なぜマスコミは小沢一郎を叩くのか
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?n=130033
2012/07/23　徳山　勝　olivenews

日本のマスコミが、政治家小沢一郎を好意的に報道したことがあったとすれば、それはおそらく小沢氏が自民党幹事長に就任するまでのことだろう。小沢氏が９３年に自民党を離党した後、何時のころからか好意的ではなくなった。そして、オランダ人ジャーナリストのカレン・Ｖ・ウォルフレン氏が、その著「誰が小沢一郎を殺すのか」の中で「人物破壊」と書いたように、凄まじいバッシング報道をするに至った。

小沢嫌いの人はもちろん、マスコミ報道を鵜呑みにする人たちも、マスコミが小沢氏をバッシングしているなど、思いもしていないだろう。ましてや、�@クロスオーナーシップの廃止、�A新聞再販制度の廃止、�B記者クラブの廃止、�C電波オークションの導入、以上の４つがマスコミにとって受け入れ難いことだ、との認識もないはずだ。即ち、この４つの事柄が、小沢バッシングの重要な理由のうちの一つなのである。

日本では、大手新聞５紙とテレビキー５局とが、同一の資本系列にある。在京キー局についていえば、読売と日本テレビ、朝日とテレビ朝日、毎日とＴＢＳなどである。このような関係を「クロスオーナーシップ」と言うのだが、アメリカやイギリスなどでは、「報道の自由」の観点から好ましくないとして規制（＝禁止）されている。

放送事業は電波使用の許認可権を通して政府の関与を受ける。新聞が放送と同一資本だと、新聞は電波の許認可更新を通して、政府の間接的影響を受ける。新聞事業が政府の影響を受けることは、「報道の自由」の観点から好ましいことではない。そこで諸外国では「クロスオーナーシップ」が禁止されている。
間にはある種の緊張が生じ、ジャーナリズムとして相互チェックが働くことになる。

新聞とテレビの間に緊張があり、相互チェックが働けば、０６年に公正取引委員会が再販価格制度の抜本的見直しをした時、新聞の販売価格維持は流通段階での自由で公正な競争を阻害するとして、テレビにより批判されたはずだ。当時、新聞業界は自民党の新聞販売懇話会（会長代行・中川秀直、事務局長・山本一太）を通して公取に圧力をかけ、再販価格制度を維持したのだが、そういうことは全く報道されなかった。

新聞の再販価格制度は、これが廃止されると「戸別宅配が衰退する」「僻地では宅配が困難になる」などより、市民の「知る権利」が失われるとして正当化されている。だがその実は、専売店に部数増を強く求め、大部数を維持し、それによって広告の価値をあげていくビジネスモデル（＝収益構造）を維持するためである。従って、部数増の強引な拡販競争には走るが、新聞の「質と価格」の競争にはなっていない。

また、テレビが新聞と資本関係にあることが、国民の有限資産である電波利用料を競売にかけ、落札金額を国庫に入れる「電波オークション」が実施されない理由だと、鬼木甫（情報経済論）阪大名誉教授は指摘している。既にオークションを実施している諸外国の例から、日本でこれを実施すれば、最低でも年間約１兆円の歳入が見込める、と言われる。ちなみに現在、日本全国のテレビ局の総収入は３兆円超もあるが、テレビ業界が国庫に収めている電波使用料の総額は僅か３０数億円である。（＊注）

クロスオーナーシップを禁止する本来の目的は、報道の自由、言論の自由を守ることにある。処が、日本のマスコミは、その収益構造が自由で公正な競争を前提にしていないのでこれに反対する。それだけではない。権力におもねる似非ジャーナリズムだからでもある。ジャーナリズムとは、今さら書くまでもないが、日々に起きる出来事を取材して伝えるに当たり、権力におもねることなく民主主義を規範とするものだ。

権力におもねった似非ジャーナリズムの最悪の例が、戦時中の大本営発表の垂れ流し報道である。陸山会事件で土石流のように流された検察のリーク情報。何一つとして検察は立件できなかった。このことをウォルフレン氏は、まずスキャンダルを流し、マスコミがそれを報じ邪悪なイメージを形成する。そして、裁判で有罪をだして、その人の人生を奪う。似非ジャーナリズムによる「人物破壊」の典型である。

既にお分かりだろう。日本の健全な民主主義のためには「クロスオーナーシップの禁止」が必要なのだ。その認識を持ち、実施する力を持つ小沢一郎という政治家を、既得権益を享受する霞ヶ関、財界、マスコミは、「現在の日本の統治システムにとって脅威となる人物」として、排除しようとしているのである。その逆の存在が、自民党山本一太参院議員のように、新聞業界から政治献金を受けている議員たちである。

＊注：電波使用料の国庫歳入総額は１千億円超／年。その殆どは携帯電話の使用料からのものである。なお、テレビ地上波のデジタル化費用はこれによって賄われた。

コメント
01. 2012年7月28日 00:08:16 : RsreIIQ23Y ゴミメディアの親玉珍聞社も 国有地を不当に掠め取っている ほんとうにゴキブリだ
02. 2012年7月28日 00:21:53 : rWmc8odQao クロスオーナーシップの禁止や記者会見のオープン化などマスコミを正常化させるのは急務ですね。 あと、小沢氏に限らないけどマスコミが誰かをバッシングするのは、記者諸氏が「ナルシスト」だから。 「俺って社会の木鐸じゃん。だから強そうな奴をギャフンと言わせるのが仕事じゃん。そんな俺ってカッコイイ。でも本物の強者（財務省とか検察とか）は怖いからたてつかないで、本物の強者が良く思っていない相手を叩こっと」って思っているから。 典型的なのが青木理氏。
03. 2012年7月28日 01:09:07 : IuV1LwK51I クロスオーナーシップを禁止することも必要だがより大きな必要事項は 記者クラブ制度を叩き潰すこと、テレビ電波の独占使用を無くすことである。
04. 2012年7月28日 04:27:31 : BDDFeQHT6I 新聞であること無い事書き飛ばす、それを系列テレビで事実のごとくに取り上げて批判する。 ワイドショウ番組は新聞とテレビの連携で相乗効果を狙って自分達の意図を国民に刷り込むための道具なのは一度でもワイドショウ番組を見た人は分かるだろう。 そこには真実だとか事実だとかの報道機関として最も大事な事は置き去りにされる、新聞が書いてテレビで煽る、そのテレビ番組を使って新聞の社説やコラムでまた叩く。 新聞とテレビしか情報源が無い人々は真実や事実からは完全に社団される仕掛けだ。
05. 日高見連邦共和国 2012年7月28日 05:19:39 : ZtjAE5Qu8buIw : np1eC180Aw “岩手県民”も叩かれてるよ〜！ ま、『岩手日報』自体が“尻馬に乗って”、小沢一郎叩きを繰り返してるんだけどネ。 『自己批判』ならまだしも。 だから、俺達岩手人は“何処よりも早く”目覚める事ができたんだ。 その恩人、“小沢一郎”を今守らずに何とする？？？
06. 2012年7月28日 06:44:04 : JczXDHSEk2 偏向報道で知る権利を害されてることのほうが再販より深刻
07. 2012年7月28日 07:51:38 : lzOcTKsnP6 マスメディアの暴走についてもう一つ指摘しておきたい。 大新聞が抱えている大手法律事務所。例えば読売の御用司法律務所はＴＭＩ法律事務所だ。ここには最高裁判事が３人も天下りしている。その規模は２００名を超える弁護士をはじめ司法関係者が在籍する。驚くことに最近、樋渡利秋検事総長が天下りしている。 彼らは大新聞の最大の弱みである「押し紙」の不当性を訴えた弱小新聞販売店をことごとく潰しにかかっている。中小販売店はこの強大な弁護団に勝てるはずがない。 最近に至っては「押し紙」問題に異を唱えて訴訟に持ち込む勇気ある販売店に裁判の場でひっくり返すばかりでなく、難癖をつけ逆訴訟を起こし司法の場を悪用して潰しにかかる---これ正に暴力ではないか？ こう云った暴力を許している限りマスコミ改革は絵に描いた餅だ。 マスコミと司法の癒着にもっと目を向けてほしい。
08. 2012年7月28日 09:41:53 : t36eRciXC6 特に後藤謙次は小沢氏を攻撃するために生まれてきたような輩で、小沢氏による行政改革や社会の構造改革によって自分が所属する組織の既得権益が失われることを恐れて、死に物狂いで形振り構わずに小沢氏のダーティーイメージ造りに狂奔している。 彼が理想とする政治家は竹下昇であり、社会構造は自民党一党独裁体制下の既得権社会なのだろう。これこそが小沢氏が改革しなければならない旧自民党体質なのである。 彼は決して理想を語りたがらないのは、小沢氏を攻撃することが絶対的な目的だからであろう。 彼の攻撃は小沢氏の箸を持つ手が右か左かを言っているのであり、小沢氏の居ない処で騒いでいる卑怯な輩である。 顔は真ん丸く、目つきだけが異常にクズんでいて、分厚い唇がひょこ歪んでいる奇妙な形相である。ジーと観ていると気色悪くなるのである。
09. 2012年7月28日 12:40:22 : FsAfhkwQxE >02 大筋同意だけど、青木は検察批判はしているんじゃない？
10. 2012年7月28日 17:20:28 : s2pKQSLBDM 05さんはご存知だと思いますが、現在ある岩手日報は、旧巖手日報が金融機関の思惑に左右されたことに反発した従業員組合が「新聞人による新聞」を目指して独立して起こした新聞です。 今風に言えば、資本の論理を廃してジャーナリズムを徹底することを目的に起こされた新聞、それが岩手日報でした。 ところが今や、共同通信岩手支社も同然の体たらく。 独自取材も独自の論説も無く、ただ東京発の情報をオウム返しにするばかりのダメ新聞。 部数では及ばないはずの岩手日日や盛岡タイムスや徹底した地元寄り姿勢と比べると、そのダメっぷりが引き立ちます。 日報の従業員の方、阿修羅見てますか？ 県内紙と言うことで応援していますが、このままではダメですよ。 創業の精神に立ち返り、目を醒ましましょう！ 岩手とは自由と独立を求めるイデオロギー。それは古代から現代まで変らない。 鷹の巖手のエピソードを思い出すべし。

11. 日高見連邦共和国 2012年7月29日 07:52:25 : ZtjAE5Qu8buIw : mFuG9qQlTk １０さん “仔細”は知りませんが“概要”は理解しています。 俺は阿修羅で繰り返し、『誇り高き岩手日報は死んだ』『冠から岩手を取って、共同通信別報を名乗りなさい』と書き込みして来た者です。 件の投稿欄『声』でも、宮沢賢治ネタやスポーツネタでは“結構な掲載率”を誇る俺ですが、 政治ネタや小沢一郎ネタが掲載された事だ只の一度も無いっ！！！ おいおい、岩手日報を含む岩手の報道関係者よ！ 『岩手』の地名の“いわれ”を言ってみろ！！ 悪さをする“鬼ドモ”を非難するペンの力や、それを押さえつける世論を惹起する力を放棄して、 “鬼ドモ”に『もう２度と悪さはしない、という約束を“手形”として岩に刻みつける』事が出来るのかい？ 岩手南部（藤沢・大籠）には“隠れキリシタン”の里が有りました。 胆沢扇状地を豊かな稲作地帯に変えた“寿庵堰”は、キリシタンたる後藤寿庵が指導して建設した。 『寿庵』とは『洗礼者ヨハネ』の意。救世主の“現出”を預言した者だ。（南水沢地区には寿庵ゆかりの公園や建物、地名がイッパイ有る） その水沢の地に生まれた『小沢一郎』 『岩』とは“隠語”で“キリスト”の事を指す。 『岩手』・・・救世主の御手・・・ （俺はキリシタンでは有りません。実家は天理教。しいて言えば“俺教”徒です） ＞岩手とは自由と独立を求めるイデオロギー。それは古代から現代まで変らない。 井上ひさしが『吉里吉里人』の舞台として書いたのも、岩手・一関と考えられます。 アテルイ、藤原４代、そして宮沢賢治・高村光太郎・・・・ ・・・そういう“系譜”の最前線に立つのが『小沢一郎』です！！！ まあ、岩手日報には、期待せずに期待してます。
12. 2012年7月29日 08:56:22 : aaGDCu39zg まともなメディアの存在は民主主義国家にとっては不可欠な存在です。 現実にはどこの国家も権力、財力によってメディアを己のプロパガンダ機関として利用されています。 しかし、そうした行為が極力安易に行われなくする制度が設けられるべきです。 禍は必ず弱者を襲うからです。
13. 2012年7月29日 15:56:48 : o1ZSw31zkg 大手マスコミの４大特権、利権 記者クラブ制度、再販制度、クロスオーナー、電波利権
14. 2012年7月30日 08:52:43 : 5FliYBBHu6 私は表にはでないが、マスコミのなかにもこれではマスコミの自壊になると憂えている人は必ずいると確信する。 例えば記者がまともな記事をかいても編集の段階で削除されているとか、トップからの方針に逆らえないなどいろいろなケースがあるだろう。
15. 2014年2月20日 05:08:35 : YJFH57isew 金になるからでしょう。藤島利久氏が小沢支援映画制作決定だと言って寄付金を集めたように。あれから3年も経つのに映画はまだできていません。

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