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「好老社会」というコンセプトを見直そう
http://www.asyura2.com/12/social9/msg/577.html
投稿者 rei 日時 2015 年 4 月 28 日 22:19:33: tW6yLih8JvEfw
 

(回答先: 「好老社会」の源流を求めて 投稿者 rei 日時 2015 年 4 月 28 日 22:17:46)

「好老社会」というコンセプトを見直そう
2015/4/14 6:00 
 今さら言うのもなんですが、世界各国で高齢者が増えてきています。
 こうした形で「老い」と直面しなくてはならなくなったのは、人類にとって初めての経験です。途方もない巨大な「老い」の前に人類が立ち往生しています。しかも、それは何がなんだかわからないままに、いつの間にか直面させられていたのです。


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 たとえば、自分の子どもが幼稚園か小学校に通っていて、その運動会に父兄による50メートル競走があって、出場するとしましょう。必死で走ってやっとゴールインというところで、係員みたいな人が並走してきて「すみません。80メートル競走の間違いでしたので、もう30メートルそのまま走ってください」と言われたらどうでしょう。最初から80メートルと言われていれば、もちろんそのペースで走っています。しかし、50メートルのつもりで走ってきたのに、それでは話が違うとなって、あと30メートルといえども、全力疾走の後でのさらなる全力疾走はつらいものになるでしょう。

 現代の高齢者問題には、このたとえのようなところがあります。人生50年と教えられ、そろそろお迎えでも来るかと思っていたのに、あと30年あると突然言われるのです。もうすぐゴールかと思って走っていたら、ゴールがぐっと遠のいてしまい、ぼうぜんとしているのです。行政の対策の遅れもあって、みんなが「老い」を持て余している、それが現状でしょう。

 特に日本において、それが言えます。不老長寿が古来からの人類の願いなら、日本はそれに最も近づいた国です。2014年7月31日に厚生労働省が発表した調査結果によれば、2013年の日本人の平均寿命は男性80.21歳、女性86.61歳で、いずれも過去最高を更新しました。なんといっても、男性が初めて80歳を超えたことが大きなニュースとなりました。国際的な比較では、女性は2年連続世界一、男性は前年の5位から4位に上昇しました。厚労省は医療技術の向上などで、がん、心臓病、脳卒中で死亡する人の数が減っていることが平均寿命の伸びに大きく影響していると分析しています。

 日本は世界に先駆けて高齢化しています。そして、その日本のなかでも最も高齢化が進行しているのが、わたしの住む北九州市です。なにしろ北九州市の人口は96万3267人(2014年4月)ですが、平均年齢が45.8歳(2010年)で、65歳以上の高齢者割合は27.2%と、日本全体の平均を大きく上回っています。政令指定都市で見ても、北九州市はダントツの数字となっています。

 このように世界に冠たる超高齢化都市である北九州市ですが、どうも市民のあいだには高齢者が多いことを恥じたり、高齢化の進行をネガティブにとらえる空気があるようです。わたしは「人は老いるほど豊かになる」と信じ、「老い」に価値を置く人間ですので、そういった空気があることが昔から残念でした。そんなとき、堺屋太一氏の説く「好老社会」という考え方に出合いました。

 堺屋氏は、2003年に刊行した著書『高齢化大好機』(NTT出版)において、当時の日本が史上まれに見る「嫌老好若社会」であると言っています。老いは醜く、若さは格好いいと思っているから、80代の政治家が「ぼくはジーパンをはいてディスコにも行く」などと、みっともないことを言って得意になっているというのです。

 しかし若さを好むのは、じつは近代工業社会に特有の現象にすぎません。近代工業社会は「物財の供給増加こそ人間の幸せ」と考え、次々に新しい技術を導入し、規格大量生産を完成させました。そのため、経験や蓄積よりも、素早く反応できる運動神経、長時間労働に耐えられる体力、新しい技術を速やかに覚える記憶力が重視されたのです。それには若い方が都合がよかったのです。

 加えて、個性のない規格品を大量に生産するため、モノに対する愛着がわかず、使い捨ての習慣が広まりました。そこでは若くない高齢者はゴミや廃品扱いされ、使い捨てにされたのです。つまり、人もモノも新しい方がよいというのが近代工業社会でした。

 さらに近代工業社会で若さが好まれ、老いが嫌われたもう一つの理由は、人口増加でした。若い勤労者が数多く生まれる人口構造になっていたため、高齢者は早期に引退し、若者に職場と財産を譲るべきだと考えられていたのです。

 工業都市としての北九州市に象徴される近代工業社会はひたすら「若さ」と「生」を謳歌し、讃美してきました。しかし、超高齢社会では「老い」と「死」を直視して、前向きにとらえていかなければなりません。「老い」や「死」を忌み嫌っていては、わたしたちはますます不幸になるからです。今こそ幸福な「老い」と「死」のデザインが求められています。その意味でも、今から12年も前に説かれた「好老社会」というコンセプトをもう一度見直す必要があるように思います。


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 一条真也(いちじょう・しんや)本名・佐久間庸和(さくま・つねかず) 1963年北九州市生まれ。88年早稲田大学政経学部卒、東急エージェンシーを経て、89年、父が経営する冠婚葬祭チェーンのサンレーに入社。2001年から社長。大学卒業時に書いた「ハートフルに遊ぶ」がベストセラーに。「老福論〜人は老いるほど豊かになる」「決定版 終活入門〜あなたの残りの人生を輝かせるための方策」など著書多数。全国冠婚葬祭互助会連盟会長。九州国際大学客員教授。12年孔子文化賞受賞。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO85338310W5A400C1000000/  

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コメント
 
01. 2015年4月28日 22:34:30 : jXbiWWJBCA
老境について キケロ
執筆はBC45年又は44年頃
ワイド版岩波文庫
吉田正道訳

二人の若者に請われてカトーが老境について語るという設定になっている。

老境がなぜ惨めなのかということには4つの理由がある。それは老人たちを仕事の処理から引きのけること、肉体を一段と弱めること、ほとんど全部の情欲を奪い去るということ、死からほとんど離れておらぬということ。これらの理由の一つ一つが正常であるかを考える。

1、仕事の処理からひきのけること
いったいどんな仕事からというのか?船を進めるにあたって、舵手は最後部に舵をにぎったまま悠然と腰を下ろしている。いかにも彼は若者らのやるような仕事はやっておらぬが、実際彼は一層大切なすぐれた仕事をやっている。大事業というものは肉体に宿る活気や突進力とか機動性とかによってなしとげられるのではなく、思慮と貫禄と識見によるのであって、老境はさような物事を奪い取られることのないばかりか、むしろそれらを増大されらるるのが常例である。物覚えが減ずることについても、人が年寄りになったからといって、己の財産の埋めどころを忘れてしまうようなためしをきいたことがない。熱意と活動とか持続しているかぎり、老人らにはその知力がとどまっているのだ。

2.肉体を一段と弱めること
わし(カトー)が現在青年のもつ体力を欲しがっておらぬのは、あたかも青年時代に牡牛や象のもってる体力を欲しがっておらなかったのと同然である。汝が所有しているものを使用すること、なにを為すにも汝の力相応になすのが正当なことである。ホメロスの語るようにネストールの舌からは蜜よりも甘い言葉が流れ出た。なにもその麗しさをうるために肉体の気力を必要としなかった。ギリシアの郡市はアイアクスの同類が10人もあれよと願ってはいないが、ネストールの類をと望んでいる。
人生の時期それぞれには独自の適順性が与えられている。少年の軟弱性、青年の敢為性、中年の重厚性、老年の円熟性、いずれもなにか自然のところをもっているので、それぞれの時期においてつかまえなくてはならぬ。

3.ほとんど全部の情欲を奪い去るということ
老境は情欲の楽しみに不足するというが、青年期の悪癖となっているところによるものを、寄る年波がもちさってくれるとしたら、素晴らしい老年の賜物ではないか。精神と言うなににもましてすぐれたものに対して、淫楽にもましてそれほど有害なものはなにひとつない。もし、われわれが淫楽というものを知恵や分別でおしのけることができないのであれば、老境にたいし多大の感謝をささげなくてはならぬ。老境子を葉これら世にふさわしからざるところのことを遠ざけるようになさしむからである。

4.死からほとんど離れておらぬということ。
かくも長い一生のうちに、死は軽視してさしつかえないものなのを悟らなかったような老人こそはまことに哀れだ。もし人の魂がことごとく消えうせてるのだとすればまったく無視してさしつかえないものであり、一方また魂を迎えてどこか永劫の来世のありかへとゆかせるものならば、むしろねがいもとめなくてはならぬことである。
死はすべてのものに共通なものであると感じた。ところで青年は己が長く生きるであろうと期待するが、老人は同じことをのぞみ得ぬのではないかというであろう。いったい、定まったことの代りに定まらないことを、真実の代りに虚偽をえらびとることほどたわけたことがあろうか。青年が望むことは老人はすでに仕上げてある。前者はながく生きんと望む、後者はもうながく生きてきた。とはいえ人間の本然なるものにおいてなにがながいものといえるのか。過ぎ去ったときは決してもだらず、ついで来るものは知る由もない。そくばくの時間を生きんがためめいめいにあてがわれてある、その時間をもって人は満足しておるべきである。
未熟である実は骨が折ってもぎ取られるがうみ熟しておれば自ら落ちるのと同様に、暴力が青年たちの生命をうばい、成熟が老人らから生命をうばうのである。

老境について (ワイド版岩波文庫 (137)) 

作者: キケロ
出版社/メーカー: 岩波書店
発売日: 1994/06
メディア: 文庫
http://kumogakure7.seesaa.net/article/126226147.html
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=8&cad=rja&uact=8&ved=0CEQQFjAH&url=https%3A%2F%2Ftsukuba.repo.nii.ac.jp%2Findex.php%3Faction%3Dpages_view_main%26active_action%3Drepository_action_common_download%26item_id%3D29050%26item_no%3D1%26attribute_id%3D17%26file_no%3D1%26page_id%3D13%26block_id%3D83&ei=BYw_Vb21OIKhmgW58IGIAQ&usg=AFQjCNFkRIDOPOWoEjta9OFpHNnGyVZtPQ


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