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失業率のカラクリ:社内失業:追い出し部屋
http://www.asyura2.com/12/social9/msg/297.html
投稿者 妹之山商店街 日時 2013 年 2 月 07 日 07:00:59: 6nR1V99SGL7yY
 

失業率のカラクリ:社内失業:追い出し部屋
http://www.youtube.com/watch?v=tdnWgXdILG8


「プロジェクト支援センター」という名の“追い出し部屋”


「やる気がなくなるように仕向けるという意図がみえますね。
社内失業者のための“追い出し部屋”という表現がピッタリだと思いますね」


異動した社員の半数が会社を去った。


パナソニックやシャープでも“追い出し部屋”のようなものが存在しているという。


国鉄の分割民営化の折に、“余剰人員”とレッテルを貼られ、
“人材活用センター”なるものに異動させられ、
多くの人々が“自主”退職に追い込まれたという苦い過去を想起させる。


人間としての存在意義、人格までも否定され、人間性までも蹂躙される。
じわじわと真綿で首を絞める手口。
こういう陰湿な手口が、またもや蔓延しているようだ。


経営危機に立つ企業が、そのシワ寄せを労働者に転化するという常套手段だ。


経営危機に立つ企業が、銀行に支援要請をする。
銀行は「経営再建計画」を提出させる。
その中にはリストラ計画も盛り込まれている。
人件費削減・人員削減を達成しないと融資を継続しないという。
だから企業も必死にリストラを推進するという。


社内失業を助長する国の政策
雇用調整助成金
去年は延べ497万人分1254億円


<参照>


夫はなぜ 死んだのか 過労死認定の厚い壁 / 正社員は名ばかり 増える若年過労死 / 追い詰められ 命を削って走る人 / 貧困拡大社会 相次ぐ若者の過労死 若者を追い詰めるブラック企業
http://ima-ikiteiruhushigi.cocolog-nifty.com/documentary/2009/06/post-fb87.html
 

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コメント
 
01. 2013年2月08日 23:29:05 : GVYsLuFuCE
追い出し部屋に押しやられたら、このようにして反撃すると良い。

ファイアーブレス
http://www.youtube.com/watch?v=U1HZ-kV3UZA

GOSAKU 二代目ポーゴ 20080816 新木場プロレス
http://www.youtube.com/watch?v=VFgqnHrrj-o
●火炎攻撃と、鎖で首を締め上げれば、リストラできない。

鎖鎌で脳天から大流血させるミスター・ポーゴ
http://www.youtube.com/watch?v=481EuatbwUc

折りたたみ椅子で妥協のない攻撃を仕掛けるケンドー・ナガサキ
http://www.youtube.com/watch?v=e2IYajA0dTQ

リストラしたら、経営者は火炎攻撃であの世行きだ。
http://www.youtube.com/watch?v=SXWIm-8pQis


02. 2013年2月25日 18:37:58 : IOzibbQO0w
改正労働契約法 −定年延長法に盲点、契約社員に大チャンス
プレジデント 2月25日(月)8時45分配信
写真を拡大

通年5年超で「無期契約社員」に
 今年4月から改正労働契約法が施行される。目玉は、有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えた場合、無期労働契約に転換できる「5年ルール」だ。対象は、契約社員やパート、アルバイト、派遣、嘱託などの有期契約労働者(派遣社員は派遣元との労働契約が対象)。1年契約を繰り返して更新しているケースなら、5回目の更新後に無期転換の権利が発生する。契約期間中に労働者が申し込めば、契約期間終了後に無期労働契約に切り替わる。今年4月以降に結ばれた有期労働契約に適用されるため、5年ルールで無期転換する人が現れるのは2018年4月以降だ。

 正社員として働きたくても働けなかった非正規労働者にとって、5年ルールは心強い味方だろう。ただ、ここにきて意外な問題が浮上している。5年ルールにより、企業が正社員を一生雇わなくてはいけなくなる可能性が指摘されているのだ。

 これには今年4月から施行される改正高年齢者雇用安定法が関係している。改正法は、厚生年金の支給開始年齢引き上げにあわせ、60歳の定年後も希望者全員が原則的に65歳まで継続雇用される制度の導入を企業に義務づけている。これによって正社員は定年後も有期社員として働くことが可能になった。

 じつは5年ルールは、再雇用の有期契約にも適用される。定年後に再雇用された有期社員が5年を超えて働けば、無期社員に返り咲くことができるのだ。

 しかも復活社員は65歳以上なので、60歳定年制が適用されない。復活社員は、法律上は定年がない“終身社員”として、死ぬまで雇用される権利を手に入れることになる。

 今回の改正の目的は、生活が不安定な非正規労働者を救うことにある。しかし、このままでは年金世代まで必要以上の保護を受けることになってしまう。

 無期転換の権利が発生する前に、ぴったり5年で更新をやめればいいという考えは甘い。有期契約を繰り返して更新すると、労働者に「更新期待権」と呼ばれる権利が発生し、雇い止めが無効と判断される場合がある。定年後の再雇用にも更新期待権は認められている。いきなりの更新停止はトラブルのもとだ。

 では、企業は再雇用後の無期転換を受け入れるしかないのか。労務問題に詳しい向井蘭弁護士は、こう解説する。

 「再雇用契約は上限を65歳の誕生日までとして、通算5年を超えて再雇用契約を更新しないことを就業規則と契約書に明記したほうがいい。ただ、契約書も万全ではありません。同じ契約なのに、『Aさんは5年で雇い止め。仕事ができるBさんは65歳を超えても契約更新』と差をつけると、裁判で契約内容が反故にされることがあります」

 これは再雇用に限らないが企業が“前門の虎、後門の狼”式で契約を結ばせた場合も危険だ。たとえば今回で契約を打ち切ることをちらつかせながら、次の更新で終わりになる契約を提示すると、労働者は精神的にサインせざるをえない状況に追い込まれる。こうしたやり方を嫌う裁判官によって雇い止めが無効とされる可能性もある。

 また改正労働契約法では、5年経過後に無期転換しないことを条件に契約を更新することも無効とされている。

 「65歳以上も続けて雇用する場合、企業にできるのは、通算5年経過後の契約更新後に労働者にお金を払って無期転換権を事実上買い取るか、就業規則に“第二定年”を定めておくことぐらいでしょう」(同)

答えていただいた人 弁護士 向井 蘭 ジャーナリスト 村上 敬=文
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最終更新:2月25日(月)12時40分

 


いよいよリストラが正社員に波及、日本型経営に異変
PRESIDENT 2012年7月30日号
著者
一橋大学大学院商学研究科教授 守島基博=文
大きな文字
小さな文字



123
人員削減と大型投資を同時に行う企業が増えてきた。社員は企業の構造改革や戦略転換における駒の一つとみなされる傾向にある。経営者が戦略的な意思決定をするためには、人という経営資源のもつ複雑さを考える必要があると筆者は説く。

日本の経営者の人材への考え方は変わってしまったのか

3年前、私は、このコラムで以下のような文章を書いた(>>2009年3月2日号)。

《企業業績が急激に悪化する中で、企業による素早い雇用調整が始まった。もちろん、バブル経済崩壊直後に比べれば、いまだ大規模ではないし、また、これを書いている時点では、雇用調整の主なターゲットは、派遣労働者、期間従業員など、いわゆる非正規労働力が中心だ。

ただ、正直にいえば、今回非正規雇用に手をつけるスピードと、その徹底ぶりについては、私自身も少し驚いている。そしてそこから受ける印象として、バブル経済崩壊からの回復過程で、わが国の経営者の人材とか雇用に関する考え方が少し変わってしまったのではないかという感覚がある。

(中略)

もちろん、これはあくまでも非正規労働者に対しての考え方であって、本当に守りたい存在である、正規従業員の場合は違うという主張も成り立つ。非正規労働力は需要変動に対応するためのバッファーであって、人的資本としての正規従業員の雇用は守り抜くという予想もできる。

本当にそうなのだろうか》

リーマンショック直後に企業が行っていたいわゆる「派遣切り」など、非正規社員の削減を目の当たりにしての感想だが、現在、今度は正社員がターゲットになっている多くのリストラを見ると、再びこの問いが頭をもたげてくるのである。

現在、規模はそれほど大きくはないが、人員削減を行っている企業は多い。実際、東京商工リサーチが毎年行う上場企業を対象にした調査によると、今年1月以降、6月7日現在で希望退職・早期退職者の募集を実施した主な上場企業は、具体内容が確認できたものだけで33社を数え、前年同期の31社に比べ2社増となっている。調査は、12年1月以降、希望退職、早期退職者募集の実施を開示し、具体的な内容が確認できたケースを抽出している。情報公開日で見ると、募集実施企業は4月が9社、5月が8社の2カ月間で半数の17社を占め、直近にきて増加の兆しを見せている。

予想されることだが、産業別で最も多かったのは電気機器の8社で、次に小売りの5社、情報・通信の3社、精密機械の3社である。


ソニーは赤字なのにオリンパスへなぜ出資するのか

また今起こりつつある人員削減の特徴は、1つは中規模企業において早期退職者募集などの動きが活発化していることである。東京商工リサーチ調査でも報告されている事例としては、ホンダの子会社で、従業員2500人ほどのジャスダック上場企業八千代工業の700人規模の削減があり、そのほかにも2000人未満の企業で、全従業員の10〜20%を対象とした早期退職制度などの募集は5月以降増えてきた。だが中堅企業が多いことで、逆にマスコミでの報道は多くはない。

またもう一つの特徴が、以前と比較して、若年層までが早期退職の呼びかけの対象となることが多いことである。例えば、ベスト電器のケースでは、35歳から対象とされたと報道されている。バブル経済崩壊期ほど注目をあつめてはいないが、業績不振の多くの中堅企業が、対象を若手にまで広げながら、人員削減を深く静かに進めているという印象である。

ただ、同時に注目すべき動きも起こっている。例えば、今話題のオリンパスの資本提携である。報道によれば、これを書いている時点では、資本提携先としてソニーが有力だそうである。パナソニック、富士フイルム、テルモなどとの競合の中で、ソニーが約500億円を出資して筆頭株主になる見込みだという。

私は、この報道を聞いて、少々あれっと思った。ソニーって赤字でリストラ中じゃなかったんだっけ? そして、よくよく聞いてみると、ソニー以前に有力視されていた企業の一つが、パナソニックだという。

12年3月期決算で、パナソニックの連結最終赤字は約7700億円、ソニーの連結最終赤字は約4500億円だった。そのためパナソニックは本社約7000人の中からかなり多くの人員を削減するリストラを計画しているといわれており、ソニーもグループ全体で1万人近くを削減する計画を発表している。ソニーにしても、パナソニックにしても、多額の赤字を出し、人員削減を進めていこうとする中での、大きな投資なのである。同様のことが、電気機器大手を中心に多くの企業で起こっている。

別に人員削減と大きな投資とを両方同時に実行するのが悪いといっているわけではない。経営の中でそうした決定をしなくてはならない場面も出てこよう。またオリンパスとソニーの場合は、資本提携だから、理屈ではソニー自体の雇用には影響しないはずであり、オリンパスの雇用を間接的に支えるのみである。

ただ、意識しておかないとならないのは、企業経営の中で、縮小するところと拡大するところが明確に区別され、一方では人員削減を行い、もう一方では投資を行い、人を雇う。こうした戦略的な選択がこうした構造改革の背後にはあることである。

つまりこれらの企業は自社の雇用を守るという選択と、他社へ投資し、その事業に参加することで間接的にその会社の雇用を守るという選択とをバランスさせ、資源配分を決定したのである。自らの構造改革の中身として、自社における一定の雇用削減と、他社への投資を組み合わせるということが選択されているわけである。

米国で行われた研究によれば、米国では1980年代の不況を境目に、多くの企業が構造改革のために、縮小部門の人員削減と拡大部門での採用を同時に行うことが一般化したことがわかっている。上記のような事例を見ると、これに類する決断に対して、日本の企業が、以前よりも前向きになった感覚をもってしまうのである。

企業の構造改革には、しばしば「資源の再配分」が伴う。構造改革では、戦略の変化と事業の再編成に伴い、ある事業に投資した資金などを引き揚げ、他の事業に移動することが行われるのである。またある事業の人員を削減し、別の事業に移しかえることも多い。逆にこうしたアクションがなければ構造改革は進まない。そして人を含む資源の再配分においては、多様な資源の価値が比較され、最も企業にとって好ましい組み合わせが選択される。

だが、ここで重要なのは、こうした資源の再配分を決定し、実行する中で、お金に換算した価値は同じであったとしても、多面的な見方をすると、すべての資源は同等ではないということである。


例えば、経営学者ジェイ・バーニーの提唱したVRIOの枠組み(図参照)を用いれば、経営資源の価値は、その資源がそのビジネスでもつ経済価値(Value)、希少性(Rareness)、模倣可能性(Imitability)、資源組織化の程度(Organization)などで評価することができる。経済価値とは、顧客に価値を提供するビジネスモデル内のその資源の位置づけであり、模倣可能性とは、同レベルの資源人材をつくり上げるのにかかる時間と手間がどれだけかであり、希少性は、どれだけ外部(市場)から調達することが可能なのかに関する評価である。また組織化の度合いは、その資源と他の資源の関連の度合いがとどれだけ密接であり、資源間の相乗効果が高いかどうかである。人に置き換えると、スキルは同じでも、特定の人とタッグを組むと、すごいパフォーマンスが出るケースなどを考えれば理解しやすいかもしれない。

心のマネジメント不足による「失われたマザー工場」

そして、こうした基準に立つと、人材は他の資源とは違うのである。単純な例をあげれば、調達可能性について、よい人材は、市場からそう簡単には調達できない。もちろん、違うから別扱いせよということでは必ずしもないが、再配分の意思決定にあたって、他の資源(例えば、カネやもの)より深く考える必要がある資源なのである。

さらに人的資源には多面性があることも重要である。なかでも重要なのは、人材というのは、単にスキルだけではない。心理的な側面まで含めて初めて人材であることだ。意欲や心意気、会社に対するコミットメントなどが伴って、人は企業にとって価値ある資源になるのである。やや文学的な表現になるが、人材は心をもった経営資源である点で他の資源と大きく異なる。

もちろん、こうしたことはよくわかっているという反論もあるだろう。日本企業は、これまで人を大切にする経営をしてきた。だから多くの企業では、そうした点であまり心配がない、という声も聞かれよう。人材のマネジメントについては、昔も今も同様の注意を払っていると怒られるかもしれない。

だが、今多くの製造業企業で問題になりつつある中国での状況を考えると、私は日本の企業といえども、人的資源の複雑性を考えて意思決定することの難しさを感じてしまうのである。それは「失われたマザー工場」の問題である。

ご存じのように製造業の多くの企業は、しばらく前から日本国内の工場をマザー工場として使いつつ、中国への生産移管を進めてきた。いうまでもなく、中国の安価な労働力が最も大きな誘因であった。

だが、現在中国の賃金は上昇しており、中国の安い賃金が競争力を維持する時間はそれほど長くないといわれている。それと同時にタイ、ベトナム、フィリピンなどのさらに賃金の低い国が台頭してきた。その次にはミャンマーなどがいる。当然日本企業としては、そこに進出することを考える。

そのときマザー工場になるのはどこか。もはや日本国内には教えることのできる人材は、残っていない。マザー工場というべき工場は国内には残っていないからである。したがって、中国工場をマザー工場として活用するしかない企業が多い。

では中国工場には、ベトナムなどにいって工場を立ち上げることのできる人材が育っているだろうか。私が訪問した企業では、技術面ではなんとかなるというところが何カ所かあった。努力の結果、一定の技術移転が行われ、少数ではあるが、人に教えるレベルの技術をもった人材が育っている。

だが、問題は、そうした中国人に、昔の日本人と同様に、家族と離れ、長期出張して、工場立ち上げまで頑張ることをどこまで期待できるかである。昔、日本の熟練工たちは、言葉もわからない環境に赴き、会社のために頑張ったのである。だから、中国工場は立派に立ち上がった。

つまり、多くの企業が、生産を中国に移転し、人的資源のシフトを行ったとき、企業が失ったのは技術だけではないのである。長年かけて培ってきた技術だけではなく、これも長年かけてつくりこんできた、会社のために頑張る従業員やコミットメントも同様に失ってしまった可能性が高い。そしてそれは必ずしも中国人のせいではなく、中国人従業員の心をきちんとマネジメントしてこなかったことが背景にある場合も多いだろう。回復にはかなりの時間がかかることが予想される。

今、人材という資源が、企業の構造改革や戦略転換における駒の一つになる傾向がある中で、経営者がこの資源のもつ複雑さを深く考えて戦略的な意思決定をしているか少し不安になるのである。


2013年1月18日(金)
“65歳雇用時代”到来で現役の実質賃下げが視野に
NEWS FILE
PRESIDENT 2013年2月4日号 


1月半ばに本格スタートする今春闘で、65歳までの雇用義務付けに対応した賃金制度見直しが最大の争点に浮上しそうだ。春闘で常にメーンテーマだった賃金改善(ベースアップ)は、春闘相場のリード役だった自動車、電機などの主要産業別労働組合が昨年末までに統一要求を見送り、戦わずしてギブアップしたからだ。代わって主役に躍り出そうなのが、現役世代の賃金引き下げも視野に入る「65歳雇用時代」を見据えた賃金制度であり、労使ともに一線を譲れない問題だけに、例年にない厳しい春闘が予想される。

企業への65歳までの雇用義務付けは、厚生年金の支給開始年齢が65歳まで段階的に引き上げられ、その間に定年退職者が年金を受け取れない「空白期間」が生じるのを防ぐのが狙いだ。今年4月に改正高年齢者雇用安定法が施行され、企業は希望者全員を再雇用しなければならなくなる。企業にとっては人件費の総額が膨らむことから、「2013年問題」として、その対応が迫られていた。

実際、NTTグループは今年10月、65歳までの継続雇用に合わせ、新たな賃金制度の導入に踏み切る。現役世代の賃金上昇を抑える一方で、60歳からの継続雇用者の賃金を引き上げる。NTTは「新制度が導入されても、社員が受け取る生涯賃金の水準は変わらない」とするものの、65歳雇用義務化のしわ寄せは、40〜50代の「家庭の大黒柱」の実質賃下げとなってくるのが現実だ。

NTTの場合、社員数が多く、65歳定年への延長は人件費増加に直結しかねず、現役世代の賃金抑制という仕組みを選択した。歴史が長い重厚長大型の大企業には毎年数百人規模の定年退職者が出るケースも少なくなく、NTTと同様の賃金制度を導入する可能性は高い。

事実、春闘で経営側を代表する経団連は、春闘に臨む経営側の指針として1月下旬に公表する「経営労働政策委員会報告」に、65歳雇用時代を見据え、賃金カーブ全体の見直しが必要との判断を盛り込む。65歳までの雇用を維持しながら総額人件費を抑えるには、「定年前の賃金制度の改革が不可避」とし、現役世代の賃金水準を抑え込む方向を提示する。

NTTが新たに導入する賃金制度は、経団連による経労委報告の内容を先取りしており、この提言に倣って、働き盛りの現役世代に実質賃下げを迫る賃金制度の見直しが、今後、多くの企業で進む可能性がある。

しかし、こうした賃金制度の導入に当たっては、現役世代を含めた賃金カーブ全体を見直さなければならず、目前に迫った今春闘での定期昇給(定昇)をめぐる労使交渉にも大きな影響を及ぼす。さらに、「日本型」として定着してきた年功序列型の賃金体系に大ナタを振るうことにもつながりかねない。

高年齢社員を戦力化する「出口戦略」が必要


“65歳雇用義務化”で賃下げ必須なら、まず手を付けるべきは中高年か、若手か、それとも非正規社員か。(PANA=写真)
今春闘での賃金改善をめぐる交渉は、春闘の本格スタートの前から、大手製造業を中心にすでに労働側の敗色が濃厚となっている。自動車、電機それぞれの労組で組織する自動車総連、電機労連は、昨年末までに賃金改善に向けた統一要求を見送る方針を確認しているだけに、労働側にとっては定昇確保による賃金水準の維持を死守するしかない。しかし、経団連の経労委報告は定昇について「制度の見直しを聖域にすべきでない」と明記し、65歳雇用義務化への賃金制度見直しと併せて、厳しい選択を労働側に突きつける。

その意味で、「2013年問題」は今春闘の最大の争点に浮上すると同時に、賃金交渉にも大きな下押し圧力として働くことは確実だ。賃金の目減りは個人消費の低迷に直結し、安倍晋三首相が最重要課題に掲げたデフレ経済脱却への重い足かせにもなりかねない。

ただ、企業は65歳雇用時代を迎える以上、高年齢社員の戦力化を図らなければならない。これまでのように定年後の再雇用で極端に賃金を下げた場合、働く意欲は失せ、企業にはマイナスに作用すると見るのが妥当だろう。このため、トヨタ自動車が定年後の生活費を補う新退職金制度の検討に入ったほか、大和ハウス工業やサントリーホールディングスが今年4月に65歳定年制に踏み切る計画など、65歳雇用時代を見据えた新たな対応を急いでいる。

65歳雇用問題に詳しい某人材コンサルタントは「企業は賃金だけでなく、現役世代からの研修などを含め、65歳までの人材を戦力化する『出口戦略』を早急に構築する必要がある」と指摘。春闘に限らずとも、「2013年問題」は企業に待ったなしの対応を迫っている。


 



03. 2013年2月26日 13:06:05 : xEBOc6ttRg
「金融事業化」する日本の奨学金制度 「返済できない若者」が急増
弁護士ドットコム 2月26日(火)7時24分配信

奨学金問題に取り組む岩重佳治弁護士

生活苦から学生時代に借りた奨学金の返済に困っている人が増えている。不景気で就職難やリストラなど働く環境が悪化していることが影響しているとみられる。なかには、奨学金の返済遅延が足かせとなって、夢をあきらめたり、結婚ができなかったりする若者も少なくない。この問題に詳しい弁護士は「日本の奨学金制度の抜本的な改善が必要だ」と指摘している。

奨学金事業を請け負う日本学生支援機構の資料によると、奨学金の返済が遅れている要返還者と未返還者を足した人数は、2004年の198万人に対して2011年が334万人と、7年間で130万人以上も増えている。奨学金を返せない人は、ここ数年で急増しているのだ。

奨学金には、返還義務のない「給付型」と卒業後に返還義務が生じる「貸与型」の2種類があるが、日本では全体の約9割が貸与型だとされる。しかも無利子ではなく、「有利子」の貸与型を利用せざるを得ない学生が多いのが、日本の特徴だ。日本学生支援機構による奨学金では、有利子が7割を超えている。

「日本の奨学金制度は『金融事業化』してしまっている」と指摘するのは、奨学金問題に詳しい岩重佳治弁護士だ。「欧米では奨学金とは給付型のことを指し、貸与型については『学資ローン』と呼んで区別している」と語り、日本は本来の奨学金制度とは違う方向に進んでいると批判する。

●返済に苦しむ人への「支払督促」が増えている

岩重弁護士によると、もともと奨学金事業を担っていた日本育英会から日本学生支援機構に引き継がれた2004年以降、奨学金が「金融事業」と位置づけられ、その後、金融的手法の導入が進んだという。奨学金に占める有利子の割合や民間資金の流入が拡大。返済金の回収も強化され、2010年度からは返済が滞れば、滞納者として「全国銀行個人信用情報センター」に登録されるようになった。

回収の強化といえば、近年、裁判所を使った「支払督促」を申し立てられる奨学金滞納者が急増している。2004年にはわずか200件だった支払督促の申立件数が、2011年には1万件と、この7年間で50倍に拡大しているのだ。

この背景について、岩重弁護士は「最近は債権管理部ができたり、債権回収会社を利用したりするなど、回収が徹底されるようになった。おそらく、財務にかなり焦げ付きがあり、回収強化に乗り出したのだろう」と推測する。その上で「本来であれば、雇用情勢が悪化しているのだから、救済手段の強化や制度を柔軟化するなどの対応を取るべきだが、そこの見極めができていないため悲劇が起きている」と苦言を呈した。

返還猶予制度の運用にも問題があるようだ。日本学生支援機構の奨学金には返還期限を猶予する制度がある。岩重弁護士は、この制度について「非常に厳しい要件が課されている上に、運用上も様々な制限が課され、申請方法なども複雑で不明瞭なため、制度を利用できない返済困難者が多い。返還猶予制度はもっと柔軟に分かりやすくするべき」と指摘する。

●返済に困っている人が利用できる「救済手段」

返還猶予制度を利用できない返済困難者はどうすればいいのだろうか。「自己破産や個人再生などの債務整理手続きがある。お金のない人は法テラスを利用して、費用援助を受けながら、専門家の支援を受けるという方法もある」と岩重弁護士はアドバイスする。

また、人によっては時効が成立している場合もある。「返済期日から10年たつと債務の消滅時効が成立し、支払わなくてもよくなる」。ところが、時効についての知識がなく、「時効成立を知らないで、払い続けている人がいる」という。

奨学金を返せない若者が増えている現状を打破するため、岩重弁護士は全国の法律家や学者らとともに2013年3月31日、「奨学金問題対策全国会議」(仮称)を設立する予定だ。全国会議では、返済できないで困っている人の救済に個別で取り組む。

一方で、奨学金制度の抜本的な改善を求める運動を展開し、給付型や無利子の奨学金を増やすことなどを目指していく。岩重弁護士は「当事者にも声を上げてもらって、国民的議論にしていきたい」と話している。

(弁護士ドットコム トピックス編集部)

【取材協力弁護士】
岩重 佳治(いわしげ・よしはる)
1958年、東京都生まれ。97年に弁護士登録(東京弁護士会)。東京を拠点に活動。日弁連貧困問題対策本部に所属。弁護士活動の傍ら、多重債務問題や貧困問題に取り組む。得意案件は借金問題、消費者被害、生活保護など。趣味は音楽鑑賞。

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岩重佳治弁護士プロフィール
最終更新:2月26日(火)7時24分

 

 
 

 
2013年2月25日 橘玲
橘玲×藤沢数希 特別対談
「金融幻想の終わり」を語る!(3)
40代半ばでリタイヤは当たり前の外資系金融

『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』などで、個人の資産運用に革命的な示唆を与えプライベートバンクの実情にも詳しい、作家・橘玲氏と『外資系金融の終わり』がベストセラーになっている、藤沢数希氏との初めての対談が実現。金融業界の裏側をセキララに語り合った内容を4回にわたって掲載する。外資系金融の実情を語った第1回、第2回に続き、第3回は、外資系金融の待遇とと日本の解雇規制について。

[参考記事]

●「金融幻想の終わり」を語る!(1)それでも外資系金融は終わらない!?
●「金融幻想の終わり」を語る!(2)日本の金融ビジネスの現場

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橘玲(以下、橘) そろそろ独立を考えてらっしゃると聞いたのですが、それは「サラリーマンはもういいや」という気持ちになられたからですか?

藤沢数希(以下、藤沢) まあ、そうですよね。会社って、やっぱり命令系統に組み入れられて、一番下と一番上以外、どこまで行っても中間管理職で、自由もないし、ぶっちゃけクオリティ・オブ・ライフは非常に低いですね。僕は一応バブルが終わる前にトレーダーになったんですが、ちゃんと稼いでボーナスがもらえるポジションになったときに、はじけてしまった。それでも2007年ぐらいはそれなりにボーナスがもらえていたんですが、2008年は自分ではすごく儲けたのに、急にボーナスが減っちゃったんです。

橘 全体のパイが小さくなっちゃったんですね。

藤沢 そうなんです、他部門のとばっちりで。トレーダーって会社との信頼関係、例えば「10億稼いだら少なくとも5000万円はあげるよ」というような“暗黙の了解”が崩れると、途端に仕事が面白くなくなってくるんです。だって、リスクを取って失敗したらクビになるかもしれないのに、成功してもリターンをもらえないんですよ。そうすると、あんまりリスクを取らずに、大人しくしてるのが、いちばん賢明になってしまう。

橘 公務員っぽいですね。

藤沢 公務員よりは全然マシですけどね。クビにはなるけど、給料は全然いい。で、その暗黙の契約が崩れたのが2008年からで、最近ますますその傾向が強まりました。

橘 ボーナスの額はどれくらい減ったんですか。

藤沢 2007年のピークに比べて全体の報酬は6割くらいになってますね。そう考えると、あのバブルの絶頂から給料の総額は4割しか減ってないんですけどね。従業員の人数は2割ぐらい減ってますから、生き残った人の給料は高止まっているとも言えます。2007年の給料が、国内大手企業のエリート社員の5倍くらいがふつうだったのが、それが3倍ぐらいになった感じです。この先も、こんな感じでタラタラいくんじゃないですか。だから、まだまだ何だかんだ言って恵まれてて、この先も会社にしがみついていたいっていう人はすごく多いですよ。

橘 投資銀行の人って、40半ばでどんどん辞めていくイメージがあるんですが。

藤沢 そうですね。そこまでいったらマネジャーになるか、それ以外はリストラになってますね。でも、40半ばって言ったら15年は働いていることになりますよ。それだけ働いてたら普通にリタイヤできてますよ。奥さんが3回変わったり、フェラーリを買ったりすると、とてもリタイヤできないかもしれませんけど(笑)。やっぱり金融はオイシイですね。

橘 そういうのは外資系金融機関だけですね。

藤沢 この業界は、グローバル化の最先端にいるというのもありますね。各国に主権があるので、簡単に規制ができない。自国だけ規制したら、ほかの国に逃げられちゃうだけなので。例えば、日本の規制が厳しくて法人税が高いとなれば、香港やシンガポールに行けばいい。どこにいても同じ仕事ができますからね。そうなると、各国は積極的に規制できないし、法人税の値下げ合戦になるわけです。

橘 じゃあ、給料は減ったとはいえ、まだまだ外資系金融マンとしてのそこそこリッチな生き方は、成立するわけですね。投資銀行のイメージは、マイケル・ルイスの『ライアーズ・ポーカー』に描かれていた鉄火場みたいな雰囲気なんですが、ああいうのはもうなくなってしまったんですか。

藤沢 いや、まさにあんな感じです。あれはなかなかよく描かれてます。

橘 あれを読むと、楽しいんだろうなって思いますけどね。

藤沢 実際、楽しいですよ。しかも、マーケット部門のトレーダーになると、そんなに労働時間も長くないんです。朝7時に会社に来て、夜7時に終わる。12時間…長いかな(笑)。それでも週末は必ず休めるし、(投資銀行の)投資銀行部門の人よりは給料は全然高い。だから、まあいい仕事ですよね。他人のお金でリスクを取って…

橘 株主のお金でリスクが取れるっていうのはいいですよね。

藤沢 株主も、最後のコストは社会に押し付けてリスクが取れるわけです。しかも、投資銀行業界はグローバル化していて規制もされにくいときたら、儲かるべくして儲かるようになってるんですよ。

橘 その超過利潤がなくなることはないですか。

次のページ>> 儲かるべくして儲かる仕組み

藤沢 頭に来てる人はいっぱいいるし、規制しようと考えている人もいっぱいいるでしょう。でも、うまく規制する方法がないんです。つぎはぎだらけの不完全な規制で、だましだましやっていくしかないんでしょうね。やっぱりグローバル資本主義経済の中の金の流れの中心に座ってる、というのは大きいですよ。

橘 いったん既得権益ができてしまうとなかなか崩れない構造は、日本で改革が進まないのと同じですね。

藤沢 それは世界共通です。そういう意味では日本の銀行も、同じだと思いますけど。日本の銀行は国債を大量に買っているわけです。国債金利と預金金利には1%くらい差があるから、普通に国債を買っていれば儲かります。金利に1%の差がある理由は、日本が財政破綻して国債が暴落するかもしれないというリスク分ですが、じゃあもしそういう事態になって銀行が潰れそうになったら…

橘 絶対に潰さないでしょうね。公的資金注入でも何でもやって救済します。

藤沢 ええ。だから日本の銀行だって、社会にコストを押し付ける分から儲けている部分があるわけで、儲かるべくして儲かる仕組みになっているのは同じです。

橘 その最たるところが「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」ですから、どうしようもないですね。日本の金融ビジネスは完全に国債依存になっていて、抜けるのも難しい。グローバルな競争という面では、なかなか厳しい現実ではないでしょうか。

藤沢 抜けたら日本国政府の財政が破綻しますからね(笑)。でも、サラリーマンとして勤めるには、ちょうどいいかもしれません。

橘 一銀行マンがそんなこと考えてもしょうがないですからね。それにしても、日本の銀行というのは、貸し出しでリスクを取る気はほとんどないんでしょか?


右:藤沢数希さんの最新刊『外資系金融の終わり』は6万部を超えるベストセラーに。左:橘玲さんは、『黄金の扉を開く賢者の海外投資術』で国に頼らない資産運用の方法を提示
次のページ>> 株式市場での資金調達コスト


藤沢 そんなことはないでしょう。今、住宅ローンの金利は1%台ですか。政府が不動産業界とか金融業界と癒着しているので、住宅ローンには税金から補助金が出て、個人はほとんど金利ゼロで家を買えるんです。中小企業が融資を受ける際にも政府が保証をつけたりして、みんなで貸出先を作ろうとはしてると思います。官民一体で貸し出し先を開拓してます(笑)。

橘 それでも貸し出す先がないというのが問題ですか?

藤沢 そうですね。それと、日本の大企業はもうちょっとお金を借りたほうがいいかも知れません。企業が資金調達するときに銀行から融資を受けるのと、増資して株式市場で調達するのと、どちらがコストが高いかと言えば、コーポレート・ファイナンスの教科書的には株式市場で調達するほうですよね。

橘 日本の経営者はまだ、融資には金利が発生するけれど、株主市場から調達すれば金利負担がないから、株式のほうがコストが安いと思っているみたいですね。

藤沢 いまは株主がどんどんグローバル化しているので、株主資本にも例えばROE7〜8%というグローバル基準のリターンを要求されるわけです。日本みたいな低成長の国でそんなROEを達成するのは無理なので、それに答えようと思ったら日本の会社の経営者は、リストラをしたり取引先に泣いてもらわなきゃならない。だから、グローバル化した株主に、世界のスタンダードなROEを届けないといけないので、コストカットでどんどん縮こまっている、と。

橘 だったら、銀行から超低金利でお金を借りて株主資本をどんどん償却して、レバレッジをかけたほうが日本経済が回るという論理ですか。

藤沢 そうですね。結局、みんながお金を使わないのに、金融緩和でシステムの中にお金をじゃぶじゃぶ入れるから、そのお金で別のお金を売ったり買ったりするしかなくて、そうするとまたどこかで資産バブルになって金融機関が儲かるんですよ。

橘 超低金利でもお金を借りてビジネスをしようとか、そういう機会やチャンスがないことが、日本の問題の深刻さを象徴していますね。

藤沢 ずうっと言われているのに、なかなか変わりません。だから、とりあえずその大企業が「ほとんどゼロ金利でお金を借りて、レバレッジをかけてみる」というのをやってみたらいいと思うんです。そのほうが株主も喜ぶし。

橘 サラリーマンは「安定こそが全て」と思ってやってきたのに、会社がハイレバレッジのギャンブルみたいになったら大変ですね。

次のページ>> 日本の雇用規制

藤沢 僕は、村上ファンドとかホリエモンが出てきた時に、企業買収して不採算部門の売却や経営陣の刷新とかどんどんやって、資本の論理で産業構造を変えていくのがいちばん良かったと思うんですが、それはできませんでした。

橘 企業が「家」のようになっているから変えられないんです、きっと。

日本の雇用規制の厳しさについて


藤沢 日本は雇用規制も厳しすぎますね。「企業が社員をリストラするなんてけしらかん」という文化。ヨーロッパもそれに近い。それに対して米国や香港は雇用の流動性があって、企業はばんばん解雇するし、従業員もどんどん転職する。これは多分、社会の初期値みたいなもので決まっていて、いったん解雇規制を作って今いる社員を守るとなったら、緩めることはできないんじゃないかと思うんです。

橘 解雇規制が厳しいと雇用の流動性が失われて、解雇されたときの痛みがますます大きくなるので、なおさら解雇されないようにしがみつくしかない。それを後押しする政治的な圧力もあるから、ますます硬直化してしまいますね。

藤沢 この数年間を見ても雇用規制は強まる一方でしょ。派遣の範囲を狭めようとしたり、5年間派遣をやったら正社員にしなきゃいけないとか。いったんそういう方向で回り始めたら、行き着くところまでいくしかないんだと思います。

橘 解雇規制は緩いほうがいいと思いますか?

藤沢 僕は基本的にそのほうがいいと思ってます。でも、もちろん負の側面もあります。たとえば外資系の証券会社は、日本でも実質的に解雇規制が緩い世界なんです。だって、解雇規制って言っても、究極的には2年も3年も裁判やって、そこで判決がどうなるかってことで、会社が社員をクビにしても、会社を訴えたりしたら転職できないとなれば、ほとんどの人は裁判なんてしませんよね。だから、外資系は、日本でも割り切ってどんどんクビを切るわけです。その代わり、ジョブ・マーケットの流動性がそこそこあるから転職しやすいわけなんです。こういう論理で動いている世界だと、社員は転職マーケットで自分の価値を高めることしか考えなくなります。自分のスキル・アップにつながる仕事は奪い合いになり、逆に面倒くさくて、自分の市場価値を上げない仕事は押し付け合いになってしまう。そう考えると、解雇規制の緩い国では、時間のかかる「ものづくり」の文化は醸成されないかもしれません。

橘 逆に言うと、日本は製造業中心だから、終身雇用の「家」的なシステムがうまく嵌ったのかもしれませんね。

藤沢 製造業は10年研究して、十中八九は何の成果にもならない世界だったりします。1年後に自分の机がそこにあるかどうかもわからないようなところで、息の長い研究開発なんてできないかもしれませんね。

橘 結局、雇用の流動性を高められるのは、営業とかトレーダーもそうですが、結果がきっちり出て、その分の取り分がはっきりわかる職種に限られるのでしょう。しかし、製造業もこのままではダメですよね。中国や韓国や東南アジアの製造業のキャッチアップがどんどん早くなっているから展望がない。

藤沢 行き着くところまで衰退していく方向ですね。なかなか難しい問題です。

(次回、第4回に続く)

●橘 玲(たちばな あきら)

作家。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。「新世紀の資本論」と評された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 究極の資産運用編』『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 至高の銀行・証券編』(以上ダイヤモンド社)などがある。ザイ・オンラインとの共同サイト『橘玲の海外投資の歩き方』にて、お金、投資についての考え方を連載中。

3月中旬に新刊『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』が発売予定。

●藤沢数希(ふじさわ かずき)

欧米の研究機関にて、理論物理学の分野で博士号を取得。科学者として多数の学術論文を発表した。その後、外資系投資銀行に転身し、マーケットの定量分析、トレーディングなどに従事。 おもな著書に『なぜ投資のプロはサルに負けるのか?』『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門』、『外資系金融の終わり』(いずれもダイヤモンド社)がある。ツイッターのフォロワーは7万人を超える。

(撮影/和田佳久 構成/渡辺一朗)


04. 2013年2月26日 23:04:50 : IOzibbQO0w
ネット掲示板やブログで「ブラック企業」と批判することは名誉毀損になるのか

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近年、長引く不況の下で「ブラック企業」という言葉が流行している。ブラック企業とは、従業員に対して過剰なノルマを要求したり、低賃金で休みなく長時間労働をさせたりと、いわゆる「ひどい働かせ方」をさせている企業のことだ。

インターネット総合掲示板サイト「2ちゃんねる」には、「ブラック企業ランキング」というスレッドが存在し、その企業の従業員や退職者と思われる人による書き込みが頻繁に行われている。2012年11月には『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』(今野晴貴著)という本が出版され、話題を呼んでいる。

いまや日常的に使われるようになった「ブラック企業」という言葉だが、ネット掲示板やブログ、SNSなどで特定の企業のことを「ブラック企業」と表現し、批判的な書き込みをすることは名誉毀損となるのだろうか。場合によっては、企業から損害賠償を請求される恐れがあるのか。大阪過労死問題連絡会の事務局長をつとめ、ブラック企業の問題にも詳しい岩城穣弁護士に聞いた。

●ただ「ブラック企業」と書き込んだだけでは「名誉毀損」にならない

「『ブラック企業』という言葉は、『就職すべきでない企業』という文脈で使われています。その中身として、(1)法律違反の働かせ方や営業を平気で行わせる(2)極端なノルマを課したり、著しい長時間労働や休日労働をさせる(3)パワハラや暴力が日常化している(4)社員を大量に雇い、使いつぶして退職に追い込む、などの意味が込められています」

岩城弁護士は、このように「ブラック企業」という言葉の意味を説明する。ただ、ある企業のことを「ブラック企業」と名指ししただけでは「名誉毀損」にあたらない可能性が大きいという。なぜなら、「ブラック企業」と言っただけでは、「具体的な法令違反や違法行為があったことを、直接的に示しているわけではない」からだ。

「『名誉毀損』とは、『公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損』する行為(刑法230条1項)のことですが、『ブラック企業』であると表現するだけで『事実を摘示』したといえるかは疑問です。

また、『事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した』(刑法231条)として、『侮辱』に当たると主張される可能性もありますが、かなり広い意味で使われているので、これだけで『侮辱』といえるかも疑問です」

つまり、「ブラック企業」とネットの掲示板に書き込むだけでは、名誉毀損や侮辱として損害賠償の対象となる可能性は小さいというわけだ。

●ブラック企業の「違法行為」を暴露しても「名誉毀損」にならないワケ

「むしろ、この言葉と一緒に述べられると思われる『この会社ではサービス残業が蔓延している』、『社長が日常的にパワハラを行っている』、『消費者を騙して悪徳商法をしている』といった具体的事実のほうが、名誉毀損との関係では重要といえます」

このように指摘したうえで、岩城弁護士は、企業の違法行為を具体的に書き込んだ場合に名誉毀損となるかについて、次のように説明する。

「この点、名誉毀損行為がなされても、(1)摘示した事実が、公共の利害に関する事実であり、(2)摘示の目的が専ら公益を図ることにあり、(3)それが真実であった場合には、違法性がないとされています(刑法230条の2第1項)。

そこで、労働基準法違反の働かせ方や法令違反の営業、パワハラや暴力が行われていることは、(1)「公共の利害」に関する事実といえるので、(2)まじめな意図で、(3)それが真実であれば、何ら問題はないということになるでしょう」

すなわち、このような3つの条件を満たしていれば、ブラック企業の違法行為をネットで暴露しても名誉毀損とはいえない場合が多いということだ。

「世間では『ブラック企業大賞』の投票や授賞が行われたりしていますが、それが特に損害賠償請求や刑事告訴などに至っていないのは、そこでの批判が基本的に労働基準監督署や裁判所で認定された違法な事実を前提に行われているからだと考えられます」

「ブラック企業」という言葉をネットの掲示板やブログで書いても問題はないようだが、それとあわせてどのような事実を書くかは注意したほうがよさそうだ。

(弁護士ドットコム トピックス編集部)
【関連記事】
ブラック企業の違法行為をどこまでネットに書けますか?
ホテルの滞在拒否
【取材協力弁護士】
岩城 穣(いわき・ゆたか)
1988年弁護士登録、大阪弁護士会所属。過労死問題をはじめ、労働・市民事件など幅広く活躍する「護民派弁護士」
事務所名: あべの総合法律事務所

 

 


2013年02月25日 07時40分
仕事で「うつ病」になった・・・「労災」と認めてもらえるか?

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うつ病が原因で自殺してしまった広島県立因島高校の男性教諭(当時41歳)の遺族が、「うつ病になったのは勤務中のストレスが原因だった」として、「公務災害」の認定を求めた訴訟の判決が2013年1月30日、広島地裁であった。森崎英二裁判長は、自殺が公務災害だったと認め、地方公務員災害補償基金広島県支部が公務外災害とした処分を取り消した。

今回の判決では、「学級崩壊や生徒からの暴言を受けるなど、勤務中の精神的ストレスが原因でうつ病を発症した」と公務と自殺の因果関係が認められたが、うつ病は、発症した人の性格や生活環境など、複雑な要因が絡み合い発症する病気であり、仕事が原因でうつ病を発症したと立証することは難しいとされている。

公務災害とは、公務員がその公務中に受けた災害のことで、一般的には労災(労働災害)と呼ばれるものだ。では、仕事をしているときにうつ病を発症した人が、労災と認定されるためには、どのような条件が必要なのか。うつ病が労災と認定される基準はあるのか。過労死などの労災認定や裁判で数多くの実績がある波多野進弁護士に聞いた。

●うつ病が労災と認定される基準は?

「厚生労働省は2011年12月に『精神障害等の労災認定基準』を発表しています。うつ病が労災に該当するかどうかを一番初めに判断する労働基準監督署では、この認定基準に沿って労災かどうかを判断します」

その基準はどのようなものだろうか。波多野弁護士によると、うつ病が労災と認められるためには次の2つの要件が必要だ。

「(1)認定基準の対象となる精神障害(うつ病など)の発病前のおおむね6ヵ月の間に、業務による強い心理的負荷が認められることと、(2)業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないことです」

ただし、(2)の要件については「原則として問題にならないので、これを過度に気にする必要はありません」という。重要なのは(1)の要件だが、その中の「業務による強い心理的負荷が認められる」というのは、「業務による具体的な出来事があり、その出来事とその後の状況が、労働者に強い心理的負荷を与えたこと」を意味するのだという。

●労災として認定されやすいケースは?

では、具体的にどのような場合に「業務による強い心理的負荷が認められる」といえるのだろうか。厚生労働省では「職場における心理的負荷評価表」というものを作り、職場で発生する心理的負担の大きい出来事を列挙し、その出来事の平均的な心理的負荷の強度を表記している。

「たとえば、業務内容が変わった、仕事量が増えた、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントを受けた、配置転換があったなど、この『職場における心理的負荷評価表』に列挙されている出来事が実際にあって、その心理的負荷の強度が相当程度認められれば、『業務による強い心理的負荷』があったといえます。また、精神疾患発症の背景になる長時間労働(時間外労働が100時間程度)等の過重業務があった場合も、『業務による強い心理的負荷』が認められる可能性が大きいといえるでしょう」

つまり、仕事量が大きく増えたり、上司からひどいパワハラやセクハラを受けたりしたあとに、うつ病を発症した場合は、労災が認められる可能性があるということになる。

●うつ病の「労災認定」を勝ち取るチャンスは6回ある

さらに波多野弁護士は、労働基準監督署でうつ病が「労災」と認められなかった場合でも、労災認定のチャンスが残されていることを強調する。

「労働基準監督署の判断が絶対ではなく、不服であれば審査請求、さらに再審査請求と、行政段階で合計3回の判断を求めることができます。

「これでも納得できなければ、労基署の判断が誤りであると訴えて、裁判所にその処分の取り消しを求める訴訟を起こすことができます。裁判でも地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所と3回争う機会があります。したがって、行政と裁判を合わせて計6回のチャンスがあるわけです」

このように述べたうえで、波多野弁護士は「労働基準監督署の認定基準はあくまで目安に過ぎず、これにきれいに当てはまらなくても、仕事(業務)が原因でうつ病に罹患したと評価できれば、裁判においては労災と認められる可能性があります」と説明する。

つまり、労働基準監督署で「労災」と認めてもらえなくても、それ以外の手続きで労災認定を勝ち取れる可能性があるということだ。「仕事のせいでうつ病にかかった」と考えている人は、労災と認定してもらえそうか、労災問題に詳しい弁護士に相談してみるのもよいかもしれない。

(弁護士ドットコム トピックス編集部)
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波多野 進(はたの・すすむ)
弁護士登録以来10年以上、過労死・過労自殺(自死)案件(労災・労災民事賠償)や解雇や残業代にまつわる事件に数多く取り組んできている。
事務所名: 同心法律事務所

 

 

入社直前の「内定辞退」 学生は賠償金を払わないといけないか?

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冬から春にかけて大学生の就職活動が本格化するが、不況の影響であいかわらず厳しい状況が続いている。その一方で、一部の優秀な(要領がいい?)学生に内定が集中する「就活格差」が存在するのが現実だ。

そんな「内定長者」の学生でも、実際に入社できる会社は一つしかない。そこで、内定を「辞退」する学生が続出することになるのだが、なかには入社直前に内定辞退を申し出る人もいる。

このような場合、会社によっては、入社前研修で発生した費用などの支払いを学生に求める場合もあるという。そのような賠償請求は認められるのか。労働問題にくわしい秋山直人弁護士に聞いた。

●「内定」は法律的にいうと、「始期」と「解約権」がついている労働契約

「会社が学生に対して、採用内定通知書などで正式な『内定』を出す場合、会社と学生との間でどのような法律関係が発生するのかというと、最高裁の判例は、『始期付き解約権留保付きの労働契約』であるとしています」

「始期付き解約権留保付きの労働契約」とは、ちょっと難しい言葉だが、どういうことだろうか。

「簡単にいうと、入社日(例えば4月1日)から働くという『期限』が付いており、かつ、従業員として不適格であることが入社日前に分かった場合には、会社の側から『解約権』を行使して内定を取り消すことがあると『留保』している労働契約、ということです」

では、どんな場合に、会社は「解約権」を行使できるのだろう?

「その点については、『客観的に合理的で、社会通念上相当として是認できる理由があるとき』と解釈されており、恣意的な理由で内定を取り消すことはできないとされています」

逆に、学生から内定を「辞退」しようとする場合、どう考えたらいいのだろうか。「内定関係は、期限や留保が付いているものの、労働契約であることには変わりがありません。そして、新卒の学生が正社員になるという場合は、契約期間の定めのない労働契約であることが通常です」

つまり、内定も、一般的な雇用契約と同じように考えることができるということだ。

●2週間の予告期間を置いて「内定辞退」するのならば、損害賠償義務は生じない

「契約期間の定めのない労働契約においては、労働者は2週間の予告期間を置けば、特段の理由を必要とせずに労働契約を一方的に解約できるとされています(民法627条1項)。したがって、内定関係の場合でも、学生は、2週間の予告期間を置いたうえで内定辞退をすれば、有効に労働契約を解約できます。この場合、会社に対する損害賠償の義務は生じません」

では、入社日の直前になって内定を辞退したら、どうなるのか。「2週間の予告期間も置かないで、突然、内定を辞退して、会社に損害を与えてしまった場合には、会社に対して損害賠償義務を負うことがありえます」と秋山弁護士は指摘しつつ、次のように続ける。

「まだ働いていない入社前の学生が内定を辞退したからといって、直ちに会社に大きな損害が生じるかは疑問です。したがって、実際に裁判になったとしても、学生に対して損害賠償が命じられるケースは、レアケースだと思われます」

最近、一部で問題になっている会社側の強硬姿勢について、秋山弁護士は「会社側が内定者を引き留めようとして、『内定を辞退した場合には損害賠償を請求する』と脅しにかかる場合もあるかもしれませんが、法的にはあまり根拠のない話だろうと思います」と話している。

学生が入社直前に内定を辞退したとしても、会社に損害賠償しなければならないケースはまれだといえそうだが、社会の常識からいって、できるだけ早く会社に伝えるにこしたことはないだろう。

(弁護士ドットコム トピックス編集部)
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せっかく内定をもらったけど。。。
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【取材協力弁護士】
秋山 直人(あきやま・なおと)
2001年に弁護士登録。所属事務所は現在弁護士8名で、企業法務、各種損害賠償請求、債務整理、不動産関連、契約紛争、消費者問題、離婚・相続等を取り扱っている。
事務所名: 山崎・秋山法律事務所


 


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