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日本に巣食う「学歴病」の正体 (第23回) 加藤諦三氏が斬る、人生の明暗を学歴のせいにする愚かさ
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投稿者 軽毛 日時 2016 年 6 月 21 日 08:18:30: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

日本に巣食う「学歴病」の正体
【第23回】 2016年6月21日 吉田典史 [ジャーナリスト]
加藤諦三氏が斬る、人生の明暗を学歴のせいにする愚かさ

人は学歴を理由に、人生の幸と不幸を語りがちだ。しかし、「あいつは東大卒だから役員になれた」といった話には、どれくらい信憑性があるのか
 早稲田大学名誉教授で心理学者・作家の加藤諦三さんに、企業社会においての学歴や、学歴に翻弄されない会社員の生き方をテーマに取材した。そのやりとりの模様を、今回と次回の2週にわたって紹介したい。

 加藤さんは半世紀以上にわたり、「人はどう生きるか」を研究してきた。10代の頃には、成績に劣等感を持っていたという。東京大学に入学後も、その劣等感を克服しようとする日々が続いたようだ。

 20代の頃、コンプレックスなどで思い悩む心を書き表した『俺には俺の生き方がある』(大和書房)が大ベストセラーとなり、一躍知られるようになった。教育番組『学歴社会を考える』(TVKテレビ)では企画・総合司会を務め、放送批評懇談会によるギャラクシー賞を受賞した。

 その後も、人生論などを中心に多くの作品を発表してきた。全国各地での講演も多い。ニッポン放送系のラジオ番組『テレフォン人生相談』では40年以上にわたってレギュラーパーソナリティを務め、人気を得ている。

 悩める多くの人の心を掴んできた加藤さんにとって、学歴病に侵されない生き方とはどのようなものか――。読者諸氏も一緒に考えてほしい。

他人の出世の理由を推し量る
目に見えるものと見えないもの

筆者 企業社会には、学歴を重んじる人たちが依然として多数います。学歴の「効果」がまことしやかに語られることもあります。たとえば、「自分は○○大卒だから、役員にはなれない。同期生の男は、東大卒だから役員になった」というように、です。

加藤 学歴というものは、目に見えますからね。その意味では、「東大卒だから役員になった」という説明は、非常に説得力があるのです。しかし、事実関係として間違っていることは少なくないでしょうね。

筆者 実際、企業社会では、多くの東大出身者が活躍しています。他の大学の卒業者よりは、はるかに多いように感じます。

加藤 その場合、「東京大学卒だから……」と解釈することが多面的視野に欠けている見方なのです。東大卒の多くが活躍しているとして、その理由を調べると、実は学歴以外のものがたくさんあるはずなのです。


加藤 諦三(かとう・たいぞう)
1938年、東京生まれ。東京大学教養学部教養学科を経て、同大学院社会学研究科修士課程を修了。1977年、早稲田大学理工学部教授に就任。専門分野は精神衛生、心理学。1973年以来、ハーヴァード大学准研究員を務める。現在、早稲田大学名誉教授。ハーヴァード大学ライシャウアー研究所客員研究員、ニッポン放送系ラジオ番組『テレフォン人生相談』レギュラーパーソナリティ。『「自分の働き方」に気づく心理学』 (青春出版社)、『劣等感がなくなる方法』(大和書房)、『人生は「捉え方」しだい 同じ体験で楽しむ人、苦しむ人』(毎日新聞出版)、『心の資産を高める生き方』『自分の人生を生きられないという病』(KKベストセラーズ)、『心が強い人 少し弱い人』(三笠書房)など著書多数。ホームページ>http://www.katotaizo.com/
加藤 何かがあったとき、その理由や原因を目に見えるもので解釈することは、最も説得力があります。学歴は目に見えるから、「東京大学卒だから……」という捉え方は多くの人の意識に浸透しやすいのです。

筆者 私の認識は、間違いだったのでしょうか……。

加藤 目に見えるものと、目に見えないものがあるわけです。目に見えないことが理由で、何かの結果が生じたとします。多くの人は、その原因を目に見えるものに置き換える傾向があります。

 たとえば、ある人が出世して役員になったときの背景やいきさつは、周囲には正確になかなかわからないし、見えないものでしょう。この場合、目に見えるものに置き換えてしまうことがあります。

筆者 なるほど。

加藤 人が成功したとき、生まれ育った家庭や、家族・親戚に立派な人がいるとか、資産やお金があるか否かなど、目に見えるものに置き換えて考えるほうが、多くの人が納得するのです。しかし、世の中には、目に見えないことのほうが事実関係としては正しいことがたくさんあるわけです。 

筆者 多くの人は、東京大学卒の人が役員になったときに、そこに至るまでのプロセスをあまり見ていないのかもしれないですね。その人がいかに努力してきたか……といったところに。逆に言えば、東大卒であっても、大企業では多くが役員になることなく定年を迎えているはずですが、そうしたことも見ていないように思います。

加藤 陰の努力が見えていない人は、駄目ですね。あらゆることの結果には過程があります。結果は見えるのですが、過程は見えないものです。行動は見えますが、動機はなかなか見えません。犯罪が起きると、新聞やテレビは「動機、動機」と騒ぎますが、実は日常生活の様々な行動に動機はあるわけです。実際の人間関係を考える上では、この動機が大切なのです。

「何となく雰囲気がいい」だけで
人の幸と不幸はかなり変わる

筆者 人が成功したとき、陰の努力に目を向けるべきことはわかりました。その努力の中で、特にどのあたりが重要なのでしょうか。

加藤 たとえば、コミュニケーション能力です。数字などで表すことが難しいですね。見えないものは、「なんとなく」という感覚が大切です。

加藤 たとえば、「あのレストランは、ビフテキが安い」と評判になったとします。これは、よくわかりますね。値段が高いか、安いかは判断しやすいでしょう。「あのレストランの照明は明るい」。これもわかりやすい。ところが、「あのレストランは雰囲気がいい」と言われると、なかなかわかりません。雰囲気は手に触れませんからね。五感以外の感覚で判断するしかありません。

 要するに、数値化することができないのです。それでも、「あの雰囲気はなんとなくいい」という感覚はあります。人に好かれるというのは、そのようなことでしょう。

 お金のある人とお金のない人の差も、はっきりとわかります。預金通帳や資産などを見れば、判断できますね。だけど、「笑顔のすてきな、優しい人」となると、これはもうわかりません。しかし、実際には「笑顔のすてきな、優しい人」はいます。

 こういう、目には見えない、「なんとなく」という感じ方は確かにあります。注意をしていないと、わからないものです。

「学歴が低いから」という言い訳は
説得力があっても解決にならない

筆者 会社の職場でも、ありそうな話ですね。

加藤 たとえば、ある社員が「1週間、休暇を取らせてください」と言ったとします。上司は、許可をすんなりと出しました。でも、他の社員が「1週間、休暇を取らせてください」と言ったら、「この期間は困る」と言われることはありますね。

 そのとき、目に見えるもので説明するのがわかりやすいはずです。その社員の年齢や性別、人事評価などに原因を求めると、説得力があるでしょう。しかし、目に見えないものが正しい場合が多々あるのです。この場合で言えば、休暇を申請した2人の社員と上司とのこれまでの人間関係などが、その1つです。人間関係が良好であるから、休暇を申請し、認められる人もいるし、人間関係がよくないために、同じことを上司に言って認められない人がいるわけです。

 人間関係をつくる力やコミュニケーション能力などは、目には見えません。ほとんどのものが見えないとき、はっきりと見える学歴は非常に意味を持ち始めるのです。

筆者 「自分は学歴が低いから、上司から認められず、休みもとることができない」と受け止める人がいるかもしれませんね。

加藤 自分に欠けているものには、見えるものと見えないものがあるわけです。たとえば、「自分には、コミュニ―ション力が欠けている」と言ったところで、ほとんどの人には見えませんね。ところが、「私は東大卒ではない」という、誰にも見える学歴を持ち出せば、多くの人が納得してくれることがあります。ある意味では説得力があるのですが、その人の問題にとっては何の解決にもならないのです。

筆者 問題が未解決のまま、残ったことになりますね。

加藤 不幸な人がいつまでも不幸であるのは、そこに理由があります。大切なのは、現実の正しい把握なのです。

人の最大の財産は、素直さ
「どうせ俺は……」では不幸のまま

筆者 確かに、「私は東大卒ではないから、役員になれない」と話す人は、自らの問題点と向き合っていないように見えます。

加藤 見えるものを持ち出し、自分や周囲を納得させようとすると、原因のすり替えをすることになります。その1つが学歴です。役員になることができないのは学歴が原因である場合もあるかもしれませんが、事実関係として正しくないこともあるわけです。そのあたりは、きちんと見定める必要があります。

 原因のすり替えは怖いです。通常、目に見えないことに原因をすり替えることは、まずありません。ほとんどは、見えることにすり替えるものです。見えることに原因をすり替えたとき、人は納得する傾向があります。それが本当の場合もあるのですが、嘘の場合もあるわけです。

筆者 日本では、嘘みたいなものを信じ込んでいる人が多いのかもしれませんね。

加藤 多いですよ。せっかくの才能や、開花される機会を失っている人が多い。この人が素直だったら、潜在的な才能が開花して、素晴らしい人生になるのに、と思う人はたくさんいます。人の財産は、素直さだと私は思いますね。そんな素直さがなく、「どうせ俺は……」と言われると、周囲もあの人のために力を貸してやろうという気にはならなくなるわけです。

「どうせ、俺は学歴がないから……」と目に見えるものに置き換えれば、確かに精神的には楽ですね。自分とは向かい合わないわけだから……。

筆者 確かに、そのとおりだと思います。

加藤 自分に欠けているものが、自分の幸せにとって決定的に意味を持つと解釈するのは、うつ病の人に見られる解釈の仕方と似ているのです。アメリカの精神科医であり、心理学者であるアーロン・ベックは、著書『Depression』(デプレッション)の中でこう指摘しています。

 うつ病の人は、自分に欠けているものが、自らの幸せによってエッセンシャルだと捉える傾向がある、と――。つまり、その欠けているものがあると、幸福にはなれないということです。

筆者 欠けているからこそその人らしいのであり、価値があると受けとめることができないのでしょうね。これが、人が学歴病になる大きな理由の1つだとも、私は思っています。

加藤 そもそも、人はそれぞれ生い立ちも生まれ育った家庭などもまるで違うわけです。たとえば、お父さんとお母さんはいつも仲がいい、という家庭に生まれた人がいます。おやじがおふくろを殴り、その泣き声を聞くのがつらくて、耳をふさいで、押し入れの中にいたという人もいるでしょう。母なるものを持った母親に育てられ、夕食が楽しかった人もいれば、虐待されながら育った人もいるわけです。

いまだに学歴主義の企業は
淘汰されていく運命に

筆者 私には、「学歴がないから、自分は役員になれない」と考える人の心理がわからないでもないのです。学歴が入社や昇進・昇格の際の決定的な材料になっている会社は、依然としてあるように思えるからです。

加藤 そのような企業は、いずれは淘汰されていくでしょう。学歴よりも、実力が問われる時代に必ずなります。

 私が40年以上前から回答者として関わるラジオ番組『テレホン人生相談』(ニッポン放送)が参考になります。この番組では、リスナーの方たちから家庭や家族、結婚や離婚、浮気、病気、仕事のことなどについて相談を受け、回答者(アドバイザー)がその場で答えていきます。

 スタッフが回答者を選ぶにあたり、学歴を判断材料にすることはありません。その回答者の実力だけで決まります。かつては、有名な大学教授や精神科医もたくさんいました。しかし、リスナーが「この相談者はいい」と納得し、満足しない場合は回答者を続けることができないのです。

筆者 だから、40年以上も人気番組であり続けることができるのですね。

加藤 回答者を長く続けているのは、幼児教育の大原敬子さんや、占星術家でエッセイストのマドモアゼル・愛さんなどです。お2人とも学者や医師などではないのです。

 それこそ、学歴もお金も社会的な地位も関係もない、生の実力だけの世界です。本来は、企業もこうあるべきなのでしょうね。
http://diamond.jp/articles/-/93367  

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