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2011年以降千人以上も 「死にたい」「つらい」被災地を覆う自殺〈週刊朝日〉
http://www.asyura2.com/12/social9/msg/472.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 3 月 06 日 12:12:00: igsppGRN/E9PQ
 

2011年以降千人以上も 「死にたい」「つらい」被災地を覆う自殺〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140306-00000003-sasahi-soci
週刊朝日  2014年3月14日号


 東日本大震災から、もうすぐ3年。その後に大切な人を失うなど、被災者を新たな悲しみが襲う。2011年以降、岩手・宮城・福島の被災3県の沿岸部の自治体だけで千人以上が自殺している。フリーライターの山川徹氏がその現場を訪れた。

*  *  *

 今年1月、三陸沿岸のある港町を訪ねた。「津波で両親を失った10代の少年が、海に飛び込んで自ら命を絶った」と知人に聞いたからだ。

 少年が親戚宅から姿を消したのは1年ほど前。その1カ月後に遺体で見つかった。地域には様々な噂話が飛び交っていた。<あの岸壁から飛び込んだ><両親の遺品を持って身を投げた><持病を苦にしていたので公表されなかった>……。

 少年は生前、ある新聞に震災孤児として取り上げられていた。記事によると震災直後、両親が行方不明だと知り、「俺も死ねば良かった」と叫んでいる。その後、「疲れる」と繰り返していたとも書かれていた。

 少年の両親と仕事上で長年付き合いがあった女性を探し当てると、涙ながらにこう語った。

「あの子が行方不明になったと聞いて、すぐに自殺だと想像しました。日ごろから『死にたい』『つらい』と口にしていたと、人づてに聞いていたので。両親のもとに行きたかったのでしょう。家族をいっぺんに失って、つらくないはずがありません。震災からの日々を一所懸命に生きたのだと思います」

 少年を幼いころから知る別の人物は、亡き母子は強い絆で結ばれていた、と明かした。

「息子さんには持病があり、それをお母さんは心配していた。だから彼は中学時代は運動部に入って身体を鍛えていたんです。震災後に引き取った親戚の方は、かかりつけ医に 『薬を服用していれば大丈夫』と言ってもらえたと安心していた。それが死の数カ月前だったのに」

 この人物は、少年が自殺したとの見方を否定した。

「目撃者はおらず、遺書はなかったそうです。警察も教えてくれない。私は事故死だった可能性もあると思っています」

 震災を引き金とする自殺か、それとも事故死か。県警に問い合わせても答えが得られなかったが、最後にたどりついた捜査関係者は、自殺の可能性をほのめかした。

「過って海に転落したとも考えられますが、自宅に携帯が残されていました」

 この世代が携帯を持たずに外出するとは思えず、何かしらの“覚悟”をしていたというのだ。だが、それ以上、少年の死はたどれなかった。


 

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コメント
 
01. 2014年3月19日 19:15:06 : nJF6kGWndY
いろんな自殺があるな

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140318-00000504-san-soci
養育費40万に減額で「将来を悲観」、5歳長男を心中させた母親の身勝手
産経新聞 3月18日(火)12時0分配信

浅井被告が長男との練炭自殺を図った大津市内のマンション(写真:産経新聞)
 「息子の養育費を減らされ、将来を悲観した」−。5歳の長男を道連れに無理心中を図り、長男だけを死なせたとして殺人罪に問われたシングルマザーの女に対し、大津地裁は2月、懲役6年(求刑・同7年)の判決を言い渡した。公判で女が明かした動機が冒頭の言葉だが、それまで長男の父親の不倫相手から受け取っていた養育費は月60万円。長男にはバイオリンや英会話を習わせるなど教育費を惜しまず、自身も高級ブランド服や化粧品を頻繁に購入するなど、ぜいたくな暮らしを続けていた。しかし養育費の20万円減額と、「妻の方が大事」「産んでほしくなかった」という不倫相手の言葉にショックを受け死を決意したという。身勝手な親たちの都合で短い生涯を終えた男児が不憫(ふびん)でならない。

 ■2度目の妊娠で出産

 判決を受けたのは大津市の無職、浅井早智子被告(30)。

 公判などによると、浅井被告は平成14年、ホステスをしていた同市内のクラブで客の弁護士の男性と知り合い、交際を始めた。男性は母子家庭で育ち、苦学しながら司法試験に合格したことを話した。既婚だったが、浅井被告はそんな男性に魅力を感じ、相手からの交際の申し込みに応じたという。

 2年後、浅井被告は男性の子供を妊娠したが、男性が出産に反対したため中絶を余儀なくされた。しかし19年に再び妊娠。このときは男性から「早智子の子供が見たい」と言われたため、長男を出産した。

 ■習い事、高級ブランド服、美容院…

 女手一つで長男を育てた浅井被告だが、その暮らしぶりは「母子家庭」という言葉のイメージとはかけ離れたものだった。

 男性から受け取っていた養育費は毎月60万円。長男にはバイオリンや英会話、体操など毎日のように習い事の教室に通わせ、1回4千円のIQテストを定期的に受験させもした。

 さらに「(長男には)できたての料理しか食べさせたくなかった」といい、食材にこだわった手料理を作り続けた結果、2人の食費は毎月9万円前後に上った。

 浅井被告自身もぜいたくを好んだ。1点5万円以上する高級ブランド「フォクシー」のワンピースや「フェラガモ」の靴を購入。1万円のシャンプーを使い、化粧品の購入額も毎月約2万円に上った。京都市内の百貨店には行きつけの美容院があり、1回の利用で3万円を支払った。

 浅井被告は長男の妊娠・出産を機にホステスを辞め、その後は職に就いておらず、ぜいたくな暮らしの資金源はすべて男性からの養育費だった。その使途を公判で検察側に問われると、「年を取っても交際相手に会う時はきれいでいたかった。高い物は長く使えるから」などと自分なりの論理でぜいたくを“正当化”した。

 ■男性の「産んでほしくなかった」に絶望

 しかし、そんな暮らしぶりに転機が訪れた。24年10月、男性が弁護士事務所の経営悪化を理由に「養育費を30万円に減額したい」と通告してきたのだ。浅井被告は納得せず、協議の末に20万円減額の40万円で一度は折り合った。しかしその後、増額を求めて男性宅を訪問。応対に出た妻に男性との交際の顛末(てんまつ)を話したところ、妻にこう言われたという。

 「お金がある人は不倫するの。あなたも振り回されましたね」

 しばらくして男性が帰宅すると、妻は男性にこう言って迫った。「あなた、私とこの子(浅井被告)のどっちが大事なのか、この子に教えてあげなさいよ」。男性は妻を指さし、「こっち」とつぶやいた。

 2人の態度を目の当たりにし、浅井被告は男性宅に押しかけたことを後悔。後日、謝罪しようと男性の弁護士事務所を訪れた。子供の顔を見れば気が変わるかも−。そんな望みをつないで長男も連れていったが、男性は浅井被告がこれまで見たこともない形相で「おまえが来るところじゃない。出ていけ!」「産んでほしくなかった」と憤りをあらわにした。

 わが子を前に浴びせられた心ない言葉に、「私だけじゃなく、子供まで否定された」と絶望感を抱いた浅井被告は無理心中を決意。25年8月27日午後1時ごろ、マンションの自室で窓やふすまを粘着テープで目張りし、七輪に入れた練炭の火を起こした。同居する浅井被告の母親がその日夜に帰宅して倒れた2人を発見。浅井被告は一命を取り留めたが、長男は一酸化炭素中毒で死亡した。

 ■「息子にさみしい思いをさせたくなかった」

 「養育費が減額されても、普通の生活を送るのに支障はなかった」

 大津地裁の飯島健太郎裁判長は判決理由でこう指摘し、浅井被告が高額の養育費を受け取り、母親のマンションに同居して家賃はいらず、働いて生活費を稼げたことなどを挙げた。その上で、「男性との関係を清算し、長男とともに新たな生活を送ることも可能だった」と述べた。

 公判で浅井被告は「ぜいたくな暮らしだったかもしれないが、父親に会えない息子にさみしい思いをさせたくなかった。私が変わらなければいけなかった」と反省の気持ちも述べた。確かに長男のことは大事にしていたかもしれないが、自らの暮らしぶりを客観視できず、身勝手な思いを募らせたことが最悪の結果を招いた。

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最終更新:3月18日(火)19時22分産経新聞

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02. 2014年3月25日 22:11:15 : LjJIujrhG2
年間20万人が孤立死。家族難民があふれる日
山田昌弘氏(中央大学文学部教授)に聞く
塚田 紀史:2014年3月2日
このままでは、年間20万人が孤立死するとして、未婚化・シングル(単身)化が進む日本の未来に警鐘を鳴らす。

──いずれ市役所に「埋葬課」ができるようになるのですか。


このままでは、2040年ごろには年に20万人が「孤立死」するようになる。この人を最近見掛けなくなったという話から、役所の人が亡くなっていないか訪ね歩く。今、孤立死は3万人とみられ、全体の125万人の死亡数と比べれば、100人に3人いるかどうか。それが、5人亡くなれば1人近くは引き取り手がないとなって、行政の仕事になる。

自治体はホームレスで亡くなった人の数を教えてくれないという。貧困地区を抱えている自治体にはそういった問題もある。根底に経済格差があるので、今後は農村部でも、70〜80代の親と40〜50代の息子との3人で住んでいる家庭が多いだけに増えてくるだろう。

──引き取り手がいない?

今、平均寿命を迎える世代の未婚率はざっと3%。50歳時点での生涯未婚率は15%だから、この理由だけでも孤立死は5倍に膨らみかねない。しかも、この世代は離婚率も高まっていくし、子どものいない人も多い。今から20〜30年後、私が亡くなる頃には引き取り手のない人たちがいっぱい出てくる。

──結婚数と絡むのですか。

その頃には、高齢になっても未婚のままで、家族の庇護を受けられない「家族」難民が数百万人という単位で、あふれ返ることになる。自分を必要とし大切にしてくれる存在がいない人たち、つまり「家族がいない」問題の裏返しだ。一人暮らしのシングルの増加は少子化とともに孤立死を招く。

──シングル化とも絡み合う問題なのですね。

基本的にはシングル化によってもたらされている。つまり、結婚しない人と離婚する人とが両方増えている。今の若い層は結婚している人が5割なので、逆に言えば2人に1人は結婚しないか、離婚しシングルの人だ。もはやシングルは少数派ではない。今の高齢者は離婚率1割といっても、再婚率の水準はまだ高い。さらに兄弟姉妹も多い。70歳では兄弟姉妹数は自分以外に平均3人いる。それはおいやめいがいることにもなる。彼らが手術のサインをしてくれる、骨を引き取りに来る、そういう意味での親しい家族がまだいる。

しかしそれでも孤立死が増えているのが現実だ。

──パラサイト・シングルたちはどうなっていますか。

年を経て、彼らも持ち上がって中年化している。ボリュームゾーンは30代から40代になり出している。彼らも同居の親が亡くなったら、そのまま孤立してしまう。兄弟姉妹がいても音さたがあるかどうかという具合で、関係は薄くなっているし。

親が「壊れて」、子どもを支え切れない家庭も増えている。それは貧困の連鎖となり、一人親や親自身が非正規雇用である場合、そこでは子どもは豊かな中高年時代を送れなくなる。家族格差がてきめんに響く。

──家族格差?

従来どおりの家族生活を送る人と、そこから外れる人。それも経済的な強者は家族的な強者にもなる。いろいろな意味で、経済的な弱者は家族的な弱者になる。経済格差によって家族格差にレバレッジがかかるのだ。たとえば、正社員同士の夫婦と非正社員同士の夫婦では、その差は大きいと指摘する人もいる。

正社員は結婚でき、自分を心配してくれる人がいる。非正社員で結婚できなかった人は、高齢になったときも経済的に苦しい。自分を助けてくれる家族もいないとなれば、心理的にも誰も助けてくれない心境に陥りがちになる。

──性格から見てシングルになりやすい人はいるのですか。

結局、自由化された社会だから、どうなるかは経済的能力とコミュニケーション能力、この二つの組み合わせで決まる。結婚にも就職にも、この二つの能力がかかわっている。たとえシングルでも、経済的な能力やコミュニケーション能力に魅力があれば、頼れる友達づくりは自然とできる。

今、起きているのは、その能力のない人がどんどん生まれているということだ。親と同居し、半分引きこもり。あるいは非正社員で会社でも会話をしないで過ごす。この人たちは親が亡くなると、自分を助けてくれる人をつくる能力がないから苦境に立たされる。

──パラサイト・シングルという指摘は将来への警鐘だった……。

10年ほど前から、中高年パラサイト・シングルが増えてきているから、その対策をしないといけないと口を酸っぱくして言ってきた。今すぐの問題ではないと軽視されたが、人口学的に言って、20年後にはそういう人たちがはっきりと姿を現し、日本社会を分断して困った状況になる。

今のうちに、むしろ高齢者にでなく、若い層向けに対策を講ずるべきだ。自分を必要とし大切にしてくれる存在づくりの対策だ。婚活予算もとうとう削られてしまった。比較的恵まれている今の日本の高齢者より、次世代を担う若者について考え、施策を打つべきなのだ。

──日本社会の家族モデルはなかなか変わりません。

「標準的な家族」を前提とした労働の仕組みや社会の制度を全部変えていく必要があるが、なかなか変わる気配はない。人数が多いのは高齢者で、声が大きい人は標準的な家族をつくれている人だ。正社員と非正社員の格差があるのは正社員が組合の代表で、非正社員はどうでもいいと思っているからだ。非正社員の時給を5円、10円上げるより、格差をなくすほうが重要なのだ。組合が自分たち正社員を守っていくのはいいのだが、守っていく人の割合がどんどん減っているという事実をもっと厳粛に受け止めたほうがいい。

非正社員が増えていて、どうにかしなくてはいけないのと同じように、標準的な家族が減っていて、標準的な家族をつくれない人が増えているのだから、社会制度を含めた形で変えていかなければいけない。そうしなければ、標準的な家族をつくれなかった人は、ますます「家族」難民化し貧困化が進む。

──個人としてはどうすれば。

自分を大切に見てくれる人は、生きていくうえで誰でも必要とする。それは従来どおりの家族であってもいいし、そうでなくてもいい。いろいろな形で、そういう人を増やせるように社会に働きかけることだ。非正規雇用の問題も、人が朝から晩まで働き、安心して生活できるようにすべく皆で努めたいものだ。

『「家族」難民』
朝日新聞出版 1680円 214ページ


やまだ・まさひろ
1957年生まれ。東京大学文学部卒業。東大大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。東京学芸大学教授を経る。専門は家族社会学。親と同居して独身生活を続ける若者をパラサイト・シングルと呼び、格差社会という言葉を浸透させた。婚活をキーワードにしたブームの火付け役ともなっている。
http://toyokeizai.net/articles/print/31635


03. 2014年10月20日 07:27:14 : jXbiWWJBCA
 

「著名人」自殺報道がもたらす負の連鎖
2014年10月20日(月)  上田 路子 、 松林 哲也


 今年8月、理科学研究所の笹井芳樹氏が自ら命を絶ったのは記憶に新しい。笹井氏の死はマスコミによって大きく取り上げられ、笹井氏の経歴や自殺の動機に関して加熱報道とも呼べる状態がしばらく続いた。
 それらの報道が続く中で、著者が心配していたことがある。それは、笹井氏の死に関する報道を契機として日本全国で自殺者数が増えるのではないかという点である。
 読者の中には、芸能人が自殺した後に、ファンが後を追って自殺した例を記憶されている方もいらっしゃるかもしれない。よく知られているのは、1986年に歌手の岡田有希子が人気絶頂期に飛び降り自殺した後に、若い男性の自殺が相次いだケースであり、当時かなりの話題となった。
 また1998年に人気ロックグループ、エックス・ジャパン のギタリストが急死した際には、その死因が自殺と報じられたこともあり、ファンの後追い自殺があったと伝えられている。
芸能人の後追い自殺は良く知られているが…
 芸能人の自殺を契機に一般の人の自殺が増えることは、海外における過去の学術研究によって確認されている。例えば、 2003年4月には香港の著名な俳優・歌手であったレスリー・チャンによる飛び降り自殺が起きたが、その報道後には香港で特に若い男性の自殺が増加したこと、また発見された遺書の中にはレスリー・チャンの名前が記されたものもあったことが香港の研究者らによって報告されている。1994年に米国のロックシンガーであるカート・コバーンが自殺した後には、フランスで若い男女の自殺が増えたという研究報告もある。
 では、笹井氏のケースのように、著名人であっても芸能人ではない人物の自殺が報道された場合、それを契機として自殺者数が増加するということはあるのだろうか。報道の対象が芸能人でない場合、一連の報道が自殺者数の増加を引き起こすことなどないだろうと思われる方がいても不思議はない。
 実際、過去の学術研究のほとんどが芸能人の自殺に関する報道を対象としており、芸能人以外の著名人に関する自殺報道が自殺者数を増加させるという可能性はあまり考慮されてこなかった。
 ところが、我々の最新の研究によると、芸能人だけでなく、政治家、スポーツ選手、大企業の経営者といった著名人についても、自殺についての報道があった後には自殺者数が急増する。しかも、自殺者数は報道初日に跳ね上がり、その増加傾向はほぼ10日間続くのである。
 この結果は著者らが米エール大学経済学部博士課程に在学中であった森浩太氏(現ニールセン)とともに、1989年から2010年の間に起きた 109名の著名人の自殺に関する報道のタイミングと日別の自殺者数を分析することによって得られたものである。分析結果は今年初めに英文学術雑誌に掲載されている。
 分析にあたって、我々は自殺をした「著名人」のリストを作ることから始めた。「著名人」の定義の仕方には色々あるが、我々が採用した「著名人」の基準は、訃報が全国紙に載るということであった。そこで読売新聞の記事データベースを用い、「自殺」というキーワードを用いて、1989年から2010年に掲載された自殺関連の記事をすべて集めることとした。
 文化面に掲載された記事や死亡者の年齢が載っていない記事を排除する(有名人の死亡記事には必ず年齢が載るため)などして、最終的に残った3600件余りの記事を我々3人がすべて読み、自殺によって亡くなった109名の「著名人」のリストを作成した。
幅広い著名人の自殺報道と自殺者数の関係を分析
 この際、訃報が全国紙に載ったとしても、本人が有名でないケース(例えば政治家の秘書)や犯罪行為のみによって名が知られている人などは「著名人」として扱わないこととした。また、死亡時にその職についていたかどうかは問わなかったため、長く芸能活動を停止していた芸能人なども含まれる。したがって、かなり幅広く「著名人」を定義していることになる。
 最終的に我々のリストに残った109人の「著名人」には、芸能人(25人)だけでなく、政治家(主に国会議員、7人)、地方自治体の長(13人)、芸術家(作家、映画監督など20人)、スポーツ選手(10人)、会社経営者(19人)、大学教授(15人)が含まれている。
 次に、新聞記事を参照して109人の著名人の自殺についての第1報が載った日付を特定し 、その前後約3週間の毎日の自殺者数を自殺報道がなかった時期の自殺者数と比較した。自殺者数は人口動態統計の個票をもとに、1989年から2010年の日本で自殺によって死亡した人の数を日別に集計したものである。分析単位は各年月日であり、観察数は8035となる。
 自殺者数の比較には回帰分析という統計的手法を用いた。各著名人について自殺報道初日と前後20日間の各日付をダミー変数とし、これを独立(説明)変数として用いた。従属(被説明)変数は日別の自殺者数である。
 また、自殺者数は季節や曜日によって変動し、失業率など経済状況にも影響を受けるため、年月、日付、曜日のそれぞれの固定効果を推定に含めることによって、これら他の要因の影響を可能な限り排除している。これら固定効果は、人口の年齢構造の変化の影響も制御している。
 主な推定結果をまとめたものが以下の図である。縦軸は著名人の自殺に関する報道があった場合に、著名人の自殺報道が(前後3週間に)なかった時期と比較してどの程度自殺者数に差があるかを示している。
 単位は、増加率であり、縦軸の数値に100をかけるとパーセント表示になるように調整してある。黒線の周りの赤色の縦棒は95%信頼区間を示しており、棒が縦軸の0を含んでいなければ統計的に有意な増加があったと考えられる。横軸は報道からの日数を示している。
自殺報道の直後、自殺者は急増
 0が報道当日、それより右側は報道後20日間、左側は報道前20日間を示している。図に示した結果は1989年から2010年に自殺した全著名人のデータを用いた分析結果であり、109名の著名人の自殺報道の平均的な影響を示している。つまり、横軸が0の箇所は、109件の自殺報道が最初にあった日に、自殺者数が平均でどの程度増加したかを示している。横軸が10の箇所は、報道10日後における増加の度合いである。
【図】

 図から明らかなことは2つある。自殺報道があった場合、その直後に自殺者数は急上昇する。また、自殺者数の増加傾向は10日ほど続く。推定結果によると、自殺報道のあった当日には自殺者数は4.6%(95%信頼区間:2.4‐6.7)増加し、報道後10日間の平均的な増加率は5.5%(95%信頼区間:4.6‐6.5 )である。95%信頼区間が0を含んでいないことからわかるように、これらはどちらも統計的に有意な結果である。
 対照的に、自殺報道の前(図の左半分)では、当然ながら自殺者数の増加は起きていないことが分かる。つまり、図に示されている自殺者数の増加は明らかに自殺報道をきっかけに起こっているのである。仮にこれが一人の著名人の自殺だけを分析対象としているのであれば、その人が自殺をした日にたまたま他の出来事が起き、その出来事が自殺の上昇を招いている可能性を否定できない。しかし、我々の研究では109の異なる日に起きた自殺を対象としているため、他の要因がこの急上昇を説明するとはまず考えられない。
 筆者がこの推定結果を初めて見たときの驚きは忘れられない。自殺者数がある程度上昇するとは想定していたが、まさか報道当日にこれだけ上がるとは考えていなかったからである。また、増加傾向が1週間以上に渡って継続することも予想外であった。
 実は、過去の海外における研究では日別でなく、月別のデータを用いて分析が行われることがほとんどで(これはデータの制約による。日本ほど自殺に関するデータが充実している国はあまりない)、自殺報道の後に自殺者数が増加する傾向にあることは知られていても、どのタイミングで増えるのか、そして増加傾向がどのくらい続くのかといった点については全くといってよいほど知られていなかったのである。
さて、図によって「著名人」の自殺に関する報道直後から自殺者数が増加する傾向にあることを確認できたが、この関係は著名人一般に当てはまると考えてもいいのだろうか。 我々の「著名人」の定義は幅広いため、あまり一般には知られていない人物が含まれている可能性がある。
 その場合、誰でも知っているような有名人だけを分析するときに比べて影響の大きさが低めに推定されることも考えられる。そこで、109人のうち、 特に一般に広く知られていたと思われる著名人の自殺報道の後にどれだけ自殺者数が増加するかについても検討した。基準としては、死亡後3週間以内の新聞記事数が2つ以上あった場合に、特に著名であったと分類することとした 。109人のうち65人(60%)の死は訃報記事のみで、その後新聞記事として取り上げられていない。
 死亡後の記事が2つ以上あった44人のみを分析に含めると、報道初日の自殺者数の増加は7%、報道後3日間に自殺者数は11.8%増加している。報道後10日間の平均的な増加率は6.3%であった(すべて統計的に有意な結果)。つまり、人々に広く知られている(と考えられる)著名人の死に関する報道のほうが影響力は大きいということである。あるいは報道量が多いほど影響力が大きいと解釈することもできるが、この点については後ほど取り上げる。
 次に、 もう1つの予想外の結果を紹介しよう。それは、自殺者数に対する影響力が一番大きいのは芸能人の自殺に関する報道ではないということである。これまで「著名人」を一括りにして分析してきたが、著名人のタイプによって影響の大きさが異なる可能性がある。例えば、芸能人が自殺した場合には、後追い自殺をするファンがいるかもしれないが、国会議員の自殺の場合、違う層が影響を受けるかもしれない。
政治家の自殺報道は影響力大
 そこで109名を前述の7つの職業グループに分け、それぞれ分析してみたところ、自殺報道後に自殺者数が一番増加したのは政治家(主に国会議員)であり、政治家の自殺が報道された後の10日間に自殺者数は平均で14.8%増加する。死亡後の記事が2つ以上の政治家(6人)に限ると、増加率はなんと18.2%であった。次に影響が大きかったのが地方自治体の長(6.7%)、そして会社経営者(6.6%)となっている。
 意外なことに、芸能人の自殺報道の影響は比較的少なく、報道後10日間の自殺者数の増加率は4.7%という結果を得た。芸能人のうち、死亡後の記事が2つ以上あった10人に分析を限っても、増加率は同じ程度である。過去の研究の多くが芸能人の自殺報道を対象としてきたのも、 芸能人の死に関する報道が一番影響力を持っているという暗黙の前提があったからであると思われるが、この結果はその前提が必ずしも正しくないことを示している。
 この意外な結果はどう解釈したら良いのであろうか。可能性として考えられるのは、影響の大きさは報道量に比例するということである。分析対象の期間中に自殺で亡くなった7名の政治家グループの中には、現職の農相であった松岡利勝氏(2007年)、証券会社から利益供与を受けた疑いで逮捕される直前に自殺をした衆議院議員の新井将敬氏(1998年)などが含まれている。
 松岡氏の場合、現役の閣僚が自殺で亡くなったのは戦後初めてであり、その死は大きく取り上げられた。新井氏の場合、亡くなる直前にも株取引疑惑関連で連日多くの報道が行われており、世間の注目度は高かったと考えられる。さらに、逮捕が衆院で許諾される直前の自殺というショッキングな展開を受けて新聞の号外も発行されるほど報道が過熱した。読売新聞の記事数を見ても、政治家が死亡した後の平均記事数は6.71と他のグループの平均を大きく引き離している。
 職業別の分析結果は、なぜ自殺者数が報道後に増えるのか、という点を考える上でも重要である。国会議員の自殺に関する報道があったときにこれだけ自殺者数が増え、他の職業では比較的影響が少ないのであれば、後追い自殺という行為が増加の主なメカニズムであるとは考えにくい。
 したがって、いわゆる後追いという動機ではなく、他の要因で人々は自殺報道に影響を受けていると考えられる。また、 政治家グループに含まれる7人のうち少なくとも3人(新井将敬、松岡利勝、中島洋次郎)は生前スキャンダルや種々の疑惑を抱えていた 。
スキャンダル自殺でも大きく影響
 スキャンダルを抱える人物や犯罪の容疑がかけられている人物に人は共感しづらいため、自殺行為をまねる、といった行為も行わないと過去の研究では考えられてきた。それにもかかわらず、大きな影響があるということは、人々は共感とも異なる理由で報道に影響を受けているのかもしれない。
 いずれにせよ、著名な人物の自殺というニュース自体に人々が興味を持ち、積極的に情報を集めようとしていることだけは確かである。グーグルトレンドを用いて2004年から2010年の「自殺」という単語のグーグルでの 検索量を日別に比較したところ、著名人の自殺に関する報道があった直後に検索量が増加する傾向にあった。
 当然ながら、これだけでは人々が著名人の自殺そのものの情報を集めるために検索をしているのか、それとも報道をきっかけに自殺を考えるようになって自殺の方法を探すために検索をしているのかは判断できない(ちなみに、「自殺 方法」という二つの単語の検索量も分析してみたが、日別の分析に耐えるほどのデータは得られなかった)。
 しかしながら、報道の直後に自殺に関する情報を収集している人が増加していることだけは間違いないようである。自殺に関する情報により多く触れること自体が自殺のなんらかのきっかけを作りだしているのかもしれない。報道後の自殺者急増のメカニズムの解明は今後の重要な研究課題である。
 これまで、自殺報道後の自殺者数の増加の規模をパーセントで表示してきたが、それが実質的に何を意味するかを考えてみたい。2010年時点の平均自殺件数は1日につき約82人であったので、5%の増加というのは1日に約4人の増加ということである。
 これがほぼ10日間続くので、1人の著名人の自殺に関する報道があった場合、報道がなかったときに比べて自殺者数が40人多いということである。仮に著名人の自殺が年間5人(22年間分のデータの中間値。平均値も5人)だとすると、著名人の自殺に影響を受けて毎年約200件の自殺が起きている可能性を示唆している。
 とはいえ、これらの追加的な人数の中にはもともと自殺を考えていた人が含まれており、著名人の自殺報道はいずれにせよ起こる自殺行為のタイミングを前倒しただけなのではと思われる方もいらっしゃるかもしれない 。つまり、報道が新たな自殺を引き起こしているのではなくて、いずれ自殺をする人が自殺行為に及ぶきっかけを作っているに過ぎないという仮説である。
 しかし、たとえこの説が一部当てはまるとしても、仮に自殺報道に触れることがなければ、あるいは自殺報道が適切に行われていれば、自殺を踏みとどまった人がいる可能性も否定できない。著名人の自殺後の(多くは興味本位の)報道が、生と死の間のバランスをかろうじて保っている人の背中を押すことになってしまってはいけない。
「知る権利」と「自殺抑止」の両立は可能か
 この意味で、自殺報道のあり方を考えることは非常に重要である。報道の影響がこれだけ大きい以上、人々の知る権利を保障しつつ、適切な報道のあり方を考えていく必要がある。WHO(世界保健機構)は自殺に関する報道のガイドラインを設定しているが、強制力はなく、日本の各種マスコミによってガイドラインが守られているとは言いがたい状況である。
 例えば、WHOのガイドラインでは、 報道の見出しに「自殺」という単語を入れないよう推奨しているが、本研究中の109件の第1報の見出しのうち実に101件に「自殺」あるいは明らかに自殺を想定させる単語(「首つり」など)が含まれていた。また、自殺現場の写真を掲載しない、遺書を載せない、というガイドラインにいたっては、ほとんど守られていないと言ってよいだろう(とはいえ、これらの点はガイドラインの要約ではなく、本文にしか出てこないので、見落とされているのかもしれない)。
 ただ、報道の内容は昔に比べて大きく改善している。前述したように、我々は1989年から2010年にかけての 自殺に関する新聞記事を大量に読んだが、昔になればなるほど、特に手段に関して読者への配慮が欠けている記事が多いように見受けられた(手段を詳しく報じない、もガイドラインの1つである)。もし当時はこれが標準的な報道内容であったとすれば、例えば細部にわたる手段の描写を参考に模倣に走るなど、影響を受ける人がいたとしても不思議はない。近年の記事内容においては、少なくとも手段に関しては詳細な情報を載せないよう配慮がされているようである。
 報道に携わる方々には、著名人の自殺に関する報道がさらなる自殺を生み出さないよう最大限の配慮をお願いすると同時に、我々研究者はどのような報道内容が特に大きな影響を伴い問題となるのか、といった点について今後は明らかにしていくべきであろう。そのためには、本研究で対象とした新聞だけではなく、テレビやインターネット上の情報などを分析に含めることも欠かせない。
 また、自殺の社会的な要因についての研究を今後さらに進めていくことも大切である。本研究は報道のあり方という1つの社会的要因を取り上げたが、自殺は経済状況、生命保険契約のあり方、経済・福祉政策など他にも多くの社会経済的要因の影響を受けている(詳細は筆者と澤田康幸氏の共著『自殺のない社会へ』参照)。社会科学の研究者が中心となって、社会経済的要因が自殺に与える影響をこれまで以上に解明し、今後の政策につなげていくことが必要であろう。



「気鋭の論点」
経済学の最新知識を分かりやすく解説するコラムです。執筆者は、研究の一線で活躍する気鋭の若手経済学者たち。それぞれのテーマの中には一見難しい理論に見えるものもありますが、私たちの仕事や暮らしを考える上で役立つ身近なテーマもたくさんあります。意外なところに経済学が生かされていることも分かるはずです。

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