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検察審査会の予算を分析してみた
第177回国会(常会)に提出された、平成23年度裁判所所管「一般会計歳出予算各目明細書」 http://www.courts.go.jp/vcms_lf/20304001.pdf によれば、検察審査会関係の予算（検察審査費）は合計で、359,370千円（3億6千万円ほど）である。
ここには、検察審査会事務官等、事務局職員の人件費は含まれていない。内訳は、「委員手当」（審査補助員手当）が6,994千円、「職員旅費」が972千円、「委員等旅費」（審査補助員旅費）が268千円、「証人等旅費」が138千円、「庁費」が66,373千円（その内訳は、消耗品費256千円、印刷製本費2,917千円、通信運搬費29,290千円、雑役務費31,606千円）とのことだ。
この中から、通信費について積算してみる。まず、人数の大きな検察審査員候補者は、１つの検察審査会ごとに、100名×４群×165審査会で6万6千人に対して「候補者に選定された通知」、「ハンドブック」、「質問票」などを送付する。質問票は返送を要するから郵送料は往復となる。1通80円とすると、80円×66,000人×往復＝1056万円、これだけ必要となる。
候補者段階から審査員11名補充員11名（現実には3ヶ月ごとに各5人、6人、5人、6人が任期6ヶ月）選定されるから、１つの審査会につき年間44名、165カ所で合計7260人が1年に検察審査員または補充員に選定される。選定された7260人に、初回は選定通知、初回招集状、旅程・口座申請用紙などが送られ、初回の出欠と旅程・口座申請等を返送することとなる。これも1通80円とすると、80円×7260人×往復＝1,161,600円必要となる。
2回目の会議からは開催通知だけとなるのだろうが、月2回開催とすると、80円×7260人×11回（月2回で6ヶ月、初回除く）＝6,388,800円。
ここまでの郵送料合計は、約1811万円となる。
各選挙管理委員会への候補者名簿提出依頼や、そのデータ送料、審査補助員や検察官を招聘するための送料は割愛するとして、電話代が１つの検察審査会で月１万円ほどかかるとすると、1万円×12ヶ月×165審査会＝1980万円。
郵送料1811万円＋電話代1980万円＝3791万円。まともに払うと、通信運搬費の予算29,290千円を大きく越えてしまう。何か大きな計上間違いをしたのだろうか？2回目以降の通知を封書でなく葉書としたら２百数十万安くはなるが、そんなものではなさそうだ。
裁判所は、障害者団体の会員向け発送のような特殊な、多額の割引があるのだろうか？
電話が基本料プラスわずかで、1カ所当たり月額1万円もしないのだろうか？
東京第五検察審査会は、4ヶ月間に10回の会議を開催している。年間に換算すると30回だ。東京は特別に開催数が多く必要かもしれないから、全体で月2回平均としたのだが？
よくわからない。
推測してもよくわからないものは、ここまでにして、雑役務費について考えてみる。
これは普通の企業でいう「諸雑費」みたいなものか。
まず、検察審査員に対する日当・旅費の振込手数料。全国で7260人の審査員・補充員に会議１回ごとに日当と交通費を請求させ、振り込んでいることになっている。回数は先ほどの月２回開催平均としてみると一人につき12回振り込むことになる。銀行振込は同行だと安く他行だと高いが金額が７～８千円の振り込みなら1件同行で105円程度か。他行なら倍はする。平均150円×7260人×12回＝1千３００万円？
あと、選定通知やハンドブック、アンケート、封筒などの印刷と発送業務を業者（23年度はイセトーという会社）に代行させているが、この落札価格が年間１１２０万円程度である。
振込手数料と印刷発送代行で、およそ２４００～２５００万円。そして別に、名簿管理・選定ソフトの保守料が、たしか年間700万円ほど掛かっていたのではなかったか？
これも、雑役務費の予算31,606千円を軽く越えていきそうだ。
で、検察審査会というのは、職員こそ裁判所事務官で、その人件費は検察審査会費に含まれていないはずだが、その法的位置づけは裁判所からも独立している。ところが事務局は、各地方裁判所の中にある。
事務局の家賃・光熱費は負担していないのか。会議室の利用料も一銭も支払っていないのか。まあ、この予算は「裁判所の予算」に含められるのだから、差引は変わらない。しかし、会計というものは、そんないい加減なものではないだろう。ちゃんと検察審査会が使用した室料は検察審査会費に計上し、裁判所側の収入は建物費用のプラス科目に計上すべきではないか。
さらに、検察審査会の事務局は、検察審査員のOBからなる「検察審査協会」の事務局業務を引き受けている。特に東京は、全国検察審査協会の事務局である。この、法的位置づけのない任意団体の業務を、公務所において公務員が、無償で提供しているのでは税金の使い方として示しが付かないのではないか。全国の交通安全協会とか、防火協会とか、納税協会とかの家賃・人件費がどうなっているかと合わせて、一度調べてみよう。
話を検察審査会費に戻すが、肝心の検察審査会事務官などの職員の人件費がもっとも大きな金額となるが、それが検察審査会費に計上されていないところが非常に不透明だ。
元判事の生田弁護士が、裁判官の俸級に関して大規模な裏金が捻出されていると告発されてから時間が経つが、何ら改善されていない。検察審査会も、実際に会議など開かずに、法曹人の家族など関係者ばかりを「くじ引き」と称して選定し、「お小遣い」と「組織的裏金」にしているのではないかとの指摘がなされている。
富士ソフトに約６千万で発注された「選定ソフト」は、同時にNTTデータに１億８千万円ほどで発注された「裁判員候補者名簿管理システム」と、非常によく似たソフトである。そして、森ゆうこ議員らが、選定ソフト「検察審査員候補者名簿管理システム」の視察・調査をしたときの中間報告書によれば、
検察審査会くじびきソフト調査チーム 中間報告書（平成22年11月12日）
５．問題点（審査員選定の全過程において）
②また、「裁判員候補者名簿管理システム」と「検察審査員候補者名簿管理システム」は同一のパソコン上で運用されることが前提となっている。総合的に考察すると、これは恣意的判断等の誤解を受ける恐れがあるほか、データの混在、混乱、障害発生によるクラッシュ等問題があるといわざるを得ない。
これは、どういうことか。同一のパソコン上で運用する、ほとんど同じ仕組の名簿管理・選定システムが、バラバラに６千万円と１億８千万円で２社に発注されているのだ。
実際の中身は、せいぜい1千万程度と言うフロー図を見た専門家がいることを付け加えておく。
今日の検察の不起訴・処分発表といい、裁判所といい、もはやこの国に正義はない。
国民が、自分の力で正義を取り戻さねばならない。
検察よ、裁判所よ、自首の方が罪が軽いのは当然に知っているよな！
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