http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120411-00000309-agora-pol

まだ現在進行中のようですが、橋下徹氏と池田信夫氏の議論には非常に触発されるところがありました。

私は関西出身（地元は神戸ですが、会社員時代に大阪の橋下氏の生家の近くの地域に住んでいたこともあります）ということもあり、細かい政策的議題は抜きにしても、橋下改革については「やっぱアレぐらいやらんとアカンのちゃうの？」的なシンパシーを常々持ってはいたのですが、彼の連続ツイートを拝見させていただき、直接的で真っ直ぐな、しかし「実現可能な知性」を選びとっていこうとする意見の表明の仕方に、単純に「感動」しました。

ところで、私は以前マッキンゼーという経営コンサルティング会社に勤めており、そこには「卒業生のメーリングリスト」というものがあります。そこで、橋下改革にかなり中心的な立場で参加されていると伺っている上山信一慶大教授が、かなり細かい改革の中身について共有されていたことがあります。

それを拝見していると、橋下改革の中身には、一般に思われているような「とにかくなんでも弱者を切り捨てる志向」というよりは、（アンフェアな既得権益を削る一方で）「本当に困っている人にはちゃんと直接的に手当てできるようにしよう」という方針は、かなり明確に一貫して存在しているように感じられました。

というか、恥ずかしながら私はそれを拝見するまで、橋下改革についてはメディアでたまに触れる程度の「政策の中身（特に国政的に派手な議題のみ）」の印象しかなかったために、想像以上に「弱者保護的な視点」が入っていることに個人的に驚愕したぐらいです。

なぜここまでの「印象の違い」が生まれてしまっているのだろうか？という問いは、それ自体として真剣に考えてみる価値がありそうです。

なぜなら、この構図を冷静に考えてみれば、「印象だけで橋下氏が大嫌い」になってしまっている層の中に、「内容を具体的に詰めれば、凄く心強い仲間になってくれる人」が、かなりの程度いるはずだということになるからです。

そして、橋下氏の構想が、一地方的な問題から、日本全国を巻き込んだものに展開していくとなれば、その「印象だけで大嫌いになってしまっているが、内容だけ見れば力強い仲間になってくれるはずの人たち」のバックアップが得られる流れになっていくことは、非常に重要な課題となってくるのではないかと推察されます。

私は、この「日本における”知性”と”みんなの心”のギャップ」の間の無駄な争いの解消を、幕末における「知性派の個人主義者たちが多かった長州藩」と、「集団的な現場の密度感で動いていた薩摩藩」との間の「薩長同盟」になぞらえて、その「本来あるべき連携を取り戻す文脈」を再生することを、「経済・経営の現場感」と「思想・経済の広がり感」をクロスオーバーさせながら提言していくことをライフワークとしています。

橋下氏には「アゴラだかゴリラだか知らねーが」とヒドイ言われようのネットメディアですが、一方でそこには、「右か左か」「革新か保守か」「ビジネス系かNPO的なものか」「実務的か思想的か」といった、「既存の文脈」とは違う「新しい捉え直し」を行っていける可能性があります。そして、橋本氏が「本来得られるべきもっと広く深い賛同」を得られずにいる問題の根底にも、この「既存メディアの既存の文脈」自体の機能不全があるのです。

「２０世紀的な紋切り型の価値観で言ったら天敵」みたいな属性の人たち同士の間に、「現地現物で考えればむしろ一番の仲間」といった、「薩長同盟的な繋がり」を生み出す「文脈」を生み出していくことが私の人生的なテーマです。そのために、（リンクのプロフィール欄をお読みいただければわかる通り）、一貫して「両者を繋ぐような、一種クレイジーな研鑽」を積んできました。

「知性派」と「現場派」の両者の中にドップリ浸かって探求してきたからこそできる、その「両者を繋ぐ”文脈”の提言」を、これから連続して「ネットメディア」であるアゴラに投稿していきたいと思っています。

倉本 圭造
経済思想家・元経営コンサルタント
公式ブログ「覚悟とは犠牲の心ではない」

（アゴラ編集部）

コメント
01. 2012年4月13日 05:21:12 : lFtrGPhedw 橋下さん、河村さんらが反増税派だがもう一人首長で断固増税に反対の立場の知事が居る、岩手県の達増拓也知事だ。 この知事とも連携をすれば東北も取れる
02. 2012年4月13日 10:31:55 : DcxDg6lzRM 既存メディアの問題は確かにある。橋下はときに良いことも言っている。それは素直にそう思うし認めている。 ただ、先ず自分が為政者であり批判されることは仕方がないことという自覚があまりにもない。 マスコミは愚にもつかない批判をするしときには中傷もやる。しかし公人であること、それも行政の執行権を持つ知事や市長、しかもメディアで先行的に名を挙げ数々の舌禍問題で物議をかもしてきた人物が政治の世界に来れば、否応なく警戒や批判が起こることはわかるはずだ。 この人のもっとも悪いところは自分が批判攻撃されているなとわかるとそれがやりかえすことによって自分の得点に繋がる、すなわち自分を支持してくれる層が反応してくれる手合いであることを計算のうちに入れて選んだうえで相手を批判攻撃する、つまり確信犯を承知でやっていることだ。 味方と敵の判断の峻別が動物並みに早いのはもって生まれた橋下徹の資質なのだろうが、それをいい大人がツイッターで口汚く罵ってる様をあえて見せるのが非常に性質が悪い。 だから嫌いな人はとことん嫌いになるだろう。しかし快哉を得たい層(既存の既得権から締め出された人々で不満を持つ層)からは絶大に支持されるし、一部中間層のインテリなど旧来の日本の何も決められないシステムに辟易する人たちからは期待されるであろうことも含めて何かと罪深い人物ではあるが、俺は好きか嫌いかというと大嫌いである。
03. 2012年4月13日 12:47:38 : CaX39qEdxQ 最近橋下の表情暗いねえｗ
04. 2012年4月13日 13:21:28 : A8UwGNW9tA 　０２さんの通りです。 　橋下は常に批判に即座に対応する。それが、いかにもスピードを売り物にした自分のスタイルだと大衆に思わせるため。だが、これは指導者としての自信が無い肝っ玉の小さい人間のやることである。 　先日、今年の大阪市の新人の入所式において、居眠りをしていた（？）若者をマイクで指摘して立たせ、「トップが話している時は居眠りするな！」と吊るし上げていた。しかし、若者は目を瞑って聞いていたのかもしれない。橋下は、表面的に状況を判断して苛立ち、「一発咬まして権力を見せつけてやろうと思った」のだろうが、余りにも気が小さすぎるし、異常だ。 　本物の指導者は、相談してくる人の意見を充分に聞き、熟慮した結果、判断して行動する。 テレビ対談では正面から相手を見ずに目が空ろに泳ぎ、ヘラズグチをペラペラと紙屑が燃えるように喋りまくる橋下の姿は、実に見苦しい。
05. 2012年4月13日 15:23:56 : i2BPEHCoLY 橋下のやってる事は、いわゆる鬼軍曹の仕事。国旗や国家に関する事や風紀規律など軍曹の仕事。鬼軍曹が部下の顔にビンタを食らわせると喜ぶものが沢山いる。 　だから調子に乗って八策などど国政に関する事を言い出すと、谷垣将軍や野田元帥からも軍曹が何を言うのやらとバカにされるのである。元帥や将軍が実力ないので軍曹の人気があるだけなのだが。 軍曹相手に議論をしても仕方ないのであるが、マスコミがやたら持ち上げるのでまともなものまで相手にして橋下に伯付けしてしまっているのが現状の姿。 そういやヒットラーも軍曹いや伍長だった。 良くにてますな。 あほ伍長を総統にすると恐ろしい。
06. 2012年4月13日 18:13:37 : JhEjEumnXM >>04 つまり、橋下氏には胆力が無いんじゃないですか。 彼は全部がダメな人間ではないけど、腹が座ってない。 日本の武道で言われる「肝」とか「腹」は 丹田か太陽神経叢を指し、ここを鍛えることを重視していますが それは前頭葉的な「頭」を鍛えるのとは正反対の 知性を養うことでもあり、精神の安定力を鍛えることを目的としています。 武士が精神不安定だと殺し合いの場で負けちゃいますからね。 ディベートは上手いけど「肝が小さい」なんて 典型的な前頭葉型ですな。司法試験と図書館で育った人は 斬った張ったの、あまり過酷な環境には耐えられないでしょうね。 最近、表情が暗いのは、無意識的にかなりの損傷を受けているからでしょう。 空手とか合気道をやってたら良かったと思う。 このまま無理を続けると、確かに 一発咬まして権力を見せつけてやろうという行動に出るかもですな。 でもそれは「窮鼠猫を噛む」ってやつで、 攻撃に出る方が追いつめられてる。 みんな、頭が良いなんてことを過大評価し過ぎなんですよ。

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