導入について保護者らから意見を聞く「学校教育フォーラム」を淀川区で開いた。5月までに全24区で開くフォーラムの皮切りとなったこの日、会場からは選択制に懐疑的な声が続出。出席者も予定の半分以下の200人余で空席が目立ち、市にとっては課題の残るスタートとなった。

 フォーラムでは市教委の幹部が、全国の学校選択制の導入状況などを紹介し、「特色ある学校づくりにつながることがメリット」などと説明。ところが会場の参加者からは「現行制度のメリットとデメリットが説明不足」「子供が学校を選ぶのは負担が大きい」などと懐疑的な声が相次ぎ、「導入ありきの議論では」などと市や市教委に対して不信感をあらわにする参加者も。金谷一郎区長は「選択制の導入ありきではなく、区として導入しない選択肢もありうる」と繰り返し説明した。[以下略]
http://sankei.jp.msn.com/region/news/120321/osk12032111270005-n1.htm


02. 2012年3月21日 22:21:08 : c0UeqEikFs
今発売中の
「紙の爆弾」(鹿砦社)4月号をぜひ読んでほしい。
橋下は闇だ。底なしの闇だと思ったよ・・・。

03. okonomono 2012年3月21日 23:23:56 : ufgCmUGS6CG6M : ztJg513oGY
悲壮感をただよわせながらも力のこもったいい記事だ。「学習環境に恵まれず低学力の生徒が多い貧困地域の若者たちに、それでも生きてゆける知恵と力をつけようと苦闘する教師の自治的・平等主義的な教育実践」、それにたいする一般の大阪府民や大阪市民の評価など、具体的に紹介してもらえるとありがたい。それともすでに紹介記事があるのだろうか。ブログ「熊沢誠のエッセイ」のほかのページはまだ見ていない。

この記事にもあるとおり、「新自由主義的な」教育改革は全国的な潮流となっている。「すでに中流市民の間では、競争と選別を志向する教育に対する一定の肯定が定着している」。「ハシズム」批判は、それに抗しうるだけの説得力を欠くように感じられてならない。

橋下氏の教育改革の旗印は「民意」である。したがって、対抗すべき根本的な相手は「民意」でなければならない。この記事の見方と同じく、私も橋下氏の教育改革を支持する「民意」には実体があると思う。しかもそれは、法的に問題がある場合をのぞけば、まちがいだと頭から否定できるものではない。「ハシズム」批判への賛同が思うように広がらないとしても当たり前だ。

まずは橋下氏の教育改革に期待する人たちと同じ土俵にあがろう。たとえば、この記事に紹介されている「学校協議会」だ。都合のいい意見だけを吸い上げるための制度という見方があるかもしれないが、>>01に貼った「学校教育フォーラム」のように、橋下氏の意図しなかった保護者の意見が多く集まる可能性だってある。

選挙のときだけでなく、日常的に「民意」を形成し行使しよう。国からの分権化を進め「民意」を反映させるという橋下氏の教育改革の基本姿勢について、私は今のところ賛成だ。問題は、橋下氏を支持する「民意」が白紙委任になってしまうことだ。「ハシズム」を防止する鍵を握っているのは、逆説的なことだが、橋下氏の教育改革にたいするもっと強い支持(参加)だという気もする。


04. okonomono 2012年3月22日 00:04:46 : ufgCmUGS6CG6M : ztJg513oGY
「熊沢誠」って熊沢誠だったのか。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%8A%E6%B2%A2%E8%AA%A0
著書を読んだことがあるぞ。
盲蛇ニ怖ヂズでえらそうにコメントをしてしまった。
あちゃー

05. 2012年3月22日 22:37:55 : bvaI0lv90E
熊沢ハンっていわゆる教育ゴロかいな。堅気と違うんなら言わしてもらう。
フニャフニャ言うてはるけど、子供に社会人たる常識と教養つけるのが教育の目的のはずやのに、なんか知らんが己のイデオロギーを子供に押し付けてる気がするなぁ。
教師が自分の信念で外で何言うてもええが、学校の中でルールに反する事をやって子供に見せたらアカンわ。
そんな子供は社会のルール無視するに決まってるがな。親の言う事もきかん様になるはずやわ。
最近悪ガキが増えたような気がするけど新自由主義教育のせいか? そもそも新自由主義教育ってなんや知らんけど、旧自由主義と何が違うか教えてんか。
こんな人の言う事聞いてるような教師にうちの子教えて欲しくないなぁ。
皆ハン、政治家に転身して日の丸・君が代廃止で頑張ってんか。子供に迷惑かけたらあかん。

06. 2012年3月22日 22:57:15 : vmIn23a9lU

ほぼ、同意できる分析だけど、、疑問が。

橋下は、「教育改革」と称してなにがしたいのか?
いまさらの「天皇教育」では、ないだろう。
そもそもあのやり方は、いま天皇の気持ちすら無視している気がする。
いまさらの組合つぶし?それはひとつの理由かもしれないけど、
大きな目的とも思えない。
戦前のように、いいなりになる教員にしたて、いいなりになる国民に
育てる??それも、いまさらながらという気もする。

道州制は、財界の希望だし、国の財政より、もっと自由で利権のうまみのある
2−3の県を合体した財政、、魅力だろうね。。



07. 2012年3月23日 07:36:43 : beNY7PMYsM

強圧的な【首長⇒教育委員会⇒校長⇒教員】と縦貫する

統制管理を正当化しようとしている。

卒業式で国歌斉唱、教師の口パクを見て、
評価(懲戒)とは、どう考えてもやりすぎだ!

首長⇒教育委員会を任命するから、問答無用の構図だ。


08. 2012年3月23日 09:11:20 : bvaI0lv90E
06,07さんへ、
ハタから見てると、橋下のオッサンは既得権をあぶり出して選挙民の判断を待ってるのだよ。
変な教師の存在なんか全体から見たら小さな問題だけど、将来の大人になる子供にルール違反を見せつけるってのは教育者として完全に失格だよ。
もちろんまじめな先生も沢山おられる事は分かるけど、こういうまじめな教師の意見がマスコミにでないだろう。何故かな?
今も昔も輿論を煽動するのはマスコミだよ。学校内の儀式で立つ立たない、歌う歌わないなんてニュースに値しない。戦前も戦争を煽ったのは新聞だよ。軍部・官僚がそれに乗っ掛ったんだよ。
扇動者ほど無責任な奴はいないからね。

今朝も産経の朝刊に「中国の横暴を座視するな」ってな意見出ていたけど、小生の親父から子供の時よく聞かされたけど、当時は「暴戻支那を膺懲せよ」がスローガンで「東洋平和の為ならばなんで命が惜しかろう」って騙されてあのざまだよ。で想定外の敗戦。

要はルールは守る。為政者も国民も。ルールが気に入らなければ自分で行動。選挙に出ても街頭で訴えても良い。天誅が怖いから為政者も警護だけは厳重にしてるから余り勧めないけど。未成年者を人質に取って政治宣伝するなって言いたいんだよ。


09. 2012年3月23日 10:05:22 : 42nGc6judU
橋下氏が明らかにしたことは、大阪はどん底の駄目な街であること。
大阪は日本の縮図にはなっていない。

教育や文化などの高尚なことの改革などは、所詮、地に足が付いていない町には無駄なこと。
大阪の警察予算と生活保護費と出所者の就業支援費を増やして、犯罪者の検挙と出所後の生活支援から始めたら良い。


10. 2012年3月23日 15:34:13 : bvaI0lv90E
09さん、
大阪は日本の痰壷と謳われるほどほど日本中の悪いもんが全部集まっとる堂々たる日本の縮図や。
教育・文化その他江戸時代の文化は全部大阪発祥や。京の都には勝てへんけどな。
勘違いも度が過ぎてるなぁ。

11. 2012年3月24日 10:47:06 : alMjMaZIl6
>>09
小学校の全国学力テストで上位を占める上位10県が
どーして大学進学率において全て大阪に負けてるんでしょうね。
それの相関関係を調べてくれるお方はおらんもんだろうか。

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