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100万円以上? 1票の価値、お金に換算すると
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投稿者 MR 日時 2012 年 11 月 28 日 12:51:18: cT5Wxjlo3Xe3.
 

100万円以上? 1票の価値、お金に換算すると
2012/11/24付日本経済新聞 プラスワン
 「1票の価値を金額で示してもらえませんか。投票が大切だと言われてもピンとこないんです」。若いカップルが事務所を訪れた。探偵の深津明日香が「難しそうだけど、価値が分かれば投票率アップにつながるかも」と調査に乗り出した。

■選挙・活動費から計算すると1000円

 「候補者は1票を得るのにいくら使うのかしら」。明日香は総務省の資料を調べた。2009年8月の前回総選挙で、東京都の小選挙区候補者の運動費は合計約5億4900万円。総得票数が約688万票なので1票当たり約80円支出した計算だ。全候補者が運動費を法定上限額まで使った場合は約400円になる。

 「候補者にも聞いてみよう」。明日香は前衆院議員の一人に実態を尋ねた。「前回総選挙では自腹で約1千万円用意し、所属政党から千数百万円の支援を受けました」。得票数が約10万だったので1票当たり二百数十円になる計算だ。

 ただ、議員活動は選挙期間中だけではない。「地元事務所の維持費などで年間2千万円近くかかる」という。明日香は電卓をたたき「仮に任期中4年間の活動費も次の選挙に向けた費用だと考えれば、1票1千円くらいね」とつぶやいた。

 「“市場価格”も知りたいわ」。明日香は買収価格を調べることにした。警察庁に問い合わせると前回選挙での検挙事例を教えてくれた。捜査第2課によると「運動員が有権者20人に現金約3千〜5千円を渡した」「有権者3人に、投票と票のとりまとめの見返りに1500〜6千円相当の牛肉を提供した」などの例があったという。「こういうルール違反はなくさなきゃ」

 事務所で報告すると、所長が「視点が候補者側に偏ってないか。依頼人が知りたいのは有権者にとっての価値だろ」と鋭く指摘した。明日香は「調べ直します」と慌てて飛び出した。

■シンクタンクに試算してもらうと…

 「経済学ではどう考えてるのかしら」。追手門学院大学教授の奥井克美さん(49)に聞くと、選挙の分析では「投票者が投票によって得られる報酬」=「自分の1票が選挙結果に影響を与える確率」×「自分の支持する候補者が当選した場合に得られる効用(満足度)と支持しない候補者が当選した場合の効用の差」―「投票に行くコスト」+「投票することの市民としての義務感」という式がよく使われるという。


 「自分の1票で結果が変わる可能性が高いほど、価値は上がるわけですね」。逆に自分の票が結果に影響を与える確率がゼロに近いと、投票の価値はほぼ「義務感」―「投票のコスト」だけになる。「(交通費など投票にかかる)コストが変わったときに、価値がプラスになる(投票に行く)かどうかを分析する研究が多いですね」と奥井さん。

 どうも1票の価値の水準を求める式ではないようだ。困った明日香は、シンクタンクに1票の価値を試算してもらうことにした。

 ニッセイ基礎研究所の高山武士さんに意見を求めると「国の予算から計算してはどうですか」と試算を示した。政府予算(一般会計)は年間約90兆円。配分が投票結果で決まると考え、有権者約1億人で割ると1人当たり年90万円。「衆議院の任期は平均約3年なので1回の選挙で約270万円の価値があるといえそうです」と高山さん。

 明日香が驚くと、高山さんは「予算の半分は税収ではなく国債という“前借り”で賄われるので注意が必要です」と付け加えた。将来の自分にツケを回しているのと同じで、返済負担は平均余命の長い若者の方が重くなるという。

■高齢者、現役世代の2倍か

 「世代によって1票の価値に差がありそうね」。明日香は日本総合研究所を訪れチーフエコノミストの山田久さんに話を聞いた。「予算を、受け取る世代別に分けて考えてみましょう」と山田さん。例えば一般会計の教育関連支出は若い世代が受け取り、社会保障給付費のうち年金関連は65歳以上の人が受け取る。

 こう考えると、1年間に国から得る便益は65歳以上で1人126万円、65歳未満の有権者で58万円(2009年度)。予算配分の格差を解消するために「人数が減り政治への影響力が下がる若者には1人に1票以上与える案などを検討すべきです」と山田さん。

 「若者の投票率の低さが不公平な予算配分につながった可能性があります」。SMBC日興証券のエコノミスト、宮前耕也さん(33)はこう指摘する。前回選挙で20代の投票は49%、70代は80%だった。


 内閣府の05年の試算では、1974〜83年生まれの人は、社会保障の受益と負担のバランスが1世帯当たり生涯で約1660万円のマイナスだ。「これを、投票に来ない若者を政治家が冷遇した結果だと見なし、みんなが選挙に行けば負担超過をゼロにできると仮定します」。平均寿命までの間、衆院選が21回あるなら1回の投票の価値は約80万円。「ただし、若者みんなの投票が前提です」。明日香は「投票に行かないと不利な扱いを受けかねないわけね」と思った。

 「1票の価値の格差は地域間でもありますよ」。アジア太平洋研究所の副主任研究員、村上一真さん(38)は一般会計を国会議員数で割って1人あたりの「予算責任額」を算出。これを各小選挙区の有権者数で割ったという。

 例えば一番高い高知県第3区の1票の価値は議員の任期4年で約182万円。逆に千葉県第4区は76万円。実に2.4倍近い差がある。「最高裁で1票の格差が違憲状態だと指摘されたけど、金額で見ると改めて不公平感が募るわ」と明日香はまゆをひそめた。

 「投票しないと損だということがよく分かりました」。納得した依頼人を見送った所長が「久しぶりに投票したくなったな」。夫人の円子がくぎを刺した。「“負け馬”投票券を買う気じゃないでしょうね」

<昔は高額納税者の特権 「タダで投票」は国民運動の成果>

 日本で最初に総選挙が行われたのは1890(明治23)年7月1日。ちなみに投票日は今と違い火曜だった。選挙権は満25歳以上の男性で「直接国税を15円以上納めた者」だけに与えられた。

 当時の15円を現在の額に直すのは、比較できる消費者物価の統計がないため難しい。投票日の中外商業新報(後の日本経済新聞)に載った商品相場から単純計算すると数万円だが、有権者が総人口のわずか1%だったことからすると、もっと価値があったのは間違いない。例えば、税制は違うが確定申告した人の所得の上位1%から考えると1千万円程度になりそうだ。

 たくさん税金を納めた人だけの特権だった選挙だが、全員が喜んで投票に行ったわけではないようだ。投票から3日後の中外商業新報は「東京府民、政治思想の冷熱」の見出しで、東京府(当時)の選挙区で最大37%の棄権が出たと、批判的な調子で報じている。

 納税条件撤廃を求める国民の運動の結果、1900年に10円、19年には3円に引き下げられ、初選挙から35年後の25年に普通選挙法が成立する。ただ、25歳未満や女性に参政権はなかった。20歳になれば誰でも「タダ」で投票できる権利は、先人たちの努力で勝ち取ったものだ。

(松林薫)

[日経プラスワン2012年11月24日付]http://www.nikkei.com/article/DGXDZO48759780T21C12A1W14001/?dg=1  

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