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生活困窮者の自立をむしろ後退させる? 再び国会に提出された、生活保護法改正案の問題点 ――政策ウォッチ編・第44回
http://www.asyura2.com/12/social9/msg/431.html
投稿者 SRI 日時 2013 年 10 月 18 日 00:40:20: rUXLhToetCnYE
 

【政策ウォッチ編・第44回】 2013年10月18日 みわよしこ [フリーランス・ライター]

生活困窮者の自立をむしろ後退させる?
再び国会に提出された、生活保護法改正案の問題点
――政策ウォッチ編・第44回

今回は予定を変更し、2013年10月15日に閣議決定された生活保護法改正案と、この改正に向けたさまざまな動きについて紹介する。

充分な議論もなく、政治力によって生活保護法改正が強行される動きはないだろうか? 現行生活保護制度の何が問題なのであろうか? そして改正案は、それらの問題点を解決するであろうか?

生活保護法改正案
ふたたび国会での審議へ

 2013年10月15日、第185回臨時国会が開会された。同日、「生活保護法の一部を改正する法案」「生活困窮者自立支援法案」が閣議決定された。ちなみにこの日、「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案」も閣議決定されている。筆者は本連載で一貫して、生活保護制度を社会保障の最も重要な一部・社会保障の基盤と考える立場に立っている。引き続き、この立場から、生活保護法改正にまつわる動きに注目していきたい。

 まず、今回の生活保護法改正案につながる動きを整理してみよう。

・2011年4月
 社会保障審議会・生活保護基準部会(基準部会)、第1回が開催される(現在も継続中)。
 2012年に予定されていた、5年に1回の基準見直しのため。

・2012年3月
 自民党内に「生活保護に関するプロジェクトチーム」(座長・世耕弘成参議院議員)が設置される。

・2012年4月
 お笑い芸人・河本準一氏の母親が生活保護を受給していたことをきっかけとして報道が過熱。
 社会保障審議会・生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会(特別部会)、第1回が開催される。

・2012年8月
「社会保障と税の一体改革」に関する一連の法案が成立(参考:「生活保護のリアル」第11回、「生活保護のリアル・政策ウォッチ編」第1回)。
 新仕分けで生活保護基準引き下げが議論される(「生活保護のリアル・政策ウォッチ編」第3回)。
 社会保障制度改革国民会議が設置される。

・2012年12月
 衆議院選挙。自民党が単独過半数に(「生活保護のリアル・政策ウォッチ編」第7回)。

・2013年1月
 基準部会・特別部会の報告書が公開される(「生活保護のリアル・政策ウォッチ編」第11回、同第12回)。特別部会は解散。
 直後、厚労省が資料「生活保護制度の見直しについて」を公開(基準部会報告書とはほぼ無関係)(「生活保護のリアル・政策ウォッチ編」第13回)。

・2013年2月
 大阪府「淀川生活と健康を守る会(淀川生健会)」事務所に対し、大阪府警が家宅捜索を行う。

・2013年3月
 厚生労働省社会・援護局関係主管課長会議が開催される(「生活保護のリアル・政策ウォッチ編」第20回)。
 生活保護基準の引き下げ方針などが明確に。

・2013年4月
 大阪府の障害者が車を保有したまま生活保護を受給することに対し、「合法」との地裁判決(参考:産経ニュース)。

・2013年5月
 生活保護基準の引き下げを含む2013年度予算が成立。
 国連社会権規約委員会より日本に対し、生活保護制度を利用しやすくする・申請者の尊厳を損なわない・スティグマ軽減のため社会教育を行うように勧告が行われる。 
 生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案が国会に提出される(「生活保護のリアル・政策ウォッチ編」第24回など)。  
 特別部会の議論は、生活困窮者自立支援法案にほとんど盛り込まれていない。

・2013年6月
 生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案が、参院で審議されたものの廃案に(「生活保護のリアル・政策ウォッチ編」第31回)。

・2013年7月
 参議院選挙。自民党・公明党が過半数に。

・2013年8月
 生活保護基準(生活扶助)の引き下げが実施される(「生活保護のリアル・政策ウォッチ編」第34回)。
 社会保障制度改革国民会議、報告書を公開、解散。

・2013年9月 「全大阪生活と健康を守る会連合会(大生連)」事務所・淀川生健会事務所に対し、会員の生活保護法違反を理由とした家宅捜査が行われる(「生活保護のリアル・政策ウォッチ編」第41回)。  
 生活保護基準引き下げに対し、生活保護当事者たちによる全国一斉審査請求が行われる(「生活保護のリアル・政策ウォッチ編」第40回)。
 一斉審査請求に参加した生活保護当事者は、合計で1万名を越える。

・2013年10月 基準部会が再開。生活扶助以外の扶助の引き下げを検討開始。      
 東京の「全国生活と健康を守る会連合会(全生連)」、大生連、淀川生健会に対して家宅捜索が行われる。容疑は淀川生健会会員の生活保護法違反。
 生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案が閣議決定され衆院へ。    

 とにもかくにも、政府は社会保障削減に向けて動いている。突破口として、いかなる手段を用いてでも生活保護を切り崩そうとしている。その図式が、明々白々と見えてこないだろうか?

生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案の
何が問題なのか?

 今回提出された生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案には、数多くの問題点が含まれている。最大の問題点は、生活保護の申請権が保障されなくなるということだ。生活保護法改正案を見てみよう。

第24条:
「保護の開始の申請は(略)申請書を保護の実施機関に提出しなければならない。 ただし、当該申請書を作成することができない特別の事情があるときは、この限りではない。」

第24条2項
「前項の申請書には(略)厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない。ただし、当該書類を添付することができない特別の事情があるときは、この限りではない。」
「……特別の事情があるときは、この限りではない。」とはあるけれども、その「特別の事情」の有無を誰がどう判断するというのだろうか。「申請書を渡さず、申請を行わせない」「書類不足を理由として申請を受け付けない」は、現在でも、福祉事務所の窓口で生活保護を申請させないために行われる「水際作戦」で多く用いられる手段である。「現在は違法とされているこれらの対応を合法化するための法改正」と解釈しないでいることは難しい。

 生活困窮者自立支援法案に対しては、日本にほとんど存在しない「第二のセーフティネット(雇用と扶助の間にあるべきセーフティネット)」の法制度化として評価することも可能である。しかし、今回の生活保護法改正案とセットとなった時には、ただ単に

「困窮者を福祉事務所に来させないための防波堤」

 として機能する可能性は少なくないだろう。筆者はそのように考えている。

 では、生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案が組み合わせられると、どのようなことが起こりうるか。さいきまこ氏のイラストをご参照いただきたい。


漫画家・さいきまこ氏による、生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案。このように運用される可能性が高いことを忘れずに、メディア報道や政府答弁に接したい。
参考:さいきまこ氏のインタビュー記事
「読めば貧困・生活保護が他人事ではなくなる!?マンガで生活保護を描く、さいきまこ氏の思い」


ジャーナリスト・池上正樹氏の近著「ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護」(ポプラ新書)。 長年引きこもっていた人々が自分の人生を再度歩みはじめるにあたって、生活保護がどれほど有効かつ唯一の手段であるのか、具体的な事例に即して語られている
 現在、生活保護の申請は、申請書を提出することによって行える。福祉事務所を訪れることが困難であれば、郵送によってもよい。「申請書を渡さない」という対応は、前述したとおり、生活保護の申請をさせないために広く行われているが、申請書を自分で用意すればよいのである。フォーマットに特に定めはなく、レポート用紙に同様の事項をメモ書きしたものでもよい。

 なお、福祉事務所で渡される申請書と同等の申請書は、「もやい」のサイトでダウンロードすることができる。預金通帳・賃貸契約書など必要な書類が揃っていることは、現在、申請の必須条件ではない。だから、着の身着のままで逃げてきた災害被災者・DV被害者等が生活保護を申請できるのである。生活保護法改正案が成立すると、このようなケースで申請を可能にする対応が「特例」扱いとなりかねない。政府は「これまでと対応は変わらない」としているが、本当にそうであれば、そもそも法改正の必要性がないのである。

「不正受給」「福祉への依存」「不公平」を
生活保護法改正案は解決できるか

 とはいうものの、現在の生活保護制度には数多くの問題がある。筆者の考える最大の問題は、

・捕捉率(困窮者のうち生活保護を利用している人々の比率)の低さ(日本では多めに見積もっても30%程度)
・生活保護基準が「健康で文化的な最低限度の生活」に足りていないこと

 の2点であるが、一般的に認識されている問題点は「不正受給が多い」「生活保護という制度があるから甘えて働かない」「一般低所得世帯との不公平感」の3点であろう。

 不正受給は、過去も現在も決して多いとはいえず、金額で0.5%程度である。近年、不正受給の摘発は強化され続けており、件数は増加しているけれども、一件あたりの金額は減少する傾向にある。さらに「不正受給」とされているケースの中では「収入申告の義務を説明されていなかった高校生が、アルバイト代を申告していなかった」というものが多く見られるようになってきている。このようなケースでは、単に受け取りすぎた保護費を返還させれば済む。コミュニケーション不足・説明不足によって発生する「不正受給」は、厳罰化すれば解決するというわけではないだろう。最初から保護費詐取が目的であった事例・福祉事務所に再三指導されているにもかかわらず繰り返される事例などに対しては、現在と同様に、刑事告発も含めた対応を行えばよいだけの話である。

 生活保護法違反だけでは「厳罰」というほどのペナルティにはならないけれども、悪質で刑事告発が行われるケースでは刑法犯となり、その他の罪状にも問われる可能性が高い。その場合の取り扱いも、現行の生活保護法に規定されている。悪質なら刑法犯になるのだから、生活保護法自体の厳罰化は必要ないのではないだろうか?

第八十五条 不実の申請その他不正な手段により保護を受け、又は他人をして受けさせた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。ただし、刑法(明治四十年法律第四十五号)に正条があるときは、刑法による。
 筆者自身は、今回検討される厳罰化に対し、

「説明を受けていなかった高校生などに対しても厳罰を適用することにより、国民全体に恐怖感を与え、支配しやすくすることが目的なのではないか?」

 という危惧を抱いている。昨今の政治の動きに対しては、「下衆の勘ぐり」と言われようが、どれだけ怖れても「怖れすぎ」にはならないと考えている。

「生活保護という制度があるから甘えて働かない」に対しては、「そもそも、働きたくても働くことの困難な人が多い」「働きたくても、その人が就くことのできる仕事がない」の2点を指摘しておきたい。たとえば、「働けるのに働けない」の代表例とされている「その他の世帯(世帯主が稼働年齢、障害者でも傷病者でもなく、母子世帯でもない世帯)」では、世帯主の概ね半数が50代・60代であり、概ね30%程度は障害・傷病を持つ家族を抱えている。高齢化問題であり、介護問題である。

 一般低所得世帯との不公平感に関しては、感じ方の問題ではなく、実際に不公平が存在することを筆者も認める。しかしその原因は、生活保護当事者たちでもなければ、生活保護基準が高すぎることでもない。最大の問題は、所得税の基礎控除額(単身者で38万円)が低すぎることにある。基礎控除は「税を徴収するにあたって、健康で文化的な最低限度の生活を営むのに必要な費用は残す」という目的で行われる控除であるから、基礎控除額が生活保護基準より低いことは問題である。基礎控除額が都市部の単身者で150万円程度になれば、現在指摘されている「不公平感」の多くは解消する。

 生活保護を利用していない一般低所得世帯が、生活保護によって守られているという側面もある。低所得世帯向けの支援制度の多くは、「所得が生活保護基準の1.3倍」のように利用の可否が判断される(本連載「政策ウォッチ編」第16回参照)。就学援助をはじめとする数多くの制度の利用が、生活保護基準引き下げによって困難になる。いくつかの自治体の試算により、実際に対象者が減少することも指摘されはじめている。たとえば9月14日の北海道新聞には、以下のような報道があった。

生活保護費基準額引き下げ  就学援助 469人対象外 市教委試算

 定例釧路市議会は13日、一般質問を続行。8月から引き下げられた生活保護費の基準額によって認定が決まる就学援助について、千葉誠一教育長は現在、対象の2180世帯3209人のうち、制度の移行が終わる2016年度には311世帯469人が不認定となるとの見通しを明らかにした。

 小、中学生の学用品や給食費などのために支給される市の就学援助は収入が生活保護基準の1.2倍未満の世帯が対象。1世帯につき、年間約12万円が給付されている。認定世帯数の削減を避けるための制度見直しに、千葉教育長は「他都市の動向を踏まえながら、どのような形がよいのか研究していかなければならない」と述べた。宮田団氏(市民連)への答弁。
その他の施策との間に
矛盾点はないか

 今回の生活保護法改正案は、政府が推進しようとしているその他の施策と矛盾する内容を含んでもいる。10月15日の閣議では、

「障害者の権利に関する条約の締結について国会の承認を求めるの件 」

 も検討された。2006年に国連で採択された障害者権利条約の批准は、以後ずっと、日本の課題でありつづけている。2013年6月に成立した「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(2016年施行)」は、障害者権利条約の批准に向けての一歩でもあった。

 障害者権利条約から、今回の生活保護法改正案と関係しそうな箇所を見てみよう。生活の保障についてはどうだろうか?

第28条 適切〔十分〕な生活水準及び社会保護

1 締約国は、自己及びその家族の適切〔十分〕な生活水準(適切〔十分〕な食料、衣類及び住居を含む。)についての並びに生活条件の不断の改善についての障害のある人の権利を認めるものとし、この権利を障害に基づく差別なしに実現することを保障し及び促進するための適切な措置をとる。

2 締約国は、社会保護についての障害のある人の権利及びこの権利を障害に基づく差別なしに享有することについての障害のある人の権利を認めるものとし、この権利の実現を保障し及び促進するための適切な措置をとる。これには、次の措置を含む。(後略)
 障害者の生活保障が生活保護であってよいのかどうかについては、長年、議論の多いところである。しかし、教育を受けることも就労も困難な日本の障害者は、生活保護以外に利用できる制度がない場合も多い。

 今回の生活保護法改正案では、3親等内の親族までの扶養義務が強化されている。障害者権利条約は、障害者の自立生活について、どのように規定しているだろうか?

第19条 自立した生活〔生活の自律〕及び地域社会へのインクルージョン

 この条約の締約国は、障害のあるすべての人に対し、他の者と平等の選択の自由をもって地域社会で生活する平等の権利を認める。締約国は、障害のある人によるこの権利の完全な享有並びに地域社会への障害のある人の完全なインクルージョン及び参加を容易にするための効果的かつ適切な措置をとるものとし、特に次のことを確保する。

(a) 障害のある人が、他の者との平等を基礎として、居住地及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること、並びに特定の生活様式で生活するよう義務づけられないこと。
(b) 障害のある人が、地域社会における生活及びインクルージョンを支援するために並びに地域社会からの孤立及び隔離を防止するために必要な在宅サービス、居住サービスその他の地域社会支援サービス(パーソナル・アシスタンスを含む。)にアクセスすること。
(後略)
 現在のところ、日本の障害者に「居住地及び誰と生活するかを選択する機会」「特定の生活様式(筆者注:施設入所や社会的入院など)で生活するよう義務づけられない」を保障しているのは、生活保護制度である。障害基礎年金は生活保護基準よりも低いため、基礎年金の場合には「障害年金で生活する」は不可能だ。

 また、障害者が親族に扶養されるということは、「地域社会からの孤立および隔離」そのものである。このことは、本連載政策ウォッチ編・第33回および第38回で紹介したとおりだ。

「困窮者を甘やかさない」政策は
本当に自立に有効なのか?

 最後に、「生活保護の申請を困難にする」「生活保護基準を引き下げる」といったことが、「自立の助長」に対して真に有効であるかどうかについて、興味深い論文を紹介したい。


科学雑誌「Science」に掲載された論文「Poverty Impedes Cognitive Function(貧困は認知機能を妨げる)」は、アブストラクト(要約)だけなら無料で読める。本文を読むには、論文の購入または発行元(アメリカ科学振興協会)への入会が必要。アブストラクトへのリンク
「Science」誌341号(2013年8月発行)に掲載された、ハーバード大・ブリティッシュコロンビア大などの研究グループによる論文「Poverty Impedes Cognitive Function(貧困は認知機能を妨げる)」に示されているのは、日本のことわざで言う「貧すれば鈍す」そのものだ。

 この論文では、合計約100人の高所得層と低所得層に対する認知能力テスト・合計約500人の農家に対するインタビュー調査を行い、貧困と認知機能の関係・貧困のもたらす何が認知機能を減少させているかを明らかにした。

 結果は、興味深いものであった。認知機能を減少させているのは、貧困そのものであった。貧困状態にあると、考えなくてはならないこと・対処しなくてはならないことがらが増加する。そのことにより、認知に用いる(脳の)資源が不足する。知能指数で現せば、約13に及ぶ低減となることもある。

 論文はまた、貧困政策に対しても提言を行っている。貧困による認知能力の低下を防ぐのは、貧困そのものの解消であるとし、扶助や支援制度を利用しやすくすること・(努力義務などの条件を付さずに)経済的支援を行うことの重要性を強調している。

「この研究グループの人々が、日本政府が推し進めようとしている生活保護制度改革を知ったら、どう見るだろう?」

 と筆者は思った。多くの先進国に、「困窮者にプレッシャーを与えることによって自立を目指させる」に関する多くの失敗例がある。そのことが、この研究の原動力の1つとなったのではないかと推測する。「貧すれば鈍す」を推進しかねない方向性を日本がこれから目指すことには、どのような意味があるのだろうか? 筆者は早速、この研究グループに連絡を取り、日本の現状を知らせてコメントの依頼を行い、快諾された。コメントは受けとりしだい、本連載で紹介したい。

 次回は、政治的な動きを視野に入れつつ、生活困窮者自立支援法案の問題点と、異論反論も多いこの法案に関する多様な意見を紹介したい。真の「自立」あるいは「自立の支援」とは、どういうことなのであろうか?


<お知らせ>
本連載に大幅な加筆を加えて再編集した書籍『生活保護リアル』(日本評論社)が、7月5日より、全国の書店で好評発売中です。

本田由紀氏推薦文
「この本が差し出す様々な『リアル』は、生活保護への憎悪という濃霧を吹き払う一陣の風となるだろう」

http://diamond.jp/articles/print/43173  

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コメント
 
01. 2013年10月21日 23:06:11 : Un6heX4IUI

372 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2013/10/19(土) 22:03:29.91 ID:ZNTo2XvaP
なんだこれ

フィリピン家族の還付金
奥様がフィリピン人だと税金が5年分戻ります!
http://japhil.com/



http://www.peeep.us/3aa5b54b
http://livedoor.blogimg.jp/hoshusokho/imgs/7/3/73f0def9.png


02. 2013年10月25日 00:38:34 : niiL5nr8dQ
【政策ウォッチ編・第45回】 2013年10月25日 みわよしこ [フリーランス・ライター]
利権と不正の新たな温床となる懸念はないか?
再提出された生活困窮者自立支援法案の問題点
――政策ウォッチ編・第45回
2013年10月15日、生活保護法改正案とともに、生活困窮者自立支援法案(困窮者自立支援法案)が再び閣議決定された。この法案には、本連載政策ウォッチ編・第27回で指摘した「対象者が不明確」「有効性が疑わしい」「新たな水際作戦の窓口が増える」「国の制度として定められる範囲が小さすぎる」という問題点以外にも、さまざまな可能性と数多くの問題点が含まれている。

今回は、生活困窮者自立支援法案のその他の問題点について検討してみたい。特に、利権や不正の新たな温床となる懸念はないだろうか?

生活保護をめぐる報道が
急激に増加

 本題の生活困窮者自立支援法案について検討する前に、9月末からの生活保護に関する主な報道を時系列で整理してみたい。いわゆる「不正受給」や福祉事務所の経理ミスについては、内容の詳細が不明であるもの・疑問点の多いものも含めて報道が多いため、特に大きく取り扱われたもののみとする(リンクのない新聞記事は、新聞記事データベースによる)。

2013年9月27日
-8月1日から実施された生活保護費減額に際し、コンピュータ・システムの改修に必要な費用を確保するため、セーフティーネット支援対策等事業費補助金(生活保護当事者・生活困窮者等の自立支援のための補助金)が不足することが判明した(東京新聞 http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013092702000144.html

2013年10月3日
-沖縄県内の「その他世帯(生活保護世帯のうち世帯主が稼働可能な世帯)」が、2008年の1592世帯から2012年は3231世帯と約2倍に増加した(琉球新報)
-全国の生活保護世帯が過去最多(約159万世帯)に、受給者数も最多(約216万人)に(岩手日報ほか)

2013年10月5日
-厚労省、生活保護の住宅扶助などを削減する方針を社保審・生活保護基準部会に示した(毎日新聞)
-厚労省、消費増税に伴い、生活扶助を引き上げる方針を明らかにした(朝日新聞)

2013年10月8日
-千葉県所轄の6福祉事務所で、ケースワーカーの過半数が無資格であったことが判明(読売新聞)
-福岡県中間市の職員が関与したとされる生活保護費不正受給について、事件と別に不正支出の疑いのある9件が判明(毎日新聞)

2013年10月9日
-10月4日、政府・規制改革会議が「日雇い派遣」の解禁を厚労省に求めた(東京新聞)

2013年10月10日
-孤独死した生活保護受給者に対して生活保護費を支給し続けていた事例が、50自治体で287件判明。死後も支払われていた生活保護費は約3000万円(NHK「おはよう日本」)

2013年10月12日
-生活保護基準引き下げに対する不服審査請求が1万件を突破。厚労省内で記者会見が行われた(しんぶん赤旗 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-12/2013101201_01_1.html

2013年10月13日
-10月12日、全国生活と健康を守る会連合会(全生連)・全大阪生活と健康を守る会連合会(大生連)・淀川生活と健康を守る会の各事務局が、大阪府警によって行われた家宅捜索に対する抗議声明を出した。10日に捜索理由不明のまま行われた家宅捜索に対するもの(しんぶん赤旗 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-13/2013101315_03_1.html

2013年10月15日
-生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案が閣議決定された(日本経済新聞 http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF1500S_V11C13A0EB1000/ など)

2013年10月16日
-生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案に対し、参院先議とする政府方針。民主党は応じない方針(時事通信 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201310/2013101600709

2013年10月17日
-生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案に対し、民主党が情報公開法改正案の衆院審議を条件に、参院先議に応じた。2法案は参院へ(時事通信 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201310/2013101700942

2013年10月20日
-大阪で暴力団員らが生活保護受給者から保証金を詐取していた疑いで逮捕された。暴力団員らが部屋を又貸ししていた生活保護受給者は約2000人にのぼる(読売新聞 http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20131020-OYO1T00324.htm?from=main1 など)
-河内長野市職員が生活保護費を横領していた疑いで事情聴取を受ける(後に逮捕)。不明となっている金額は約2億6千万円に達する(読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131021-OYT1T00186.htm?from=ylist など)

2013年10月23日
-さいたま市内の福祉事務所で就労に関する指導を受けていた52歳の男性、「死んでやる」とカッターナイフを出し、銃刀法違反で逮捕された(埼玉新聞 http://www.saitama-np.co.jp/news/2013/10/23/05.html など)

 そして今週末か来週初めにも、生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案は、参院で審議開始となろうとしている。

生活保護・困窮者支援をめぐる
真の問題点は?

 先月末からの生活保護に関係する報道を時系列で見てみると、

-大規模な生活保護費不正受給は、行政や暴力団が関与している
-行政の運用に、予算不足・有資格者不足・体制不備などの問題点がある
-並行して、非正規雇用の拡大・労働条件引き下げが意図されている
-生活保護当事者が死にたくなるほどの就労指導が行われている一方で、孤独死が気付かれずにいたりする

 といった問題点が浮かび上がってくる。前述のとおり、一件あたりの金額が必ずしも多額ではない不正受給を時系列には含めていない。それでも、「不正受給」とされる事態が起こりやすい・見逃される可能性は、個々の生活保護当事者ではなく、それ以外のどこかで発生していると考えるのが自然ではないだろうか?

 現在の生活保護制度でも、これだけの問題が起こっている。生活保護以上に細かな関わりが求められるはずの生活困窮者支援一般が、現状の延長で成功するとは、筆者にはとても思えない。

 では、生活困窮者自立支援法案の問題点を整理してみよう。法案そのものは厚労省のサイト内にある。今国会に同時に提出された生活保護法の一部を改正する法律案・持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案とともに、厚労省サイト・国会提出法案ページで見ることができる。

 本連載政策ウォッチ編・第27回では、

-対象者が不明確
-有効性が疑わしい
-新たな水際作戦の窓口が増えるだけになる可能性がある
-国の制度として定められる範囲が小さすぎる(各地域の裁量に任せられる範囲が大きすぎる)

 の4点を主に指摘した。

 今回は、法案が成立した場合の実施の体制に関する問題点を、主に検討したい。誰が・どのように実施するのか、である。

責任ある困窮者支援を
NPO主体で実行できるのか?

 生活困窮者自立支援法案によれば、中心となるのは「生活困窮者自立相談支援事業(相談事業)」である。この他に、

-生活困窮者住居確保給付金(最長6ヵ月を限度として、生活保護の住宅扶助相当額を支給する)
-生活困窮者一時生活支援事業(路上生活者などに対してシェルターを提供する)
-生活困窮者就労訓練事業(就労状態を途切れさせないことを中心とした就労訓練事業。法案には明確に書かれていないが、最低賃金の制約を受けない「中間的就労」が意図されている)

 がある。中心となっている相談事業は、どこの誰が行うのであろうか?

(生活困窮者自立相談支援事業)
第四条 都道府県等は、生活困窮者自立相談支援事業を行うものとする。
2 都道府県等は、生活困窮者自立相談支援事業の事務の全部又は一部を当該都道府県等以外の厚生労働省令で定める者に委託することができる。
3 前項の規定による委託を受けた者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者は、その委託を受けた事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
 実施主体は「都道府県等」であるが、「省令で定める者に委託することができる」とある。NPO・第3セクター方式などでの、いわゆる「民間活力」の活用が意図されている。

 費用はどうだろうか?

(国の負担及び補助)
第九条 国は、政令で定めるところにより、次に掲げるものの四分の三を負担する。
 として、相談事業・生活困窮者住居確保給付金(最長6ヵ月を限度として、生活保護の住宅扶助相当額を支給する)に必要な費用の75%を国が負担するとしている。残りが市等・または都道府県等の負担となる。

 この「委託」の真意は何なのだろうか? 現在、行政が直接運用している生活保護制度においてさえ、運用が充分に円滑に行われているとはいえない。運用体制の問題点が背景となっている事件が数多く見受けられることは、今回冒頭の時系列に見るとおりだ。そして、

「民間に運用委託すれば、行政が直接運用するより問題が少なくなる」

 という根拠はない。それに、いわゆる「貧困ビジネス」による中抜きの温床となったり、この「相談支援」そのものが新たな水際作戦の窓口となる可能性を無視するわけには行かない。

「貧困ビジネス」対策は
考えられていない?

 2013年8月6日、福島みずほ参院議員(社民党)は参院に対し、生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案に関する質問主意書を提出した(答弁書ともこちらからダウンロード可能)。福島議員の質問は、「『自立支援』の『自立』の内容は」「『生活困窮者』の範囲および内容は」と、これらの法案の基本的な問題を鋭く浮き彫りにする内容となっている。この質問の最後に、貧困ビジネスに関する質問がある。

七 自立支援法案の生活困窮者就労訓練事業における訓練等に従事する者については、最低賃金その他の労働関係法規の適用があるか。適用がないとする場合、訓練の名の下の労働関係法規の潜脱をいかにして回避するのか。(略)不適切な事業者を関し監督する体制を構築することが必要と考えられるが、(略)どのような施策が予定されているか。
八 いわゆる貧困ビジネス業者が、自立支援法案における生活困窮者一時生活支援事業や生活困窮者就労訓練事業などに参加し、生活困窮者を囲い込み、搾取の対象とする事態を回避するために、どのような施策が予定されているか。事業者との間の委託契約の内容において、かかる事態を規制し、違反に対して制裁を加える必要があると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
 政府の回答は、以下のとおりである。

七について 
(略)具体的な事案における生活困窮者就労訓練事業の対象者が労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第九条に規定する労働者に該当するか否かの判断は、労務提供の形態や報酬の労務対償性及びこれらに関連する諸要素も勘案して総合的に行われるものである。いずれにせよ、生活困窮者就労訓練事業が適切に実施されるよう、生活困窮者の就労に必要な知識及び能力の向上のための基準を厚生労働省令で定めるとともに、都道府県知事等が当該基準に適合していることにつき認定した生活困窮者就労訓練事業の利用を生活困窮者にあっせんする仕組みとすることとしていたところである。
八について
生活困窮者自立支援法案第二条第二項に規定する生活困窮者自立相談支援事業、同条第四項に規定する生活困窮者就労準備支援事業、同条第五項に規定する生活困窮者一時生活支援事業及び同条第六項に規定する生活困窮者家計相談支援事業並びに生活困窮者自立支援法案第六条第一項第四号に規定する「生活困窮者である子どもに対し学習の援助を行う事業」及び同項第五号に規定する「その他生活困窮者の自立の促進を図るために必要な事業」については、適切な事業実施を確保するため、都道府県等が当該事業の事務の全部又は一部を当該都道府県等以外の厚生労働省令で定める者に委託することができることとしたところである。
「適切に実施する」「基準を定める」「認定する」「適切な事業実施を確保する」「厚生労働省令で定める者に委託する」という文言はあるけれども、何をもって「適切」とするのか? 「基準」は何なのか? 「厚生労働省で定める者」そのものがブラック企業であったり貧困ビジネスであったりする可能性はどのように回避される(されない)のか? 何一つ、明瞭な回答は行われていない。

困窮者支援は自治体によって
かなりの温度差も

 生活困窮者自立支援法案については、賛否とも数多くの意見がある。また、自治体による温度差も大きい。たとえば、先進的な困窮者支援を早くから行い、大きな成果をあげてきた北海道・釧路市の関係者は、「これまで自分たちのやってきたことに法の裏付けができる」と歓迎し、同時に法案が提出されている生活保護法改正については「法律がどうなろうが、今までとやることが変わるわけではない」と言う。釧路市では、実際にそうなのかもしれない。

 しかし、今のところは成立していない生活困窮者自立支援法案を先取りする形で、全く異なる動きも表面化している。2013年8月27日付け毎日新聞記事では、生活保護申請そのものを抑制する目的での相談支援の姿が明確に示されている。

 記事タイトルは「なら福祉・就労支援センター:奈良市庁舎内に来月開設 生活保護費抑制も」。要約すると以下のような内容だ。

 2013年9月2日、奈良市役所内に開設された「なら福祉・就労支援センター」は、奈良労働局職員2名・市職員2名の体制。いずれも就労相談の研修を受けている。本年度より開始された国の「生活保護受給者等就労自立支援促進事業」に基づく取り組みで、既に生活保護を受給している人々を主な対象としている。市役所に生活保護を申請するための相談に訪れた人々のうち稼働可能な人々をセンターに誘導して、職業相談や職業紹介も行う。仲川げん奈良市長は「安易に生活保護を受給する方を水際で止める」と述べ、生活保護費の抑制が狙いであることも明らかにしているという。

 少なくとも奈良市では、多くの人々に危惧されている「新たな水際作戦の窓口」としての機能を意図して、相談事業が開始されていると見てよいだろう。地域の独自性は重要かもしれない。しかし、ある地域では生きることもできず、ある地域では再起が果たせるというほどの格差が地域によって発生することを、看過することはできない。

 筆者は引き続き、生活困窮者自立支援法案に対しては「要警戒」だと考えている。日本のほとんどの人々と同じように、自助努力ではどうにもならない事情によって、筆者はいつ困窮するか分からない。難病に罹患するかもしれないし、事故に巻き込まれるかもしれない。その時、自分を襲うそれらの事態によって苦しむ以上に痛めつけられることなく、必要な支援を得て、再起を果たしたり、自分らしい生活を営み続けたりしたい。多くの人々がそう望むように、筆者もまたそう望む。そして、この生活困窮者自立支援法案が、多くの人々のその希望を支えるように運用される可能性を、筆者はあまり信じることができない。

 次回は、釧路市で長年行われてきた生活困窮者支援について紹介する予定である。実効性ある支援、当事者こそが切望する「自立」の支援は、どのように発想され、どのように実現されているのだろうか?


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「この本が差し出す様々な『リアル』は、生活保護への憎悪という濃霧を吹き払う一陣の風となるだろう」

[12削除理由]:無関係な長文多数

03. 2013年11月01日 05:33:00 : niiL5nr8dQ
【政策ウォッチ編・第46回】 2013年11月1日 みわよしこ [フリーランス・ライター]
釧路は本当にユートピアなのか
多様な社会参加を目指す生活困窮者支援のあり方
――政策ウォッチ編・第46回
来週にも参院での審議が始まると見られている生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案。

生活困窮者自立支援法案は、いくつかの地域での生活困窮者支援の実践をもとに、社会保障審議会での議論を通して成立したことになっている。では実際の実践は、どの程度反映されているであろうか?

今回は、先駆的な困窮者支援を展開してきた釧路市の事例を通して、有効な生活困窮者支援・ゴールとされるべき「自立」のあり方について考えたい。

「ユートピア? 違いますよ」


櫛部武俊(くしべ・たけとし)さん。現在は釧路社会的企業創造協議会副代表として、市民の暮らしと仕事を支える場の発展に貢献する。前職は釧路市役所職員。一貫して福祉畑を歩んだ。審議会委員等の経験も豊富
Photo by Yoshiko Miwa
「このところ『釧路はユートピアだ』という話が広まったりしています。でも、それは違います」

 と語るのは、櫛部武俊さん(釧路社会的企業創造協議会)だ。

 1951年生まれの櫛部さんは、大学で福祉を学んだ後、福祉職の採用を行っていた当時の釧路市役所に就職。市立障害児施設を経て、1988年に保護課(当時)へ。以後、2011年に定年を迎えるまで、釧路市の生活保護行政と生活困窮者支援の前線に立ち続けた。

 櫛部さんは、釧路市の独自の生活困窮者支援を切り開いた立役者の1人として、多方面から評価されている。本連載でもリアルタイムで紹介しつづけてきた厚労省・社会保障審議会「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」の部会委員の1人でもあった。

「逆転の発想なんです。お金がないからこそ、力をそれぞれ出して頑張ろうと。釧路は、辺境の地ですから」(櫛部さん)

 長年の間、炭鉱産業、製紙・パルプ産業、水産業に支えられてきた釧路市。しかし、2002年に近郊の最後の炭鉱が閉山して以後、いずれの産業にも地域を支えるほどの力は期待できなくなっている。2008年、リーマンショック直前の5月には、釧路市の有効求人倍率は0.26倍にまで低下した。求職者の心がけや努力によって就労が可能になる状況ではない。しかも、失業者は産業構造の転換によって生み出されている。産業構造が転換した結果、それまでのスキルや経験が全く評価されない状況が広範に発生しているということでもある。

 増え続ける失業者、自然な流れで増加の一途をたどるしかない生活保護当事者数。地元産業界には、その人々の就労先となるだけの力は期待できない。

 釧路市の生活困窮者支援は、そんな状況が長年にわたって続く中で展開されてきた。

母子世帯の母親たちのニーズから
自立支援への取り組みをスタート

 釧路市の自立支援プログラムは、2004年、厚労省セーフティネット補助事業の一環である「自立支援モデル事業」としてスタートした。当初の対象は、生活保護を利用している母子世帯であった。ちなみに2004年、社会保障審議会福祉部会「生活保護制度に関する専門委員会」は、生活保護制度を「利用しやすく自立しやすい制度へ」とする方針と、日常生活自立・社会的自立・就労自立の3つの自立を中心とする自立観を示した。

 釧路市の自立支援モデル事業は、まず、母子世帯の自立阻害要因を軽減することからスタートした。釧路公立大学との共同研究も行い、「何が就労を困難にしているか」「どのような条件があれば就労できそうか」といったことを明確にした。生活保護を利用している母親たち(有職65名、無職72名(注))の約85%は中卒・高校中退・高卒で、約60%は病気や障害を抱えており、就労経験も少ない。就労している母親たちのうち正規雇用は7.7%。44.6%は週に20〜30時間の就労をしている。この母親たちは就労していて、なおかつ生活保護を必要としているのである。

 研究は背景にも踏み込み、数多くのデータを示している。そのデータからは、母親たちが、

「両親とも低学歴で収入が少なく(または生活保護)、本人も低学歴。職歴を形成するに至らず、同じような背景を持つ配偶者と結婚、子どもに恵まれるも短期間で離別。本人も病気がちに。子どもを養うだけの収入を独力で得ることは困難。原家族にも支援するだけの余裕はなく、生活保護しかなくなった」

 という半生を歩んでいる可能性の大きさを読み取ることができる。離別の理由は調査されていないようだが、もしかすると背景には、世帯の経済力と強く関係するDVなどの問題が数多く含まれているかもしれない。

 研究が明らかにした当時の現状は、以下のとおりである。

 就労していない生活保護世帯の母親たちの80%は「働きたい」と望んでいるのだが、自身の健康問題がネックとなっている。また、低学歴で職業キャリアが少なく、社会関係が希薄である。就労を望んで求職し、50%はいったん就労しているが、自身の健康問題・子どもの保育・子どもの健康問題により就労を継続できなかった。また自家用車を保有できないことも、就労・就労継続の障害となっている。70%はパソコンを利用しておらず、就職に有効な資格も保有していない。

 釧路市の自立支援モデル事業は、このように数多くの問題を抱えている母子世帯の母親たちを多面的にサポートする体制の構築を目指した。そこでは「ボランティア」「中間(的)就労」とともに、「ワーク・ライフ・バランスのとれる就労機会の拡大」「職業能力の充実」「キャリアアップ」「生活環境の充実」「母親たちのネットワークづくり」といったことが重要視された。

 なお、釧路公立大学の研究報告書は、「釧路市の母子世帯の母への就労支援に関する調査報告」として公開されている。

(注)同年の釧路市の生活保護世帯のうち母子世帯の就労率は 28.9%。

多様な「自立」を尊重する
釧路市の自立支援プログラムの中身


漁網を補修する整網作業に参加する生活保護当事者たち。一人前と認められるには、少なくとも10年の経験が必要であるという(釧路市生活福祉事務所提供)
Photo by Y.M「自立支援モデル事業」以後、釧路市は対象世帯を母子世帯に限定せず、すべての生活保護当事者を対象とした「自立支援プログラム」を展開してきた。

 釧路市の自立支援プログラムの中核をなしているのは、「自立支援ボランティア」だ。ボランティアの内容は、公園の清掃・高齢者の話し相手・知的障害者施設での布加工・動物園でのエサ作りなどの作業・農作業など多岐にわたる。ボランティアから中間的就労へ、さらに一般就労へという方向性を目指すこともできるが、現在の釧路市は、一般就労を希望する人々が全員就労できる状況ではない。

 生活保護当事者に対するボランティア活動の義務化は、自民党などが主張している方向性でもある。その背景にあるのは、社会保障給付に対して給付を受ける人々の就労を義務付ける「ワークフェア(workとwelfareを合成した造語)」の考え方である。この主張をする政治家たちはしばしば、「働いてもらう」「義務を果たしてもらう」という言い方をする。

 釧路市の自立観は、

「生活保護を受給しながら自立を図る」

 である。生活保護から脱却(廃止)することを「自立」として就労を指導するものではない。「日常生活自立」「社会的自立」「就労自立」の3つの自立を互いにフラットな関係にあるものと考え、当事者個々人にとっての多様な「自立」を支援するものである。強制するのではなく、しかし丁寧に機会を提示する。この支援の考え方については、「くしろの自立支援プログラムのススメ」(釧路市福祉部生活福祉事務所発行)から一節を引用したい。

 自立支援に(筆者注:当事者が)自発的に参加しない場合にも注意が必要と考える。なぜなら、生活保護の現場でよくある例として、当事者が明確に不参加の意思を示した場合、安直に就労指導に切り替えるといったものである。これは、現場ではよく見聞きするのではないだろうか? この場合、自立支援の観点から支援者が取る行動として、当事者が何をどう考えているのか改めて考える必要がある。
「生活保護を受給している以上、納税者である私たちの言うことを聞いてもらわなくては」「生活保護なんだから仕事を選ぶなんてゼイタク」「生活保護なんだから、ボランティアくらいやりなさいよ」「お金もらってるんだから義務も果たしなさいよ」という上目線や押し付けがましさは、釧路市の自立支援プログラムにはない。

 おそらくは、このような実施のありかたが継続された結果として、釧路市の自立支援プログラムは、

「生活保護世帯の中学生の進学率、95.3%(釧路市全体 98.8%)、高校中退率2.4%(同じく1.3%)(2010年度)」

「生活保護世帯に給付される生活保護費、北海道内で最も低い1世帯あたり平均 11万9000円/月(2009年)(注)」

 と、大きな成果を挙げている。

(注)雑誌「はるまち」Vol.1による。

 とはいえ、釧路市の現状は深刻だ。2011年、生活保護を利用している当事者は9957人、生活保護費の総額は約145億円、保護率は5.4%であった(全国平均 3.2%)。2013年は、当事者1万人・生活保護費150億円を突破すると見られている。約900億円という釧路市の歳出総額に対して、決して小さな負担ではない。しかも今後、釧路市の経済状況が大きく好転する見通しはない。「ボランティア」名目での強制的就労や「中間的就労」という名の低賃金労働を用いた「地域活性化」という発想が、地域経済人にとって魅力的に見えたとしても不思議ではない。

 生活困窮者自立支援法案の成立後、釧路市の発想や現在までの取り組みが悪用される可能性はないだろうか? そもそも、中間的就労そのものが労働ダンピングに他ならず、地域経済をさらに荒廃させる懸念はないだろうか?

釧路市の中間的就労は
「ブラック企業」と何が違うのか


平日午後の釧路駅近辺。中心街であることが信じられないほど、人も自動車も少ない
Photo by Y.M 筆者は櫛部さんに、自分自身のこの疑問を率直にぶつけてみた。答えは、意外なものであった。

「そこなんですよ。結局、グローバル経済の考え方に対して、地域がどう切り結んでいくかということですよね。グローバル経済の考え方だと、すぐ『釧路で安い賃金の労働力で』ということになってしまいます。あるいは、外国人労働者とか、外国に生産拠点を移すとか。一企業としては利潤を上げなくてはならないのですから、ある意味、当たり前です」(櫛部さん)

 低賃金「特区」を作り、価格競争力のある生産拠点を日本に作りたい。製造業を中心とした日本の産業界の希望は、そのようなものにも見える。

「でも、僕らとしては、地域を耕すことが大切だと思っています。地域で、みんな労働の場を失っているのだから、それを作ることが必要です。労働は『人を人にする』営みです。賃金の多寡だけで見ないで、地域に、そういうものを起こしていくことが大切だと思います」(櫛部さん)

 とはいえ、「中間的就労」が全国に広まったときに懸念されるのは、それが「ブラック労働」以外の何でもなくなる可能性だ。

「ブラック批判は、分からなくもないです。先日見たTV番組で、正社員が『燃料のように自分が燃える』というすさまじい表現をしてました。正規労働者であるため、非正規労働者になりたくなくて恐怖でいっぱいなんです。正規労働者の立場を守ろうとすればするほど、長時間労働を余儀なくされることになり、時間あたりの賃金は安くなります。変な構造になってしまっていますよね。生活困窮者には相当数、そういう労働で病気になって、無業孤立の状態になり、仕事をしたくなくなった人々が含まれています」(櫛部さん)

 憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活」や、27条の「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う」が制定されたとき、おそらく「ブラック労働」は目指されていなかったであろう。

「尻を叩いて『さあ働けや』というのではなく、地域全体として、社会的居場所に連動した雇用・労働の場を作ることに、切り結ばないとダメです。『ブラック企業』『ブラック労働』を批判するだけじゃなく、そういう雇用、そういう労働を作らないとダメです。本当のブラックと切り結ぶためにも。それが僕らの考えです」(櫛部さん)

 でも、安い労働力が魅力的に見えるのは、企業経営者にとっては当然のことである。合法的に「ブラック企業」化することが可能だったら、それを選択しない経営者はいるだろうか?

「東京のような大都市だと、釧路のような地域のイメージは湧かないでしょうね。釧路だと、どこにどういう企業があって、その経営者はどういう人で、考え方はこうで……ということが、だいたい分かります」(櫛部さん)


釧路市で入手したタウン情報誌の求人情報。ほとんどが飲食業関連。自動車修理業・中古自動車売買業も若干。ラウンジのコンパニオンの時給が1500円-2000円程度
Photo by Y.M拡大画像表示
 それでも、「釧路に仕事がない」という状況は、どうしようもない。

「今、釧路市は人口18万人くらいですが、僕が市役所に勤めていたころは22〜23万人でした。『平成の大合併』があったのに、そういう人口減少が起こっているんです。少子化の影響もありますし、高校を卒業した若い人が出て行ってしまって、戻ってこないということもあります」(櫛部さん)

 今、釧路市に住んで生活保護を利用している人々は、出て行くこともできなかった人々でもある。

「だから、生活保護でそういう方々の当面の生活を保証して、いろんな技術を身につけて、たとえば釧路でいえば漁網に関係する技術を身につけて、地域の担い手になってほしいんです。中間的就労でも、当事者は『このお金は自分の稼いだお金だから、胸を張って使える』と言っていますよ。そもそもの発想が『安くても働いてもらう』ではなくて、『こんな人がいます、こんな仕事ありませんか』というところなんです」(櫛部さん)

 釧路市で続けられていた試みは、「ブラック企業」化の懸念を断ち切れるのだろうか?

「中間的就労者を受け入れている企業が、その人を正規雇用できていないからといって、それだけ見て、ブラックだというのは、稚拙だと思います。そこで切り結ぶ必要があります。私たちは、そこを担います。そうでなくては、本当の『ブラック』の餌食になってしまいます」(櫛部さん)

 自分自身を取り巻く、しばしばうんざりするような現実の数々に対し、「切り結ぶ」という意気込みをもって立ち向かうこと。それは、すべての人々に求められていることかもしれない。しかし、今国会でこれから審議される生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案が目指しているのは、全体として、社会保障の後退ではないだろうか? 

「『水際作戦の法制化』という批判は承知しています。しかし、各自治体には、そうしないこともできます。制度を動かしている立場に立って『関わって直そう』『使い勝手を良くしていこう』と切り結ぶことが大切です。法律は住民の道具です。本当の住民自治が、今、求められているんだと思います。地方議会では、条例を作ることもできます」(櫛部さん)

 制度上、まず縛られるのは行政でもある。

「生活困窮者自立支援法は、第一歩です。どこの自治体も、やってきた生活困窮者を『縦割り』で『ウチではありません、あちらへ』と振り回して逃げることができなくなります。相談支援が義務付けられるわけですから」(櫛部さん)

 残念ながら、数多くの地域では、釧路市のようには生活困窮者支援が運用されない可能性を否定できない。生活困窮者自立支援法が成立したら、懸念されていたように「水際作戦の新しい窓口」以外の何でもない運用をされてしまう可能性も高いだろう。「解雇特区」が検討されている現在の状況で、「中間的就労」をブラック就労以外の何かとして機能させるだけの力を、多くの地域の市民は持っているだろうか?

 10月23日、日本弁護士連合会は「生活困窮者自立支援法案に関する意見書」を厚労省に提出した。そこでは、釧路市で行われてきたのと同様の「生活困窮者を生み出す社会的背景を明らかにし、生活困窮者を生み出さないための制度づくり」であることを要請している。また、「権利性を明確に」「全国どこでも等しく事業を利用できる」「複合的な困難を抱えた人たちを広く対象に」「生活困窮者を積極的に見つけ出して相談支援窓口に」などの実施を求めている。また、「水際作戦」の新しい窓口とならないように、「生活困窮者支援制度の存在を理由として、生活保護の利用を拒否してはならない」ともしている。生活困窮者自立支援法案がそのように施行されるならば、大きな希望の持てる法案ともなりうるであろう。しかし現在のところ、施行の実際や詳細に関する法的な裏付けは薄い。

 筆者は、櫛部さんの考えと意見には、多くの点で賛同する。また、釧路市で成し遂げられてきた自立支援の営みにも、敬意を抱いている。しかしながら、生活保護制度の縮小とともに持ちだされた形の生活困窮者自立支援法案に対しては、やはり大きな危惧を抱かざるを得ない。

 それでも筆者は、櫛部さんの「切り結ぶ」という姿勢を、我がこととして考えたい。おそらく今、問われているのは民主主義なのだ。社会全体の問題であると同時に、社会を構成する一人ひとりが自分のいる場所でどのように民主主義を実行するかが問われているのだ。

 次回は、週明けから参議院で始まると見られている生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案の審議の様子を紹介する予定だ。早期成立のみを目指した拙速な議論、結論ありきの議論は行われていないだろうか? 事実に反する「根拠」に基づいて法案が正当化されていないだろうか?

[12削除理由]:無関係な長文多数

04. 2014年10月24日 07:18:38 : jXbiWWJBCA
生活保護のリアル みわよしこ
【政策ウォッチ編・第82回】 2014年10月24日 みわよしこ [フリーランス・ライター]
データが明らかにした生活保護の「住」の貧困
社保審・生活保護基準部会作業班の調査で見えたもの
――政策ウォッチ編・第82回
2014年10月21日、社会保障審議会・第19回生活保護基準部会が開催された。5月以来、約5ヵ月ぶりの開催である。この間、非公開の作業部会によって、生活保護世帯の居住実態調査などのデータの整理・集計が行われていた。

まだ結果の全貌は公開されていないが、調査・集計はどのような結果を語っているであろうか? 基準部会の資料からは、住宅扶助の引き下げどころではない生活保護当事者の劣悪な「住」の現状が見えてきた。

NHK「住宅扶助見直し」報道に感じた
ミスリードと禁じ得ない怒り


今回の基準部会は、注目が集まっているためか、通常の会議室ではなく省議室で開催された
Photo by Yoshiko Miwa
 2014年10月21日、厚労省において社会保障審議会・第19回生活保護基準部会(基準部会)が開催された。第18回基準部会が5月30日に開催されてから、約5ヵ月ぶりの開催である。

 この間、作業班によって非公開で、

・平成20年住宅・土地統計調査の再集計による、賃貸住宅市場の実勢と住宅扶助特別基準上限額との比較

・生活保護世帯の居住実態調査によって収集されたデータの整理・集計

 が行われていた。

 作業班のメンバーは、阿部彩氏(国立社会保障・人口問題研究所)・岩田正美氏(副班長・日本女子大学教授)・岡部卓氏(班長・首都大学東京)・駒村康平氏(慶應義塾大学)・園田眞理子氏(明治大学)・山田篤裕(慶應義塾大学)の5名である。

「生活保護の住を劣化させる意図のもとで結果を捻じ曲げるのではないか」

 という懸念は少ないメンバーであると思われるが、メンバー自身が自由に作業内容・作業にあたって用いるデータ・手法を選択できるわけではない。

 今回の基準部会を受けて、開催日には早々に「住宅扶助と冬季加算は引き下げの方向」とする報道もあった。

生活保護の「住宅扶助」 見直し議論本格化
NHK NEWSWEB 10月21日 17時50分

生活保護費のうち家賃にあたる「住宅扶助」について支給水準が高いという指摘があることから、厚生労働省の部会で見直しを行うかどうか本格的な議論が始まりました。
(略)
財務大臣の諮問機関「財政制度等審議会」は、ことし5月「低所得者の家賃より2割ほど水準が高い」という試算をまとめ引き下げを求めています。会議では、ことし8月に生活保護を受給している全国のおよそ10万世帯を対象に行われた調査結果が示され、全体の30%余りの世帯は上限額とほぼ同じ額の家賃を支払っていることが分かりました。この中には、家賃が割高なバリアフリーの住宅などに暮らす障害者や高齢者のケースや、住宅扶助が支給される受給者に対して上限額いっぱいまで不当に高い家賃を請求しているとみられるケースもあったということです。
部会は今後議論を進め、年内に住宅扶助を見直すかどうか結論を出すことにしています。

 筆者は、NHKで科学報道にたずさわる制作者たちの数名に、個人的に面識がある。仕事ぶりにも作品にも自然に敬意が抱かれるような人々だ。また貧困問題についても、NHKの組織力と体力を良い意味で活かし、知られるべき事実を知らしめる作品を制作している人々がいることを知っている。しかしこの報道には怒りを禁じ得ない。

 まず、財政審の意向としつつも、「低所得者の家賃より2割ほど水準が高い」という試算を紹介している。この試算は、低所得者の家賃実勢平均と生活保護の住宅扶助上限額を比較したものである。平均と上限を比較すれば上限が高くなるのは当然であろう。この試算をそのまま基準部会資料に転載した厚労省の事務局は、基準部会の委員からも「ミスリード」と指摘されている。

 ついで、調査結果として「全体の30%余りの世帯は上限額とほぼ同じ額の家賃を支払っている」と紹介している。あたかも「低所得層一般よりも、生活保護の方が、より良い住まいに住めるんですよ(不公平だと思いませんか、皆さん?)」と言わんばかりである。

「中には、家賃が割高なバリアフリーの住宅などに暮らす障害者や高齢者のケースや、住宅扶助が支給される受給者に対して上限額いっぱいまで不当に高い家賃を請求しているとみられるケースもあったということです」

 については、「車椅子や介護ベッドを必要とする人々の問題と貧困ビジネスの問題を、同列に扱うなんて、無神経な!」と怒鳴りたい。生活保護を必要とする人々には、障害や加齢によって若年健常者とは異なるニーズを持つ人々も多く含まれている。しかし、通常の民間賃貸アパートはそのようなニーズを想定していない。車椅子を必要とする人が、動線を確保できる広さやエレベーターのある住居に住もうとすれば、家賃が割高になるのは当然ではないか。それは貧困ビジネスと同列に論じられてよい問題ではない。

 また、「生活保護だから」という理由で家賃が上限額まで吊り上げられているとしても、背景は必ずしも「貧困ビジネス」的意図とは限らない。生活保護利用者は入居できる賃貸アパートを見つけにくく、通常の家賃に上積みすることでやっと入居が承諾されていることも多い。また、高齢・傷病・障害による多様なリスクに備えるために、家賃を高く設定せざるを得ない場合もある。見守り・ちょっとした介助など、本来ならば介護サービスとして提供されるべきものを家主が提供しており、その実費分程度の若干の家賃の上積みが行われている場合もある。

 検討するならば、そのような問題の1つひとつ、住宅扶助の金額ではなく、多様な人々がさまざまな理由で生活保護を必要とする場合に生じるニーズと、それらのニーズに民営賃貸アパートのシステムで対応するにあたって何が必要なのかではないだろうか?

 引用した報道の最後の

「部会は今後議論を進め、年内に住宅扶助を見直すかどうか結論を出すことにしています」

 に対しては、

「基準部会の先生方、こんなふうに報道にリードされたまま結論を出さないでください!」

 と大声を出したい。

 では、約5ヵ月ぶりの基準部会では、どのようなデータが提示され、どのような議論が行われたのだろうか?

そもそも住宅扶助の何が
論点になっていたのか

 今回の第19回基準部会において、厚労省の事務局が作成した資料によれば、論点は下記の4点である(番号は筆者による)。

1.住宅扶助特別基準(上限額)は、健康で文化的な最低限度の住生活の確保の観点及び低所得層の世帯における住宅水準との均衡の観点から、どの程度を妥当なものとするべきか。

2.住宅扶助基準特別基準(上限額)の範囲内で床面積や築年数など住宅の質に応じた基準額を設定することについてどう考えるか。

3.生活保護受給世帯において、最低居住面積水準を満たしている世帯の割合はどの程度か。

4. 生活保護受給世帯の家賃額は、一般世帯における近隣同種の住宅の家賃と比較して、高く設定されている場合があるのではないか。

 これらの論点について作業班が行った作業は、

1.および2.に対して

・平成20年住宅・土地統計調査の特別集計を実施し、最低居住面積水準を満たす住宅の家賃水準と住宅扶助特別基準(上限額)の比較を行う

・平成20年住宅・土地統計調査の個票データを用いて、家賃月額を物件属性の関数として推定する

3.および4.に対して

・生活保護受給世帯の居住実態調査について、生活保護基準部会における議論に資するデータの整理、集計を行う

 であった。

 過去の部会での議論においては、部会委員の一部から

「一般低所得層との均衡という視点から、国交省の最低居住面積水準以下の『生活保護の住の水準』を設けるべきでは」

 という意見もあった。また事務局も再三、事務局作成資料で「国交省の最低居住面積でいいのか?」という内容の問いかけを行っていた。しかし作業班においては、

「国交省の最低居住面積水準以下に『生活保護の住の水準』を設ける」

 という方向に明確に向かう作業は、一応は行われていないと考えてよいようだ。

 では以下、作業班の集計結果から、報道されていないが重要だと筆者が考えるポイントを紹介したい。

「生活保護だから良い物件に住める」はない

 資料22ページ〜23ページに、「現在の住居への入居と福祉事務所との関係」という項目がある。約8万7000世帯を対象に、生活保護の利用を開始したことと住環境の関係を明らかにしたものだ。

 まず、生活保護を利用する以前から、現在と同じ福祉事務所の管内に居住していたケースでは、48%が生活保護の利用以前から住んでいた物件に引き続き居住していた。この背景として最も考えやすいのは、

「失業などの理由により、生活保護を利用せずに経済的自立を維持することが困難になり、その物件に居住したままで生活保護を利用し始めた」

 である。もしかすると、他に

「生活保護の利用を開始すると、アパート探しが困難になったり家賃の上積みを求められたり不利な状況に陥るので、最後に貯蓄をはたいて現在の物件に入居し、その後、生活保護を申請した」

 など、低所得層が直面しやすい住の困難を反映しているケースも多く含まれているだろうとは推察するが、背景の詳細は公開されている資料からは読み取れない。

 また、25%は、生活保護の利用を開始した後で現在の住居に転居している。この背景としては、「以前の住居の家賃が高額すぎるので、福祉事務所に転居を指導された」「脱法ハウスなど劣悪すぎる住居に住んでいたので、福祉事務所に転居を指導された(支援者の支援のもと、転居を申請して許可された)」「障害や傷病により、それまで住んでいた住居で生活を営み続けることが不可能になったので、福祉事務所に転居を申請して許可された」などが考えられる。調査結果によれば、転居の理由として多いのは「家主に立ち退きを要求された(16%)」「家賃が高額だったため転居を指導された(12%)」である。


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 いずれにしても、生活保護を利用したまま転居するのであれば、住宅扶助の上限額以上の家賃の物件に入居することはできない。また、特に複数世帯では、敷金・礼金などの初期費用の問題も発生する。転居に際しての一時金を申請することは可能だが、世帯人数に応じて十分に増額されるわけではないからだ。

 この調査結果からは、

「生活保護なので、好条件の住まいに住めるようになった」

 という事実は、「路上生活から生活保護申請」「ネットカフェから生活保護申請」といったケースを除き、一般的には見られないということが読み取れる。

劣悪、危険なまま放置していいのか
「健康で文化的」からは程遠い生活保護の住

 今回の基準部会の資料から、ぜひ認識しておくべき実態を、最後にもう一点紹介しておきたい。


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 資料27ページには、生活保護利用者たちの住居について、間取り・広さ・構造・設備などを集計した表がある。

 まず、住宅の建て方(表8-2)によれば、共同住宅が全体の69%を占める。住宅の構造では、木造が全体の46%を占める。これは非木造の45%と大差はない。いずれにしても、

「単身の生活保護利用者は、1Kか1DKの木造アパートかワンルームマンションに住んでいることが多い」

 という筆者の実感と大きな違いはない。

 注目していただきたいのは、「腐朽破損の有無(表8-4)」「敷地に面している道路の幅員(表8-5)」、「最寄り駅までの距離(表8-6)」である。

 腐朽破損は「無し」が76%であるが、「有り」と答えている世帯が14%ある。どのような腐朽・破損であるかは不明だが、安全面にも健康面にも問題のある住居に住んでいる世帯が生活保護世帯の約7分の1を占めているという事実は、決して軽視されるべきではないだろう。

 敷地に面している道路の幅員については、「接していない(3%)」「2m未満(8%)」と「2〜4m未満(32%)」を合わせ、現行の建築基準法では住居を建築してはならない条件となる住居に住んでいる世帯が43%である。

「最寄り駅までの距離」は、徒歩で無理なく駅にアクセスできると考えられる500m未満が21%、1000m〜1999mが28%、2000m以上が23%である。都市部と地方では事情がまったく異なるが、通勤・通学に関してハンディキャップとならない最寄り駅へのアクセスは確保されていないことが多いと考えても支障はないであろう。

 これらのデータから、「生活保護の住」の典型の1つをイメージしてみると、

「最寄り駅から徒歩20分程度、建築されてから20〜40年程度を経過した木造アパートで、住んではいられるけれども『窓枠の一部が結露でカビて腐っている』などの問題があり、敷地の接している道路の幅は4m以下、近隣は同様の木造アパートが密集しており、震災の際には消火も避難も困難となることが予想される」

 といったものとなる。それは、筆者自身がよく知っている「生活保護の住」の一類型だ。

 2020年には東京オリンピックも予定されているというのに、日本の「住」がこのように貧困なままでよいのであろうか? 低所得層の危険な「住」を含んだ市街が日本のあちこちに放置されたままでよいのであろうか?

 筆者には、今行われるべき議論は、住宅扶助の金額に関する議論ではないと思う。現在までに明らかにされている範囲だけでも、現行の住宅扶助基準では「健康で文化的な最低限度」の住を実現できていないことは明らかではないか。

 もしも、2014年12月の予算編成に住宅扶助に関する何かを含めることが必要なのであるとすれば、国交省・厚労省の両省が共同して日本の「住」の底上げと最低線の確保を行うための調査と検討のための予算ではないだろうか? もしも「住宅扶助は見直しが必要」という結論を導くならば、上げるにせよ下げるにせよ、今後2〜3年の時間をかけて徹底した検討を行う必要があるのではないかと筆者は思う。まだ、低所得層の住の実態のごく一部が明らかにされているにすぎない現在の段階で、「見直す」または「引き下げる」という結論を導くべきではない。

 次回は引き続き、第19回基準部会の議論について取り上げる。今回の基準部会では、冬季加算削減の可能性・夏季加算の可能性・母子加算の見直しの可能性・基準設定方式など多岐にわたる議論が行われた。各々の部会委員がどのような問題意識のもと、どのような議論を行っているのかは、より広く知られる必要があろう。
http://diamond.jp/articles/print/61090


05. 2014年12月20日 01:08:55 : Fl00PDjaLI

無職「住むところも金も無いのでナマポを‥」 生活保護課「まず住居を確保してください、話はそれからです」 → 市役所に放火

1:水星虫 :2014/12/11(木) 16:21:59.16 O
市役所庁舎放火未遂で男を逮捕

http://www.nhk.or.jp/lnews/morioka/6043891611.html?t=1418281831000
※NHKローカルニュースは元記事が消えるのが早いので御注意を

10日、盛岡市役所の分庁舎に火をつけようとしたとして32歳の無職の男が逮捕された事件で、
男は、「仕事も住まいもなく、生活費に困っている」と相談に訪れていたことがわかり、
警察が詳しい動機を調べています。

11日午後4時45分ごろ盛岡市役所の内丸分庁舎の2階の通路で、男が手にしていた文書に
ライターで火をつけ、さらに廊下脇に置かれていた紙の束を燃やそうとしました。
男はそのまま立ち去り、近くにいた市の職員が火を消し止めましたが、警察は、
出頭してきた住所不定の無職、鈴木定徳容疑者(32)を分庁舎に火をつけようとしたとして
放火未遂の疑いで逮捕しました。
警察の調べによりますと、容疑を認めているということです。

盛岡市によりますと、鈴木容疑者は、事件のおよそ30分前、分庁舎の3階にある
生活保護の相談や申請をする部署を訪れ、「仕事も住まいもなく、生活費に困っている」
と相談していたことがわかりました。
これに対し、対応にあたった職員は、
「まず、住居をきちんと確保していきましょう」と説明し、
生活保護の申請に必要な条件を伝えたということです。

鈴木容疑者は、そのまま立ち去り、特に変わった様子は見られなかったということです。

警察は詳しい動機を調べています。

12月11日 12時47分

21:オレオレ!オレだよ、名無しだよ!!:2014/12/11(木) 16:39:04.43 0
気持ちはわかる 
日本人に対して→住居をきちんと確保を要求する その後のケアなし
在日→住居をきちんと確保のために 手続き書類など住居確保の用意がある その後のケアあり
そらきれるは 役所の対応にも問題がある

41:オレオレ!オレだよ、名無しだよ!!:2014/12/11(木) 16:59:52.88 0
生活保護課は放火されるの嫌なんだよね
あと、当てつけに自殺なんかされたら最悪
42:オレオレ!オレだよ、名無しだよ!!:2014/12/11(木) 17:00:05.30 0
>>。ヨまず、住居をきちんと確保していきましょう」と説明し・・・・

警察の留置場に確保しました! キリッ

47:オレオレ!オレだよ、名無しだよ!!:2014/12/11(木) 17:08:53.61 0
ホームレスにも貸す賃貸とかあるなら役所がちゃんと案内すべきだな
家賃はナマポが入ったらでいいとか言ってくれるとこ

48:オレオレ!オレだよ、名無しだよ!!:2014/12/11(木) 17:10:14.43 0
受け付けぬ「受付」 w 窓口の「両刀論法」で弾かれて行き着く先. 相容れないジレンマが犯罪を誘発 w

50:オレオレ!オレだよ、名無しだよ!!:2014/12/11(木) 17:16:07.55 O
ナマポ科が住居登録を仮で受ければいいんじゃん
先に住居見つけろとか鶏が先かよ

51:オレオレ!オレだよ、名無しだよ!!:2014/12/11(木) 17:16:21.68 O
うーん・・日本もくるとこまできちゃったかなー

平成の米騒動まであとちょっとだね

53:オレオレ!オレだよ、名無しだよ!!:2014/12/11(木) 17:17:45.21 0
だいたいナマポという制度があること自体知らない人がけっこういるんだよな。
それで市役所や警察になんらかのかたちで相談に行くと、だったらナマポ課に
行って相談してみたらどうですかって話になって、そういう道筋で来た人は真
剣に話聞いてくれるんだよ。いきなりナマポ課に行く奴ってのは、だいたい2
ちゃんかなにかであおられてってのが多いから、鼻からろくろく話聞いてくれ
ないって構図。

54:オレオレ!オレだよ、名無しだよ!!:2014/12/11(木) 17:25:53.90 0
だいたいナマポという制度がある限りこういう事件は起こる

56:首毛:2014/12/11(木) 17:28:38.67 O
ホームレス時代に同じ経験したわw 放火はしてないけど。

食い下がってよくよく話を聞いてみると、そーゆー人の為に
自治体と提携している不動産屋さんがあるとのこと。

今ではナマポも卒業して立派なワープアです(´・ω・`)

60:オレオレ!オレだよ、名無しだよ!!:2014/12/11(木) 17:34:04.25 0
身寄りや考える頭が無い縋れぬ人たちは 自殺と犯罪の二択に追い込まれる. 生きる選択 w

68:オレオレ!オレだよ、名無しだよ!!:2014/12/11(木) 17:45:22.68 0
あのね、こいつにナマポ渡した方が、こいつがムショで暮らすより
同じ税金でも、コストが安いんだよ

受刑者一人当たりの経費は、月約22万かかる

これ皆知っておいた方がいい

69:オレオレ!オレだよ、名無しだよ!!:2014/12/11(木) 17:46:03.02 0
刑務所のほうがナマポより年間にかかる支出が多い
ある意味損だな。

74:オレオレ!オレだよ、名無しだよ!!:2014/12/11(木) 18:00:34.25 0
ナマポ村でも作って土地の開墾やら
地域のごみ拾いさせろよ

75:オレオレ!オレだよ、名無しだよ!!:2014/12/11(木) 18:10:32.06 0
住居はどう確保すりゃいいの?

104:オレオレ!オレだよ、名無しだよ!!:2014/12/11(木) 20:37:14.41 0
>>75
一時保護センターとか支援センターとか、
ホームレスを一時的に住まわせて住居確保したことしにて生保につなげる
その後は安いアパートとか世話する

岩手にもそういう支援してる団体昔からあるし、市役所職員もそういう説明したと思うんだが
76:オレオレ!オレだよ、名無しだよ!!:2014/12/11(木) 18:11:41.66 O
まだ32なら住み込みの土方でも探せばすぐ雇ってもらえるのにやる気がないんじゃん

78:オレオレ!オレだよ、名無しだよ!!:2014/12/11(木) 18:38:03.33 0
持家だから生活保護できません→家を売る→住むところが無くなる→住むところを確保してからしか生活保護できません→放火
というパターンもあるかもね
実際独居の高齢者は家借りられないから

88:オレオレ!オレだよ、名無しだよ!!:2014/12/11(木) 19:31:14.61 0
住居確保できるくらい余裕がないと受給できない制度w
それ以下の人間にはセーフティネットは使わせないって言ってるんだな

89:オレオレ!オレだよ、名無しだよ!!:2014/12/11(木) 19:35:50.47 0
この国で機能しているセーフティーネットは刑務所 w

http://anago.2ch.sc/test/read.cgi/dqnplus/1418282519


6. 2015年7月21日 12:21:25 : iNg5GPZw02

384 :名無しさん@1周年:2015/07/21(火) 11:44:40.47 ID:8IXsvo2R0

役所が認定を渋ると在日が大勢押しかけ、差別だ!お前らに親は虐殺された! 泣く!わめく!叫ぶ!
果ては社会党、共産党、民主党、公明党市議が、さらにプロ市民団体も押し寄せ、担当職員を怒鳴り
つけ貴様はクビだ! と怒鳴りまくり、深夜まで担当職員の自宅にまで嫌がらせ電話がえんえんと鳴り響く!

在日朝鮮人の生活保護は、社会党(在日)村山政権時代に、日本の役所に外国人(在日朝鮮)職員を、 一定枠以
上を毎年必ず採用させる義務を市町村役所に指導した。

その結果、在日朝鮮人職員は好んで、 生活保護の窓口に就きかれらの支配が始まった。社会保障の業務はほ
とんど在日職員の縄張りとなってしまった。

旧社会党、共産党、 民主党、公明党など市議と組んで生活保護、社会保障にタカリ放題だ。

行政も在日に都合のいい法案を通しタカリ放題となっている。

daily.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1437443428/抜粋

http://www.asyura2.com/15/senkyo189/msg/107.html#c21リンク先



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