岐阜県警に窃盗容疑で逮捕され、勾留中に眼科医の治療が受けられなかったため、糖尿病が悪化して右目を失明したとして、愛知県の男性（３５）が慰謝料など約１億２９０万円の損害賠償を求めた訴訟で、岐阜地裁は１６日、国と岐阜県に計約５０３０万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

　武藤真紀子裁判長は目の異常を訴えていた男性への岐阜羽島署と岐阜刑務所岐阜拘置支所の対応について「眼科医の診察を受けさせる義務を怠った」と指摘。「男性の糖尿病歴は１０年を超えており、目の病気になる可能性を考慮すべきだった。眼科医の治療を受けていれば、失明は防げた」と認定した。

　一方で「男性は勾留中、アイスクリーム、チョコレートなどを食べて大量にカロリーを摂取し、病気の進行を早めた」と、男性の過失も認めた。

　判決によると、男性は２００６年１１月に逮捕され、約１年間、岐阜羽島署と岐阜刑務所岐阜拘置支所に勾留されたが、内科医などの診察を受けただけだった。０７年１２月に名古屋拘置所に移送されてから初めて眼科医の診察を受け、糖尿病網膜症と分かった。０８年１月に手術を受けたが、失明した。

　岐阜刑務所の斎藤巧所長は「判決内容を精査し、適切に対応したい」、県警監察課は「詳細を承知していないのでコメントは控える」としている。

　＜原告代理人の鈴木貴夫弁護士の話＞国と県の過失を認めたことを評価する。判決が、留置場や拘置所の待遇改善のきっかけになればいい。

（中日新聞　2015/09/16 23:10）
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2015091690214919.html 　

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