http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/30523214.html

１．台湾企業・鴻海の中国工場で暴動発生、米アップル新製品出荷に影響か

　2012年9月24日のマスコミ報道によれば、米アップルのEMS（Electronics Manufacturing Services）である台湾企業・鴻海精密工業（ホンハイ）の中国工場にて、暴動が起きて工場閉鎖に追いやられたそうです(注１)。

　この工場は、今、話題のアップル・アイフォン５の部品製造工場とのことですから、アップル・アイフォン５の出荷に影響がでそうです。

　この暴動は、明らかに、先日の反日暴動の影響を受けています。中国の労働者に強い不満のあることがわかります。その不満の矛先が単に日本企業のみならず、台湾企業や米国企業にも向かっています。

２．米アップルの利益を支えているのは中国人だった

　周知のように、米アップル企業価値の時価総額は50兆円と、日本国家の一般会計の税収規模(40兆円弱)を上回ります。アップルの高収益は、周知のように、アイフォンやアイパッドの売り上げに依存していますが、これらの端末を比較的低価格で売っても、高収益が上げられる秘密は、製品の製造をすべて、ホンハイを中心にアジア企業に外注しているからです。

　アップルからの生産委託を請け負う台湾ホンハイは、さらに、工場を台湾より人件費の安い中国に置いて、コスト効率を上げています。

　ホンハイ系中国工場で働く工員にとって、このカラクリをネットで知ることは容易です。だから、自分たちが奴隷のようにこき使われて、アップルやホンハイをぼろもうけさせていることがわかっているでしょう、今回、反日暴動に触発されて、ホンハイ工場暴動が発生したと推測されます。

３．中国国民はマルクス経済学を勉強しているはず

　中国は共産党独裁国家ですから、中国国民は共産主義の思想家・カール・マルクス(注２)の経済学を学習していると思われます。もしそうなら、自分たちはホンハイやアップルに搾取されているという被害者意識にとらわれてもおかしくありません。それは、やがて、暴動に発展する可能性があり、現実に、暴動が起きたということです。

　ホンハイの中国工場は、従業員への統制が相当、厳しいのではないでしょうか。だから、元々、一触即発だったのです。

４．中国の経済成長パターンは戦後日本の経済成長パターンと異なる

　中国の経済成長のパターンは、近年、外資を国内に積極的に受け入れ、外資主導で、国内の経済成長を実現しています。一方、戦後の日本は、戦前から、日本企業が一定の技術資源をもっていたため、外資の対日直接投資は比較的少なく、主に、米国など技術先進国からの技術ライセンス導入によって、日本企業自身が自己発展して日本の経済成長を支えてきました。

　中国は近年、GDP(国内総生産)で日本を追い抜き、世界第二位の経済大国に成長しましたが、ホンハイ系工場暴動の例にあるように、中国内の外資企業にもうけを奪われているのが現状です。この点が、自国資本で発展した日本との大きな違いです。

　そこで、近年、自信をつけてきた中国の産業界は当然ながら、外資の追い出しと、国内資本の充実を図ろうとするはずです。

　先の反日デモで、中国進出日本企業が大打撃を食らった事情も、今回、ホンハイの中国工場が大打撃を食らった事情も、その背景に、中国資本家の外資追い出し魂胆が存在するのではないでしょうか。

５．中国進出日本企業の中国内資産はタダ同然でもっていかれるのか

　上記のような中国内の事情から、中国進出日本企業の中国内資産は、中国資本家から、虎視眈々と狙われているとみなせます。

　本ブログ前号No.651にて、尖閣挑発した石原東京都知事や、それに乗っかった野田総理は、米中のワナに嵌ったと指摘しましたが(注３)、中国資本家にとって、今回の日中関係崩壊工作は、中国内の日本企業を撤退させ、中国資本家が中国内日本企業資産を合法的に奪取する絶好のチャンスを与えてしまいました。

　中国資本家にとって、国内市場だけで巨大なマーケットですから、日韓企業のように、グローバル化する必要はないのです。

　そこで、日本企業の中国内工場をタダ同然で買い取り、中国資本の工場として再生させれば、中国企業は中国内市場だけで、おおもうけできます。中国資本家はすでに生産技術を修得していますから・・・。

　日本企業が中国で展開する事業は製造業、サービス業問わず、中国企業でも十分、経営できます。日本料理店ですら、中国人で経営できますから・・・。

６．抜け目のない中国資本家を高笑いさせた石原・野田コンビの大愚行

　本ブログ前号No.651にて指摘したように、石原都知事と野田総理は、結果的に、外資追い出しを虎視眈々と狙う中国資本家を高笑いさせたようです。ホンハイ工場暴動に見られるように、そのとばっちりが、日本企業以外の中国進出外資にも及んだということです。

　このような石原・野田コンビの大愚行に、中国進出日本企業2万社の経営者は、ハラが立たないのでしょうか。

注１：産経ビズ“鴻海の中国工場で従業員衝突　40人負傷、操業停止　iPhone5関連工場”2012年9月24日
http://www.sankeibiz.jp/business/news/120924/bsj1209241701004-n1.htm

注２：カール・マルクス
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%82%B9

注３：本ブログNo.651『石原都知事と野田総理：米中の仕掛けた大きなワナに嵌められたのではないか』2012年9月24日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/30515139.html

ベンチャー革命投稿の過去ログ
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm

テックベンチャー投稿の過去ログ
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-PaloAlto/8285/column-top.html 　

コメント
01. 五月晴郎 2012年9月25日 17:05:18 : ulZUCBWYQe7Lk : mfxTdm8VZs ＞日本企業の中国内工場をタダ同然で買い取り、中国資本の工場として再生させれば、中国企業は中国内市場だけで、おおもうけできます。 中国は労賃が高騰してるからベトナムやバングラデシュに移しゃいいとかいう人は、ほんと近視眼的というかセンスないと思う（日系の靴下工場なんか15年くらい前にとっくにインドシナ半島に移してるし、そこから又他に移してもいます） 日本から今中国に出ているそれなりの資本は、人件費云々でなく市場としての魅力で出ていっているはずです。
02. 2012年9月25日 19:04:18 : qaGggvK2WQ 　ベトナムと中国の違いは　何でしょうか？？ 　主たる違いは　全ての部品が中国だけで　完結するってことでしょう 　既に　中国はベトナムよりも　賃金が高いとか　その他障壁が高く 　日本企業は　あまり儲けが出ないか　出たとしても　中国から　利益を 　日本に持ち帰ることも出来ないわけです 　＝＝＝ 　今後の予測を書くと　インドネシア・ベトナム・タイ・ビルマ・インド・パキスタンの 　ベルト地帯が　中国に替わる存在になるのではないか？？　って思う 　 　＝＝＝ 　であるからして　中国も傲慢な態度を取り続けると　外資の空洞化現象がおきるのではないか？？
03. 2012年9月25日 22:53:07 : A8JS3QhNrB 中国は現在巨大な市場です。 しかし、その巨大な市場を支えているのは他国からの投資です。 今回のように暴動を起こし反省せずさらに暴れまわれば 海外からの投資意欲を削ぎ、 その結果、巨大な市場はたちまち巨大なスラムと化します。 何かを購入しようにも購入資金がありません。 巨大なスラムに市場は成り立ちえないのです。
04. 五月晴郎 2012年9月26日 00:37:56 : ulZUCBWYQe7Lk : mfxTdm8VZs 願望と事実は別だと思います。 >>2 今の日本が「インドネシア・ベトナム・タイ・ビルマ・インド・パキスタンのベルト地帯」と良い関係を作れるような政権であったなら、中国ともこんな関係になるでしょうか。そうした能力に於いて中国以下ではないですか。 >>3 中国が野田/石原コンビ並みのアホだという前提で書かれているように思います。 そんなアホ（に善悪の価値判断は入っていません。能力のことです。）が統治していたらあっという間に崩壊していたはずと思います。
05. 2012年9月26日 02:50:03 : KETI7XWGgs 鴻海の工場に日本製部品が入らなくなったり、遅れたりしても困るよね？ なのに中国政府は平気で通関を厳しくしたり日本製品の不買を煽ったりできるから、国際社会からの信用はガタ落ち。 結局、中国の内需を支えるのは海外からの投資と中央・地方の政府債務で、投資は反日デモの前から減ってきてるし、債務の返済期限も先延ばしさせている。 市場がいくら大きくても国内情勢が不安定では成長はできない。あっという間に収まった反日デモを見れば分かるように、統治できるのは恐怖政治だから。 村の中で良くない噂が立つと公安が「ちょっとお茶でも飲もうか？」と言って連行され、帰ってこない事例が多発したり、行方不明の子供が数万人もいると善悪の判断をしないキチガイの方が統治する側としては適任。 胡錦濤は頑張ったと思うが、江沢民と習近平は頭は良いがキチガイの部類。江沢民が死ぬまでは対日強硬路線をとるだろうね。
06. 2012年9月26日 07:17:09 : CwuOHyKjls >>04 どんな無茶でも通る警察権力 国民の不満を逸らすことのできる威圧外交ができる軍事力 外資による経済成長 これのどれか一つでも崩れると現在の中国はあっという間に崩壊しますよ。 逆に、どんなアホが統治してても上の３つさえあればどうにでもなります。 大躍進や文革の頃なら上２つだけで十分だったでしょうが 一度豊かな生活をおくってしまうと３つ目が足かせとなります。 外資が本格的に中国から撤退を始めると同時に上二つも立ち行かなくなり 中国は崩壊していくのですよ。
07. 五月晴郎 2012年9月26日 12:18:37 : ulZUCBWYQe7Lk : mfxTdm8VZs 今、中国市場から排除されるかも知れない危機にあるのは日系資本でしょ。 もしも排除されたら、排除されたぶん日系以外の資本の取り分が増えるだけでしょ。 それを、日系資本にそんなことをしてるとと外資が中国から引き揚げて中国が崩壊する？ 願望と事実は別だと思いますけど（笑）
08. 2012年9月26日 21:30:14 : iENH1cBX1o >>07 >もしも排除されたら、排除されたぶん日系以外の資本の取り分が増えるだけでしょ。 >それを、日系資本にそんなことをしてるとと外資が中国から引き揚げて中国が崩壊する？ はい？日本の投資引き上げ牽制をしたいようですが、 日本以外の外資も暴動や賃上げ要求に嫌気が差して撤退する可能性を全く考慮していませんね。 なにかある度に暴動を起こさないとやっていけない国民性が中華人民共和国にはあります。 さらに世界的にみればすでに低賃金と言えない中華人民共和国です。 気に入らなければ暴動を起こし破壊活動を行う中華人民共和国。 この国民性を反省しない限り、外国資本は離れていくことでしょうね。 １３億の人口も近い将来、派手な高齢化社会となります。 そんな中華人民共和国が市場として生き続けるためには 暴動を起こさない、起こさせない中華人民共和国民の意識改革が必要です。 日本以外の国はいつまでも甘い顔してませんよ。 希望的な観測はいつでも裏切るものですよ（苦笑）
09. 五月晴郎 2012年9月27日 02:26:19 : ulZUCBWYQe7Lk : mfxTdm8VZs 一人でエアー討論するやつが現れた。
10. 2012年9月27日 07:11:16 : KZiFuZiurc 普通に考えて、リターンよりリスクが大きいところには投資しません。 中華人民共和国には１３億人の巨大市場がある、だから外資は絶対撤退なんてしない。 その程度の浅く単純な考え方しか五月晴郎さんにはできないようですね（苦笑）

11. 2012年9月27日 11:56:53 : mfxTdm8VZs おまえはさぁ、掲示板に書き込まないでぬいぐるみに五月晴郎とでも名付けて話しかけてろよ。
12. 2012年9月27日 21:35:13 : Stm265mcmY 09. 五月晴郎 2012年9月27日 02:26:19 : ulZUCBWYQe7Lk : mfxTdm8VZs　← 一人でエアー討論するやつが現れた。 11. 2012年9月27日 11:56:53 : mfxTdm8VZs ← おまえはさぁ、掲示板に書き込まないでぬいぐるみに五月晴郎とでも名付けて話しかけてろよ。 哀れな一人芝居です。

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