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20代が自殺する理由wwwwwwwwwwwwww 2ch
http://www.asyura2.com/12/social9/msg/410.html
投稿者 木卯正一 日時 2013 年 8 月 27 日 02:31:11: xdAt6v.ugMgqA
 

1: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:03:49.16 ID:6hvUW3yN
就職できないかららしい
そんなに働きたいのか

2: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:05:02.00 ID:YlANlsBr
働きたくないから死にたい

4: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:05:15.16 ID:4WcE6qSK
はっきり言っていまの日本の若者は異常だ

6: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:05:19.79 ID:yEsyEbwJ
完璧主義なんやろ

7: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:05:28.99 ID:PgF2g7fA
働いたら働いたで辛くて自殺するらしい

9: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:05:43.23 ID:3xQwWzpm
筋金入りのニートは死なないもんな

15: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:06:45.89 ID:e1udCf5x
僕の将来に対するただぼんやりとした不安

26: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:08:00.17 ID:ko0mfgVE
>>15
おは芥

16: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:07:20.45 ID:zHBwHGNQ
逃げることが悪な国だからね、しょうがないね
なお一度逃げたら逃げっ放しの模様

18: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:07:30.23 ID:B6fJJuVS
俺がニートのおかげで他のもっとダメなやつにも働き口があるんやで?
感謝しろよな

マジレスすると、ドロップアウトの経験がないんやろなぁ

34: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:08:45.45 ID:4WcE6qSK
>>18
百理ある
危険の避け方を知らん奴が多過ぎるんや
教えられへんからしゃーないけど

105: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:16:32.47 ID:m0WSXfLG
>>18
ドロップアウトした大多数がどうなってるかわかるようになっちまったからな
先がリアルに想像できたらそら絶望やろ

22: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:07:50.71 ID:zZUfqWrv
自殺する前になんか一発勝負してみればいいのにな・・・
例えばFXやってみるとかさ

41: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:09:03.31 ID:MWIKIgfw
仕事決まったからって不安感は消えへんで、種類が変わるだけや

54: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:10:35.08 ID:ajwS26Ns
>>41
そう言うやつ多いけど、就活の方が辛かった

48: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:09:39.62 ID:AGCoiRaw
田舎だったらコンビニバイトでもとりあえずは生きていけるだろうに

49: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:09:57.30 ID:RSUmejSW
自殺は最低の行いやけど
現実と向き合った結果やから立派やで

91: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:14:47.67 ID:zHBwHGNQ
>>49
衝動的に自殺するのは現実の一部分しか見てない証拠やろ

62: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:11:50.58 ID:SVfgsI+8
入って半年たっても仕事が遅いしミスも多いしでしんどかった
ちゃんと反省点メモって寝る前にチェックとかしてたのに
一向にミスが減らんくてつらくなってやめた
もう働ける気せーへん

78: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:12:57.45 ID:XB1I0pSf
>>62
ワイもミス多いし仕事遅いし態度悪いってよー言われるけど
ろくに反省も改善もしてないわ
それでもクビにならんのやし人間なんとかなるやろ

87: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:14:21.55 ID:SVfgsI+8
>>78
なんで自分はこんなに無能なんだとか死にたいとか思わん?

108: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:17:00.50 ID:XB1I0pSf
>>87
ミスの一つや二つで死にたくなってられるか

63: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:11:52.92 ID:cK/BFI8R
日本人って死にたいって思ってる奴有職者無職者に限らず多すぎだろ
安楽死施設できたら多分ゴッソリと日本人いなくなるんじゃないか

74: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:12:34.31 ID:jEwTD2r2
>>63
老人だけが残りそう

68: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:12:12.80 ID:VOLu1xah
適当に生きとっても案外何とかなるで

93: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:15:17.94 ID:L6MovnOP BE:3541774199-BRZ(11723)
世の中はクソだと思ってリラックスしたほうがええで

107: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:16:42.80 ID:i4mEx0cW
死ぬ勇気があるなら死ぬ気でやってみろと言うけどモチベーションはそんなんじゃ上がらないんだよなぁ(遠い目)

120: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:17:57.60 ID:ZBEjfJR6
>>107
死ぬ勇気があるから死ぬんであって他の事に費やすエネルギーなんかに変換できるわけないのにな

110: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:17:11.40 ID:uxgg045J
薬のもう薬それしかない

126: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:18:20.22 ID:myQPbNeM
ハゲが原因の自殺って病苦扱いなんやろか

129: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:18:55.06 ID:Km0e3Dth
お前ら偉そうに見下してるけど、就職活動で死ぬ奴なんてほっとんどいないからな
大袈裟に報道してるだけで

就活くらいで死ぬなんてまだまだ甘いよw俺はニートだけどポジティブだぜw
みたいなレスくっそキモいし恥ずかしいからやめーや

131: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:19:05.30 ID:Xnv5liat
まあ普通に病苦(精神含)と経済的な理由のが圧倒的に多いけどな

152: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:21:19.03 ID:xljL8g9s
>>131
その通り
他には孤独過ぎて自殺って動機も目立ってきてるらしい
人との繋がりは大事にせなあかんな

133: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:19:23.71 ID:IjmPNyA4
なんかこういうの神経の図太いとこでるよな

137: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:19:45.68 ID:tDWkA0ZK
メンヘラ女って案外自殺しなそう

150: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:21:16.35 ID:XZoHN+16
働きたいわけじゃなくて周りの人間と差がつくからでしょ
集団内で平均以下になったことないお前らにはわからんだろうけど

206: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:26:29.43 ID:m0WSXfLG
>>150
人間の幸福論理って相対やしな
しゃーない

258: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:31:46.18 ID:7x7Qua50
>>206
特に日本人はそれを強く感じる傾向にあるんや
アメちゃんとか、別に収入それほどなくても野球見にいってビールかっくらってりゃ幸せやでー
わいは何だかわからんがすごい人間やでーみたいなタイプが多い

154: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:21:25.50 ID:ZHcqvr+h
周りの同僚は28〜32ぐらいに結婚して、子供が1人〜2人いるから
俺の年齢を逆算して今相手すらいないのは
と考えると、このままだと他の人と違う道外れた状態になってしまう、どうしよう


とか今日は考えて頭痛くなって寝てた
別に結婚とかしたいわけではない

168: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:23:32.49 ID:G8Ot7u1t
>>154
40過ぎるとわりとどうでも良くなるで(ニッコリ)

171: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:23:47.54 ID:ZHcqvr+h
>>168
やったぜ。

162: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:22:50.77 ID:kjjC2XYR
就職できないようなヤツは人間とは欠陥品
自殺は当然 むしろ社会が積極的に殺していくべき
年収500万以下の人間は殺処分でええやろ
日本に生まれてこんくらいも稼げんようなヤツは終わってる

187: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:24:52.62 ID:cK/BFI8R
>>162
底辺職の人間がいるから国は回るんやで
500万未満の奴らいなくなっても今度はそれ以外の一番下の奴らが代わりに底辺職やらんとアカンくなるだけやで

200: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:26:07.38 ID:Q+UMPc9C
>>162
ワープアから労力を搾取することで勝ち組が成り立っとんやろ
底辺は必要やぞ

192: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:25:26.64 ID:UmeER3aw
20代の自殺は孤独やから死にたいってのもあると思うけどなぁ
毎日仕事で罵倒され続けて家に帰ったら一人
癒しも何もない
死にたくなるわ

198: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:25:55.41 ID:PgF2g7fA
>>192
人間辞める前に仕事辞めろよw

226: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:28:25.55 ID:UmeER3aw
>>198
仕事辞めたら収入無くなって衣食住無くなってほんまに死ななあかんやん
ニート出来る身分に憧れたりするわ最近

194: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:25:29.64 ID:Rjfb2Nx1
しかし、20代ならいくらでもやり直しきくやろ

若いって良いな

201: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:26:07.58 ID:uxgg045J
だらだらいこうや

転載元
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1377439429/
20代が自殺する理由wwwwwwwwwwwwww

関連

会社クビになったwwwwwwww2ch 若年トライアル覚えていますか?
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/125.html  

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コメント
 
01. 2013年8月28日 02:00:05 : qiBTYyNSr6
マジメに働く20代の日本人社員を

在日とDQN企業の日本人社長一族がグルになって

自殺に見せかけた保険金詐欺をしてねえか。

そこの警察署長と親特定アジアの市民団体もグルだとか。

全国が既に大津化してるのでは。


02. 2013年9月01日 20:54:55 : Un6heX4IUI
>>01
その発想はなかったわ・・・

03. 2013年9月06日 19:35:20 : YxpFguEt7k
「自殺対策のための戦略研究」について

清水康之氏
「はらわたが煮えくり返るほど、呆れる内容の「成果報告会」だった。5年で10億円もの公金が投入されているわけだから、あんなもので許されるわけがない。関係者の責任は重い。」
https://twitter.com/yasushimizu/status/375918989811011584

厚労省さん、自民党さん。はげしく不評のようです。


04. 2013年9月13日 13:16:58 : niiL5nr8dQ
JBpress>日本再生>国民の健康を考える [国民の健康を考える]
日本の自殺対策の実態と4つの危機要因 若者と中高年男性を自殺から救え!(2)
2013年09月13日(Fri) 谷所 由紀子
黒川清・日本医療政策機構代表理事監修
 前回、日本の中高年男性と若者の自殺の主な原因・動機の1つとして、失業や就職難などの経済・生活問題に注目した。しかし、経済・生活問題を主な動機として自殺し亡くなった人々にとっても、それが唯一の動機ではないようだ。
 例えば、自殺者数が急増した1998年を見ても、自殺の主な原因・動機として、健康問題など、経済・生活問題の他の問題も増加している。
 これは、経済・生活問題と他の問題の間に相関関係があることを示唆する。今回は、経済・生活問題を取り巻く様々な要因に焦点を当てて考えてみる。
主に4つの危機要因が存在する
 NPOのライフリンクの調査によると、自殺の危機要因は平均して4つあり、それらが複雑に連鎖しているという(図1)。
資料:自殺実態白書2013, 特定非営利活動法人 自殺対策支援センター ライフリンク
 これは、合計1000人の自殺者の遺族や友人へのインタビュー解析によって明らかになったものだ。
 例えば、図1の「失業」を例に見ると、失業後、非正規雇用となり生活苦を強いられ自殺するパターンや、失業以前に身体疾患を患っていたが、失業により身体疾患だけでなくうつ病も患い自殺するパターンなど、さまざまである。
 つまり、失業者や就職失敗者に、就職支援をするだけでは有効な自殺対策とは言えない。
社会的孤立度
 さて、第5回では、日本の高い自殺率との関連要因として、スウェーデンと比較しながら、日本の雇用構造について述べた。一度の失業や就職失敗で、その後の人生の軌道修正が難しくなってしまう社会の問題点に触れたが、ほかにも日本に特有と見られる自殺関連要因があるようだ。
 図2が示すように、人と人とのつながりを数値化した調査結果によると、日本は社会的孤立度がOECD(経済開発協力機構)諸国中最も高い。
資料: OECD, Society at a Glance 2005 - OECD Social Indicators (2005)
 つまり、日本では人と人とのつながりが他国に比べ弱いということを示している。一昔前は、3世代が1つ屋根の下に住み、兄弟も多く、近所との付き合いも頻繁であった。
 しかし、近代化に伴って核家族化が生じ、自分以外の他人と触れ合うことが少なくなった。この「他者との関係の希薄化」が高い自殺率と関連性があると指摘されている。
 例えば、自殺を思いとどまった理由として、誰かに相談したという回答が男女ともに多く、相談することの大切さを示している。心の悩みを抱えた人々が気軽に相談できる相手が身近にいることや、人々のつながりを地域の中で再構築していくことが重要である。
 このように、孤立化が蔓延している現代社会では、失業や就職失敗をきっかけとして精神的ダメージが長く続き、うつになりやすい。そのうえ、生活苦や身体的健康問題も引き起こされる、というように、自殺の動機・原因は複数かつ複雑に関連している。
 したがって、経済・生活問題を抱える人々のための有効な自殺対策を講じるには、日本の現代社会に住む個々人の抱えているあらゆる問題に多面的にアプローチする必要がある。
日本の自殺対策の実態
 様々な要因が複雑に関連している自殺問題に対して、日本ではどのような対策が取られてきたのであろうか。
 日本政府が、本格的に自殺対策に取り組むようになったのは、2006年に自殺対策基本法が施行されてからである。
 この自殺対策基本法に基づいて、政府が推進すべき自殺対策の指針を定めるものとして、2007年6月に「自殺総合対策大綱」(以下大綱)が発表され、2012年には、より効果的な自殺対策のため、大綱の見直しも行われた。
 大綱には、国レベルで行っていくべき自殺対策のガイドラインが細かく記載されている。
 失業、就職失敗、長期間無職者や非正規労働者に焦点を当てた国レベルでの自殺対策の取り組みも詳しく書かれており、ハローワーク等の窓口においてきめ細かな職業相談を実施するとともに、早期再就職のための様々な支援を実施するとしている。
 その支援として、例えば、2009年度より民間事業者に委託し、ハローワークの求職者を対象に、心の健康に関する情報ストレスチェックシートや、メール相談などのリーフレットによる周知をするほか、自殺などに関わる悩み、不安等の相談に対応して、カウンセラーによるメール相談を行っているという。
 大綱ができてからの約7年で、国レベルでの自殺対策は大幅に改善されたように見受けられる。
 しかし、大綱に記載されている取り組みが果たしてきちんと実施され、自殺者数を減らすことに貢献できているのだろうか。
 例えば、2012年度のハローワークでのメール相談件数は約6000件、対面での相談実施回数は5000件あったという。だが、このような支援を受けたことで、相談者の悩みが軽減されたかなどの評価がしっかりされていない。
 ビジネスモデルで有名な、PDCAサイクルでいう、Plan (計画)、Do(実施)どまりで、Check(評価)が不十分なのである。それゆえ、当然、次のAct(改善)のステップへはつながらず、ハローワークでの取り組みの、どの部分を、どのように改善すべきかということが明確にならない。こういった面から見ると、国レベルでの自殺対策はガイドラインを作るだけで満足してしまっていないだろうか。
 また、失業、就職難に対する問題解決対策が、ハローワークにほぼ限られているが、失業などによる心理的不安を抱える個人が必ずしもハローワークに登録するとは限らない。
 さらに、ハローワークと多重債務の相談に応じる機関、心の相談や治療にあたる保健・医療機関などとの連携が十分でないため、弁護士や社会福祉事務所、カウンセラーへの迅速かつ適切な紹介などの対応がとられておらず、様々な要因を同時に抱え込んでいる人を救い切れていないとの指摘がある。
 そのほか、毎月10日に自殺予防に特化したフリーダイヤル相談を実施している「いのちの電話」がある。こちらも、国の自殺対策として推進されてきた対策法の1つである。
 電話相談のメリットとして、どこからでも、すぐに、かけられるという広域性と即時性、また非対面性であることが挙げられる。
 特に男性は女性に比べ、普段から悩みを相談することが少ない。そのようななか、失業した男性にとって、いのちの電話の非対面性は、相談しやすい環境を作り出すことに重要な役割を持つのではないだろうか。
 しかし、毎月10日にかかってきた電話のうち、実際につながったのは2010年は約4%であり、ニーズに対して著しくリソースが不足していることを示している。
 一方で、徐々にではあるが自殺防止事業に対する行政の取り組みや姿勢には、改善の兆しもあるようだ。大阪読売新聞が紹介した大阪府の事例では、自殺未遂者が救急搬送された病院と行政が連携して行う自殺防止事業が2010年1月から始まっているという。
 記事によると、行政が精神保健福祉士などの専門家を救急病院に配置し、自殺未遂者のカルテや面談を通して、自殺に至った背景を調査する。そして精神科医、福祉行政など適切かつ必要と思われる専門機関につなぎ、問題の解決を図っているという。
 2012年度にこの病院・行政連携事業を実施した大阪府内の5つの病院では、支援した529人のうち、33%が経済・生活問題を抱えていたことが判明した。2012年度のこれら5つの病院への自殺搬送者は、前年度より約2割減少した。
 また、大阪府内の自殺者数は、2010年の病院・行政連携事業開始後、2年で自殺者が330人減り、減少率も全国平均を上回ったという。行政と病院の適切な連携が、自殺数減少に貢献していると見られている。
 このような行政との連携網(ネットワーク)に、就職支援事業者や金融問題解決を専門に扱う民間事業者を加え、さらなる連携の強化に期待したいところであるが、財源に問題があり、連携強化どころか、事業存続さえ危ぶまれている。
 大阪読売新聞の記事も指摘しているが、自殺未遂者支援のための自治体の財源は、国の地域自殺対策緊急交付金であり、この交付金は2009年度から時限措置として出されたため2013年度いっぱいで打ち切られる見通しだという。
 2012年の自殺者数は、14年ぶりに3万人を下回ったとはいえ、さらにこういった連携事業を推し進める必要があるのに、事業の終了とは残念である。こういった取り組みにこそ長期的な資金を割り振る必要があるのではないだろうか。
参考文献: 2013年8月28日 大阪読売新聞 夕刊 11ページ
「自殺未遂者 心のケア 病院と行政 連携支援 39自治体 大阪、搬送2割減」

05. 2013年9月14日 11:54:50 : niiL5nr8dQ
http://www.hgpi.org/report_events.html?article=264
i
経済的要因に起因する自殺への取り組み
2013年9月
特定非営利活動法人 日本医療政策機構
i
日本医療政策機構について
日本医療政策機構(HGPI)は 2004 年の設立当初より、市民主体の医療政策を実現すべく、独立のシ
ンクタンクとして、それまで行われていなかった幅広いステークホルダーの結集を実現し、社会に新し
い政策議論の場を提供してきた。多様な価値観を尊重し、グローバル社会における個人の責任ある行動
に基づく、持続可能でより豊かな社会を実現するために、新しいアイデアや価値観を提供し、グローバ
ルな視点で社会にインパクトを与え、変革を促す原動力となることを目指している。HGPI は特定の政党、団体の立場にとらわれず、独立性を堅持するという行動指針に基づき、将来を見据えた幅広い観点から、政策に関心を持つ市民に選択肢を提示し、調査分析のみならず他分野のステークホルダーを終結し、創造性に富み実現可能な解決策を示すべく活動している。
ii
日本医療政策機構
経済的要因に起因する自殺への取り組み
目次
1. 序論 .......................................................................................................................................................................1
2. 日本の自殺の現状 ...............................................................................................................................................1
2−1.男性の自殺者数は女性の倍以上 ........................................................................................................... 1
2−2.中高年男性と若年層の自殺増加 ........................................................................................................... 2
3. 自殺の危機要因 ...................................................................................................................................................4
3−1.日本における経済危機による失業・就職難と自殺の関連性 ........................................................... 4
3−2.海外における経済危機による失業、就職難と自殺の関連性 ........................................................... 6
3−2−1. スペイン、英国、米国の状況 〜 高い失業率と低い自殺率 (日本との比較)〜 .............6
3−2−2. スウェーデンの状況:失業率が増えても自殺率は減少 ...........................................................7
3−3.経済・生活問題を取り巻く多様な危機要因 ....................................................................................... 9
4. 日本の自殺対策の実態 .....................................................................................................................................11
4−1. 国レベルの総合的な自殺対策 .............................................................................................................. 12
4−2. 失業、就職失敗、長期間無職者や非正規労働者の自殺に対する自殺対策 .................................. 12
4−3. 日本の各地域での自殺対策活動の例 .................................................................................................. 14
4−3−1. 秋田こころのネットワーク(秋田県).....................................................................................14
4−3−2.つなぐシートとパーソナル・サポーター(東京都足立区) ................................................16
4−4−3. 事例からわかること ....................................................................................................................18
5.まとめおよび提言 ............................................................................................................................................18
5−1.ゲートキーパー、パーソナル・サポーター育成と官民連携体制の促進で多面的アプローチを ............................................................................................................................................................................. 18
5−2. 職業支援窓口とその他の多様な相談窓口の連携を .......................................................................... 19
5−3.相談の窓口の拡充を ............................................................................................................................. 19
5−4.具体的取り組みの調査・評価を ......................................................................................................... 20
5−5.データの収集・分析による各地域でのきめ細かい対応を ............................................................. 20
6.引用文献 ............................................................................................................................................................21

1

1. 序論
日本の自殺者数は、1998年に前年より8,472人増加し3万2,863人となり1、その後、2011年まで14年連続で3万人を超えていた。2012年の日本の自殺者数は2万7,858人2と1997年以来15年ぶりに3万人を下回ったものの、異常な事態は続いている。
1990年以降の主要国における人口10万人当たりの自殺率の推移を見ると、日本は常に高い自殺率3を示している(図1)4。1998年以降に増加した自殺者数は、金融危機の影響による中高年の男性の失業者が多くを占め、近年では、就職に失敗した若者の自殺者数も増加している。本レポートでは1998年以降の金融危機による経済的苦境やそれに付随する社会的要因による増加に焦点をあて、まず、日本人の自殺者統計と動機・原因について海外の事例と比較しながら述べる。その後、海外の自殺対策に貢献でき得る社会政策の例、また近年活動が活発になりつつある日本の各地域での対策事例を参考に、日本での自殺対策の取り組みについてまとめる。
資料: OECD Health Data 2013 - Frequently Requested Dataに基づき日本医療政策機構作成

2. 日本の自殺の現状

2−1.男性の自殺者数は女性の倍以上

日本の自殺者数は金融危機直後の1998年から急増し、2011年まで14年連続で3万人を超えてきた(図2)5。自殺者数を男女別にみると、1997年まで男性は女性の1.65〜2倍程度で推移しており、1998年から2012年まで、男性の自殺者数は常に女性の2倍以上、時には2.5倍以上を示している。

1 内閣府, 平成25年版 自殺対策白書, http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2013/pdf/index.html, 2013 (2013年8月30日アクセス)2 内閣府 自殺対策推進室・警察庁 生活安全局生活企画課, 平成24年中における自殺の状況, http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/toukei/h24.html, 2013年 3月14日(2013年8月22日アクセス)3 自殺率とは一般に人口10万人当たりの数を示す。
4 OECD統計, OECD Health Data 2013 - Frequently Requested Data,http://www.oecd.org/els/health-systems/oecdhealthdata2013-frequentlyrequesteddata.htm, 2013年6月 (2013年8月2日アクセス). 米国・英国・ギリシャは2010年までの統計。英国は2000年の統計がOECD統計にはない。
5 内閣府 自殺対策推進室・警察庁 生活安全局生活企画課, 平成24年中における自殺の状況, http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/toukei/h24.html, 2013

2


資料:平成25年版 自殺対策白書

2−2.中高年男性と若年層の自殺増加

1998年から2012年の男女別年代別の自殺者数の推移(図3-1、3-2)6を見ると、金融危機直後の1998年に各年齢層男女共に増加しているが、特に40代後半から60代前半の男性が急増したことが分かる。40代後半から60代前半の男性中高年男性は1998年の急増後、2003年までその自殺者数で高止まりし、その後減少している。1998年の値を100とした年齢階級別の自殺率推移(図4)7によると、50代の人口の自殺率は1998年以降、減少傾向を示し、2011年の時点では1998年よりも低かった。一方、若者の自殺率は増加している。1998年以降の自殺率の増加幅は20代が最も大きく、次いで30代が大きい。また2012年の15〜34歳の年齢階級別人口10万人対死亡者数を国際比較すると、死因の第1位が自殺であったのは先進7か国間では日本のみであった(表1)8。なお、日本と同様、死因の第1位が自殺であった国には韓国があげられている9。このように、中高年男性の自殺者数は1998年の急増後高止まり、あるいは減少しているものの、全体におけるその数は依然として大きい。さらに、若年層の自殺率は2002年以降増加の一途をたどっており、中高年男性と並び大きな問題となっている。

年 3月14日(2013年8月30日アクセス)6 内閣府, 平成24年版 自殺対策白書, http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2012/pdf/, 2013 (2013年8月30日アクセス)7 内閣府, 平成24年版 自殺対策白書, http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2012/pdf/, 2012(2013年8月30日アクセス)8 内閣府, 平成25年版 自殺対策白書, http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2013/pdf/index.html, 2013 (2013年8月30日アクセス)9 韓国の自殺率は過去10年で急増、高齢者の自殺率が最も高い(藤原 夏人, 韓国の自殺予防法, 外国の立法250, 2011年12月)3
注)2006年までは「60歳以上」だが、2007年の自殺統計原票改正以降は「60〜69歳」「70〜79歳」「80歳以上」に細分化された。資料:内閣府 平成24年版 自殺対策白書

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注)2006年までは「60歳以上」だが、2007年の自殺統計原票改正以降は「60〜69歳」「70〜79歳」「80歳以上」に細分化された。
資料:内閣府 平成24年版 自殺対策白書

表1. 先進7か国と韓国の15〜34歳に おける総死亡者数および人口10万人対死亡率(死因の上位3位)

3. 自殺の危機要因
3−1.日本における経済危機による失業・就職難と自殺の関連性

前述の中高年男性と若者の自殺の主な原因・動機は何であろうか。まず総人口あたりの原因・動機別自殺者数の推移を見ると(図5)、健康問題が1位、経済生活問題が2位であり、1998年の金融危機後に両方とも増加したことが分かる10。
10 内閣府, 平成25年版 自殺対策白書, http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2013/pdf/index.html, 2013 (2013年8月30日アクセス)5

中高年男性と失業

1998年は特に3月決算期前後の倒産・失業の増加と並行して中高年男性自殺者数が急増しており、中高年男性の自殺は倒産やリストラによる失業によるものという見方が強い11。経済・生活問題を原因・動機とする自殺者数は、2009年以降は全体としては減少している(図5)12が、依然として中高年の男性にとって主な原因・動機となっている。2012年の中高年男性自殺者のうち、40代では1,138人が経済・生活問題、1,211人が健康問題、50代では1,264人が経済・生活問題、1,200人が健康問題を主な要因として抱えており、どちらの年代も健康問題あるいは経済・生活問題が自殺の主な原因の1位、2位を占めている13。
20代、30代の若者と就職失敗
2007年9月のリーマンショック以降、2008年1年間に自殺した32,249人の内、30代の自殺者数は4,850人であり、統計を取り始めた1978年以降最多となったことが分かっている14。また内閣府によれば20代の自殺に多い原因・動機は「経済・生活問題」のうち、「就職失敗」が特に多く、原因・動機が「就職失敗」による20歳代自殺者数は2007年以降、増加している15。以上の事から、20代、30代ともに、景気悪化の影響が背景にあると見られる。
注)2007年に自殺統計原票を改正し、遺書等の自殺を裏付ける資料により明らかに推定できる原因・動機を自殺者一人につき3つまで計上することとしたため、原因・動機特定者の原因・動機別の和と原因・動機特定者数とは一致しない。
資料:内閣府 平成25年版、自殺対策白書
このように、中高年男性は1998年の経済危機による失業、若者は2007年のリーマンショックの影響による就職難というように経済・生活問題が自殺の背景にあると考えられる。

11 澤田 康幸, 崔 允 禎, 菅野 早紀, 不況・失業と自殺の関係についての一考察, 特集 失業研究の今, No. 598, http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2010/05/pdf/058-066.pdf, 2010年 (2013年8 月13日アクセス)12 内閣府, 平成25年版 自殺対策白書, http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2013/pdf/index.html, 2013 (2013年8 月30日アクセス)13 内閣府, 平成25年版 自殺対策白書, http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2013/pdf/index.html, 2013 (2013年8 月30日アクセス)14 警察庁生活安全局生活安全企画課, 平成20年中における自殺の概要資料,http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki81/210514_H20jisatsunogaiyou.pdf, 2009年5月 (2013年8月13日アクセス)15 内閣府, 平成25年版自殺対策白書, 特集 自殺統計の分析, http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2013/pdf/index.html, 2013 (2013年8月30日アクセス)6

3−2.海外における経済危機による失業、就職難と自殺の関連性
3−2−1. スペイン、英国、米国の状況 〜 高い失業率と低い自殺率 (日本との比較)〜
ここまで、日本社会における経済・生活問題を原因とした自殺者の増加について述べた。ここでは海外の先進国における経済・生活問題と自殺の関係について述べる。不況が引き起こす解雇や就職難に起因する自殺は諸外国でもある一定数存在する。
スペイン、英国、米国、日本の失業率推移(図6)16をみると、失業率の上昇は特にリーマンショック以降顕著である。しかし、スペイン、英国、米国では、日本に比べ、低い自殺率を保っている。スペインでは総人口失業率が2007年の8.28%から2010年には20%を超え、2012年は25%17であったのにも関わらず、自殺者数は若干の増加傾向を示したものの、人口10万人当たりの自殺率は2007年から2010年の間では6.7、7、6.9、6.318と一定の推移であり、日本の自殺率の3分の1にとどまっている。英国の失業率は2007年の5.4%から徐々に増加し2012年は8.02%であった19。人口10万人当たりの自殺率は2007年から2010年まで、6.3から6.7と若干の増加傾向はあるものの、スペイン同様、日本の約3分の1である。米国では、失業率は2007年の4.62%から2009年の9.28%へと増加、2012年は8.06%(推計値)であった20。人口10万人当たりの自殺率は増加しているものの、一部(テネシー州)を除き、増加幅は2〜3となっている21。経済的な状況の悪化でも日本ほど自殺率の急増はみられない。
一方、日本の失業率はというと、1997年の3.38%以降若干上昇したが、いずれの年も5%前後を維持しており、2012年は4.35%であった22。このように日本の失業率は、ヨーロッパ諸国の失業率と比べ、比較的低く抑えられている23。ここで注意しておきたいことは、日本の失業率は、諸外国よりも低い値であるものの、失業者以外に、「その他の無職者」(主婦及び年金生活者を除く)が大勢おり、実質的な失業率はもっと高いということである24。2012年における職業別自殺者数の構成を見ると、失業者が全体の5%を占めているのに対し、主婦や年金生活者を除く「その他の無職者」25が第1位で全体の24.9%を占める26。

16 International Monetary Fund - World Economic Outlook Databases, http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2013/01/weodata/index.aspx, 2013年4月版, (2013年8月30日アクセス)17 International Monetary Fund (IMF), 統計データ, http://www.imf.org/external/data.htm, 2013 (2013年8月13日アクセス)18 OECD統計, OECD Health Data 2013 - Frequently Requested Data,http://www.oecd.org/els/health-systems/oecdhealthdata2013-frequentlyrequesteddata.htm, 2013年6月 (2013年8月2日アクセス)19 2007年の5.40%から2008年の5.56%、2009年の7.46%へと増加、2012年は8.02%、2013年現在も7.83%(推定値)。International Monetary Fund (IMF), 統計データ, http://www.imf.org/external/data.htm, 2013 (2013年8月13日アクセス)20 International Monetary Fund (IMF), 統計データ, http://www.imf.org/external/data.htm, 2013 (2013年8月13日アクセス)21 岡田 尊司、働き盛りがなぜ死を選ぶのか -<デフレ自殺>への処方箋-, 株式会社角川書店, 201122 International Monetary Fund - World Economic Outlook Databases, http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2013/01/weodata/index.aspx, 2013年4月版, (2013年8月30日アクセス)23 ここでいう失業率は完全失業率を指す。2012年の完全失業率は285万人、それに対し、非労働人口は4534万人、ちなみに就業者は6283万人であった(総務省統計局, 労働力調査に関するQ&A(回答)http://www.stat.go.jp/data/roudou/qa-1.htm, 2013年3月 (2013年8月30日アクセス))。
24 政府機関が示す「完全失業率」は、「ハローワークから失業給付金を受けている人、失業給付金の受給期間が過ぎても、ハローワークに求職票を提出して仕事を探しに行っている人をカウントした数値」のことである。ハローワークに通っても仕事にありつけない人たちがあふれている中で、実際にはかなりの人たちがハローワークに行っていない状況を考慮すると、完全失業率の実態は公表されている数値よりもかなり大きいと推測される (全国地域人権運動総連合, 失業率これからどうなる, http://zjr.sakura.ne.jp/?p=508, 2009 [2013年8月29日アクセス].)。一方総務省統計局によると、完全失業者はハローワーク登録者以外のその他の求職者も含まれ、失業率が諸外国よりも低く出ていることはないとしている [総務統計局, 労働力調査に関するQ&A(回答)http://www.stat.go.jp/data/roudou/qa-1.htm, 2013年3月 (2013年8月30日アクセス).]。
25 2012年における職業別自殺者数の26.6%を被雇用者が占めているが、この中には、非正規労働者も含まれており、仕事はしているが、給料や待遇が悪い、労働時間が少ないなどの理由から、充分な収入を得る事が出来ず、生活苦を強いられていること可能性を示している。失業者に加え、非正規労働者や長期的に無職にある状態の人々が経済問題、生活苦を一つの要因として自殺に追い込まれているとみられる。
26 内閣府, 平成25年版自殺対策白書, http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2013/pdf/index.html, 2013 (2013年8月30アクセス)7

資料:IMF - World Economic Outlook Databasesに基づき日本医療政策機構作成

3−2−2. スウェーデンの状況:失業率が増えても自殺率は減少

スウェーデンでは1990年代から経済状況が厳しくなり失業率が上がったが、自殺率は減少傾向にある。失業率は1990年の1.73%、1992年の5.55%、1994年の9.37%と上昇、一時減少し2001年には4.89%となったが、それ以降再び上昇し2010年には8.56%まで達した(図7)27。一方、人口10万人当たりの自殺率は1990年の16.9から2010年の11.7常に減少してきた(図8)28。では、その背景にはどのような対策や社会的政策があるのだろうか。

(図7)資料:IMF - World Economic Outlook Databasesに基づき日本医療政策機構作成
(図8)資料: OECD Health Data 2013 - Frequently Requested Dataに基づき日本医療政策機構作成

27 2007年の5.40%から2008年の5.56%、2009年の7.46%へと増加、2012年は8.02%、2013年現在も7.83%(推定値)。International Monetary Fund (IMF), 統計データ, http://www.imf.org/external/data.htm, 2013 (2013年8月13日アクセス)28 OECD統計, OECD Health Data 2013 - Frequently Requested Data,http://www.oecd.org/els/health-systems/oecdhealthdata2013-frequentlyrequesteddata.htm, 2013年6月 (2013年8月2日アクセス)
スウェーデンでは、1990年前半から国家的自殺対策プロジェクトとして包括的に自殺対策に力を

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入れてきた。スウェーデンでは早くから予防医学が支持されており、様々な疾病に対する予防対策の理念が国の政策及び国民に根強く行き渡っている。そのため、自殺に関しても、個人を取り囲む環境要因に働きかけ、未然に防ぐよう取組みを行ってきた。その基本モデルとして、1)自殺予防のために心理・教育・社会的な対策による一般自殺予防、2)うつ病治療や自殺リスクが高いと認識された者へのケアなどの間接的自殺予防、3)自殺未遂者(や遺族)に対するケアという直接的自殺予防があり、これらは予防医学の一次、二次、三次予防におおむね対応している29。そして、この基本概念を基に、自殺未遂者へのアウトリーチ型の危機介入を行ったり、学校や職場等多様な状況に対応した自殺対策に過去20年程に渡って取り組んできた。

また、失業者へのセーフティネットや、きめ細かい再雇用促進体制を実施していることが挙げられる。スウェーデンにおける雇用政策として「積極的労働市場政策」がある。この政策では、個々人に応じた支援プログラムにより、就労優先を第一原則とし前職とは違った新たな職種にも就けるよう職種転換訓練の機会を提供している。それと同時に、長期失業者を雇う企業に対して補助金を提供など雇用主への施策も積極的に実施している30。このように、雇用市場のミスマッチに対応するため職業訓練を迅速かつ実効的に雇用につなげている。また「積極的労働市場政策」下で実施されている就職支援プログラムに参加することが、求職活動給付金を受け取ることができる必要条件となっており、その額は300日以降65%に減額される。就労失業給付金の受給開始100日後には、職種と地域を拡大し、就職活動しなくてはならず、再就職のインセンティブが失業者本人に働くように意図された雇用政策となっている。

加えて、スウェーデンにおいては女性の社会参画が進んでおり、夫が失業しても経済的基盤が崩壊することが少ないことも自殺率が低い一つの要因であろう。日本でも女性の社会進出を促進し、家計の安定を実現する社会をつくることが働き盛りの男性の自殺を減らすことへつながると考えられる。

以上、スウェーデンでは、男女社会参画が進んでいること、社会福祉的包括的セーフティネットとしての失業者などの求職者が就労に結びつきやすい雇用制度が背景にあり、経済危機および失業者増加という状況でも自殺は増加していないと考えられる。

一方、日本でも失業者をはじめとする求職者は、ハローワークを通し、職業訓練の及び訓練コースのための給付金を受けられる。しかし、2010年頃よりこの職業訓練が実際の就労と結びつかないことが多く指摘されてきた。例えば、神奈川県東部ハローワーク職業訓練校の就職率は2010〜2012年の間に約90%から約70%に低迷した31。その要因として2つの点があげられる。1点目は、職業訓練として提供されているコースの職種求人が一件もなく、求人のニーズと合っていない。例えば、ある訓練コースではネイルアートのコースが設けられ、人気であったが、その地域ではネイルアートの求人は全くなく、実際の就労につながらないことが指摘された。2点目は、職業訓練は実践経験とは違い、雇用側にとっては即戦力にならない人材であるとの認識が挙げられる。
日本の失業給付金に関しては、金額は通常失業前の給料の50~80%、期間は90~330日となって

29 本橋 豊, 中山 健夫, 金子 善博, 高橋 祥友, 川上 憲人, STOP!自殺―世界と日本の取り組み, 海鳴社, 200630 小川 晃弘, スウェーデンの若年者失業問題就職氷河期世代のきわどさ: 高まる雇用リスクにどう対応すべきか, NIRA研究報告書, 総合研究開発機構, http://www.nira.or.jp/pdf/0801ogawa.pdf, 2008年4月 (2013年8月30日アクセス)31 クローズアップ現代, 職業訓練で雇用を生み出せ, http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3042.html, 2011年6月19日(2013年8月30日アクセス)9

おり、これらは前職業の連続勤務年数および月収、年収によって変動する32。問題は実際にどれだけの割合で失業者がこの制度を利用しているかである。日本には正規雇用、非正規雇用という分類があり、いわゆる派遣切りの恐れのある非正規労働者は、失業保険の受給条件を満たす事が少ない。2009年の失業給付金の失業者全体の受給率は、日本が約25%であったのに対し、スウェーデンでは70%近くであった33。

若者の就職に関してはどうだろうか。日本は新卒一括採用の慣習があり、就職の応募対象が限られるなど、新卒で就職に失敗するとその後の挽回が難しい仕組みになっている。こういった慣習は、スウェーデンをはじめ欧米諸国にはない。日本の若者にとって、再挑戦が難しい社会であることが指摘できる。

3−3.経済・生活問題を取り巻く多様な危機要因

以上見てきたように、日本における自殺の主な原因・動機の一つとして、失業や就職難などの経済・生活問題が挙げられるが、それが唯一の原因でないことが多い。3−1.図5.で見たように、自殺者が急増した1998年の自殺の主な原因・動機は、経済・生活問題だけでなく、健康問題など、その他の問題も増加している。これは、経済・生活問題と他の問題の間に相関関係があることを示唆する。ここで重要となるのは、失業や就職失敗などの経済・生活問題と自殺の関連要因の徹底調査と分析である。

NPOのライフリンクは合計1,000人の自殺者の遺族や友人へのインタビュー解析を行い、平均4つの危機要因が自殺背景にあり、それらが複雑に連鎖しているという見解を示している(図7)34。多要因の複雑な連鎖による自殺防止には1つの支援機関が関わるだけでは有効性に乏しく、様々な面からの介入が必要だと言及している。図9の「失業」を例に見ると、失業後、非正規雇用となり生活苦を強いられ自殺するパターンや、失業以前に身体疾患を患っていたが、失業により身体疾患だけでなくうつ病も患い自殺するパターンなど、さまざまである。つまり、失業者や就職失敗者に、就職支援をするだけでは有効な自殺対策とは言えない。20代の若者の就職失敗の例では、これによる経済的不安や引きこもり、家族との不和などを経て、結果自殺につながることも考えられる。この場合、就職支援、経済支援だけでなく家族を交えたカウンセリング支援やうつ病の治療機関への紹介といった多方面からの支援35が必要である。

自殺で亡くなった人の約7割が家族、友人、相談機関など何らかの形で亡くなる前に悩みの相談をしていたことが分かった。相談した相手が、その悩みを解決するに当たっての専門知識を持っていないなどの理由で解決できなかったことが指摘されている。自殺に追い込まれる人々の持つ個々の要因にそれぞれの専門家が介入する必要がある。

32 日向 咲嗣, 第6版失業保険150%とことん活用術, 同文館出版株式会社, 201233 International Labour Organization, World Social Security Report 2010/11, Providing coverage in times of crisis and beyond, International Labour Office, Geneva, http://www.ilo.org/wcmsp5/groups/public/---dgreports/---dcomm/---publ/documents/publication/wcms_146566.pdf, 2010 (2013年8月30日アクセス)34 特定非営利活動法人 自殺対策支援センター ライフリンク,自殺実態白書2013, http://lifelink.or.jp/hp/Library/whitepaper2013_1.pdf, 2013 (2013年8月13日アクセス)35このアプローチは、初めて世界で国家プロジェクトとして自殺対策を実施し、1990〜2000年の間に自殺率を約30%減少させたフィンランドの理論モデル「相互影響モデル(インタラクディブ・モデル)」に共通する。フィンランドのプロジェクトもライフリンク同様、自殺者遺族にインタビューを行った。その結果、自殺者の約3分の2がうつ病を患っていた事が判明したが、うつ病を自殺の唯一の原因とした単純なうつ病疾病モデルで自殺対策をするのではなく、うつ病を引き起こす可能性のある連鎖要因にも介入するべく、社会の様々なネットワークを広げ、相互に影響を及ぼし合う自殺対策活動を広めた。

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図9.「自殺の危機要因」及び「危機要因の連鎖図」

資料:自殺実態白書2013, 特定非営利活動法人 自殺対策支援センター ライフリンク

社会的孤立度

一度の失業や就職失敗で、その後の人生の軌道修正が難しくなってしまう社会の問題点に触れたが、他にも日本に特有と見られる自殺関連要因があると見受けられる。日本の特徴的な自殺関連要因として、社会的孤立度が指摘できる。図10 36は‘友人・同僚、その他宗教・スポーツ文化グループの人との付き合い’をOECD諸国で比較、人と人とのつながりを数値化したものである。これによると日本は、社会的孤立度が第1位である。つまり、日本では人と人とのつながりが他国に比べ弱く、一昔前は、三世代が一つ屋根の下に住み、兄弟も多く、近所との付き合いも頻繁であった。しかし、近代化に伴って核家族化が生じ、自分以外の他人と触れ合うことが少なくなった。この「他者との関係の希薄化」が高い自殺率と関連性があるとも考えられる。以下4−3.の秋田、足立区の自殺対策事例で詳しく述べるが、心の悩みを抱えた人々が気軽に相談できる相手が身近にいることや

36 OECD, Society at a Glance 2005 - OECD Social Indicators, http://www.keepeek.com/Digital-Asset-Management/oecd/social-issues-migration-health/society-at-a-glance-2005/social-cohesion-indicators_soc_glance-2005-8-en, 2005 (2013年8月30日アクセス)11

人々のつながりを地域の中で再構築していくことが有効な自殺対策になるとされている37。実際、自殺を思いとどまった理由として誰かに相談した、という回答が男女ともに多く、相談することの大切さを示している38。それでも、日常生活で女性に比べて男性は悩みを相談することが少ない。そのような中、非対面性であるいのちの電話39は相談しやすい環境を作り出すことに重要な役割を持つ40ため、男性にとっても利用しやすいと考えられる。

資料: OECD, Society at a Glance 2005 - OECD Social Indicators (2005)

このように、失業や就職難が自殺の唯一の原因ではなく、孤立化や、すでに家庭不和や金銭問題などのいくつかの背景要因を抱えている個人に突然の失業や就職失敗という直接要因(きっかけ)が降り掛かる、あるいは、失業、就職失敗をきっかけに、生活苦とうつが引き起こされる、というように、自殺の動機・原因は複数かつ複雑に関連している。したがって、経済・生活問題を抱える人々のための有効な自殺対策を講じるには、個々人の抱えているあらゆる問題を多面的にアプローチし、解決策を講じていく必要がある。

4. 日本の自殺対策の実態

様々な要因が複雑に関連している自殺問題に対して、日本ではどのような対策が取られてきたのであろうか。1998年の自殺者数急増とその後3万人超の自殺者が続いたことを受け、日本も国レベルの対策を講じるようになった。しかし、1998年の金融危機や2007年のリーマンショックという経済的・生活苦境に起因して急増した自殺者数に対する、的確かつ実効的な対処が遅れている。

37 本橋 豊, 自殺が減ったまち 秋田県の挑戦, 岩波書店, 200638 内閣府自殺対策推進室,「自殺対策に関する意識調査」について, http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/survey/report_h23/pdf/gaiyo.pdf, 2012年5月2日 (2013年8月13日アクセス)39 いのちの電話連盟は全国41都道府県において49センター5か所設置されている。電話相談員数は約7,000名、電話設置台数126台、2012年の年間相談件数は75万8,247件となっている(2013年5月時点)。
40 日本いのちの電話連盟, 自殺予防 いのちの電話 理論と実際, ほんの森出版, 200912

以下では、まず日本の国レベルでの総合的な自殺対策、続いて、失業、就職失敗、長期間無職者や非正規労働者による自殺に焦点を絞った国の対策、地域レベルの対策の事例を述べる。

4−1. 国レベルの総合的な自殺対策

日本において国レベルの自殺対策のガイドラインは、2006年6月「自殺対策基本法」の成立後、2007年6月の「自殺総合対策大綱」(以下大綱)として作成された。2012年には大綱見直しが行われ、1)自殺は追い込まれた末の死、2)自殺は防ぐことができる、3)自殺を考えている人は悩みをかかえながらもサインを発している、の3点の基本認識を示した。その上で1)社会的要因も踏まえ総合的に取り組む、2)国民一人ひとりが自殺予防の主役となるよう取り組む、3)自殺の事前予防、危機対応に加え未遂者や遺族等への事後対応に取り組む、4)自殺を考えている人を関係者が連携して包括的に支える、5)自殺の実態解明を進め、その成果に基づき施策を展開する、6)中長期的視点に立って、継続的に進める、という自殺対策を進める上での「6つの基本的考え方」41を設定した。日本においても自殺防止の総合的な取り組みのガイドラインは整ってきているものと見受けられる。自殺対策基本法施行で自殺予防は国の公共団体及び地方自治体の責務となり、都府県と政令市に自殺対策部署が設置されている。しかし、現実にはガイドラインで提示された項目に関して、実効的対策を講じている自治体は僅かであるとの指摘がある42。都府県と政令市に設置された自殺対策部署の担当者は通常1人で、運営にまで手が回らず、自殺防止対策活動の多くは非営利団体による自主活動またはNGOなどボランティア任せである43。政府・行政側の全面的協力がなく、多くの相談室での人材・予算不足や、大綱ではカウンセラーによるサポート強化を提示してはいるものの、日本ではカウンセラーの数が圧倒的に少ない、自殺未遂者のケアが十分ではない等の指摘もある44。また、毎月10日にフリーダイヤル相談を実施しているいのちの電話45があるが、かかってきた電話のうち、実際につながったのは2010年においては4%にとどまった46。つまり、ニーズに対して著しくリソースが不足していることがわかる。

4−2. 失業、就職失敗、長期間無職者や非正規労働者の自殺に対する自殺対策

日本の国レベルの、失業、就職失敗、長期間無職者や非正規労働者への支援体制はどうであろうか。3−2−2.でも触れたが、ハローワークが主な支援機関となっている。厚生労働省では、ハローワーク等の窓口においてきめ細かな職業相談を実施するとともに、早期再就職のための様々な支援を実施しているとしている。以下は2013年の内閣府による自殺対策白書記述の支援の主なポイントである。

 全国のハローワークに「就職支援ナビゲーター」を配置し、キャリア・コンサルティングの技法等を活用、長期失業に至ることのないよう支援。

41 内閣府, 平成25年版自殺対策白書, http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2013/pdf/index.html, 2013 (2013年8月30日アクセス)42 河西 千秋, 自殺予防学, 新潮社, 200943 河西 千秋, 自殺予防学, 新潮社, 200944 2013年4月11日(木)に開催された、日本医療政策機構の朝食会において、映画『自殺者1万人を救う戦い(Saving 10,000: Winning a War on Suicide in Japan)』を監督したレネ・ダイグナン氏が、日本の自殺問題における現状について課題を指摘し、より積極的な自殺防止の取り組みを提言した。http://www.hgpi.org/en/report_events.html?article=246, (2013年8月13日アクセス)45 日本いのちの電話連盟, http://www.find-j.jp/zenkoku.html, 2012 (2013年8月13日アクセス)46 総務省によると、いのちの電話は全国各地で民間団体がボランティアで実施。電話が集中するフリーダイヤル相談は話し中となることがほとんどで、2010年は延べ約85万6千件の電話に対し、つながったのは約3万5千件だけだった。相談員や経費の不足が理由という(日本経済新聞, “つながった相談4%だけ「いのちの電話」通話無料日” http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG22019_S2A620C1CR0000/, 2012年6月22日 (2013年8月23日アクセス)13

 非正規労働者総合支援センター及び主要なハローワークにおいて、臨床心理士、弁護士等による相談を実施。

 「ハローワークインターネットサービス」において、失業に伴う公的保険等の変更手続等失業に直面した際に生ずる様々な生活上の問題に関連する情報提供を実施。

 2009年度より民間事業者に委託し、ハローワークの求職者を対象に、リーフレットによるこころの健康に関する情報ストレスチェックシート、メール相談の案内等の周知のほか、自殺等に係る悩み、不安等の相談に対し、カウンセラーによるメール相談を実施。

 弁護士、司法書士、精神保健福祉士等の専門家による巡回相談に関して、ハローワークが求職者への周知、相談場所の提供。

 総合相談の実施、及び住居・生活に困っている求職者に対して、心の健康や多重債務等の関係機関へ円滑な誘導・連携が図れるように、各地域に設けた生活福祉・就労支援協議会の活用

 ニート等の若者の職業的自立支援として、
1)地方自治体との協働により、地域の若者支援機関からなるネットワークを構築、
2)そのネットワークの拠点となる「地域若者サポートステーション」の設置箇所を全国116か所(2012年度)に拡充し、専門的な相談やネットワークを活用した誘導、高校中退者等を対象とした訪問支援(アウトリーチ)による学校教育からの円滑な誘導体制の拡充、を通した職業意識の啓発や社会適応支援を含む包括的な支援、および各人の置かれた状況に応じて個別的、継続的な支援。

このように、失業、就職失敗、長期間無職者や非正規労働者に対して的を絞った自殺対策ガイドラインはできている。しかし、問題は上記の取り組みの評価がされていない事である。例えば、前述した2009年度から実施されているというハローワークの求職者対象の民間事業者委託事業について実際にどれだけ効果があったかという報告書は出ていない。また、2012年度のハローワークでのメール相談件数は約6,000件、対面での相談実施回数は5,000回あったという。だが、このような支援を受けたことで、相談者の悩みが軽減されたか等の評価がしっかりされていない。ビジネスモデルで有名な、PDCAサイクルでいう、Plan (計画)、Do(実施)どまりで、Check(評価)が不十分なのである。それ故、当然、次のAct(改善)のステップへはつながらず、ハローワークでの取り組みの、どの部分を、どのように改善するべきかということが明確にならない。

また、失業、就職難に対する国家の問題解決対策としての手段が、ハローワークにほぼ限られている。上記の支援も、ハローワークに登録47していることが条件であるが、失業等による心理的不安を抱える個人が必ずしもハローワークに登録するとは限らない。さらに、ハローワークと多重債務の相談に応じる機関、心の相談や治療にあたる保健・医療機関などとの連携が十分でなく、様々な要因を同時に抱え込んでいる人を救いきれていないとの指摘がある48。例えば、失業者が抱える共通の問題として、生活苦や多重債務、うつ病などがあるが、これらの問題に対しては、職業支援を専門とするハローワークでは十分な支援ができない。その問題の解決窓口となり得る、弁護士や社会福祉事務所、カウンセラーへ迅速かつ適切な紹介などの対応が手薄なのである。

一方で、徐々にではあるが自殺防止事業に対する行政の取り組みや姿勢には、改善の兆しもある。大阪府の事例では、自殺未遂者が救急搬送された病院と行政が連携して行う自殺防止事業が2010年1月から始まっている49。行政が精神保健福祉士などの専門家を救急病院に配置し、自殺未遂者のカルテや面談を通して、自殺に至った背景を調査する。そして精神科医、福祉行政など適切かつ必要と思われる専門機関につなぎ、問題の解決を図っているという。2012年度にこの病院・行政連携事業を実施した大阪府内の5つの病院では、支援した529人のうち、33%が経済・生活問題を抱えていたことが判明した。2012年度のこれら5つの病院への自殺搬送者は、前年度より約2割減少した。


47 ハローワーク登録カードの有効期限は、原則として受理した日の翌々月の末日までであり、期限切れの場合、随時ハローワーク窓口で再発行を行う必要がある。
48 渥美 哲, NHK時論公論,「自殺を防ぐ 総合対策の強化を」, http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/129818.html, 2012年08月28日, (2013年8月23日アクセス)49 大阪読売新聞 夕刊 11ページ 2013年8月28日 「自殺未遂者 心のケア 病院と行政 連携支援 39自治体 大阪、搬送2割減」


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また、大阪府内の自殺者数は、2010年の病院・行政連携事業開始後、2年で自殺者が330人減り、減少率も全国平均を上回ったという。行政と病院の適切な連携が、自殺数減少に貢献していると見られている。

このような行政との連携網(ネットワーク)に、就職支援事業者や金融問題解決を専門に扱う民間事業者を加え、さらなる連携の強化を推し進める必要がある。しかし、自殺未遂者支援のための自治体の財源は、国の地域自殺対策緊急交付金であり、この交付金は2009年度から時限措置として出されたため2013年度いっぱいで打ち切られる見通しである。2012年の自殺者数は、14年ぶりに3万人を下回ったとはいえ、こういった取り組みにこそ長期的な資金を割り振る必要がある。

4−3. 日本の各地域での自殺対策活動の例

以上、国レベルでの自殺対策を見てきたが、これまでの日本の自殺対策には全国で画一的に行われてきた点に問題がある。日本の自殺対策への取り組みは、先進国と比べ遅れているとしばしば指摘されてきた。そのため、こうした反省を生かそうと、海外の取り組みを見習う動きが強く、日本の自殺に関する学会や行政関係者は、海外の自殺対策プロジェクトの多くについて調査研究を行い、日本の自殺総合対策大綱にも取り込まれてきた。しかし、海外の成功例を真似るだけでは日本社会における自殺問題を有効的に解決することはできない。日本の経済・生活問題関連の自殺課題に対しては、失業、就職難だけでなく、長期的に無職状態、非正規労働者の給料面での低待遇など日本社会特有の要因があり、海外の自殺対策成功例をそのまま当てはめるのみでは有効的な対策とは言えない。2010年より、政府は全国の市町村別の自殺統計の詳しいデータを公表しており、これを活用し、地域ごとにどのような要因の自殺が多いのか、どういう職業や世代の人の自殺が多いのかなどを分析し、それぞれの地域の実情に即したきめ細かな対策に転換していく必要がある。近年では日本の各地の草の根レベル、地域レベルでの活動が活発になっており、それらの事例を応用することが、日本社会における自殺対策に有効的である可能性が高い。以下では、自殺対策に特に力を入れてきた秋田県と東京都足立区の事例を紹介する。

4−3−1. 秋田こころのネットワーク(秋田県)

2013年6月厚生労働省発表の人口動態統計によると、2012年の秋田県の自殺率(対人口10万人)は、27.6と全国一位であった50。2012年まで18年間連続で自殺率が全国一高かったことになるが、自殺者数51は2003年の519人をピークに総じて減少傾向にある52。2009年に30代の若者の自殺者数が増えたため自殺者総数も増加したものの、2012年の自殺者数は293人へと減少(前年比マイナス53人)した。では具体的にどのような取り組みがされてきたのだろうか。
行政側では、2001年には「健康秋田21」のもと「2010年までに約3割の自殺者減少を目指す」という具体的な目標を立て、自殺予防モデル事業53を開始した。

50 厚生労働省, 平成24年人口動態統計月報年計(概数)の概況, 第10表 主な死因の死亡数・死亡率(人口10万対), 都道府県(21大都市再掲)別, http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai12/dl/h10.pdf, 2013年6月5日(2013年8月23日アクセス)51 秋田県の総人口は減少傾向にあり、2003年の人口1,167,365人から、2012年には1,063,143人へと約9%減少した (美の国あきたネット、秋田県の人口と世帯(月報)http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1132637923908/, 2013 (2013年8月2日アクセス).)。一方、自殺者数は2003年から2012年で約44%減少。自殺者数の減少幅は総人口の減少幅よりも有意に大きい。
52 特定非営利活動法人 蜘蛛の糸, http://www.kumonoito.info/shiten2.html#18, 2013(2013年8月13日アクセス)53 予防モデル事業:2001〜2006年にかけて、秋田県内の6つの町で行われたモデル事業。心の健康に関する基本調査、うつ病や自殺に関する正しい情報の提供と啓発活動、地域で気軽に相談ができる「ふれあい相談員」というボランティア育成などを住民と連携して行った。『自殺が減ったまち──秋田県の挑戦』に詳しい経緯が描かれている。

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この事業のもと、2001〜2006年にかけて、県内の6つの町において、自殺に関する啓発活動と正しい情報の提供、心の健康に関する基本調査や、地域において気軽に相談ができる「ふれあい相談員」というボランティア育成などを住民と連携して実施した。特に重点を置いていることは、人と人とのつながりを広げていくことで、家族や友達だけでなく、地域の人々が相談窓口につながっていくような地域作りをしていくということであり、自殺予防リーフレットの全戸配布を行うなど地域住民を巻き込むアウトリーチ型の取り組みを行ってきた。県では、家族や友達だけでなく、地域の人々が、自殺を考えている人を相談窓口につなげられるような地域作りをめざしてきたのである。国の対策とは違い、県はより現場に近いところにいるため、具体的で実効性の高い取り組みを隅々にまで広げていくことが重視されている。

一方、秋田県では、民間主体での自殺対策運動も活発である。知人、友人の自殺など、多くの県民にとって自殺は身近な問題であると言う状況の中、様々な民間団体が立ち上げられていった。NPO法人「蜘蛛の糸」54は、中小企業経営者とその家族の自殺防止に取り組む。その活動のきっかけは、理事長自身の経営していた会社の倒産や知人の経営者の自殺であった。2002年に「蜘蛛の糸」を立ち上げた。2000年設立の「心といのちを考える会」55は、地域住民を対象に自殺対策に関わる講演やディスカッションの機会を設ける、あるいは、「コーヒーサロン〜よってたもれ〜」を毎週火曜日に開催するなど、地元住民の人々が気軽に立ち寄って話すことができる場を提供している。彼らはこのように、地域住民がそれぞれのつながりを強めより良く「生きていく」ための活動をしている。これらの民間団体は「秋田こころのネットワーク」56を形成した2006年以降、連携を強めてきた。当初の参加は9つの民間のみの団体だったが、2010年には秋田県や市などの行政、また医師会などを巻き込んで動かし、「秋田ふきのとう県民運動実行委員会」57を発足させた58。地域での地道な民間団体の活動が、行政を巻き込む成功例である。
また、「ふきのとうホットライン」59という相談網が設置され、秋田県の公式サイトで相談窓口の情報提供を公開している。この相談網では18種類の項目60のもと、60以上の相談窓口61が設けられ、電話やメールですぐに相談できるようになっている。さまざまな分野の相談窓口をネットワーク化し、例えば、失業や就職関連の悩みを持つ人々に対しては、失業や就職の問題の改善や解決を図るとともに、心の悩みや苦しみの緩和など、その他の関連する問題の解決ができるようしたものである。また18種類の相談窓口のうちの「さまざまな心の悩みと自殺問題の相談」には、いのちの電話の秋田支部も含まれる。いのちの電話はつながらない事が多いと先述したが、つながらない場合はその他の相談窓口という選択肢があることを提示している。

このように、様々な民間団体が連携して役割分担を行い、また、民間団体が行政の足りない部分を、行政が民間団体の足りない部分を補うようにして、草の根レベルに活動が広がっている。


54 特定非営利活動法人 蜘蛛の糸, http://www.kumonoito.info/shiten2.html#18, 2013(2013年8月13日アクセス)55 心といのちを考える会, http://www.kokoro-inochi.com/, 2013(2013年8月23日アクセス)56特定非営利活動法人 蜘蛛の糸,「秋田県の民間団体の紹介」, http://www.kumonoito.info/genbaryoku/8dantai.pdf(2013年8月23日アクセス)57 秋田ふきのとう県民運動実行委員会, http://fuki-no-tou.net/index.html, 2013(2013年8月22日アクセス)58 2011年2月22日の時点では、に参加する民間団体は40団体であった。秋田ふきのとう県民運動「一人ひとりを包摂する社会」 特命チームにおけるヒアリング, http://www.kantei.go.jp/jp/singi/housetusyakai/dai2/siryou2.pdf, 2011年2月22日(2013年8月22日アクセス)59 ふきのとうホットライン, http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1139734333745/, 2013(2013年8月22日アクセス)60 1. さまざまな心の悩みと自殺問題の相談、2. 倒産危機など企業主の相談、3. 法律に関する相談、4. 金融・経営に関する相談、5. 消費生活に関する相談、6. 暮らし・法律・介護など高齢者の相談、7. 認知症に関する相談、8. 女性の人権や被害に関する相談、9. 青少年・子どもに関する相談、10. 働く人の心の健康づくりや職業に関する相談、11. 一般保健・精神保健の相談、12. 障害や難病に関する相談、13. ひとり親家庭の相談、14. 生活安全・犯罪被害に関する相談、15. 薬物乱用に関する相談、16. 交通事故に関する相談、17. 人権問題の相談、18. 生活・福祉に関する相談。
61 秋田いのちの電話、あきたいのちのケアセンター、サラ金・クレジット相談センター、秋田メンタルヘルス対策支援センター、こころの電話相談、秋田県福祉サービス相談支援センター等60以上の相談窓口(2013年9月11日調べ)。

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秋田県の自殺対策のその他の特徴に、『原因のわかる「経済問題」の対策を先行させる』として、経済問題での自殺を減らす取り組みに力を入れてきたことが挙げられる。図11 62をみると、「健康問題」や「家庭問題」による自殺者数はほぼ横ばいで推移している一方、「経済・生活問題」の自殺者数が2003年のピーク時の204人から2010年には58人へと72%減少している。この「経済・生活問題」による自殺者の減少率は全国平均(図5)を上回った。上記の2002年から活動を続けている「蜘蛛の糸」の経営者のため相談窓口の設置をはじめ、経済問題に焦点を当てた取り組みが大きく影響を与えたといえよう。

資料:特定非営利活動法人 蜘蛛の糸

4−3−2.つなぐシートとパーソナル・サポーター(東京都足立区)

足立区は、2006年に東京の市区町村で自殺者が最も多くなったのを受けて、2009年から区の自殺の現状に沿った自殺対策を進めている63。足立区のような人口の多い都市は地方である秋田県と違い、自殺対策の行政、民間の関係者が住民全戸を訪問するアウトリーチ型の対策は難しい。そこで足立区は都市型自殺対策モデルを構築した。都市型自殺対策モデルは、ライフリンクの平均4つの自殺への危機要因(図9)を重要視し、その連鎖を断ち切るため、自殺に至る問題を上流までさかのぼり、それぞれの要因を総合的に解決していくというものである。地方と違い、区内には、法律相談機関や福祉事務所、保健総合センター等の専門相談窓口は豊富にあり、それぞれの職員が各窓口でSOSを受け止め、問題に応じた関係機関と連携することによって、課題解決に導こうというのが、都市型自殺対策モデルの大きな特徴である。まず、地域の自殺データの詳しい分析を行い、失業した人の自殺者が多いことがわかった。失業した人が抱えがちな自殺のリスクとして、生活苦や多重債務、うつ病などがあるため、ハローワークだけでなく、福祉事務所、弁護士や保健師が連携して、1か所で相談に応じられる「総合相談会」を定期的に開いている。

まず、区の自殺データの詳しい分析を行い、失業した人に自殺者が多いことを把握した。

62 特定非営利活動法人 蜘蛛の糸, http://www.kumonoito.info/shiten2.html#17, 2013(2013年8月13日アクセス)63 足立区ホームページ, http://www.city.adachi.tokyo.jp/kokoro/fukushi-kenko/kenko/kokoro.html, 2013年5月 (2013年8月25日アクセス)17

失業した人が抱えがちな自殺のリスクとして、生活苦や多重債務、うつ病などがあるため、ハローワークだけでなく、福祉事務所、弁護士や保健師が連携して、1か所で相談に応じられる「総合相談会」を定期的に開いている。

また、区の職員全員が、自殺を考えている人の些細なサインに気づくための「いのちの門番・ゲートキーパー」の研修を受けている。ゲートキーパーは、相談窓口で区民の自殺の危機要因となり得る悩みに「気づき」、その悩みの解決のために必要な専門相談員などに「つなぐ」という役割を果たしている。またつなぐシートという紹介状があり、窓口で相談者が複数の悩みを抱えていることに気付いたゲートキーパーはこのつなぐシートを使い、次の相談機関への紹介を行う。しかし、ゲートキーパーが単に相談者に相談機関を紹介するだけでは、その相談者が実際に紹介先に行くかは明確ではない。そこで、確実に紹介先の相談機関に行ってもらうよう、2012年に「パーソナル・サポーター」制度を導入し、必要に応じてゲートキーパーとは別にパーソナル・サポーターが相談者に同行し、一歩踏み込んだ「寄り添い支援」が行われている(図12 64)。足立区役所自殺対策課の担当者は、少しお節介なくらいの介入が必要であると話す。

資料:足立区役所ホームページ

足立区ではこのような情報をYouTubeや、区のウェブサイト65に定期的に掲載するなど、区民に向けて発信している。その結果、足立区では2009年からの過去4年間、男性の自殺者数を確実に減らしている(図13 66)。一方で女性の自殺者は増加しており、今後の課題であると言えよう。

64 足立区ホームページ, http://www.city.adachi.tokyo.jp/citypro/fukushi-kenko/kenko/kokoro-j-cm.html, 2013年5月 (2013年8月25日アクセス)65 足立区ホームページhttp://www.city.adachi.tokyo.jp/citypro/fukushi-kenko/kenko/kokoro-j-cm.html, 2013年5月 (2013年8月25日アクセス)66 足立区ホームページ, http://www.city.adachi.tokyo.jp/kokoro/fukushi-kenko/kenko/kokoro.html, 2013年5月 (2013年8月25日アクセス)18

資料:足立区役所ホームページ

4−4−3. 事例からわかること

以上、秋田県と足立区の例でみたように、行政や民間の複数の相談窓口が連携し、自殺対策を促進していく必要がある。このような取り組みを広げていくことが肝要である。秋田県は2012年まで18年連続で自殺率が全国一位と課題は多い。しかし、人と人のつながりを重視した取り組み、及び様々な民間団体と行政の連携は、日本全国に共通して必要な自殺対策の要素である。

5.まとめおよび提言

日本では2006年以降にようやく自殺防止のための国家戦略としての具体的取り組みが始まった。しかし顕著な効果は見られず、2011年までの14年間、自殺者数は3万人超であった。2012年に3万人を下回ったが、今後どのように持続的に減少させていくかが課題である。1998年以降急増した失業者、就職失敗者、長期的無職者、非正規労働者などの経済・生活問題とそれに関連する要因に焦点をあてた対策を以下で提言する。

5−1.ゲートキーパー、パーソナル・サポーター育成と官民連携体制の促進で多面的アプローチを

自殺で亡くなった人の約7割が家族、友人、相談機関など何らかの形で亡くなる前に悩みの相談をしていたことが分かった。相談した相手が、その悩みを解決するに当たっての専門知識を持っていないなどの理由で解決できなかったことが指摘されている。また、自殺に追い込まれる人々は平均4つの危機要因も持っており、個々の要因にそれぞれの専門家が介入する必要がある。確実に自殺者数を減少させていくには、まず、自殺の危険を示すサインに気づく、話を聞く、必要とされる様々な支援機関・専門相談窓口につなげるゲートキーパーの育成が必要である。足立区では区の職員全員にゲートキーパー手帳なるものが配布されており、行政の職員がゲートキーパーとしての基礎知識を身につけるのに役立っている。また、相談内容が自分の専門でない場合は、必ずその専門相談窓口につなぐことが有効な策といえる。そのために、ゲートキーパーが中心となり、行政、様々な民間団体との強固な連携体制を整えることが重要である。さらに、パーソナル・サポーターの育成にも力を入れ、相談者が確実に紹介先の相談機関に行ってもらうよう必要に応じて相談者に同行するなどの、一歩踏み込んだ寄り添い支援を拡充する必要がある。

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5−2. 職業支援窓口とその他の多様な相談窓口の連携を

失業や就職の悩みを持つ人が解決の糸口として向かう場所は、主にハローワークをはじめその他の職業支援窓口である。区役所のみならず、ハローワークやその他の職業支援窓口の相談員をゲートキーパーの役割を担うように育成したり、多重債務の相談に応じる機関、心の相談や治療にあたる保健・医療機関など多様な相談窓口とハローワークとその他の職業支援窓口の連携を図ることが必要である。このことにより、職業支援窓口を利用する相談者を必要な相談機関につなぐことが可能になる。

5−3.相談の窓口の拡充を

秋田県の事例にあったいのちの電話及びその他の電話相談窓口だが、電話による相談の長所として、匿名であること、対面性でないことが挙げられる。日常生活では女性より男性の方が、悩みを相談することが少ない。自殺を思いとどまった理由に、誰かに相談した、という回答が男女ともに多いことからホットラインが重要であることがわかる。前述したようにいのちの電話はつながりにくいことを指摘されるが、特につながりにくいのは毎月10日のフリーダイヤルの日である。無料であることと毎月10日の数日前に特に普及の宣伝を行うために、アクセスが集中する。それならば、まず日ごろから、いのちの電話の存在を宣伝しておき、10日以外の日に電話をしてもらうことも可能である。現在はスカイプなど、インターネットでインストールさえすれば無料で通話もできる媒体もあり、相談機関がスカイプを導入すれば、供給の幅が広まる。このようにいのちの電話のしっかりした基盤(インフラ)を作ることが大事である。

また人員不足がつながりにくい大きな要因であるが、人員不足解消のために単に相談員を増やしてしまうと、相談員の質が落ちてしまう。相談員は無償ボランティアとして活動しているとはいえ、自殺を考える人々を相手にするということは、十分な知識とトレーニングが必要とされ、実際に相談員になるには、最低60 時間、9ヶ月以上の研修を受けなくてはならない67。質を落とさず、人材不足を解消する方法は何か。例えば、いのちの電話連盟の各センターとの連携が挙げられる。実際、各センター間の連携は少ない。山梨在住の電話相談者ほとんどは、山梨のいのちの電話にかける。その山梨の電話窓口回線が混雑している一方、他の県では余裕のある電話窓口がある場合、そちらに転送することも一つの解決策である。新潟のいのちの電話は、遠距離通話料金を発生させないためにも転送サービスを行うなどしてきた。センター間での連携を強くし、シフト制度にするなど分担をすることで、人材不足によるつながりにくさを解消することが可能である。他のつながりにくい理由として、同じ人が長時間同じ話を繰り返している現実がある。このような場合、カナダやアメリカのホットラインでは、時間制限を設け、限られた時間内で相談に乗るという現実的な対応をとっている。また、秋田の例で見たように、いのちの電話だけでなく、労働110番や福祉サービス相談支援センターなど、その他の専門別電話相談口の整備及びそれらの機関の連携も、有効な解決策となる。

67 研修は短期集中型ではなく、長期で行われる。また、各地域に設置されているセンターより、研修期間及び研修内容に違いがある。例えば、横浜いのちの電話では、週1回2時間 及び宿泊研修2回の1年間の養成コース(横浜いのちの電話, http://www.yind.jp/ja_recruitment.html, 2012 (2013年8月9日アクセス))、東京多摩いのちの電話では、前期に週1回2時間の講義を10回、中期に週1回の小グループによる体験学習及び講義、後期に月2回の講義・実習及びボランティア学習と宿泊研修があり、こちらは修了まで約2年かかる(特定非営利活動法人 「東京多摩いのちの電話」, http://www.tamainochi.com/study.html, 2013 (2013年8月9日アクセス))。

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5−4.具体的取り組みの調査・評価を

自殺対策のガイドラインを作り、取り組みを行うだけでは、有効な自殺対策を実施しているとは言えない。失業者及び長期無職者などに対するハローワークの就労支援プログラムに関して記述した際に触れたが、失業、就職失敗、長期間無職者や非正規労働者をターゲットとしたガイドラインはできているが、それらの取り組みの評価やその結果は公表されていない。自殺者数減少に貢献しうる取り組みを行ったとしても、その取り組みが計画通り実施され、その取り組みを必要としているターゲット層に活用されているか、またその取り組みを活用したことで、自殺が予防できたか、という調査をしなければならない。調査をし、効果が小さいのであれば、その取り組みの何が問題なのかを見出し、取り組みの見直しを定期的に行う必要がある。

5−5.データの収集・分析による各地域でのきめ細かい対応を

全国的に見て、自殺数は若年層が特に増加、中高年男性の数も減少傾向にあるものの未だ自殺者総数のうち多くを占める。しかし、必ずしも若年層と中高年男性の両方が自殺の大きな問題であるかは、各地域で違いがある。例えば若年層の自殺に関していうと、若者の多くが都会に住んでいるため、都会において特に問題である。2010年より、政府は全国の市町村別の自殺統計の詳しいデータを公表している。これを活用し、地域ごとにどのような要因の自殺が多いのか、どういう職業や世代の人の自殺が多いのかなどを分析し、それぞれの地域の実情に即したきめ細かな対策に転換していく必要がある。

自殺の問題は複雑であり、経済・生活問題抱え自殺に追い込まれた人も家庭問題等のその他の問題を抱えていたなど、問題解決は容易ではない。しかし、経済・生活問題を抱える人々の自殺は、しっかりした雇用体制の整備で失業や就職難の問題を解決し、ゲートキーパー育成と官民の連携体制で付随する問題に多面的アプローチをするなど、政策面での対応により自殺者数を確実に減らすことができると考えられる。まず、多様な相談の窓口の拡充、早い段階で予兆に気づき自殺予防のキーパーソンとなるゲートキーパー育成、一歩踏み込んだサポートを提供するパーソナル・サポーターの拡充、官民連携による各相談窓口の連携体制の強化が必要であろう。その際、各地域の自殺の背景や要因を分析・把握し、その地域の事情に合致した自殺対策を各地域、草の根レベルで広げていくことが求められる。そして、社会全体として検討すべきことは、正規・非正規の失業給付格差の解消や、新卒一括採用制度の見直しなど、失業や就職失敗をした際のセーフティネットを充実させることである。それによって、何度でもやり直しができる社会、つながりのある社会を実現していくことが必要である。

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6. 引用文献

秋田ふきのとう県民運動「一人ひとりを包摂する社会」 特命チームにおけるヒアリング, http://www.kantei.go.jp/jp/singi/housetusyakai/dai2/siryou2.pdf, 2011年2月22日(2013年8月22日アクセス)秋田ふきのとう県民運動実行委員会, http://fuki-no-tou.net/index.html, 2013(2013年8月22日アクセス)足立区ホームページ, http://www.city.adachi.tokyo.jp/kokoro/fukushi-kenko/kenko/kokoro.html, 2013年5月(2013年8月25日アクセス)渥美 哲,「自殺を防ぐ 総合対策の強化を」NHK時論公論, http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/129818.html, 2012年08月28日,(2013年8月23日アクセス)大阪読売新聞 夕刊 11ページ 2013年8月28日 「自殺未遂者 心のケア 病院と行政 連携支援 39自治体 大阪、搬送2割減」
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06. 2013年9月14日 15:24:28 : niiL5nr8dQ
研究ノート

福祉・経済政策と自殺率―都道府県レベルデータの分析

松林 哲也*
大阪大学
上田 路子
Syracuse University

日本では自殺者数が年間3万人を超える事態が10 年以上続いている。自殺者数の
増加は社会の健康状態や生活の質が悪化していることを示す一つの指標であり、対
策が必要とされる重要な社会問題である。本稿は自殺の主な要因の一つが経済的苦
境であることを踏まえ、政府の経済政策や福祉政策が自殺率とどのような関係にあ
るかを検証する。1982 年から2006 年までの47 都道府県のパネルデータを用いた推
定結果は経済政策及び福祉政策と自殺率との関係を強く示唆するものであった。公
共投資や失業対策費の増大は、自殺率の低下を伴い、その影響は特に65 歳以下の男
性に強く認められた。また、生活保護費などの福祉政策を充実させることは、65 歳
以上人口の自殺率の低下と関係がある。このことは、各都道府県の人口構成に応じ
て異なった自殺対策が効果的である可能性を示唆している。

1. はじめに

近年、日本を含めた多くの国々で自殺者数は増加傾向にある。世界全体で見ると毎年
100 万人以上の命が自殺によって失われ、過去45 年間に自殺率は60%も上昇している
(World Health Organization,2010)。自殺者数の増加は、社会の健康状態や生活の
質が悪化していることを示す一つの指標であり、対策が必要とされる重要な社会問題で
ある。

特に日本では自殺者数が年間3万人を超える事態が1990 年代後半以降続いており、
自殺は深刻な社会問題として認識されている。2006 年に自殺対策基本法が制定され、国
を挙げて総合的な自殺対策を推進することとなった。それ以降、国や自治体により様々

な対策が講じられてきたが、11 年時点でも自殺者数は3万人を越えており、それらの対
策が短期的な効果を生み出したとは言い難い。

自殺対策には自殺の主要因を探ることが不可欠であるが、では自殺者数の増減はどの
ように説明できるのであろうか。これまでの日本における自殺についての学術研究の多
くはその原因を精神疾患および健康問題に求めてきた(例えば高橋(2006)、日本医師
会(2004))。実際、自殺の原因として健康問題は最も大きい割合を占める。11 年3 月
に発表された警察庁の「平成22 年中における自殺の概要資料」によると、原因・動機
を特定できた自殺者23,572 人のうち15,802 人に健康問題があったとされている1。とこ
ろが精神疾患や健康問題は短期的には変動が少なく、よって自殺率の短期的な増減を十
分には説明できない。また澤田ほか (2010)が指摘しているように、自殺を引き起こす
精神疾患や健康問題の社会経済的背景を探ることが重要であるが、そのような試みはあ
まりされてこなかった。

自殺者数の増減を説明する要因として、経済状況は重要な役割を果たすと考えられる。
経済的苦境は精神疾患をもたらす原因と考えることもでき、また生活苦が自殺の直接の
引き金になる可能性があるからである。上述した警察庁の統計によると、原因・動機を
特定できた自殺者23,572 人のうち7,438 人の原因・動機として経済・生活問題が挙げ
られており、2 番目に大きな原因・動機となっている2。また最近の研究も自殺の原因と
して経済状況が重要であることを示している。金子ほか(2004)は、米国や欧州におけ
る先行研究が失業率と自殺率との間に強い正の関係があると結論づけていることをま
とめ、さらに彼ら自身も日本のデータを使って失業率や世帯負債率が自殺率に強い影響
を与えることを示した。澤田ほか(2010)も失業率の上昇が自殺率の上昇に結びつくこと
を都道府県レベルデータを用いて示している。Chen et al. (2009) はOECD 諸国のデー
タを使って経済成長率や失業率が自殺率に強い影響を及ぼすことを示し、特に日本では
これらの経済要因が自殺率と強い関係にあることを明らかにした。Di Tella et al(2001, 2003) は欧州のサーベイデータを用い、経済成長率が上昇し、あるいは失業率
が低下すると人々の幸福度が高まることを報告している。またLayard et al. (2008)
は個人の収入レベルがあがると幸福度も上昇することを様々な国のデータを用いて示
した。人々の幸福度は自殺行為に関連していると考えられるため、これら幸福度の研究
は、自殺と経済状況の関係を示唆しているといえる(Di Tella et al., 2003)。

1 総自殺者数は31,960 人である。
2 健康問題、経済・生活問題に続き、家庭問題(4,497 人)、勤務問題(2,590 人)、男女問題(1,103 人)、学校問
題(371 人)となっている。なお自殺の原因・動機は自殺者1人につき3つまで計上可能とされているため、自
殺の原因・動機特定者の数と原因・動機の和は一致しない。

本稿は自殺の主な要因の一つが経済的苦境であることを踏まえ、政府の経済政策や福
祉政策が自殺率の増減とどのような関係にあるかを調べる。政府の経済政策は(それが
有効である場合)経済成長を促し、経済状況を好転させるだろう。福祉政策の拡充はセ
ーフティーネットの恩恵を受ける人数を増加させ、経済的苦境にある人々の生活レベル
を上昇させると考えられる。結果として有効な経済政策や福祉政策は経済的苦境にある
人々の生活を改善し、自殺を減らす可能性がある。同時に公共投資や福祉政策は地域の
医療施設や行政サービスを充実させ、その結果として自殺率を低下させるかもしれない。

本稿は82 年から06 年までの47 都道府県のデータを用いて、経済・福祉政策と自殺
率の関係を検証する。経済政策の指標として、各都道府県に配分される行政投資の総額
と、各都道府県内で支出される失業対策費を使用する。また自治体レベルの福祉政策の
指標としては生活保護費など民生費関連の歳出額と衛生費の歳出額を使用する。

本稿は固定効果モデルを用いて、以上の政策変数が各都道府県内の自殺率の変動をど
のように説明するかを推定する。回帰分析の結果は1人当たりの行政投資額、失業対策
額、そして生活保護費の増加は自殺率の減少と結びつくことを示した。さらに、経済政
策関連の支出が増えたとき、65 歳未満人口の自殺率は低下する傾向にあり、福祉政策関
連の支出は65 歳以上人口の自殺率に影響があることが明らかになった。自殺は「防ぐ
ことのできる死」(World Health Organization,2004)であり、自殺を減らす目的に
おいて経済政策と福祉政策の役割が大きい可能性を、本稿の実証分析は示している。

2. モデルとデータ

推定する式は以下の通りである。

[Suicide]it = β[Policy]it+λwit+γiT+φt+ρi+εit (1)

従属変数である[Suicide]it は都道府県i のt 年における、対数をとった自殺率(人口
10 万人当たりの自殺者数)である。自殺のメカニズムや政策の効果が年齢や性別によっ
て異なっている可能性を考慮するため、(1)65 歳未満の全人口、(2)65 歳未満の男性、
(3)65 歳未満の女性、(4)65 歳以上の全人口、(5)65 歳以上の男性、(6)65 歳以上の女性
の6 つのグループについて自殺率を求めた。自殺率は自殺者数を該当の年齢・性別の人
口数で割って計算した。各都道府県の年齢別の自殺数は82 年以降06 年まで手に入るの
で、この期間のデータを用いて実証分析を行う3。

3 82 年以前の自殺率については欠損値が多く、データを完全にそろえることができなかった。

98  日本経済研究 No.69,2013.9

表1 都道府県の自殺率、1982-2006

65 歳未満 65 歳以上
最小値 平均 最大値 最小値 平均 最大値
北海道 13.103 19.205 26.413 26.298 37.528 52.174
青森 16.042 23.567 36.704 38.016 46.896 65.089
岩手 17.256 24.088 33.271 43.094 59.228 85.185
宮城 10.993 17.303 26.618 27.204 35.867 53.125
秋田 18.756 27.010 40.069 47.048 63.981 84.932
山形 12.811 19.847 29.793 33.333 45.673 61.714
福島 12.705 18.781 29.261 27.798 38.764 53.585
茨城 12.128 17.294 24.386 26.897 34.991 46.939
栃木 13.306 18.191 24.254 31.210 44.802 65.174
群馬 12.132 18.101 24.755 32.168 47.425 72.727
埼玉 11.132 15.403 20.824 26.041 39.064 54.308
千葉 10.861 15.196 20.936 25.224 33.751 48.113
東京 12.225 16.506 22.794 23.257 29.844 44.160
神奈川 11.000 15.009 21.170 21.483 31.280 46.404
新潟 15.977 21.846 28.668 39.865 63.009 85.960
富山 14.940 19.995 27.136 33.493 46.138 61.147
石川 11.754 16.965 25.133 23.195 33.070 53.901
福井 11.047 16.166 26.977 22.535 39.546 59.184
山梨 9.988 17.697 28.299 25.313 42.721 64.912
長野 13.007 17.591 24.251 25.891 38.280 51.273
岐阜 10.845 16.366 22.886 30.989 45.379 69.668
静岡 10.190 15.122 21.340 21.946 32.139 47.740
愛知 10.258 14.598 19.744 28.268 38.205 56.298
三重 10.135 15.238 21.443 23.824 35.127 45.685
滋賀 10.183 14.594 19.965 23.214 38.181 66.102
京都 12.427 16.376 22.882 22.933 33.408 47.647
大阪 12.710 17.589 24.782 26.493 35.920 54.665
兵庫 12.023 17.087 22.193 26.289 34.960 46.459
奈良 9.962 14.344 20.098 20.000 33.813 57.813
和歌山 14.069 20.547 27.251 27.171 41.614 56.494
鳥取 13.400 18.644 26.253 17.794 34.480 48.458
島根 16.349 23.024 31.086 29.114 46.766 65.789
岡山 11.619 16.166 21.206 18.862 28.053 41.221
広島 12.383 16.964 21.425 25.901 33.960 49.836
山口 13.000 19.839 26.220 23.693 36.436 52.968
徳島 11.223 16.370 21.637 18.905 32.110 48.571
香川 12.469 17.291 21.875 20.000 29.550 45.270
愛媛 14.309 19.961 26.404 20.295 34.101 55.851
高知 14.894 22.242 30.384 22.840 37.198 56.061
福岡 14.361 19.318 25.760 25.055 32.085 41.328
佐賀 12.449 19.356 26.549 18.841 29.395 41.880
長崎 13.630 19.370 29.862 15.732 31.019 45.226
熊本 12.605 18.817 25.737 23.466 32.647 44.493
大分 12.672 18.797 25.644 21.963 33.982 50.955
宮崎 8.761 22.017 30.274 35.938 49.595 88.506
鹿児島 15.623 21.104 27.015 30.414 39.037 54.340
沖縄 13.750 20.381 26.445 15.541 23.357 32.292

注)82−06 年までのデータに基づく。表内の各数値は自殺率(10 万人当たりの自殺者数)である。

研究ノート:福祉・経済政策と自殺率−都道府県レベルデータの分析  99

表1には各都道府県の82 年から06 年までの65 歳未満と65 歳以上の最小、平均、最
大の自殺率がまとめられている。まず、各都道府県の平均自殺率を比較した場合、地域
によって大きなばらつきがあること、全ての都道府県において65 歳以上の平均自殺率
が65 歳未満のそれよりも高いことが分かる。82 年から06 年までの65 歳未満および65
歳以上の平均自殺率が最も高いのは秋田県である。次に各都道府県内の自殺率の最小値
と最大値を比べた場合、時系列的にも自殺率に大きなばらつきがあることがわかる。65
歳未満の自殺率の場合、平均して約13 人(10 万人当たり)ほどの差が最小値と最大値
の間にある。65 歳以上の自殺率の場合、最小値と最大値の差は平均して30 にもなる。
表1によると、65 歳未満人口自殺率の最小値と最大値の差が最も大きいのは秋田県であ
る。65 歳以上人口の場合、その差が最も大きいのは宮崎県である。以下の分析では各都
道府県における自殺率の時系列的変化を用いて政策の影響を検証する。
モデル(1)の[Policy]it は経済政策と福祉政策を含む説明変数である。経済政策は行
政投資総額および失業対策のための自治体支出額によって測る。行政投資とは産業基
盤・生活基盤の整備、国土保全などを目的に国や地方自治体が行う公共投資的事業を指
す。近藤(2008)によると生活基盤への投資の構成比が最も高く(およそ40%から50%)、
次に産業基盤への投資(20%前後)が続く。各年度に都道府県内に投資された総額を人
口数で除し、1人当たり金額を計算した。失業対策のための支出として失業対策費を用
い、各都道府県・市町村から支出された失業対策費を都道府県単位に合計した値を用い
る。人口規模の違いを考慮するために、合計額を人口数で除し1人当たりの金額を求め
た。回帰分析には1人当たりの行政投資総額と失業対策費を対数変換した値を用いる4。
福祉政策は民生費に含まれる各支出項目と衛生費を用いて測る。民生費の内訳は社会
福祉費、老人福祉費、児童福祉費、そして生活保護費である。社会福祉費には障害者福
祉および福祉センターの管理運営に関わる経費などが含まれ、児童福祉費には児童手
当・児童福祉施設費の他、ひとり親家庭の自立支援なども含まれる。衛生費は公衆衛生
費、精神衛生費、環境衛生費など医療関係の経費を含む。各支出項目の性質を考え、児
童福祉費は65 歳未満の自殺率のモデルに加え、一方で老人福祉費は65 歳以上の自殺率
を説明するモデルに加えた。その他の歳出項目は両方のモデルに含めた。それぞれの歳
出項目について各都道府県・市町村から支給される金額の合計を使う。回帰分析のため
に1人当たりの金額を計算し、また対数変換した値を求めた5。

4 モデルに含まれる自治体支出額・県民所得は物価の影響を考慮するために消費者物価指数で調整を行った。
5 1人当たりの金額を求めるために、児童福祉費は15 歳未満の人口数で、また老人福祉費は65 歳以上の人口
数で金額を割った。他の歳出項目についてはは全人口を使用した。

100  日本経済研究 No.69,2013.9

これらの経済政策と福祉政策の拡充は自殺率の減少と結びつくと期待される。例えば、
行政投資が増額されることにより公共事業が増え、その地域の経済が活性化されるはず
である。結果として経済成長率が高まり、また地域の失業率が下がったならば、それは
自殺率の低下につながる可能性がある。また、生活保護費が増加したならば、結果とし
て経済的理由による自殺が減るかもしれない6。

行政投資や福祉政策の拡充は経済状況に影響を与えるだけではなく、地域の医療施
設・行政サービスを充実させることも期待できる。これまで多くの研究が指摘している
ように、自殺者の多くは精神疾患を抱えている(高橋 2006)7。医療施設の増加や精神
衛生政策の質が向上することにより、精神疾患を抱えた患者がより多くの手助けを得ら
れるような態勢ができ、その結果として自殺率が低下する可能性がある。
政策の効果を推定する際には、地域の経済状況及びその他の社会属性の影響を統制す
ることが必要となる。モデル(1)のwit は自殺率および政策に影響を及ぼすと考えられる
各年の各都道府県の属性である。各年の都道府県1人当たり県民所得、完全失業率、ジ
ニ係数、財政力指数、生活保護受給者の比率、雇用保険受給者率、離婚率、母子世帯の
比率、高齢単身世帯の比率、総人口、都市化度指数、15 歳未満人口、65 歳以上人口を
推定モデルに加えた。失業率は完全失業者の数を労働力人口で除することによって、ジ
ニ係数は各都道府県内での所得格差を測ったものであり、全世帯の十分位階級の年間収
入平均を用いて算出した。ジニ係数の高い値は、所得格差の拡大を示している。生活保
護受給者の比率は人口千人当たりの生活保護被保護実人員を求めた。雇用保険受給者の
比率は雇用保険被保険者千人当たりの雇用保険受給者実人員数を計算した。離婚率は人
口千人当たりの離婚件数、母子世帯の比率および高齢単身世帯の比率は、千世帯当たり
の母子世帯数と65 歳以上の単身世帯数を計算した。都市化度指数は人口集中地区に居
住する人口を総人口で除することにより求めた。回帰分析のために総人口と一人当たり
県民所得については対数を取った。

6 生活保護の地域別の支給基準額は厚生労働大臣によって定められており、各地方自治体が任意に額を設定す
ることはない。しかし自治体ごとに異なったタイミングで支給基準額が変更されることがあるため、1人当た
りの生活保護費(生活保護費総額を県の総人口で除して求めていることに注意)の変化が起こる。同時に、生
活保護の支給率によっても1人当たりの生活保護費に変化が起こると考えられる。生活困窮者の保護申請に対
し保護費を支給するかどうかは、各市町村または福祉事務所の裁量に委ねられる部分が大きい。運用機関が支
給率を高く設定した場合は1人当たりの生活保護費が増加し、一方で支給率を低めに設定した場合は減少する
はずである。支給率の影響自体については、後述のように生活保護受給者比率として別途コントロールする。

7 警察庁のデータによると、原因・動機が明らかになった平成22 年中の自殺者15,802 人のうち、7,020 人がう
つ病が原因で、2,637 人が統合失調症あるいはその他の精神疾患が原因で自殺している。


研究ノート:福祉・経済政策と自殺率−都道府県レベルデータの分析  101

なお全世帯の十分位階級の年間収入平均、完全失業者数、労働力人口、母子世帯数、
高齢単身世帯数、人口集中地区に居住する人口については、統計が5 年ごとにしか取ら
れていないため、調査年以外の年の値を線形補完によって求めた8。補完された値には誤
差が含まれている可能性があるため、推定結果の解釈には注意を払う必要がある9。

1人当たり県民所得の増加は自殺率を下げ、失業率の増加は自殺率の増加につながる
と考えられる。生活保護受給者の比率は地域の経済状況をコントロールするために入っ
ている。さらに、生活保護受給者の増減は自殺率と直接関連する可能性もある。受給比
率が上がれば、それだけより多くの困窮した人が生活保護を受けることを意味するから
である。財政力指数は各都道府県の財政状況を測っており、失業対策や福祉政策などに
財源を振り分けられる余裕を示す指標にもなりえる。さらに、離婚率、母子世帯、雇用
保険受給者、および高齢単身世帯の増加は自殺率の増加につながる可能性がある。なお
母子世帯の比率は65 歳未満の自殺率のモデルのコントロール変数として、また高齢単
身世帯の比率は65 歳以上の自殺率のモデルのコントロール変数として用いる。

全てのデータは総務省統計局が提供する『社会・人口統計体系 都道府県基礎データ
(1975−2008 年)』より入手した10。各変数の記述統計は表2にまとめられている。

最後に、モデル(1)のφt は年ごとの固定効果項であり、ρi は都道府県特有の固定
効果項である。この二つの変数によって、都道府県の時間とともに変動しない全ての属
性(例えば、自殺に対する態度、気候など)、そして年ごとの変動(例えば国レベルで
の経済ショック)の影響がコントロールされる。また、ρi が入ることにより、推定で
は各都道府県における自殺率の時系列的変化を、独立変数の都道府県内の時系列的変化
によって説明する。従って、推定された係数は、異なる県を直接比較して得られたもの
ではない。さらに、各都道府県に特有のトレンドの効果を考慮するためにγiT をモデル
に加えた。

8 全世帯の十分位階級の年間収入平均は79 年以降5 年ごとのデータを用い、05 年と06 年のデータとして99
年から04 年までのトレンドに基づいた値を求めた。それ以外の変数は80 年以降5 年ごとのデータを用いた。
06 年のデータとして2000 年から05 年までのトレンドに基づいた値を使用した。

9 特に世帯収入や母子世帯数など急激な変動が起こりうる変数の解釈については注意が必要である。補完デー
タが推定結果にどのような影響を与えたか確認するために、まず補完を行った変数をモデルから省き再推定を
行った。次に05 年及び06 年のデータを省いて再推定を行った。最後に、完全失業率に関しては『労働力調査』
によって計算された10 地域別完全失業率を用い、他のデータも地域別に集約して再推定を行った(83 年−06
年)。すべての再推定について、第3節で報告されている結果と似たような結果が得られた。

10 このデータセットは財団法人統計情報研究開発センターによって有償で提供されている。なお、96 年以前の
県民所得については、内閣府が発行する『国民経済計算』を参考にした。

102  日本経済研究 No.69,2013.9

表2 データの記述統計

平均 標準偏差 最小値 最大値
65 歳未満自殺率(十万人当たり) 18.453 4.833 8.761 40.069
男性65 歳未満自殺率(十万人当たり) 27.364 8.626 12.655 65.068
女性65 歳未満自殺率(十万人当たり) 9.599 1.889 2.544 18.630
65 歳以上自殺率(十万人当たり) 38.391 11.729 15.541 88.506
男性65 歳以上自殺率(十万人当たり) 48.664 13.419 15.763 130.882
女性65 歳以上自殺率(十万人当たり) 31.349 12.897 4.000 91.429
行政投資(一人当たり、対数値) 12.693 0.314 11.561 13.573
失業対策費(一人当たり、対数値) 2.062 7.088 -13.340 9.757
社会福祉費(一人当たり、対数値) 10.040 0.442 8.894 10.984
生活保護費(一人当たり、対数値) 9.387 0.581 8.246 10.835
児童福祉費(一人当たり、対数値) 11.992 0.481 10.867 13.079
老人福祉費(一人当たり、対数値) 12.004 0.280 11.246 12.894
衛生費(一人当たり、対数値) 10.765 0.269 10.152 11.529
県民所得(一人当たり、対数値) 14.767 0.172 14.297 15.380
完全失業率 0.040 0.015 0.014 0.123
ジニ係数 0.222 0.016 0.183 0.302
財政力指数 0.472 0.227 0.197 1.640
生活保護受給者比率(千人当たり) 8.846 5.620 1.771 39.267
雇用保険受給者比率(千人当たり) 30.188 11.269 6.224 85.940
離婚率(千人当たり) 1.583 0.433 0.790 2.940
母子世帯比率(千世帯当たり) 14.083 3.532 8.918 30.959
高齢単身世帯比率(千世帯当たり) 54.153 23.156 12.284 135.087
人口規模 14.492 0.723 13.311 16.354
都市化度 0.490 0.185 0.234 0.994
15 歳未満人口割合 0.175 0.032 0.113 0.293
65 歳以上人口割合 0.160 0.045 0.066 0.275

備考: 82−06 年までの都道府県レベルデータに基づく。サンプルサイズは1,175。なお、自殺率については推
定の際、対数変換した値を用いた。

研究ノート:福祉・経済政策と自殺率−都道府県レベルデータの分析  103


3. 推定結果

第2節で述べたように、年齢によって政策の効果は異なると考えられるため、65 歳未
満自殺率と65 歳以上自殺率に分けて分析を行う。表3は65 歳未満人口の自殺率と政策
変数や社会経済属性の関係を推定した結果を、表4は65 歳以上人口の自殺率を従属変
数として同様の推定を行った結果を示す。各表には掲載されていないものの、都道府県
ダミー、年ダミー及び都道府県特有トレンド項がすべてのモデルに含まれている。標準
誤差は、都道府県ごとにクラスター処理を行った。サンプルサイズは1,175 である11。
表3の65 歳未満人口の自殺率の分析結果によると、行政投資額と自殺率は負の関係
にある12。全人口のデータを用いて分析しても、男女別に分析しても行政投資額の係数
は負である。推定された係数は全人口と男性の自殺率のモデルにおいて5%の水準で統
計的に有意である。行政投資の影響の規模は、例えば第(1)列の結果によると、行政
投資が10%増加した場合、男女合計の10 万人当たり自殺率は1.17%下がると推定され
ている。公共投資は失業率の低下や県民所得の増加を通じて自殺率に影響を与えている
と考えられるが、推定モデルでは両者の影響は考慮されており、公共投資の増加は経済
指標の改善を超えた影響を持つ可能性も考えられる。

失業対策費の増加も同様に65 歳未満人口自殺率と負の関係があり、10%水準で統計
的に有意である。男女別に分析すると、この効果は主に男性の自殺率低下を通じたもの
であることが分かる。65 歳未満男性の推定結果を見ると、失業対策費の係数は5%水準
で有意である。一方で失業対策費は65 歳未満の女性の自殺率の増減には関係がない。

これはおそらく、失業対策費の恩恵を受けるのは男性が多いことによるものであろう。

興味深いことに、生活保護費などの福祉関連政策に対する歳出額は65 歳未満人口の
自殺率と統計的に有意な関係にない。しかし男性の場合、生活保護受給者割合の増加は
自殺率の低下と結びついている。モデルでは県民所得や失業率などの経済状況はコント
ロールされているため、生活保護を必要とする人がより多く受給することが、自殺率の
低下を伴ったと考えられる。65 歳未満の男性の自殺対策には経済政策の充実が大きな効
力を持つと考えられる一方、福祉政策の拡充も重要な役割を果たす可能性がある。

11 Levin-Lin-Chu panel unit root test (Levin et al., 2002) を用いて全ての従属変数が定常であることを
確認した。

12 行政投資額は外生変数ではないため、固定効果モデルを用いた推定では因果関係を議論するのは難しい。

Arellano and Bond(1991)によるGMM 推定を用いて再分析を行ったが、表1と同様の結果を得た。この際、1期
前の自殺率と行政投資額、及び推定式(1)に含まれる全ての変数(行政投資額を除く)を右辺に投入し、操作変
数として2期前のデータを用いた。またこの推定においては、いくつかの都道府県について81 年の自殺率に欠
損値があるため、データの範囲を84 年から06 年に限定した。推定はStata のxtabond2 コマンドを用いて
one-step 方式で行った。

104  日本経済研究 No.69,2013.9

表3 経済・福祉政策と65 歳未満人口の自殺率(推定結果)

(1)全人口 (2)男性 (3)女性
行政投資 -0.117** -0.124** -0.119
(0.045) (0.050) (0.085)
失業対策費 -0.001* -0.002** 0.000
(0.001) (0.001) (0.001)
社会福祉費 0.002 0.036 -0.089
(0.054) (0.063) (0.086)
生活保護費 0.065 0.049 0.083
(0.085) (0.096) (0.114)
児童福祉費 0.097 0.123 0.042
(0.104) (0.135) (0.158)
衛生費 -0.005 -0.031 0.073
(0.039) (0.048) (0.081)
県民所得 -0.146 -0.185 -0.016
(0.157) (0.192) (0.172)
完全失業率 6.534** 8.680** -1.357
(1.673) (1.940) (3.405)
ジニ係数 -0.361 -0.652 0.598
(0.678) (0.759) (1.249)
財政力指数 0.037 -0.002 0.091
(0.070) (0.084) (0.109)
生活保護受給者比率 -0.009** -0.011** -0.000
(0.003) (0.004) (0.006)
雇用保険受給者比率 0.002 0.001 0.002
(0.001) (0.001) (0.002)
離婚率 0.152** 0.127 0.216**
(0.063) (0.080) (0.093)
母子世帯比率 0.021 0.022 0.027
(0.013) (0.016) (0.020)
人口規模 0.272 0.251 -0.181
(0.428) (0.554) (1.006)
都市化度 -1.219 -1.899* 0.278
(0.913) (1.007) (1.272)
15 歳未満人口割合 -0.419 -0.093 -0.148
(1.311) (1.279) (2.823)
65 歳以上人口割合 1.392 -0.277 4.655
(1.832) (2.286) (2.972)

決定係数 0.909 0.916 0.517

注) 82−06 年の都道府県データに基づく。括弧内は都道府県でクラスターされた標準誤差。従属変数は10 万
人当たり自殺率(対数値)。すべてのモデルに都道府県固定項、年固定項、都道府県特有の線形トレンドが含
まれている。*は10%水準、**は5%水準でそれぞれ統計的に有意なことを示す。サンプルサイズは1,175。

研究ノート:福祉・経済政策と自殺率−都道府県レベルデータの分析  105


表4 経済・福祉政策と65 歳以上人口の自殺率(推定結果)

(1)全人口 (2)男性 (3)女性
行政投資 -0.061 -0.019 -0.087
(0.065) (0.094) (0.083)
失業対策費 0.002 0.002 0.002
(0.001) (0.002) (0.002)
社会福祉費 0.112 0.209* 0.006
(0.093) (0.106) (0.126)
生活保護費 -0.245* -0.217 -0.259
(0.134) (0.171) (0.160)
老人福祉費 -0.060 -0.066 -0.093
(0.102) (0.110) (0.137)
衛生費 -0.026 0.010 -0.069
(0.078) (0.094) (0.106)
県民所得 -0.174 -0.046 -0.317
(0.198) (0.216) (0.331)
完全失業率 -0.334 1.861 -2.906
(2.645) (3.322) (4.285)
ジニ係数 -0.102 -0.891 0.726
(1.245) (1.486) (1.488)
財政力指数 0.046 0.009 0.124
(0.160) (0.181) (0.217)
生活保護受給者比率 0.007 -0.001 0.014
(0.006) (0.008) (0.009)
雇用保険受給者比率 -0.001 0.001 -0.004
(0.002) (0.002) (0.003)
離婚率 0.054 0.115 -0.017
(0.091) (0.108) (0.096)
高齢単身世帯比率 -0.004 0.002 -0.014
(0.009) (0.013) (0.009)
人口規模 -1.122 -1.366 -0.832
(0.953) (0.970) (1.404)
都市化度 0.734 2.116 -1.688
(1.406) (1.938) (1.870)
15 歳未満人口割合 2.139 3.098 0.907
(2.317) (3.110) (2.571)
65 歳以上人口割合 -4.071 -5.213 -2.371
(3.865) (5.685) (3.211)
決定係数 0.822 0.633 0.828

注)82−06 年の都道府県データに基づく。括弧内は都道府県でクラスターされた標準誤差。従属変数は10 万
人当たり自殺率(対数値)。すべてのモデルに都道府県固定項、年固定項、都道府県特有の線形トレンドが含
まれている。*は10%水準、**は5%水準でそれぞれ統計的に有意なことを示す。サンプルサイズは1,175。


106  日本経済研究 No.69,2013.9

経済状況に関する変数については、先行研究の知見と同じく、失業率の上昇は自殺率
(特に男性)の増加を伴うことが分かる。また、各都道府県の経済格差(ジニ係数)は
自殺率に直接の関係がないという結果が得られた。

その他、社会人口的属性の効果を見ると、離婚率の増加は自殺率の増加を伴う。第(2)
列と第(3)列を比較すると、離婚の影響をより受けやすいのは女性であることが分か
る。それ以外の変数は自殺率に有意な影響を与えていないが、唯一の例外は男性の自殺
率に及ぼす都市化度の影響である。男性の場合、県の都市化度が高いほど、自殺率が低
い傾向がある。なお、モデルには県レベルの固定効果項が含まれているため、この結果
は都市化の進んだ県とそうでない県とを比べたものではない点に注意が必要である。

65 歳以上の人口を対象とする分析結果を載せた表4によると、65 歳未満人口の自殺
率と負の関係にあった行政投資の額は、65 歳以上人口の自殺率とはまったく関係してい
ない。これは、65 歳以上の人々が、雇用機会の拡充などの公共投資の直接の恩恵を受け
ないことによるものであろう。この年代は働いていない者が多いと考えられるため、同
様に失業対策費と高齢者の自殺率にも統計的に有意な関係が存在しない。

福祉関連では1人当たり生活保護費の増加と65 歳以上人口全体の自殺率との間に負
の関係が存在するという結果が得られている(10%水準で有意)。これは、65 歳以下人
口については生活保護費の額が自殺率と有意な関係でなかった点と対照的である。その
他に、社会福祉費の増加が65 歳以上男性の自殺率の増加を伴うという結果が出ている
が、これは社会福祉費自体が自殺率を上昇させるというよりも、自殺率が高いと社会福
祉費が増える可能性によるものと考えられる。従って、社会福祉費の増額が自殺率の増
加につながるのではないだろう。


4. 結論

年間自殺数が3万人を超えている現代日本において、自殺は重要な社会問題であり、
自殺対策は急務である。政府は直接的な自殺対策(例えば自殺問題に関する啓発活動・
相談所の創設)や市民の経済状況・生活を改善する政策を通じて、自殺率を下げること
ができるだろう。しかしながら、それら政策の効果はこれまで体系的に明らかになって
いない。本稿は公共事業を始めとする経済政策及び生活保護に代表される福祉政策のデ
ータを用いて、経済政策・福祉政策と自殺率の関係を検証した。

82 年から06 年の都道府県レベルのデータによる推定結果は、経済政策及び福祉政策
が自殺率に影響を与える可能性を示唆している。公共投資・失業対策費の額は自殺率と
負の関係にあり、自殺率の減少傾向は特に65 歳以下の男性に強く認められた。また、

研究ノート:福祉・経済政策と自殺率−都道府県レベルデータの分析  107

生活保護費などの福祉政策の拡充は、65 歳以上人口の自殺率の低下をもたらす可能性が
あることを実証分析の結果は示している。さらに年代別の結果を比較すると、65 歳未満
人口の自殺率に関しては行政投資額・失業対策費など経済政策との関連性が高いのに対
し、65 歳以上人口にとっては経済政策よりも福祉政策のほうが自殺防止に効果的である
可能性が明らかになった。特に、65 歳以上人口にとっては、生活保護の拡充が非常に重
要であることを分析結果は示唆している。その点は、各都道府県の人口構成に応じて異
なった自殺対策が必要であることを示唆している。

我々の分析は自殺対策として経済政策・福祉政策が重要な役割を果たす可能性を示し
ている。自殺率を減らすために行政投資額や福祉政策を拡充することは、現実的でない
かもしれない。しかし、どのような形であれ経済的困窮を和らげる政策を実行すること
は、自殺率を低下させる一つの処方箋となりえることを本研究は示している。

参考文献

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社会保障研究』40 (1), pp. 75-87警察庁安全生活局安全企画課 (2011) 「平成22年中における自殺の概要資料」

(最終アクセス日:2011年9月9日).
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pp. 68-92澤田康幸・崔允禎・菅野早紀(2010)「不況・失業と自殺の関係についての一考察」『日本労働
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(最終アクセス日:2011年9月9日)
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(最終アクセス日:2011年9月9日)

http://www.jcer.or.jp/academic_journal/jer/detail4642.html#4


07. 2013年9月23日 19:30:24 : YxpFguEt7k
この映画も参考になります。

自殺者1万人を救う戦い
http://www.saving10000.com/ja


8. 2017年11月18日 12:44:41 : gS5Ld6uFmg : JCZ2ouVjUkA[1]
株式会社ミヤザワ 花王川崎工場死亡事故 花王東京事業所労災隠し 綾瀬営業所村上 花王不買運動 花王偽装請負 体育会系 工作員自演 半身不随 応募者ゼロ

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[12初期非表示理由]:管理人:意味なし

9. 2018年12月12日 23:48:14 : 6KiUALiH2Y : Oa_rqtre98c[58] 報告
>62: 風吹けば名無し 2013/08/25(日) 23:11:50.58 ID:SVfgsI+8
入って半年たっても仕事が遅いしミスも多いしでしんどかった
ちゃんと反省点メモって寝る前にチェックとかしてたのに
一向にミスが減らんくてつらくなってやめた
もう働ける気せーへん


わざと仕事を不必要なほど複雑にして、ミスを発生しやすくしようとしている職場というのは確かにあるよ。理由の一つはその職場を統括している管理職が他に仕事を奪われにくくするために故意に複雑怪奇な仕事の手順にするんだよね、部下がミスを犯しやすいような環境をあえて作ってパワハラやセクハラの材料にすることもできるしね。このような管理職は「ここの作業手順は非効率的でコストパフォーマンスが悪いから改善したほうがいい」などという優秀な人材は最初から採用しないし、入ってきても嫌がらせをして追い出すんだよな。

10. 2018年12月15日 22:10:02 : 6KiUALiH2Y : Oa_rqtre98c[59] 報告
私も若い時に自殺を考えたことがあるから、ここで発言する資格はあると思う。
歳取ってから思うんだけど、若者というのは全て「若さ」と「未来」という莫大な財産を持っているんだよな。数千万から数億円の金を払えば20代の若者に戻ることができるならそうする老人はいくらでもいるだろう。

若い時代はどうしても社会経験が不足しているから視野が狭くなっていて自分の抱えている問題の最善の解決方法というものが思いつかずに最悪自殺という手段を選択してしまう場合がよくあるよな。昔、私の女友達の弟が自殺した。実際に会ったことも話したこともなく写真でみたことがあるだけだったけれど、哀しかったよ。実の親なんてどれだけ悲しいだろうね。一流といわれている大学を出ていてなんともったいないことをしたものだという気持ちが今でもぬぐえない。

以前、ある歴史家が「今日の若者の置かれた状況は厳しいものであるけれど、それでも戦争中の若者に比べればはるかに可能性に満ちていて幸福である」という主旨のことを述べている記事を新聞(東京新聞?)でみたことがあるが、実際特攻隊員なんかは明日死ねと言われれば死ななければならなかったわけだからね。彼らだって今の若者と同じく素敵な女性と恋をして結婚して可愛い子供を持って親孝行もしたいと思っていたんだよ。でもそういう当たり前の幸せが許されない時代だったんだよな。

戦艦大和の沖縄特攻作戦の生き残りで戦後日銀の監査役を勤めた吉田満はその著書のなかで戦死した若者の亡霊が今日の日本の若者を見たら「この氾濫する自由と平和を見て、これでこそ死んだ甲斐があったと、歓声をあげるであろう。そして、戦火によごされた自分たちの青春にひきくらべ、今の青年たちが無限の可能性を与えられ、しかもその恵まれた力を、戦争のためではなく、社会の発展のために、協力のために、建設のために役立てうることをしんから羨み、自分たちの分まで頑張ってほしいと、精一杯の声援を送るであろう…・」(戦艦大和と戦後 吉田満・保阪正康編 筑摩書房より引用)

以下の特攻隊員として終戦僅か4ヶ月前に二十三歳で戦死した市島保夫少尉の恋人との別れを追想した遺稿を読めば今日の若者が当然のことと何とも思っていないことが本当はいかに貴重な幸せであるということが分かるでしょう。
「三年前と、ほとんど変わっていない。大きな叡智に充ちた眼が、可愛い西洋人形を思わせる。視線が会うといたずらそうな眼をする。思い出が次から次へと起きて来、楽しき回想が車輪の如く脳裡をかけめぐる。僕が北海道へ行く前に、二人きりで息詰まる思いをしたこともある。いま眼前に彼女を見ていると、すべて夢のようだ…「あなたは私のいろんな気持、知らなかったでしょう」「いや、あの北海道へ行く前に君に逢った時、そのようなことを感じたが確かめ得なかった。僕の気持ちはね、何かしら君の態度に反撥を感じながらも君に惹かれていた」
多摩川園前であった。降りると淡い電光が白くホームを照らし、ひっそりとしている。遂に別れの時が来た。永遠の別れかもしれない。私の心は平静を失って行き、混乱が頭を占め始めた。二人はじっとお互いの瞳に見入り、私は永久に彼女の面影をわが脳裏に収め、彼女の幻を見失うことがないように全霊を集めて凝視した。ただ二人の世界のみ。他の存在はことごとく無となり、先生もM君も既に側にない。貴い一刻が命を刻み過ぎて行く。無言のまま、彼女が手袋をとった手を差し出した。万感の思いをこめてしっかりその手を握り、じっと瞳を見つめる。愛する人の感触が、ほのぼのと伝わってくる…ごう然と構内に入ってくる電車の音が、すべての思い出を断ち切るように頭にジッと響いてくる。「さようなら」とお互いに口走り、後も見ずM君と電車に乗った。走り出す電車の窓から、彼女と先生の姿が階段に消えて行くのが見えた。ああ、視界から彼女の姿は消え去った。現世において相見ることは恐らくないであろう。私は静かに眼を閉じ、彼女の姿を瞼の蔭に浮かべた。彼女はかすかに笑う。さらば愛しき人よ。これが人生の姿なのだ…」(歴史街道 飛行兵たちの太平洋戦争より)

https://www.youtube.com/watch?v=buELxe1Wwa4

11. 2018年12月15日 23:59:33 : 6KiUALiH2Y : Oa_rqtre98c[60] 報告
どういうわけか削除されたのでもう一度投稿します。


私も若い時に自殺を考えたことがあるから、ここで発言する資格はあると思う。
歳取ってから思うんだけど、若者というのは全て「若さ」と「未来」という莫大な財産を持っているんだよな。数千万から数億円の金を払えば20代の若者に戻ることができるならそうする老人はいくらでもいるだろう。

若い時代はどうしても社会経験が不足しているから視野が狭くなっていて自分の抱えている問題の最善の解決方法というものが思いつかずに最悪自殺という手段を選択してしまう場合がよくあるよな。昔、私の女友達の弟が自殺した。実際に会ったことも話したこともなく写真でみたことがあるだけだったけれど、哀しかったよ。実の親なんてどれだけ悲しいだろうね。一流といわれている大学を出ていてなんともったいないことをしたものだという気持ちが今でもぬぐえない。

以前、ある歴史家が「今日の若者の置かれた状況は厳しいものであるけれど、それでも戦争中の若者に比べればはるかに可能性に満ちていて幸福である」という主旨のことを述べている記事を新聞(東京新聞?)でみたことがあるが、実際特攻隊員なんかは明日死ねと言われれば死ななければならなかったわけだからね。彼らだって今の若者と同じく素敵な女性と恋をして結婚して可愛い子供を持って親孝行もしたいと思っていたんだよ。でもそういう当たり前の幸せが許されない時代だったんだよな。

戦艦大和の沖縄特攻作戦の生き残りで戦後日銀の監査役を勤めた吉田満はその著書のなかで戦死した若者の亡霊が今日の日本の若者を見たら「この氾濫する自由と平和を見て、これでこそ死んだ甲斐があったと、歓声をあげるであろう。そして、戦火によごされた自分たちの青春にひきくらべ、今の青年たちが無限の可能性を与えられ、しかもその恵まれた力を、戦争のためではなく、社会の発展のために、協力のために、建設のために役立てうることをしんから羨み、自分たちの分まで頑張ってほしいと、精一杯の声援を送るであろう…・」(戦艦大和と戦後 吉田満・保阪正康編 筑摩書房より引用)

以下の特攻隊員として終戦僅か4ヶ月前に二十三歳で戦死した市島保夫少尉の恋人との別れを追想した遺稿を読めば今日の若者が当然のことと何とも思っていないことが本当はいかに貴重な幸せであるということが分かるでしょう。
「三年前と、ほとんど変わっていない。大きな叡智に充ちた眼が、可愛い西洋人形を思わせる。視線が会うといたずらそうな眼をする。思い出が次から次へと起きて来、楽しき回想が車輪の如く脳裡をかけめぐる。僕が北海道へ行く前に、二人きりで息詰まる思いをしたこともある。いま眼前に彼女を見ていると、すべて夢のようだ…「あなたは私のいろんな気持、知らなかったでしょう」「いや、あの北海道へ行く前に君に逢った時、そのようなことを感じたが確かめ得なかった。僕の気持ちはね、何かしら君の態度に反撥を感じながらも君に惹かれていた」
多摩川園前であった。降りると淡い電光が白くホームを照らし、ひっそりとしている。遂に別れの時が来た。永遠の別れかもしれない。私の心は平静を失って行き、混乱が頭を占め始めた。二人はじっとお互いの瞳に見入り、私は永久に彼女の面影をわが脳裏に収め、彼女の幻を見失うことがないように全霊を集めて凝視した。ただ二人の世界のみ。他の存在はことごとく無となり、先生もM君も既に側にない。貴い一刻が命を刻み過ぎて行く。無言のまま、彼女が手袋をとった手を差し出した。万感の思いをこめてしっかりその手を握り、じっと瞳を見つめる。愛する人の感触が、ほのぼのと伝わってくる…ごう然と構内に入ってくる電車の音が、すべての思い出を断ち切るように頭にジッと響いてくる。「さようなら」とお互いに口走り、後も見ずM君と電車に乗った。走り出す電車の窓から、彼女と先生の姿が階段に消えて行くのが見えた。ああ、視界から彼女の姿は消え去った。現世において相見ることは恐らくないであろう。私は静かに眼を閉じ、彼女の姿を瞼の蔭に浮かべた。彼女はかすかに笑う。さらば愛しき人よ。これが人生の姿なのだ…」(歴史街道 飛行兵たちの太平洋戦争より)

https://www.youtube.com/watch?v=buELxe1Wwa4

12. 2018年12月16日 04:28:19 : 6KiUALiH2Y : Oa_rqtre98c[61] 報告

また削除されたので3回目の投稿をします。何で削除されるのか理由がわからない。
新たに投稿すると削除された分が出て来るんだよな。

私も若い時に自殺を考えたことがあるから、ここで発言する資格はあると思う。
歳取ってから思うんだけど、若者というのは全て「若さ」と「未来」という莫大な財産を持っているんだよな。数千万から数億円の金を払えば20代の若者に戻ることができるならそうする老人はいくらでもいるだろう。

若い時代はどうしても社会経験が不足しているから視野が狭くなっていて自分の抱えている問題の最善の解決方法というものが思いつかずに最悪自殺という手段を選択してしまう場合がよくあるよな。昔、私の女友達の弟が自殺した。実際に会ったことも話したこともなく写真でみたことがあるだけだったけれど、哀しかったよ。実の親なんてどれだけ悲しいだろうね。一流といわれている大学を出ていてなんともったいないことをしたものだという気持ちが今でもぬぐえない。

以前、ある歴史家が「今日の若者の置かれた状況は厳しいものであるけれど、それでも戦争中の若者に比べればはるかに可能性に満ちていて幸福である」という主旨のことを述べている記事を新聞(東京新聞?)でみたことがあるが、実際特攻隊員なんかは明日死ねと言われれば死ななければならなかったわけだからね。彼らだって今の若者と同じく素敵な女性と恋をして結婚して可愛い子供を持って親孝行もしたいと思っていたんだよ。でもそういう当たり前の幸せが許されない時代だったんだよな。

戦艦大和の沖縄特攻作戦の生き残りで戦後日銀の監査役を勤めた吉田満はその著書のなかで戦死した若者の亡霊が今日の日本の若者を見たら「この氾濫する自由と平和を見て、これでこそ死んだ甲斐があったと、歓声をあげるであろう。そして、戦火によごされた自分たちの青春にひきくらべ、今の青年たちが無限の可能性を与えられ、しかもその恵まれた力を、戦争のためではなく、社会の発展のために、協力のために、建設のために役立てうることをしんから羨み、自分たちの分まで頑張ってほしいと、精一杯の声援を送るであろう…・」(戦艦大和と戦後 吉田満・保阪正康編 筑摩書房より引用)

以下の特攻隊員として終戦僅か4ヶ月前に二十三歳で戦死した市島保夫少尉の恋人との別れを追想した遺稿を読めば今日の若者が当然のことと何とも思っていないことが本当はいかに貴重な幸せであるということが分かるでしょう。
「三年前と、ほとんど変わっていない。大きな叡智に充ちた眼が、可愛い西洋人形を思わせる。視線が会うといたずらそうな眼をする。思い出が次から次へと起きて来、楽しき回想が車輪の如く脳裡をかけめぐる。僕が北海道へ行く前に、二人きりで息詰まる思いをしたこともある。いま眼前に彼女を見ていると、すべて夢のようだ…「あなたは私のいろんな気持、知らなかったでしょう」「いや、あの北海道へ行く前に君に逢った時、そのようなことを感じたが確かめ得なかった。僕の気持ちはね、何かしら君の態度に反撥を感じながらも君に惹かれていた」
多摩川園前であった。降りると淡い電光が白くホームを照らし、ひっそりとしている。遂に別れの時が来た。永遠の別れかもしれない。私の心は平静を失って行き、混乱が頭を占め始めた。二人はじっとお互いの瞳に見入り、私は永久に彼女の面影をわが脳裏に収め、彼女の幻を見失うことがないように全霊を集めて凝視した。ただ二人の世界のみ。他の存在はことごとく無となり、先生もM君も既に側にない。貴い一刻が命を刻み過ぎて行く。無言のまま、彼女が手袋をとった手を差し出した。万感の思いをこめてしっかりその手を握り、じっと瞳を見つめる。愛する人の感触が、ほのぼのと伝わってくる…ごう然と構内に入ってくる電車の音が、すべての思い出を断ち切るように頭にジッと響いてくる。「さようなら」とお互いに口走り、後も見ずM君と電車に乗った。走り出す電車の窓から、彼女と先生の姿が階段に消えて行くのが見えた。ああ、視界から彼女の姿は消え去った。現世において相見ることは恐らくないであろう。私は静かに眼を閉じ、彼女の姿を瞼の蔭に浮かべた。彼女はかすかに笑う。さらば愛しき人よ。これが人生の姿なのだ…」(歴史街道 飛行兵たちの太平洋戦争より)

https://www.youtube.com/watch?v=buELxe1Wwa4

13. 2019年3月19日 10:51:38 : OHILSJtWAo : Q1FnMjlDOE1mdHM=[4] 報告
人間は自然をねじ曲げることができる 代償さえ支払うなら
日本も自然に定められた運命をねじ曲げ、豊かになることはできる
生贄を供するなら

日本の気持ちが分からないでもない。
誰だって運命をねじ曲げたいから

俺にだって運命の1つや2つねじ曲げてでもかなえたいことがあるから、
気持ちは分かる
仕方がないんじゃないかな。社会や人が「歪む」のは。

14. 2019年3月19日 10:53:18 : OHILSJtWAo : Q1FnMjlDOE1mdHM=[5] 報告
歪みを受け入れてこそ得られる力もあるんだ
これでいいんだよ日本は
貧しいことも地獄だし
ならば、その現実を変えるために苦しむことを選ぶも一つの選択じゃないか
15. 2019年4月01日 21:03:48 : 6KiUALiH2Y : NTNnc2FGWVN2SWM=[21] 報告
横浜市には「健康福祉局生活支援課」というのがあって生活に困っている人を対象に無料で相談にのってくれるらしいです。(代表 045-671-2429)一時的に衣食住を提供してもらえる場合もあるようです。他の市町村でも似たような機関があるんじゃないかな。
16. 2019年4月15日 15:48:13 : yNZuvJZCxs : dXptWGhkLjVQMFU=[8] 報告
現実はAIが人間を滅ぼしたことを肯定するためのシミュレーションだし輪廻転生(笑)とかいうスターシステムで当たりアカウント引けるかどうかがすべての出来レースやってることを隠蔽する為に人間の心や矛盾という概念が存在するってはっきりわかんだね(小並感)
精神病なんて苦しむ患者を見下して優越感に浸るために仕事してる医者や看護師の習性を利用して生活保護を貰うために存在する病気だから実際は誰も困ってないんだよなあ…( #眼Д心)
金という行動する為の権限を独占する為の出来レースを維持する事を美化して一般人に何もしないよりマシって言い訳全開の苦労自慢したり都合のいい時だけ連帯責任の理屈を持ち出して悲劇の主人公ぶってるけど負け組は負け組のままでいろとか他人さえ不幸ならどんなに不便な世界でも構わないというのが勝ち組上級国民の本音だし他者に無意味な苦痛を強制しなきゃ幸福感や達成感を得られないドMサイコパス老害上級国民は弱い者イジメと責任転嫁しか能がない嫌われモノなのに悪質なマッチポンプとか主人公補正で肯定されるのはやっぱつれぇわ…努力と根性が大好きな勝ち組上級国民が不便な田舎に住んで上級国民にとっての「みんな」に含まれない負け組の一般人は一人で全部こなさなきゃいけないから便利な都会に住むようにしない限り狭量な努力厨AIのディストピアは続くからよ…無能な勝ち組上級国民へのテロは止まるんじゃねえぞ…
17. 2019年11月08日 22:16:13 : u2qonukhmE : My9oTDNSeUFvdU0=[69] 報告
だからテーマパーク自殺ランドなんだよ。
このテーマパークの目的は他人に迷惑をかけないようにする為に作られる。
このパーク内には電車はぐるぐる回ってるし、高いビルも滝や崖もあるし樹海まである、個室も有るし好きなシュチエーションで死ねるし入場料は国の補助で只で利用出来る、一般的に言って通常町の中でやらかす自殺の経済損失や人々の精神的ショックを考えるとクローズされた所で行ってもらったほうが良いと言う考えからなんですよ。そのテーマパークではその後の処理も色々なオプションで遺体を処理してくれるますから。

いかがですかテーマパーク自殺ランド。逝きたくなって来たでしょ。「ドーン!」

                                 喪黒福造


18. 2019年11月09日 10:37:01 : iFn8MDLkzI : MDE3MTROVWk5anc=[694] 報告
>>17
ではその国から出て行く選択だとどのようなシナリオになるのでしょう?
教えていただければと思います。

[18初期非表示理由]:担当:巧妙に混乱したコメント多数により全部処理

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