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人間は「見たいものしか見ない」習性を持つ動物 慶応ビジネス・スクール EXECUTIVE 第32回 出口治明ライフネ
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投稿者 軽毛 日時 2016 年 7 月 11 日 15:08:51: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

人間は「見たいものしか見ない」習性を持つ動物

慶応ビジネス・スクール EXECUTIVE

第32回 出口治明ライフネット生命保険代表取締役会長(1)
2016年7月11日(月)
慶応ビジネス・スクール
 慶応義塾大学大学院経営管理研究科(慶応ビジネス・スクール)は次世代の経営の担い手を育成すべく、エグゼクティブ向けに特化した学位プログラム「Executive MBA(EMBA)」を開設している。「EMBA」プログラムの目玉の1つが、企業経営者らの講演と討論を通して、自身のリーダーシップや経営哲学を確立する力を養う「経営者討論科目」。日経ビジネスオンラインではその一部の授業を掲載していく。

 5月末の経営者討論科目の授業ではライフネット生命保険の出口治明代表取締役会長が登壇。「働き方とリーダーシップ」というテーマで講義を行った。

 出口会長は慶応ビジネス・スクールで経営を学ぶ人々を、「周囲の世界を自ら経営して少しでも良くしようという『世界経営計画』を持つ人たち」と表現。より良い経営計画を立てるためには、世界の現状を、いかに的確に把握するかが重要だと指摘した。だが一方で、人間は「見たいものしか見ない」「見たいように世界を変換してしまう」習性がある生き物であると指摘し、正しく現状を理解するための具体的な方法論を紹介した。

(取材・構成:小林 佳代)

出口治明(でぐち・はるあき)氏
ライフネット生命保険代表取締役会長
1948年三重県生まれ。京都大学を卒業後、1972年に日本生命保険に入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て、同社を退職。2006年にネットライフ企画設立、代表取締役社長に就任。2008年にライフネット生命保険に社名を変更、生命保険業免許を取得。2016年6月より現職。 主な著書に『生命保険入門 新版』『直球勝負の会社』『生命保険とのつき合い方』『日本の未来を考えよう』『働く君に伝えたい「お金」の教養』『「全世界史」講義T』『「全世界史」講義U』『「働き方」の教科書』など。
(写真=陶山 勉、以下同)
働くこととは、「世界経営計画」の一部を担うこと

 みなさん、こんにちは。今日は「働き方とリーダーシップ」というテーマで話をします。

 この慶応ビジネス・スクールで経営について学んでいる皆さんは、いずれは職場や地域などで将来の経営を担う方たちです。人間はどんなに恵まれた職場であれ、現状に100%満足している人はおそらくどこにもいないでしょう。人間には向上心が備わっており、どこかを変えたい、良くしたいという思いを持っている。

 つまり、皆さんは周囲の世界を少しでも良くしたいという「世界経営計画」を持っているのです。

 世界のメインシステムを担っているのは神さまです。神さまは、世界を思うがままに瞬時に変えることができるからです。しかし、残念ながら神ならぬ身の人間にはそういうことはできません。今の自分が置かれた環境、今のポジションでどこをどう変えれば周囲の世界が多少なりとも良くなるのか、自分はその中でどの部分を担うのがいいのかということを常に考えていく必要があります。即ち人が生きること、働くこととは、世界経営計画のサブシステムを担うということなのです。

森の姿を正しくとらえなくては、1本の木も植えられない

 世界経営計画のサブシステムを担う人間が、周囲の世界を少しでも良くしようと思うならば、まず現状をきちんと認識することから始めることが必要です。森の姿(世界の姿)を正しくとらえることができなければ、1本の木すら植えることはできないからです。

 ところが、人間は「見たいものしか見ない」、あるいは「見たいように都合よく現実の世界を変換してしまう」習性を持つ動物です。カエサル(古代共和制ローマ末期の軍人・政治家)も「人は現実のすべてが見えるわけではなく、多くの人は見たいと思う現実しか見ない」と指摘しています。

 このような脳のクセを考えると、世界の現状をきちんと見るためには、方法論が必要です。まずは、その方法論から説明していきましょう。

@「タテ」(昔の人)・「ヨコ」(世界の人)思考

 僕が考える方法論は2つあります。

 1つ目の方法はタテ・ヨコ思考です。

 人間の脳はドメスティケーション(農耕、牧畜などの開始)以来、1万3000年以上進化していないというのが通説です。つまり1万年前の人間も今の人間と同じように喜怒哀楽を感じ、同じように経営判断をしてきたということです。ならば、「昔の人はどう考えたか」が現状を見る時の1つの軸になります。これがタテです。ヨコは「世界の人がどう考えるか」です。タテ・ヨコの軸で見れば現実が非常に正確に見えてきます。

 1つ、例を挙げて説明してみましょう。

 日本では「夫婦別姓制度」がしばしば議論の的になります。「日本の伝統に合わない」「家族の絆を壊す」といった反対論が渦巻きますが、果たして、本当にそうでしょうか。

 タテから見ていきましょう。皆さんは小中学生の時、歴史の授業で源頼朝の奥さまの話を聞いたことがあるはずです。名前を覚えていますか? 北条政子ですね。源と北条。夫婦なのに姓が違います。ここから日本の伝統は、夫婦別姓を採用していたということがわかります。

 ではヨコはどうか。OECD(経済協力開発機構)34カ国の状況を見てみましょう。法律婚の条件として夫婦同姓を強制しているのは日本だけです。

 いかがでしょうか。タテ・ヨコ思考で見れば、夫婦別姓が日本の伝統に合わないとか、家族の絆を壊すという主張が事実とは異なることがわかります。根強く反対論を唱える人たちの背景には、イデオロギーや思い込みがあるということです。

A「数字・ファクト・ロジック」

 「世界」や「現状」をきちんと認識するための、2つ目の方法は、「数字・ファクト・ロジック」を使うことです。データの伴わない議論ほど時間の無駄はありません。

 例えば、僕はしばしば「日本は低学歴社会だ」と主張しています。そうすると「出口さん、何を言っているんですか。日本は少子化で学生数が減っているのに大学の定員は減っていなくて、希望すればどこかの大学には必ず入れる『大学全入時代』ですよ。」と反論する人がいます。

 この議論は1分もかからず正答が出ます。各国の大学進学率をググってみてください。日本は51〜52%ですが、OECD平均は62〜63%。先進国の中では日本が低学歴の国であることは歴然としています。

 数字・ファクト・ロジックに基づかない議論は意味がありません。どうか皆さんはこのように相互に検証可能なデータを抽出し、それを基に現状を分析する習慣をつけてください。


「『タテ・ヨコ思考』と『数字・ファクト・ロジック』という2つの方法論を使って考えれば、問題解決の糸口は見つかる」
少子化対策、フランスにできることが日本ではできない?

 では実際にこのタテ・ヨコ思考と数字・ファクト・ロジックという2つの方法を使って現在の日本が抱える課題について考えてみましょう。

 今、わが国にとって最も深刻な問題は少子化です。安倍政権が「アベノミクス」第2ステージとして打ち出している「新3本の矢」でも「出生率1.8への回復」という目標が盛り込まれています。

 厚生労働省が先日発表した2015年の人口動態統計によると、1人の女性が生涯に生む子供数を推計した「合計特殊出生率」は1.46でした。目標とする1.8まで、0.3〜0.4ポイント上げなくてはなりません。それには先進国で出生率を0.3〜0.4上げた国を参考に政策を考えるのが一番です。

 ご存じの方も多いと思いますが、フランスは少子化対策によって約10年で出生率を0.3〜0.4ポイント上げた実績を持っています(90年代半ばの1.6台から2000年代半ばの2.0台まで)。「フランスと日本ではお国柄が違う。日本の参考にはならない」と言う人もいますが、本当にフランスの政策は参考にならないのでしょうか。

 フランスが少子化対策として打ち出したのは「シラク3原則」と呼ばれる政策です。第1に子供を生んでも新たな経済的負担が生じないようにすること。第2に無料の保育所を完備すること。第3に育児休暇から職場復帰する際、元のランクで元の職場が受け入れること。これだけです。

それは「やる気がないだけ」

 男性は赤ちゃんを生むことはできません。そこでフランスでは男性が何を言おうと、赤ちゃんを生むことができる女性が、産みたいと思った時に産める体制を整えることに専心しました。産みたい時と女性の経済力は一致しないのが普通です。だからその差は税金で担保するという政策です。経済力のない18歳の女性が赤ちゃんを産んだ場合でも、必要な金額を給付することにより、「女性は産みたい時にいつでも、何人でも安心して赤ちゃんを産んでください」という姿勢を示したのです。

 一方で、出産後の女性は生活基盤を確立するために仕事を持つことが必要です。だからフランスは保育所を完備しました。この保育所が日本では不足しているため、待機児童の問題が発生しています。横浜市は待機児童ゼロを実現したと話題になりましたが、それも3年がかりとのこと。他の自治体では待機児童ゼロの実現は困難とされがちです。けれど、フランス人に言わせればそれは「やる気がないだけ」ということになります。

 考えてもみてください。日本の小学校で「教室が足りない」「先生がいない」という理由で児童の小学校への入学を待機させている自治体の話を、聞いたことがありますか。そんなことが起こったら大変です。義務教育でできていることは義務保育にすればできるはずだとフランス人は言うのです。

 育休から戻る人を元のランクで元の職場が受け入れるべきだという話をすると、「2年も休んだ社員を簡単には戻せませんよ」と言う人がいます。しかし多くの大手企業は社員を世界中の大学や大学院に留学させています。2年ほど勉強して帰国した後も喜んで元の職場で受け入れています。留学した社員を受け入れることはできるのに、社会の宝である赤ちゃんを生んだ女性を受け入れることができないというのは、果たして男女差別以外に何か理由があるのでしょうか。

「できちゃった婚」は世界のスタンダード

 中には、フランスでは赤ちゃんの6割近くが婚外子として生まれることを取り上げて、「フランスは自由恋愛の国で不倫が多いから赤ちゃんがいっぱい生まれるんだ」と言う人もいますが、不勉強もはなはだしい。

 社会学者の調査によれば、世界の中でいちばん不倫が多いのは日本だそうです。他の先進国では嫌いになったらすぐ離婚するので不倫をしているヒマがない。日本は「離婚すると上司の覚えが悪くなる」「世間体が悪い」などといった理由で仮面夫婦を続けてしまう。だから不倫が多いというのです。つまり、婚姻が歪んでいるから、不倫という歪みが生じるのです。

 そもそも、世界的に見れば、日本の婚姻の形態はガラパゴス的で、かなりゆがんでいます。日本では平均すると女性が29歳ぐらいで最初の結婚をして30歳ぐらいで第1子を生みます。先進7カ国(G7)の残りの6カ国では、例えば女性が第1子を産むのは26〜27歳。最初の結婚は28歳ぐらいが普通です。

 若い男女が好き合ったら一緒に住むようになり、一緒に住んだら自然と赤ちゃんが生まれ、じゃあ身を固めようかと結婚する。これが人間の社会で歴史上行われてきた一般的な婚姻の姿です。結婚する前に赤ちゃんを生んだ女性のことを「ふしだらだ」とか「だらしない」などとアホなことを言うおじさん、おばさんがいる日本では、結婚と出産の順序が逆になっているのです。したがって、他の先進国で婚外子が多いのは不倫とは全く関係がないのです。

介護負担を減らす究極の策は「定年廃止」

 少子化とともに日本の大きな課題となっている高齢化についても考えてみましょう。

 高齢化で一番の問題となるのは要介護状態となったお年寄りの増大です。介護にかかわる人手不足、財政負担の増加などがわが国には重くのしかかっています。アベノミクス「新3本の矢」でも親などの介護のために離職せざるを得なくなる人をなくす「介護離職ゼロ」が掲げられています。

 要介護を定義すれば「平均寿命−健康寿命」ということになります。ここでいう健康寿命とは、最低限「ひとりでトイレに行ける」こと。寝たきりにはならないということです。

 介護問題を解決するには、この「平均寿命−健康寿命」の値を少しでも小さくしていくことが重要です。当然ながら、おじいさんやおばあさんに「はよ死んで」とは誰も言えませんから、介護をなくすには健康寿命を延ばすしかありません。

 では、どうすれば健康寿命を延ばすことができるのでしょうか。医者10人に聞いたところ答えはみんな一緒でした。「働くこと」です。

 仕事に行かなくてはならないから、朝起きた後に男性はひげをそり、女性は化粧をします。しっかり働けるように栄養のある食事を取ろうと心がけますし、働く場所に行くためには自然に足腰を使うので運動にもなります。心身の健康維持にはいいことづくめです。

 僕は今68歳ですが、何も予定のない日曜日に起きるのは10〜11時。寝ることが大好きなものですから。そして1日中パジャマにガウン姿。こんな状態が毎日続けば、家族にもうとまれますし体にいいはずはないですね。

2つの方法を使って考えれば、問題解決のヒントが見つかる

 となれば、高齢化に対処するための政策は「定年廃止」しかありません。世界的に見て定年制があるのは日本だけです。アングロサクソンの社会では履歴書に年齢を書き込む欄があるだけで問題になります。働く意欲があるのか、職場に来る体力があるのか、読み書きそろばん、つまり仕事をするのに必要なスペックを備えているのか。こういった要素のみを見て採用の是非を判断するのが世界の常識です。

 これは首相が一言「定年制を止める」と言えば済む話です。そうすれば企業は年功序列型賃金を直ちに「同一労働同一賃金」に変えるでしょう。つまり政権が目指す働き方改革を実現することにもつながるのです。

 「高齢者がいつまでも仕事を続けていたら、若者の仕事がなくなってしまう」という人もいます。しかし、この国では団塊世代が消えることで2030年には800万人労働人口が不足すると言われています。不足分を補う上で、定年制の廃止は1つの有効な政策になるはずです。高齢者が働くようになれば、年金保険も医療保険も担い手が増え、社会保障制度も安定します。

 このように、タテ・ヨコ思考と、数字・ファクト・ロジックという、2つの方法を使って考えていけば、少子化や高齢化を解決するヒントはたくさん見つかるのです。

(次回に続く)


このコラムについて

慶応ビジネス・スクール EXECUTIVE
 この連載では、慶応ビジネススクールで展開されているエグゼクティブ向けMBA課程のエッセンスを紹介。日々のビジネスに奮闘する読者の問題解決のヒントを提供します。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/280921/062300033  

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コメント
 
1. 2016年7月12日 22:41:33 : 1NsUmFN3RQ : pV8j2bBYUoM[6]
>北条政子ですね。源と北条。夫婦なのに姓が違います。ここから日本の伝統は、夫婦別姓を採用していたということがわかります。

足利義政−日野富子の方が新しいだろう。

できれば、それがなぜ動静を採用するようになったかと言う経緯を説明すれば
なおよいね。

>この議論は1分もかからず正答が出ます。各国の大学進学率をググってみてください。日本は51〜52%ですが、OECD平均は62〜63%。先進国の中では日本が低学歴の国であることは歴然としています。

これって高等職業学校も入った数字じゃない?
一般的に言って欧州各国の大学進学率は日本よりずっと低いぞ。


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