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TPP交渉参加の意義を正しく伝えよ:“知的退廃”の典型のような日経新聞社の社説
http://www.asyura2.com/12/senkyo138/msg/809.html
投稿者 あっしら 日時 2012 年 11 月 15 日 03:48:09: Mo7ApAlflbQ6s
 


 野田首相が最後っ屁のように「TPP(交渉)参加の公約化」を持ち出したことや、交渉の進展に照らすと、米国政府との合作である「作為的な交渉参加引き延ばし」をそろそろ解除しなければならない時期になってきたという認識に基づく応援社説なのであろう。

 社説の目的はなんにしろ、残念ながら、“正しく伝えよ”というタイトルとは甚だしく乖離した低レベルの社説である。


●「17年前にできた世界貿易機関(WTO)規則は、時代遅れになりつつある」

 ブロック化ではなく世界レベルで貿易及び投資に関わるルールを構築したいのなら、現在それに取り組める主体はWTOしかない。あれこれ不満も語られているが、中国やロシアも入るほどのワールドワイドなルールであれば、交渉の進捗が遅いのもやむをえないだろう。

 TPPは、日本が交渉に“参加させてもらえない”現状を考えると、米国という経済大国との“自由貿易”に利(日本などからの企業進出を含め)があると判断した東南アジアと南米の国々が米国を基軸とするブロックに参加しようというものでしかない。カナダやメキシコは、米国との経済関係がそれほど変わるわけではない。

 TPPでどのような協定を結ぼうとも、米国政府は、日本を含むアジア諸国の企業が自国市場にずかずか踏み込んでくる状況を放置することはない。放置されなかったからこそ、日本企業も米国市場で既に米国企業とは棲み分けができており、対米輸出の関税がゼロになったとしてもそれほどメリットを得られるわけではない。
TPP関連諸国では米国に次ぐ経済規模を誇る日本は、米国企業に対して金融・保険分野で、その他の参加国に対しても、輸出市場としての開放で米国の“肩代わり”の役目を負わされる存在になりかねない。


●「この間に経済大国となった中国は、対内投資や政府調達、知的財産権保護、輸出規制、競争政策などWTO規則が弱い領域で、自国優先の身勝手な政策を推し進めている。中国の「国家資本主義」を模す新興国も増えるばかりだ。こうした21世紀型の通商問題に取り組み、共通のルールの下に公正な市場を築く試みがTPPである。」


 中国が参加する予定もないTPPに参加する意義として、中国的通商政策うんぬんを持ち出すのはお門違いであろう。
 EU諸国のみならず米国も、はっきり言えば日本も、中国がどのような通商政策を採っていても、中国との貿易や中国国内での企業活動で大きな利益が得られるのなら、とやかく言うことはない。
 それは、鯨飲馬食のごとく膨大な輸入を続けてきた米国が採ってきた“理不尽な仕打ち”や“ルール違反の要請”に、多くの国がやむなく従ってきたことを考えればわかることだ。

 対中通商政策は、現在進行形の日中韓FTA交渉を通じて、日本にとって有利な条件を引き出すことで改善すべき問題である。


●「もう一つ、民主党政権に欠落していたのは、消費者の視点だ。関税による保護で食料品などの値段が高止まりし、消費者にしわ寄せが来ている。貿易自由化は輸出企業ではなく、何よりも広く消費者に恩恵をもたらすという基本原理を丁寧に説明する必要がある。」


 農産品の輸入実績から算出した平均実効関税率は13%ほどと言われている。
食料品の値段は、国産品が低下傾向で、輸入品は円高過程でもなかなか下がっていないというのが実態である。しかし、その理由は、関税の問題ではなく、国産品は安い輸入品の影響を受け徐々に価格が下落する一方で、輸入品は、スーパーなどの“利益源”として高く売られ、ときにチラシセールの目玉として利用されていることにある。

 農家をおかしくして社会保障費はどうするのかとは言わないが、国土保全や気候環境変動といったことを考えれば、付加価値が年間10兆円にも満たない農産品生産活動をおかしくするほうが、国民全体にとって大きな損失なのである。

 国民が生存するための基礎である食糧の供給維持は、国家にとって最重要課題である。災害や気候変動などで収穫が落ち込んだ国は、まずは自国民への供給を優先し、輸出は二の次になる。基幹農産品は、自国で余剰が発生するレベルで生産力が維持されるべきである。

 「関税による保護で食料品などの値段が高止まり」というのなら、農産品も含み、原材料から工業製品までの輸入品に水際で課される消費税を引き上げるほうが、消費者にずっと大きなしわ寄せになる。それを隠したまま、農産品の輸入関税をあれこれ言うのは、知的退廃の謗りを免れない。

 工業製品の平均関税率は2.5%ほどだが、消費税が5%上昇すれば、仮に関税がゼロになったとしても、関税が5%アップしたのと同じなのである。さらに始末が悪いのは、消費税という税制が、グルーバル企業が海外で生産した製品を輸入した場合、「輸出免税」という仕組みで水際の消費税が“帳消し”にすることである。

 消費税の還付を受けている企業が中国で生産した扇風機を輸入販売しているとしたら、それに課された水際での消費税も、還付(帳消し)されていることになる。(還付を受けているということは、当たり前のことだが、その企業は1円も消費税を納税していないことを意味するからである)

 関税も貴重な財源である。日本の農業を維持するために農産品に関税をかけ、その分、他の税目で課税水準をさげるという政策のどこが悪いというのか。
 輸入にかかわる消費税を無視して農産品の関税のみを取り上げ、「消費者へのしわ寄せ」といったお為ごかしを語るのは笑止千万である。

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TPP交渉参加の意義を正しく伝えよ

 野田佳彦首相が環太平洋経済連携協定(TPP)の推進を、民主党の衆院選政権公約(マニフェスト)に盛り込む考えを示した。TPP交渉の参加問題で民主党は1年以上も迷走を続けている。首相は参加の意志を貫き、実現への道筋を早急につけてほしい。

 TPPでは、国論を二分して意見対立が続いた。だが国内農業の保護を中心とする論争は、問題の核心からかけ離れていたと言わざるをえない。狭い論点に目を奪われて、反対派と推進派が応酬する愚を繰り返してはならない。

 まず確認すべきは、環太平洋地域に次世代の通商秩序を築くTPP本来の意義だ。グローバル化で人、モノ、カネ、情報の流れは一段と複雑になっている。17年前にできた世界貿易機関(WTO)規則は、時代遅れになりつつある。
 この間に経済大国となった中国は、対内投資や政府調達、知的財産権保護、輸出規制、競争政策などWTO規則が弱い領域で、自国優先の身勝手な政策を推し進めている。中国の「国家資本主義」を模す新興国も増えるばかりだ。

 こうした21世紀型の通商問題に取り組み、共通のルールの下に公正な市場を築く試みがTPPである。反対陣営の農業協同組合は、高い関税による市場保護を訴えるが、関税問題はTPP交渉の中でごく限られた一部分にすぎない。

 一方、輸出企業を中心とするTPP推進派も、国民への説得力が弱い。交渉に参加しないとルールづくりに乗り遅れると主張するが、日本にとって具体的にどのようなルールが必要なのか、経済団体も政府も示せないでいる。
 アジアに新しい経済秩序を築く協議が、米国の独壇場であってよいはずはない。米国の後を追うだけでなく、日本も独自に地域の通商ルールのあるべき姿を描き、TPP交渉に臨むべきだ。

 もう一つ、民主党政権に欠落していたのは、消費者の視点だ。関税による保護で食料品などの値段が高止まりし、消費者にしわ寄せが来ている。貿易自由化は輸出企業ではなく、何よりも広く消費者に恩恵をもたらすという基本原理を丁寧に説明する必要がある。
 政権奪取を目指す自民党も、TPP交渉に真正面から向き合うべきだ。農業票を意識して参加に慎重な姿勢だが、問われているのは、世界と日本の将来を見据えた通商政策の構想力である。票田ではなく政策を競い合ってほしい。


[日経新聞11月14日朝刊P.2]
 

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コメント
 
01. 2012年11月15日 07:18:01 : 57uSTKGRqk
ノブタを落とそうよ。

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