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90歳でも自分で運転するのは当たり前の時代へ!? 「中山間(ちゅうさんかん)地域」の現実
http://www.asyura2.com/12/social9/msg/209.html
投稿者 MR 日時 2012 年 11 月 17 日 10:55:30: cT5Wxjlo3Xe3.
 

【第132回】 2012年11月16日 桃田健史 [ジャーナリスト]
90歳でも自分で運転するのは当たり前の時代へ!? 「中山間(ちゅうさんかん)地域」の現実

日本で唯一の専門機関で
初の「お祭り」を開催

 超高齢化時代に本格突入したの日本。
「人は、何歳まで自分で運転するべきか?」
このテーマを追うなかで、ある施設の存在が気になった。
島根県「中山間(ちゅうさんかん)地域研究センター」。

「日本国土の7割を占める、都市や平野地域を除く山がちな地域のこと。日本全人口の13.7%が分散的に暮らす居住地域。同地域での高齢化率は25.1%」(島根県中山間地域センター資料・2000年、国勢調査に基づく)

 これが、中山間地域の定義だ。

 秋深まる、2012年11月4日(日)。島根県の小さな町で開催されたイベント、「中山間フェア」に出かけてみた。


「島根県中山間地域研究センター」(島根県飯石郡飯南町)外観 Photo by Kenji Momota
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 島根県飯石郡飯南町。通称「出雲神話街道」(国道54号線)で、松江から約60km、広島から約100km。さらに山あいの道で、世界遺産「石見銀山」から約50km。島根と広島の県境近いこの地に2002年、「島根県中山間地域研究センター」がオープンした。

「この建物ができて、ちょうど10年目。組織としては15年目だ。これまで県内外から(自治体や企業関係者の)見学を迎え入れてきた。今回は我々のこれまでの活動内容を地元周辺の皆さんに直接見ていただこうと考え、フェアとして初めて開催した」(所長・佐藤操氏)。


「中山間フェア」、模擬店前で人気の「い〜にゃん」 Photo by Kenji Momota
 所内では、飯南高校・赤来中学校の吹奏楽部の演奏会、ロケットストーブの実演会、染め物体験、木工体験などを開催。猪ラーメン、出雲そば、芋煮など、地元グルメの屋台も登場。詰めかけた親子連れや高齢者の笑顔が広がった。ゆるキャラ「い〜にゃん」の周りに、子どもたちがドッと集まった。

 同センター初開催のお祭りで、楽しいひと時を過ごす中山間地域の人々。だが、実生活のなかでは根の深い問題が山積みだ。高度成長期の反動とも言える様々な社会変化が、中山間地域に起こっている。さらに、そうした変化は都市周辺でも同時進行しているのだ。

中国5県は
「日本の未来像を写す鏡」

 日本の総人口は、2010年に1億2806万人でピークに達した。それから50年後、2060年に4132万人減少し、8674万人へと急減する。高齢者人口の比率は、23.0%から約1.5倍の39.9%へ上昇する(総務省「国勢調査報告」等)。

http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h24/html/hj12010306.html


環境省ホームページ「平成24年版 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」より 拡大画像表示

 地域別での変化は、「2005年と比較した2050年の人口増減」(右図)で見て取れる。それによると、人口が増加傾向なのは、東京都心・同城南地区、中京圏名古屋南部・東三河など、都市圏のごく一部だ。それ以外では減少する。人口減少率で見ると、全国平均で約25%。だが、過疎地域の平均的な人口密度(約51人/km2)を下回る「過疎化が進む地域」では、同約61%に跳ね上がる。

 このような状況が進行するなか、近年、全国各地で社会問題として表面化してきたのが、いわゆる「買い物難民」の急増だ。日々の生活を維持するために、食料品を買いに行くこと。そして、病院へ通うこと。そうした社会生活のための交通手段の確保が大きな課題となっている。

 具体的には、高齢者単独世代で、徒歩圏内(約20分/1km)に生鮮食料品店が存在しない世帯数は、2005年が46万世帯、2030年が約99万世帯、そして2050年には約114万世帯に増大する(総務省「国勢調査報告」等)。

 こうした社会変化の影響が、全国のなかで最も深刻なのが中国5県(島根、鳥取、山口、広島、岡山)だ。そこで、これら各県の地域振興、地域政策等の部局が1998年、「中国地方中山間地域振興協議会」を設置。今後のコミュニティのあり方、耕作放棄地への対応、そして地域再生のための産業育成など、各県が共通の課題認識を持って解決策を模索している。

 なかでも熱心なのが島根県だ。中山間地域という「具体的なイメージがつかみにくいモノ」を、前述の「研究センター」として具現化したのだ。

2015年には都市圏でも
大きな社会問題に

 同センターがまとめた、2012年度版・研究成果カタログがある。

 そのなかで、中山間地域の長期戦略として、2010年代に必要な政策展開の基本構図を示している。視点(把握すべき現状課題と今後の変化)として、5点を挙げた。

 @「集落はどうなる?」
20世帯未満・高齢化率50%以上の集落が2024年までに県内で全体の約3割に。

 A「2015年、都市の限界」
2015年に、広島県近郊団地(あさひが丘、くすのき台、五月が丘、美鈴が丘)の高齢化率が島根県中山間地域町村を超える。

 B「海外の田園地域は?」
英国では田園回帰の傾向が見られる。それが参考になるか?

 C「縦割り政策をどうする?」
産業、社会、環境、行政を、広域で総合的に、しかも持続的な政策展開が必要。

 D「持続可能な地域循環圏構築」
再生可能エネルギーの活用、近隣・複合的な資源・経済循環を目指す。

 以上をふまえた上で、交通システムの観点から研究が進んでいるのが「郷の駅」だ。


島根県中山間研究センター研究企画監・島根県立大学連携大学院教授、藤山浩氏 Photo by Kenji Momota
 その構想について、同センターの研究企画監・島根県立大学連携大学院教授、藤山浩氏に説明していただいた。

 基本的な考え方は、いわゆる「ハブ&スポーク」。つまり、地域内での、ワンストップサービス拠点の構築だ。具体的には、行政機関、教育機関、医療福祉施設などの生活に必須な拠点の窓口、さらにスーパーマーケット、コンビニ、ガソリンスタンド、レストラン等、さらには観光案内所、産直市場、防災センター等を融合した「ゲートウェイセンター」を、地域内に数ヵ所、新設する。地域住民は「郷の駅」と自宅間を自走、または地域専用の小型バス等で移動する仕組みだ。筆者はこの構想について、いわゆる「道の駅」を地元住民生活により密着したカタチで進化させたもの、というイメージを持った。

 中国5県内で、「郷の駅」構想に近い事例としては、2001年にオープンした岡山県新見市哲西町の「きらめき広場・哲西」がある。役場本庁を中心にかなり規模が大きい。だが、「ここは稀なケース。一般的には(国や県などからの)補助金が縦割りで管轄されており、実施が難しいのが課題」(藤山氏)という。

 また、「郷の駅」構想は、国土交通省国土政策局総合計画課・道路局国道・防災課が進めている、“日常生活サービス機能が集約した「小さな拠点」”ともシンクロしている。これは、2012年7月に閣議決定した「日本再生戦略」での、「国土・地域活力戦略」の一環である。

 では次に、本題に移る。

「超高齢化社会のなか、人は、何歳まで自分で運転するべきか?」について、中山間地域での今後のあり方を考えてみたい。

「90歳でも現役」は
珍しくない!

「この辺りでは、いくつまで自分で運転していますか?」

「中山間フェア」の各所で、地元の方数人に聞いてみた。

 回答としては、「うちのおじいちゃんは90歳。でも、まだ元気で自分で軽トラックを運転している」、「人によってかなり差あるが、自分での運転は絶対必要」、「この辺りでは、70代はまだまだ若い。おじいさんたちが運転するのは当たり前のこと」などの声が聞かれた。

 さて、「郷の駅」構想には、発展形がある。そこには大きく、次の3つの要素があり、そこに次世代交通システムが組み込まれている。

 @再生エネルギーステーションとしての進化→EV充電ステーションの設置
A旅客・貨物複合輸送の社会実験→英国「ポストバス」の応用
Bポスト「マイカー時代」における「郷の駅」→超小型モビリティ等の活用

 上記Aの英国「ポストバス」とは、郵便配達車が、コミュニティバスを兼用するカタチだ。島根県内では、邑智郡邑南町日貫で2005年12月1日〜2006年2月28日まで実証試験を行なっている。


トヨタ車体・新型「コムス」。CEATEC2012(幕張メッセ)での体験試乗会 Photo by Kenji Momota
 そして、上記Bに関して、「郷の駅」関連資料では、「マイカー」の代替として、トヨタ車体「コムス」を紹介している。「高齢化が進む中山間地域では今後、現在と同じようなマイカーを維持するのは難しい。車両価格と燃料代や車検代などの維持費を考えると、コムス等の超小型モビリティ(ミニカー含む)の活用を広げるべきだ」(藤山氏)という。

 こうした研究成果に対して筆者は「コスト面だけ考慮するなら、日本版ポストバスだけあれば、高齢者対応は必要十分なのではないか?」と、思った。

 ところが、ある研究成果を見て、筆者の考え方が間違っているのかもしれない、と気がついた。それは、島根取材の2日後、国土交通省管轄の研究機関、独立行政法人・交通安全環境研究所が行なったフォーラム(東京都渋谷区・国連大学、ウ・タント国際会議場)でのことだ。

高齢者の外出目的は
「多様で不規則」

 発表題目は「歩行者事故予防に向けた高齢者の行動特性と道路横断タイミングに関する基礎調査」。被試験者は、東京郊外在住の高齢者が男性11人、女性4人(平均年齢75.4歳)、若年者が男性2人、女性8人(33.5歳)。さらに、秋田県在住の高齢者が男性8人、女性8人(同66.8歳)、若年者が男性16人、女性1人(同22.5歳)だった。

 同調査のなかで行われた、外出目的のアンケートは興味深い結果となった。若年者の場合、仕事、通学、買い物など外出の目的は限定的だった。対する高齢者の場合、習い事やクラブの集まり、近所の散歩など、目的が多様化し、移動する時間帯も様々だ。

 一般的には、「高齢者の活動パターンは限定的」と思いがちだ。だが、上記の調査結果が示す通り、よくよく考えてみれば「高齢者の活動パターンは多様で不規則」なのだ。

 これを中山間地域や都市部周辺の団地での、高齢者の外出に当てはめてみると、「日本版ポストバスだけでは不十分では?」と思えてくる。「郷の駅」のような「小さな拠点」との往復、ご近所の友達のウチに遊びに行く、朝晩の散歩などで、気軽に手軽に自分自身で乗れる「移動体」が必要なのだ。

 その候補に、維持費の安い超小型モビリティ(現状で、「コムス」は道路交通法上、原動機付き自転車(4輪)・いわゆる「ミニカー」規定)があるのだ。

 ところがここで、大きな問題がある。それが、運転免許だ。中山間地域では、18歳未満を含む全人口のうち、運転免許未保有者が4割以上なのだ。女性だけでみると、5割以上が運転免許がない。外出時は「お父さんの助手席」が当然だったお母さんたち。だが、2011年、日本の平均寿命が女性85.90歳、男性79.44歳との現状で、「お父さんが亡くなったら、外出のための足(マイカー利用)がなくなった」お母さんたちが大勢いるのだ。

「コムス」も、これから登場する超小型車(二人乗り超小型モビリティ)も、普通免許が必要だ。


ハンドル形電動車いす各種。左から、スズキ製、アテックス製、ホンダ製。価格は30万円台中盤〜後半 Photo by Kenji Momota 拡大画像表示
 こうしたなかで、中山間地域で需要が増えているのが、免許不要・歩行者扱いの「(ハンドル形)電動車いす」なのだ。

 藤山氏は「島根県の場合、雪が少なく盆地など平野が多い地域、例えば邑南町では、「電動車いす」の利用が多い。買い物に片道3〜5km移動するケースもある。(郷の駅の構想のなかで)、「電動車いす」が、「コムス」や超小型車に取って代わることもあり得る」という。

 さらに「ハードルは高いと思うが、ミニカーや超小型車などで、(運転資格取得を簡素化した)地域限定の運転許可も考えるべきではないか」(藤山氏)という。

国は、超高齢化時代の
現実を直視するべき

 国土交通省は近年中に、「二人乗り超小型モビリティ」を(仮称)「超小型車」として新規定するべく積極的に動いている。同車の規定を検討してきたなかで、福岡県を中心に全国知事会で議論されてきた「高齢者にやさしい自動車開発プロジェクト」がある。「超小型モビリティ」の国の検討会主要メンバーは、同プロジェクトにも関わる有識者らだ(詳しくは本連載第85回参照)。

 今後、全国各地で本格的実証試験が行われる「超小型車」。

 その活用方法として、中山間地域での「特別使用区」の設定など、超高齢化社会の現実に適合した「思い切った政策」の実施に期待したい。

「超小型車(ミニカー含む)=高齢者専用車」ではない。
しかし、「超小型車(ミニカー含む)=高齢者の生活必需品」になり得るのだ。

 その点について、いま一度、全国各地の中山間地域・都市周辺部の団地での生活実情を踏まえて、車両規定や運転資格で「柔軟な解釈」を考慮していただきたい。

 そして、本連載でも度々指摘している、「(ハンドル形)電動車いす」の件。

 介護保険導入により一時的に需要が拡大したが、その後は販売数が伸び悩んでいる。だが、中山間地域での実情を見ても明らかなように、潜在的な需要が大きいのだ。「(ハンドル形)電動車いす」本来の目的は、「屋内走行」である。それが、その手軽さから、中山間地域では「かなり長い距離での屋外走行」という、「想定外の使用領域」に達している。

「超小型モビリティ」の仲間である「電動車いす」。その“あり様”について国は再考すべき時期に来ていると思う。

 いくつになっても、楽しく生活できる社会。そのなかで、自由に移動できる喜びは必然だ。新しい「移動のあり方」を考える上で、中山間地域の存在は極めて大きい。
http://diamond.jp/articles/print/27920  

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