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生活保護埋没ダメ給付基準下げに危機感(東京新聞)なんで稼いでる人間と同じ生活しようとしてんの?
http://www.asyura2.com/12/social9/msg/235.html
投稿者 木卯正一 日時 2012 年 12 月 08 日 03:43:59: xdAt6v.ugMgqA
 

  ↑
どうみても健康な体だよなこいつら
夜の冷え込む歩道を大声だして練り歩けるんだから

>>五日夜、冷え込む東京・永田町の歩道。

何この同情を誘う書き出し?
働いてないんだから暖かい昼間行けよ♪

この紙だとか団扇だとか、一体どうやって手に入れたんですか?
まさか受給したお金ではないでしょうねえ・・・?


・本文


官邸前で国政や都政へのメッセージを書いた黄色の布をつなげて掲げる参加者たち=5日、東京・永田町で

生活保護の利用者が、衆院選の行方に危機感を強めている。門戸を狭める政府の見直しは中断したが、民主や自民など、保護費を抑える政党の主張が目立つからだ。
制度の利用を線引きする基準が下がれば、最低賃金など他の低所得者の制度にも影響するが、ほとんど話題にならない。
利用者らは、「重要な争点なのに」「命の最低ラインを下げないで」と訴える。

「私たちの声を聞いてください」「最低限の生活を保障しろ」
五日夜、冷え込む東京・永田町の歩道。生活保護見直しに反対する利用者や支援者が、国会や首相官邸に向かって声を上げた。
財務省前でも「生活保護基準切り下げ反対」と訴えた。
今でも、利用者の生活はぎりぎりだ。先月下旬、東京・永田町で開かれた「全国生活と健康を守る会連合会」と厚生労働省との交渉に出席した毛利吉彦さん(78)=福岡県=は
「近所付き合いもできない」と訴えた。「お茶に誘われても断らなくてはならず、香典も出せない」というのが理由だ。
家賃三万円のアパートで、病気がちな妻と二人暮らし。二〇〇四年三月、脳梗塞で倒れ、三十年以上勤めた会社を解雇された。
直後、四十五歳の息子が肺がんで他界。蓄えを治療につぎ込んでいたため、生活保護に頼るしかなくなった。小泉改革で月約一万八千円の老齢加算が廃止に。
朝食は食パン一枚という。
政府の見直し案では、働ける年齢層には「就労支援」の強化が叫ばれている。札幌市内のシングルマザー(31)は「働きたくても仕事がないんです」と訴える。
二人目の子の妊娠で、生活保護を受給。産後一カ月で就労指導を受けたが、子どもがいるだけで面接さえ受けられない企業が多かった。
新宿区の男性(42)は、これまで首相官邸前などの抗議行動に参加した。五年前、日雇い派遣先の仕事が無くなり、生活保護を受けるようになった。
「貧困のことを知っている政治家に頑張ってほしい」と願う。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012120602000090.html


>お茶に誘われても断らなくてはならず

甘えんな


>香典も出せない

生活保護受けてるような状態の人間にそんなもの求めてない


近所づきあいなんて金要らんだろう
近所づきあいで金使おうとしてるのが意味不明


初めてのナマポ講座
いくら貰えるの?
(1)生活扶助額の例(平成24年4月〜)
                  東京都区部等         地方群部等
標準3人世帯            172,170円          135,680円
高齢者単身世帯          80,820円          62,640円
高齢者夫婦世帯          121,940円          94,500円
母子世帯              192,900円         157,300円
※児童養育加算を含む
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000029cea-att/2r98520000029cj2.pdf

これらに以下の扶助が任意に追加されます
(2)住宅扶助
(3)教育扶助
(4)介護扶助
(5)医療扶助
(6)出産扶助
(7)生業扶助
(8)葬祭扶助

1日1000円しか使えないからタバコは吸えないし寿司も食べられなくなるかもしれません
それに近所付き合いもできないし、香典も出せないし、朝食はパン一枚になるかもしれません
ちなみに国民年金40年払って貰えるのは6万くらいです(※世代ごとに異なる場合も)


>札幌市内のシングルマザー(31)は「働きたくても仕事がないんです」と訴える。
二人目の子の妊娠で、生活保護を受給。産後一カ月で就労指導を受けたが、子どもがいるだけで面接さえ受けられない企業が多かった。


これ思うんだけど

シングルマザーなのに第二子を妊娠て何?


何十年も働いて国民年金や厚生年金支払続けた人がもらえる金額少なくて老後節約して生きていくのによ

クズ生活保護者は贅沢させろと?

いや、100歩譲ってまだ病気などの理由で本当に必要な人は良しとしよう
不正受給している在日やクズ共を排除しろ
それだけでかなり違ってくるだろ


こういう活動が出来ない人達が貰える権利があるよね

健康で文化的な生活〜という事か。
それで、金が欲しいとデモか。乞食以下だなこりゃ。
金もなく、支援してくれる身寄りもない社会不適格者に贅沢言う権利があるか?
デモする暇があったら、社会復帰の為の努力をしろ。

とりあえず働けない外国人には払う価値ないだろ
延々と寄生されるよりスパッと帰国費用出して追い払えばよくね?

はいはい


またコメントで荒らされるつもりで投稿しています。
それでも真実を探す為にやってることですから♪


小沢一郎みたいに稼げる方法を全国民に公開していればこんな投稿もしなかったのですが♪
 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2012年12月09日 09:54:30 : 6kuobrWeYc
>シングルマザーなのに第二子を妊娠て何?

少子化なんだから産める人間にはどんどん産んでもらわないと困るだろ。


02. 鬼子 2012年12月11日 20:35:23 : qRwpqoWuLLjw. : iFDHhAoPDs
生活保護を受給している60前の男です。数年前に吐血性胃潰瘍で倒れ、病院の話しでは、その病院に救急で搬送された時には、死亡、と判断されたようです。殆ど全血の吐血でした。それでも、優秀な医師たちの、決して諦めない信念と、その医療技術で、戻って来れた次第です。

身寄りもなく、援助もなく、それでも多くの人のお陰で、今もまだ生き長らえさせてもらっていると、感謝しています。だからこそ、だと思いますが、生活保護制度に対する、自力で頑張っている人達の諌言は身に沁みます。何故まだ生きているのか、心苦しく思っています。

リハビリも自力でしているつもりだし、出来る限りを自力でやっているつもりですが、倒れるまでは、平均以上の労働をし、収入もありましたが、収入や財産等は、それまで家族だった者、身内だった者と共に消え、天外孤独、ということで、行政から支えていただいている現状です。

自分も世間から白い目で見られているのは、痛烈に実感しています。そして、申し訳無いとも、強く思っています。税金泥棒、犯罪者、と揶揄されているのも、現実に味わっています。けれど、子供の頃からずっと、お互い様、を貫いてこれた、と自負する自分としては、せめてその現実を支えに、何とか生き、機会が有るならば、可能ならば、恩返しもしたいと思っています。今は殆ど動けないので、妄言は吐けませんが。

生活保護制度自体が「悪い」のではなく、それを、明らかに悪用している人が大勢居るが為に、轟々と非難が湧いているのだろうと思います。が、そういう悪弊を糾す力も自分には有りません。せめて、自分もまだ人間の一員なのだと思う事で、何とか、日々を耐え、前向きに、と思っています。


03. 2012年12月12日 19:52:38 : 6KSdHCqrCM
02さん
病気で倒れるまで
どの様な生活されていましたか?。
 私も胃潰瘍やらその他の病気も何度かしましたが
少年の頃より一カ所の職場で頑張り
税金や厚生関係のお金を天引きされた
残りのお金で家族の生活を支えて
民間の生命保険にも加入していました。
お父さんの使えるお金は本当に僅かです。

02さんの文章を読む限り
家族はいらっしゃらないようにも思えるのですが
如何ですか?。


04. 鬼子 2012年12月12日 21:12:01 : qRwpqoWuLLjw. : W6g3Z3Mzso
02です。仕事、仕事でしたね。働き甲斐はありましたから。03さんの仰る通り、家族も身よりもありません。正確には、過去には居たし、友人知人、と呼んだ者も大勢いました。お前は人間じゃない、とまで言われたほど、動き回っていました。それが色々と有って、ガスライティング的な出来事が次々起こり、それまでの無理もたたって倒れました。

今の時代は、と断定はしませんが、大勢の人は、楽だけしたい、という気持ちが大きいのでしょうね。生活保護は受給しているし、大きな事は言いたくありませんが、この記事を書いた方の言う通りの人も沢山見てきました。悲しいし、否定したいけれど、現実だと思います。

ホームレスの人も(昔は乞食、とか言っていましたが、)一概に括れない、諸事情を抱えてる人もいるし、自分にはなんとも言えません。もしも社会復帰できたとしても、それと倒れる以前もそうでしたが、とても一括りには非難できません。

自分は、産まれた時には鬼子と呼ばれ、その後、浮浪児をし、施設に収容され、施設から社会人になりました。大勢のひとと共に活動する事も多かったのですが、今は人の世とも、縁が切れているようです。あまり動けないので、ブログを書いて、何とか時を過ごしています。

03さんのような方も大勢いるのだと思います。批判を受けるべき者も大勢いるにしても、です。

ナマポかよ!的な言い方、扱い方をされると、気持ちは沈みますけどね。自分のブログでは、結構言いたい放題書いてます。もう十年以上、掲示板が登場した頃から、ネットは利用しているので。

投稿者さまのコメントを荒らすつもりは毛頭ありません。が、何故か書きたくなってお邪魔させて頂きました。せめて、気持ちだけでも、懸命に頑張ってる人の応援はし続けたいと思っている者です。長文で申し訳有りません。


05. 2012年12月13日 13:42:07 : 6KSdHCqrCM
04さん
 03です。

人生イロイロ
努力してもどうならないこともありますしね。
それはそれで理解できます。

でも日本も一時景気良い時もありましたから
その時に企業戦士と言われたくらいの
猛烈社員も沢山居ました。
 その反面
束縛を嫌って定職に付かないで
自らアルバイト生活を選んだ階層も沢山居ましたからね。
ヒッピーなんていうのも流行りました。
ある程度豊かだったから
その様な自分中心の気ままな生活でも楽しく食って行けた訳です。
 しかしその様な生活をしていた人達は
当然経済が低迷してくると真っ先に落ちこぼれて行くわけです。
年齢的に
現在高齢者や高齢一歩手前の層には
そのような人物が沢山居るはずです。

私達のように3K仕事でも
少年時代からじっと耐えて働いていた層がアリなら
束縛を嫌って気ままに行きようとした層はキリギリスですよね。
私の知人にもそう言うのが居ます。
でも生活苦しいのを社会のせいにして批判ばかりしていますけれども(笑)。
最近お金の話をしなくなったから
生活保護でも受けたのかもしれません。
景気良いときは海外旅行したり
出始めの携帯電話なんか見せびらかしていたのですが(笑)。
アリもキリギリスも結果が同じでは
いくら博愛主義者でも
文句の一つも言いたくなりますよ。
良いとこ取りなんですから。
だからと言って見殺しにはできないから
アリとしては面白くないわけです。

生活保護者には
正義の味方ぶった応援者が現れるのに
年金を貰っているのは社会のお荷物のように
責められる。

 こんな本末転倒の話はあるものか
と思うのは当然ではないでしょうか。


06. 2012年12月29日 23:41:49 : 1CypbfIMZc

【政策ウォッチ編・第7回】 2012年12月21日 みわよしこ [フリーランス・ライター]
自民圧勝で生活保護受給者は絶望の淵に
元公務員ワーキングプアが語る貧困世帯の悲惨な現場
――政策ウォッチ編・第7回
政権がどうなろうが、変わりようのないことがある。日本に、生活保護水準以下の生活をしている貧困層の人々が、今、この瞬間も、数多く存在していること。人が生存し、生活を営むためには、一定の資源が必要であること。

今回は、長年、公務員として教育に携わってきた1人の生活保護当事者の経験を紹介する。「貧困」とは、いったいどのような問題なのだろうか?

自民党政権は「終わりです」
生活保護当事者の絶望と希望


平田さんの住む町の12月の風景。厳冬期には、最低気温がマイナス25度に達する
 12月16日の衆議院議員選挙は、自民党の圧勝となった。

 北海道、札幌から高速バスで2時間程度の場所にある、人口2万人ほどの町に住む平田明子さん(仮名・43歳)は、選挙結果を受けて、「終わりです」と語る。

 平田さんの住む地域には、産業らしい産業がない。約2万人規模のその自治体全体の生活保護率は3%程度であるが、平田さんの住む地域では、住民の15%程度が、生活保護を利用している。求職するにも、通勤するにも、自家用車の保有制限が大きなハードルとなる。

 平田さんも、生活保護を利用している1人だ。その平田さんの自民党への視線は、どのようなものだろうか。

「自民党、気持ち悪いです。今の自民党は、戦争やりたがっている人たちの集団だと思います。もう、保守でさえありません。自分たちが生き残りたいだけなんでしょう」(平田さん)

 自民党が考えている生活保護政策については、どうだろうか。

「頼むから、生活保護への締め付けや基準切り下げは、やめてくれ、と言いたいです。生活保護基準での生活が、どれだけ苦しいか、たぶんわかっていないでしょう。本当に実行したいんだったら、実際に生活保護基準の生活をしてみてほしいです。寒いところ、それも生活扶助が最低額の『三級地の二』の地域で、1ヵ月、車なしで、公営住宅にでも住んで、生活保護基準の生活をしてみてください。その生活ができるかどうか。できないでしょうけど」(平田さん)

 現在、平田さんは、生活保護を利用して、精神疾患の治療に専念している。しかし、働く能力や意欲がないわけではない。短大を卒業した後、公立小学校の教員となった平田さんは、結婚や離婚を経て紆余曲折はあったものの、教育委員会の非常勤職員など、教育に関連する仕事を長年続けてきた。しかし、職場の人事異動をきっかけとして、平田さんはパワー・ハラスメントのターゲットとなった。抑うつ状態となり、休職して回復を図ったものの、回復しないまま、2011年3月に失職。傷病手当金の支給を受けつつ治療を続けてきたが、再度の就労が可能なほどの回復は見られなかった。傷病手当金が支給されなくなった2012年8月からは、生活保護を利用している。


平田さんのある日の朝食。主食は、黒ゴマを混ぜた玄米。高野豆腐などの豆製品、野菜、少量の魚を中心とした、極めてヘルシーな食生活だ
 いま、食事はほとんど自炊。1ヵ月の食費は6000円程度に抑えている。朝は5時ごろに起床し、午前中は、ステッキを両手に持って「ノルディック・ウォーキング」で近所を散歩する。精神疾患の治療に必要な自助努力は、充分以上に行なっている。しかし、回復しても、それまでの職業キャリアがあっても、もう一度、どこかに就労することは難しそうだ。その地域には、「選ばなければ就労できる」というタイプの雇用さえない。若い人にとっても就労は困難だ。まして、43歳の女性であれば、なおさらのことだ。

 とにもかくにも、平田さんの現在の課題は、精神疾患とどう折り合いをつけるか、である。季節の変わり目ごとに悪化する精神状態を、どうコントロールするか、どう付き合っていくか。今は、折り合いがつきつつある。現在、主治医から与えられている課題は、「1日の生活リズムを自分で考えて実行する」。それにも成功しつつある。

「公務員ワーキングプア」が支える
教育・子育て支援の現場

 平田さんの最後の仕事は、札幌市近くの中規模都市で教育委員会が開設している「適応指導教室」の指導員だった。家庭の問題・発達障害・知的障害などの問題を抱え、学級への適応が困難だったり不登校が長引いていたりする児童・生徒に対し、学級・学校生活に適応できるように指導する。場合によっては、親も含めての指導が必要になる場合もある。児童・生徒の困難の背景には、親の貧困などの問題が横たわっている場合も多い。

 その平田さん自身の身分は、非常勤職員だった。ほぼフルタイムに近い労働時間、正規雇用されている職員と同じ内容の業務に従事しているにもかかわらず、収入は同世代の正職員の半分以下。手取り月収は、1ヵ月に約12万円だったという。大人1人の生活を支えるのに充分な収入とは、到底考えがたい。

 それでも、

「天引きで、協会けんぽや介護保険に入れたし、交通費も出るから、まだ条件が良いほう」(平田さん)

 だったという。さらに報酬が低く、交通費も支給されず、健康保険は自分で国民健康保険に入るしかない労働条件の職員が存在した。「臨時職員」と呼ばれる人々である。それでも、ワーキングマザーや、親元を離れられない単身者など、そのような雇用条件の仕事を選択するしかない人々が存在する。

 生活保護をはじめとする社会保障を削減する理由として、しばしば挙げられるのは「国庫に資金がない」「財源がない」である。公務員の世界も例外ではない。いったん終身雇用という条件で雇用した正職員の雇用条件は、容易には変えられない。人件費を削減するとすれば、正職員を非正規雇用の職員に置き換える以外に方法はない。その非正規職員は、不安定な身分ゆえに、ちょっとしたきっかけで、生活保護以外の選択肢がない状況に直面する。結局のところ、自治体の人件費削減は、生活保護利用者の増大に結びついてしまっているのだ。まことに、救いのない構造である。

「貧困の連鎖」が続く
困窮家庭支援の難しさ

 平田さんはかつて、「適応指導教室」の指導員として、数多くの生活保護世帯・貧困世帯に接してきた。

 学校に行きたいけれども「遠慮しとく」と、不登校を続けている児童がいた。両親は、どちらもアルバイトを続けていた。生活保護水準以下の生活なのだが、生活保護は申請していなかった。両親は、貧困世帯向けの教育支援制度も知らず、給食費を支払うこともできなかったので、子どもは、小学校に通うことを遠慮していたのだった。

 直接、担当していた世帯ではなかったが、家庭に大きな問題があると考えられるケースがあった。生活保護世帯であった。指導員たちは、ぜひ家庭訪問をして、母親に面談したいと考えていた。ところが、その家庭訪問と面談が、なかなか実現しない。電話で、面談の日時を事前に打ち合わせることは可能なのだが、当日になると、住まいには誰もいない。なぜか自動車を保有している母親が、車にのって出かけてしまい、留守にしてしまうからである。

 また、入退院を繰り返している母親がいた。若干の体調不良程度はあるものの、深刻な病気を抱えているわけではない。就労はしておらず、生活保護以外には生計の道がないのだが、ときどき生活保護を廃止する。そして、生命保険に加入し、入院する。その後はしばらく、支払われた保険金で、生活保護水準以上の生活をする。保険金を使い果たしたら、また生活保護を申請する。平田さんは「生活の悪知恵」という。

 親たちとの間に、尋常な会話が可能であるとも限らない。精神疾患を抱えている親が、処方された向精神薬を大量に服用して「ラリって」いることもある。かと思えば、電話で話していて、突然、理由なく怒り始めたりすることもある。精神状態が不安定なのだ。何をしゃべっているのか良くわからないような話しかできない親もいる。知的障害児の親が、また知的障害者である場合もある。

 問題を抱えた児童・生徒の家庭は、人間関係が「めちゃくちゃ」であることが多い。その背景には、親世代、あるいはその前の世代からの貧困の連鎖がある。児童・生徒だけを指導すれば、問題が解決するわけではない。さまざまな意味での支援が必要だ。支援の内容は、福祉・子育て支援・不登校問題に対する支援・学力向上……など多岐にわたる。しかし、多くの自治体で、それらの支援は、いわゆる「縦割り」になっている。連携して機能する仕組みにはなっていない。

 平田さんが現在住む町では、自治体も町も小さいために、連携が「ある程度できている」という。自治体が小さいので、「横のつながりがしっかりしている」のだそうだ。困窮家庭の子どもの支援では、保健・福祉・不登校など教育面での支援・虐待の可能性があれば児童相談所などを含めた支援体制が必要だが、現在住む町の役場では、それらの窓口が同じフロアにある。必要があれば、すぐ、近くにいる担当者につなぐことができる。

 一方、平田さんが指導員の仕事をしていた北海道の中都市では、子育て支援はその市の教育委員会が行なっていたが、児童相談所は札幌市にあり、連携を取ろうにも取れない体制だったそうだ。

今は人生の休憩時間
「つなぐ」人になりたい

 平田さんは今後について、

「組織の中で仕事をするのは、自分には厳しいと思います」

 という。精神疾患のこと、年齢のこと、職歴のブランクのこと。生活保護を利用した時期があることも、再度の就労に対して、決して有利には働かないだろう。

 今は、仕事というより、「つなげる」役割を担う人間になりたいと思っている。報酬を得る仕事にすることは、今のところは考えていない。困っている人と支援を「つなげる」。支援と支援を「つなげる」。グチや悩みに黙って耳を傾ける。「そういうことができたらいいのかなあ」と、なんとなく考えている。


平田さんの住むアパート。築33年、木造。住人の多くは、生活保護当事者だ
 就労への焦りはないのだろうか? 40代でも厳しい就労は、50代になれば、さらに厳しくなる。筆者がそう問いかけると、平田さんは、

「今まで、20歳で短大を卒業してからずっと、20年以上仕事をしてきました。今は人生の休憩時間で、ちゃんと休まないとダメなんだと思っています」

 と答えた。たぶん、平田さんは正しい。焦っても、良いことは何もない。

 今、平田さんの住む小さな町の自治体は、社会福祉士を雇用しようとしている。平田さんは、

「どういう人が来るんだろう? 若い人かな? 経験を積んだ人かな?」

 と、期待を膨らませている。いずれにしても、社会福祉士資格を持ったソーシャルワーカーが来れば、小さな町の福祉をめぐる連携は、さらに緊密になるに違いない。

 政治がどうなろうが、政権党がどの党になろうが、福祉が必要でなくなることはない。より良く機能し、福祉を必要とする人々の多様なニーズを満たし、多様な形の「自立」を実現するための福祉が、これからも、より一層求められることだけは間違いない。

 次回は、学術研究の立場から見た現在の生活保護制度とその問題点について、若い研究者の意見を中心に紹介する。生活保護費とは、いったい何なのだろうか?

<お知らせ>

 本連載は、大幅な加筆を行った後、2013年2月、日本評論社より書籍「生活保護のリアル」として刊行する予定です。どうぞ、書籍版にもご期待ください。


07. 2013年1月18日 08:13:34 : Pj82T22SRI
【政策ウォッチ編・第10回】 2013年1月18日 みわよしこ [フリーランス・ライター]
最初から「引き下げありき」だった? 
生活保護見直しを巡る厚労省と当事者・支援者の攻防
――政策ウォッチ編・第10回
2013年1月16日午後に開催された社会保障審議会・生活保護基準部会を踏まえ、厚生労働大臣は、2013年以後の生活保護基準について「全体として引き下げる」という方針を表明した。これを受け、当事者たちはいま、どのような思いでいるだろうか? そして、支援者たちは、どのように異議を申し立てているだろうか? 困窮者に対する総合的な支援を目指す「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」の議論は、今、どうなっているだろうか?

「引き下げ」の影響は困窮者以外にも
異議を申し立てる当事者・支援者たち

 2013年1月16日午後、田村憲久厚生労働大臣は、2013年以後の生活保護基準に関して「全体として引き下げる」という方針を表明した。同日、「第12回社会保障審議会生活保護基準部会(以下、基準部会)」が開催されており、厚労相が表明した方針は、この基準部会での議論や報告書案に基づいている。

 基準部会の議論については、次回、18日に開催される第13回基準部会とともに、検討してレポートしたい。

 生活保護当事者・支援者・法律家など幅広い立場の人々で構成される「生活保護問題対策会議」は、「生活保護基準引き下げ」という厚労相方針に対して緊急声明を発表し(http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-95.html)、第12回基準部会の直後、厚生労働省内で緊急記者会見を行った。


緊急記者会見で発言する宇都宮健児氏
 会見で最初に発言したのは、弁護士の宇都宮健児氏である。宇都宮氏は最初に、日本の捕捉率(貧困状態にある人のうち公的扶助を利用している人の比率)が欧米諸国と比較して極めて低い水準にあることと、昨年来、孤立死・餓死が多発していることを指摘した。さらに、「むしろ生活保護の利用を促進するべきなのに、生活保護基準の切り下げや利用の抑制が行われれば、今後、孤立死等が多発するのではないか」という懸念を示した。

 生活保護という制度は、生活保護を利用している現在の当事者にだけ関係がある制度ではない。生活保護基準は、国民生活のさまざまな制度と連動している。生活保護基準を引き下げるということは、国民生活の全体を引き下げるということに他ならない。

 生活保護基準が引き下げられれば、おそらく、連動する形で最低賃金も引き下げられる。あるいは、最低賃金が実質的に無意味になるかもしれない。並行して、「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」では、「中間的就労」が議論されているからだ。就労困難な困窮者のために、低賃金ながら就労の道を開こうという趣旨である。特別部会での議論に関しては、本記事の後半で紹介する。

 生活保護基準に関連する他の制度は、他にも数多く存在する。地方税の減免、障害者向け公共サービスや介護保険の利用料の減免基準、社会福祉協議会による貸付制度の利用、公共住宅への優先入居や利用料の減免。子育て世代に対しては、保育園利用料の減免、就学援助、公立高校の学費減免。日本国民の何%が影響を受けるのだろう? 10%台後半にある日本の貧困率から見て、少なく見積もっても25%程度だろうか? 

 宇都宮氏はさらに、生活保護基準の引き下げがデフレを推進する可能性についても「基本的に誤った政策」と鋭く指摘した。生活保護基準引き下げは、間違いなく、国民の多くにとっては所得を引き下げる方向で影響する。国民の所得を引き上げないと、内需は拡大されず、従って、デフレを脱することは困難になる。これは、現在の安倍政権が推進しようとしているデフレ脱却政策と矛盾する。また、生活保護基準に関する「厚生労働大臣が基準部会の議論を受けて結論を出す」という現在の制度についても、「国会で決めるべきです」と異議を表明した。そして最後に「なんにしても、生活保護基準が引き下げられると、当事者は大きな影響を受けます。経済的にも全く誤った政策です。反対します」と締めくくった。


木下徹氏
 基準部会の傍聴者による傍聴報告につづいて、弁護士の木下徹氏と林治氏は、主に基準部会での統計的手法の取り扱いについて、疑義を表明した。

 木下氏は、自立助長にきわめて効果的であった勤労控除が廃止されることについて、「この合理的な制度を廃止するとは、極めて間違っている」と主張した。

 また、林氏は、年末に行われた困窮者向けの電話相談会の結果についても報告した。


林治氏
 記者会見で提供された資料には、相談内容として「夫婦2人で月6万円の年金で生活している。借家住まい。医療費もかかるので生活困難。生活保護を受けたいが、ニュースで取り上げられているのを見るとためらってしまう(70代女性)」「失業中。残金2万5000円。福祉事務所に相談したが『まだ若い。どんな仕事でもやってもらう』『家族に相談して』と高圧的に追い返された。不安感が一杯で生きているのがイヤ(30代男性)」など、切実さに言葉もなくなる文言の数々が見受けられた。基準部会での議論・統計的検討については、次回、改めてレポートする。

勇気を奮い起こして記者会見に臨んだ
生活保護当事者たちの現在の思いは?


1月16日、基準部会に合わせ、厚生労働省前で生活保護当事者・支援者等が抗議活動を行った
 この緊急記者会見では、4名の生活保護当事者・元当事者も発言した。

 障害を持つ子ども2人を抱えたシングルマザーである女性は、民主党政権下で生活保護の「母子加算」が復活したことに対して、「おかげで子どもを修学旅行に行かせることができた」と語り、基準引き下げ方針に対して「子どもたちにデイサービスを利用させることができなくなります。弱者をいじめないでください」と語った。


抗議活動の参加者にインタビューを行うTVクルー
 精神疾患の悪化から失職し、生活保護利用に至った30代の女性は、当初「生活保護費は税金から成り立っているんだから、本当に必要なものしか買ってはいけない」と考え、おしゃれも、友人とお茶に行くことも、「してはいけないのではないか」と感じていたという。しかし、ボランティア活動などを通じて、友人や仲間とのつながりの重要さに気づいた。今回の引き下げに対しては「生活保護利用者は、誰とも会わないで家にひっそりしていろということなんでしょうか?」と語る。生活保護を「元気になるはずの制度であるはず」と考えている女性は、生活保護がそのような制度でなくなることを懸念している。

 元当事者である57歳の男性は、生活保護利用中に最も辛かったことは「出口がないこと」であったと語った。男性は、リーマンショック直後の2009年から2012年夏まで、生活保護を利用していた。この間、1ヵ月に20回以上もハローワークを訪れて求職活動を行ったものの、面接までこぎつけたのは1回。しかも、生活保護利用者であることを理由に採用されなかったという。現在は、仕事のかたわら、困窮者の支援に携わっている。ここ数ヵ月で増えているのは、不安から生活の維持も困難になった生活保護当事者であるという。バッシング報道に恐怖を感じ、家から一歩も出られなくなった女性もいるそうだ。


和久井みちる「生活保護とあたし」。ごく普通の生活保護当事者の日常生活のありのままと日々の哀歓が、ユーモアを交えて描かれている。生活保護当事者の生活を知るために必読の1冊
 最後に発言したのは、元当事者の和久井みちる氏だ。DV被害を原因とする精神疾患により職を失った和久井氏は、2007年から約3年半、生活保護を利用していた。現在、フルタイムで働いている。しかし、「今も背中の後ろに、ぴったりと生活保護が貼りついている」という。現在も、治療の必要な病気を抱えており、手術を必要とするかもしれない。入院し、手術などの治療を受けることになれば、医療費が必要になる。その期間の収入の保証もない。いつ、また生活保護を必要とするか分からない状況だ。和久井氏は、現在の生活保護改革で検討されている親族への扶養義務強化に対しては「巻き込まれる親族が出てくることが足かせ」と語り、家計指導の強化に対しては「ゴミ箱の中まで覗かれるような生活」という。和久井氏は、「次に生活保護を必要とする状況になった時、私はどういう選択をするか分かりません」と声を詰まらせた。

 和久井氏の発言を聞きながら、筆者も「最後の希望がなくなるのか」と絶望的な気持ちになっていた。2006年夏、筆者は、福祉事務所のケースワーカーに生活保護申請を勧められるほど困窮したことがある。「しかし結局、生活保護を申請することも利用することもなかった。その時の生活保護制度が、筆者にとって「最後にこのような制度があるなら、安心して頑張れる」という希望の源として機能した結果だ。今、検討されようとしている生活保護制度改革の1つひとつは、筆者にとって「そんな屈辱に甘んじるくらいなら、死んだほうがマシ」と感じられるものである。もちろん、それが一連の改革の目指すところなのであろう。

 和久井氏も筆者も、取り越し苦労をしているわけではない。そのような方針の数々は、同日午前中の「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」で検討されている。現実になる可能性は、決して小さくはない。

2ヶ月ぶりの開催
「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」


第11回「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」は、過去10回と同じく、都心のホテルの宴会場で開催された
 同じ2013年1月16日の午前中には、「第11回・生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会(以下、特別部会)」が開催された。2012年11月14日に開催された前回から、実に2ヵ月ぶりの開催である。

 特別部会は、過去10回の議論を踏まえて、報告書を取りまとめる段階に差し掛かっている。報告書案が提出され、25人の委員たちによって検討される。委員の1人・岩田正美氏(日本女子大学・社会福祉学)は欠席であったが、参考資料として「平成24年ホームレスの実態に関する全国調査(生活実態調査)報告書の概要」を提出していた。ちなみに岩田氏は、基準部会委員でもある。


第11回特別部会の受付の様子。数多くのメディア関係者が取材のため来場していた。在京TVキー局・大手新聞社の全部が来場していたのではないかと思われる
 最初に、宮本太郎部会長(北海道大学・社会福祉学)から、全体を貫く基本的視点として「自立と尊厳」「つながりの再構築」「子ども・若者の未来」「信頼による支え合い」の四点が示された。また方針としては「包括的かつ個別的」「早期的かつ継続的」「分権的かつ創造的」の3点が示された。個別政策に対しては、「さまざまな考え方がありうるし、答えは1つではない」と言い、各自治体が「走りながら考える」ことも必要だと述べた。それに対しては「部会長として、整合性のある報告書を作れない可能性に対するエクスキューズではありませんが」と補足しつつ、「議論をよろしくお願いします」と結んだ。

 つづいて、部会事務局(厚生労働省)から、報告書案に対する説明が行われた。

 その全体について解説することは不可能なので、ここでは、筆者が感じた疑問を列挙するにとどめる。内容を詳細に知りたい方は、http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002sr2w.htmlをご参照いただきたい。提出された報告書案・委員から提出された資料・参考資料のすべてが閲覧できる。

今できていないことが、なぜやれる?
「中間的就労」への矛盾だらけの報告書案

 報告書案では、「中間的就労」に関して、全部で48ページのうち約5ページを使用して、詳細に検討している(報告書案・18ページ〜23ページ)。

 20ページでは、中間的就労の内容について、「生活困窮者が一定程度の生活習慣が確立していることを前提に、軽易な作業等の機会を提供するものとすべきである」としている。「出勤して勤務して退勤する」という生活リズムの確立・維持が主目的であるということだ。


第11回特別部会、開催前の会場の様子。全体で250名程度のキャパシティ
 その事業内容は、「地域の資源を活用したり、地域社会への貢献に資するといった地域のニーズを踏まえたものが望ましい」ともいう。しかし、地域資源の活用や、地域社会への貢献は、そんなに簡単なことであろうか? 

 筆者の住む町では、さまざまな形で、地域ニーズをとらえ、地域社会をより活性化する活動が行われている。しかしそれらの多くは、既に多様なジャンルの職業人として、能力と立ち位置を確保している人々のボランティアによって担われている。「労働市場で求められない人々は、そこでもやはり必要とされない可能性が高いのではないか?」と筆者は思う。経営サイドから見れば、社内の理解を求めるコスト・労務管理のコストなどが重くのしかかる。「賃金が安いから」というメリットはあるとしても、必ずしも歓迎できる雇用形態ではないだろう。雇用されづらい人々が存在する状況に対しては、現在の労働市場のあり方そのものを改革するしかないのではないだろうか?

 続いて21ページでは、中間的就労の事業形態について延べられている。冒頭に、「社会福祉法人・NPO・民間企業等社会的企業の自主事業として考えるべきである」とある。この一文に関しては、委員からも「社会的企業」の定義を求める声があった。筆者にはそもそも、このように列挙する意味が全く分からなかった。社会福祉法人・NPOと民間企業では、組織の目的が全く異なっている。営利が主目的でないか、それとも営利が主目的であるか、の違いは大きい。

 この問題に対しては、「ノウハウや人材、企業環境、若者の雇用情勢を踏まえると、民間企業で中間的就労を提供することは厳しいことから、中間的就労を民間企業にも広げていくためには、多様な支援策の検討が必要である」と述べられている。

 しかしながら、営利企業が「営利追求」という仕組みの中でできることは、現在でも少なくない。筆者自身、出版業界での就労経験のある精神障害者数名に、音声起こし・校閲などの仕事を外注している。「状態が悪く(あるいは不安定で)、納期の約束ができない」ということであれば、納期に応じた報酬設定を行い、長納期でも困らない内容の業務を依頼すれば済むことである。現在の仕組みの中でできることは、他にもたくさんあるのではないだろうか。それを追求することなく、新しく「中間的就労」という仕組みを導入しなくてはならない理由は、いったい何なのだろうか?

 筆者が報告書案から受けた全体的な印象は「困窮者本人の姿が見えない」「困窮者本人の自発的な参加への意志が考慮されていない」「国の役割が見えない」というものである。報告書案がこの状態であるまま、強引に結論へと至るくらいなら、現行の制度はそのままにしておいて、広く国民的熟議を重ねる必要があるのではないだろうか? とさえ思う。

誰も賛成していない意見を「両論併記」?
なぜ問題山積の報告書作成を急ぐのか

 この報告書案の最大の問題は、部会の議論の中で、誰も明確に賛成あるいは反対の意思表示をしていなかった意見も、「両論併記」の形で掲載されていたことである。この問題に関しては、委員の1人・花井圭子氏(日本労働組合総連合会)が、鋭く異議を表明した。

 例えば報告書案44ページ〜45ページには、生活保護の医療扶助について「適正化」を目指した取り組み案が掲載されている。その最後に、「なお、医療扶助の適正化に関し、医療費の一部負担を導入することについて、額が小さくとも一部負担を検討すべきという意見がある一方で、一部負担は行うべきではないとの意見もあった」とある。

 花井氏は、

「誰も賛成していなかったはずですから、削除してください」

 と述べた。また花井氏は、介護による失職者が無視される可能性・支援の対象となる「生活保護一歩手前」の層の範囲が狭められる可能性・就職準備支援が利用者の人権を尊重しない可能性・「中間的就労」が実質的な強制労働となる可能性などについても指摘した。さらに、貧困ビジネス規制・家計支援について、「国が何を担うかを明確にしてください」と述べた。


特別部会の報告書案に対する、筆者のイメージ。上半身はSMの「女王様」。片手でバラマキ、片手でムチ。下半身は獣性そのもの。イラスト:柴田栄子
 ケースワーカー経験のある櫛部武俊氏(釧路社会的企業創造協議会)は、困窮者がいかに見つけづらいものであるかについて述べた。生活保護の要否は、他者からはなかなか分かりにくいものであり、ケースワーカーが調査してはじめて判断できるようなものであるという。櫛部氏は「役所の矜持、プライドとして、憲法第25条(生存権)の実現を」と語り、公共として「何をしようとするか」を明確にすることを求めた。

 櫛部氏は、特別部会で検討している新しい困窮者支援体制について「ケンタウルス」と語ったことがある。上半身は人の姿をしているが、下半身は馬。それも暴れ馬であると。現在の報告書案に対する筆者のイメージをイラスト化したものを、右に示す。

 困窮者支援に取り組んできた藤田孝典氏(NPO法人ほっとプラス)は、新しい困窮者支援体制が「新たな水際作戦のツール」となる可能性、貧困ビジネス排除の仕組みが充分でない可能性、生活保護当事者に「まずは就労」を過度に強調することの危険性などを指摘した(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002sr2w-att/2r9852000002sr5r.pdf)。

 これだけの問題があるのに、報告書は、来週、1月23日にはまとめられようとしている。強引過ぎるのではないだろうか? なぜ、このように、結論を急がなくてはならないのだろうか?

 生活保護基準は、かつて一度も、「健康で文化的な最低限度の生活」に足りていたことはない。その生活保護基準が、引き下げられようとしている。「健康で文化的な生活」が議論された結果としてではなく、財源論やバッシングによる感情論の結果として。

 次回は、基準部会の議論がどのように厚生労働大臣(厚生労働省)方針に反映されているかを、18日に開催される第13回基準部会とともに、検討してレポートしたい。都合の良い議論や結果だけが我田引水されていないだろうか? 議論されたこともない方針が、強引に含められてはいないだろうか?

<お知らせ>

 本連載は、大幅な加筆を行った後、2013年4月、日本評論社より書籍「生活保護のリアル」として刊行する予定です。どうぞ、書籍版にもご期待ください。


08. 2013年1月25日 00:57:40 : xEBOc6ttRg
【政策ウォッチ編・第11回】 2013年1月25日 みわよしこ [フリーランス・ライター]
「生活保護10%引き下げ」への疑念 厚労省報告書から読み取れない保護費削減の根拠は?
――政策ウォッチ編・第11回
2013年1月18日、厚生労働省・社会保障審議会の生活保護規準部会が、報告書を取りまとめた。5年に1回行われる生活保護基準の見直しに関する議論に、一応の結論が出たことになる。
以後、「この報告書を受けて、政府与党と厚生労働省では、生活保護基準を引き下げる方向とした」という報道が続いている。
今回は、この報告書が何をどう検証し、どう結論づけたのかを検証したい。そこに「生活保護基準は引き下げられるべき」を読み取ることは可能だろうか?
「生活保護基準引き下げ」という結論は
報告書のどこにもない
 2013年1月18日、社会保障審議会・生活保護基準部会(以下「基準部会」)の第13回が開催された。同日、報告書が取りまとめられ、1月21日に公開された(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002szwi.html)。
「基準部会」は、2011年4月19日に第1回が開催され、2012年11月9日までに11回の議論を重ねてきた。第12回の開催は、衆議院が解散したことを受け、新政権成立後まで見送られていた。
2013年1月16日の第12回基準部会会場。抽選に漏れた筆者は傍聴できなかった
 2013年1月16日に第12回基準部会が開催され、ここで報告書案が検討された。翌々日の1月18日、第13回基準部会が開催され、最終的な報告書の文面が検討された。
 筆者は、第12回・第13回とも傍聴の抽選に漏れたため、傍聴することはできなかった。筆者の知る範囲だけでも100名以上が傍聴を申し込んでいたが、そのうち、当選したのは各々1名ずつであった。もともと、会場は厚生労働省内の会議室で、それほど広くない。傍聴可能な人数は、最大で30名程度と考えられる。しかし、傍聴した人々によれば、傍聴席には空席が目立ったそうだ。
第12回基準部会近くの廊下。会場に入って取材しているTV局クルーの機材が置かれている。ふだんの筆者に、「記者クラブ羨ましい」と思う場面はほとんどないが、こういう時にはやはり「羨ましい」と思ってしまう
 第12回基準部会が開催されていたその時、筆者は別の用件で、厚生労働省内にいた。基準部会が開催されているその会議室の前に行ってみて、「ダメでもともと」と考えつつ入場を懇願し、予想通りに断られた。その時、人の出入りでドアが開き、丁寧な言葉づかいながら強い調子で何かを主張する女性の声が聞こえた。引き続き、同様に主張する男性の声が聞こえた。それぞれ、委員の岩田正美氏と駒村康平氏の声に似ていたが、確信はできない。岩田氏は社会福祉学、駒村氏は経済学を専門とする学識経験者で、いずれも、福祉論者として知られている。
 いずれにしても、報告書はこの時点で、ほぼ、まとめられていた。傍聴できた方の話によると、「引き下げとなると、たとえば『子どもに習い事を諦めさせる』というような影響が考えられるので、いきなり引き下げるというわけにはいかない」というような議論もされていたという。
 第13回基準部会を傍聴した方の話によれば、予定されていた120分で充実した議論がされたというわけではなく、提出された報告書案をほぼ追認し、若干の意見を追加する形で、70分ほどで終わったという。岩田正美氏は欠席だったそうだ。
 では、基準部会報告書は、生活保護基準引き下げを示したのであろうか? 結論からいうと、「引き下げるべし」とは全く示されていない。むしろ、「今回の検証手法は十分か?」「基準を見直す場合の多大な影響に十分な配慮をすべきではないか?」「貧困の世代間連鎖を防止する観点からの配慮は十分か?」「基準額の見直しによる影響が今後の検証に影響するのではないか?」といった内容の、どちらかといえば「引き下げるという結論は慎重に」という意図の感じられる文言が、そこかしこに見受けられるのである。
「働いたら得」な制度を
「働いたら損」な制度へ?
 また、生活保護の「勤労控除」について、厚生労働省は廃止の方向としていることが、2012年11月ごろより報道されている。「勤労控除」とは、勤労収入を得れば実質的に可処分所得が増える仕組みである。しばしば「働いたら損」と形容される生活保護制度であるが、もともと、働き損にならない仕組みが設けられているのである。職業生活遂行・職業能力向上に必要な物品等の費用は必要経費として認められ、さらに、勤労収入が増えれば、それに比例するほどではないが可処分所得が増える。この仕組みは、「働いたら得」「働くことを社会保障制度が支援する」そのものであり、就労インセンティブとしても機能してきた。
 さて、報告書案は、勤労控除について、どう考えているだろうか? 報告書の10ページには、以下のような記載がある。
「勤労控除については、現行の趣旨・目的に照らして、特別部会(筆者注:生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会)の提言も踏まえ、現行の仕組みが勤労意欲を効果的に高めるものであるか議論した」
「(筆者注:就労にかかわる)特別控除を見直すことについては、本部会として概ね異論はないとされたが、生活保護の基準と大きく関わる部分であり、仮に新たな就労促進のための仕組みが創設された場合には、施行後、その成果について検証していくべきものと考える」
 ここから、「現行の仕組みでは効果は不十分な可能性がある」「見直しは必要である」「見直した場合の効果については検証が必要である」以上に踏み込んだ意図を読みとるのは、困難であろう。さらに同じページには
「(筆者注:就労して生活保護から脱却すると)新たに税や社会保険量の負担が生じるため、これらの負担を勘案した実質的な収入の増加についても留意すべきとの意見があった」
 ともある。これはまさに、「働いたら損」な制度にしないように留意しましょう、ということに他ならない。にもかかわらず、勤労控除は廃止される方針なのである。
「生活保護基準引き下げ」の
根拠はいったい何なのか?
 この報告書を受けて、政府は「生活保護基準引き下げ」という方針を打ち出している。その根拠とされているのは、報告書の「検証」である。この検証により、生活保護基準・一般低所得世帯の消費実態が比較された。単に「多いか少ないか」という比較ではなく、「年齢に応じてどのように異なるか」「世帯人員に応じてどのように異なるか」「個人単位で消費する食費や衣類費(生活保護費の第1類費)と、世帯単位で消費する水道光熱費等(生活保護費の第2類費)では、どう異なるか」「地域(生活保護制度でいう「級地」)でどう異なるか」といった比較である。
 報告書8ページには、「【参考】基準額と一般低所得世帯の消費実態との比較」として、4枚のグラフが掲載されている。これらから筆者が確実に読み取りうることは、「必要な費用は、年齢によってはそれほど大きな違いがないらしい」「食費・衣類費に関しては、3人家族で単身者の3倍になるわけではなく、2倍程度」「水道光熱費に関しては、食費・衣類費ほどではないが、やはり人数に対応して増える」「地域による差は、現在の生活保護制度で考えられているより少ないらしい」である。
拡大画像表示
 これらのグラフをどう考えれば、「生活保護基準を引き下げるべし」という話になるのか、筆者にはやはり理解できない。以下のような解釈も可能だ。
「就学前の子どもに対する生活保護費は、現在でも全然足りていないってこと? 生活保護世帯の乳幼児は、一般低所得世帯程度の水準ほどにも、幼児向けの絵本や教材や玩具を与えてもらえないってこと?」
「一般低所得世帯では、衣類はなるべく買わなかったり安く上げたりするだろうけど、食費に対しては必要以上の節約は避けるよね? 病気のリスク、働けなくなって収入を失うリスクに直結するから。ただ単身者には、相当数の『料理スキルのない人』『料理しない人』が含まれているだろうから、単身者では食費が高くなりがちだろうなあ」
「お風呂や洗濯に使う水、3人家族が単身者の3倍ということはないけれど、節約しても1.7倍程度は必要らしい。でも生活保護基準は現在でもそれより低い」
「都市での生活コストは、住居費をはじめとして大きいけど、地方ではお付き合いその他に費用が必要だから、田舎暮らしのコストは決して安くない。その当たり前の姿が見えているというわけね」
 グラフそのものが、何らかの結論を示していることは非常に少ない。人間によって読み取られ、解釈され、結論づけられ、さらに適用される性格のものだ。だからもちろん、
「中高生のいる生活保護世帯は、子どものおかげで必要以上に保護費を受給できている」
「個人単位の消費でさえ、多人数家族では抑制できるのだから、多人数家族の生活保護費は削減すべき」
「地方での生活はそれなりにコストがかかる。だから都市での生活保護費を減らすべき」
 という読み取り・解釈も成り立ちうる。
 だから、最初に必要なのは、「読み取り・解釈・結論」に関して、全国民に充分に予備知識と学習の時間を提供すること、その上で、生活保護や低所得の当事者を当然のこととして含めた国民的議論を行うことであろう。
 基準部会はどう結論づけているだろうか。8ページには、このような文言がある。
「厚生労働省において生活扶助基準(筆者注:ほぼ生活保護費)の見直しを検討する際には、本報告書の評価・検証の結果を考慮し、その上で他に合理的説明が可能な経済指標などを総合的に勘案する場合は、それらの根拠についても明確に示されたい。なお、その差異には現在生活保護を受給している世帯及び一般低所得世帯への見直しが及ぼす影響についても慎重に配慮されたい」
 この報告書の結果に従って「引き下げるべし」とは、全く書かれていない。「合理的」な「根拠についても明確に」した上で、当事者たちへの「影響についても慎重に配慮されたい」と書かれている。恣意的な解釈や安易な引き下げ方針を、強く戒める文言とも読める。
一般低所得者と比較しての統計的検証から
結論を導いてよいのか?
 今回の生活保護基準検証では、一般低所得世帯の消費実態に対して、「回帰分析」という統計的手法による検証が行われた。先のグラフは、この検証の結果として導かれたものである。このことは、
「一般低所得層の生活を示す数式が作れて傾向が示せました」
 以上のことを意味していない。その数式や、そこから示される傾向は、どの程度妥当なのか。どの程度、実態を反映しているのか。そこまで読み取ることはできない。
2013年1月22日、生活保護問題対策全国会議は、生活保護基準引き下げに反対する署名を厚生労働省に提出した。同会議が集めた署名・司法書士団体が集めた署名の合計は、20万筆を超える
 報告書に現れる検証結果を注意深く読むと、さまざまな問題点に気づく。サンプル数は充分か? 実際には存在しない「エアサンプル」に対して結論が出てきてはいないか? どのような結論に対して確からしさが大きいか? あるいは小さいか?
 ここで検証結果を1つひとつ検討することはしないが、これらの点について、報告書にどのように記載されているかを見てみよう。9ページに、以下のような記載がある。
「具体的にどのような要因がどの程度消費に影響をおよぼすかは現時点では明確に分析ができない」
「特定の世帯構成等に限定して分析する際にサンプルが極めて少数となるといった統計上の限界」
「これが唯一の手法ということでもない」
 と、この検証の妥当性や適応範囲について限界があることを述べる文言が続き、
「今後、政府部内において具体的な基準の見直しを検討する際には、(中略)検証方法について一定の限界があることに留意する必要がある」
 とある。筆者はこの文言から、
「この検証方法を使って、ゆめゆめ、『結論ありき』で結論を導いたりしないように」
 というメッセージを読み取る。
生活保護世帯との比較に
ホームレスなどの困窮者を含めてよいのか
 最後に、今回の検証で生活保護世帯との比較に用いられた「一般低所得世帯」が何であったかについて、述べておきたい。
 一般低所得世帯として選択されたのは、「第1十分位」である。これは「全国民のうち、世帯あたり年収の低い方から10%」である。ここには、生活保護世帯・生活保護世帯より所得の少ない世帯・生活保護世帯より所得のやや多い世帯のすべてが含まれている。
生活保護問題対策全国会議による、厚生労働省への署名提出の様子。狭い会議室が、対応した厚生労働省職員・生活保護当事者・支援者・取材するメディア関係者等でいっぱいだ
 生活保護基準を検証しようとするならば、第1十分位から、生活保護水準以下の世帯を除去して検討する必要がある。そうしなくては、ホームレス・今のところは餓死をぎりぎりで免れている人々も含めた上で、「健康で文化的な最低限の生活」を保障するはずの生活保護基準に対して「高いか低いか」を議論することになる。当然、「生活保護基準のほうが上」という結論にしかならないであろう。
 ところが今回の検証では、その操作はされなかった。このことについて、報告書はどう述べているだろうか?
「年間収入総額の構成割合の推移をみると、中位所得階層である第3・五分位の占める割合及び第1・十分位の占める割合がともに減少傾向であり、その動向に留意しつつ、これまで生活扶助基準検証の際参照してきた一般低所得世帯の消費実態については、なお今後の検証が必要である」
 中流層も下流層も貧困になりつつあるので、どの収入レベルを生活保護基準の参照とするかは、よく考えなくてはならない、ということだ。ちなみに、国際比較に詳しい法律家によれば、OECD各国では第1五分位(下位20%)が主流だそうだ。
「とりわけ第1・十分位の者にとっては、全所得階層における年間収入総額に占める当該分位の年間収入総額の構成割合にわずかな減少があっても、その影響は相対的に大きいと考えられることに留意すべきである」
 年収1000万円の人が999万円になるのと、100万円の人が99万円になるのでは、意味がまったく違う。このことを考えるべきだ。
「現実には、第1・十分位の階層には生活保護基準以下の所得水準で生活している者も含まれることが想定される点についても留意が必要である」
 極めて控えめにではあるが、「含めてはいけなかった」と言っているのではないか? 筆者にはそう読み取れる。

 以上、今回は、基準部会の報告書において、現在、生活保護基準がどのように考えられているかについて検証した。
 次回は、2013年1月23日に最終回を開催した困窮者特別部会が、どのように結論としての報告書を取りまとめたかについてレポートする。そこで目指されたものは、明確に「生活保護よりも良い何か」であろうか?
<お知らせ>
 本連載は、大幅な加筆を行った後、2013年4月、日本評論社より書籍「生活保護のリアル」として刊行する予定です。どうぞ、書籍版にもご期待ください。
http://diamond.jp/articles/print/31024

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