★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK139 > 462.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
二つの選挙 後編 中編
http://www.asyura2.com/12/senkyo139/msg/462.html
投稿者 MR 日時 2012 年 11 月 22 日 21:19:04: cT5Wxjlo3Xe3.
 

  三橋貴明の「経済記事にはもうだまされない!」

第181回 二つの選挙 後編
2012/11/20 (火) 09:22
 バランスシート不況という言葉の「生みの親」であるリチャード・クー氏は、バブル崩壊後の国民経済の問題(要はバランスシート不況)に関する理解度で、オバマ大統領が六割、ロムニー候補がゼロと評価していた。何しろ、オバマ大統領が四年後のアメリカ財政赤字について、対GDP比3%までの削減を主張したのに対し、ロムニー候補は「0.9%まで減らす」と公約していたのである。
 財政赤字をほぼゼロにするという話で、まさに新古典派経済学に基づく「均衡財政主義」そのものだ。現在のアメリカは、未だに民間の家計や企業が貯蓄を増やしている環境下にある。ここで政府までもが「節約」に入った日には、間違いなくアメリカは本格的なデフレーションに突入する。すなわち、日本で言えば橋本龍太郎総理が果たした役割(デフレ下の緊縮財政)を、ロムニー氏が模倣する可能性が高かったのである。
 さて、翻って我が日本国を見てみよう。12月16日に投票日を迎える総選挙に挑む各政党において、「ロムニー氏」になる可能性が最も高いのはどこだろうか。ずばり、日本維新の会だ。日本維新の会はブレーンの中心が竹中平蔵氏であり、新古典派経済学の教義に基づく、
「歳出削減によるプライマリーバランス黒字化」
 を公約の一つに掲げる可能性が高い(維新八策には書かれていた)。さらに、
「消費税を11%とし、地方税化する」
「社会保障支出を削減する」
 と訴えており、まさに「消費税増税」「公共事業削減」「医療費の個人負担引き上げ(一種の増税)」と、デフレ下の各種緊縮財政を強行し、我が国を史上空前の長期に渡るデフレーションに突っ込ませた橋本政権の後継者と言える。象徴的なことに、均衡財政主義ではない「減税」が党名に入っている減税日本は、第三極の統合から排除されるという事態になってしまっている。
 アメリカのロムニー氏、日本維新の会、さらにはドイツの政治家たちが、なぜ揃いもそろって「デフレ下の緊縮財政」を主張するかと言えば、もちろん彼らの「向こう側」にいる新古典派経済学者の影響だ。新古典派経済学、新自由主義の「教義」に沿えば、政府は「いかなる環境下であろうとも」財政赤字を削減する必要がある。何しろ、政府が財政赤字を削減すれば、「いかなる環境下であろうとも」経済は成長路線に回帰することが可能なのだ(と、主張している)。
 新古典派の「財政赤字削減→経済成長」への道筋は、以下の通りである。
(1) 政府が財政赤字を削減し、国債発行を絞り込む
(2) 政府の国債発行が縮小すれば、クラウディングアウトが収まり、金利が下がる
(3) 金利が下がれば、民間企業が金を借りやすくなり、景気が回復する
 クラウディングアウトとは、
「政府が国債を発行すると、長期金利が上がり、民間企業が金を借りられなくなり、成長率が落ちる」
 というロジックである。
【図181−1 日本政府の国債発行残高(右軸、億円)と長期金利(%)】
http://www.gci-klug.jp/mitsuhashi/20121120.PNG
出典:財務省、日本銀行
 とはいえ、現実の日本では国債発行残高が増えているにも関わらず、長期金利はむしろ下がっているのはご存じの通りだ。
あるいは、より「定性的に」
(1) 政府が財政赤字を削減し、国債発行を絞り込む
(2) 「市場の信認」が回復し、長期金利が下がる
(3) 金利が下がれば、民間企業が金を借りやすくなり、景気が回復する
 と主張する学者もいる。金利低下の理由がクラウディングアウトの終息だろうが、市場の信認向上だろうが、いずれにしても彼らの論旨が「ある事実」を前提にしていることは間違いない。すなわち、
「金利が下がれば、民間企業が投資をする」
 である。民間企業が工場建設など設備投資に乗り出してくれれば、確実に経済は成長し、雇用も改善していく。とはいえ、「金利が下がれば、民間企業が投資をする」が成立していない世界では、上記のロジックは根底から崩壊してしまうのだ。
 銀行融資を受ける際の金利がゼロであっても、民間企業が投資をしたくない環境というものが、この世界には存在しうる。ずばり、バブル崩壊後のデフレ期である。
 バブル崩壊後のデフレ期は、資産価格の暴落を受け、民間の企業や家計が借金返済や預貯金に走る。借金返済や預金は「消費」でも「投資」でもない。消費や投資こそが「所得」を生み出すため、バブル崩壊後の国では「国民の所得の合計」である名目GDPが激減するというリスクにさらされる。
 企業が銀行融資を増やすどころか、借金を返済してくる。結果的に、市中の金利は下落していき、最終的にはゼロに近づく。それにもかかわらず、企業は投資を増やさない。理由は、借金をして投資しても「儲からない」ためだ。
 すなわち、デフレに陥った国において緊縮財政を強行すると、単に国民所得を激減させる結果になる。税収は国民所得を源泉としているため、GDPがマイナス成長になると政府は減収になる。均衡財政を目指して「デフレ下の緊縮財政」を実施した国は、結局のところ財政を悪化させるという結末を迎えることになる。
 財政赤字対GDP比率を改善させる、あるいはプライマリーバランスの黒字化を達成させるという政策は、デフレ下の緊縮財政では実現できないのだ。本気で財政赤字を減らし、プライマリーバランスを黒字化したいのであれば、方法はたった一つしかない。すなわち、デフレから脱却し、経済成長を達成することだ。デフレ脱却こそが、日本の「財政健全化」への唯一の道なのである。

2012/11/21 (水) 10:15
(1/3)より続く 
 そして「正しいデフレ対策」は、日本銀行の通貨発行と政府の国債発行、さらに「所得」を創出する財政政策のパッケージになる。上記三つ(通貨発行、国債発行、財政出動)は必ずパッケージとして実施されなければならない。
 例えば、日本銀行が債券の買い取り額を増やし、より多額の日本円が国内の銀行に供給されたとしよう。ところが、日本の銀行にどれだけ膨大な日本円が供給されたとしても、それが銀行融資として貸し付けに回り「消費」もしくは「投資」として使われなければ、国内物価には何の影響も与えないのだ。物価とは、消費や投資の「価格」なのである。金融市場で巨額のマネーが貸し借りされ、レバレッジが高まっていったとしても、実体経済である所得や投資にお金が回らなければ、デフレからの脱却は実現できないのだ。
 とはいえ、デフレ下では先述の通り、金利を引き下げても企業が銀行融資を増やさず、設備投資にも乗り出さない。というよりも、バブル崩壊で「懲りた」企業が借り入れや投資を増やさなくなるからこそデフレなのだ。
 無論、いわゆる「インフレ期待論」派は、
「いや、長期的に見れば、通貨発行のみでデフレから脱却できる」
 と主張するかも知れない。そして、それは正しいかも知れない。
 とはいえ、ケインズではないが「長期的」とは、いったいどれほどの期間を意味しているのだろうか。インフレ期待論を主張する人に「期間」を聞くと、
「長期的とは、インフレ期待が高まるまでの期間を意味する」
 などと、ふざけたトートロジーが返ってくる。あるいは、インフレ期待が十分な水準に高まるまでの時期について、特定する人もいることはいるが、何の保証もあるわけではない。しかも、日本国民はすでに二十年間もの長期に渡りデフレーションに苦しめられているのだ。多くの若者は、デフレ経済以外は知らない。ここまで「デフレ慣れ」した日本国民が、中央銀行の通貨発行「のみ」でインフレ期待を抱き、借入と投資を増やし始めるだろうか。
 もちろん、増やし始める「かも」しれない。あるいは、増やさない「かも」知れない。結果は、後になってみなければ分からない。
 何が悲しくて、そこまであやふやな「可能性」に賭けなければならないのだろうか。何しろ、中央銀行が発行した通貨を政府が国債で借り入れ、国内で消費や投資として使えば、100%の確率で「国民の所得」は増えていくのだ。
 自民党の安倍総裁は、経済政策について以下のキーワードを繰り返している。
「消費税増税前のデフレ脱却」
「3%のインフレ目標と、日銀とのアコード(政策協調)。もしくは日銀法改正」
「日本銀行の金融緩和は『建設国債』の買い入れで実現」
「インフラ防災、及び地方経済性のための公共投資拡大」
 まさしく、現在の日本に必要とされる「通貨を発行し、借りて、使え」を全て満たしている。バブル崩壊後の日本政府が、上記の「通貨を発行し、借りて、使え」を一気通貫で実施したことは、実は一度もないのだ。これまでの政府のデフレ対策は、
「金融緩和を実施しているときは、財政引き締め」
「財政出動を実施しているときは、金融引き締め」
 というわけで、常にアクセルとブレーキを同時に踏み続けていた。あるいは、少し景気が上向くと、すぐに財政出動や金融緩和を絞り込み「ストップ&ゴー」政策などと揶揄される始末である。
 12月16日の総選挙において、自由民主党が勝利し、上記のデフレ対策が全て実施されると、日本はついに98年以降の長期デフレから脱却できる可能性がある。日本がデフレから脱却しさえすれば、「国民の所得縮小」「若年層失業率上昇」「少子化」「社会保障の不安定化」「財政悪化」「円高」「安全保障の危機」といった諸問題は、特に手を打たなくても自然に解決できる。
(3/3)へ続く
2012/11/22 (木) 10:58
(2/3)より続く
 経費削減の嵐で、今や取材費すら使えなくなってしまった新聞社の状況も、少しは改善するだろう。それにも関わらず、例により新聞は安倍総裁や自民党の「正しいデフレ対策」を妨害するべく、印象論と抽象論に満ちた批判を始めている。
『2012年11月17日 毎日新聞「安倍総裁:建設国債の全額日銀引き受け検討 独立性懸念」
http://mainichi.jp/select/news/20121118k0000m020037000c.html
自民党の安倍晋三総裁は17日、熊本市内で講演し、デフレ脱却について「やるべき公共投資をやって建設国債を日銀に買ってもらうことで強制的にマネーが市場に出ていく」と述べ、政権に復帰した場合、建設国債の全額日銀引き受けを検討する考えを示した。安倍氏は衆院解散が決まった14日以降、大胆な金融緩和策を繰り返し訴えており、日銀の独立性を懸念する見方も出ている。
 建設国債は道路や港湾など公共事業の財源に充てる国債。自民党は10年間で200兆円を防災などに投入する国土強靱(きょうじん)化計画を掲げており、その財源を想定した発言とみられる。ただ、「国の借金を中央銀行が肩代わりしている」と市場が受け止めれば、国債の信用が失われる懸念もある。(後略)』
「日本銀行の独立性懸念」
「国債の信用が失われる懸念」
「放漫財政に繋がる懸念」
懸念! 懸念! 懸念!
毎日新聞のような大手紙が、この種の「印象的」なフレーズをフル活用し、「正しいデフレ対策」である、
「通貨を発行し、借りて、所得になるように使う」
 を妨害しようとする。いつもの印象操作だ。
政策を批判的に書くと同時に、彼らは安倍総裁を不安視させ、貶めようとする。日本経済をデフレから脱却させる「正しい政策」について、あたかも胡散臭いものであるかのような印象操作を行い、政策と政治家を共に潰す。
例えば、読者は「国立メディア芸術総合センター」という政策と、それに対するマスコミの批判を覚えているだろうか。
麻生政権の「国立メディア芸術総合センター」について「国営マンガ喫茶」「アニメの殿堂」などとレッテルを貼る。ネガティブな印象を与える用語を紙面や映像で繰り返すことで、政治家と政策を同時に叩く。
「日本のメディア芸術における国際的な拠点として文化庁所管で計画されていた国立施設の建設」
 である国立メディア芸術センターという政策が、
「マンガ好きの麻生が個人的趣味で造ろうとした究極のバラマキ政策」
 にすり替えられ、政治家は「正しい政策」を主張することで、却って人気を落としていく。本当に汚い手法だ。
 この手のプロパガンダが国民の間に広まると、
「日本国民を経済的な苦境から救う正しいデフレ対策」
 が実現できなくなってしまう。結果的に、国民の自殺率は上昇し、安全保障も揺らぎ、さらに次なる大震災(首都直下型地震、南海トラフ巨大地震)への備えすら不可能になってしまう。
 無論、上記の記事を書いた毎日新聞の記者の所得も減り、取材費がますます使えなくなり、記事の品質が落ち、読者が離れ、やがては「企業の倒産」という事態になりかねないわけだ。しかも、マスコミのプロパガンダによりインフラの防災等の国土強靭化策が実施できない場合、来るべき大地震で上記の記事を書いた毎日新聞の記者本人、あるいは家族、さらには友人や会社の同僚すらもが生命を失うことになりかねないのだ。
 イデオロギー的な「反・金融緩和」「反・建設国債」「反・公共投資」そして「反・デフレ対策」について、日本国民は今回の総選挙で終止符を打たなければならない。さもなければ、日本国は延々とデフレが継続し、国民の所得が小さくなっていく。すなわち、国民が次第に貧乏になっていく。
 現在の世界は「第二次大恐慌」直前といっても過言ではないほど、危険な状態にある。アメリカ国民は、相対的に「恐慌突入」の可能性が低いオバマ大統領を再選した。次は、日本国民の番だ。
 日本国民が「正しいデフレ対策」を実行に移せる政治家に投票するか否かは、我々の「生命」「安全」の問題であり、世界の運命をも変えかねない重大事なのである。

第180回 二つの選挙 中編(1/3)
2012/11/13 (火) 12:11
 アメリカ大統領選挙は、ローレンス・サマーズ教授の言う「需要重視派」である現職のオバマ大統領が再選を果たした。オバマ大統領の公約の目玉に、
「富裕層に対して増税する」
 という、明確な反トリクルダウン政策があった。それに対し、対抗馬のロムニー候補は、
「減税をすれば、民間企業が投資を増やし、成長する」
 という、新古典派経済学に基づく「デフレ期には通用しない」政策を公約に掲げていた。何しろ、現在のアメリカの政策金利はゼロで、長期金利(新規国債十年物国債金利)はわずか1.6%だ。それにも関わらず、企業はアメリカ国内の投資を増やさず、国民の雇用が改善しない。
 要するに、現在の日本と酷似した状況になっているわけだが、この状況で減税をしたところで、企業の投資はそう簡単には増えない。
「減税で国民の可処分所得が拡大し、消費が増え、企業投資の呼び水になるのでは」
 と思われるかも知れないが、現在のアメリカ国民は負債返済(特に住宅ローン)に邁進している。不動産バブルが崩壊した以上、当たり前だが、政府が減税をした場合、アメリカの家計は喜んで「ローン返済」を増やすだけだ。
 また、そもそもトリクルダウン理論は、
「富裕層に減税をすると、銀行への預金が増える。結果的に企業への銀行融資の金利が下がり、設備投資が増え、雇用が改善する」
 という、何と言うか「風が吹けば桶屋が儲かる」的なロジックになっていたわけだ。確かに現在のアメリカで富裕層に減税すると、銀行預金が「ますます」増えることになるだろう。とはいえ、すでにしてアメリカの金利は史上最低水準なのだ。それにもかかわらず、企業が投資を増やしていないからこそ、アメリカの失業率は未だに8%前後なのである。超低金利にも関わらず企業が投資をしないのが、まさにバブル崩壊後の国なのだ。
 要するに、日本国内の新古典派経済学者たちと全く同じ間違いを、ロムニー候補はおかそうとしていたわけである。金融面の政策だけで企業の設備投資が増えるなら、日本もアメリカもこれほど経済再生に苦労をしていない。
 現在のアメリカ、そして日本に必要なのは「需要創出」なのだ。無論、デフレ期に主体的に需要を創出できるのは「政府」以外にありえない。
 オバマ大統領は、選挙戦において「積極的な財政出動による雇用創出」も公約に掲げていた。そういう意味で、アメリカ国民は現在の問題を解決するためには「相対的に正しい」大統領を選んだことになる。
 さて、翻って我が日本である。
 総選挙の時期が迫り来る中、突如、野田総理大臣が「TPP参加を政権公約にする」と言い出し、大騒ぎになっている。
『2012年11月10日 NHK「首相 TPP推進を政権公約に」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121110/t10013394401000.html  
野田総理大臣は福岡市で記者団に対し、太平洋を囲む国々で関税の撤廃などを進めるTPP=環太平洋パートナーシップ協定について、交渉参加を表明する時期は固めていないとしたうえで、次の衆議院選挙の民主党の政権公約にTPPを推進していく方針を盛り込む考えを示しました。
 この中で野田総理大臣は、TPP=環太平洋パートナーシップ協定について、記者団が、「今月後半に開かれるASEAN=東南アジア諸国連合の首脳会議で、交渉参加を表明する考えはあるか」と質問したのに対し、「特定の時期に表明する方針を固めているということはない。交渉参加に向けて協議をしているのが今の状況だ」と述べました。(後略)』
 中編(2/3)
2012/11/14 (水) 12:22
 民主党の政策は常にそうなのだが、
「TPP参加は日本の国益になる。なぜなら・・・・・。よって、政権公約とする」
 ではなく、
「TPP参加を政権公約にすれば、自民党との争点になるから、公約とする」
 なのである。民主党の政策は、基本的に「国益」あるいは「日本国民」というものを意識していない。全ては「選挙対策」だ。さすがに三年も経つと、民主党の政治的なコンセプト「全ては選挙対策」が国民に見抜かれてしまっているからこそ、政党支持率が10%を下回るような惨状になっているのだろう。
 選挙対策優先で政策や公約を決めるため、民主党の政治家は、
「TPPに参加し、日本にどんな得があるのか? 具体的に教えて欲しい」
 と言われると、途端にしどろもどろになってしまうわけである。あるいは、マスコミに登場するTPP推進派の連中同様に「抽象論」を語りまくる羽目になってしまう。
「時代はグローバリズムです。アジアの成長を取り込むのです。自由貿易は自由だからやるのです。アメリカとの関係強化です。対中国包囲網です。TPP加盟国間で自由に貿易やサービスの輸出入をすれば、物価が下がりますよ! 嬉しいでしょう」
 と、言語明瞭意味不明な美辞麗句を並べ立ててくるのが、我が国のTPP推進派だ。「バスに乗り遅れるな!」と、戦前に日独伊三国同盟を煽った新聞記者の連中と全く変わりがない。
 ご存じの通り、国民経済の規模で見た場合、TPPに「アジア」などない。一応、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、ベトナムの四か国はP9諸国に名を連ねているが、これら四か国と我が国はすでに経済連携協定を結んでいる。別に、TPPに加盟せずとも、アジア四カ国の成長は取り込めるのだ。
 さらに「自由貿易」「アメリカとの関係強化」「対中包囲網」などと抽象的用語ばかりを並べ立てるのでは、TPPが何を目的にしているのかさっぱり分からなくなる。アメリカとの関係を強化し、対中国の包囲網を構築するためのTPPというのであれば、これは自由貿易というよりは経済のブロック化だ。というよりも、TPPは加盟に際した条件が極めてきつい(敷居が高い)ため、元々「ブロック経済」の要素を多数、含んでいるわけである。
 別に、筆者はTPPが「自由貿易」だろうが「経済のブロック化」だろうが、どちらでも構わないが(いずれにせよ反対なので)、せめて推進派で概念を統一して欲しいと切に願う。さもなければ、議論が成り立たない。
 ちなみに、筆者が日本のTPP参加に反対する最大の理由は、現在が「デフレ期」であるためだ。確かに、TPP推進派の言う通り、日本がTPPに参加すると、市場競争がさらに激化し、物価やサービス価格が下がっていくだろう。
 というわけで、TPP推進派は、
「デフレ(物価下落)に苦しむ日本は、物価下落を促進するTPPに参加すべき」
 と言っているわけであり、この時点で彼らがTPPやデフレについて真剣に考えていないことが分かる。率直に言って、日本で印象論、抽象論に基づきTPPを推進している政治家、官僚、経済学者、評論家たちは「不真面目」だ。特に不真面目なのが、やはり新古典派の経済学者たちである。
 TPP、グローバリズム、市場原理主義、あるいはユーロ。関税や規制(法律)、社会制度などなど、各国の主権に属するシステムを「統一」し、自由自在に国境を越えてモノやサービス、さらにはカネ(投資)、ヒト(労働者)が行き交い、競争を繰り広げていけば経済は成長する。教育や医療、軍事、警察まで含めた公共サービスについても、全て民営化、株式会社化し、外国資本を「差別」せずに、誰でも株式を買えるようにするべきだ。結果的に、国民は最も幸せになる。
 などと、TPP推進派ではなく、その向こう側にいる新古典派経済学者らは主張する。(日本のTPP推進派は単にイメージで賛成しているだけだ)だが、現実に上記の政策を推し進めていくと、世界は必ず「勝ち組」と「負け組」に分かれていくことになる。
 典型が、現在のユーロだ。


中編(3/3)
2012/11/15 (木) 12:44
 TPP、グローバリズム、市場原理主義、あるいはユーロ。関税や規制(法律)、社会制度などなど、各国の主権に属するシステムを「統一」し、自由自在に国境を越えてモノやサービス、さらにはカネ(投資)、ヒト(労働者)が行き交い、競争を繰り広げていけば経済は成長する。教育や医療、軍事、警察まで含めた公共サービスについても、全て民営化、株式会社化し、外国資本を「差別」せずに、誰でも株式を買えるようにするべきだ。結果的に、国民は最も幸せになる。
 などと、TPP推進派ではなく、その向こう側にいる新古典派経済学者らは主張する。(日本のTPP推進派は単にイメージで賛成しているだけだ)だが、現実に上記の政策を推し進めていくと、世界は必ず「勝ち組」と「負け組」に分かれていくことになる。
 典型が、現在のユーロだ。
【欧州主要国の経常収支の推移(単位:十億ドル) 】

出典:ユーロスタット
 身もふたもない書き方をすると、経常収支とは国同士の所得の奪い合いの「成績」になる。経常収支は、貿易収支とサービス収支、所得収支、それに経常移転収支の四つから構成される。
貿易収支は「モノの輸出入」、サービス収支は「サービスの輸出入」で、どちらがより多くのモノ・サービスを売り込み、相手から所得を奪ったかを示しているわけだ。さらに、所得収支は「どちらがより多くの金利や配当金、雇用者報酬を相手国から奪ったか」であり、経常移転収支は上記以外の所得の移転の統計になる。すなわち、経常収支が黒字の国は、その分だけ「他国」の所得を奪っていることになるわけだ。
 「第178回 ユーロ・グローバリズム」でも取り上げたが、ユーロ発足後のユーロ諸国は、綺麗に「勝ち組」と「負け組」に分かれていった。生産性の高いドイツやオランダが、ひたすら黒字を稼ぐ一方、生産性が低いギリシャ、スペインといった負け組は、これまたひたすら経常収支赤字を拡大していったわけだ。経常収支の赤字は、統計的に対外純債務(純負債)の積み上げになる。
 ギリシャやスペインの経常収支赤字の主因は、もちろん対ドイツなど「勝ち組」諸国への貿易赤字だ。本来、ギリシャやスペインは対ドイツの貿易赤字を縮小させるために、早期の段階で「関税引き上げ」や「為替レート切り下げ」を実施する必要があった。さもなければ、対外債務問題が限界を超えて膨らみ、財政危機に至ることになる(実際に至ったわけだが)。
 ところが、ユーロ加盟国は「ユーロ・グローバリズム」により、加盟国間で関税をかけることが禁止されている。さらに、為替レートは常に一定で、ギリシャやスペインの通貨が対ドイツ通貨で切り下げられることは決してない。
 結局、スペインやギリシャは関税や為替レートといった「盾」なしで、一方的にドイツの輸出攻勢を受け続けざるをえなかった。最終的には、対外純債務が持続不可能な規模に拡大し、財政危機に突入したわけである。
とはいえ、ドイツ人たちはこういうだろう。
「同じ市場、同じルールで戦った結果、我々が勝ち、彼らが負けただけだ。彼らが負けたくなかったのであれば、ドイツ製品に勝る製品を生産し、生産性を高めれば良かったのだ。それをしなかった以上、現在の彼らが陥っている状況は『自己責任』だ」
 と。
 上記は国同士の「勝ち組」「負け組」の話になるが、グローバリズム、TPP等を推進していくと、国内の市場でも同じことが起きてくる。何しろ、豪州の農家一戸当たりの耕地面積は、日本の1500倍だ。この生産性の違いは、技術開発や努力で埋めようとしても、「絶対に」埋めることはできない。
 TPPに日本が加盟すると、豪州産や米国産の農産物が市場を席巻し、廃業する日本の農家が続出することになる。とはいえ、「真のTPP推進派」といえる新古典派経済学者たちは、こういうだろう。
「自由な市場で競争し、敗北した以上、日本の農家が負けたのは自己責任だ。それに、『セイの法則』がある以上、廃業した農家は瞬時に別の職に就けるので、失業率が上がったりはしない。もし農家が職に就けないとすると、『職種のミスマッチ』があるわけだから、職業訓練をすればいい」
 と。
 世の中には「国家として守らなければならない産業」というものがある。具体的には、農業、医療、建設業(※日本の場合限定)、教育、防衛産業、インフラ産業などだ。これらの産業が全滅すると、その国は「国家」であることを維持できなくなってしまう。
 
次週も「二つの選挙」に関する話を続ける。
http://www.gci-klug.jp/mitsuhashi/2012/11/15/017605.php
 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK139掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK139掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧